絵画療法の模様選択及び配列、色塗り分析方法、絵画療法の模様分析による心理症状の診断方法、及びこれを行うためのプログラムを記録した記録媒体
【課題】全ての分析及び診断はコンピュータの一般機能及び専門家システム機能を用いて自動的に行われる心理症状の診断方法を提供する。
【解決手段】本発明による心理症状の診断方法は、様々な模様を提供して診断対象者がいくつかを選択して配列し、これにより心理症状を診断するステップと、診断対象者に質問を提供するステップと、前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得するステップと、前記診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、前記模様の選択及び配列、前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断するステップと、を含むことを特徴とする。
【解決手段】本発明による心理症状の診断方法は、様々な模様を提供して診断対象者がいくつかを選択して配列し、これにより心理症状を診断するステップと、診断対象者に質問を提供するステップと、前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得するステップと、前記診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、前記模様の選択及び配列、前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模様選択及び配列、色塗り分析方法による心理症状の診断に関するもので、より詳しくは、様々な模様のうちのいくつかの模様を選択して配列した後、選択及び配列、色塗りした絵の様々な要因(色要因及び集中度要因)を分析する方法及びその分析結果により心理症状を診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最も簡単な方法であるマンダラ(Mandala)の模様色塗り技法を含む一般的な模様色塗り絵画療法は、心理的、精神的状態の診断と治療に広く効果を示している絵画療法として知られている。色塗り(以下、マンダラ模様及び一般模様の色塗りを含む)作業は、作業者の精神を集中させて、自分を振り返りながら、内面の秩序を立てて調和がとれるようにし、固有の自分自身を見つけ出す道具として知られてきた。色塗り作業の間、作業者の内面が表現されるという事実だけでも内面の緊張が緩和され、また、癒すようになるということが実験的に証明された。
【0003】
絵画療法士らは、絵に表れているわずかな反応からも相手の心理状態についてかなり正確な情報を引き出すことができる。したがって、色塗り作業は有用な情報を提供して患者の精神的、心理的状態を把握し、治療指針を提供するのに有用な絵画療法方法になることができる。
【0004】
色塗り作業は、不安、罪悪感、無気力、気まぐれ、悪夢、無関心、そして様々な種類の社会的忌避症治療及び心理治療に有用であり、注意力欠乏及び過剰行動(ADHD:Attention Deficit and Hyperactivity Disorder)患者の注意力を向上させかつ衝動を抑制させる効果がある。
【0005】
絵画療法において、絵画療法士は絵に表れている形態、象徴、線、色などを観察する。与えられた様々な模様のうちのいくつかの模様を選択・配列して色塗りする色塗り作業においては、色が最も重要な要因となる。今まで色に関する要因をコンピュータと知識ベースにより自動的に分析、判断する方法はなかった。さらに、色塗り作業で重要な要因として作業の集中度、作業をどれくらい完成したかという完成度、及び、与えられた模様をどれくらいはみ出さないように塗ったかという正確度がある。全てのものを忘れて作業に没頭する間、自身も知らないうちに心が癒されるというのは色塗り作業の基本的な絵画療法機能に該当する。したがって、色塗り作業においては、どれくらい熱心に没頭して作業するのかが絵画療法効果に相当な影響を及ぼす。
【0006】
症状の程度または症状が重症であるか否かはこのような集中度要因と密接な関連があると判断されるが、これを客観的に、また数値的に評価できる適切な方法はない実情である。
【0007】
また、質問書により収集された個人的な性向に関する要因と、彩色された模様を分析して獲得した要因とを解析する専門家システムは今までなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、様々な模様のうちのいくつかの模様を選択して配列することにより、個人的な性向を分析して評価する方法を提供するを目的とする。このために、家・木・人の絵(HTP)、動的家族画(KFD)、リンゴを取る人(PPAT)など、既存の絵画療法を用いた診断及び治療機能をすることができる。
【0009】
本発明の他の目的は、彩色された模様から作業の集中度という新しい要因を提示し、色要因と集中度要因とを分析評価して客観的かつ科学的な情報を数値で提供する、模様色塗りを分析し、評価する方法を提供することにある。
【0010】
本発明のまた他の目的は、客観的かつ科学的な情報を数値で提供することにより、症状の程度または症状が重症であるか否かを予測する心理症状の診断方法を提供することにある。
【0011】
本発明のまた他の目的は、科学的かつ定量的な情報を自動的に数値で提供することにより、模様色塗りを分析して絵画療法方法に適用可能な模様色塗り分析評価方法を提供することにある。
【0012】
本発明のまた他の目的は、与えられた模様からの選択及び配列と、質問書により収集された色に対する個人的な性向と模様色塗りを分析して獲得した要因(色要因、集中度要因、正確度及び完成度要因など)との解析に関する知識をデータベースで構築して、任意で彩色された模様が与えられると、その要因を分析し、それに該当する知識を探索して提供する心理症状の診断方法及び装置を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、一連の彩色された模様が与えられると、その変化を探知し、該当知識を提供する心理症状の診断方法及び装置を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的は、短時間内に数百〜数千枚の絵がコンピュータにより自動分析されて一般的な模様色塗り分析にかかる専門家の努力と時間とを低減できる模様色塗り分析方法及び心理症状の診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一側面によれば、模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図に使われた色を認識するステップと、前記色を予め設定された複数の代表色のいずれか一つに変換するステップと、変換された前記代表色から前記分析対象図の1次色要因を抽出するステップと、前記1次色要因から前記分析対象図の2次色要因を判断するステップと、を含む模様色塗り分析方法が提供される。
【0016】
本発明の他の側面によれば、模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の完成度を測定するステップと、前記分析対象図の正確度を測定するステップと、前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む模様色塗り分析方法が提供される。
【0017】
本発明のまた他の側面によれば、模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の色要因を判断するステップと、前記分析対象図の集中度要因を判断するステップと、を含み、前記色要因と前記集中度要因との判断は任意の順でまたは同時に行われることを特徴とする模様色塗り分析方法が提供される。
【0018】
本発明のまた他の側面によれば、診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つを用いて前記診断対象者の心理症状を判断するステップと、を含む心理症状の診断方法が提供される。
【0019】
本発明のまた他の側面によれば、診断対象者に質問を提供するステップと、前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得するステップと、前記診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断するステップと、を含む心理症状の診断方法が提供される。
【0020】
本発明のまた他の側面によれば、診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力され、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析する模様色塗り分析部と、前記診断対象者に質問を提供して前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得する個人性向獲得部と、前記個人的な性向、前記色要因、及び前記集中度要因に心理症状を連係させる知識を格納する知識データベースと、前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断する心理症状診断部と、を含む心理症状の診断装置が提供される。
【0021】
一方、上述した模様色塗り分析方法及び心理症状の診断方法は、コンピュータにより行われることができ、コンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることができる。
【0022】
前述の以外の他の実施形態、特徴、利点が図面、特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明から明確に理解できよう。
【発明の効果】
【0023】
本発明による模様選択及び配列は、既存の家・木・人の絵(HTP)、動的家族画(KFD)、リンゴを取る人(PPAT)など、既存の絵画療法を用いる診断及び治療機能をコンピュータで自動的に行うことができる。
【0024】
本発明による模様色塗り分析方法は、彩色された模様から作業の集中度という新しい要因を提示し、2次色要因と集中度要因とを分析評価して客観的かつ科学的な情報を数値で提供することができる。
【0025】
また、科学的かつ定量的な情報を数値で提供することにより、模様色塗りを分析及び評価して絵画療法方法に適用可能となる。
【0026】
また、科学的かつ定量的な情報を数値で自動的に提供することにより、模様色塗りを分析して絵画療法に適用可能となる。
【0027】
本発明による心理症状の診断方法は、質問により収集された色に対する個人的な性向と模様色塗りを分析して獲得した要因(色要因、集中度要因など)との解析に関する知識をデータベースで構築することより、任意で彩色された模様が与えられると、要因を分析し、それに該当する知識を探索して提供することができる。
【0028】
また、一連の彩色された模様が与えられると、その変化を探知して該当知識を提供することができる。
【0029】
また、短時間内に数百〜数千枚の絵を自動的に分析して、一般的な模様色塗り分析にかかる専門家の努力や時間を低減する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、本願では特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0031】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いることに過ぎなく、前記構成要素が前記用語により限定されるものではない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけに用いられる。
【0032】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0033】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0034】
本発明を説明することに当って、模様(pattern)の一例として「マンダラ(mandala)」を例に挙げて説明するが、これは一つの一実施例に過ぎず、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な模様が適用できることは当業者にとって自明な事実である。
【0035】
図1は、本発明の一実施例による心理症状の診断装置の構成ブロック図であり、図2は、本発明の一実施例による心理症状の診断方法を示す順序図であり、図3は、心理症状を診断するための質問の例示図である。
【0036】
図1を参照すると、心理症状の診断装置10、模様色塗り分析部11、個人性向獲得部12、心理症状診断部13、知識データベース14、履歴データベース15が示されている。
【0037】
模様色塗り分析部11は、様々な模様を提供して絵画療法対象者が自身が希望する模様を選択するようになっている。ステップS21で、一般的に絵画療法の対象となる診断対象者(例えば、児童、心理治療対象者など)が彩色した模様を分析して、予め設定されている要因(色要因、集中度要因など)を定量的なデータで提供する。模様色塗り分析部11については、後の図4から図16を参照して詳細に説明する。
【0038】
ステップS22で、個人性向獲得部12は、質問などの方法を通して個人的な性向を獲得する。図3を参照すると、一実施例による質問シートが示されている。質問は色に関するもので、選好色と嫌悪色(質問項目1及び2参照)、診断対象者の現在心理状態(質問項目3及び5参照)、色に対する性向(質問項目4及び6参照)などに関する情報が獲得される。
【0039】
このような質問は心理症状の診断装置10に備えられたユーザインターフェースを通して対象者に提供できる。図3に示すようなディスプレイ画面が診断対象者に提供される。そして、診断対象者は、各質問項目別に該当色アイコンをクリック(click)またはドラッグ・アンド・ドロップ(drag & drop)する。したがって、心理症状の診断装置10は、診断対象者の個人的な性向情報を獲得することができる。または、心理症状診断対象者が各質問項目別に該当色に対応する数字、記号、文字などを入力することにより、心理症状の診断装置10は診断対象者の個人的な性向情報を獲得することもできる。
【0040】
ここで、模様色塗り分析部11に、絵が入力され、彩色された模様を分析することと、個人性向獲得部12から質問が提供され、これに対する応答を獲得することとは、任意の順でまたは同時に行われることができる。
【0041】
ステップS23で、心理症状診断部13は、模様色塗り分析部11で分析された要因(色要因、集中度要因など)と、個人性向獲得部12で獲得された個人的な性向情報とに基づいて知識データベース14に格納された知識を探索する。そして、探索された結果による知識を出力する。そして、出力された知識を用いて対象者の心理症状を診断する。心理症状の診断には、知識データベース14に格納された知識、履歴データベース15に格納された過去履歴情報(例えば、診断対象者が過去に色塗りした模様の分析結果など)を活用することができる。
【0042】
知識データベース14には、模様選択及び配列に関する知識、一般的な絵に示されている色に関する知識、決められた模様(例えば、マンダラなど)の色塗りから表れる色に関する知識、これら色に対する知識と個人的な性向情報とを連係させる知識、二つ以上の彩色された模様間の差から獲得される心理変化に対する知識などが格納される。
【0043】
多様な知識が知識データベース14に格納されることができ、その中から一部を以下で説明する。
【0044】
このような知識は、IF THEN形式で表現される。IF THEN形式は次の通りである。しかし、全ての知識表現が必ずしもこの形式に従う必要はなく、一部表現を省略しても関係ない。
【0045】
IF(n)条件1、or条件2、or…、or条件n、
THEN(m)結果1、結果2、…、結果m[知識の確信程度;表現様式]。
【0046】
ここで、nはor条件の数、mは結果の数を示す。andの多数の条件は一つの条件に表示する。結果で、andとorがともに適用されるときにはand/orで表示する。知識の確信程度が1であれば「〜である」と表現し、2であれば「〜であろう」、3であれば「〜であるようだ」、4であれば「〜であるかもしれない」、5であれば「たまには〜であることもある」などで表示される。画面提供の表現様式が1であれば「〜である」、2であれば「〜です」の形態で表現される。この他にも叙述文で表示する場合もある。
【0047】
次の知識を例に挙げて知識表現方法を説明する。
【0048】
「マンダラに赤色をたくさん使った場合、肯定的な意味では元気に生きていること、より偉大な内面の知恵を体得するのに必要なエネルギを意味し、否定的な意味では傷と破壊性を有する怒り、苦しみなどを意味するという。」
前記知識の内容はIF THEN規則により次のように表現される。
【0049】
[知識1]
IF(2)主題色=赤色or副題色=赤色、
THEN(4)元気に生きていること、内面の知恵を体得するエネルギ存在、傷と破壊性を有する怒り、苦しみ[3;1]。
【0050】
質問に応答した個人的な性向と彩色された模様の色とを連係させる知識の例示は次の通りである。
【0051】
「質問シートでうれしい時の色とマンダラの主題色とが同じであると、現在の気持ちが良い状態と判断される。」
[知識2]
IF(1)input#6(3)=主題色、
THEN(1)現在の気持ち=良い状態[2;2]。
【0052】
ここで、input#i(j)は、図3に示された質問の質問項目iの細部項目(j)の答えを意味する。
【0053】
色は人間の思考過程と行動に身体的な影響を与えるだけでなく、人の意識を越えて潜在意識にも精神的な影響を与える。色は人の情緒に密接に関連していると認識される。色に対してどのように反応し、どんな色を使うかというのは、その人の現在の情緒的な状態を分析する際に重要な情報を提供する。たとえ、色が全ての人々に対して同じ意味を持ってはいないが、赤色の情緒的な意味は暴力、熱情、攻撃的、怒りと看做され、黄色は収容力、茶色ははにかみと看做される。
【0054】
深刻な性的虐待を受けた児童や意気消沈した患者は、絵に一つまたは二つの色しか使わないという報告がある。精神的外傷を体験した患者は彼らの精神的苦痛、不安、恐れ、悲しみ、孤独、絶望感などを色で表現する。地震、台風、飛行機の墜落などの天災地変を体験した児童は単に一つ、二つまたは多くても三つの色だけを使い、その色は黒色、白色、あるいは赤色を使う傾向がある。
【0055】
上述したように、絵画療法で使う一般的な絵に表れる色に対する知識に関して例示としていくつかの表現を提示する。このような知識は本発明による心理症状の診断方法にも適用される。
【0056】
[知識3]
IF(0)、
THEN「Johannes Ittenは彼の代表的な美術教育学著書である「色彩の芸術」で「色は私たちの意識とは無関係に、肯定的あるいは否定的に私たちに影響を与えるエネルギである」と記載しました。この専門家システムは△△△様が作成したマンダラの色を通して性格と心理を分析把握して、その結果を提供します。」
[知識4]
IF(0)、
THEN「このシステムでは、△△△様が描いたマンダラに表れている色に意味を付与し解析もしました。しかし、この意味と解析は非常に一般的なものです。全ての色は肯定的な意味と否定的な意味とを共に持っており、個人が育ってきた環境、経験、文化により異なってきます。したがって、このシステムが提供する色に対する意味と解析は、実際と大きく差が生じ得るので、ご了承ください。」
知識3及び4は、本発明による心理症状の診断装置が診断結果を提供する際に、初めの部分に示す一般的な知識であって、本発明はこれに限定されないことは明らかである。
【0057】
一般的な絵から表れる色に対する知識:
[知識5]
IF(1)使われた色の数≦2、
THEN(2)深刻な性的虐待経験and/or意気消沈
[知識6]
IF(1)使われた色の数≦3and使われた色=黒色、白色、赤色、
THEN(1)地震、台風、飛行機の墜落などの天災地変
[知識7]
IF主題色=赤色and赤色の比率≧0.5、
THEN「暴力的、攻撃的な性格を抑える必要があり、または熱情的な性格の持ち主であって、腹が立っている状況であると見られます。」
[知識8]
IF 主題色=黄色and黄色の比率≧0.3、
THEN 受容力が大きい性格
[知識9]
IF 主題色=茶色and茶色の比率≧0.3、
THEN 恥ずかしがり屋
[知識10]
IF(6)主題色=赤色、or主題色=橙色、or主題色=黄色、or副題色=赤色and副題色の比率≧0.2、or副題色=橙色and副題色の比率≧0.2、or副題色=黄色and副題色の比率≧0.2
THEN 「外向的な性格で、自分自身の感情表現が活発で、自由な性格の持ち主です。愛情をもらって育ってられ、誰かを頼ろうとする気があるようです。他人との人間関係が円滑で、よく交わります。自己中心的でありながらも協同性もあり、新しい環境によく適応します。」
[知識11]
IF(1)赤色の比率≧0.5、
THEN 「心理的、精神的に異常状態にあるかと疑ってみる必要があります。」
[知識12]
IF(1)赤色の比率≦0.03、
THEN「あんまり受動的ではないか、何かをしようとする意志力が欠けているのではないか、または自分の主張にとても消極的ではないかと疑って見る必要があります。」
[知識13]
IF 補色=青色−橙色、
THEN 関係性を持とうとする欲望と成就指向的な努力との間の摩擦
[知識14]
IF 寒色の比率≧0.7、
THEN 「△△△様は当面問題を合理的に解決する非常に物静かな性格の持ち主と見られます。」
模様色塗り関連の知識:
[知識15]
IF 主題色=赤色、
THEN 肯定的側面:愛、感覚、熱情、自己信頼、力、権威、持久力、自立心、生の喜び、生の欲求、獲得、生命力、強い意志、勇気、即興性、正直、感謝、容赦、人間的、外向的or否定的側面:本能、怒り、憎しみ、自己憐憫、自己満足、急な性格、無礼、支配的、傲慢、激烈、残忍
[知識16]
IF 主題色=橙色、
THEN 自意識と自己懐疑との両面性and/or油断・不注意な性格であるが、エネルギが溢れる目的指向性と公明心
[知識17]
IF 主題色=橙色、
THEN 肯定的側面:エネルギ、楽天主義、生の欲求、生命力、活動性、勇気、強さ、開放性、若さの活力、元気、自己信頼、親切、純粋、真心、喜び、熱情、自己確信、独立的、建設的、社交的、繊細さ、新鮮さ、食べ物好き、溢れるエネルギ、スポーティーなor否定的側面:権力欲、自己誇示、軽軽しさ、他人に問題を解決してもらう、病的拒食症(あるいは暴食症)、アルコール過飲、傲慢
個人的な性向関連の知識:
[知識18]
IF input#3≠input#5、
THEN 「質問シートの応答に矛盾があります。よく考えてからご作成下さい。」
[知識19]
IF 主題色=input#6(3)、
THEN 「△△△様は現在ご気分が良さそうです。」
[知識20]
IF input#4(1)=input#4(2)and input#4(1)≠input#4(3)、
THEN 「△△△様はお母さんよりお父さんと親しくしているようですね。」
模様色塗り変化に対する知識:
[知識21]
IF(5)(以前の色数)×1.3≦現在の色数、or(以前のクラスタ数)×1.3≦現在のクラスタ数、or(以前の完成度)×1.3≦現在の完成度、or(以前の正確度)×1.3≦現在の正確度、or(以前の集中度)×1.3≦現在の集中度、
THEN 「以前のマンダラ作成時に比べて、より誠意を持ってご作成しまして、その時よりご気分が良さそうです。」
[知識22]
IF(1)以前の主題色=赤色and現在の主題色=青色、
THEN 「以前より、さらに落ち着いて冷静になったようです。」
[知識23]
IF(1)以前の暖色の比率×1.3≦現在の暖色の比率
THEN 「以前より感情表現が豊かで自由になったようです。」
知識21、23で、1.3は変化を感知するための変数であり、任意の数値で変化されることが可能である。
【0058】
また、上述したように、知識以外にも多様な内容の知識が知識データベース14に格納できる。
【0059】
診断対象者の心理症状の診断装置10を利用することに当たって、履歴データベース15は、診断対象者が過去に彩色した模様の分析結果を格納し、現在彩色した模様の分析結果と比較して診断対象者の心理変化を測定しようとする時に利用できる。
【0060】
また、心理症状の診断装置10は、結果提供モジュールをさらに含むことができる。結果提供モジュールは、後述する図20に示されている模様色塗りの分析結果と、図21に示されている心理症状の診断結果とも提供できる。
【0061】
以下では模様色塗り分析部11について、図4から図16を参照して詳細に説明する。
【0062】
図4は、本発明の一実施例による模様色塗り分析部の構成ブロック図であり、図5は、模様色塗り分析部に含まれる色要因分析部の構成ブロック図であり、図6は、模様色塗り分析部に含まれる集中度要因分析部の構成ブロック図であり、図7は、本発明の一実施例による模様色塗り分析方法を示す順序図である。図8は、本発明の一実施例による基本模様を示す図面であり、図9は、図8に示された基本模様が彩色された分析対象図である。図10は、分析対象図を代表色に変換した場合を示す図面であり、図11は、分析対象図の1次色要因中の主題色と補色とを示す図面であり、図12は、分析対象図の1次色要因中の1次色と2次色とを示す図面であり、図13は、分析対象図の1次色要因中の暖色と寒色とを示す図面であり、図14は、分析対象図から抽出されたクラスタを示す図面であり、図15は、基本模様のクラスタと分析対象図のクラスタとが重なっている図面である。図16は、本発明の一実施例による正確度測定方法の順序図である。
【0063】
図4から図6を参照すると、模様色塗り分析部11、入力部110、雑音除去部120、色要因分析部130、集中度要因分析部140、色認識モジュール131、代表色変換モジュール133、1次色要因の抽出モジュール135、2次色要因の判断モジュール137、完成度測定モジュール141、正確度測定モジュール143、集中度要因の判断モジュール145が示されている。
【0064】
ステップS200で、入力部110には、彩色された分析対象図が入力される。診断対象者により彩色された絵が模様色塗り分析の対象となる。以下では本発明の理解と説明の便宜のために、分析対象となる絵は多様な色で彩色されたマンダラ(円)の幾何学的模様であると仮定するが、この他にも人、鳥、犬、木などの一般的な図柄も分析対象となることは明らかである。
【0065】
診断対象者は、図8に示されたマンダラ800の幾何学的模様の基本模様内に多様な色を塗る。診断対象者が多様な色で彩色した絵(以下、分析対象図900という)の一例が図9に示されている。
【0066】
入力部110には、スキャナーでスキャンされたり、カメラで撮影されたりするなど、イメージセンサを用いて撮像され、デジタル化した絵ファイルが入力される。絵ファイルは、コンピュータなどのデジタル装置で各ピクセル別に分析が可能となるBMP、GIF、JPEG、TIFなどのイメージファイル形態であるか、または模様色塗り分析部11で解析可能なファイル形態である。
【0067】
ステップS210で、雑音除去部120は診断対象者の意図とは異なって、塗られていない部分、薄く塗られた部分、重なって塗られた部分などの雑音を除去する。雑音除去部120は、ブラリング(blurring)とクラスタリング(clustering)過程を通して絵の雑音を除去する。例えば、ブラリング過程では一般的に映像の雑音除去に広く用いられる中央値(median)3×3マスクを適用する。これは当該技術分野での通常の知識を有する者にとって自明なことであるので、詳細な説明は省略する。クラスタリング過程では分析対象図900から類似した色を集める。そして、クラスタリング過程でピクセルの色属性(color feature)と空間的連結性(spatial connectivity)とを用いてカラーイメージを分割することが可能である。このような雑音除去部120は分析の信頼性を高めようとする場合、追加的に模様色塗り分析部11に含まれることができる。
【0068】
模様色塗り分析部11は、入力された絵について色要因と集中度要因とを分析する。色要因と集中度要因とは、任意の順であるいは同時に分析されることができる。
【0069】
まず、ステップS220で、色要因の分析は色要因分析部130で行われる。色要因分析部130は、入力部110に入力された絵の色を分析する。絵はピクセル(pixel)に分けられ分析される。例えば、絵が480×640であれば、307、200個のピクセルに区分され分析される。
【0070】
図5を参照すると、色要因分析部130は色認識モジュール131、代表色変換モジュール133、1次色要因の抽出モジュール135、2次色要因の判断モジュール137を含む。
【0071】
ステップS221で、色認識モジュール131は入力部110に入力された絵ファイルの各ピクセルに使われた色を認識する。
【0072】
ステップS223で、代表色変換モジュール133は、色認識モジュール131から認識された色を予め設定された複数の代表色のうちの一つに変換する。予め設定された複数の代表色を表現する色空間はRGB、YUV、HSV、LUV、CIEXYZ、CIELAB、HVCなど、用途と概念に応じて多様である。この中、マンセル(Munsell)表色系と呼ばれるHVCは人の目による色の認識と類似する。HVCは色の三つの属性であって、色相(Hue)、明度(Value)、彩度(Chroma)を示し、色はHV/Cで表記できる。以下、本発明では、代表色変換モジュール133がHVCに基づいて色認識モジュール131から認識された色を複数の代表色のうちの一つに変換すると仮定する。しかし、本願発明はこれに限定されず、代表色変換モジュール133が様々な基準を利用できることは当業者に自明なことである。
【0073】
代表色変換モジュール133は、各ピクセルの色を予め設定された色数の分類による代表色のうちの一つに変換する。あるいは、より多い色数の分類による第1代表色のいずれか一つに変換した後、より少ない色数の分類による第2代表色のいずれか一つに再変換することができる。
【0074】
以下では、本発明の理解と説明の便宜のために、15色分類及び/または47色分類を中心にして説明する。
【0075】
HVCを基準として、韓国工業規格KS A 0011で規定する15種類の色を代表色とする色分類を「15色分類」という。15色分類による代表色は下記の表1に示されている。15色分類による代表色からなる集合を
A15={赤色、橙色、黄色、薄緑色、緑色、青緑色、青色、藍色、紫色、赤紫色、桃色、茶色、白色、灰色、黒色}
で表示する。下記の表1にはA15に含まれる各代表色Iに対する(hi、vi、ci)値が示されている。
【表1】
【0076】
代表色変換モジュール133は、前記の表1に示されたA15に含まれる代表色中、分析対象図900の色と最も近似した代表色を探して分析対象図900の色を変換する。代表色に変換するに当たって、分析対象図900の色と最も近似した代表色を探す方法は次の通りである。
【0077】
絵の色と15個の代表色との間の色差を測定する尺度として距離を定義する。米国標準局(NBS;National Bureau of Standards)は、HVC空間で二つの色(h1、v1、c1)と(h2、v2、c2)との距離尺度として下記式(1)を提示する。
【数1】
【0078】
dis[(h1、v1、c1)、(h2、v2、c2)]を二つの色間のNBS距離という。色とのNBS距離が最も短い代表色を当該色に最も近似した代表色と決め、当該色を当該代表色に変換する。
【0079】
本発明の他の実施例によれば、15色分類以外に47色分類により代表色がさらに細分化できる。例えば、赤色を濃い赤色、赤色、淡い赤色などで細分化する。韓国工業規格KS A 0011には47個の色分類が定義されており、これによる代表色の分類を「47色分類」とし、47色分類による代表色の集合をA47という。
【0080】
47色分類で分類してから、15色分類で色を分類することが可能である。人間は色を赤色系統、青色系統、緑色系統などと大きく分け、これら系統間の差はいくら微小であってもこれを区別する。例えば、青色系統と緑色系統との差はいくら微小であっても区別できるが、15色分類によるNBS距離はあまり差がないので互いに換わってしまうこともある。したがって、47色分類により絵の各色を詳しく分類した後に、分類された各色を15色分類により同一または類似系統の色にグループ化すると、絵の色を正確に15色分類による代表色に変換することができる。
【0081】
与えられた絵の色(h、v、c)を47色分類による代表色に分類する方法は、下記式(2)を満足する代表色jを探すことである。
【数2】
【0082】
すなわち、他の実施例による代表色変換モジュール133は、与えられた絵の色と47色分類による第1代表色との間に前記式(2)を満足する第1代表色を探す。その後、代表色変換モジュール133は第1代表色と15色分類による第2代表色との間のNBS距離を把握し、第1代表色が最も近似している第2代表色を探す。続いて、代表色変換モジュール133は第2代表色を代表色と決め、与えられた絵の色を代表色に変換する。
【0083】
代表色変換モジュール133により15色分類による代表色に変換された絵ファイル1000が図10に示されている。
【0084】
ステップS225で、1次色要因の抽出モジュール135は、代表色変換モジュール133により15色分類による代表色に変換された絵ファイルに対して予め設定された1次色要因を抽出する。
【0085】
1次色要因には、色数、色の種類、色別面積、色別クラスタ数、色の輪郭線などがある。色数と種類は一般的な絵画療法の評価においても重要な要因として活用されるし、色の混合、色の適合性、色の使用程度がさらに考慮され得る。
【0086】
色数は、15色分類により代表色に変換された絵ファイルに使われた代表色の数を意味する。色の種類は、15色分類による代表色に変換された絵ファイルに使われた代表色の種類を意味する。色別面積は、代表色別に当該代表色に分類されたピクセルの数を意味する。色別クラスタ数は、任意の代表色が連続的に塗られた最小限の面積を一つのクラスタであるとする時、このクラスタ数を意味する。
【0087】
色の輪郭線は、15色分類による代表色に変換された絵ファイルに対して各代表色間の境界を意味する。1次色要因の抽出モジュール135は、任意のピクセルを中心にして上下左右のピクセルの代表色が替わったピクセルを抽出する。ここで、抽出されたピクセルの座標である輪郭座標の集合が輪郭線となる。
【0088】
ステップS227で、2次色要因の判断モジュール137は、抽出された1次色要因を用いて2次色要因を判断する。2次色要因の判断モジュール137は、抽出された1次色要因から予め構築されている知識ベースを活用して2次色要因を判断する。2次色要因としては、主題色と副題色、1次色と2次色、暖色と寒色、補色、色の多様性などがある。知識ベース(すなわち、2次色要因を判断するための条件)は、2次色要因の判断モジュール137に予め格納されていることができる。
【0089】
2次色要因に対する詳細な内容は次の通りである。
【0090】
(i)主題色と副題色は次のように定義される。
【0091】
主題色は最も多く使われた色であり、副題色は二番目に多く使われた色である。ただ、塗られた面積が絵の全体面積または模様色塗りの分析対象となる基本模様(例えば、マンダラの最外郭の円)の全体面積のA%(例えば、20%など)未満であると、副題色はないと仮定することができる。
【0092】
図9に示されている分析対象図900を代表色に変換し(図10の1000参照)、代表色中、最も多く使われた色は紫色で30.1%を占め(図11の1100参照)、二番目に多く使われた色は赤色で22.0%を占めている。したがって、これらを各々主題色と副題色と判定する。
【0093】
(ii)1次色と2次色は次のように定義される。
【0094】
1次色は赤色、青色、黄色であり、2次色は緑色、紫色、橙色である。1次色は黄色で代表され(図12の1200参照)、2次色は緑色で代表される(図12の1210参照)。1次色は40.4%、2次色は34.0%と分析される。
【0095】
(iii)補色は次のように定義される。
【0096】
主題色と副題色、またはB%(例えば、12%など)以上の面積を占めながら三番目に多く使われた色が(1)赤色と青緑色、(2)青色と橙色、(3)藍色と橙色、(4)黄色と紫色、または(5)緑色と赤紫色であれば、補色が存在すると定義する。図11を参照すると、黄色は14.4%で三番目で使われた色であって(図11の1110参照)、主題色が紫色(図11の1100参照)であるので黄色と紫色の補色が存在すると判定する。
【0097】
(iv)暖色と寒色は次のように定義される。
【0098】
暖色は赤色、橙色、黄色であり、寒色は青色、藍色である。図13を参照すると、暖色は赤色で代表され(図13の1300参照)、寒色は青色で代表される(図13の1310参照)。暖色は40.4%、寒色は4.0%と分析される。
【0099】
(v)色の多様性は次のように定義される。
【0100】
評価者の専門的経験と知識に基づいて個人的に評価する色使用の一般的概念をいう。
【0101】
色の多様性評価方法は次の二つの方法がある。
【0102】
第1方法:
ステップ1.使われた色数が多いほど色の多様性は高まる。
【0103】
ステップ2.使われた色数が同一である場合、クラスタ数が多いほど色の多様性は高まる。ここで、クラスタは輪郭線で囲まれた最小限の面積を意味する。
【0104】
ステップ3.使われた色数とクラスタ数とが全て同一である場合、輪郭線の長さが長いほど色の多様性は高まる。
【0105】
第2方法:
統計的方法中、回帰分析モデルを適用する。このモデルにおける従属変数は、評価者の色の多様性評価である。このモデルにおける独立変数は色数、クラスタ数、輪郭線の傾き、使われた色である。使われた色を表示する独立変数は可能な色数より一つ少ない指標変数(Indicator Variables)で表す。
【0106】
上述したように、2次色要因の判断モジュール137は1次色要因の抽出モジュール135から抽出された1次色要因から多様な2次色要因を判断する。
【0107】
そして、ステップS230で、色要因分析以外にも、集中度要因分析部140が集中度要因を分析する。
【0108】
図6を参照すると、集中度要因分析部140は完成度測定モジュール141、正確度測定モジュール143、及び集中度要因の判断モジュール145を含む。
【0109】
ステップS231で、完成度測定モジュール141は、分析対象図900から診断対象者の色塗り作業の完成度を測定する。完成度は、基本模様(例えば、図8に示された基本模様の最外郭に配置された円)全体のピクセル数に対する基本模様内に塗られたピクセル数の比率で測定される。
【0110】
ステップS233で、正確度測定モジュール143は、分析対象図900から診断対象者の色塗り作業の正確度を測定する。正確度は、基本模様のクラスタと分析対象図900の色クラスタとの一致程度によって測定される。分析対象図900の色クラスタは、1次色要因の抽出モジュール135から抽出された輪郭線を用いて導き出すことができる。基本模様クラスタは、与えられた基本模様の線で囲まれた最小の面積を意味し、図8を参照すると、基本模様クラスタ数は64個である。分析対象図900において、色クラスタとは同じ色で連続的に塗られた最小の面積を意味し、図14を参照すると、色クラスタの数は18である。基本模様クラスタと色クラスタとが重なった形態は図15に示されている。
【0111】
このような基本模様クラスタと色クラスタとの一致程度を定量的に導き出すための方法が図16に示されている。図16は、本発明の一実施例による正確度測定方法の順序図である。ここで、各ピクセルの色は代表色に変換されていると仮定する。
【0112】
ステップS1600は、基本模様以外の区域を除く段階である。
【0113】
ステップS1610で、任意の基本模様クラスタから代表色別にピクセル数を計算する。ステップS1620で、ピクセル数が最も多い代表色を該当基本模様クラスタで正確に塗られた色と決める。ピクセル数の最も多い代表色が白色であれば、当該基本模様クラスタは塗っていないと看做し、当該基本模様クラスタでは正確に塗られたピクセルがないと判断する。
【0114】
ステップS1630で、各基本模様クラスタに対し、ステップS1610とS1620とを繰り返す。
【0115】
そして、ステップS1640で、各基本模様クラスタで正確に塗られた色のピクセル数を合算する。
【0116】
ステップS1650で、分析対象図の正確に塗られた色のピクセル数を総ピクセル数で分けた値を正確度と判断する。
【0117】
前記方法を通して、正確度測定モジュール143は正確度を定量的データとして測定することが可能である。
【0118】
再び図7を参照すると、集中度要因の判断モジュール145は完成度測定モジュール141から測定された完成度と、正確度測定モジュール143から測定された正確度とに基づいて集中度要因を判断する(ステップS235参照)。
【0119】
本発明において集中度は完成度と正確度だけでなく、色数、クラスタ数とも関連があり得る。このような関係は次の回帰分析方法により説明する。
【0120】
n個の分析対象図サンプルを収集し、m人の評価者が集中度を評価して順位を付ける。集中度が最も高い絵が順位1となり、最も低い絵が順位nとなる。分析対象図サンプルiに対するm人の順位平均をYiと表記する。各サンプルの色数をXi1、クラスタ数をXi2、完成度をXi3、正確度をXi4と表記し、多重線型回帰分析方法を適用する。
【0121】
すなわち、回帰分析モデルは下記式(3)のようになる。
【0122】
[数3]
Yi=β0+β1Xi1+β2Xi2+β3Xi3+β4Xi4+εi、i=1、2、...、n (3)
ここで、εiは互いに独立して、平均0、分散σ2の正規分布であると仮定する。
【0123】
β0は定数係数であり、β1は色数の係数、β2はクラスタ数の係数、β3は完成度の係数、β4は正確度の係数を意味する。
【0124】
β1、β2、β3、β4の符号はマイナス(−)となる。色数とクラスタ数が多いほど、完成度と正確度が高いほど、従属変数の順位値が小さくなる。すなわち集中度が高くなることになる。
【0125】
また、各独立変数の集中度に対する相対的影響力を把握するために標準化した値
Yi’={(Yi−S(Y)}/S(Y)、
Xij’={(Xij−S(Xj)}/S(Xj)、i=1、2、...、n、j=1、2、3、4
を使う標準回帰分析の結果も提供する。ここで、S(Y)とS(Xj)はそれぞれYとXjの標本標準偏差を示す。
【0126】
一実施例として、58枚(n=58)の分析対象図がサンプルとして収集された場合の分析データ及び回帰分析結果は下記の表2のようになる。
【表2】
【0127】
収集されたデータに段階的回帰分析(Stepwise Regression)を適用した結果、評価者の集中度を説明する変数として色数(X1)、クラスタ数(X2)、正確度(X3)が選ばれ、完成度は排除された。完成度と正確度との間に相関度が高いため完成度が排除された。
【0128】
最終的に回帰関数は、Y=65.171−2.973X1−0.666X2−0.241X3である。
【0129】
モデルの適合度を示す決定系数はR2=0.740であって、モデルとして適用するのに充分である。標準誤差は8.44と推定された。
【0130】
係数の符号がマイナス(−)であることは前述したように望ましい結果である。すなわち、説明変数である色数とクラスタ数とが多いほど、また、正確度が高いほど、従属変数の順位値が少なくなる。すなわち、集中度が高まる。例えば、クラスタ数と正確度とが一定した場合、使われた色数が一つずつ多くなると、集中度の順位値は平均2.973ずつ小さくなる。
【0131】
独立変数の標準化された値を用いた回帰関数は、Y’=−0.461X1‘−0.239X2’−0.337X3’である。例えば、正確度が1−標本標準偏差(22.56%)ずつ高まる場合、順位値は平均的に0.337−標本標準偏差(16.12)=5.43ずつ小さくなること(すなわち、集中度が高まる)が分かる。標準化係数において集中度に対する説明変数の影響力の大きさは色数、正確度、クラスタ数の順である。
【0132】
上述したように、集中度要因分析部140は集中度要因を判断して定量的データに算出する。
【0133】
模様色塗り分析部11は、色要因分析部130から分析された色要因と、集中度要因分析部140から分析された集中度要因とを定量的データで提供できる。評価者は当該分析対象図に対応して出力されたデータを用いて絵画療法に適用するのが可能となる。
【0134】
上述した本発明の一実施例による模様色塗り分析部11は、正確でかつ客観的な情報(例えば、1次色要因(色数、種類、クラスタ数、輪郭線など)、2次色要因(主題色と副題色、1次色と2次色、補色、暖色と寒色、色の多様性など)、集中度要因(完成度と正確度から計算)など)を定量的データで出力する。評価者は出力された定量的データを用いて当該分析対象図を彩色した診断対象者の心理症状を診断することになる。
【0135】
心理症状診断部13は、上述したように模様色塗り分析部11により分析された要因(1次色要因、2次色要因、集中度要因など)の一部を選択し、多重線型回帰分析方法を用いて症状を判断する。より詳しくは、心理症状診断部13は症状の程度または症状が重症であるか否かを判断する。
【0136】
図17及び図18は彩色された模様の例示図である。簡易心理テスト方法であるMMSE−K(Mini-Mental State Examination-Korean)により、測定値が最高値30である健常人と分類される老人の絵(図18参照)と、測定値が比較的小さい値9である痴呆患者と分類される老人の絵(図17参照)とが示されている。
【0137】
MMSE−Kは12質問項目の総点30点で構成されている。より詳しくは、MMSE−Kは時間オリエンテーション(5点)、場所オリエンテーション(5点)、記憶登録(3点)、記憶回想(3点)、注意集中と計算能力(5点)、言語機能(7点)、理解と判断能力(2点)を含む。MMSE−Kの合計24点以上は「確定的健常」で、10点以下は「確定的痴呆」で基準を決め、その中間は「痴呆疑い」と区分する。
【0138】
図17及び図18に示された絵を模様色塗り分析部11が分析した結果を下記の表3に示す。
【表3】
【0139】
表3には色と関連した各種要因に対する客観的、定量的情報が提供されている。例えば、色別に塗られた広さが定量的なデータで提供されるので、主題色、副題色の色だけでなく、その広さも分かるようになる。また、1次色と2次色との比率、暖色と寒色との比率だけでなく、何色で構成されているかを把握できる。また、補色が存在するか否かと、何の補色が存在するかが分析できる。また、クラスタ数、作業の完成度、正確度、集中度なども評価される。
【0140】
表3を参照すると、痴呆症状の程度が重い(確定的痴呆)診断対象者の絵である図17は、その程度が弱い(確定的健常)診断対象者の絵である図18に比べて、正確度と完成度が落ち、クラスタ数も少なく、使われた色数も少ないことが分かる。
【0141】
本発明の一実施例によれば症状の程度(Y)を予測することが可能である。
【0142】
MMSE−Kにより測定される症状の程度(Y)をMMSE−Kの要因で説明するために多重線型回帰分析方法を適用する。サンプルの数をnとすれば、回帰分析モデルは下記式(4)のように定形化される。
【0143】
[数4]
Yi=β1Xi1+β2Xi2+…+βkXik+εi、i=1、2、...、n (4)
ここで、εiは互いに独立して、平均0、分散σ2の正規分布であると仮定する。
【0144】
また、各独立変数の相対的な影響力を把握するために標準化された値Yi’とXij’を用いる。
【0145】
[数5]
Yi’={(Yi−S(Y)}/S(Y)、
Xij’={Xij−S(Xj)}/S(Xj)、i=1、2、...、n、j=1、2、...、k (5)
ここで、S(Y)とS(Xj)はそれぞれYとXjの標本標準偏差を示す。
【0146】
説明変数として色数(X1)、主題色(X2)、1次色の比率(%)(X3)、暖色の比率(%)(X4)、補色であるか否か(X5)、クラスタ数(X6)、正確度(X7)、及び完成度(X8)を考慮する。集中度はこれら変数で説明されるから除外することにする。マンダラの完成度を言及した研究により、心理治療の対象者(例えば、脳卒中老人など)に対するマンダラ治療がマンダラの完成度を高めるということは周知の事実である。
【0147】
主題色(X2)として15種類の色を考慮し、これを表現するために14個の指標変数(Indicator Variables)に代える。すなわち、各指標変数は、赤色(X2、1=1)、橙色(X2、2=1)、黄色(X2、3=1)、薄緑色(X2、4=1)、緑色(X2、5=1)、青緑色(X2、6=1)、青色(X2、7=1)、藍色(X2、8=1)、紫色(X2、9=1)、赤紫色(X2、10=1)、桃色(X2、11=1)、茶色(X2、12=1)、白色(X2、13=1)、灰色(X2、14=1)となる。この変数は、該当する色でないと0になる。X2、1=…=X2、14=0であると、黒色になる。補色(X5)の指標変数がX5=1であると補色が存在し、X5=0であると補色が存在しないと表示される。
【0148】
本発明の他の実施例によれば、症状が重症であるか否かを予測することが可能となる。従属変数Yを指標変数とするモデルが樹立可能になる。すなわち、Y=1である場合には検査の測定値が一定値C未満であることを、Y=0である場合には検査の測定値がC以上であることを示す。すなわち、Yの予測値は、症状が重症である確率に解析されることができる。
【0149】
すなわち、心理症状診断部13は、段階的回帰分析方法を適用して21個の説明変数から各実施例に適する変数を各々選定して分析する。
【0150】
以下、老人性疾患を持っている老人たちにより彩色されたマンダラ100枚を収集して、痴呆症状の程度をMMSE−Kで測定した場合を例に挙げて説明する。
【0151】
症状程度の測定値を従属変数とする一実施例(モデルI)と、症状が重症であるか否かを従属変数とする他の実施例(モデルII)について行った段階的回帰分析結果は下記の表4の通りである。
【表4】
【0152】
モデルIにおいて、説明変数として薄緑色(Xa)、茶色(Xb)、緑色(Xc)、クラスタ数(Xd)、正確度(Xe)が選ばれたと仮定する。モデルIの回帰関数は次の通りである。
【0153】
[数6]
Y=4.411+14.598Xa−16.507Xb−5.145Xc+0.718Xd+0.095Xe (6)
クラスタ数と正確度が高くなるほど痴呆予測値が高まる。すなわち、痴呆症状が弱くなる。茶色や緑色が主題色であると痴呆症状が重くなる。薄緑色が主題色であると痴呆症状が弱くなる。痴呆症状の予測値にどれくらい大きな影響を与えるのかも分かるようになる。例えば、正確度が1%ずつ高くなると、痴呆症状は弱くなり、予測値は平均0.14ずつ高くなる。予測値の標準偏差δは6.268と推定された。
【0154】
独立変数の標準化された値を用いた回帰分析直線は次の通りである。
【0155】
[数7]
Y’=0.320Xa’−0.283Xb’−0.132Xc’+0.437Xd’+0.300Xe’ (7)
例えば、正確度が1(標本標準偏差の31.5%)だけ増加すると痴呆予測値は平均0.300高くなる。すなわち、痴呆症状はそれだけ弱くなると予測される。この標準化係数から、痴呆予測値に影響を与える大きさはクラスタ数、薄緑色、正確度、茶色、緑色の順になる。
【0156】
一方、痴呆の重症を分析するためのモデルIIの結果は次の通りである。MMSE−Kで10点以下は「確定的痴呆」と分類する基準に応じて、痴呆測定値が10(=C)未満であるとY=1(重症)、10以上であるとY=0と仮定する。説明変数として茶色(Xo)、色数(Xp)、正確度(Xq)が選ばれた。モデルIIの回帰関数は次の通りである。
【0157】
[数8]
Y=0.748+0.643Xo−0.063Xp−0.005Xq (8)
例えば、他の要因の値が一定であれば、色数が一つずつ増加しながら、重症である確率は平均的に0.063ずつ減ることになる。主題色が茶色である場合には、そうではない場合に比べて重症である確率が平均0.643高まり、これを図20に示した。予測値の標準偏差δは0.378と推定された。
【0158】
独立変数の標準化された値を用いた回帰分析直線は次の通りである。
【0159】
[数9]
Y’=0.235Xo’−0.341Xp’−0.314Xq’ (9)
例えば、正確度が1(標本標準偏差の31.5%)だけ増加すると、重症である確率は平均0.314低くなると予測される。すなわち、痴呆症状はそれだけ弱くなると予測される。これら係数から痴呆予測値に影響を与える大きさは色数、正確度、茶色の順になる。
【0160】
図20は本発明の一実施例による模様色塗り分析部11により、彩色された模様を分析した結果を示す図である。
【0161】
図20を参照すると、彩色された模様の絵、各色の比率(%)、色数、クラスタ数などの1次色要因と、主題色と副題色、補色、1次色と2次色、暖色と寒色などの2次色要因と、正確度、完成度、集中度の集中度要因とが分析されている。
【0162】
図20には示されていないが、図17から図19を参照して説明した症状の程度、症状が重症であるか否かかのことも示すことができることは当業者に自明なことである。
【0163】
心理症状診断部13は、模様色塗り分析部11により分析された結果(図20参照)と、個人性向獲得部12により獲得された結果(図3参照)とに基づいて対象者の心理症状を診断する。その結果が図21に示されている。
【0164】
図20及び/または図21に示されている分析結果はユーザが容易に把握できるようにグラフと図表で提供されることができる。
【0165】
また、本発明の他の実施例によれば、心理症状の診断装置10は二つ以上の絵(彩色された模様)の差を分析して診断対象者の心理変化を予測することができる。この場合、心理症状の診断装置10は、履歴データベース15を備えることができる。心理症状診断部13が履歴データベース15に格納された過去の絵の分析結果と模様色塗り分析部12により分析された現在の絵の分析結果とを比較し、知識データベース14から比較結果による知識を探索して提供することにより、診断対象者の心理変化を予測する。
【0166】
図22及び図23は、同一診断対象者により彩色された模様の過去の絵と現在の絵とを示す図面である。ここで、診断対象者は図3に示されたような質問について次のように答えたと仮定する。
【0167】
問答1.(1)好きな色:赤色、(2)嫌いな色:黒色
問答2.(1)1次色中、好きな色:赤色、(2)2次色中、好きな色:橙色、(3)無彩色中、好きな色:白色
問答3.今の私の心に当たる顔:幸せ
問答4.(1)私の色:赤色、(2)父の色:青色、(3)母の色:緑色
問答5.今の気持ち:とても幸せ
問答6.(1)悲しい時の色:灰色、(2)怒った時の色:黒色、(3)幸せな時の色:赤色
図22に示されている模様色塗りと、図23に示されている模様色塗りとを分析した結果は下記の表5の通りである。
【表5】
【0168】
表5を参照すると、正確度、色数、クラスタ数、完成度、集中度の全ての面で数値が良くなり、心理的な面から肯定的な変化が起こっていることが予測できる。1次色と暖色との使用比率が増加していることから、情緒的に活発になる変化を予測できる。
【0169】
すなわち、心理症状の診断装置10は、二つの絵の違いから知識データベース14の知識を探索して提供することにより、上述のように診断対象者の心理変化を予測して提供できる。これに関連した知識は[知識1]、[知識2]、[知識3]、[知識4]、[知識13]、[知識15]、[知識19]、[知識21]である。
【0170】
以上、図8に例示された基本マンダラ模様を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、分析対象図として多様な模様を含むことができ、それに伴って公知の様々な分析技法も併行することができる。
【0171】
より詳しくは、本発明の実施例による心理症状診断装置10は予め指定された複数の模様を予め指定された方法により診断対象者に提供することができる。そして、診断対象者は複数の模様のうちの所定模様を選択し、配列(または配置)して、彩色することにより分析対象図を完成することができる。
【0172】
例えば、本発明の実施例による分析対象図は木、家、及び人のうち一つ以上を含むことができる。この場合、木−家−人(House Tree Person、HTP)の分析技法が適用できる。
【0173】
例えば、本発明の実施例による分析対象図は家族構成員を含むことができる。この場合、動的家族画技法(Kinetic Family Drawing、KFD)の分析技法がさらに適用され得る。
【0174】
例えば、本発明の実施例による分析対象図はリンゴを取る人の模様を含むことができる。この場合、リンゴを取る人(The Person Picking an Apple From a Tree、PPAT)分析技法がさらに適用され得る。
【0175】
以上の例は、一実施例の説明に過ぎず、本発明の公知された様々な技術と並行して適用できることは本発明の技術的思想に照らして当業者に自明である。
【0176】
一方、上述した正確度測定方法、模様色塗り分析方法、心理症状の診断方法は、コンピュータプログラムで作成可能である。前記プログラムを構成するコード及びコードセグメントは当該分野のコンピュータプログラマーにより容易に推論できる。また、前記プログラムはコンピュータが読み込むことができる情報格納媒体(computer readable media)に格納され、コンピュータにより読み込まれ実行されることにより、文書探索サービスの提供方法を具現する。前記情報格納媒体は、磁気記録媒体、光記録媒体、及びキャリアウェーブ媒体を含む。
【0177】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本発明の一実施例による心理症状の診断装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による心理症状の診断方法を示す順序図である。
【図3】心理症状診断のための質問の例示図である。
【図4】本発明の一実施例による模様色塗り分析部の構成ブロック図である。
【図5】模様色塗り分析部に含まれる色要因分析部の構成ブロック図である。
【図6】模様色塗り分析部に含まれる集中度要因分析部の構成ブロック図である。
【図7】本発明の一実施例による模様色塗り分析方法を示す順序図である。
【図8】本発明の一実施例による基本模様を示す図である。
【図9】図8に示された基本模様に色塗りした分析対象図である。
【図10】分析対象図を代表色に変換した場合を示す図面である。
【図11】分析対象図の1次色要因のうち主題色と補色とを示す図面である。
【図12】分析対象図の1次色要因のうち1次色と2次色とを示す図面である。
【図13】分析対象図の1次色要因のうち暖色と寒色とを示す図面である。
【図14】分析対象図から抽出されたクラスタを示す図面である。
【図15】基本模様のクラスタと分析対象図のクラスタとが重なっている図面である。
【図16】本発明の一実施例による正確度測定方法の順序図である。
【図17】模様色塗りした例示図である。
【図18】模様色塗りした例示図である。
【図19】色数が痴呆症状の重症である確率に及ぼす影響を示すグラフである。
【図20】本発明の一実施例による模様色塗りの分析結果である。
【図21】本発明の一実施例による心理症状の診断結果である。
【図22】同一診断対象者により彩色された過去図の模様を示す図面である。
【図23】同一診断対象者により彩色された現在図の模様を示す図面である。
【符号の説明】
【0179】
10:心理症状の診断装置
11:模様色塗り分析部
12:個人性向獲得部
13:心理症状診断部
14:知識データベース
15:履歴データベース
110:入力部
120:雑音除去部
130:色要因分析部
131:色認識モジュール
133:代表色変換モジュール
135:1次色要因の抽出モジュール
137:2次色要因の判断モジュール
140:集中度要因分析部
141:完成度測定モジュール
143:正確度測定モジュール
145:集中度要因の判断モジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、模様選択及び配列、色塗り分析方法による心理症状の診断に関するもので、より詳しくは、様々な模様のうちのいくつかの模様を選択して配列した後、選択及び配列、色塗りした絵の様々な要因(色要因及び集中度要因)を分析する方法及びその分析結果により心理症状を診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最も簡単な方法であるマンダラ(Mandala)の模様色塗り技法を含む一般的な模様色塗り絵画療法は、心理的、精神的状態の診断と治療に広く効果を示している絵画療法として知られている。色塗り(以下、マンダラ模様及び一般模様の色塗りを含む)作業は、作業者の精神を集中させて、自分を振り返りながら、内面の秩序を立てて調和がとれるようにし、固有の自分自身を見つけ出す道具として知られてきた。色塗り作業の間、作業者の内面が表現されるという事実だけでも内面の緊張が緩和され、また、癒すようになるということが実験的に証明された。
【0003】
絵画療法士らは、絵に表れているわずかな反応からも相手の心理状態についてかなり正確な情報を引き出すことができる。したがって、色塗り作業は有用な情報を提供して患者の精神的、心理的状態を把握し、治療指針を提供するのに有用な絵画療法方法になることができる。
【0004】
色塗り作業は、不安、罪悪感、無気力、気まぐれ、悪夢、無関心、そして様々な種類の社会的忌避症治療及び心理治療に有用であり、注意力欠乏及び過剰行動(ADHD:Attention Deficit and Hyperactivity Disorder)患者の注意力を向上させかつ衝動を抑制させる効果がある。
【0005】
絵画療法において、絵画療法士は絵に表れている形態、象徴、線、色などを観察する。与えられた様々な模様のうちのいくつかの模様を選択・配列して色塗りする色塗り作業においては、色が最も重要な要因となる。今まで色に関する要因をコンピュータと知識ベースにより自動的に分析、判断する方法はなかった。さらに、色塗り作業で重要な要因として作業の集中度、作業をどれくらい完成したかという完成度、及び、与えられた模様をどれくらいはみ出さないように塗ったかという正確度がある。全てのものを忘れて作業に没頭する間、自身も知らないうちに心が癒されるというのは色塗り作業の基本的な絵画療法機能に該当する。したがって、色塗り作業においては、どれくらい熱心に没頭して作業するのかが絵画療法効果に相当な影響を及ぼす。
【0006】
症状の程度または症状が重症であるか否かはこのような集中度要因と密接な関連があると判断されるが、これを客観的に、また数値的に評価できる適切な方法はない実情である。
【0007】
また、質問書により収集された個人的な性向に関する要因と、彩色された模様を分析して獲得した要因とを解析する専門家システムは今までなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、様々な模様のうちのいくつかの模様を選択して配列することにより、個人的な性向を分析して評価する方法を提供するを目的とする。このために、家・木・人の絵(HTP)、動的家族画(KFD)、リンゴを取る人(PPAT)など、既存の絵画療法を用いた診断及び治療機能をすることができる。
【0009】
本発明の他の目的は、彩色された模様から作業の集中度という新しい要因を提示し、色要因と集中度要因とを分析評価して客観的かつ科学的な情報を数値で提供する、模様色塗りを分析し、評価する方法を提供することにある。
【0010】
本発明のまた他の目的は、客観的かつ科学的な情報を数値で提供することにより、症状の程度または症状が重症であるか否かを予測する心理症状の診断方法を提供することにある。
【0011】
本発明のまた他の目的は、科学的かつ定量的な情報を自動的に数値で提供することにより、模様色塗りを分析して絵画療法方法に適用可能な模様色塗り分析評価方法を提供することにある。
【0012】
本発明のまた他の目的は、与えられた模様からの選択及び配列と、質問書により収集された色に対する個人的な性向と模様色塗りを分析して獲得した要因(色要因、集中度要因、正確度及び完成度要因など)との解析に関する知識をデータベースで構築して、任意で彩色された模様が与えられると、その要因を分析し、それに該当する知識を探索して提供する心理症状の診断方法及び装置を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、一連の彩色された模様が与えられると、その変化を探知し、該当知識を提供する心理症状の診断方法及び装置を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的は、短時間内に数百〜数千枚の絵がコンピュータにより自動分析されて一般的な模様色塗り分析にかかる専門家の努力と時間とを低減できる模様色塗り分析方法及び心理症状の診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一側面によれば、模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図に使われた色を認識するステップと、前記色を予め設定された複数の代表色のいずれか一つに変換するステップと、変換された前記代表色から前記分析対象図の1次色要因を抽出するステップと、前記1次色要因から前記分析対象図の2次色要因を判断するステップと、を含む模様色塗り分析方法が提供される。
【0016】
本発明の他の側面によれば、模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の完成度を測定するステップと、前記分析対象図の正確度を測定するステップと、前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む模様色塗り分析方法が提供される。
【0017】
本発明のまた他の側面によれば、模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の色要因を判断するステップと、前記分析対象図の集中度要因を判断するステップと、を含み、前記色要因と前記集中度要因との判断は任意の順でまたは同時に行われることを特徴とする模様色塗り分析方法が提供される。
【0018】
本発明のまた他の側面によれば、診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つを用いて前記診断対象者の心理症状を判断するステップと、を含む心理症状の診断方法が提供される。
【0019】
本発明のまた他の側面によれば、診断対象者に質問を提供するステップと、前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得するステップと、前記診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断するステップと、を含む心理症状の診断方法が提供される。
【0020】
本発明のまた他の側面によれば、診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力され、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析する模様色塗り分析部と、前記診断対象者に質問を提供して前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得する個人性向獲得部と、前記個人的な性向、前記色要因、及び前記集中度要因に心理症状を連係させる知識を格納する知識データベースと、前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断する心理症状診断部と、を含む心理症状の診断装置が提供される。
【0021】
一方、上述した模様色塗り分析方法及び心理症状の診断方法は、コンピュータにより行われることができ、コンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることができる。
【0022】
前述の以外の他の実施形態、特徴、利点が図面、特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明から明確に理解できよう。
【発明の効果】
【0023】
本発明による模様選択及び配列は、既存の家・木・人の絵(HTP)、動的家族画(KFD)、リンゴを取る人(PPAT)など、既存の絵画療法を用いる診断及び治療機能をコンピュータで自動的に行うことができる。
【0024】
本発明による模様色塗り分析方法は、彩色された模様から作業の集中度という新しい要因を提示し、2次色要因と集中度要因とを分析評価して客観的かつ科学的な情報を数値で提供することができる。
【0025】
また、科学的かつ定量的な情報を数値で提供することにより、模様色塗りを分析及び評価して絵画療法方法に適用可能となる。
【0026】
また、科学的かつ定量的な情報を数値で自動的に提供することにより、模様色塗りを分析して絵画療法に適用可能となる。
【0027】
本発明による心理症状の診断方法は、質問により収集された色に対する個人的な性向と模様色塗りを分析して獲得した要因(色要因、集中度要因など)との解析に関する知識をデータベースで構築することより、任意で彩色された模様が与えられると、要因を分析し、それに該当する知識を探索して提供することができる。
【0028】
また、一連の彩色された模様が与えられると、その変化を探知して該当知識を提供することができる。
【0029】
また、短時間内に数百〜数千枚の絵を自動的に分析して、一般的な模様色塗り分析にかかる専門家の努力や時間を低減する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、本願では特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0031】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いることに過ぎなく、前記構成要素が前記用語により限定されるものではない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけに用いられる。
【0032】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0033】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0034】
本発明を説明することに当って、模様(pattern)の一例として「マンダラ(mandala)」を例に挙げて説明するが、これは一つの一実施例に過ぎず、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な模様が適用できることは当業者にとって自明な事実である。
【0035】
図1は、本発明の一実施例による心理症状の診断装置の構成ブロック図であり、図2は、本発明の一実施例による心理症状の診断方法を示す順序図であり、図3は、心理症状を診断するための質問の例示図である。
【0036】
図1を参照すると、心理症状の診断装置10、模様色塗り分析部11、個人性向獲得部12、心理症状診断部13、知識データベース14、履歴データベース15が示されている。
【0037】
模様色塗り分析部11は、様々な模様を提供して絵画療法対象者が自身が希望する模様を選択するようになっている。ステップS21で、一般的に絵画療法の対象となる診断対象者(例えば、児童、心理治療対象者など)が彩色した模様を分析して、予め設定されている要因(色要因、集中度要因など)を定量的なデータで提供する。模様色塗り分析部11については、後の図4から図16を参照して詳細に説明する。
【0038】
ステップS22で、個人性向獲得部12は、質問などの方法を通して個人的な性向を獲得する。図3を参照すると、一実施例による質問シートが示されている。質問は色に関するもので、選好色と嫌悪色(質問項目1及び2参照)、診断対象者の現在心理状態(質問項目3及び5参照)、色に対する性向(質問項目4及び6参照)などに関する情報が獲得される。
【0039】
このような質問は心理症状の診断装置10に備えられたユーザインターフェースを通して対象者に提供できる。図3に示すようなディスプレイ画面が診断対象者に提供される。そして、診断対象者は、各質問項目別に該当色アイコンをクリック(click)またはドラッグ・アンド・ドロップ(drag & drop)する。したがって、心理症状の診断装置10は、診断対象者の個人的な性向情報を獲得することができる。または、心理症状診断対象者が各質問項目別に該当色に対応する数字、記号、文字などを入力することにより、心理症状の診断装置10は診断対象者の個人的な性向情報を獲得することもできる。
【0040】
ここで、模様色塗り分析部11に、絵が入力され、彩色された模様を分析することと、個人性向獲得部12から質問が提供され、これに対する応答を獲得することとは、任意の順でまたは同時に行われることができる。
【0041】
ステップS23で、心理症状診断部13は、模様色塗り分析部11で分析された要因(色要因、集中度要因など)と、個人性向獲得部12で獲得された個人的な性向情報とに基づいて知識データベース14に格納された知識を探索する。そして、探索された結果による知識を出力する。そして、出力された知識を用いて対象者の心理症状を診断する。心理症状の診断には、知識データベース14に格納された知識、履歴データベース15に格納された過去履歴情報(例えば、診断対象者が過去に色塗りした模様の分析結果など)を活用することができる。
【0042】
知識データベース14には、模様選択及び配列に関する知識、一般的な絵に示されている色に関する知識、決められた模様(例えば、マンダラなど)の色塗りから表れる色に関する知識、これら色に対する知識と個人的な性向情報とを連係させる知識、二つ以上の彩色された模様間の差から獲得される心理変化に対する知識などが格納される。
【0043】
多様な知識が知識データベース14に格納されることができ、その中から一部を以下で説明する。
【0044】
このような知識は、IF THEN形式で表現される。IF THEN形式は次の通りである。しかし、全ての知識表現が必ずしもこの形式に従う必要はなく、一部表現を省略しても関係ない。
【0045】
IF(n)条件1、or条件2、or…、or条件n、
THEN(m)結果1、結果2、…、結果m[知識の確信程度;表現様式]。
【0046】
ここで、nはor条件の数、mは結果の数を示す。andの多数の条件は一つの条件に表示する。結果で、andとorがともに適用されるときにはand/orで表示する。知識の確信程度が1であれば「〜である」と表現し、2であれば「〜であろう」、3であれば「〜であるようだ」、4であれば「〜であるかもしれない」、5であれば「たまには〜であることもある」などで表示される。画面提供の表現様式が1であれば「〜である」、2であれば「〜です」の形態で表現される。この他にも叙述文で表示する場合もある。
【0047】
次の知識を例に挙げて知識表現方法を説明する。
【0048】
「マンダラに赤色をたくさん使った場合、肯定的な意味では元気に生きていること、より偉大な内面の知恵を体得するのに必要なエネルギを意味し、否定的な意味では傷と破壊性を有する怒り、苦しみなどを意味するという。」
前記知識の内容はIF THEN規則により次のように表現される。
【0049】
[知識1]
IF(2)主題色=赤色or副題色=赤色、
THEN(4)元気に生きていること、内面の知恵を体得するエネルギ存在、傷と破壊性を有する怒り、苦しみ[3;1]。
【0050】
質問に応答した個人的な性向と彩色された模様の色とを連係させる知識の例示は次の通りである。
【0051】
「質問シートでうれしい時の色とマンダラの主題色とが同じであると、現在の気持ちが良い状態と判断される。」
[知識2]
IF(1)input#6(3)=主題色、
THEN(1)現在の気持ち=良い状態[2;2]。
【0052】
ここで、input#i(j)は、図3に示された質問の質問項目iの細部項目(j)の答えを意味する。
【0053】
色は人間の思考過程と行動に身体的な影響を与えるだけでなく、人の意識を越えて潜在意識にも精神的な影響を与える。色は人の情緒に密接に関連していると認識される。色に対してどのように反応し、どんな色を使うかというのは、その人の現在の情緒的な状態を分析する際に重要な情報を提供する。たとえ、色が全ての人々に対して同じ意味を持ってはいないが、赤色の情緒的な意味は暴力、熱情、攻撃的、怒りと看做され、黄色は収容力、茶色ははにかみと看做される。
【0054】
深刻な性的虐待を受けた児童や意気消沈した患者は、絵に一つまたは二つの色しか使わないという報告がある。精神的外傷を体験した患者は彼らの精神的苦痛、不安、恐れ、悲しみ、孤独、絶望感などを色で表現する。地震、台風、飛行機の墜落などの天災地変を体験した児童は単に一つ、二つまたは多くても三つの色だけを使い、その色は黒色、白色、あるいは赤色を使う傾向がある。
【0055】
上述したように、絵画療法で使う一般的な絵に表れる色に対する知識に関して例示としていくつかの表現を提示する。このような知識は本発明による心理症状の診断方法にも適用される。
【0056】
[知識3]
IF(0)、
THEN「Johannes Ittenは彼の代表的な美術教育学著書である「色彩の芸術」で「色は私たちの意識とは無関係に、肯定的あるいは否定的に私たちに影響を与えるエネルギである」と記載しました。この専門家システムは△△△様が作成したマンダラの色を通して性格と心理を分析把握して、その結果を提供します。」
[知識4]
IF(0)、
THEN「このシステムでは、△△△様が描いたマンダラに表れている色に意味を付与し解析もしました。しかし、この意味と解析は非常に一般的なものです。全ての色は肯定的な意味と否定的な意味とを共に持っており、個人が育ってきた環境、経験、文化により異なってきます。したがって、このシステムが提供する色に対する意味と解析は、実際と大きく差が生じ得るので、ご了承ください。」
知識3及び4は、本発明による心理症状の診断装置が診断結果を提供する際に、初めの部分に示す一般的な知識であって、本発明はこれに限定されないことは明らかである。
【0057】
一般的な絵から表れる色に対する知識:
[知識5]
IF(1)使われた色の数≦2、
THEN(2)深刻な性的虐待経験and/or意気消沈
[知識6]
IF(1)使われた色の数≦3and使われた色=黒色、白色、赤色、
THEN(1)地震、台風、飛行機の墜落などの天災地変
[知識7]
IF主題色=赤色and赤色の比率≧0.5、
THEN「暴力的、攻撃的な性格を抑える必要があり、または熱情的な性格の持ち主であって、腹が立っている状況であると見られます。」
[知識8]
IF 主題色=黄色and黄色の比率≧0.3、
THEN 受容力が大きい性格
[知識9]
IF 主題色=茶色and茶色の比率≧0.3、
THEN 恥ずかしがり屋
[知識10]
IF(6)主題色=赤色、or主題色=橙色、or主題色=黄色、or副題色=赤色and副題色の比率≧0.2、or副題色=橙色and副題色の比率≧0.2、or副題色=黄色and副題色の比率≧0.2
THEN 「外向的な性格で、自分自身の感情表現が活発で、自由な性格の持ち主です。愛情をもらって育ってられ、誰かを頼ろうとする気があるようです。他人との人間関係が円滑で、よく交わります。自己中心的でありながらも協同性もあり、新しい環境によく適応します。」
[知識11]
IF(1)赤色の比率≧0.5、
THEN 「心理的、精神的に異常状態にあるかと疑ってみる必要があります。」
[知識12]
IF(1)赤色の比率≦0.03、
THEN「あんまり受動的ではないか、何かをしようとする意志力が欠けているのではないか、または自分の主張にとても消極的ではないかと疑って見る必要があります。」
[知識13]
IF 補色=青色−橙色、
THEN 関係性を持とうとする欲望と成就指向的な努力との間の摩擦
[知識14]
IF 寒色の比率≧0.7、
THEN 「△△△様は当面問題を合理的に解決する非常に物静かな性格の持ち主と見られます。」
模様色塗り関連の知識:
[知識15]
IF 主題色=赤色、
THEN 肯定的側面:愛、感覚、熱情、自己信頼、力、権威、持久力、自立心、生の喜び、生の欲求、獲得、生命力、強い意志、勇気、即興性、正直、感謝、容赦、人間的、外向的or否定的側面:本能、怒り、憎しみ、自己憐憫、自己満足、急な性格、無礼、支配的、傲慢、激烈、残忍
[知識16]
IF 主題色=橙色、
THEN 自意識と自己懐疑との両面性and/or油断・不注意な性格であるが、エネルギが溢れる目的指向性と公明心
[知識17]
IF 主題色=橙色、
THEN 肯定的側面:エネルギ、楽天主義、生の欲求、生命力、活動性、勇気、強さ、開放性、若さの活力、元気、自己信頼、親切、純粋、真心、喜び、熱情、自己確信、独立的、建設的、社交的、繊細さ、新鮮さ、食べ物好き、溢れるエネルギ、スポーティーなor否定的側面:権力欲、自己誇示、軽軽しさ、他人に問題を解決してもらう、病的拒食症(あるいは暴食症)、アルコール過飲、傲慢
個人的な性向関連の知識:
[知識18]
IF input#3≠input#5、
THEN 「質問シートの応答に矛盾があります。よく考えてからご作成下さい。」
[知識19]
IF 主題色=input#6(3)、
THEN 「△△△様は現在ご気分が良さそうです。」
[知識20]
IF input#4(1)=input#4(2)and input#4(1)≠input#4(3)、
THEN 「△△△様はお母さんよりお父さんと親しくしているようですね。」
模様色塗り変化に対する知識:
[知識21]
IF(5)(以前の色数)×1.3≦現在の色数、or(以前のクラスタ数)×1.3≦現在のクラスタ数、or(以前の完成度)×1.3≦現在の完成度、or(以前の正確度)×1.3≦現在の正確度、or(以前の集中度)×1.3≦現在の集中度、
THEN 「以前のマンダラ作成時に比べて、より誠意を持ってご作成しまして、その時よりご気分が良さそうです。」
[知識22]
IF(1)以前の主題色=赤色and現在の主題色=青色、
THEN 「以前より、さらに落ち着いて冷静になったようです。」
[知識23]
IF(1)以前の暖色の比率×1.3≦現在の暖色の比率
THEN 「以前より感情表現が豊かで自由になったようです。」
知識21、23で、1.3は変化を感知するための変数であり、任意の数値で変化されることが可能である。
【0058】
また、上述したように、知識以外にも多様な内容の知識が知識データベース14に格納できる。
【0059】
診断対象者の心理症状の診断装置10を利用することに当たって、履歴データベース15は、診断対象者が過去に彩色した模様の分析結果を格納し、現在彩色した模様の分析結果と比較して診断対象者の心理変化を測定しようとする時に利用できる。
【0060】
また、心理症状の診断装置10は、結果提供モジュールをさらに含むことができる。結果提供モジュールは、後述する図20に示されている模様色塗りの分析結果と、図21に示されている心理症状の診断結果とも提供できる。
【0061】
以下では模様色塗り分析部11について、図4から図16を参照して詳細に説明する。
【0062】
図4は、本発明の一実施例による模様色塗り分析部の構成ブロック図であり、図5は、模様色塗り分析部に含まれる色要因分析部の構成ブロック図であり、図6は、模様色塗り分析部に含まれる集中度要因分析部の構成ブロック図であり、図7は、本発明の一実施例による模様色塗り分析方法を示す順序図である。図8は、本発明の一実施例による基本模様を示す図面であり、図9は、図8に示された基本模様が彩色された分析対象図である。図10は、分析対象図を代表色に変換した場合を示す図面であり、図11は、分析対象図の1次色要因中の主題色と補色とを示す図面であり、図12は、分析対象図の1次色要因中の1次色と2次色とを示す図面であり、図13は、分析対象図の1次色要因中の暖色と寒色とを示す図面であり、図14は、分析対象図から抽出されたクラスタを示す図面であり、図15は、基本模様のクラスタと分析対象図のクラスタとが重なっている図面である。図16は、本発明の一実施例による正確度測定方法の順序図である。
【0063】
図4から図6を参照すると、模様色塗り分析部11、入力部110、雑音除去部120、色要因分析部130、集中度要因分析部140、色認識モジュール131、代表色変換モジュール133、1次色要因の抽出モジュール135、2次色要因の判断モジュール137、完成度測定モジュール141、正確度測定モジュール143、集中度要因の判断モジュール145が示されている。
【0064】
ステップS200で、入力部110には、彩色された分析対象図が入力される。診断対象者により彩色された絵が模様色塗り分析の対象となる。以下では本発明の理解と説明の便宜のために、分析対象となる絵は多様な色で彩色されたマンダラ(円)の幾何学的模様であると仮定するが、この他にも人、鳥、犬、木などの一般的な図柄も分析対象となることは明らかである。
【0065】
診断対象者は、図8に示されたマンダラ800の幾何学的模様の基本模様内に多様な色を塗る。診断対象者が多様な色で彩色した絵(以下、分析対象図900という)の一例が図9に示されている。
【0066】
入力部110には、スキャナーでスキャンされたり、カメラで撮影されたりするなど、イメージセンサを用いて撮像され、デジタル化した絵ファイルが入力される。絵ファイルは、コンピュータなどのデジタル装置で各ピクセル別に分析が可能となるBMP、GIF、JPEG、TIFなどのイメージファイル形態であるか、または模様色塗り分析部11で解析可能なファイル形態である。
【0067】
ステップS210で、雑音除去部120は診断対象者の意図とは異なって、塗られていない部分、薄く塗られた部分、重なって塗られた部分などの雑音を除去する。雑音除去部120は、ブラリング(blurring)とクラスタリング(clustering)過程を通して絵の雑音を除去する。例えば、ブラリング過程では一般的に映像の雑音除去に広く用いられる中央値(median)3×3マスクを適用する。これは当該技術分野での通常の知識を有する者にとって自明なことであるので、詳細な説明は省略する。クラスタリング過程では分析対象図900から類似した色を集める。そして、クラスタリング過程でピクセルの色属性(color feature)と空間的連結性(spatial connectivity)とを用いてカラーイメージを分割することが可能である。このような雑音除去部120は分析の信頼性を高めようとする場合、追加的に模様色塗り分析部11に含まれることができる。
【0068】
模様色塗り分析部11は、入力された絵について色要因と集中度要因とを分析する。色要因と集中度要因とは、任意の順であるいは同時に分析されることができる。
【0069】
まず、ステップS220で、色要因の分析は色要因分析部130で行われる。色要因分析部130は、入力部110に入力された絵の色を分析する。絵はピクセル(pixel)に分けられ分析される。例えば、絵が480×640であれば、307、200個のピクセルに区分され分析される。
【0070】
図5を参照すると、色要因分析部130は色認識モジュール131、代表色変換モジュール133、1次色要因の抽出モジュール135、2次色要因の判断モジュール137を含む。
【0071】
ステップS221で、色認識モジュール131は入力部110に入力された絵ファイルの各ピクセルに使われた色を認識する。
【0072】
ステップS223で、代表色変換モジュール133は、色認識モジュール131から認識された色を予め設定された複数の代表色のうちの一つに変換する。予め設定された複数の代表色を表現する色空間はRGB、YUV、HSV、LUV、CIEXYZ、CIELAB、HVCなど、用途と概念に応じて多様である。この中、マンセル(Munsell)表色系と呼ばれるHVCは人の目による色の認識と類似する。HVCは色の三つの属性であって、色相(Hue)、明度(Value)、彩度(Chroma)を示し、色はHV/Cで表記できる。以下、本発明では、代表色変換モジュール133がHVCに基づいて色認識モジュール131から認識された色を複数の代表色のうちの一つに変換すると仮定する。しかし、本願発明はこれに限定されず、代表色変換モジュール133が様々な基準を利用できることは当業者に自明なことである。
【0073】
代表色変換モジュール133は、各ピクセルの色を予め設定された色数の分類による代表色のうちの一つに変換する。あるいは、より多い色数の分類による第1代表色のいずれか一つに変換した後、より少ない色数の分類による第2代表色のいずれか一つに再変換することができる。
【0074】
以下では、本発明の理解と説明の便宜のために、15色分類及び/または47色分類を中心にして説明する。
【0075】
HVCを基準として、韓国工業規格KS A 0011で規定する15種類の色を代表色とする色分類を「15色分類」という。15色分類による代表色は下記の表1に示されている。15色分類による代表色からなる集合を
A15={赤色、橙色、黄色、薄緑色、緑色、青緑色、青色、藍色、紫色、赤紫色、桃色、茶色、白色、灰色、黒色}
で表示する。下記の表1にはA15に含まれる各代表色Iに対する(hi、vi、ci)値が示されている。
【表1】
【0076】
代表色変換モジュール133は、前記の表1に示されたA15に含まれる代表色中、分析対象図900の色と最も近似した代表色を探して分析対象図900の色を変換する。代表色に変換するに当たって、分析対象図900の色と最も近似した代表色を探す方法は次の通りである。
【0077】
絵の色と15個の代表色との間の色差を測定する尺度として距離を定義する。米国標準局(NBS;National Bureau of Standards)は、HVC空間で二つの色(h1、v1、c1)と(h2、v2、c2)との距離尺度として下記式(1)を提示する。
【数1】
【0078】
dis[(h1、v1、c1)、(h2、v2、c2)]を二つの色間のNBS距離という。色とのNBS距離が最も短い代表色を当該色に最も近似した代表色と決め、当該色を当該代表色に変換する。
【0079】
本発明の他の実施例によれば、15色分類以外に47色分類により代表色がさらに細分化できる。例えば、赤色を濃い赤色、赤色、淡い赤色などで細分化する。韓国工業規格KS A 0011には47個の色分類が定義されており、これによる代表色の分類を「47色分類」とし、47色分類による代表色の集合をA47という。
【0080】
47色分類で分類してから、15色分類で色を分類することが可能である。人間は色を赤色系統、青色系統、緑色系統などと大きく分け、これら系統間の差はいくら微小であってもこれを区別する。例えば、青色系統と緑色系統との差はいくら微小であっても区別できるが、15色分類によるNBS距離はあまり差がないので互いに換わってしまうこともある。したがって、47色分類により絵の各色を詳しく分類した後に、分類された各色を15色分類により同一または類似系統の色にグループ化すると、絵の色を正確に15色分類による代表色に変換することができる。
【0081】
与えられた絵の色(h、v、c)を47色分類による代表色に分類する方法は、下記式(2)を満足する代表色jを探すことである。
【数2】
【0082】
すなわち、他の実施例による代表色変換モジュール133は、与えられた絵の色と47色分類による第1代表色との間に前記式(2)を満足する第1代表色を探す。その後、代表色変換モジュール133は第1代表色と15色分類による第2代表色との間のNBS距離を把握し、第1代表色が最も近似している第2代表色を探す。続いて、代表色変換モジュール133は第2代表色を代表色と決め、与えられた絵の色を代表色に変換する。
【0083】
代表色変換モジュール133により15色分類による代表色に変換された絵ファイル1000が図10に示されている。
【0084】
ステップS225で、1次色要因の抽出モジュール135は、代表色変換モジュール133により15色分類による代表色に変換された絵ファイルに対して予め設定された1次色要因を抽出する。
【0085】
1次色要因には、色数、色の種類、色別面積、色別クラスタ数、色の輪郭線などがある。色数と種類は一般的な絵画療法の評価においても重要な要因として活用されるし、色の混合、色の適合性、色の使用程度がさらに考慮され得る。
【0086】
色数は、15色分類により代表色に変換された絵ファイルに使われた代表色の数を意味する。色の種類は、15色分類による代表色に変換された絵ファイルに使われた代表色の種類を意味する。色別面積は、代表色別に当該代表色に分類されたピクセルの数を意味する。色別クラスタ数は、任意の代表色が連続的に塗られた最小限の面積を一つのクラスタであるとする時、このクラスタ数を意味する。
【0087】
色の輪郭線は、15色分類による代表色に変換された絵ファイルに対して各代表色間の境界を意味する。1次色要因の抽出モジュール135は、任意のピクセルを中心にして上下左右のピクセルの代表色が替わったピクセルを抽出する。ここで、抽出されたピクセルの座標である輪郭座標の集合が輪郭線となる。
【0088】
ステップS227で、2次色要因の判断モジュール137は、抽出された1次色要因を用いて2次色要因を判断する。2次色要因の判断モジュール137は、抽出された1次色要因から予め構築されている知識ベースを活用して2次色要因を判断する。2次色要因としては、主題色と副題色、1次色と2次色、暖色と寒色、補色、色の多様性などがある。知識ベース(すなわち、2次色要因を判断するための条件)は、2次色要因の判断モジュール137に予め格納されていることができる。
【0089】
2次色要因に対する詳細な内容は次の通りである。
【0090】
(i)主題色と副題色は次のように定義される。
【0091】
主題色は最も多く使われた色であり、副題色は二番目に多く使われた色である。ただ、塗られた面積が絵の全体面積または模様色塗りの分析対象となる基本模様(例えば、マンダラの最外郭の円)の全体面積のA%(例えば、20%など)未満であると、副題色はないと仮定することができる。
【0092】
図9に示されている分析対象図900を代表色に変換し(図10の1000参照)、代表色中、最も多く使われた色は紫色で30.1%を占め(図11の1100参照)、二番目に多く使われた色は赤色で22.0%を占めている。したがって、これらを各々主題色と副題色と判定する。
【0093】
(ii)1次色と2次色は次のように定義される。
【0094】
1次色は赤色、青色、黄色であり、2次色は緑色、紫色、橙色である。1次色は黄色で代表され(図12の1200参照)、2次色は緑色で代表される(図12の1210参照)。1次色は40.4%、2次色は34.0%と分析される。
【0095】
(iii)補色は次のように定義される。
【0096】
主題色と副題色、またはB%(例えば、12%など)以上の面積を占めながら三番目に多く使われた色が(1)赤色と青緑色、(2)青色と橙色、(3)藍色と橙色、(4)黄色と紫色、または(5)緑色と赤紫色であれば、補色が存在すると定義する。図11を参照すると、黄色は14.4%で三番目で使われた色であって(図11の1110参照)、主題色が紫色(図11の1100参照)であるので黄色と紫色の補色が存在すると判定する。
【0097】
(iv)暖色と寒色は次のように定義される。
【0098】
暖色は赤色、橙色、黄色であり、寒色は青色、藍色である。図13を参照すると、暖色は赤色で代表され(図13の1300参照)、寒色は青色で代表される(図13の1310参照)。暖色は40.4%、寒色は4.0%と分析される。
【0099】
(v)色の多様性は次のように定義される。
【0100】
評価者の専門的経験と知識に基づいて個人的に評価する色使用の一般的概念をいう。
【0101】
色の多様性評価方法は次の二つの方法がある。
【0102】
第1方法:
ステップ1.使われた色数が多いほど色の多様性は高まる。
【0103】
ステップ2.使われた色数が同一である場合、クラスタ数が多いほど色の多様性は高まる。ここで、クラスタは輪郭線で囲まれた最小限の面積を意味する。
【0104】
ステップ3.使われた色数とクラスタ数とが全て同一である場合、輪郭線の長さが長いほど色の多様性は高まる。
【0105】
第2方法:
統計的方法中、回帰分析モデルを適用する。このモデルにおける従属変数は、評価者の色の多様性評価である。このモデルにおける独立変数は色数、クラスタ数、輪郭線の傾き、使われた色である。使われた色を表示する独立変数は可能な色数より一つ少ない指標変数(Indicator Variables)で表す。
【0106】
上述したように、2次色要因の判断モジュール137は1次色要因の抽出モジュール135から抽出された1次色要因から多様な2次色要因を判断する。
【0107】
そして、ステップS230で、色要因分析以外にも、集中度要因分析部140が集中度要因を分析する。
【0108】
図6を参照すると、集中度要因分析部140は完成度測定モジュール141、正確度測定モジュール143、及び集中度要因の判断モジュール145を含む。
【0109】
ステップS231で、完成度測定モジュール141は、分析対象図900から診断対象者の色塗り作業の完成度を測定する。完成度は、基本模様(例えば、図8に示された基本模様の最外郭に配置された円)全体のピクセル数に対する基本模様内に塗られたピクセル数の比率で測定される。
【0110】
ステップS233で、正確度測定モジュール143は、分析対象図900から診断対象者の色塗り作業の正確度を測定する。正確度は、基本模様のクラスタと分析対象図900の色クラスタとの一致程度によって測定される。分析対象図900の色クラスタは、1次色要因の抽出モジュール135から抽出された輪郭線を用いて導き出すことができる。基本模様クラスタは、与えられた基本模様の線で囲まれた最小の面積を意味し、図8を参照すると、基本模様クラスタ数は64個である。分析対象図900において、色クラスタとは同じ色で連続的に塗られた最小の面積を意味し、図14を参照すると、色クラスタの数は18である。基本模様クラスタと色クラスタとが重なった形態は図15に示されている。
【0111】
このような基本模様クラスタと色クラスタとの一致程度を定量的に導き出すための方法が図16に示されている。図16は、本発明の一実施例による正確度測定方法の順序図である。ここで、各ピクセルの色は代表色に変換されていると仮定する。
【0112】
ステップS1600は、基本模様以外の区域を除く段階である。
【0113】
ステップS1610で、任意の基本模様クラスタから代表色別にピクセル数を計算する。ステップS1620で、ピクセル数が最も多い代表色を該当基本模様クラスタで正確に塗られた色と決める。ピクセル数の最も多い代表色が白色であれば、当該基本模様クラスタは塗っていないと看做し、当該基本模様クラスタでは正確に塗られたピクセルがないと判断する。
【0114】
ステップS1630で、各基本模様クラスタに対し、ステップS1610とS1620とを繰り返す。
【0115】
そして、ステップS1640で、各基本模様クラスタで正確に塗られた色のピクセル数を合算する。
【0116】
ステップS1650で、分析対象図の正確に塗られた色のピクセル数を総ピクセル数で分けた値を正確度と判断する。
【0117】
前記方法を通して、正確度測定モジュール143は正確度を定量的データとして測定することが可能である。
【0118】
再び図7を参照すると、集中度要因の判断モジュール145は完成度測定モジュール141から測定された完成度と、正確度測定モジュール143から測定された正確度とに基づいて集中度要因を判断する(ステップS235参照)。
【0119】
本発明において集中度は完成度と正確度だけでなく、色数、クラスタ数とも関連があり得る。このような関係は次の回帰分析方法により説明する。
【0120】
n個の分析対象図サンプルを収集し、m人の評価者が集中度を評価して順位を付ける。集中度が最も高い絵が順位1となり、最も低い絵が順位nとなる。分析対象図サンプルiに対するm人の順位平均をYiと表記する。各サンプルの色数をXi1、クラスタ数をXi2、完成度をXi3、正確度をXi4と表記し、多重線型回帰分析方法を適用する。
【0121】
すなわち、回帰分析モデルは下記式(3)のようになる。
【0122】
[数3]
Yi=β0+β1Xi1+β2Xi2+β3Xi3+β4Xi4+εi、i=1、2、...、n (3)
ここで、εiは互いに独立して、平均0、分散σ2の正規分布であると仮定する。
【0123】
β0は定数係数であり、β1は色数の係数、β2はクラスタ数の係数、β3は完成度の係数、β4は正確度の係数を意味する。
【0124】
β1、β2、β3、β4の符号はマイナス(−)となる。色数とクラスタ数が多いほど、完成度と正確度が高いほど、従属変数の順位値が小さくなる。すなわち集中度が高くなることになる。
【0125】
また、各独立変数の集中度に対する相対的影響力を把握するために標準化した値
Yi’={(Yi−S(Y)}/S(Y)、
Xij’={(Xij−S(Xj)}/S(Xj)、i=1、2、...、n、j=1、2、3、4
を使う標準回帰分析の結果も提供する。ここで、S(Y)とS(Xj)はそれぞれYとXjの標本標準偏差を示す。
【0126】
一実施例として、58枚(n=58)の分析対象図がサンプルとして収集された場合の分析データ及び回帰分析結果は下記の表2のようになる。
【表2】
【0127】
収集されたデータに段階的回帰分析(Stepwise Regression)を適用した結果、評価者の集中度を説明する変数として色数(X1)、クラスタ数(X2)、正確度(X3)が選ばれ、完成度は排除された。完成度と正確度との間に相関度が高いため完成度が排除された。
【0128】
最終的に回帰関数は、Y=65.171−2.973X1−0.666X2−0.241X3である。
【0129】
モデルの適合度を示す決定系数はR2=0.740であって、モデルとして適用するのに充分である。標準誤差は8.44と推定された。
【0130】
係数の符号がマイナス(−)であることは前述したように望ましい結果である。すなわち、説明変数である色数とクラスタ数とが多いほど、また、正確度が高いほど、従属変数の順位値が少なくなる。すなわち、集中度が高まる。例えば、クラスタ数と正確度とが一定した場合、使われた色数が一つずつ多くなると、集中度の順位値は平均2.973ずつ小さくなる。
【0131】
独立変数の標準化された値を用いた回帰関数は、Y’=−0.461X1‘−0.239X2’−0.337X3’である。例えば、正確度が1−標本標準偏差(22.56%)ずつ高まる場合、順位値は平均的に0.337−標本標準偏差(16.12)=5.43ずつ小さくなること(すなわち、集中度が高まる)が分かる。標準化係数において集中度に対する説明変数の影響力の大きさは色数、正確度、クラスタ数の順である。
【0132】
上述したように、集中度要因分析部140は集中度要因を判断して定量的データに算出する。
【0133】
模様色塗り分析部11は、色要因分析部130から分析された色要因と、集中度要因分析部140から分析された集中度要因とを定量的データで提供できる。評価者は当該分析対象図に対応して出力されたデータを用いて絵画療法に適用するのが可能となる。
【0134】
上述した本発明の一実施例による模様色塗り分析部11は、正確でかつ客観的な情報(例えば、1次色要因(色数、種類、クラスタ数、輪郭線など)、2次色要因(主題色と副題色、1次色と2次色、補色、暖色と寒色、色の多様性など)、集中度要因(完成度と正確度から計算)など)を定量的データで出力する。評価者は出力された定量的データを用いて当該分析対象図を彩色した診断対象者の心理症状を診断することになる。
【0135】
心理症状診断部13は、上述したように模様色塗り分析部11により分析された要因(1次色要因、2次色要因、集中度要因など)の一部を選択し、多重線型回帰分析方法を用いて症状を判断する。より詳しくは、心理症状診断部13は症状の程度または症状が重症であるか否かを判断する。
【0136】
図17及び図18は彩色された模様の例示図である。簡易心理テスト方法であるMMSE−K(Mini-Mental State Examination-Korean)により、測定値が最高値30である健常人と分類される老人の絵(図18参照)と、測定値が比較的小さい値9である痴呆患者と分類される老人の絵(図17参照)とが示されている。
【0137】
MMSE−Kは12質問項目の総点30点で構成されている。より詳しくは、MMSE−Kは時間オリエンテーション(5点)、場所オリエンテーション(5点)、記憶登録(3点)、記憶回想(3点)、注意集中と計算能力(5点)、言語機能(7点)、理解と判断能力(2点)を含む。MMSE−Kの合計24点以上は「確定的健常」で、10点以下は「確定的痴呆」で基準を決め、その中間は「痴呆疑い」と区分する。
【0138】
図17及び図18に示された絵を模様色塗り分析部11が分析した結果を下記の表3に示す。
【表3】
【0139】
表3には色と関連した各種要因に対する客観的、定量的情報が提供されている。例えば、色別に塗られた広さが定量的なデータで提供されるので、主題色、副題色の色だけでなく、その広さも分かるようになる。また、1次色と2次色との比率、暖色と寒色との比率だけでなく、何色で構成されているかを把握できる。また、補色が存在するか否かと、何の補色が存在するかが分析できる。また、クラスタ数、作業の完成度、正確度、集中度なども評価される。
【0140】
表3を参照すると、痴呆症状の程度が重い(確定的痴呆)診断対象者の絵である図17は、その程度が弱い(確定的健常)診断対象者の絵である図18に比べて、正確度と完成度が落ち、クラスタ数も少なく、使われた色数も少ないことが分かる。
【0141】
本発明の一実施例によれば症状の程度(Y)を予測することが可能である。
【0142】
MMSE−Kにより測定される症状の程度(Y)をMMSE−Kの要因で説明するために多重線型回帰分析方法を適用する。サンプルの数をnとすれば、回帰分析モデルは下記式(4)のように定形化される。
【0143】
[数4]
Yi=β1Xi1+β2Xi2+…+βkXik+εi、i=1、2、...、n (4)
ここで、εiは互いに独立して、平均0、分散σ2の正規分布であると仮定する。
【0144】
また、各独立変数の相対的な影響力を把握するために標準化された値Yi’とXij’を用いる。
【0145】
[数5]
Yi’={(Yi−S(Y)}/S(Y)、
Xij’={Xij−S(Xj)}/S(Xj)、i=1、2、...、n、j=1、2、...、k (5)
ここで、S(Y)とS(Xj)はそれぞれYとXjの標本標準偏差を示す。
【0146】
説明変数として色数(X1)、主題色(X2)、1次色の比率(%)(X3)、暖色の比率(%)(X4)、補色であるか否か(X5)、クラスタ数(X6)、正確度(X7)、及び完成度(X8)を考慮する。集中度はこれら変数で説明されるから除外することにする。マンダラの完成度を言及した研究により、心理治療の対象者(例えば、脳卒中老人など)に対するマンダラ治療がマンダラの完成度を高めるということは周知の事実である。
【0147】
主題色(X2)として15種類の色を考慮し、これを表現するために14個の指標変数(Indicator Variables)に代える。すなわち、各指標変数は、赤色(X2、1=1)、橙色(X2、2=1)、黄色(X2、3=1)、薄緑色(X2、4=1)、緑色(X2、5=1)、青緑色(X2、6=1)、青色(X2、7=1)、藍色(X2、8=1)、紫色(X2、9=1)、赤紫色(X2、10=1)、桃色(X2、11=1)、茶色(X2、12=1)、白色(X2、13=1)、灰色(X2、14=1)となる。この変数は、該当する色でないと0になる。X2、1=…=X2、14=0であると、黒色になる。補色(X5)の指標変数がX5=1であると補色が存在し、X5=0であると補色が存在しないと表示される。
【0148】
本発明の他の実施例によれば、症状が重症であるか否かを予測することが可能となる。従属変数Yを指標変数とするモデルが樹立可能になる。すなわち、Y=1である場合には検査の測定値が一定値C未満であることを、Y=0である場合には検査の測定値がC以上であることを示す。すなわち、Yの予測値は、症状が重症である確率に解析されることができる。
【0149】
すなわち、心理症状診断部13は、段階的回帰分析方法を適用して21個の説明変数から各実施例に適する変数を各々選定して分析する。
【0150】
以下、老人性疾患を持っている老人たちにより彩色されたマンダラ100枚を収集して、痴呆症状の程度をMMSE−Kで測定した場合を例に挙げて説明する。
【0151】
症状程度の測定値を従属変数とする一実施例(モデルI)と、症状が重症であるか否かを従属変数とする他の実施例(モデルII)について行った段階的回帰分析結果は下記の表4の通りである。
【表4】
【0152】
モデルIにおいて、説明変数として薄緑色(Xa)、茶色(Xb)、緑色(Xc)、クラスタ数(Xd)、正確度(Xe)が選ばれたと仮定する。モデルIの回帰関数は次の通りである。
【0153】
[数6]
Y=4.411+14.598Xa−16.507Xb−5.145Xc+0.718Xd+0.095Xe (6)
クラスタ数と正確度が高くなるほど痴呆予測値が高まる。すなわち、痴呆症状が弱くなる。茶色や緑色が主題色であると痴呆症状が重くなる。薄緑色が主題色であると痴呆症状が弱くなる。痴呆症状の予測値にどれくらい大きな影響を与えるのかも分かるようになる。例えば、正確度が1%ずつ高くなると、痴呆症状は弱くなり、予測値は平均0.14ずつ高くなる。予測値の標準偏差δは6.268と推定された。
【0154】
独立変数の標準化された値を用いた回帰分析直線は次の通りである。
【0155】
[数7]
Y’=0.320Xa’−0.283Xb’−0.132Xc’+0.437Xd’+0.300Xe’ (7)
例えば、正確度が1(標本標準偏差の31.5%)だけ増加すると痴呆予測値は平均0.300高くなる。すなわち、痴呆症状はそれだけ弱くなると予測される。この標準化係数から、痴呆予測値に影響を与える大きさはクラスタ数、薄緑色、正確度、茶色、緑色の順になる。
【0156】
一方、痴呆の重症を分析するためのモデルIIの結果は次の通りである。MMSE−Kで10点以下は「確定的痴呆」と分類する基準に応じて、痴呆測定値が10(=C)未満であるとY=1(重症)、10以上であるとY=0と仮定する。説明変数として茶色(Xo)、色数(Xp)、正確度(Xq)が選ばれた。モデルIIの回帰関数は次の通りである。
【0157】
[数8]
Y=0.748+0.643Xo−0.063Xp−0.005Xq (8)
例えば、他の要因の値が一定であれば、色数が一つずつ増加しながら、重症である確率は平均的に0.063ずつ減ることになる。主題色が茶色である場合には、そうではない場合に比べて重症である確率が平均0.643高まり、これを図20に示した。予測値の標準偏差δは0.378と推定された。
【0158】
独立変数の標準化された値を用いた回帰分析直線は次の通りである。
【0159】
[数9]
Y’=0.235Xo’−0.341Xp’−0.314Xq’ (9)
例えば、正確度が1(標本標準偏差の31.5%)だけ増加すると、重症である確率は平均0.314低くなると予測される。すなわち、痴呆症状はそれだけ弱くなると予測される。これら係数から痴呆予測値に影響を与える大きさは色数、正確度、茶色の順になる。
【0160】
図20は本発明の一実施例による模様色塗り分析部11により、彩色された模様を分析した結果を示す図である。
【0161】
図20を参照すると、彩色された模様の絵、各色の比率(%)、色数、クラスタ数などの1次色要因と、主題色と副題色、補色、1次色と2次色、暖色と寒色などの2次色要因と、正確度、完成度、集中度の集中度要因とが分析されている。
【0162】
図20には示されていないが、図17から図19を参照して説明した症状の程度、症状が重症であるか否かかのことも示すことができることは当業者に自明なことである。
【0163】
心理症状診断部13は、模様色塗り分析部11により分析された結果(図20参照)と、個人性向獲得部12により獲得された結果(図3参照)とに基づいて対象者の心理症状を診断する。その結果が図21に示されている。
【0164】
図20及び/または図21に示されている分析結果はユーザが容易に把握できるようにグラフと図表で提供されることができる。
【0165】
また、本発明の他の実施例によれば、心理症状の診断装置10は二つ以上の絵(彩色された模様)の差を分析して診断対象者の心理変化を予測することができる。この場合、心理症状の診断装置10は、履歴データベース15を備えることができる。心理症状診断部13が履歴データベース15に格納された過去の絵の分析結果と模様色塗り分析部12により分析された現在の絵の分析結果とを比較し、知識データベース14から比較結果による知識を探索して提供することにより、診断対象者の心理変化を予測する。
【0166】
図22及び図23は、同一診断対象者により彩色された模様の過去の絵と現在の絵とを示す図面である。ここで、診断対象者は図3に示されたような質問について次のように答えたと仮定する。
【0167】
問答1.(1)好きな色:赤色、(2)嫌いな色:黒色
問答2.(1)1次色中、好きな色:赤色、(2)2次色中、好きな色:橙色、(3)無彩色中、好きな色:白色
問答3.今の私の心に当たる顔:幸せ
問答4.(1)私の色:赤色、(2)父の色:青色、(3)母の色:緑色
問答5.今の気持ち:とても幸せ
問答6.(1)悲しい時の色:灰色、(2)怒った時の色:黒色、(3)幸せな時の色:赤色
図22に示されている模様色塗りと、図23に示されている模様色塗りとを分析した結果は下記の表5の通りである。
【表5】
【0168】
表5を参照すると、正確度、色数、クラスタ数、完成度、集中度の全ての面で数値が良くなり、心理的な面から肯定的な変化が起こっていることが予測できる。1次色と暖色との使用比率が増加していることから、情緒的に活発になる変化を予測できる。
【0169】
すなわち、心理症状の診断装置10は、二つの絵の違いから知識データベース14の知識を探索して提供することにより、上述のように診断対象者の心理変化を予測して提供できる。これに関連した知識は[知識1]、[知識2]、[知識3]、[知識4]、[知識13]、[知識15]、[知識19]、[知識21]である。
【0170】
以上、図8に例示された基本マンダラ模様を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、分析対象図として多様な模様を含むことができ、それに伴って公知の様々な分析技法も併行することができる。
【0171】
より詳しくは、本発明の実施例による心理症状診断装置10は予め指定された複数の模様を予め指定された方法により診断対象者に提供することができる。そして、診断対象者は複数の模様のうちの所定模様を選択し、配列(または配置)して、彩色することにより分析対象図を完成することができる。
【0172】
例えば、本発明の実施例による分析対象図は木、家、及び人のうち一つ以上を含むことができる。この場合、木−家−人(House Tree Person、HTP)の分析技法が適用できる。
【0173】
例えば、本発明の実施例による分析対象図は家族構成員を含むことができる。この場合、動的家族画技法(Kinetic Family Drawing、KFD)の分析技法がさらに適用され得る。
【0174】
例えば、本発明の実施例による分析対象図はリンゴを取る人の模様を含むことができる。この場合、リンゴを取る人(The Person Picking an Apple From a Tree、PPAT)分析技法がさらに適用され得る。
【0175】
以上の例は、一実施例の説明に過ぎず、本発明の公知された様々な技術と並行して適用できることは本発明の技術的思想に照らして当業者に自明である。
【0176】
一方、上述した正確度測定方法、模様色塗り分析方法、心理症状の診断方法は、コンピュータプログラムで作成可能である。前記プログラムを構成するコード及びコードセグメントは当該分野のコンピュータプログラマーにより容易に推論できる。また、前記プログラムはコンピュータが読み込むことができる情報格納媒体(computer readable media)に格納され、コンピュータにより読み込まれ実行されることにより、文書探索サービスの提供方法を具現する。前記情報格納媒体は、磁気記録媒体、光記録媒体、及びキャリアウェーブ媒体を含む。
【0177】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本発明の一実施例による心理症状の診断装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による心理症状の診断方法を示す順序図である。
【図3】心理症状診断のための質問の例示図である。
【図4】本発明の一実施例による模様色塗り分析部の構成ブロック図である。
【図5】模様色塗り分析部に含まれる色要因分析部の構成ブロック図である。
【図6】模様色塗り分析部に含まれる集中度要因分析部の構成ブロック図である。
【図7】本発明の一実施例による模様色塗り分析方法を示す順序図である。
【図8】本発明の一実施例による基本模様を示す図である。
【図9】図8に示された基本模様に色塗りした分析対象図である。
【図10】分析対象図を代表色に変換した場合を示す図面である。
【図11】分析対象図の1次色要因のうち主題色と補色とを示す図面である。
【図12】分析対象図の1次色要因のうち1次色と2次色とを示す図面である。
【図13】分析対象図の1次色要因のうち暖色と寒色とを示す図面である。
【図14】分析対象図から抽出されたクラスタを示す図面である。
【図15】基本模様のクラスタと分析対象図のクラスタとが重なっている図面である。
【図16】本発明の一実施例による正確度測定方法の順序図である。
【図17】模様色塗りした例示図である。
【図18】模様色塗りした例示図である。
【図19】色数が痴呆症状の重症である確率に及ぼす影響を示すグラフである。
【図20】本発明の一実施例による模様色塗りの分析結果である。
【図21】本発明の一実施例による心理症状の診断結果である。
【図22】同一診断対象者により彩色された過去図の模様を示す図面である。
【図23】同一診断対象者により彩色された現在図の模様を示す図面である。
【符号の説明】
【0179】
10:心理症状の診断装置
11:模様色塗り分析部
12:個人性向獲得部
13:心理症状診断部
14:知識データベース
15:履歴データベース
110:入力部
120:雑音除去部
130:色要因分析部
131:色認識モジュール
133:代表色変換モジュール
135:1次色要因の抽出モジュール
137:2次色要因の判断モジュール
140:集中度要因分析部
141:完成度測定モジュール
143:正確度測定モジュール
145:集中度要因の判断モジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、
前記分析対象図の完成度を測定するステップと、
前記分析対象図の正確度を測定するステップと、
前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む模様色塗り分析方法。
【請求項2】
前記集中度要因の判断ステップは、前記完成度と前記正確度とを説明変数とし、前記集中度を従属変数とする多重線型回帰分析方法を用いて前記集中度要因を判断することを特徴とする請求項1に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項3】
前記完成度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様全体のピクセル数に対して前記基本模様内の塗られたピクセル数の比率を前記完成度として測定することを特徴とする請求項1に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項4】
前記正確度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様のクラスタと前記分析対象図の色クラスタとの一致程度を前記正確度として測定することを特徴とする請求項1に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項5】
前記正確度測定ステップは、
任意の基本模様クラスタで代表色別にピクセル数を計算するステップと、
前記ピクセル数が最も多い代表色を前記基本模様クラスタで正確に塗られた色と決めるステップと、
全ての基本模様クラスタに対して前記ピクセル数の計算ステップ及び前記色決定ステップを繰り返すステップと、
前記全ての基本模様クラスタで正確に塗られた色のピクセル数を合算するステップと、
前記合算されたピクセル数を前記分析対象図の総ピクセル数で分けた値を前記正確度と決めるステップと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項6】
前記正確に塗られた色と決めるステップは、
前記ピクセル数の最も多い代表色が白色である場合、前記基本模様クラスタが塗られなかったと看做し、前記基本模様クラスタには正確に塗られたピクセル数がないと判断することを特徴とする請求項5に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項7】
前記分析対象図は、複数の候補模様のうち一つ以上が選択、配置され彩色されたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の模様色塗り分析方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、
前記分析対象図の色要因を判断するステップと、
前記分析対象図の集中度要因を判断するステップと、を含み、
前記色要因と前記集中度要因との判断は任意の順でまたは同時に行われることを特徴とする模様色塗り分析方法。
【請求項10】
前記色要因の判断ステップは、
前記分析対象図に使われた色を認識するステップと、
前記色を予め設定された複数の代表色のいずれか一つに変換するステップと、
変換された前記代表色から前記分析対象図の1次色要因を抽出するステップと、
前記1次色要因から前記分析対象図の2次色要因を判断するステップと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項11】
前記集中度要因の判断ステップは、
前記分析対象図の完成度を測定するステップと、
前記分析対象図の正確度を測定するステップと、
前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む請求項9に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項12】
前記分析対象図は、複数の候補模様のうち一つ以上が選択、配置され彩色されたことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項13】
請求項9から11のいずれか一項に記載の模様色塗り分析方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、
前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、
前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つを用いて前記診断対象者の心理症状を判断するステップと、を含む心理症状の診断方法。
【請求項15】
前記心理症状を判断するステップは、
前記色要因と前記集中度要因とを説明変数とし、前記心理症状を従属変数とする多重線型回帰分析方法を用いて前記心理症状を判断することを特徴とする請求項14に記載の心理症状の診断方法。
【請求項16】
前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップは、
前記色要因を判断するステップと、前記集中度要因を分析するステップと、を含み、前記色要因と前記集中度要因との判断は任意の順でまたは同時に行われることを特徴とする請求項14に記載の心理症状の診断方法。
【請求項17】
前記色要因を判断するステップは、
前記分析対象図に使われた色を認識するステップと、
前記色を予め設定された複数の代表色のいずれか一つに変換するステップと、
変換された前記代表色から前記分析対象図の1次色要因を抽出するステップと、
前記1次色要因から前記分析対象図の2次色要因を判断するステップと、を含む請求項14に記載の心理症状の診断方法。
【請求項18】
前記代表色変換ステップは、
前記色を予め設定された色数の色分類による第1代表色のいずれか一つに変換するステップと、
予め設定された他の色数の色分類による第2代表色の一つに再変換するステップと、を含み、
前記第1代表色の数が前記第2代表色の数より多いことを特徴とする請求項17に記載の心理症状の診断方法。
【請求項19】
前記1次色要因の抽出ステップは、使われた色数、色の種類、色別面積、クラスタ数、輪郭線、及びこれらの結合のいずれか一つを抽出することを特徴とする請求項17に記載の心理症状の診断方法。
【請求項20】
前記2次色要因の判断ステップは、主題色と副題色との2次色要因、1次色と2次色との2次色要因、暖色と寒色の2次色要因、補色の2次色要因、色の多様性の2次色要因の中の少なくとも一つ以上の2次色要因を定量的データで算出することを特徴とする請求項17に記載の心理症状の診断方法。
【請求項21】
前記集中度要因を分析するステップは、
前記分析対象図の完成度を測定するステップと、
前記分析対象図の正確度を測定するステップと、
前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む請求項16に記載の心理症状の診断方法。
【請求項22】
前記集中度判断ステップは、前記完成度と前記正確度とを説明変数とし、前記集中度を従属変数とする多重線型回帰分析方法を用いて前記集中度要因を判断することを特徴とする請求項21に記載の心理症状の診断方法。
【請求項23】
前記完成度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様全体のピクセル数に対して前記基本模様内に塗られたピクセル数の比率を前記完成度として測定することを特徴とする請求項21に記載の心理症状の診断方法。
【請求項24】
前記正確度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様のクラスタと前記分析対象図の色クラスタとの一致程度を前記正確度として測定することを特徴とする請求項21に記載の心理症状の診断方法。
【請求項25】
前記正確度測定ステップは、
任意の基本模様クラスタで前記代表色別にピクセル数を計算するステップと、
前記ピクセル数が最も多い代表色を前記基本模様クラスタで正確に塗られた色と決めるステップと、
全ての基本模様クラスタに対して前記ピクセル数の計算ステップ及び前記色決定ステップを繰り返すステップと、
前記全ての基本模様クラスタで正確に塗られた色のピクセル数を合算するステップと、
前記合算されたピクセル数を前記分析対象図の総ピクセル数で分けた値を前記正確度として決めるステップと、を含むことを特徴とする請求項23に記載の心理症状の診断方法。
【請求項26】
前記正確に塗られた色と決めるステップは、
前記ピクセル数の最も多い代表色が白色である場合、前記基本模様クラスタが塗られなかったと看做し、前記基本模様クラスタには正確に塗られたピクセル数がないと判断することを特徴とする請求項25に記載の心理症状の診断方法。
【請求項27】
前記分析対象図は、複数の候補模様のうち一つ以上が選択、配置され彩色されたことを特徴とする請求項14から26のいずれか一項に記載の心理症状の診断方法。
【請求項28】
請求項14から26のいずれか一項に記載の心理症状の診断方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項29】
診断対象者に質問を提供するステップと、
前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得するステップと、
前記診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、
前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、
前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断するステップと、を含む心理症状の診断方法。
【請求項30】
前記質問を提供するステップ及び前記個人的な性向を獲得するステップと、前記分析対象図が入力されて前記色要因及び前記集中度要因を分析するステップとは同時にまたは任意の順で行われることを特徴とする請求項29に記載の心理症状の診断方法。
【請求項31】
前記個人的な性向を獲得するステップは、前記質問に対する応答に基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記個人的な性向を獲得することを特徴とする請求項29に記載の心理症状の診断方法。
【請求項32】
前記分析対象図が入力されるステップは、二つ以上の分析対象図が順次入力され、
前記心理症状を診断するステップは、二つ以上の前記分析対象図の分析結果の差に基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理変化を予測することを特徴とする請求項29に記載の心理症状の診断方法。
【請求項33】
前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップは、
前記色要因を判断するステップと、前記集中度要因を分析するステップと、を含み、前記色要因と前記集中度要因との判断は任意の順でまたは同時に行われることを特徴とする請求項29に記載の心理症状の診断方法。
【請求項34】
前記色要因を判断するステップは、
前記分析対象図に使われた色を認識するステップと、
前記色を予め設定された複数の代表色のいずれか一つに変換するステップと、
変換された前記代表色から前記分析対象図の1次色要因を抽出するステップと、
前記1次色要因から前記分析対象図の2次色要因を判断するステップと、を含む請求項33に記載の心理症状の診断方法。
【請求項35】
前記色を認識するステップは、
前記分析対象図をピクセル単位で区分するステップと、
前記ピクセルに塗られた色を認識するステップと、を含むことを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項36】
前記代表色変換ステップは、前記色を予め設定された色数の色分類による代表色のいずれか一つに変換することを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項37】
前記代表色変換ステップは、
前記色を予め設定された色数の色分類による第1代表色のいずれか一つに変換するステップと、
予め設定された他の色数の色分類による第2代表色の一つに再変換するステップと、を含み、
前記第1代表色の数が前記第2代表色の数より多いことを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項38】
前記1次色要因の抽出ステップは、使われた色数、色の種類、色別面積、クラスタ数、輪郭線、及びこれらの結合のいずれか一つを抽出することを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項39】
前記2次色要因の判断ステップは、主題色と副題色との2次色要因、1次色と2次色との2次色要因、暖色と寒色との2次色要因、補色の2次色要因、色の多様性の2次色要因の中の少なくとも一つ以上の2次色要因を定量的データで算出することを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項40】
前記集中度要因を分析するステップは、
前記分析対象図の完成度を測定するステップと、
前記分析対象図の正確度を測定するステップと、
前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む請求項33に記載の心理症状の診断方法。
【請求項41】
前記集中度判断ステップは、前記完成度と前記正確度とを説明変数とし、前記集中度を従属変数とする多重線型回帰分析方法を用いて前記集中度要因を判断することを特徴とする請求項30に記載の心理症状の診断方法。
【請求項42】
前記完成度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様全体のピクセル数に対して前記基本模様内に塗られたピクセル数の比率を前記完成度として測定することを特徴とする請求項30に記載の心理症状の診断方法。
【請求項43】
前記正確度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様のクラスタと前記分析対象図の色クラスタとの一致程度を前記正確度として測定することを特徴とする請求項30に記載の心理症状の診断方法。
【請求項44】
前記正確度測定ステップは、
任意の基本模様クラスタで前記代表色別にピクセル数を計算するステップと、
前記ピクセル数が最も多い代表色を前記基本模様クラスタで正確に塗られた色と決めるステップと、
全ての基本模様クラスタに対して前記ピクセル数の計算ステップ及び前記色決定ステップを繰り返すステップと、
前記全ての基本模様クラスタで正確に塗られた色のピクセル数を合算するステップと、
前記合算されたピクセル数を前記分析対象図の総ピクセル数で分けた値を前記正確度と決めるステップと、を含むことを特徴とする請求項43に記載の心理症状の診断方法。
【請求項45】
前記正確に塗られた色と決めるステップは、
前記ピクセル数の最も多い代表色が白色である場合、前記基本模様クラスタは塗られなかったと看做し、前記基本模様クラスタには正確に塗られたピクセル数がないと判断することを特徴とする請求項44に記載の心理症状の診断方法。
【請求項46】
前記分析対象図は、複数の候補模様のうち一つ以上が選択、配置され彩色されたことを特徴とする請求項29から45のいずれか一項に記載の心理症状の診断方法。
【請求項47】
請求項29から45のいずれか一項に記載の心理症状の診断方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項48】
診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力され、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析する模様色塗り分析部と、
前記診断対象者に質問を提供して前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得する個人性向獲得部と、
前記個人的な性向、前記色要因、及び前記集中度要因に心理症状を連係させる知識を格納している知識データベースと、
前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断する心理症状診断部と、を含む心理症状の診断装置。
【請求項49】
前記模様色塗り分析部により分析された結果を格納する履歴データベースをさらに含み、
前記心理症状診断部は、現在分析対象図の分析結果と前記履歴データベースに格納された過去分析対象図の分析結果との差に基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理変化を予測することを特徴とする請求項48に記載の心理症状の診断装置。
【請求項1】
模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、
前記分析対象図の完成度を測定するステップと、
前記分析対象図の正確度を測定するステップと、
前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む模様色塗り分析方法。
【請求項2】
前記集中度要因の判断ステップは、前記完成度と前記正確度とを説明変数とし、前記集中度を従属変数とする多重線型回帰分析方法を用いて前記集中度要因を判断することを特徴とする請求項1に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項3】
前記完成度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様全体のピクセル数に対して前記基本模様内の塗られたピクセル数の比率を前記完成度として測定することを特徴とする請求項1に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項4】
前記正確度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様のクラスタと前記分析対象図の色クラスタとの一致程度を前記正確度として測定することを特徴とする請求項1に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項5】
前記正確度測定ステップは、
任意の基本模様クラスタで代表色別にピクセル数を計算するステップと、
前記ピクセル数が最も多い代表色を前記基本模様クラスタで正確に塗られた色と決めるステップと、
全ての基本模様クラスタに対して前記ピクセル数の計算ステップ及び前記色決定ステップを繰り返すステップと、
前記全ての基本模様クラスタで正確に塗られた色のピクセル数を合算するステップと、
前記合算されたピクセル数を前記分析対象図の総ピクセル数で分けた値を前記正確度と決めるステップと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項6】
前記正確に塗られた色と決めるステップは、
前記ピクセル数の最も多い代表色が白色である場合、前記基本模様クラスタが塗られなかったと看做し、前記基本模様クラスタには正確に塗られたピクセル数がないと判断することを特徴とする請求項5に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項7】
前記分析対象図は、複数の候補模様のうち一つ以上が選択、配置され彩色されたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の模様色塗り分析方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、
前記分析対象図の色要因を判断するステップと、
前記分析対象図の集中度要因を判断するステップと、を含み、
前記色要因と前記集中度要因との判断は任意の順でまたは同時に行われることを特徴とする模様色塗り分析方法。
【請求項10】
前記色要因の判断ステップは、
前記分析対象図に使われた色を認識するステップと、
前記色を予め設定された複数の代表色のいずれか一つに変換するステップと、
変換された前記代表色から前記分析対象図の1次色要因を抽出するステップと、
前記1次色要因から前記分析対象図の2次色要因を判断するステップと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項11】
前記集中度要因の判断ステップは、
前記分析対象図の完成度を測定するステップと、
前記分析対象図の正確度を測定するステップと、
前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む請求項9に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項12】
前記分析対象図は、複数の候補模様のうち一つ以上が選択、配置され彩色されたことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の模様色塗り分析方法。
【請求項13】
請求項9から11のいずれか一項に記載の模様色塗り分析方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、
前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、
前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つを用いて前記診断対象者の心理症状を判断するステップと、を含む心理症状の診断方法。
【請求項15】
前記心理症状を判断するステップは、
前記色要因と前記集中度要因とを説明変数とし、前記心理症状を従属変数とする多重線型回帰分析方法を用いて前記心理症状を判断することを特徴とする請求項14に記載の心理症状の診断方法。
【請求項16】
前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップは、
前記色要因を判断するステップと、前記集中度要因を分析するステップと、を含み、前記色要因と前記集中度要因との判断は任意の順でまたは同時に行われることを特徴とする請求項14に記載の心理症状の診断方法。
【請求項17】
前記色要因を判断するステップは、
前記分析対象図に使われた色を認識するステップと、
前記色を予め設定された複数の代表色のいずれか一つに変換するステップと、
変換された前記代表色から前記分析対象図の1次色要因を抽出するステップと、
前記1次色要因から前記分析対象図の2次色要因を判断するステップと、を含む請求項14に記載の心理症状の診断方法。
【請求項18】
前記代表色変換ステップは、
前記色を予め設定された色数の色分類による第1代表色のいずれか一つに変換するステップと、
予め設定された他の色数の色分類による第2代表色の一つに再変換するステップと、を含み、
前記第1代表色の数が前記第2代表色の数より多いことを特徴とする請求項17に記載の心理症状の診断方法。
【請求項19】
前記1次色要因の抽出ステップは、使われた色数、色の種類、色別面積、クラスタ数、輪郭線、及びこれらの結合のいずれか一つを抽出することを特徴とする請求項17に記載の心理症状の診断方法。
【請求項20】
前記2次色要因の判断ステップは、主題色と副題色との2次色要因、1次色と2次色との2次色要因、暖色と寒色の2次色要因、補色の2次色要因、色の多様性の2次色要因の中の少なくとも一つ以上の2次色要因を定量的データで算出することを特徴とする請求項17に記載の心理症状の診断方法。
【請求項21】
前記集中度要因を分析するステップは、
前記分析対象図の完成度を測定するステップと、
前記分析対象図の正確度を測定するステップと、
前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む請求項16に記載の心理症状の診断方法。
【請求項22】
前記集中度判断ステップは、前記完成度と前記正確度とを説明変数とし、前記集中度を従属変数とする多重線型回帰分析方法を用いて前記集中度要因を判断することを特徴とする請求項21に記載の心理症状の診断方法。
【請求項23】
前記完成度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様全体のピクセル数に対して前記基本模様内に塗られたピクセル数の比率を前記完成度として測定することを特徴とする請求項21に記載の心理症状の診断方法。
【請求項24】
前記正確度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様のクラスタと前記分析対象図の色クラスタとの一致程度を前記正確度として測定することを特徴とする請求項21に記載の心理症状の診断方法。
【請求項25】
前記正確度測定ステップは、
任意の基本模様クラスタで前記代表色別にピクセル数を計算するステップと、
前記ピクセル数が最も多い代表色を前記基本模様クラスタで正確に塗られた色と決めるステップと、
全ての基本模様クラスタに対して前記ピクセル数の計算ステップ及び前記色決定ステップを繰り返すステップと、
前記全ての基本模様クラスタで正確に塗られた色のピクセル数を合算するステップと、
前記合算されたピクセル数を前記分析対象図の総ピクセル数で分けた値を前記正確度として決めるステップと、を含むことを特徴とする請求項23に記載の心理症状の診断方法。
【請求項26】
前記正確に塗られた色と決めるステップは、
前記ピクセル数の最も多い代表色が白色である場合、前記基本模様クラスタが塗られなかったと看做し、前記基本模様クラスタには正確に塗られたピクセル数がないと判断することを特徴とする請求項25に記載の心理症状の診断方法。
【請求項27】
前記分析対象図は、複数の候補模様のうち一つ以上が選択、配置され彩色されたことを特徴とする請求項14から26のいずれか一項に記載の心理症状の診断方法。
【請求項28】
請求項14から26のいずれか一項に記載の心理症状の診断方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項29】
診断対象者に質問を提供するステップと、
前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得するステップと、
前記診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力されるステップと、
前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップと、
前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断するステップと、を含む心理症状の診断方法。
【請求項30】
前記質問を提供するステップ及び前記個人的な性向を獲得するステップと、前記分析対象図が入力されて前記色要因及び前記集中度要因を分析するステップとは同時にまたは任意の順で行われることを特徴とする請求項29に記載の心理症状の診断方法。
【請求項31】
前記個人的な性向を獲得するステップは、前記質問に対する応答に基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記個人的な性向を獲得することを特徴とする請求項29に記載の心理症状の診断方法。
【請求項32】
前記分析対象図が入力されるステップは、二つ以上の分析対象図が順次入力され、
前記心理症状を診断するステップは、二つ以上の前記分析対象図の分析結果の差に基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理変化を予測することを特徴とする請求項29に記載の心理症状の診断方法。
【請求項33】
前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析するステップは、
前記色要因を判断するステップと、前記集中度要因を分析するステップと、を含み、前記色要因と前記集中度要因との判断は任意の順でまたは同時に行われることを特徴とする請求項29に記載の心理症状の診断方法。
【請求項34】
前記色要因を判断するステップは、
前記分析対象図に使われた色を認識するステップと、
前記色を予め設定された複数の代表色のいずれか一つに変換するステップと、
変換された前記代表色から前記分析対象図の1次色要因を抽出するステップと、
前記1次色要因から前記分析対象図の2次色要因を判断するステップと、を含む請求項33に記載の心理症状の診断方法。
【請求項35】
前記色を認識するステップは、
前記分析対象図をピクセル単位で区分するステップと、
前記ピクセルに塗られた色を認識するステップと、を含むことを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項36】
前記代表色変換ステップは、前記色を予め設定された色数の色分類による代表色のいずれか一つに変換することを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項37】
前記代表色変換ステップは、
前記色を予め設定された色数の色分類による第1代表色のいずれか一つに変換するステップと、
予め設定された他の色数の色分類による第2代表色の一つに再変換するステップと、を含み、
前記第1代表色の数が前記第2代表色の数より多いことを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項38】
前記1次色要因の抽出ステップは、使われた色数、色の種類、色別面積、クラスタ数、輪郭線、及びこれらの結合のいずれか一つを抽出することを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項39】
前記2次色要因の判断ステップは、主題色と副題色との2次色要因、1次色と2次色との2次色要因、暖色と寒色との2次色要因、補色の2次色要因、色の多様性の2次色要因の中の少なくとも一つ以上の2次色要因を定量的データで算出することを特徴とする請求項34に記載の心理症状の診断方法。
【請求項40】
前記集中度要因を分析するステップは、
前記分析対象図の完成度を測定するステップと、
前記分析対象図の正確度を測定するステップと、
前記完成度と前記正確度とに基づいて前記模様色塗り作業の集中度要因を判断するステップと、を含む請求項33に記載の心理症状の診断方法。
【請求項41】
前記集中度判断ステップは、前記完成度と前記正確度とを説明変数とし、前記集中度を従属変数とする多重線型回帰分析方法を用いて前記集中度要因を判断することを特徴とする請求項30に記載の心理症状の診断方法。
【請求項42】
前記完成度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様全体のピクセル数に対して前記基本模様内に塗られたピクセル数の比率を前記完成度として測定することを特徴とする請求項30に記載の心理症状の診断方法。
【請求項43】
前記正確度測定ステップは、前記分析対象図の基本模様のクラスタと前記分析対象図の色クラスタとの一致程度を前記正確度として測定することを特徴とする請求項30に記載の心理症状の診断方法。
【請求項44】
前記正確度測定ステップは、
任意の基本模様クラスタで前記代表色別にピクセル数を計算するステップと、
前記ピクセル数が最も多い代表色を前記基本模様クラスタで正確に塗られた色と決めるステップと、
全ての基本模様クラスタに対して前記ピクセル数の計算ステップ及び前記色決定ステップを繰り返すステップと、
前記全ての基本模様クラスタで正確に塗られた色のピクセル数を合算するステップと、
前記合算されたピクセル数を前記分析対象図の総ピクセル数で分けた値を前記正確度と決めるステップと、を含むことを特徴とする請求項43に記載の心理症状の診断方法。
【請求項45】
前記正確に塗られた色と決めるステップは、
前記ピクセル数の最も多い代表色が白色である場合、前記基本模様クラスタは塗られなかったと看做し、前記基本模様クラスタには正確に塗られたピクセル数がないと判断することを特徴とする請求項44に記載の心理症状の診断方法。
【請求項46】
前記分析対象図は、複数の候補模様のうち一つ以上が選択、配置され彩色されたことを特徴とする請求項29から45のいずれか一項に記載の心理症状の診断方法。
【請求項47】
請求項29から45のいずれか一項に記載の心理症状の診断方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項48】
診断対象者の模様色塗り作業による分析対象図が入力され、前記分析対象図の色要因及び集中度要因を分析する模様色塗り分析部と、
前記診断対象者に質問を提供して前記質問に対する応答から前記診断対象者の個人的な性向を獲得する個人性向獲得部と、
前記個人的な性向、前記色要因、及び前記集中度要因に心理症状を連係させる知識を格納している知識データベースと、
前記色要因及び前記集中度要因の少なくとも一つと、前記個人的な性向とに基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理症状を診断する心理症状診断部と、を含む心理症状の診断装置。
【請求項49】
前記模様色塗り分析部により分析された結果を格納する履歴データベースをさらに含み、
前記心理症状診断部は、現在分析対象図の分析結果と前記履歴データベースに格納された過去分析対象図の分析結果との差に基づいて前記知識データベースから知識を探索して前記診断対象者の心理変化を予測することを特徴とする請求項48に記載の心理症状の診断装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図16】
【図19】
【図3】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図16】
【図19】
【図3】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−178538(P2009−178538A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119682(P2008−119682)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り [研究集会名] 韓・米絵画療法年次学術大会、第14回年次学術発表大会 [主催者名] 韓国絵画療法学会 [開催日名] 平成19年11月2日
【出願人】(505176556)コリア ユニバーシティ インダストリアル アンド アカデミック コラボレイション ファウンデーション (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り [研究集会名] 韓・米絵画療法年次学術大会、第14回年次学術発表大会 [主催者名] 韓国絵画療法学会 [開催日名] 平成19年11月2日
【出願人】(505176556)コリア ユニバーシティ インダストリアル アンド アカデミック コラボレイション ファウンデーション (29)
【Fターム(参考)】
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