絶縁被覆の剥離方法及び装置
【課題】短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる絶縁被膜の剥離方法及び装置を提供すること。
【解決手段】平角導体Wに備わるエナメル被膜Weを、バーナー11の火炎11aにより加熱して平角導体Wから剥離するエナメル被膜の剥離方法において、平角導体Wの加熱面(W1)とは逆側の面(W2)を冷却槽14に収容された冷却水13に接触させることにより平角導体Wを冷却しながら、平角導体Wの温度を一定範囲内に保ちながらエナメル被膜Weをバーナー11で加熱することにより、エナメル被膜Weを平角導体Wから剥離する。
【解決手段】平角導体Wに備わるエナメル被膜Weを、バーナー11の火炎11aにより加熱して平角導体Wから剥離するエナメル被膜の剥離方法において、平角導体Wの加熱面(W1)とは逆側の面(W2)を冷却槽14に収容された冷却水13に接触させることにより平角導体Wを冷却しながら、平角導体Wの温度を一定範囲内に保ちながらエナメル被膜Weをバーナー11で加熱することにより、エナメル被膜Weを平角導体Wから剥離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体の表面に備わる絶縁被膜を剥離する方法及び装置に関する。より詳細には、絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被覆の剥離方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステータなどに備わるコイルを構成する導体は、その外周面にエナメル等の絶縁被膜が形成されているが、各導体を電気的に接続する必要がある部分では絶縁被膜を剥離する必要がある。このため、導体の絶縁被膜は、導体がステータコアに装着される前にあらかじめ所定の箇所で剥離されている。
【0003】
例えば、絶縁被覆の剥離方法として、レーザ光を絶縁被膜に照射して絶縁被膜を加熱して導体から剥離することが実施されている(特許文献1参照)。あるいは、装置コストを抑えるために、レーザ光ではなくバーナーなどにより絶縁被膜を火炎によって加熱して、絶縁被膜を導体から剥離することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−174263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した絶縁被覆の剥離方法では、絶縁被覆が加熱された際に高温となり、絶縁被膜が焦げて導体表面に炭化物が発生してしまう。そして、炭化物が導体表面に残存した状態では、その残存部分で電気的に導通を得ることができなくなる。そのため、絶縁被膜を剥離した剥離部分で電気的に導通を確実に得るために、ブラシなどによって導体表面に残存する炭化物を除去する必要があった。これにより、工程数が増えてしまうという問題があった。
【0006】
そして、例えば、断面が矩形の平角導体の場合であれば、それぞれの面において絶縁被膜の剥離と炭化物の除去とを行わなければならない。そのため、工程数が非常に多くなり、絶縁被膜の剥離に時間を要するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる絶縁被膜の剥離方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、導体に備わる絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被膜の剥離方法において、導体を冷却しながら導体の温度を一定範囲内に保ちつつ絶縁被膜を加熱することにより、絶縁被膜を導体から剥離することを特徴とする。
【0009】
この絶縁被膜の剥離方法では、導体を冷却しながら絶縁被膜を加熱するため、絶縁被膜が一定の温度範囲内に保たれて高温にならないので、絶縁被膜が焦げて炭化することを防止することができる。これにより、導体表面に炭化物を発生させることなく絶縁被膜を剥離することができる。従って、炭化物を除去する必要がなくなるため、工程を削減することができる。よって、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【0010】
上記した絶縁被膜の剥離方法において、加熱時における導体の温度を、冷却により270〜290℃に保つことが望ましい。
【0011】
加熱時における導体の温度を上記した温度範囲に保つことにより、絶縁被膜を加熱して導体表面に炭化物を発生させることなく確実に導体から剥離することができるからである。そして、このような温度範囲とするのは、加熱時における導体の温度が290℃を超えてしまうと、絶縁被膜が高温になり焦げてしまって炭化物が発生するおそれがある一方、加熱時における導体の温度が270℃よりも低いと(冷却し過ぎると)、絶縁被膜を完全に剥離することができないおそれがあるからである。
【0012】
上記した絶縁被膜の剥離方法において、導体の加熱面とは逆側の面を冷却水に接触させることにより導体を冷却することが望ましい。
【0013】
導体の加熱面(絶縁被膜を剥離する面)とは逆側の面のみを冷却水(常温)に接触させることにより、加熱時における導体の温度を270〜290℃に保つことができるからである。このように非常に簡単な方法により、加熱時における導体の温度を一定の温度範囲に保つことができ、導体表面に炭化物を発生させることなく確実に導体から剥離することができる。
【0014】
上記した絶縁被膜の剥離方法において、絶縁被膜を剥離した直後、導体全体を冷却水に水没させて急冷することが望ましい。
【0015】
絶縁被膜を導体から剥離すると、導体表面に芯材の活性面が露出するため、剥離後数秒程度でその露出部分に酸化膜が生成してしまう。導体表面に酸化膜が生成すると、接触抵抗が大きくなり電気的に導通が得られないおそれがある。そのため、導体表面に酸化膜が生成されることを防ぐ必要がある。
そこで、絶縁被膜を剥離した直後、導体全体を冷却水に水没させて急冷する。これにより、導体表面に酸化膜が生成されることを確実に防止することができる。従って、絶縁被膜が剥離された部分において、確実に導通を得ることができる。
【0016】
そして、上記した絶縁被膜の剥離方法においては、バーナーにより絶縁被膜を加熱すれば良い。
このように、バーナーを用いて絶縁被膜を加熱して導体から剥離することにより、装置コストを抑えつつ、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【0017】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別態様は、導体に備わる絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被膜の剥離装置において、導体を加熱する加熱手段と、導体を保持する保持手段と、導体を冷却する冷却水を収容する冷却水槽とを有し、前記保持手段は、導体が前記冷却水槽内の冷却水に接するように保持し、前記加熱手段は、冷却水に接している面とは逆側の面における絶縁被膜を加熱することを特徴とする。
【0018】
この絶縁被膜の剥離装置では、保持手段により、導体が冷却水槽内の冷却水に接するように保持され、加熱手段により、冷却水に接している面とは逆側の面における絶縁被膜が加熱される。このように、導体を冷却しながら絶縁被膜を加熱するため、絶縁被膜が一定の温度範囲内に保たれて高温にならないので、絶縁被膜が焦げて炭化することを防止することができる。これにより、導体表面に炭化物を発生させることなく絶縁被膜を剥離することができる。従って、炭化物を除去する必要がなくなるため、工程を削減することができる。よって、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【0019】
上記した絶縁被膜の剥離装置において、前記保持手段は、前記加熱手段による加熱により絶縁被膜が剥離された直後、保持している導体の全体を前記冷却水槽内の冷却水に水没させることが望ましい。
【0020】
このようにすることにより、導体表面に酸化膜が生成されることを確実に防止することができる。従って、導体の絶縁被膜が剥離された部分において、確実に導通を得ることができる。
【0021】
そして、上記した絶縁被膜の剥離装置においては、前記加熱手段としてバーナーを用いれば良い。
このように、バーナーを用いて絶縁被膜を加熱して導体から剥離することにより、装置コストを抑えつつ、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る絶縁被膜の剥離方法及び装置によれば、上記した通り、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係る剥離装置の概略構成を示す図である。
【図2】剥離装置にセットされた平角導体の状態を示す図である。
【図3】バーナーで平角導体を加熱し始めた状態を示す図である。
【図4】バーナーを移動させながら平角導体からエナメル被覆を剥離している状態を示す図である。
【図5】平角導体の第1面におけるエナメル被覆を剥離した状態を示す図である。
【図6】水浸深さと平角導体の加熱温度との関係を示す図である。
【図7】水浸深さを説明するための図である。
【図8】エナメル被覆を剥離した直後に平角導体を冷却水に水没させた状態を示す図である。
【図9】平角導体の第2面におけるエナメル被覆を剥離し始める状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の絶縁被膜の剥離方法及び装置を具体化した実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。ここでは、平角導体に備わるエナメル被覆を剥離する場合について例示する。
まず、剥離装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る剥離装置の概略構成を示す図である。図2は、剥離装置にセットされた平角導体の状態を示す図である。
【0025】
図1に示すように、剥離装置10には、平角導体Wを火炎により加熱するバーナー11と、平角導体Wを保持する保持部12と、冷却水13を収容する冷却槽14と、バーナー11を移動させる送り装置15と、保持部12及び送り装置15が固定されているフレーム16とが備わっている。そして、剥離装置10では、図2に示すようにセットされた平角導体Wの表面に備わるエナメル被覆Weを、冷却槽14で平角導体Wを冷却しながらバーナー11で加熱して剥離するようになっている。
【0026】
バーナー11は、火炎11aにより平角導体Wを加熱してエナメル被覆Weを剥離するものであり、本実施の形態では、水素酸素混合ガス燃焼バーナーを使用している。このバーナー11は、送り装置15によって移動(図1では前後左右方向に移動)可能にフレーム16へ取り付けられている。バーナー11には、燃料ライン17が接続されており、水素・酸素発生装置18から水素と酸素が供給されるようになっている。これにより、バーナー11は、火炎11aを平角導体Wの所定領域(エナメル被覆剥離範囲)に照射することができるようになっている。
【0027】
保持部12は、平角導体Wを水平に保持しつつ上下動させるものである。保持部12には、平角導体Wを水平に把持するクランプ12aと、クランプ12aを回転させる回転部12bと、クランプ12aを移動させるアクチュエータ12cとが備わっている。そして、保持部12では、クランプ12aに保持された平角導体Wを、アクチュエータ12cの動作により、その底面(図2では第2面W2)が冷却槽14内の冷却水13に接するように配置することができるとともに、冷却水13内に水没させることができるようになっている(図8参照)。
【0028】
また、保持部12では、回転部12bの動作により、クランプ12aで保持した平角導体Wを回転(回動)させることができるようになっている。これにより、平角導体Wの第1面から第4面W1〜W4をそれぞれ、バーナー11に対向させる、あるいは冷却水13に接触させることができるようになっている。具体的には、第1面W1をバーナー11に対向させつつ第2面W2を冷却水13に接触させる、あるいはその逆に、第2面W2をバーナー11に対向させつつ第1面W1を冷却水13に接触させることができるようになっている。または、第3面W3をバーナー11に対向させつつ第4面W4を冷却水13に接触させる、あるいはその逆に、第4面W4をバーナー11に対向させつつ第3面W3を冷却水13に接触させることができるようになっている。
【0029】
冷却槽14は、上面が開口した容器であり、その内部に冷却水13が収容されている。なお、冷却槽14には、図2に示すように、平角導体Wを完全に水没させることができるように冷却水13が満たされている。
【0030】
続いて、上記した剥離装置10による平角導体Wのエナメル被覆Weを剥離する手順について、図3〜図9も参照しながら説明する。図3は、バーナーで平角導体を加熱し始めた状態を示す図である。図4は、バーナーを移動させながら平角導体からエナメル被覆を剥離している状態を示す図である。図5は、平角導体の第1面におけるエナメル被覆を剥離した状態を示す図である。図6は、水浸深さと平角導体の加熱温度との関係を示す図である。図7は、水浸深さを説明するための図である。図8は、エナメル被覆を剥離した直後に平角導体を冷却水に水没させた状態を示す図である。図9は、平角導体の第2面におけるエナメル被覆を剥離し始める状態を示す図である。
【0031】
まず、図1及び図2に示すように、保持部12により、平角導線Wを水平に保持して第2面W2が冷却水13に接するように配置する(水浸深さD(図7参照)が、D=0[mm]となる)。次に、図3に示すように、バーナー11に点火して火炎11aを発生させ、その火炎11aにより平角導線Wの第1面W1におけるエナメル剥離範囲を加熱する。すなわち、図4に示すように、送り装置15によってバーナー11を平行移動させて第1面W1におけるエナメル剥離範囲に対して火炎11aを照射する。
【0032】
このとき、第1面W1とは逆側の第2面W2が冷却水13に接しており、平角導体Wにおいては、第2面W2から冷却されつつ第1面W1が加熱される。その結果、平角導体Wの温度が一定範囲(280℃程度)に保たれる。これにより、バーナー11の火炎11aが照射された部分において、炭化物が発生する事なくエナメル被覆Weが平角導体Wから剥離されていく。
そして、図5に示すように、バーナー11の火炎11aを第1面W1におけるエナメル剥離範囲全域に照射し終わると、その部分において炭化物が発生することなくエナメル被覆Weが平角導体Wから剥離されている。なお、第1面W1の加熱時間は15〜20秒程度である。
【0033】
ここで、加熱条件によるエナメル被覆の剥離状態の違いについて説明する。図6に示すように、従来のように平角導体Wを冷却せずにバーナー11の火炎11aで加熱すると、加熱後数秒で300℃以上になりその後も温度が上昇していく。そのため、平角導体Wが高温となり、エナメル被覆Weを剥離した平角導体Wの表面に炭化物が発生して残存してしまう。
【0034】
そのため、本実施の形態では、平角導体Wを冷却水13によって冷却しつつバーナー11で加熱することにより、平角導体Wが高温にならないようにして、エナメル被覆Weを剥離した平角導体Wの表面に炭化物が発生しないようにしている。
そこで、平角導体Wの冷却条件によるエナメル被覆Weの剥離状態の違いを調べたので、その結果について説明する。冷却条件としては、図7に示す水浸深さDを変化させた。なお、水浸深さDとは、図7に示すように、平角導体Wを冷却水13中に沈めた深さを意味する。
【0035】
図6に示すように、水浸深さD=0[mm]の場合、加熱時において平角導体Wの温度は280℃程度となった。この条件下では、平角導体Wの表面に炭化物を発生させることなくエナメル被覆Weを剥離することができた。但し、エナメル被覆Weを剥離した後、数秒程度で酸化膜が生成した。
また、水浸深さD=1[mm]の場合、加熱時において平角導体Wの温度は250〜260℃程度となった。さらに、水浸深さD=2[mm]の場合、加熱時において平角導体Wの温度は230〜240℃程度となった。これらの条件下では、平角導体Wの表面に炭化物は発生しなかったが、エナメル被覆Weを完全に剥離することができなかった。このような冷却条件では、過冷却となりエナメル被覆Weを剥離するために必要なガラス転位点近傍(280〜290℃)まで平角導体Wを加熱することができないからである。
【0036】
このような結果から、本実施の形態では、水浸深さD=0[mm]として平角導体Wを冷却しながらバーナー11で加熱している。これにより、平角導体Wの表面に炭化物を発生させることなくエナメル被覆Weを剥離することができるのである。ところが、これだけではエナメル被覆Weが剥離された導体表面に酸化膜が生成してしまい、酸化膜により電気的に導通が得られないおそれがある。
【0037】
そこで、本実施の形態では、エナメル被膜Weを剥離した直後、図8に示すように、平角導体Wの全体を冷却水13中に水没させて急冷している。これにより、エナメル被覆Weが剥離された導体表面に酸化膜が生成されることが確実に防止される。従って、エナメル被膜Weが剥離された部分において、確実に導通を得ることができる。
【0038】
その後、保持部12により、平角導体Wが冷却水13から引き上げられ、180°回転させられる。これにより、第1面W1が冷却水13に対向し、第2面W2がバーナー11に対向する。そして、図9に示すように、この状態で第1面W1が冷却水13に接するように平角導体Wが配置され、第2面W2がバーナー11によって加熱されてエナメル被覆Weが剥離されていく。以後、第3面W3及び第4面W4においても、上記と同様にしてエナメル被覆Weが剥離される。
【0039】
このように、剥離装置10による剥離方法では、平角導体Wを冷却しながらエナメル被膜Weを加熱するため、エナメル被膜Weが一定の温度範囲内に保たれて高温にならないので、エナメル被膜Weが焦げて炭化することを防止することができる。これにより、平角導体Wの表面に炭化物を発生させることなくエナメル被膜Weを剥離することができる。
【0040】
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係る剥離装置10によれば、保持部12により、平角導体Wが冷却槽14内の冷却水13に接するように保持され、バーナー11により、冷却水13に接している面(例えば第2面W2)とは逆側の面(例えば第1面W1)におけるエナメル被膜Weが加熱される。このようにして平角導体Wを冷却しながらエナメル被膜Weを加熱することにより、平角導体Wの温度を280℃程度に保つことができるので、エナメル被膜Weが焦げて炭化することを防止することができる。従って、平角導体Wの表面に炭化物を発生させることなくエナメル被膜Weを剥離することができる。これにより、エナメル被覆Weを剥離した後に炭化物を除去する必要がなくなるため、工程を削減することができる。よって、短時間でエナメル被膜Weを効率良く剥離することができる。
また、剥離装置10では、バーナー11により絶縁被膜を加熱するので、レーザ光を用いる場合に比べ装置コストを抑えることもできる。
【0041】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0042】
10 剥離装置
11 バーナー
11a 火炎
12 保持部
13 冷却水
14 冷却槽
W 平角導体
We エナメル被覆
W1 第1面
W2 第2面
W3 第3面
W4 第4面
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体の表面に備わる絶縁被膜を剥離する方法及び装置に関する。より詳細には、絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被覆の剥離方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステータなどに備わるコイルを構成する導体は、その外周面にエナメル等の絶縁被膜が形成されているが、各導体を電気的に接続する必要がある部分では絶縁被膜を剥離する必要がある。このため、導体の絶縁被膜は、導体がステータコアに装着される前にあらかじめ所定の箇所で剥離されている。
【0003】
例えば、絶縁被覆の剥離方法として、レーザ光を絶縁被膜に照射して絶縁被膜を加熱して導体から剥離することが実施されている(特許文献1参照)。あるいは、装置コストを抑えるために、レーザ光ではなくバーナーなどにより絶縁被膜を火炎によって加熱して、絶縁被膜を導体から剥離することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−174263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した絶縁被覆の剥離方法では、絶縁被覆が加熱された際に高温となり、絶縁被膜が焦げて導体表面に炭化物が発生してしまう。そして、炭化物が導体表面に残存した状態では、その残存部分で電気的に導通を得ることができなくなる。そのため、絶縁被膜を剥離した剥離部分で電気的に導通を確実に得るために、ブラシなどによって導体表面に残存する炭化物を除去する必要があった。これにより、工程数が増えてしまうという問題があった。
【0006】
そして、例えば、断面が矩形の平角導体の場合であれば、それぞれの面において絶縁被膜の剥離と炭化物の除去とを行わなければならない。そのため、工程数が非常に多くなり、絶縁被膜の剥離に時間を要するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる絶縁被膜の剥離方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、導体に備わる絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被膜の剥離方法において、導体を冷却しながら導体の温度を一定範囲内に保ちつつ絶縁被膜を加熱することにより、絶縁被膜を導体から剥離することを特徴とする。
【0009】
この絶縁被膜の剥離方法では、導体を冷却しながら絶縁被膜を加熱するため、絶縁被膜が一定の温度範囲内に保たれて高温にならないので、絶縁被膜が焦げて炭化することを防止することができる。これにより、導体表面に炭化物を発生させることなく絶縁被膜を剥離することができる。従って、炭化物を除去する必要がなくなるため、工程を削減することができる。よって、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【0010】
上記した絶縁被膜の剥離方法において、加熱時における導体の温度を、冷却により270〜290℃に保つことが望ましい。
【0011】
加熱時における導体の温度を上記した温度範囲に保つことにより、絶縁被膜を加熱して導体表面に炭化物を発生させることなく確実に導体から剥離することができるからである。そして、このような温度範囲とするのは、加熱時における導体の温度が290℃を超えてしまうと、絶縁被膜が高温になり焦げてしまって炭化物が発生するおそれがある一方、加熱時における導体の温度が270℃よりも低いと(冷却し過ぎると)、絶縁被膜を完全に剥離することができないおそれがあるからである。
【0012】
上記した絶縁被膜の剥離方法において、導体の加熱面とは逆側の面を冷却水に接触させることにより導体を冷却することが望ましい。
【0013】
導体の加熱面(絶縁被膜を剥離する面)とは逆側の面のみを冷却水(常温)に接触させることにより、加熱時における導体の温度を270〜290℃に保つことができるからである。このように非常に簡単な方法により、加熱時における導体の温度を一定の温度範囲に保つことができ、導体表面に炭化物を発生させることなく確実に導体から剥離することができる。
【0014】
上記した絶縁被膜の剥離方法において、絶縁被膜を剥離した直後、導体全体を冷却水に水没させて急冷することが望ましい。
【0015】
絶縁被膜を導体から剥離すると、導体表面に芯材の活性面が露出するため、剥離後数秒程度でその露出部分に酸化膜が生成してしまう。導体表面に酸化膜が生成すると、接触抵抗が大きくなり電気的に導通が得られないおそれがある。そのため、導体表面に酸化膜が生成されることを防ぐ必要がある。
そこで、絶縁被膜を剥離した直後、導体全体を冷却水に水没させて急冷する。これにより、導体表面に酸化膜が生成されることを確実に防止することができる。従って、絶縁被膜が剥離された部分において、確実に導通を得ることができる。
【0016】
そして、上記した絶縁被膜の剥離方法においては、バーナーにより絶縁被膜を加熱すれば良い。
このように、バーナーを用いて絶縁被膜を加熱して導体から剥離することにより、装置コストを抑えつつ、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【0017】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別態様は、導体に備わる絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被膜の剥離装置において、導体を加熱する加熱手段と、導体を保持する保持手段と、導体を冷却する冷却水を収容する冷却水槽とを有し、前記保持手段は、導体が前記冷却水槽内の冷却水に接するように保持し、前記加熱手段は、冷却水に接している面とは逆側の面における絶縁被膜を加熱することを特徴とする。
【0018】
この絶縁被膜の剥離装置では、保持手段により、導体が冷却水槽内の冷却水に接するように保持され、加熱手段により、冷却水に接している面とは逆側の面における絶縁被膜が加熱される。このように、導体を冷却しながら絶縁被膜を加熱するため、絶縁被膜が一定の温度範囲内に保たれて高温にならないので、絶縁被膜が焦げて炭化することを防止することができる。これにより、導体表面に炭化物を発生させることなく絶縁被膜を剥離することができる。従って、炭化物を除去する必要がなくなるため、工程を削減することができる。よって、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【0019】
上記した絶縁被膜の剥離装置において、前記保持手段は、前記加熱手段による加熱により絶縁被膜が剥離された直後、保持している導体の全体を前記冷却水槽内の冷却水に水没させることが望ましい。
【0020】
このようにすることにより、導体表面に酸化膜が生成されることを確実に防止することができる。従って、導体の絶縁被膜が剥離された部分において、確実に導通を得ることができる。
【0021】
そして、上記した絶縁被膜の剥離装置においては、前記加熱手段としてバーナーを用いれば良い。
このように、バーナーを用いて絶縁被膜を加熱して導体から剥離することにより、装置コストを抑えつつ、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る絶縁被膜の剥離方法及び装置によれば、上記した通り、短時間で絶縁被膜を効率良く剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係る剥離装置の概略構成を示す図である。
【図2】剥離装置にセットされた平角導体の状態を示す図である。
【図3】バーナーで平角導体を加熱し始めた状態を示す図である。
【図4】バーナーを移動させながら平角導体からエナメル被覆を剥離している状態を示す図である。
【図5】平角導体の第1面におけるエナメル被覆を剥離した状態を示す図である。
【図6】水浸深さと平角導体の加熱温度との関係を示す図である。
【図7】水浸深さを説明するための図である。
【図8】エナメル被覆を剥離した直後に平角導体を冷却水に水没させた状態を示す図である。
【図9】平角導体の第2面におけるエナメル被覆を剥離し始める状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の絶縁被膜の剥離方法及び装置を具体化した実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。ここでは、平角導体に備わるエナメル被覆を剥離する場合について例示する。
まず、剥離装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る剥離装置の概略構成を示す図である。図2は、剥離装置にセットされた平角導体の状態を示す図である。
【0025】
図1に示すように、剥離装置10には、平角導体Wを火炎により加熱するバーナー11と、平角導体Wを保持する保持部12と、冷却水13を収容する冷却槽14と、バーナー11を移動させる送り装置15と、保持部12及び送り装置15が固定されているフレーム16とが備わっている。そして、剥離装置10では、図2に示すようにセットされた平角導体Wの表面に備わるエナメル被覆Weを、冷却槽14で平角導体Wを冷却しながらバーナー11で加熱して剥離するようになっている。
【0026】
バーナー11は、火炎11aにより平角導体Wを加熱してエナメル被覆Weを剥離するものであり、本実施の形態では、水素酸素混合ガス燃焼バーナーを使用している。このバーナー11は、送り装置15によって移動(図1では前後左右方向に移動)可能にフレーム16へ取り付けられている。バーナー11には、燃料ライン17が接続されており、水素・酸素発生装置18から水素と酸素が供給されるようになっている。これにより、バーナー11は、火炎11aを平角導体Wの所定領域(エナメル被覆剥離範囲)に照射することができるようになっている。
【0027】
保持部12は、平角導体Wを水平に保持しつつ上下動させるものである。保持部12には、平角導体Wを水平に把持するクランプ12aと、クランプ12aを回転させる回転部12bと、クランプ12aを移動させるアクチュエータ12cとが備わっている。そして、保持部12では、クランプ12aに保持された平角導体Wを、アクチュエータ12cの動作により、その底面(図2では第2面W2)が冷却槽14内の冷却水13に接するように配置することができるとともに、冷却水13内に水没させることができるようになっている(図8参照)。
【0028】
また、保持部12では、回転部12bの動作により、クランプ12aで保持した平角導体Wを回転(回動)させることができるようになっている。これにより、平角導体Wの第1面から第4面W1〜W4をそれぞれ、バーナー11に対向させる、あるいは冷却水13に接触させることができるようになっている。具体的には、第1面W1をバーナー11に対向させつつ第2面W2を冷却水13に接触させる、あるいはその逆に、第2面W2をバーナー11に対向させつつ第1面W1を冷却水13に接触させることができるようになっている。または、第3面W3をバーナー11に対向させつつ第4面W4を冷却水13に接触させる、あるいはその逆に、第4面W4をバーナー11に対向させつつ第3面W3を冷却水13に接触させることができるようになっている。
【0029】
冷却槽14は、上面が開口した容器であり、その内部に冷却水13が収容されている。なお、冷却槽14には、図2に示すように、平角導体Wを完全に水没させることができるように冷却水13が満たされている。
【0030】
続いて、上記した剥離装置10による平角導体Wのエナメル被覆Weを剥離する手順について、図3〜図9も参照しながら説明する。図3は、バーナーで平角導体を加熱し始めた状態を示す図である。図4は、バーナーを移動させながら平角導体からエナメル被覆を剥離している状態を示す図である。図5は、平角導体の第1面におけるエナメル被覆を剥離した状態を示す図である。図6は、水浸深さと平角導体の加熱温度との関係を示す図である。図7は、水浸深さを説明するための図である。図8は、エナメル被覆を剥離した直後に平角導体を冷却水に水没させた状態を示す図である。図9は、平角導体の第2面におけるエナメル被覆を剥離し始める状態を示す図である。
【0031】
まず、図1及び図2に示すように、保持部12により、平角導線Wを水平に保持して第2面W2が冷却水13に接するように配置する(水浸深さD(図7参照)が、D=0[mm]となる)。次に、図3に示すように、バーナー11に点火して火炎11aを発生させ、その火炎11aにより平角導線Wの第1面W1におけるエナメル剥離範囲を加熱する。すなわち、図4に示すように、送り装置15によってバーナー11を平行移動させて第1面W1におけるエナメル剥離範囲に対して火炎11aを照射する。
【0032】
このとき、第1面W1とは逆側の第2面W2が冷却水13に接しており、平角導体Wにおいては、第2面W2から冷却されつつ第1面W1が加熱される。その結果、平角導体Wの温度が一定範囲(280℃程度)に保たれる。これにより、バーナー11の火炎11aが照射された部分において、炭化物が発生する事なくエナメル被覆Weが平角導体Wから剥離されていく。
そして、図5に示すように、バーナー11の火炎11aを第1面W1におけるエナメル剥離範囲全域に照射し終わると、その部分において炭化物が発生することなくエナメル被覆Weが平角導体Wから剥離されている。なお、第1面W1の加熱時間は15〜20秒程度である。
【0033】
ここで、加熱条件によるエナメル被覆の剥離状態の違いについて説明する。図6に示すように、従来のように平角導体Wを冷却せずにバーナー11の火炎11aで加熱すると、加熱後数秒で300℃以上になりその後も温度が上昇していく。そのため、平角導体Wが高温となり、エナメル被覆Weを剥離した平角導体Wの表面に炭化物が発生して残存してしまう。
【0034】
そのため、本実施の形態では、平角導体Wを冷却水13によって冷却しつつバーナー11で加熱することにより、平角導体Wが高温にならないようにして、エナメル被覆Weを剥離した平角導体Wの表面に炭化物が発生しないようにしている。
そこで、平角導体Wの冷却条件によるエナメル被覆Weの剥離状態の違いを調べたので、その結果について説明する。冷却条件としては、図7に示す水浸深さDを変化させた。なお、水浸深さDとは、図7に示すように、平角導体Wを冷却水13中に沈めた深さを意味する。
【0035】
図6に示すように、水浸深さD=0[mm]の場合、加熱時において平角導体Wの温度は280℃程度となった。この条件下では、平角導体Wの表面に炭化物を発生させることなくエナメル被覆Weを剥離することができた。但し、エナメル被覆Weを剥離した後、数秒程度で酸化膜が生成した。
また、水浸深さD=1[mm]の場合、加熱時において平角導体Wの温度は250〜260℃程度となった。さらに、水浸深さD=2[mm]の場合、加熱時において平角導体Wの温度は230〜240℃程度となった。これらの条件下では、平角導体Wの表面に炭化物は発生しなかったが、エナメル被覆Weを完全に剥離することができなかった。このような冷却条件では、過冷却となりエナメル被覆Weを剥離するために必要なガラス転位点近傍(280〜290℃)まで平角導体Wを加熱することができないからである。
【0036】
このような結果から、本実施の形態では、水浸深さD=0[mm]として平角導体Wを冷却しながらバーナー11で加熱している。これにより、平角導体Wの表面に炭化物を発生させることなくエナメル被覆Weを剥離することができるのである。ところが、これだけではエナメル被覆Weが剥離された導体表面に酸化膜が生成してしまい、酸化膜により電気的に導通が得られないおそれがある。
【0037】
そこで、本実施の形態では、エナメル被膜Weを剥離した直後、図8に示すように、平角導体Wの全体を冷却水13中に水没させて急冷している。これにより、エナメル被覆Weが剥離された導体表面に酸化膜が生成されることが確実に防止される。従って、エナメル被膜Weが剥離された部分において、確実に導通を得ることができる。
【0038】
その後、保持部12により、平角導体Wが冷却水13から引き上げられ、180°回転させられる。これにより、第1面W1が冷却水13に対向し、第2面W2がバーナー11に対向する。そして、図9に示すように、この状態で第1面W1が冷却水13に接するように平角導体Wが配置され、第2面W2がバーナー11によって加熱されてエナメル被覆Weが剥離されていく。以後、第3面W3及び第4面W4においても、上記と同様にしてエナメル被覆Weが剥離される。
【0039】
このように、剥離装置10による剥離方法では、平角導体Wを冷却しながらエナメル被膜Weを加熱するため、エナメル被膜Weが一定の温度範囲内に保たれて高温にならないので、エナメル被膜Weが焦げて炭化することを防止することができる。これにより、平角導体Wの表面に炭化物を発生させることなくエナメル被膜Weを剥離することができる。
【0040】
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係る剥離装置10によれば、保持部12により、平角導体Wが冷却槽14内の冷却水13に接するように保持され、バーナー11により、冷却水13に接している面(例えば第2面W2)とは逆側の面(例えば第1面W1)におけるエナメル被膜Weが加熱される。このようにして平角導体Wを冷却しながらエナメル被膜Weを加熱することにより、平角導体Wの温度を280℃程度に保つことができるので、エナメル被膜Weが焦げて炭化することを防止することができる。従って、平角導体Wの表面に炭化物を発生させることなくエナメル被膜Weを剥離することができる。これにより、エナメル被覆Weを剥離した後に炭化物を除去する必要がなくなるため、工程を削減することができる。よって、短時間でエナメル被膜Weを効率良く剥離することができる。
また、剥離装置10では、バーナー11により絶縁被膜を加熱するので、レーザ光を用いる場合に比べ装置コストを抑えることもできる。
【0041】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0042】
10 剥離装置
11 バーナー
11a 火炎
12 保持部
13 冷却水
14 冷却槽
W 平角導体
We エナメル被覆
W1 第1面
W2 第2面
W3 第3面
W4 第4面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体に備わる絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被膜の剥離方法において、
導体を冷却しながら導体の温度を一定範囲内に保ちつつ絶縁被膜を加熱することにより、絶縁被膜を導体から剥離する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項2】
請求項1に記載する絶縁被膜の剥離方法において、
加熱時における導体の温度を、冷却により270〜290℃に保つ
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する絶縁被膜の剥離方法において、
導体の加熱面とは逆側の面を冷却水に接触させることにより導体を冷却する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項4】
請求項3に記載する絶縁被膜の剥離方法において、
絶縁被膜を剥離した後、導体全体を冷却水に水没させて急冷する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載するいずれか1つの絶縁被膜の剥離方法において、
バーナーにより絶縁被膜を加熱する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項6】
導体に備わる絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被膜の剥離装置において、
導体を加熱する加熱手段と、
導体を保持する保持手段と、
導体を冷却する冷却水を収容する冷却水槽とを有し、
前記保持手段は、導体が前記冷却水槽内の冷却水に接するように保持し、
前記加熱手段は、冷却水に接している面とは逆側の面における絶縁被膜を加熱する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離装置。
【請求項7】
請求項6に記載する絶縁被膜の剥離装置において、
前記保持手段は、前記加熱手段による加熱により絶縁被膜が剥離された直後、保持している導体の全体を前記冷却水槽内の冷却水に水没させる
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載するいずれか1つの絶縁被膜の剥離装置において、
前記加熱手段は、バーナーである
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離装置。
【請求項1】
導体に備わる絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被膜の剥離方法において、
導体を冷却しながら導体の温度を一定範囲内に保ちつつ絶縁被膜を加熱することにより、絶縁被膜を導体から剥離する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項2】
請求項1に記載する絶縁被膜の剥離方法において、
加熱時における導体の温度を、冷却により270〜290℃に保つ
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する絶縁被膜の剥離方法において、
導体の加熱面とは逆側の面を冷却水に接触させることにより導体を冷却する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項4】
請求項3に記載する絶縁被膜の剥離方法において、
絶縁被膜を剥離した後、導体全体を冷却水に水没させて急冷する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載するいずれか1つの絶縁被膜の剥離方法において、
バーナーにより絶縁被膜を加熱する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離方法。
【請求項6】
導体に備わる絶縁被膜を加熱して導体から剥離する絶縁被膜の剥離装置において、
導体を加熱する加熱手段と、
導体を保持する保持手段と、
導体を冷却する冷却水を収容する冷却水槽とを有し、
前記保持手段は、導体が前記冷却水槽内の冷却水に接するように保持し、
前記加熱手段は、冷却水に接している面とは逆側の面における絶縁被膜を加熱する
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離装置。
【請求項7】
請求項6に記載する絶縁被膜の剥離装置において、
前記保持手段は、前記加熱手段による加熱により絶縁被膜が剥離された直後、保持している導体の全体を前記冷却水槽内の冷却水に水没させる
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載するいずれか1つの絶縁被膜の剥離装置において、
前記加熱手段は、バーナーである
ことを特徴とする絶縁被膜の剥離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−244729(P2012−244729A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111378(P2011−111378)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]