説明

絵合せ玩具及び絵合せ玩具セット

【課題】幼児でも容易に遊ぶことができる回転体を用いた絵合せ玩具であっても、1つの支持体で複数図柄の回転絵合せ遊びができる興趣に富んだ絵合せ玩具と絵合せ玩具セットを提供する。
【解決手段】板状本体表面に複数の円板状回転体を備えた絵合せ玩具1であって、前記回転体の上面が本体平面より突出する支持体2と、支持体2上に載置され各回転体が貫通される複数の孔部41を備える背景画4と、前記回転体上に載置され背景画4とともに像を形成する画片部5とからなる。絵合せ玩具1と、他の像が描画された予備背景画と、予備背景画とともに像を形成する予備画片部とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絵合せ玩具と絵合せ玩具セットに関する。更には、板状本体表面に複数の円板状回転体を備えた絵合せ玩具とそれを用いた絵合せ玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絵合せ玩具として、複数ピースの嵌め合わせによるピースパズルや回転体による図柄合わせ玩具等が用いられている。特に図柄合わせ玩具は低年齢の幼児用として有用である(例えば特許文献1、2参照)。
前記図柄合わせ玩具は、玩具表面部分で回転体と支持体(本体平面)が面一に構成され、玩具表面に図柄が形成されるものであり、回転体を所定位置に合わせることで玩具表面の図柄を完成させるものである。
【0003】
しかしながら、前記図柄合わせ玩具は表面に形成される単一の図柄のみの絵合せしかできないため、幼児には飽きられてしまうものであった。また、複数の図柄を構成するためには図柄毎に玩具本体(支持体)を用いる必要があるため、コスト高になるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−194585号公報
【特許文献2】実開昭62−27690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は幼児でも容易に遊ぶことができる回転体を用いた絵合せ玩具であっても、1つの支持体(玩具本体)で複数図柄の回転絵合せ遊びができる興趣に富んだ絵合せ玩具と絵合せ玩具セットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、板状本体表面に複数の円板状回転体を備えた絵合せ玩具であって、前記回転体の上面が本体平面より突出する支持体と、前記支持体上に載置され各回転体が貫通される複数の孔部を備える背景画と、前記回転体上に載置され背景画とともに像を形成する画片部とからなることを要件とする。
更に、前記画片部が回転体上面に貼着される接着層を裏面に備えること、前記画片部の表面に、エンボス加工が施される、又は、弾性樹脂層が設けられること、前記背景画と画片部が塗り絵用枠画であること、前記支持体表面との間で背景画を挟持する押止部材を設けること、前記押止部材が透明材料からなることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の絵合せ玩具と、他の像が描画された予備背景画と、予備背景画とともに像を形成する予備画片部とからなることを特徴とする絵合せ玩具セットを要件とする。
尚、本発明において「上」とは、板状本体の表面側を示し、「下」とは、板状本体の底部側(裏面)を示す。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、1台の支持体に対して、1つの像を構成する背景画と画片部を複数組用いることができるため、所望の像を選択できる回転絵合せ遊びができる玩具を安価に形成できる。また、予備用の背景画と画片部を用いることで複数図柄の回転絵合せ遊びができるため、より興趣に富んだ絵合せ玩具セットとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の絵合せ玩具の一実施例を示す図柄完成状態の外観図である。
【図2】図1の図柄完成前の状態を示す外観図である。
【図3】図1の支持体の概観斜視図である。
【図4】図1の要部拡大断面図である。
【図5】他の絵合せ玩具用支持体の実施例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第一の実施形態を図1乃至4により説明する。
本発明の絵合せ玩具1は、複数の円盤状回転体3が本体表面21に回転可能に設けられており、前記回転体3の上面が本体平面21より突出してなる支持体2と、前記支持体2上に載置され各回転体3が貫通する複数の孔部41を備える背景画4と、前記回転体3上に載置され背景画4とともに像(図柄)を形成する画片部5とから構成される。
【0010】
前記支持体2は、絵合せ玩具1のベース(基材)となる板状本体(樹脂成形物の組立体)であり、該本体の表面部には複数の円盤状回転体3(具体的には縦4個、横6個で等間隔に計24個配列される樹脂成形物)が回転可能に設けられている。尚、前記回転体3は、上面31が本体平面21より突出するように形成されており、回転操作時に上面外縁部32が指に掛かるため、面一の場合よりも回転操作がし易い構造となっている(図3参照)。
具体的な構造としては、円板状樹脂成形物の裏面略中心からピン33が垂直に延設されており、該ピン33の端部には、外周に段部35が形成された分割片34が形成されている(図4参照)。そのため、本体平面21に形成された取付孔23にピン33を嵌入することで分割片34が撓み容易に取り付けることができ、取付後は段部35により外れることがないものとなる。
更に、支持体2の表面外周には、回転体3の上面31(突出部分)と同じ高さになるように枠部22が形成されている。枠部22により背景画4が支持体上で移動することを規制できる。
尚、前記支持体2の表面(本体平面21及び回転体上面31)には取り外しできない図柄を直接設けておくこともできる。この場合、背景画4と画片部5を用いることなく支持体2単体で図柄合わせを行うことが可能となるため、支持体2単体でも絵合せ遊びをすることができるものとなる。
【0011】
前記支持体表面に表示する図柄(像)は背景画4と画片部5とによって構成される(図1、図2においては複数の果物が描かれた印刷物)。
前記背景画4は、支持体平面21上に載置されるものであり、突出する各回転体3が位置する箇所に孔部41が形成されている。回転体3を貫通させた状態で載置することで、図柄の背景(固定像)として用いられる。
前記背景画4は、紙や樹脂シート等の一面又は両面に所望の像を形成することで構成でき、両面に像を形成する場合には、二種類の図柄合わせができる形態となる。
【0012】
前記画片部5は、背景画4とともに図柄を構成する円形シートであり、背景画4の孔部41と略同形状に形成される。尚、画片部5の裏面には、回転体上面31に着脱可能に貼着される接着層51を設けることが好ましい。前記接着層51により、使用時には回転体上面31からの剥がれやズレを生じることがないため使用性が高いものとなり、非使用時には他の箇所(保存用台紙等)に貼着保持できるため紛失の虞がないものとなる。
また、前記画片部5の表面には、エンボス加工を施すことで凹凸を形成したり、弾性樹脂層を設けることで指を滑り難くする等、回転操作時のフィット感を向上する加工を施すこともできる。これにより、幼児であっても指先での回転操作がし易いものとなる。
【0013】
更に、前記背景画4と画片部5を塗り絵用枠画とすることもできる。この場合、背景画4や画片部5が印刷される基材を紙とすることで、色鉛筆やクレヨン、絵の具等の筆記具で容易に所望の色付けを行うことが可能となり、より広い遊び方ができる玩具となる。
【0014】
前記背景画4と画片部5、支持体2からなる絵合せ玩具1には、他の像(図柄)が描画された予備背景画と、該予備背景画とともに像を形成する予備画片部を一種以上組み合わせて絵合せ玩具セットとすることができる。これにより、背景画と画片部を取り替えることで、一台の支持体2で複数図柄の絵合せ遊びが可能となるため、より興趣に富み、幼児にも飽きられ難い玩具を安価に構成できる。
前記予備背景画は、背景画4の裏面に設けられる他、別体シートの片面又は両面に異なる図柄を形成することで構成される。いずれの場合も、各背景画に応じた画片部が用いられ、背景画と画片部の取り替えによって支持体2を使用した複数の図柄合わせ遊びが容易にできる。
【0015】
次に、本発明の第二の実施形態を図5に示す。
本形態の支持体2は、第一の実施形態の支持体と類似の構造(長方体板状本体の表面21に24個の円盤状回転体3が回転可能に突出状態で設けられる)を有しており、正面視認時上下方向の端部のみに枠部22が形成されている。また、本体の左側端部には、本体平面21との間で背景画4を挟持する押止部材6が蝶着されている。
【0016】
前記押止部材6は透明樹脂材料からなる成形物であり、回転体3及び段部22の突出高さと同じ厚みに成形されている。更に、各回転体3に対応する位置に孔部7が複数形成されている。前記構成により、背景画4を本体平面21上に載置して押止部材6を閉じた際、孔部7が回転体3外周に位置することで、押止部材6で背景画4が本体平面21側に押圧される。そのため、視認可能な状態で背景画4を確実に固定できるので、玩具1をひっくり返した場合であっても確実に図柄を保持できる。
また、縁部には操作部61が形成されており、該操作部61を用いることで薄板状の押止部材6の開閉が容易且つ確実に行うことができる構造となっている。
【符号の説明】
【0017】
1 絵合せ玩具
2 支持体
21 本体平面
22 枠部
23 取付孔
3 回転体
31 上面
32 上面外縁部
33 ピン
34 分割片
35 段部
4 背景画
41 孔部
5 画片部
51 接着層
6 押止部材
61 操作部
7 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状本体表面に複数の円板状回転体を備えた絵合せ玩具であって、前記回転体の上面が本体平面より突出する支持体と、前記支持体上に載置され各回転体が貫通される複数の孔部を備える背景画と、前記回転体上に載置され背景画とともに像を形成する画片部とからなることを特徴とする絵合せ玩具。
【請求項2】
前記画片部が回転体上面に貼着される接着層を裏面に備えることを特徴とする請求項1記載の絵合せ玩具。
【請求項3】
前記画片部の表面に、エンボス加工が施される、又は、弾性樹脂層が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の絵合せ玩具。
【請求項4】
前記背景画と画片部が塗り絵用枠画であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の絵合せ玩具。
【請求項5】
前記支持体表面との間で背景画を挟持する押止部材を設けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の絵合せ玩具。
【請求項6】
前記押止部材が透明材料からなることを特徴とする請求項5記載の絵合せ玩具。
【請求項7】
前記請求項1乃至6のいずれかに記載の絵合せ玩具と、他の像が描画された予備背景画と、予備背景画とともに像を形成する予備画片部とからなることを特徴とする絵合せ玩具セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−120716(P2012−120716A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274167(P2010−274167)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】