説明

統合型AVM装置

【目的】 移動局操作者の熟知度に応じて配車指示のために送信する顧客情報量を削減することにより、配車指示の通信時間を短縮する。また、移動局操作者の操作習熟度によらない平易な操作を可能にする。
【構成】 複数の移動局3では移動局操作者が音声で待機場所名等の命令を発した場合には集音マイク22が音声を認識し設定操作命令入力として取扱う。また、GPS受信装置19やタッチパネルスイッチ付文字表示装置21は車両の現在の待機地域や空車・休息中などの状態を検出し、検出した状態情報を無線で送信する。また、運用管理通信所1では、配車処理コンピュータ4はこの無線基地局2を介して上記移動局3から状態情報を受信すると共に、顧客検索手段9から受信した顧客情報と予め登録された車両出向先等に基づいてを適切な移動局3を選択して、この選択した移動局3に対する指示情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は車両の位置等を検出して、車両への指示情報の通知制御を行なうAVM(Automatic Vehicle Monitoring)装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にAVM装置(Automatic Vehicle Monitoring装置)は、タクシーの配車、貨物輸送における緊急輸送注文配車や公共事業における事故対策車の走行の円滑化などを目的とし、走行中の車両や活動状況(実車、空車など)の情報を常時監視するものである。ここではタクシーの配車を目的とするAVM装置について説明する。
【0003】図7及び図8は従来のAVM装置の一実施例を示した構成図であり、図7において、1はAVM装置の運用管理を行う運用管理通信所、2は複数の移動局と無線で通信を行う無線基地局、3はタクシー等の移動しながら無線基地局2と無線で通信する移動局、4は配車処理を行う配車処理コンピュータ、5は配車処理コンピュータ4と無線基地局2とを接続する無線通信制御装置、6はキーボード、7はモニタディスプレイ、8はプリンタ、9は各顧客の情報を記憶し、必要時に必要な情報を検索して提供する顧客検索装置、10は顧客検索装置用キーボード、11は顧客検索装置用ディスプレイ、12は顧客検索装置9と配車処理コンピュータ4との通信インタフェースの役割をするゲートウエイである。
【0004】また、図8において、13は移動局3と同じものである移動体(車両)である。次に、移動体13の構成について説明する。14は移動体13に搭載された車載無線機、15は移動体13の制御を行う制御装置、16は制御装置15からの指示によって情報を表示する表示装置、17は運転手が待機中、休憩中などを申告するためのスイッチ、18は料金メータ、19は衛星からの信号を受信するGPS(Global Position System)受信機、20は車載無線機14に電源を供給するバッテリーである。
【0005】次に、図7〜図8に示した従来のAVM装置の動作を説明する。図7において、運用管理通信所1は無線基地局2を介して、複数の移動局3との間で無線により情報の授受を行う。これによって配車処理コンピュータ4は移動局3の所在地と状態を把握して管理する。
【0006】先ず、図9に示すように、運用管理通信所1において、操作者が顧客から電話による配車依頼を受付けると、顧客検索装置用キーボード10から当該顧客の電話番号を入力する。当該顧客に関する電話番号、住所、道案内、氏名等の情報が顧客検索装置9に既に登録されている場合には、顧客検索装置9は当該電話番号を検索キーとして当該顧客の登録情報を検索して顧客検索装置用ディスプレイ11上に表示する。従って、操作者は当該顧客に関する情報を画面で確認することができる。当該顧客情報が顧客検索装置9に登録されていない場合には、当該顧客の情報を新たに登録する。上記の確認または登録が終了すると、検索抽出された情報あるいは新たに登録された情報は顧客検索装置9からゲートウエイ12を介して配車処理コンピュータ4へ送られた後、配車処理コンピュータ4の制御によってモニタディスプレイ7に表示される。
【0007】続いて、配車処理コンピュータ4は当該顧客の登録情報の内の住所情報に基き、配車処理コンピュータ4自体が把握している複数の移動局3の所在地情報及び状態情報から配車に最適な移動局3(車両)を選出して、当該移動局3へ配車指示を行なう為に当該顧客登録情報を無線通信制御装置5へ伝送する。無線通信制御装置5は、配車処理コンピュータ4から受信した当該顧客登録情報を無線信号形式に変換して無線基地局2に送出する。無線基地局2は上記の移動局3に対して当該顧客登録情報を送信する。
【0008】上記の移動局3、即ち移動体13(車両)において、バッテリー20から電源供給を受ける車載無線機14がこの無線信号を受信すると、受信した無線信号形式の配車指示のための当該顧客登録情報を制御装置15へ出力する。制御装置15は当該顧客登録情報を解読してから表示装置16に伝送して表示制御を行う。移動体13の操作者(運転手)は同表示情報を確認した上で配車先へ移動局を出向・移動させる。また、GPS受信機19が衛星から受信した無線信号を取り込むことにより、制御装置15が自車の現在位置を自動検出し、料金メータ18からの信号により制御装置15が自車の空車、賃走(実車)、迎車等の車両状態情報を自動検出する。
【0009】また、移動局3の操作者がスイッチ17を操作して行う待機や休憩等の申告情報等の移動局情報を制御装置15が収集しておき、運用管理通信所1から無線基地局2を介して周期的に発するポーリング信号を当該移動局3(車両)が車載無線機14によって受信した際に、ポーリング応答信号として送信するか、あるいは移動局3に一定距離移動、一定時間経過、料金メータ18設定更新等の状態変化が発生する都度、任意発呼信号として送信する。
【0010】この情報を上記のタイミングに合わせて運転管理通信所1が受信すると、配車処理コンピュータ4に伝送される。配車処理コンピュータ4はこの情報を配車処理のための基礎データとして管理する。尚、運用管理通信所1のプリンタ8は配車処理コンピュータ4で収集した移動局3の管理情報を統計帳票として出力するためのものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来の装置は以上のように構成されているので、すべての移動局に送信する配車指示のための顧客登録情報が同一であり、この為配車指示に要する通信時間が長くなるという問題があった。また、移動局側では表示装置と入力のためのスイッチが各々独立して離れた位置に設置されているだけでなく、この番号と待機場所は変更が多いためスイッチには番号しか振られていない。従って、操作者は待機場所の対応コード番号等を記憶していなければ操作できず、コード番号の数が多いと操作者(運転手)の記憶容量を越えてしまう場合があるという問題があった。
【0012】この発明は以上のような問題点を解消するためになされたもので、移動局操作者の熟知度に応じて配車指示のために送信する顧客登録情報の詳細度すなわち情報量を削減することにより、配車指示の通信時間を短縮するAVM装置を得ることを目的としている。
【0013】また、移動局操作者の操作習熟度によらない平易な操作ができるAVM装置を得ることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明に係る統合型AVM装置は、音声による実行命令を認識する音声認識手段と、自車の現在位置や空車・休息中などの車両の状態を検出する検出手段と、入力手段と情報を表示する表示手段とを兼ね備えた入出力手段とを備え、この検出手段が検出した自車の状態情報を無線で送信する複数の移動局と、顧客情報を有し、顧客からの要求に応じて電話番号等の顧客番号に基づいて当該顧客情報の検索を行う顧客検索手段と、上記移動局の状態情報を受信して管理すると共に、上記顧客検索手段が検索した顧客情報を受信しこの顧客情報及び上記状態情報及び予め登録してある車両出向先等に基づいて適切な移動局を選択し、この選択した移動局に対する指示情報を出力する制御手段と、を具備する運用管理通信所と、上記移動局からの無線による状態情報等を受信して上記運用管理通信所へ送信すると共に、上記運用管理通信所から受信した上記指示情報を無線によって上記移動局に伝達する無線基地局と、を備えたものである。
【0015】また、別の発明に係る統合型AVM装置は、移動局は再送要求信号を発行する再送要求発行手段を備え、運用管理通信所は上記移動局へ指示情報を1回送信する場合に上記移動局から受信する再送要求信号の回数を着信頻度として各移動局毎に記憶する記憶手段と、この記憶手段が記憶する再送要求信号の着信頻度に基づいて各移動局操作者の熟知度を判定し、上記移動局へ送信する指示情報の情報量を上記移動局操作者の熟知度に応じて変更する変更手段とを具備したものである。
【0016】また、別の発明に係る統合型AVM装置は、移動局の入出力手段がカナによる入力、リストによる入力、かな漢字変換による入力のいずれかの方法で入力する入力手段、または外部雑音防止機能を付加した音声認識による入力手段を具備したものである。
【0017】また、別の発明に係る統合型AVM装置は、運用管理通信所は予め設定された待機地点の移動局所在台数をすべての移動局に通知する通知手段を備え、各移動局は上記運用管理通信所から受信した上記各待機地点の移動局所在台数を各移動局で検出した自車の現在位置に近い順に表示する表示手段と、設定操作表示部分を押せば入力できる入力手段を具備したものである。
【0018】
【作用】この発明に係る統合型AVM装置において、複数の移動局に設けられた音声認識手段は移動局操作者が音声で待機場所名等の命令を発した場合には制御装置内でこれを音声認識処理により設定操作命令入力として取扱う。
【0019】また、別の発明に係る統合型AVM装置において、移動局に設けられた再送要求発行手段は再送要求信号を発行し、運用管理通信所に設けられた記憶手段は上記移動局へ指示情報を1回送信する場合に上記移動局から受信する再送要求信号の回数を着信頻度として各移動局毎に記憶するこの記憶手段が記憶する。また、変更手段は運用管理通信所に設けられた再送要求信号の着信頻度に基づいて各移動局操作者の熟知度を判定し、上記移動局へ送信する指示情報の情報量を上記移動局操作者の熟知度に応じて変更する。
【0020】また、別の発明に係る統合型AVM装置において、移動局の入出力手段はカナによる入力、リストによる入力、かな漢字変換による入力のいずれかの方法で入力する。また、外部雑音防止機能を付加した音声認識による入力手段によって入力する。
【0021】また、別の発明に係る統合型AVM装置において、運用管理通信所に設けられた通知手段は予め設定された待機地点の移動局所在台数をすべての移動局に通知する。また、各移動局に設けられた表示手段は上記運用管理通信所から受信した上記各待機地点の移動局所在台数を各移動局で検出した自車の現在位置に近い順に表示する。この際、この設定操作部分も表示されるので、当該表示部分をそのまま押せば入力が行なわれる。
【0022】
【実施例】
実施例1.図7に示した統合型AVM装置の構成図は従来例だけでなく本発明でも使用される。また、図1は本発明に係る統合型AVM装置の一部である移動体の一実施例を示す構成図であり、図8と同符号は同一又は相当の機能を示す。図1において、21はタッチパネルスイッチ付文字表示装置、22は集音マイクであり、いずれも制御装置15に接続される。
【0023】次に、図7及び図1に示した本発明に係るAVM装置の動作を説明する。図7において、運用管理通信所1は無線基地局2を介して、複数の移動局3との間で無線により情報の授受を行う。これによって配車処理コンピュータ4は移動局3の所在地と状態を把握して管理する。
【0024】先ず、図3に示すように、運用管理通信所1において、操作者が顧客から電話による配車依頼を受付けると、当該顧客に関する電話番号、住所、道案内、氏名等の情報が顧客検索装置9に予め電話番号を検索キーとして記憶されている場合には、顧客検索装置用キーボード10からその電話番号を入力し、顧客検索装置用ディスプレイ11で当該顧客の登録情報を検索して確認する。登録されていない場合には、新たな顧客情報として作成して登録する。上記の確認または登録が終了すると、検索抽出された情報または新たに作成された情報は顧客検索装置9からゲートウエイ12を介して配車処理コンピュータ4へ送られた後、モニタディスプレイ7に表示される。
【0025】続いて、当該顧客の登録情報のうち住所情報に基き、配車処理コンピュータ4で把握している複数の移動局3の所在地情報及び状態情報から配車に最適な移動局3(車両)を選出して、当該移動局3(車両)へ配車指示を行なう為に当該顧客登録情報を無線通信制御装置5へ伝送する。無線通信制御装置5は、配車処理コンピュータ4から受信した当該顧客登録情報を無線信号形式に変換して無線基地局2に送出すると共に送信起動制御を行い、上記の移動局3に対して配車指示のための当該顧客登録情報を送信する。
【0026】上記の移動局3(あるいは移動体13)(車両)がバッテリー20から電源供給を受ける車載無線機14によってこの無線信号を受信すると、受信した無線信号形式の配車指示のための当該顧客登録情報を制御装置15が解読してからタッチパネルスイッチ付文字表示装置21に伝送して表示制御を行う。移動局3の操作者(運転手)は同表示情報を確認した上で配車先へ移動局を出向・移動させる。
【0027】また、GPS受信機19が衛星から受信した無線信号を取り込むことにより、制御装置15が自車の現在位置を自動検出し、料金メータ18からの信号により制御装置15が自車の空車、賃走(実車)、迎車等の車両状態情報を自動検出する。また、移動局3の操作者がタッチパネルスイッチ付文字表示装置21を操作して行う待機や休憩等の申告情報等の移動局情報を制御装置15が収集しておき、運用管理通信所1から無線基地局2を介して定周期に発するポーリング信号を当該移動局3(車両)が車載無線機14によって受信した際に、ポーリング応答信号として送信するか、あるいは移動局3に一定距離移動、一定時間経過、料金メータ18設定更新等の状態変化が発生する都度、任意発呼信号として送信する。
【0028】この情報は上記のタイミングに合わせて運転管理通信所に受信され、配車処理コンピュータ4に伝送される。配車処理コンピュータ4はこの情報を次回の配車処理の材料とする。尚、運用管理通信所1のプリンタ8は配車処理コンピュータ4で収集した移動局3の管理情報を統計帳票として出力するためのものである。
【0029】また、集音マイク22は移動局操作者が発する待機場所名等の設定命令を受音し、これを制御装置15へ伝送する。制御装置15はこの集音マイク22からの音声信号を認識処理してタッチパネルスイッチ付文字表示装置21から入力された場合と同等の処理を行なう。
【0030】この実施例によれば、集音マイクが移動局操作者が発する待機場所名等の設定命令を受音するので、操作ミスが解消でき迅速な処理が可能になるという効果が得られる。
【0031】実施例2.また、図4はこの発明に係る統合型AVM装置の移動局の別の実施例を示す構成図であり、図中、図8と同符号は同一または相当部分を示す。図において、23はタッチパネルスイッチ付文字表示装置21に接続され、受信された音声指示情報が聞き取れない場合に再度送信要求を発するための再送スイッチである。また、制御装置15は再送スイッチ23から押下したことを示す信号を受けると再送要求信号を作成する機能を有することをこの実施例では前提とする。また、図7に示した運用管理通信所1の配車処理コンピュータ4は各移動局3からの再送要求信号を受信する都度その発呼頻度を記憶する機能、運用管理通信所1が記憶した再送要求信号発呼頻度により各移動局3に対する顧客等に関する指示情報送信時に各移動局3の操作者の熟知度を判定し送信情報の詳細度(情報量)を変更する機能を有する(図示せず)ことを前提とする。
【0032】次に、図7及び図4に示した統合型AVM装置の動作を説明する。図7において、運用管理通信所1からの無線による音声指示情報を移動局3が受信する。図4に示す移動局3(あるいは移動体13)では、車載無線機14に内蔵されたスピーカを通じて操作者(運転手)が受信した際、雑音などによって上記の音声指示情報を聞き取れなかったり、その指示内容がよく分からない場合、同操作者は再送スイッチ23を押下する。この再送スイッチ23は何回でも押下できるが、その回数が多いほど、同操作者の熟知度が低いことを示す。
【0033】この再送スイッチ23を押下すると、押下信号はタッチパネルスイッチ付文字表示装置21を介して制御装置15へ送られる。制御装置15は上記の押下信号を入力すると、再送要求信号(データ)を作成して車載無線機14により無線信号として運用管理通信所1へ発信する。
【0034】運用管理通信所1は図2の下半部に示すように、この無線信号を無線受信局2を介して受信する。さらに受信した当該無線信号を無線通信制御装置で復号して配車処理コンピュータ4へ送信する。配車処理コンピュータ4は上記移動体13からの再送要求信号を受信する都度その着信が1回あったことを当該移動体13の識別番号について認識して当該移動局3の再送要求信号発生回数合計に1を加算して記憶する。
【0035】このように、各移動局3毎に配車処理コンピュータ4は再送要求信号発生回数、即ち熟知度を管理しておく。また、運用管理通信所1の操作者は、顧客からの電話による配車依頼を受け付けると、当該顧客に関する登録情報(電話番号、住所、道案内、氏名等)が顧客検索装置に登録されてある場合には顧客検索用キーボード10から当該電話番号を入力し、検索抽出した情報がゲートウエイ12を介して配車処理コンピュータ4へ送られる。
【0036】次に、当該顧客の登録情報の内、住所情報に基づき、配車処理コンピュータ4で把握している移動局3の所在情報及び状態情報から配車に最適な車両を選出して無線通信制御装置5に対して、指定車両への配車指示のための当該顧客登情報送信を行う。このとき、配車処理コンピュータ4は各移動局3ごとに管理している再送要求回数、すなわち熟知度と共に、無線通信制御装置5に送信する。無線通信制御装置5では、この熟知度に応じて送信情報の詳細度(情報量)を変更する。例えば、熟知度が「高レベル」の場合には当該顧客登録情報の内、氏名だけを、移動局3へ送信するなど、送信する顧客情報量の削減を行うことによって、平均的な配車指示のための通信時間が短縮される。
【0037】上述したように、この実施例によれば、熟知度の高い操作者を有する移動局3に対する配車指示のための顧客登録情報量を削減することにより、平均的な配車指示通信時間の短縮が可能になるという効果を奏する。
【0038】実施例3.また、図5はこの発明に係る統合型AVM装置の移動局の別の実施例を示すブロック図であり、図中、図4と同符号は同一または相当部分を示す。図において、221は制御装置15に接続される外部雑音除去機能付集音マイク、24はタッチパネルスイッチ付文字表示装置21と制御装置15との間に接続された文字入力処理部、25は制御装置15に接続される音声認識化処理部である。
【0039】次に、図7及び図5に示した統合型AVM装置の動作を説明する。図7において、移動局3の操作者は例えば現在、目的地として向かっている地域の名称が「東京」とすれば、この情報を制御装置15に伝達する方法としてタッチパネル付文字表示装置21に予め登録されている地域名リスト(例えば「東京」「神奈川」「埼玉」などがこの順に表示されたもの)から選出するかあるいは「トウキョウ」と1字ずつ片カナで入力設定するかあるいはひらがなで「とうきょう」と入力したのち、漢字変換処理を行い、「東京」と改めた上で伝達するかのいずれかを任意に選ぶことができる。
【0040】タッチパネルスイッチ付文字表示装置21には常時「地域名リスト」、「カナ」、「かな漢字変換」の3つの入力方法名が表示されており、まず、その表示部位(スイッチ)を押下すると文字入力部24に入力方法が通知される。文字入力部ではこの入力方法通知情報を受け付けると以後タッチパネルスイッチ付文字表示装置21からの入力信号を各入力モードで処理して入力情報を地域名として制御装置15に伝達する。
【0041】一方、外部雑音除去機能付集音マイク22に直接移動局3の操作者が肉声で“東京”と入力する方法も可能である。この場合には外部雑音除去機能付集音マイク22に入力された音声信号を音声認識処理部25で地域名入力情報に変換して制御装置15に伝達するものである。
【0042】地域名リストが膨大な量である場合には、「カナ」あるいは「かな漢字変換」入力による方が地域名候補選出法よりも短時間に地域名が入力でき、同音異義語の地名を入力する場合には「カナ」ではなく「かな漢字変換」入力を用いることが必要となる(例:若山と和歌山)。
【0043】従来は、たとえば、東京は第1地域、神奈川は第2地域、埼玉は第3地域、…と地域名に対応番号を付してこれを入力する形態をとっていたが、地域数が多いと、操作者の記憶容量を超える場合があった。これを是正すると共に、平易な入力操作と短時間の入力操作を実現する手法が以上示した入力処理系である。
【0044】この実施例によれば、移動局側の液晶文字表示部を兼ねる入力操作機構を使って入力する際に、リスト選択により、あるいはカナ入力により、あるいはかな漢字変換により、または外部雑音防止機能を付加した音声認識の機能によって、入力することによって、移動局操作者の操作習熟度に拘らず、移動局操作が簡便かつ迅速に実行できるという効果を奏する。
【0045】実施例4.また、図6はこの発明に係る統合型AVM装置の別の実施例を示すもので、移動局に設けられたタッチパネル付文字表示装置の表示の一例を示す図である。
【0046】次に、図7及び図6に示した統合型AVM装置の動作を説明する。この実施例では、運用管理通信所1は自局が管理把握している予め設定された待機地点の移動局所在台数を移動局3に通知する機能を持ち、移動局3はこれを受信し各待機地点の移動局所在台数を各移動局で検出した自車の現在位置に近い順に表示する表示機能を持つことを前提とする。
【0047】まず、運用管理通信所1は自局が管理把握している予め設定された待機地点の移動局所在台数を移動局3に通知する。移動局3(あるいは移動体13)は待機地点の移動局所在台数を受信すると制御装置15へ伝送する。また、GPS受信機19で自局の現在位置を検出し、制御装置15へ伝送する。この自局の現在位置が例えば、「福岡県」であったとする。制御装置15には予め日本全国の49都道府県名が地域名として登録されてあり、制御装置15は上記「福岡県」を検索キーとして現在地に近い方から6地域分を抽出し、さらに、上記の待機地点の移動局所在台数を検索してこれら6地域における移動局所在台数を抽出する。
【0048】次に、上記のタッチパネル付文字表示装置21の表示画面の左上欄、中上欄、右上欄、左下欄、中下欄、右下欄の順に現在地に近い方から6地域と各地域における移動局所在台数を図6に示すように表示する。具体的には画面の左上欄には「福岡」、中上欄には「山口」、右上欄には「広島」、左下欄には「大阪」、中下欄には「静岡」、右下欄には「東京」と表示する。当該移動局3の操作者はこの表示を参照してその表示部分をそのままスイッチとして押すので設定操作ができ移動局操作者は表示を見て操作すればよい。
【0049】従来は移動局3の操作者が待機場所とこれに対応するコード番号を記憶しなければならず、煩わしいという問題があった。この実施例によれば、各地域内の所在台数が現在地に近い順に表示されるので、その表示部分をそのままスイッチとして押せば設定操作ができ移動局操作者は待機場所対応コード番号等を記憶することは不要になるという効果を奏する。
【0050】
【発明の効果】第1の発明に係るAVM装置によれば、移動局に設けられた集音マイク等の音声認識手段は、移動局操作者が音声で待機場所名等の命令を発した場合には制御装置内でこれを音声認識処理により設定操作命令入力として取扱うので、操作ミスが解消でき迅速な処理が可能になるという効果を奏する。
【0051】また、第2の発明に係るAVM装置によれば、運用管理通信所に設けられた記憶手段は上記移動局へ指示情報を1回送信する場合に上記移動局から受信する再送要求信号の回数を着信頻度として各移動局毎に記憶するこの記憶手段が記憶する。また、変更手段は運用管理通信所に設けられた再送要求信号の着信頻度に基づいて各移動局操作者の熟知度を判定し、上記移動局へ送信する指示情報の情報量を上記移動局操作者の熟知度に応じて変更するので、熟知度を有する操作者の移動局に対する配車指示情報量を削減し全体の配車指示通信時間を短縮できるという効果を奏する。
【0052】また、第3の発明に係るAVM装置によれば、移動局の入出力手段はカナによる入力、リストによる入力、かな漢字変換による入力のいずれかの方法で入力する。また、外部雑音防止機能を付加した音声認識による入力手段によって入力するので、移動局操作者の操作習熟度に拘らず、移動局操作が簡便かつ迅速に実行できるという効果を奏する。
【0053】また、第4の発明に係るAVM装置によれば、移動局に設けられたのタッチパネルスイッチ付文字表示装置などの入出力手段が待機場所の名称を漢字で当該移動局の現在地に近いものから順に表示し、その表示部分をそのままスイッチとして押せば設定操作ができるので、移動局操作者は表示を見て操作するだけで待機場所対応コード番号等を記憶することは不要になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る統合AVM装置の移動局の一実施例を示す構成図である。
【図2】 本発明における顧客検索配車情報の通知シーケンスを示す説明図である。
【図3】 本発明における非顧客検索配車情報の通知シーケンスを示す説明図である。
【図4】 本発明に係る統合AVM装置の移動局の別の実施例を示す構成図である。
【図5】 本発明に係る統合AVM装置の移動局の別の実施例を示す構成図である。
【図6】 本発明に係る統合AVM装置の移動局の別の実施例を示す構成図である。
【図7】 従来の技術及び本発明のシステム構成を示す説明図である。
【図8】 従来の技術の移動局構成を示す説明図である。
【図9】 従来の技術における顧客検索配車情報の通知シーケンスを示す説明図である。
【図10】 従来の技術における非顧客検索配車情報の通知シーケンスを示す説明図である。
【符号の説明】
1 運用管理通信所
2 無線基地局
3 移動局(車両)
4 配車処理コンピュータ
5 無線通信制御装置
6 キーボード
7 モニタディスプレイ
8 プリンタ
9 顧客検索装置
10 顧客検索装置用キーボード
11 顧客検索装置用ディスプレイ
12 ゲートウエイ、13 移動局(車両)
14 車載無線機
15 制御装置
16 表示装置
17 スイッチ
18 料金メータ
19 GPS受信機
20 バッテリー
21 タッチパネルスイッチ付文字表示装置
22 集音マイク
221 外部雑音除去機能付集音マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 音声による実行命令を認識する音声認識手段と、自車の現在位置や空車・休息中などの車両の状態を検出する検出手段と、入力手段と情報を表示する表示手段とを兼ね備えた入出力手段とを備え、この検出手段が検出した自車の状態情報を無線で送信する複数の移動局と、顧客情報を有し、顧客からの要求に応じて電話番号等の顧客番号に基づいて当該顧客情報の検索を行う顧客検索手段と、上記移動局の状態情報を受信して管理すると共に、上記顧客検索手段が検索した顧客情報を受信しこの顧客情報及び上記状態情報及び予め登録してある車両出向先等に基づいて適切な移動局を選択し、この選択した移動局に対する指示情報を出力する制御手段と、を具備する運用管理通信所と、上記移動局からの無線による状態情報等を受信して上記運用管理通信所へ送信すると共に、上記運用管理通信所から受信した上記指示情報を無線によって上記移動局に伝達する無線基地局と、を備えたことを特徴とする統合型AVM装置。
【請求項2】 移動局は再送要求信号を発行する再送要求発行手段を備え、運用管理通信所は上記移動局に対して行う1回の指示当りの上記移動局から受信する再送要求信号の回数を着信頻度として各移動局毎に記憶する記憶手段と、この記憶手段が記憶する再送要求信号の着信頻度に基づいて各移動局操作者の熟知度を判定し、上記移動局へ送信する指示情報の情報量を上記移動局操作者の熟知度に応じて変更する変更手段とを具備したことを特徴とする請求項1記載の統合型AVM装置。
【請求項3】 移動局の入出力手段はカナによる入力、リストによる入力、かな漢字変換による入力のいずれかの方法で入力する入力手段、または外部雑音防止機能を付加した音声認識による入力手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の統合型AVM装置。
【請求項4】 運用管理通信所は予め設定された待機地点の移動局所在台数をすべての移動局に通知する通知手段を備え、各移動局は上記運用管理通信所から受信した上記各待機地点の移動局所在台数を各移動局で検出した自車の現在位置に近い順に表示する表示手段と、設定操作表示部分を押せば入力できる入力手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の統合型AVM装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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