説明

絶縁操作棒及びその把持具

【課題】軽量であると共に電気絶縁性を有し、且つ耐酸化性に優れた絶縁操作棒用先端把持具と、先端にこの先端把持具を備えた絶縁操作棒とを提供する。
【解決手段】絶縁操作棒1の先端に設けられる先端把持具10,11の少なくとも一部をCFRP製とする。CFRPは、炭素繊維を10〜90重量%含有していることが好ましい。該炭素繊維は、密度が1.5〜2.3g/cmであり、比弾性率が10,000,000〜45,000,000メートルであり、比強度が100,000〜370,000メートルであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁操作棒の先端に設けられる把持具に関するものである。詳しくは、本発明は、高圧電線配電線路などの無停電工事において、絶縁電線を挟んだり、絶縁電線の接続部などに装着されている絶縁カバーを取り外したりする作業などに使用されるのに好適な絶縁操作棒の把持具に関するものである。また、本発明は、この把持具を備えた絶縁操作棒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記作業等に使用されている絶縁操作棒には、把持具を遠隔操作するためのレバー等を備えたものがある(特許文献1)。この絶縁操作棒は、作業者が手元のレバー等を操作することにより、長い絶縁操作棒の先端部に装着されている把持具を操作又は開閉できる構造になっている。
【0003】
第4図は、絶縁操作棒の構成図である。
【0004】
FRPパイプなどからなる長尺の絶縁操作棒1の先端(第4図における上端)に設けられた把持装置取付部2に、工具取り付け用連結部3や、把持装置4が装着されている。この把持装置4は、後述のロープ7を介して開閉操作される、先端把持具としての可動把持金具8を備えている。
【0005】
絶縁操作棒1には、ラチェット機構を備えたレバー5が取り付けられているものがある。このレバー5と、可動把持金具8の基部のロープ引き止め金具6との間にロープ7が張り渡されている。レバー5を操作して、ロープ7を絶縁操作棒1の後端(第4図における下端)側に引き寄せたり、該絶縁操作棒1の先端側に戻したりすることにより、可動把持金具8を開閉させることができ、間接活線挟み作業が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−156732
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の絶縁操作棒の先端把持具は金属製であり、重量が大きく、また導電性を有している。
【0008】
また、金属製の先端把持具は、大気中での使用において、比較的経年酸化し易い。
【0009】
本発明は、軽量であると共に電気絶縁性を有し、且つ十分な機械的強度が有り、耐酸化性に優れた絶縁操作棒用先端把持具と、この先端把持具を備えた絶縁操作棒とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(請求項1)の絶縁操作棒用先端把持具は、配電作業用絶縁操作棒の先端に設けられる把持具において、該先端把持具の少なくとも一部をCFRP製としたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の絶縁操作棒用先端把持具は、請求項1において、該CFRP製の部分は、少なくとも一部が湾曲ないし屈曲した形状に延在しており、該CFRPの炭素繊維は、該CFRP製の部分の延在方向に延在し、且つ該CFRP製の部分の延在方向の一端側から他端側まで一様に分布するように配材されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の絶縁操作棒用先端把持具は、請求項1又は2において、該CFRPが炭素繊維を10〜90重量%含有するものであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の絶縁操作棒用先端把持具は、請求項3において、該CFRP中の炭素繊維の密度は1.5〜2.3g/cmであり、該炭素繊維の比弾性率は10,000,000〜45,000,000メートルであり、該炭素繊維の比強度は100,000〜370,000メートルであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5の絶縁操作棒用先端把持具は、請求項4において、該炭素繊維は、繊維径が3μm〜20μmであり、平均繊維長が1mm以上であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6の絶縁操作棒用先端把持具は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記CFRP製の部分の表層に、電気抵抗率が10kΩm以上の有機繊維又は無機繊維が配合されたシートプリプレグが積層されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明(請求項7)の絶縁操作棒は、先端に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の先端把持具が設けられたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の絶縁操作棒用先端把持具は、少なくとも一部がCFRP(炭素繊維強化合成樹脂)製であるので、軽量であると共に、表面電気抵抗に優れる。従って、この先端把持具を備えた絶縁操作棒は、先端側が軽量であり、操作し易い。且つ電気絶縁性にも優れるため、短絡や感電の恐れを低下させる。
【0018】
また、先端把持具をCFRP製とすることにより、他の樹脂材と比べ、曲げ強度が高いものとなる。
【0019】
先端把持具のCFRP製部分が、少なくとも一部が湾曲ないし屈曲した形状に延在している場合、CFRPの炭素繊維は、このCFRP製部分の延在方向に延在し、且つ該CFRP製部分の延在方向の一端側から他端側まで一様に分布するように配材されることが好ましい。このように構成することにより、例えば予め炭素繊維を所定方向(一定方向)に配向させて板状に成形したCFRP板材を湾曲ないし屈曲した形状に切り出してこのCFRP製部分を形作ったり、このCFRP製部分を複数のパーツに分割してそれぞれCFRPにより成形した後、これらのパーツを接着してこのCFRP製部分を形作るよりも、より強度の高いものとなる。
【0020】
先端把持具の表面に非黒色の塗装、好ましくは黄色など明色系の塗装を施すことにより、先端把持具の被視認性が向上し、絶縁操作棒を使用した作業時に先端把持具を見分け易くなり、作業性が向上する。また、塗装を施すことにより、先端把持具の耐候性、耐食性が向上すると共に、美観も向上する。
【0021】
本発明においては、経済産業省 輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(貨物等省令)第4条第二号に基づき、CFRPの炭素繊維の比弾性率及び比強度の単位としてそれぞれ「メートル」を用いる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る絶縁操作棒用先端把持具の平面図である。
【図2】図1の先端把持具を備えた絶縁操作棒用把持装置の平面図である。
【図3】図2の絶縁操作棒用把持装置の側面図である
【図4】従来の絶縁操作棒の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図〜第3図は実施の形態に係る絶縁操作棒用先端把持具の構成を示すものである。なお、第1図及び第2図は、先端把持具10又は11を、絶縁操作棒1の長手方向及び後述の回動軸14の軸心線方向と直交方向から見た図であり、第3図は、該回動軸14の軸心線方向と平行方向から見た図である。以下、先端側とは、把持装置9が絶縁操作棒1の先端に取り付けられた状態における該絶縁操作棒1の先端側(第4図における上端側)をいい、後端側とは、この状態における該絶縁操作棒1の後端側(第4図における下端側)をいう。
【0024】
第2,3図の通り、把持装置9は、電線等を挟み込むようにして把持する1対の先端把持具10,11と、これらの先端把持具10,11同士を接近及び離反方向に回動可能に(即ち挟み込み動作可能に)保持しており、絶縁操作棒1の先端の把持装置取付部2(第4図)に接続される基部12とを備えている。
【0025】
第1図の通り、先端把持具10,11は、それぞれ、第1図の平面視形状は略C字形であり、且つ第3図の側面視形状は、各々の先端側と後端側との途中部同士が離反しており該先端側同士が接近した略「く」字形である3次元湾曲ないし屈曲形状(以下、3次元C字形状ということがある。)を有している。この3次元C字形状に延在した各先端把持具10,11の後端側から、それぞれ、基部12への連結用凸部10a,11aが突出している。各先端把持具10,11の先端側からは、それぞれ、突片部10b,11bが突出している。これらの先端把持具10,11同士は、互いに鏡像の如き面対称形状となるように構成されている。なお、先端把持具10,11の形状はこれに限定されない。
【0026】
基部12は、把持装置取付部2に固定される固定側基部13と、該固定側基部13に回動軸14を介して回動可能に連結された可動側基部15とを有している。固定側基部13は、先端側に、先端把持具連結用凹部13aが設けられており、後端側には、把持装置取付部2に接続される接続部13bが設けられている。可動側基部15は、先端側に、先端把持具連結用凹部15aが設けられており、後端側が、固定側基部13に対し回動軸14を介して先端把持具10,11の接近及び離反方向に回動可能に連結されている。この可動側基部15の後端側から側方へ、該可動側基部15の回動操作用の操作片16が突出している。第3図の通り、可動側基部15と操作片16とは、回動軸14を挟んで略「く」字形に連なっている。
【0027】
先端把持具10の連結用凸部10aが固定側基部13の連結用凹部13aに挿入されてビス又は接着剤等によって固定されることにより、先端把持具10が固定側基部13に連結されている。また、先端把持具11の連結用凸部11aが可動側基部15の連結用凹部15aに挿入されてビス又は接着剤等によって固定されることにより、先端把持具11が可動側基部15に連結されている。なお、先端把持具10が可動側基部15に連結され、先端把持具11が固定側基部13に連結されてもよい。各先端把持具10,11と固定側基部13及び可動側基部15とは、上記の凸部10a,11aと凹部13a,15aとの嵌合以外の連結構造により連結されてもよい。以下、先端把持具10を固定側先端把持具といい、先端把持具11を可動側先端把持具ということがある。
【0028】
この把持装置9は、前述の第4図の把持装置4と同様に、絶縁操作棒1の先端側に配置され、固定側基部13の接続部13bを介して把持装置取付部2に取り付けられる。接続部13bは、ボルト、ビス又は接着剤等によって把持装置取付部2に固定される。そして、可動側基部15の操作片16と絶縁操作棒1のレバー5との間にロープ7が張り渡される。これにより、把持装置9付き絶縁操作棒1が構成される。
【0029】
第4図の把持装置4と同様に、レバー5を操作してロープ7を絶縁操作棒1の後端側に引っ張ると、可動側先端把持具11が固定側先端把持具10に対し接近方向に回動してこれらの先端部同士が閉じ、ロープ7を絶縁操作棒1の先端側に戻すと、可動側先端把持具11が固定側先端把持具10から離反方向に回動してこれらの先端部同士が開く。
【0030】
この実施の形態では、各先端把持具10,11、固定側基部13及び可動側基部15は、いずれもCFRP製である。この実施の形態では、各先端把持具10,11は、全体がCFRPにより成形されている。なお、各先端把持具10,11は、少なくとも一部、例えば電線等に接触する可能性がある部分のみがCFRPにより成形されてもよい。固定側基部13及び可動側基部15も、全体がCFRPにより成形されてもよく、少なくとも一部、例えば電線等に接触する可能性がある部分のみがCFRPにより成形されてもよい。回動軸14も、CFRPにより成形されてもよい。これらの基部13,15及び回動軸14は、CFRP以外の材料(例えば金属)により構成されてもよい。
【0031】
CFRP中の炭素繊維は、各部材の長手方向に延在していることが好ましい。3次元C字形状の各先端把持具10,11にあっては、炭素繊維は、第1図及び第3図の線Cの通り、これらの延在方向に延在し、且つ突片部10b,11b及び連結用凸部10a,11aにまで延在していることが好ましい。固定側基部13にあっては、炭素繊維は、該固定側基部13の先端側から後端側(接続部13b)まで延在していることが好ましい。可動側基部15にあっては、炭素繊維は、該可動側基部15の先端側から該可動側基部15の後端側を経由して操作片16の先端側まで延在していることが好ましい。
【0032】
このようにCFRPにより成形された先端把持具10,11は、機械的特性に優れ、軽量であると共に、電気絶縁性に優れる。従って、この先端把持具10,11を備えた絶縁操作棒は、先端側が軽量であり、操作し易い。
【0033】
また、各先端把持具10,11において、炭素繊維を各先端把持具10,11の延在方向に沿うように3次元C字状に延在させ、且つ各先端把持具10,11の基端側から先端側まで一様に(即ち各先端把持具10,11の延在方向の途中で炭素繊維が途切れることを極力少なくするように)炭素繊維を配材することにより、例えば予め炭素繊維を所定方向(一定方向)に配向させて板状に成形したCFRP板材をC字状に切り出して各先端把持具10,11を形作ったり、各先端把持具10,11を複数のパーツに分割してそれぞれCFRPにより成形した後、これらのパーツを接着して各先端把持具10,11を形作るよりも、各先端把持具10,11がより強度の高いものとなる。
【0034】
さらに、各先端把持具10,11は、CFRP製であるため、従来の金属製先端把持具に比べて耐酸化性に優れ、大気中での酸化による機械的強度の経年劣化を防ぐことが出来る。
【0035】
各先端把持具10,11にあっては、CFRPの表層に、有機繊維もしくは無機繊維が配合されたシートプリプレグを配材することも可能である。このシートプリプレグに配合される有機繊維又は無機繊維は、電気抵抗率が10k(キロ)Ωm以上、特に10M(メガ)Ωm〜10T(テラ)Ωmのものが好適である。これにより、各先端把持具10,11は、より表面電気抵抗に優れたものとなる。この有機繊維としては、例えばアラミド繊維などの合成繊維、セルロース、バンブー、ジュート、ケナフ、バガスなどの天然有機繊維が好適であり、無機繊維としては、例えばガラス繊維やセラミック繊維、ロックウールなどが好適である。この有機繊維又は無機繊維シートプリプレグは、突片部10b,11bの表面にまで連続して配材されてもよい。また、基部12を構成する各部の表面にも配材されてもよい。
【0036】
本発明では、各先端把持具10,11の外面に塗料によって塗装を施すのが好ましく、特に非黒色系、とりわけ黄色、白色などの明色系の塗装を施すのが好ましい。塗料としては、フッ素系、ウレタン系などを用いることができるがこれに限定されない。かかる明色系の塗装を施すことにより、先端把持具の被視認性が向上し、夕方や夜間などの作業時でも絶縁操作棒先端の先端把持具を見分け易くなり、作業性が向上する。また、塗装を施すことにより、先端把持具の耐候性、耐食性が向上すると共に、美観も向上する。
【0037】
以下、本発明の先端把持具を構成するCFRPの炭素繊維及び合成樹脂の好適例について説明する。
【0038】
炭素繊維としては、アクリロニトリル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維とコールタールピッチを原料とするピッチ系炭素繊維の両方を用いることができるが、より機械的特性を高める場合にはピッチ系炭素繊維を用いることが好ましい。市販のPAN系炭素繊維の繊維軸方向の引張弾性率は一般的なグレードでは230GPa〜400GPaにとどまる。これに対してピッチ系炭素繊維は繊維軸方向の引張弾性率で400GPa〜900GPa以上のものの作成が比較的容易であり、一般にPAN系炭素繊維に比べて高弾性、高機能を達成し易い。ピッチ系炭素繊維は、原料ピッチを溶融化してピッチ繊維を得、次いで不融化、炭化或いは更に黒鉛化することによって得られる。
【0039】
CFRPは、炭素繊維を10〜90重量%、特に50〜75重量%含有することが好ましい。炭素繊維の繊維径は3〜20μm、特に5〜12μmであることが好ましい。炭素繊維の平均繊維長は1mm以上、特に6mm以上であることが好ましい。CFRP中の炭素繊維の密度は1.5〜2.3g/cm、特に1.7〜2.2g/cmであることが好ましい。炭素繊維の比弾性率は10,000,000〜45,000,000メートル、特に12,000,000〜24,000,000メートルであることが好ましい。炭素繊維の比強度は100,000〜370,000メートル、特に120,000〜280,000メートルであることが好ましい。
【0040】
以下の表1に、一般的なピッチ系炭素繊維とPAN系炭素繊維の物性を表記し、用途適正を示す。なお、表1において、ピッチ系炭素繊維Aは三菱樹脂株式会社製炭素繊維ダイアリード(登録商標)長繊維12Kタイプの汎用グレードK63712のものであり、ピッチ系炭素繊維Bは三菱樹脂株式会社製炭素繊維ダイアリード(登録商標)長繊維12Kタイプの高弾性グレードK63A12のものであり、ピッチ系炭素繊維Cは日本グラファイトファイバー株式会社製炭素繊維GRANOC(登録商標)長繊維3Kタイプの低弾性高伸度グレードXN−05のものであり、PAN系炭素繊維Aは三菱レイヨン株式会社製炭素繊維パイロフィル(登録商標)長繊維12Lタイプの汎用グレードTR50Sのものであり、PAN系炭素繊維Bは三菱レイヨン株式会社製炭素繊維パイロフィル(登録商標)長繊維12Mタイプの高弾性グレードHR40のものである。
【0041】
【表1】

【0042】
炭素繊維と複合化するマトリックス樹脂は、硬化性合成樹脂、熱可塑性合成樹脂のいずれでもよい。硬化性合成樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂(例えば紫外線硬化性樹脂)等が挙げられる。
【0043】
熱硬化性樹脂としては、常温で流動性を示し、加熱により硬化性を示す樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン、シリコーン樹脂等を挙げることができる。特に、炭素繊維との接着性や剛性、取り扱い易さの観点からエポキシ樹脂が好ましい。
【0044】
光硬化性樹脂としては、ラジカル重合性成分及び光ラジカル重合開始剤、カチオン重合性成分及び光カチオン重合開始剤からなる組成物が用いることができる。この発明では、特に制限はないが好ましくは硬化後の樹脂剛性を考慮した場合、カチオン重合性成分及び光カチオン重合開始剤からなる組成物を用いることが好ましい。
【0045】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリメチルペンテン樹脂(PMP)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンテフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリカーボネート樹脂(PC)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE)、ポリエーテルサルホン樹脂(PES)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI),ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニルサルフォン樹脂(PPSU)、ポリフタルアミド樹脂(PPA)等の芳香族ポリアミド樹脂などが挙げられる。
【0046】
これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0047】
これらの樹脂には、難燃剤、カップリング剤、導電性付与剤、無機フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、各種染顔料等、通常、樹脂に配合される各種の添加剤を配合しても良い。
【0048】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明の先端把持具は図示以外の形状とされてもよい。
【0049】
例えば、上記の実施の形態では、各先端把持具10,11は、固定側基部13及び可動側基部15と別々に成形された後、ビスや接着材等により連結されているが、本発明では、先端把持具10と固定側基部13、及び先端把持具11と可動側基部15がそれぞれCFRPにより一体に成形されてもよい。この場合、CFRPの炭素繊維は、各先端把持具10,11の先端側から各基部13,15の後端側まで延在していることが好ましい。
【符号の説明】
【0050】
1 絶縁操作棒
2 把持装置取付部
3 工具取り付け用連結部
4 把持装置
5 レバー
6 ロープ引き止め金具
7 ロープ
8 可動把持金具
9 把持装置
10,11 先端把持具
12 基部
13 固定側基部
15 可動側基部
16 操作片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電作業用絶縁操作棒の先端に設けられる把持具において、該先端把持具の少なくとも一部をCFRP製としたことを特徴とする絶縁操作棒用先端把持具。
【請求項2】
請求項1において、該CFRP製の部分は、少なくとも一部が湾曲ないし屈曲した形状に延在しており、
該CFRPの炭素繊維は、該CFRP製の部分の延在方向に延在し、且つ該CFRP製の部分の延在方向の一端側から他端側まで一様に分布するように配材されていることを特徴とする絶縁操作棒用先端把持具。
【請求項3】
請求項1又は2において、該CFRPが炭素繊維を10〜90重量%含有するものであることを特徴とする絶縁操作棒用先端把持具。
【請求項4】
請求項3において、該CFRP中の炭素繊維の密度は1.5〜2.3g/cmであり、該炭素繊維の比弾性率は10,000,000〜45,000,000メートルであり、該炭素繊維の比強度は100,000〜370,000メートルであることを特徴とする絶縁操作棒用先端把持具。
【請求項5】
請求項4において、該炭素繊維は、繊維径が3μm〜20μmであり、平均繊維長が1mm以上であることを特徴とする絶縁操作棒用先端把持具。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記CFRP製の部分の表層に、電気抵抗率が10kΩm以上の有機繊維又は無機繊維が配合されたシートプリプレグが積層されていることを特徴とする絶縁操作棒用先端把持具。
【請求項7】
先端に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の先端把持具が設けられた絶縁操作棒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−231608(P2012−231608A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98517(P2011−98517)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【出願人】(000196565)西日本電線株式会社 (57)