説明

統合アンテナ

【課題】ダイバーシティを構成する送受信用アンテナと受信用アンテナとの間で高いアイソレーションを有する統合アンテナを提供する。
【解決手段】電話用基板120は、第1の地板102の対向する2つの端辺に近接して平行に配置された2つのアンテナ素子形成部121、122が基板主部123の左右両端に形成されている。電話用アンテナ110は、アンテナ素子形成部121に形成された送受信用アンテナ111と、アンテナ素子形成部122に形成された受信用アンテナ112とで構成されている。また、基板主部123には、第1の地板102とは非接触に第2の地板124が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される統合アンテナに関し、特にETC、VICS等のアンテナにさらに電話用アンテナを搭載して統合した車載用の統合アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、1枚の共用グランドの上にETC(Electronic Toll Collection System)、VICS(Vehicle Information and Communication System)、GPS(Global Positioning System)等に用いるそれぞれのアンテナを一体的に配置した統合アンテナが開発されている。例えば特許文献1では、VICS用アンテナとGPS用アンテナが1つの複合基板上に配置され、指向性の異なるETC用アンテナが別の基板上に配置されており、この2つの基板が1枚の共用グランドの中央付近に配置されている。なお、基板の各アンテナを搭載する面と反対側の面には、ほぼ全面に基板用グランドが形成されている。
【0003】
一方、近年は携帯電話などに用いる電話用アンテナも車両に搭載したいというニーズが高まっており、電話用アンテナの設置スペースの確保が困難なことから、従来の統合アンテナにさらに電話用アンテナも統合させることが強く望まれている。電話用アンテナでは、800MHz帯の周波数帯が用いられている。また、好適な受信特性を得るために、電話用アンテナをダイバーシティ構成とすることが望まれている。ダイバーシティ構成の電話用アンテナを備えた車載用統合アンテナとして、例えば特許文献2に記載のものが知られている。
【0004】
ダイバーシティ構成の電話用アンテナを備えた統合アンテナの一例を、図13に示す。同図に示す統合アンテナ900では、地板901の略中央にGPS用アンテナ902が配置されており、地板901がGPS用アンテナ902のグランドとして作用する。また、GPS用アンテナ902を挟んでその左右に電話用アンテナ903、904が配置されている。電話用アンテナ903、904は、それぞれ基板905、906上に形成されている。
【0005】
電話用アンテナ903及び904は、同じ周波数帯で動作するアンテナであり、これを用いてダイバーシティを構成することで、高い受信特性が得られるようにしている。ここで、電話用アンテナ903を送受信用のアンテナ(以下ではTRx用アンテナと称する。)とし、電話用アンテナ904を受信専用のアンテナ(Rx用アンテナと称する。)としている。
【0006】
電話用アンテナ903及び904として、図14に示すような逆F型アンテナを用いることができる。図14は、電話用アンテナ903、904を、基板905、906の図示を省略して模式的に示した説明図である。電話用アンテナ903、904は、それぞれの給電点が給電ケーブル907、908に接続され、接地点が共に地板901に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−056773号公報
【特許文献2】特開2007−124016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、TRx用アンテナとRx用アンテナとを統合アンテナに組み込んでダイバーシティ構成とした場合には、TRx用アンテナからの送信波がRx用アンテナに漏れ込んでしまうといった問題があった。すなわち、TRx用アンテナとRx用アンテナとの間で十分なアイソレーションを確保するのが困難といった問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、ダイバーシティを構成するTRx用アンテナとRx用アンテナとの間で高いアイソレーションを有する統合アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の統合アンテナの第1の態様は、少なくとも第1の地板をグランドに用いる第1のアンテナに電話用アンテナを統合させた統合アンテナであって、前記電話用アンテナは、前記第1の地板の上に配置された電話用基板と、前記電話用基板の上面に前記第1の地板の対向する2つの端辺の一方に近接して平行に形成された送受信用アンテナと、前記電話用基板の上面に前記対向する2つの端辺の他方に近接して平行に形成された受信用アンテナと、前記第1の地板とは非接触に前記電話用基板の上面及び底面に形成されて前記送受信用アンテナ及び前記受信用アンテナのそれぞれの接地点が接続された第2の地板と、を備え、前記第2の地板は、前記送受信用アンテナの接地点と前記受信用アンテナの接地点とを電気的に分離する分離スリットを有していることを特徴とする。
【0011】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記第2の地板は、前記電話用基板の上面及び底面のうち、前記送受信用アンテナと前記受信用アンテナとの間の少なくとも前記第1のアンテナの直下を除く両面部分と、前記送受信用アンテナ及び前記受信用アンテナのそれぞれの給電点及び接地点近傍の底面部分に形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記第2の地板は、前記電話用基板のさらに前記送受信用アンテナ及び前記受信用アンテナの直下の底面部分に形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記第1の地板は、前記送受信用アンテナの直下に導体の一部を切欠いた電流遮断部を1以上有していることを特徴とする
【0014】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記第1の地板は、さらに前記受信用アンテナの直下にも導体の一部を切欠いた別の電流遮断部を1以上有していることを特徴とする。
【0015】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記電話用基板は、前記送受信用アンテナ側と前記受信用アンテナ側の2つに分離されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の統合アンテナの他の態様は、前記送受信用アンテナ及び前記受信用アンテナは、逆F型アンテナであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、ダイバーシティを構成するTRx用アンテナとRx用アンテナとの間で高いアイソレーションを有する統合アンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る統合アンテナの平面図、側面図及び底面図である。
【図2】第1実施形態の電話用基板の平面図、底面図、及び第1の地板の平面図である。
【図3】第1実施形態の統合アンテナのVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図4】従来例の構成を示す電話用基板の平面図、第1の地板の平面図、及び第1の地板と第2の地板の断面図である。
【図5】従来例のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る統合アンテナの平面図、側面図及び底面図である。
【図7】第2実施形態の電話用基板の平面図、底面図、及び第1の地板の平面図である。
【図8】アンテナと対向する端辺に電流が流れる状態を模式的に示す平面図である。
【図9】第2実施形態の統合アンテナのVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図10】本発明の第3実施形態に係る統合アンテナの平面図、側面図及び底面図である。
【図11】第3実施形態の電話用基板の平面図、底面図、及び第1の地板の平面図である。
【図12】第3実施形態の統合アンテナのVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を示すグラフである。
【図13】従来のダイバーシティ構成の電話用アンテナを備えた統合アンテナの平面図及び側面図である。
【図14】逆Fアンテナを用いた電話用アンテナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施の形態における統合アンテナについて、図面を参照して詳細に説明する。同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。本発明の統合アンテナは、ETC、VICS等のアンテナを搭載した車両用の統合アンテナに、さらに電話用アンテナを統合したものである。
【0020】
本発明の第1の実施形態に係る統合アンテナを図1を用いて説明する。図1において、(a)は本実施形態の統合アンテナ100の平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、をそれぞれ示している。本実施形態の統合アンテナ100は、第1のアンテナが搭載されたものに電話用アンテナ110を統合して構成されたものである。図1では、第1のアンテナの一例としてGPS用アンテナ101を搭載した実施形態を示している。これに限定されず、GPS用アンテナ101に隣接してさらにETC用アンテナを搭載することもできる。ETC用アンテナは、第1の地板102に対し所定の角度だけ傾けて載置される。
【0021】
GPS用アンテナ101は、第1の地板102の略中央に配置されており、第1の地板102がGPS用アンテナ101のグランドとして作用する。また、電話用アンテナ110は、所定の周波数帯で送受信を行うTRx用アンテナ111と、受信のみを行うRx用アンテナ112とからなるダイバーシティ構成となっており、両アンテナ111、112がGPS用アンテナ101を挟んで電話用基板120の左右両端に配置されている。以下では、TRx用アンテナ111の周波数帯を送受信用周波数帯F1とし、Rx用アンテナ112の周波数帯を受信用周波数帯F2とする。一例として、それぞれの周波数帯を、F1=824〜925MHz、F2=843〜875MHzとし、それぞれの周波数帯に調整したときの特性を以下で説明する。
【0022】
TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112は、電話用基板120上に逆F型アンテナとして形成されている。電話用基板120は、TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112をそれぞれ配置するアンテナ素子形成部121、122が基板主部123の左右両端に形成されている。また、基板主部123には、TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のグランドとして用いる第2の地板124が形成されている。第2の地板124は、少なくともGPS用アンテナ101の直下を除く電話用基板120の表裏に形成されている。TRx用アンテナ111の給電点111a及びRx用アンテナ112の給電点112aは、所定のケーブルに接続されて給電され、それぞれの接地点111b,112bは、第2の地板124に接続されている。
【0023】
本実施形態の統合アンテナ100は、第1の地板102及び第2の地板124を好適に形成することで、高いアイソレーションを実現している。以下では、本実施形態の第1の地板102及び第2の地板124の特徴について説明する。
【0024】
第1の地板102及び第2の地板124の特徴を図2を用いて説明する。同図は、(a)、(b)に電話用基板120のそれぞれ平面図及び底面図を示しており、(c)に第1の地板102の平面図を示している。図2(a)、(b)では、電話用基板120上に形成されているTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の図示を省略して第2の地板124のみを図示している。
【0025】
本実施形態の第1の特徴として、図1(b)に示すように、第1の地板102と第2の地板124とを非接触にして電気的に導通させないようにしている。また、第2の特徴として、第2の地板124に分離スリット125を形成することで、第2の地板124をTRx用アンテナ111側とRx用アンテナ112側に分離している。第2の地板124は、電話用基板120の表側にはGPS用アンテナ101の直下とアンテナ素子形成部121、122を除く領域に形成され、電話用基板120の裏側にはGPS用アンテナ101の直下を除く領域に形成されている。なお、本実施形態では、分離スリット125で第2の地板124を左右に分離するのに合わせて、基板主部123も左右に分離する構成としているが、これに限定されるものではない。
【0026】
TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーションは、空間における回り込みを低減させるか、あるいは基板からの回り込みを低減させるか、によって高めることができる。このうち、空間における回り込みを低減させる方法では、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間の空間的な距離を大きくする必要があり、電話用アンテナ110の設置スペースが大きくなってしまう。そこで、本実施形態の統合アンテナ100では、第1の地板102及び第2の地板124を好適に形成することで、基板からの回り込みをできるだけ低減させている。
【0027】
第1の地板102及び第2の地板124を経由した回り込みをできるだけ低減するために、まず、分離スリット125を形成して第2の地板124をTRx用アンテナ111側とRx用アンテナ112側に分離している。これにより、第2の地板124を経由した回り込みを防止している。また、第1の地板102と第2の地板124とを電気的に絶縁することで、第2の地板124から第1の地板102を経由して回り込むのを防止している。
【0028】
上記のように構成された本実施形態の統合アンテナ100の特性を図3に示す。同図において、(a)、(b)はそれぞれTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性、(c)、(d)はそれぞれTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のゲイン特性、(e)はTRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーション特性(S21)、をそれぞれ示している。
【0029】
TRx用アンテナ111のVSWR特性は、図3(a)に示すように、送受信周波数帯F1において十分低くなるように調整されている。また、Rx用アンテナ112のVSWR特性は、図3(b)に示すように、受信周波数帯F2において十分低くなるように調整されている。同様にゲイン特性についても、TRx用アンテナ111のゲイン特性が送受信周波数帯F1において十分高くなるように調整され(図3(c))、Rx用アンテナ112のゲイン特性が受信周波数帯F2において十分高くなるように調整されている(図3(d))。さらに、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーション特性についても、図3(e)に示すように、送受信周波数帯F1及び受信周波数帯F2を含む広い周波数帯において、TRx用アンテナとRx用アンテナとの間の干渉が問題とならない程度にS21が低減されており、高いアイソレーションが実現できている。
【0030】
本実施形態では、第1の地板102と第2の地板124とを非接触にして電気的に導通させないようにするとともに、第2の地板124に分離スリット125を形成してTRx用アンテナ111側とRx用アンテナ112側に分離しているが、このような特徴を有さない従来例の統合アンテナの構成を図4に示す。同図において、(a)、(b)は従来例の電話用基板820のそれぞれ平面図、底面図であり、(c)は第1の地板802の平面図、(d)は電話用基板820に形成された第2の地板824と第1の地板802の断面図、をそれぞれ示している。ここでも、電話用基板820にはTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の図示を省略して第2の地板824のみを表示している。図4(d)に示すように、従来例では第1の地板802と第2の地板824とを接触させて電気的に導通させている。
【0031】
従来例のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を図5に示す。ここでも、図3と同様に、(a)、(b)にそれぞれTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のVSWR特性、(c)、(d)にそれぞれTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のゲイン特性、(e)にTRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーション特性、をそれぞれ示している。図5(e)に示すように、第1の地板802と第2の地板824とを電気的に導通させると、800MHz帯でS21が大きくなり、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーションが低下する。これに対し、本実施形態の統合アンテナ100では、従来例の統合アンテナに比べて図3(e)に示したアイソレーション特性が大幅に改善されていることがわかる。
【0032】
本発明の第2の実施形態に係る統合アンテナを図6、7を用いて説明する。図6において、(a)は本実施形態の統合アンテナ200の平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、をそれぞれ示している。また、図7は、(a)、(b)に電話用基板120のそれぞれ平面図及び底面図を示しており、(c)に第1の地板202の平面図を示している。図7(a)、(b)では、電話用基板120上に形成されているTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の図示を省略して第2の地板124のみを図示している。
【0033】
本実施形態の特徴として、第1の地板202の左右の端辺にそれぞれ2本ずつ、計4本の電流遮断部202aを形成している。各電流遮断部202aは、TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112と直交する方向に、それぞれの端辺近傍から各アンテナの直下に至るまでの長さ以上で、かつ第1の地板202の中心線までの長さよりも短い長さで導体の一部を切欠いて形成されている。なお、電流遮断部202aは、図6,7に示すようなスリット形状に限定されず、例えばより幅の広い長方形あるいは正方形に形成してもよい。
【0034】
本実施形態の統合アンテナ200では、TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112が、第1の地板202の対向する2つの端辺に近接して配置されていることから、各アンテナが配置されている近傍の端辺及びそれに対向する端辺に強い電流が流れ、その電流が他方のアンテナに影響を与えるといった回り込みが生じる。アンテナ側及びそれに対向する側の2つの端辺に沿って電流が流れる状態を、図8に模式的に示す。同図では、地板11の端辺11aに近接して配置されたアンテナ10が送受信すると、その直下の端辺11aに沿って強い電流12aが流れ、さらに対向する端辺11bにも電流12aより弱い電流12bが流れることを示している。
【0035】
上記のような電流12a、12bが端辺11a、11bに沿って流れると、端辺11b側に別のアンテナが配置されたとき、このアンテナの特性に影響を与えてしまう。そこで、対向する2つの端辺に沿って流れる電流12a、12bをできるだけ低減するために、地板11に電流遮断部13を形成するのがよい。これにより、各端辺に沿って流れる電流12a、12bを低減することができる。
【0036】
上記と同様に本実施形態でも、第1の地板202のTRx用アンテナ111が配置されている近傍の端辺及びRx用アンテナ112が配置されている近傍の端辺のそれぞれに、各アンテナと直交する方向(すなわち各端辺と直交する方向)に電流遮断部202aを形成している。各電流遮断部202aは、当該端辺に達する位置まで形成されており、これにより各端辺に沿って電流が流れるのを低減している。また、各電流遮断部202aをTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の直下に至るまでの長さ以上に形成するようにしているが、各電流遮断部202aをより短くしてTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の直下まで至らないようにすると、上記の端辺に沿って流れる電流を低減する効果があまり得られなくなってしまう。さらに、上記では電流遮断部202aの形状をスリット状や長方形あるいは正方形とし、これを第1の地板202の左右の端辺にそれぞれ2本ずつ設けるとしているが、電流遮断部202aの形状や本数はこれに限定されるものではない。なお、第1の地板202に上記のような電流遮断部202aを形成しても、GPS用アンテナ101の特性に影響を与えないことを確認している。
【0037】
本実施形態では、第1の地板202に形成される電流遮断部202aの個数をそれぞれ2つずつとしている。TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の直下の第1の地板202の対向する2つの端辺のそれぞれに、少なくとも1つの電流遮断部202aを形成するのがよい。
【0038】
本実施形態の統合アンテナ200のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を図9に示す。統合アンテナ200では、図9(e)に示すS21が図3(e)に示した第1の実施形態の統合アンテナ100より若干小さくなっており、統合アンテナ100より高いアイソレーション特性が得られている。また、図9(c)、(d)に示すゲイン特性では、図3(c)、(d)に示した第1の実施形態の統合アンテナ100と同程度の特性が得られている。このように、本実施形態の統合アンテナ200では、第1の地板202に電流遮断部202aを2つずつ設けることで、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーションをさらに高くすることが可能となる。
【0039】
本発明の第3の実施形態に係る統合アンテナを図10、11を用いて説明する。図10において、(a)は本実施形態の統合アンテナ300の平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、をそれぞれ示している。また、図11は、(a)、(b)に電話用基板320のそれぞれ平面図及び底面図を示しており、(c)に第1の地板202の平面図を示している。図11(a)、(b)では、電話用基板120上に形成されているTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の図示を省略して第2の地板324のみを図示している。
【0040】
本実施形態では、電話用基板320の底面側には、GPS用アンテナ101の直下とTRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のそれぞれの放射部の直下を除く位置に第2の地板324を形成している。ここで、TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112のそれぞれの放射部とは、それぞれのアンテナ111、112の給電点111a、112a及び接地点111b,112bの近傍を除くアンテナ素子部分をいう。TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の直下にも第2の地板を形成した場合には、図8を用いて説明した第1の地板に発生する電流と同様の電流が、第2の地板にも発生するおそれがある。そこで、本実施形態では、第2の地板に上記のような電流が流れるのを防止するため、TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の直下には、第2の地板324を形成しないようにしている。
【0041】
本実施形態の統合アンテナ300のVSWR特性、ゲイン特性、及びアイソレーション特性を図12に示す。統合アンテナ300では、図12(e)に示すS21が図3(e)に示す第1の実施形態の統合アンテナ100及び図9(e)に示す第2の実施形態の統合アンテナ200より小さくなっており、高いアイソレーション特性が得られることがわかる。また、図12(c)、(d)に示すゲイン特性でも、図4(c)、(d)及び図9(c)、(d)に示す第1及び第2の実施形態の統合アンテナ100、200より良好な特性が得られている。本実施形態の統合アンテナ300では、TRx用アンテナ111及びRx用アンテナ112の直下に第2の地板324を形成しないようにすることで、TRx用アンテナ111とRx用アンテナ112との間のアイソレーションをさらに高くすることが可能となっている。
【0042】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る統合アンテナの一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における統合アンテナの細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
100、200、300、900 統合アンテナ
101、902 GPS用アンテナ
102、202、802、901 第1の地板
202a 電流遮断部
110、903、904 電話用アンテナ
111 TRx用アンテナ
111a、112a 給電点
111b,112b 接地点
112 Rx用アンテナ
120、320 電話用基板
121、122 アンテナ素子形成部
123 基板主部
124、324 第2の地板
125 分離スリット




【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の地板をグランドに用いる第1のアンテナに電話用アンテナを統合させた統合アンテナであって、
前記電話用アンテナは、
前記第1の地板の上に配置された電話用基板と、
前記電話用基板の上面に前記第1の地板の対向する2つの端辺の一方に近接して平行に形成された送受信用アンテナと、
前記電話用基板の上面に前記対向する2つの端辺の他方に近接して平行に形成された受信用アンテナと、
前記第1の地板とは非接触に前記電話用基板の上面及び底面に形成されて前記送受信用アンテナ及び前記受信用アンテナのそれぞれの接地点が接続された第2の地板と、を備え、
前記第2の地板は、前記送受信用アンテナの接地点と前記受信用アンテナの接地点とを電気的に分離する分離スリットを有している
ことを特徴とする統合アンテナ。
【請求項2】
前記第2の地板は、前記電話用基板の上面及び底面のうち、前記送受信用アンテナと前記受信用アンテナとの間の少なくとも前記第1のアンテナの直下を除く両面部分と、前記送受信用アンテナ及び前記受信用アンテナのそれぞれの給電点及び接地点近傍の底面部分に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の統合アンテナ。
【請求項3】
前記第2の地板は、前記電話用基板のさらに前記送受信用アンテナ及び前記受信用アンテナの直下の底面部分に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の統合アンテナ。
【請求項4】
前記第1の地板は、前記送受信用アンテナの直下に導体の一部を切欠いた電流遮断部を1以上有している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の統合アンテナ。
【請求項5】
前記第1の地板は、さらに前記受信用アンテナの直下にも導体の一部を切欠いた別の電流遮断部を1以上有している
ことを特徴とする請求項4に記載の統合アンテナ。
【請求項6】
前記電話用基板は、前記送受信用アンテナ側と前記受信用アンテナ側の2つに分離されている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の統合アンテナ。
【請求項7】
前記送受信用アンテナ及び前記受信用アンテナは、逆F型アンテナである
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の統合アンテナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−15329(P2011−15329A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159662(P2009−159662)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】