説明

絵本

【課題】回転板等の破損を防止すると共に、回転時の安全性、操作性及び耐久性を向上させる。
【解決手段】絵本1は、表表紙2等の表示窓15に現出可能な表示部14が描かれた回転板5を有し、該表示窓15と対応する貫設孔17を、複数の頁紙4に貫通して穿設する。又、回転板5は、厚紙製のスペーサ9を介して当紙6、シート紙7を貼り合わせて成る表表紙2の空間部10に回転自在に収容し、回転板5の軸部12を該紙6及びシート紙7の内側面中央部に一体に接着固定する。回転板5の外周側部には、波形状部13aが形成された手動操作部13を設ける。更に、回転板5、軸部12及び一対の当紙6、シート紙7はそれぞれ、所要の厚さ及び強度を有する厚紙から形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絵本に関するものであり、特に、幼児や児童が開いた当該紙面の絵表示部を見ながら、複数の図形等が描かれた回転板を回すことにより、前記絵表示部近くの表示孔に、該絵表示部と組み合う前記図形等がを選択的に現出させるようにした絵本に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種絵本は、回転板(回転パーツ)が1枚の薄い洋紙により作成され、且つ、該回転板は袋状の薄紙製頁紙内に簡易的に挟み込まれている(例えば、特許文献1)。そして、該回転板の回転支点部、即ち、軸部は、前記頁紙の内面にビス等で止着されている。更に、該回転板の外周部には、手動操作部(つまみ操作部)が頁紙の外側に突出するように設けられ、手動操作部を手指で操作して、回転板を回転させるように構成したものが主流となっている。
【特許文献1】実開昭60−10700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の絵本は、各頁紙ごとに夫々回転板を取り付ける構造となっている。従って、頁紙の数に応じて回転板を多数設ける必要があり、回転板の作成時において、多くの手間を要しコスト高を招くという欠点があった。
【0004】
又、前記回転板として1枚の薄い洋紙が使用され、且つ、回転板の軸部が薄紙製頁紙にビス等により止められているので、該回転軸部自体の強度が低いうえに、特に、軸部の頁紙に対する取付け強度が小さい。そのため、前記回転板を回転させた際に、この場合、回転板が折れ曲がったり、或いは、軸部が破損し易いという欠点もあった。
【0005】
更に、薄紙製の回転板は手動操作部の厚さが薄いので、該手動操作部に幼児等が手指を当てて回転板を回すとき、手動操作部の薄い外端縁(薄紙のエッジ部)が手指に食い込みやすいため、手指を切ったり傷ついたりする恐れがあった。更に、厚さの薄い手動操作部は、手指でしっかりと挟みにくい上に、手指が手動操作部の表面を滑りやすいので、回転板の回転操作性が悪い。
【0006】
以上のように、従来の絵本にあっては、回転時の機能面における操作性、使用安全性及び耐久性などの観点から、改善すべき種々の問題点があった。
【0007】
そこで、上記回転板等の破損を防止すると共に、使用時の安全性、操作性及び生産性を向上させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、表表紙本体及び裏表紙本体の夫々の内側面の周縁部にスペーサを介して貼着された当紙の適宜箇所に表示窓を開穿し、且つ、頁紙にも該表示窓に対応する箇所に夫々両面より視認できる貫設孔を設け、更に、前記表表紙本体及び裏表紙本体と前記当紙との間に形成される空間部に、厚紙にて形成された回転板を回転自在に遊嵌すると共に、該回転板に、該回転板が回転して前記表示窓に対応する箇所に任意の図形等を表示した絵本を提供する。
【0009】
この構成によれば、回転板を回転操作する時は、厚紙製回転板を周方向に回転させることにより、前記表示孔内に所望の図形等(可変表示部)が選択的に現出して視認される。この場合、前記頁紙の前記表示窓と対応する箇所に、その両面より視認できる表示用貫設孔が設けられている。斯くして、頁紙を見開いたとき、1枚の回転板に描かれた図形等の可変表示部が、頁紙の表示用貫設孔内に共通して現出表示される。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記回転板は、周縁部が波形に形成されている請求項1記載の絵本を提供する。
【0011】
この構成によれば、前記回転板の周縁部、即ち、手動操作部の外側端面に波形状部が形成されているので、手動操作部の波形状部に手指を当てて前記回転板を回転操作する際に、波形状部の滑り止め凹凸面により手指が滑りにくくなる。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記スペーサの内側面は上記回転板の周縁部に沿って形成されて、該回転板の回転を助成できるように形成されている請求項1又は2記載の絵本を提供する。
【0013】
この構成によれば、上記スペーサの内側面が該回転板に対してガイド面として機能し、回転板の円滑な回転を助成する。
【0014】
請求項4記載の発明は、上記回転板の中心部に回転孔が形成され、該回転孔に遊嵌するための厚紙にて形成された軸部を、上記表表紙本体及び裏表紙本体並びに、該表表紙本体及び裏表紙本体に貼着された前記当紙の双方又は一方に貼着し、該軸部に該回転板の回転孔を遊嵌して該回転板が回転自在に形成されている請求項1,2又は3記載の絵本を提供する。
【0015】
この構成によれば、前記回転板の回転中心部である軸部が、前記表表紙本体及び裏表紙本体の当紙に貼着して強固に固定されている。見方を変えれば、前記表表紙本体及び裏表紙本体の当紙が軸部により支持補強され、当紙と軸部間の連結強度が高くなる。従って、該当紙に複数の頁紙の自重などの大きな押圧力が作用した場合でも、当紙の湾曲変形が阻止されるため、該当紙により形成された空間部の間隙が狭くなる恐れがない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明は、複数の各頁紙の絵表示部に対して、1枚の回転板の図形等の可変表示部を共通に使用できるので、従来のように、各頁紙毎に回転板を複数設ける必要がない。従って、回転板の作成が容易になり、絵本の生産(製本)効率が高くなると共に、生産費の削減が図れる。
【0017】
又、上記回転板を回転する際は、その周縁部を手指で軽く押して回すだけで済むので、該回転板の回転操作性が著しく向上する。この場合、厚紙から成る回転板の周縁部、即ち、従来に比べて手動操作部は厚み幅が大きいため、該手動操作部に幼児等が手指を強く押し当てたとしても、手指を怪我する危険性がなく安全である。
【0018】
更に、厚紙製の回転板はそれ自体の強度が大になるので、たとえ該回転板に大きな外力が作用した場合でも、該回転板が破損し難いという特有の効果を奏する。
【0019】
請求項2記載の発明は、上記回転板の外周側手動操作部に設けた波形状部によって手指が滑りにくくなるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、従来に比べて回転板をより小さい力で容易、且つ、円滑に回すことができ、もって、回転板の回転操作性及び使用安全性が一層向上する。
【0020】
請求項3記載の発明は、スペーサの内側面が該回転板に対してガイド面として機能するので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、回転板をがたつきを発生することなく円滑な回転を常に維持できる。尚、この場合、回転板の回転軸部は必ずしも設ける必要がなく、該軸部を省略した場合は、構造のシンプル化を実現することができ、生産効率の一層の向上が図れる。
【0021】
請求項4記載の発明は、当紙と軸部間の連結強度が高くなり、当紙に大きな押圧力が作用しても前記空間部の形状が一定に保持されるので、請求項1,2又は3記載の発明の効果に加えて、頁紙の枚数を多くしても、空間部内に収容された回転板は、何ら支障なく常にスムーズに回転でき、従来に比べて、使い勝手が一層向上するという格別な効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、表表紙本体及び裏表紙本体の夫々の内側面の周縁部にスペーサを介して貼着された当紙の適宜箇所に表示窓を開穿し、且つ、頁紙にも該表示窓に対応する箇所に夫々両面より視認できる貫設孔を設け、更に、前記表表紙本体及び裏表紙本体と前記当紙との間に形成される空間部に、厚紙にて形成された回転板を回転自在に遊嵌すると共に、該回転板に、該回転板が回転して前記表示窓に対応する箇所に任意の図形等を表示したことにより、回転板及び軸部の強度を高めて安全に回転操作でき、使用耐久性、生産性及び機能面を従来に比べて大幅に高めることができる、という目的を実現した。
【0023】
本実施の形態では、回転板が板紙である厚い合紙により作成され、この回転板を表紙本体部分の中に挟み込むことにより、回転板の強度並びに操作性及び安全性が飛躍的に向上し、長期の継続的な使用寿命性も良くなる。又、回転板の円周部に波形等の波形状部を形成することにより、幼児等の手指を傷つけることなく、回転板を容易に回せるようになり、機能面で使い勝手が良くなる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図4に従って説明する。本実施の形態では、素材としての回転板(回転パーツ)、軸部、当紙及び外周側スペーサを全て厚紙により作成し、且つ、頁紙の表示孔は、トムソン抜き加工により複数の頁紙に共通して形成することにより、複数の頁紙ごとに回転板を挟み込む必要がなく、表紙又は複数の頁紙のいずれを見開いても、当該頁紙又は表紙の表示孔に回転板の図形等の可変表示部が共通して現出される。尚、前記回転板の厚さは当紙よりも厚く、且つ、前記スペーサ及び軸部の厚さは回転板よりもやや厚く設定されている。
【0025】
図1に於いて、1は各種の図柄が描かれた幼児又は児童用の仕掛け絵本であり、該絵本1は、表表紙2と裏表紙3の間に複数ペ−ジの頁紙4を綴じて製本されている。前記表表紙2及び裏表紙3は、ここでは回転板装入用空間部(10)を有する二重紙貼合わせ構造を有し、該空間内に回転板5が回転自在に収容されている。尚、表表紙2と裏表紙3は互いに同一の構成(収容紙)であるので、以下、表表紙2の構成について説明し、裏表紙3の構成の説明を省略する。
【0026】
該表表紙2は、図2に示すように、内側紙面シート(当紙)6及び表紙外側シート紙(表紙本体)7を貼り合わせて作成され、同図に於ける当紙6、シート紙7の左側部中央部には、平面視略コ字形の切り欠け部8が形成されている。該当紙6及びシート紙7は、図示例では厚さ0.8〜1.2mmの厚紙から作成されているが、これに限定されない。
【0027】
又、一対の当紙6及びシート紙7の内側面には、その外縁部に沿って延びる細幅の外周
側スペーサ9が介設され、該スペーサ9は、一対の当紙6及びシート紙7の切り欠け部8を除く外周縁部に接着剤により固着されている。該スペーサ9は当紙6及びシート紙7の厚さよりも厚い合紙からなり、図示例では厚さ2.0〜2.6mm程度に寸法設定されているが、これに限定されない。
【0028】
このように、一対の当紙6及びシート紙7の間に厚紙のスペーサ9を介在させて、該スペーサ9の両側面に当紙6及びシート紙7を配置して一体に貼り合わせることにより、一対の当紙6及びシート紙7の間に、間隙2.0〜2.6mm程度の回転板装入用空間部10が形成されている。又、スペーサ9の内側面は、上記回転板5の周縁部に沿って形成され、該回転板5の回転を助成できるように形成されている。従って、前記空間部10の平面視形状は、図示例では前記外周側スペーサ9の略枠形状に応じた円形に形成している。尚、スペーサ9の内側面の形状は、必要に応じて角形等の適宜な形状に形成することもある。
【0029】
前記表表紙2は、厚紙製の当紙6及びシート紙7の間に厚味のあるスペーサ9を介在させて空間部10を形成したので、当紙6及びシート紙7に大きな押圧力、たとえば、複数の頁紙4全ての自重圧力が作用しても、当紙6及びシート紙7が内側に撓み変形して空間部10の間隙が狭小することが防止される。これにより、空間部10の隙間幅が常に一定に保持される。
【0030】
前記空間部10内には、板紙の合紙から成る円形の回転板5が設けられ、回転板5の厚さは、前記スペーサ9の厚さよりも若干小に設定され、図示例では、たとえば厚さ1.9〜2.5mm程度に寸法設定されているが、勿論これに限定されない。更に、回転板5の直径は、仕掛け絵本1の縦寸法及び横寸法よりもやや小に設定されている。
【0031】
上記回転板5の中心部には円形の回転孔11が開設され、該回転孔11には断面円形の軸部12が回転自在に貫通遊嵌している。この軸部12は、回転板5よりもやや厚い厚紙、即ち、前記スペーサ9の厚さと略同一の厚さを有する合紙から作成されている。図2に示すように、軸部12の上端面,下端面は、前記当紙6及びシート紙7の双方又は一方の内面側中央部に接着剤により一体に固着されている。従って、前記回転板5は、前記空間部10内で軸部12の回りに自由に回転できるように遊嵌して収容されている。
【0032】
前記回転板5の全外周縁部部には手動操作部13が形成され、該手動操作部13の外端面には波形状部13aが形成されている。従って、手動操作部13の波形状部13aに手指を当てて、前記回転板5を外周方向に軽く押すだけで、回転板5を所望の回転位置まで容易に回転操作することができる。
【0033】
また、回転板5の片面又は両面には、図形や文字等の種類の異なる複数の回転可変式表示部14が形成され、複数の表示部14は、回転板5の外周縁に沿って等ピッチで配設されている。具体的には、該表示部14は、軸部12を中心とする一定半径の円上に等間隔で並ぶように配置されている。図1の構成例では、表示部14の表示マークとしては、たとえば「1」〜「6」の6種類の数字が印刷表示されている。
【0034】
上記表表紙2の内側紙面である当紙6には、ここでは表示用表示窓15が1つだけ開設され、該表示窓15は、回転板5の表示部14と対応する位置、即ち、軸部12を中心とする所定半径の円上の一か所に配置されている。又、表示窓15の径は、表示部14よりも若干大に設定されている。従って、回転板5を所定の回転位置まで移動操作することで、表示窓15内に複数の表示部14の1つを選択的に現出表示させることができる。
【0035】
更に、当紙6及び各頁紙4の紙面にはそれぞれ、文字や図柄を含む絵描出部(基本絵表
示部)16が描かれている。絵描出部16のコンテンツとしては、例えば動物、キャラクター、植物、食べ物などを自由に選定採用でき、図1の具体例では、「かえる」や「ひよこ」等の動物の絵が描かれている。
【0036】
更に又、複数の各頁紙4にはそれぞれ貫設孔17が両面より視認できるよう開穿され、該貫設孔17は、複数の頁紙4の同一位置を貫通して形成されている。各頁紙4の貫設孔17は、前記回転板5の回転により表表紙2の表示窓15と対応する箇所に配設されていると共に、該貫設孔17と表示窓15とは、寸法形状が相互に一致している。従って、貫設孔17を有する任意な頁紙4を幼児等が見開いたとき、回転板5の回転操作により、前記表示部14の数字「1」〜「6」のいずれかを貫設孔17内に現出させることができる。
【0037】
上記構成の絵本1において、たとえば幼児等が1枚の表表紙2をめくったとき、図1に示すように、「かえる」、「ひよこ」の絵を有する表紙内面側当紙6、頁紙4が左右に開かれる。そして、これら当紙6、頁紙4に描かれた1匹の「かえる」、2匹の「ひよこ」の動物の絵を見て、数字合わせゲーム、即ち、各紙面に描かれた動物の数(正解)を表示窓15、貫設孔17内に現出表示させるゲームを行うことができる。この場合、表表紙2側の回転板5、裏表紙3側の回転板5を所定位置まで回転操作して、当紙側表示窓15、頁紙側貫設孔17に夫々数字「1」、「2」を現出表示させれば、これが正解となる。
【0038】
図1の構成例では、表示部14の表示マークの一例として数字を挙げて、数字合わせゲームを行えるようにしたが、図3及び図4に示すように、当紙6、頁紙4の絵描出部16の種類、或いは、該絵描出部16と関連した質問内容によっては、文字、図柄、記号、色彩模様又はキャラクタ等の他の視覚的表示マークに置き換えることができる。
【0039】
図3は、前記表示部14の表示マークとして文字(ひらがな)を挙げて、文字合わせゲームを行えるようにした他の態様例を示す。この文字合わせゲームでは、左右の紙面の絵描出部16に「ねこ」の絵が描かれている。従って、左右2箇所の表示窓15、貫設孔17内にそれぞれ、上記同様の回転操作により、表示部14に印刷された文字「ね」、「こ」を現出表示させれば、これが正解となる。
【0040】
又、図4は、前記表示部14の表示マークとして、動物が好きな食べ物の図柄を挙げて、好きな食べ物合わせゲームを行えるようにした更に他の態様例を示す。この好きな食べ物合わせゲームでは、左、右の紙面の絵描出部16にそれぞれ「うさぎ(ぴょんた)」、「くま(くーすけ)」の絵が描かれている。従って、左、右2箇所の表示窓15、貫設孔17内にはそれぞれ、上記同様の回転操作により、表示部14に印刷された「にんじん」、「はちみつ」の絵を現出表示させれば、これが正解となる。
【0041】
而して、図1の数字合わせゲームの構成例において、例えば、当紙6の表示窓15内に数字「1」を現出させるべく、回転板5を回転させる時は、手動操作部13に手指を当てて回転板5の外周方向に押して操作する。即ち、手動操作部13を手指で各押して、回転板5を軸部12まわりの所定位置まで動かすことにより、表示部14の「1」が表示窓15の位置まで移動して、表示窓15内に現出表示される。
【0042】
本実施例によると、回転板5及び軸部12が、所要の厚さを有する厚紙から成り、且つ、表表紙2の厚紙製当紙6及びシート紙7内側面に軸部12が接着剤で一体に固設されているので、当紙6及びシート紙7に対する回転板5の軸部12の固定強度が著しく増大すると共に、表表紙2及び回転板5自体の強度が高くなる。
【0043】
従って、回転板5の回転孔11と軸部12間の回転・嵌合状態が常に安定に保持され、
回転板5の回転が円滑になると共に、従来のピン支持方式でみられた回転操作時における軸部12の破損や損傷が未然に防止される。又、手指押当て部となる手動操作部13の厚み寸法が大きくなり、且つ、手動操作部13外側面に滑り止め用波形状部13aが形成されているので、幼児の手指による手動操作部13の回転操作が行い易くなる。よって、回転操作中に、従来の如き幼児が手指を傷付ける恐れもない。
【0044】
更に、本実施例では、複数の頁紙4の同一位置に表示用貫設孔17を開設することにより、貫設孔17内に回転板5の表示部14を共通に現出させることができる。従って、1枚1枚の各頁紙4毎に回転板5を挟み込む必要がないので、各頁紙4の製本時に、特別な製本加工工程を付加する必要がなく、通常の単純な合紙本加工工程に従って簡単に製本しうる。斯くして、従来の各頁挟込む方式に比べて、回転板5の加工工程が簡素になり、絵本1の製本時における生産性が大幅に向上する。
【0045】
本発明は上記実施例に限定されるべきではない。例えば、上記実施例では、表表紙2又は裏表紙3に回転板5を設けたが、該回転板5は複数の頁紙4のいずれか1つ又は2つ以上に設けても良い。即ち、表示窓15が形成された当紙6及びシート紙7を上記スペーサ9を介して貼り合わせることにより、頁紙(収容空間を有する収容紙の構造)4を作成し、該当紙6及びシート紙7間の空間部に回転板5を回転自在に遊嵌して設けることができる。
【0046】
又、回転板5の表裏両側面に表示部14を形成し、且つ、該両側面の表示部14を表紙の内外両面側から現出表示するための表示窓15等を設けることも可能である。この場合、両側面の表示部14に印刷される数字、図形、文字等の種類は相互に異なっていても良い。
【0047】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、絵本の斜視図。
【図2】図1の絵本の表表紙の構成例を示す断面図。
【図3】本発明に係る絵本の他の形態を示す斜視図。
【図4】本発明に係る絵本の更に他の形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0049】
1 絵本
2 表表紙(収容紙)
3 裏表紙(収容紙)
4 頁紙
5 回転板(回転パーツ)
6 当紙
7 シート紙(表紙本体)
8 切り欠け部
9 スペーサ
10 空間部
11 回転孔
12 軸部
13 手動操作部
13a 波形状部
14 表示部
15 表示窓
16 絵描出部(基本絵表示部)
17 貫設孔(表示窓)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表表紙本体及び裏表紙本体の夫々の内側面の周縁部にスペーサを介して貼着された当紙の適宜箇所に表示窓を開穿し、且つ、頁紙にも該表示窓に対応する箇所に夫々両面より視認できる貫設孔を設け、更に、前記表表紙本体及び裏表紙本体と前記当紙との間に形成される空間部に、厚紙にて形成された回転板を回転自在に遊嵌すると共に、該回転板に、該回転板が回転して前記表示窓に対応する箇所に任意の図形等を表示したことを特徴とする絵本。
【請求項2】
上記回転板は、周縁部が波形に形成されていることを特徴とする請求項1記載の絵本。
【請求項3】
上記スペーサの内側面は上記回転板の周縁部に沿って形成されて、該回転板の回転を助成できるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の絵本。
【請求項4】
上記回転板の中心部に回転孔が形成され、該回転孔に遊嵌するための厚紙にて形成された軸部を、上記表表紙本体及び裏表紙本体並びに、該表表紙本体及び裏表紙本体に貼着された前記当紙の双方又は一方に貼着し、該軸部に該回転板の回転孔を遊嵌して該回転板が回転自在に形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の絵本。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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