説明

絵画道具一式収納カート並びに該カート用エーゼル、絵具箱及びカバー

【課題】絵画道具一式を楽に持運び可能とすることで、道具運びによる疲労を軽減するとともに、移動の際の安全性を確保することができる絵画道具一式収納カート並びに該カート用エーゼル、絵具箱及びカバーの提供を図る。
【解決手段】把持部2と、下方に車輪4及び立掛部5を備える荷台と、該把持部2と荷台とを接続支持すると共に把持部2を収納する機能を有する支持部と、荷台の上に設けられる絵画道具収納箱7と、該絵画道具収納箱7と支持部との間に形成される折畳み椅子C及び折畳みエーゼルEを収納するための空間と、を有する構成からなる絵画道具一式収納カート1であり、該絵画道具収納箱7が、正面下方部の蓋体9が開放状態において水平に固定可能であってテーブルとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絵画道具一式収納カート並びに該カート用エーゼル、絵具箱及びカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
写生をする場合において、絵画道具は多種多様であって、必須のものだけでもキャンパスやパレット、エーゼルに絵具、水差し等の様に豊富である。これらの絵画道具を、全て一つにまとめて持ち歩くのは困難を極める。すなわち、従来においては、バッグ等に絵具やパレット等の小物を詰込み、大きいエーゼルやキャンパスなどは担いだり手で持って移動したりしていた。この場合、荷物の重さで写生現場へ行くまでに疲れてしまい、また、大きい道具のせいで身動きが不自由になるといった問題があった。特に、遠くの地に出向いて写生する場合には、かかる問題は顕著に現れ、絵画道具を現場へ持っていくだけで疲れてしまい、精神的に写生どころではなくなってしまう。
【特許文献1】特開2000‐289398
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題点に鑑み、本発明は、絵画道具一式を楽に持運び可能とすることで、道具運びによる疲労を軽減するとともに、移動の際の安全性を確保することができる絵画道具一式収納カート並びに該カート用エーゼル、絵具箱及びカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するため、本発明は、把持部と、下方に車輪及び立掛部を備える荷台と、該把持部と荷台とを接続支持すると共に把持部を収納する機能を有する支持部と、荷台の上に設けられる絵画道具収納箱と、該絵画道具収納箱と支持部との間に形成される折畳み椅子及び折畳みエーゼルを収納するための空間と、を有する構成からなる絵画道具一式収納カートである。
【0005】
また、本発明は、前記絵画道具収納箱が、キャンパス収納室と絵具箱収納室と絵画雑具収納室とからなる構成とすることができる。
【0006】
さらに、本発明は、前記絵画道具収納箱が、その上面が任意の一辺にヒンジ構造を有する蓋体に構成されるとともに正面下方部が上方一辺にヒンジ構造を有する蓋体に構成され、該正面下方部の蓋体が開放状態において水平に固定可能であってテーブルとして機能する構成を採ることもできる。
【0007】
そしてまた、本発明は、キャンパスを設置するエーゼルであって、折畳み可能となっており、二本の脚部の両下端にフックを備え、展開した状態において前記絵画道具収納箱の背面上部に該フックを引掛けるとともに裏面を前記把持部に立掛けることで、絵画道具一式収納カート全体をエーゼルとして使用することが可能である構成からなる絵画道具一式収納カート用エーゼルである。
【0008】
またさらに、本発明は、前記絵具箱収納室に収納可能な大きさの上面を開放した下段箱体と、該下段箱体の上面を覆う状態で重ねられる中段箱体と、該中段箱体の上面を覆う状態で重ねられる上段箱体と、該上段箱体上面を覆う蓋とから構成され、各箱体が連結されて階段状に展開可能となっており、該展開した状態で中段箱体及び上段箱体の高さ位置を維持するための脚部を設けた構成からなる絵画道具一式収納カート用絵具箱である。
【0009】
さらにまた、本発明は、前記絵画道具収納箱を覆うカバーであって、正面及び上面を開放可能に構成するとともに、背面には移動時に背負うための肩掛け帯を備えた構成からなる絵画道具一式収納カート用カバーである。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる絵画道具一式収納カートによれば、絵画道具一式を一のカートで全て一つにまとめて持運ぶことができるため、道具運びの煩雑さがなくなり大変に便利である。
【0011】
また、車輪を有するカートであるため、荷物全体が重い場合であっても楽に持運び可能であって、道具運びによる疲労を軽減し、さらには、片手でカートを引きずれば持運び可能であるため、両手が塞がることなく移動の際の安全性を確保することができる。
【0012】
そしてまた、現場で実際に写生をする場合に、本発明にかかる絵画道具一式収納カートがそのままエーゼルや絵画道具を置くためのテーブルとして使用することが可能となるといった効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかる絵画道具一式収納カート1を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート1を示す斜視図であり、図2は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート1を示す側面図である。該絵画道具一式収納カート1は、把持部2と、下方に車輪4及び立掛部5を備える荷台3と、該把持部2と荷台3とを接続支持すると共に把持部2を収納する機能を有する支持部6と、荷台3の上に設けられる絵画道具収納箱7と、該絵画道具収納箱7と支持部6との間に形成される折畳み椅子C及び折畳みエーゼルEを収納するための空間Sと、を有する構成からなる。
【0015】
把持部2は、支持部6へ収納可能な構造となっており、絵画道具一式収納カート1全体の高さは、該把持部2の収納によって変化する。かかる収納の構造に限定はないが、折畳み式やスライド式収納構造等が考えられる。
【0016】
荷台3の上に設けられた絵画道具収納箱7は、キャンパス収納室7aと絵具箱収納室7bと絵画雑具収納室7cとから構成される。キャンパス収納室7aは、絵画道具収納箱7内の背面側に設けられ、キャンパスGが二枚程度収納可能なスペースを有する。絵画道具収納箱7内におけるキャンパス収納室7aを除いた残りの正面側スペースを上下に分割し、上方側が絵具箱収納室7b、下方側が絵画雑具収納室7cとなる。
【0017】
絵画道具収納箱7の上面は、任意の一辺にヒンジ構造を有する蓋体8に構成され、該蓋体8を開放するとキャンパス収納室7a及び絵具箱収納室7bにつながり、絵画道具収納箱7の上側から絵具箱FやキャンパスGの出し入れが可能となっている。また、該蓋体8を閉鎖した状態においては、絵画道具等を置くためのテーブルとして使用することができる。さらに、絵画道具収納箱7の正面下方部は、上方一辺にヒンジ構造を有する蓋体9に構成され、該蓋体9を開放すると絵画雑具収納室7cにつながり、絵画道具収納箱7の正面側から水差し等の絵画雑具が出し入れ可能となっている。そしてまた、該蓋体9を開放した状態で水平に固定することが可能となっており、絵画道具等を置くためのテーブルとして使用することができる。その際の蓋体9を固定するための構造については、図3に示されている。すなわち、絵画雑具収納室7c内に収められている回動自在の蓋体支持具10を外へ引き出し、その上に蓋体9を載せて固定する構造となっている。
【0018】
尚、絵画道具一式収納カート1全体の材質については特に限定はないが、荷台3や把持部2並びに支持部6については、通常の一般的なカートと同様、アルミやステンレス等の軽量金属で成型されるのが好ましい。また、絵画道具収納箱7の材質についても同様に限定はないが、軽量かつ丈夫であることを考慮すると、やはりアルミやステンレス等の軽量金属で成型されるのが好ましく、さらに軽量化のためには、網状に構成された軽量金属とすることが望ましい。
【0019】
図4は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEを示す正面斜視図である。該絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEは、エーゼル枠体E1が折畳み可能となっており、二本の脚部の両下端にフックE3を備え、エーゼル枠体E1を展開した状態においてキャンパス設置台E2を該エーゼル枠体E1に嵌め込み固定して、前記絵画道具収納箱7の背面上部に該フックE3を引掛けるとともに裏面を前記把持部2に立掛けることで、絵画道具一式収納カート1全体をエーゼルとして使用することが可能である構成となっている。
【0020】
図5は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEの折り畳んだ状態を示す説明図である。図4に示す絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEの組立て状態からキャンパス設置台E2を外し、折畳み可能であるエーゼル枠体E1を折り畳み、そこへ外されたキャンパス設置台E2を重ね合わせて集合体が構成される。その集合体にされたエーゼルEを紐等で固定し、一本のコンパクトな棒状体となって、本発明にかかる絵画道具一式収納カート1に形成された空間Sに立て掛け収納されることとなる。
【0021】
図6は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEの取付け状態を示す部分拡大図であり、図7は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEの取付け状態を示す斜視図である。網状に構成された軽量金属からなる絵画道具収納箱7の背面上部にフックE3を引掛けて、エーゼル枠体E1の脚部は該絵画道具収納箱7に固定される。そしてまた、絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEの裏面が把持部2に接触するように立掛けられる。このとき、絵画道具収納箱7と支持部6との間に空間Sが形成されていることで、絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEは写生のための適度な傾きを有することとなる。このようにして、絵画道具一式収納カート1全体がエーゼルとしての役割を果たすこととなる。
【0022】
図8は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート用絵具箱Fを示す説明図である。該絵画道具一式収納カート用絵具箱Fは、上面を開放した下段箱体F1と、該下段箱体F1を覆う状態で重ねられる下段箱体F1と同大かつ上面を開放した中段箱体F2と、該中段箱体F2を覆う状態で重ねられる下段箱体F1及び中段箱体F2と同大かつ上面を開放した上段箱体F3と、該上段箱体F3上面を覆う蓋11とから構成されている。各箱体は、絵具箱収納室7bに収納可能な大きさであって、それぞれ連結されて階段状に展開可能となっており、該展開した状態で中段箱体F2及び上段箱体F3の高さ位置を維持するための脚部13が設けられている。
【0023】
該絵画道具一式収納カート用絵具箱Fは、図8(a)に示すように、各箱体が重ねられ、上段箱体F3の上面が蓋11で閉鎖されて、一体となって絵画道具収納箱7の絵具箱収納室7bに出し入れ自在となる。図8(b)は、上記一体となった絵画道具一式収納カート用絵具箱Fを使用するための展開途中の状態を示し、図8(c)は、使用可能状態へ完全に展開した状態を示している。
【0024】
尚、図面では、各箱体を展開させるための構造として、下段箱体F1の側面後部と中段箱体F2の側面中央部と上段箱体F3の側面前部とを直線帯状の一本の連結具12で回動自在に連結した構造を採用した場合を示しているが、この構造に限定されるものではなく、例えば、下段箱体F1及び中段箱体F2の側壁上端にスライドレールを設けて中段箱体F2及び上段箱体F3をスライドさせる構造を採用するなど、種々の構造を採ることが可能である。
【0025】
図9は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート1を使用して実際に写生している状態を示す説明図である。絵画道具収納箱7と支持部6との間の空間Sに収納された折畳み椅子C及び絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEを取り出し、折畳み椅子Cは絵画道具一式収納カート1の正面側に配置され、絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルEは組み立てられて絵画道具収納箱7の背面側に設置される。絵画道具収納箱7内から種々の道具が取り出された後、該絵画道具収納箱7上面の蓋体8は閉鎖されてテーブルとして機能し、また正面下方部の蓋体9もテーブルとして機能するように水平に固定される。キャンパスGはキャンパス設置台E2に置かれ、また、絵画道具一式収納カート用絵具箱Fやその他の絵画雑具は前記テーブル機能を有する蓋体8・9に置かれて、絵画道具一式収納カート1は写生をする状態となる。
【0026】
図10は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート用カバーHを示す説明図である。該絵画道具一式収納カート用カバーHは、側面を絵画道具収納箱7との固定手段を有するカバー本体H1とし、正面及び上面が開放可能であるようにカバー蓋体H2で構成され、背面には移動時に背負うための肩掛け帯H3を備えた構成となっている。
【0027】
尚、絵画道具一式収納カート用カバーHの材質としては、特に限定するものではないが、降雨時などにおける防水性等を考慮すると、かかる防水機能を備えたビニール製や布製のものが好ましい。
【0028】
図11は、本発明にかかる絵画道具一式収納カート用カバーHのカバー蓋体H2の開放状態を示す斜視図である。該カバー蓋体H2を正面だけでなく上面まで開放可能とすることで、絵画道具収納箱7上面の蓋体8の開閉に資することとなる。尚、カバー本体H1とカバー蓋体H2との開閉手段については、特に限定はなく、ボタン式やファスナー式、ベルクロファスナー式等、種々の手段を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にかかる絵画道具一式収納カートを示す斜視図である。
【図2】本発明にかかる絵画道具一式収納カートを示す側方断面図である。
【図3】本発明にかかる絵画道具一式収納カートの正面下方部の開閉構造を示す部分拡大図である。
【図4】本発明にかかる絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルを示す正面斜視図である。
【図5】本発明にかかる絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルの折り畳んだ状態を示す説明図である。
【図6】本発明にかかる絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルの取付け状態を示す部分拡大図である。
【図7】本発明にかかる絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼルの取付け状態を示す斜視図である。
【図8】本発明にかかる絵画道具一式収納カート用絵具箱を示す説明図である。
【図9】本発明にかかる絵画道具一式収納カートを使用して実際に写生している状態を示す説明図である。
【図10】本発明にかかる絵画道具一式収納カート用カバーを示す説明図である。
【図11】本発明にかかる絵画道具一式収納カート用カバーのカバー蓋体の開放状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 絵画道具一式収納カート
2 把持部
3 荷台
4 車輪
5 立掛部
6 支持部
7 絵画道具収納箱
7a キャンパス収納室
7b 絵具箱収納室
7c 絵画雑具収納室
8 蓋体
9 蓋体
10 蓋体支持具
11 蓋
12 連結具
13 脚部
C 折畳み椅子
E 折畳みエーゼル
E1 エーゼル枠体
E2 キャンパス設置台
E3 フック
F 絵具箱
F1 下段箱体
F2 中段箱体
F3 上段箱体
G キャンパス
H カバー
H1 カバー本体
H2 カバー蓋体
H3 肩掛け帯
S 空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部と、下方に車輪及び立掛部を備える荷台と、該把持部と荷台とを接続支持すると共に把持部を収納する機能を有する支持部と、荷台の上に設けられる絵画道具収納箱と、該絵画道具収納箱と支持部との間に形成される折畳み椅子及び折畳みエーゼルを収納するための空間と、を有することを特徴とする絵画道具一式収納カート。
【請求項2】
前記絵画道具収納箱が、キャンパス収納室と絵具箱収納室と絵画雑具収納室とからなることを特徴とする請求項1に記載の絵画道具一式収納カート。
【請求項3】
前記絵画道具収納箱が、その上面が任意の一辺にヒンジ構造を有する蓋体に構成されるとともに正面下方部が上方一辺にヒンジ構造を有する蓋体に構成され、該正面下方部の蓋体が開放状態において水平に固定可能であってテーブルとして機能することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の絵画道具一式収納カート。
【請求項4】
キャンパスを設置するエーゼルであって、折畳み可能となっており、二本の脚部の両下端にフックを備え、展開した状態において前記絵画道具収納箱の背面上部に該フックを引掛けるとともに裏面を前記把持部に立掛けることで、絵画道具一式収納カート全体をエーゼルとして使用することが可能であることを特徴とする絵画道具一式収納カート用折畳みエーゼル。
【請求項5】
前記絵具箱収納室に収納可能な大きさの上面を開放した下段箱体と、該下段箱体の上面を覆う状態で重ねられる中段箱体と、該中段箱体の上面を覆う状態で重ねられる上段箱体と、該上段箱体上面を覆う蓋とから構成され、各箱体が連結されて階段状に展開可能となっており、該展開した状態で中段箱体及び上段箱体の高さ位置を維持するための脚部を設けてなることを特徴とする絵画道具一式収納カート用絵具箱。
【請求項6】
前記絵画道具収納箱を覆うカバーであって、正面及び上面を開放可能に構成するとともに、背面には移動時に背負うための肩掛け帯を備えたことを特徴とする絵画道具一式収納カート用カバー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−42906(P2006−42906A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224540(P2004−224540)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(504192748)
【Fターム(参考)】