説明

絶縁被覆導線製造方法

【課題】導線の偏心を防止し、絶縁被覆材料の膜厚が均一な絶縁被覆導線を提供する。
【解決手段】
押出クロスヘッド50を用いて導線20の外周に絶縁被覆材料30を被覆して絶縁被覆膜を形成することにより、絶縁被覆導線21を製造する絶縁被覆導線製造方法において、導線20を押出クロスヘッド50の前後で導線20の張力に対向する第1ガイドローラ60及び第2ガイドローラ70を有し、さらに、第1ガイドローラは60及び第2ガイドローラ70が、導線20を持ちあげることにより導線20に張力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイス孔を有する押出クロスヘッドを用いて断面が矩形状である導線の外周に絶縁被覆材料を被覆して絶縁被覆膜を形成することにより、絶縁被覆導線を製造する絶縁被覆導線製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、下記の特許文献1に記載される押出クロスヘッドがある。図11では、特許文献1に係る押出クロスヘッド100の概念断面図を示す。
図11に示すように、押出クロスヘッド100の中心を断面が矩形状である導線101が挿通している。導線101は、水平方向の位置決めをする第1ローラ111と、軸方向の位置決めをする第2ローラ112、第3ローラ113、及び第4ローラ114によりガイドされ押出クロスヘッド100を通過する。押出クロスヘッド100のダイス孔102を通過する際に押出クロスヘッド100から圧入される絶縁被覆材料が被覆して絶縁被覆導線103が成形される。導線101は、下流側に配置された巻線機により巻きとられることにより上流から下流へと流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−273458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。
すなわち、下流側にある巻線機はロールに絶縁被覆導線103を巻きとるため蛇行しながら巻き取る。そのため、図11に示す押出クロスヘッド100にあっては、導線101の水平方向の位置決めをする第1ローラ111の軸の平行度が限りなくゼロに近くない限り、導線101が押出クロスヘッド100のダイス孔102を通過する際に偏心が生じる。また、第1ローラ111は、ガイド溝115に導線101を通して水平を保っているが、導線101が蛇行した場合、導線101の張力が打ち勝ち、ガイド溝115を上りガイド溝から外れることがある。このように導線101がガイド溝115から外れることをくり返すことで、導線101の通過ラインは細かい周期で変化し導線101に偏心が生じることになる。
導線101に偏心が生じると、導線101がダイス孔102の中心を通らないため特に絶縁被覆材料の膜厚の均一安定性を得ることができないため問題となる。均一安定性を得ることができないと、絶縁性を保つことができない程度の絶縁被覆材料の膜厚の薄い箇所ができる。そうなると、特にHV自動車に用いるモータには高圧絶縁性が必要となるため問題となる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は導線の偏心を防止し、絶縁被覆材料の膜厚が均一な絶縁被覆導線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様における絶縁被覆導線製造方法は、以下の構成を有する。
(1)ダイス孔を有する押出クロスヘッドを用いて断面が矩形状である導線の外周に絶縁被覆材料を被覆して絶縁被覆膜を形成することにより、絶縁被覆導線を製造する絶縁被覆導線製造方法において、前記押出クロスヘッドの上流側で前記導線をガイドする第1ガイドローラを有すること、前記押出クロスヘッドの下流側で前記導線をガイドする第2ガイドローラを有すること、前記第1ガイドローラは、前記導線の2つの面を第1ガイド押圧面により押圧すること、及び、前記第2ガイドローラは、前記導線の2つの面を第2ガイド押圧面により押圧することにより前記導線を前記ダイス孔に対して位置決めすること、を特徴とする。
【0007】
(2)(1)に記載する絶縁被覆導線製造方法において、前記第1ガイドローラは、前記導線の水平位置を位置決めする第1水平ガイドローラと、前記導線の垂直位置を位置決めする第1垂直ガイドローラを有すること、前記第1水平ガイドローラと前記第1垂直ガイドローラが交差する直角の第1コーナ面が前記第1ガイド押圧面となること、前記第2ガイドローラは、前記導線の水平方向を位置決めする第2水平ガイドローラと、前記導線の垂直位置を位置決めする第2垂直ガイドローラを有すること、前記第2水平ガイドローラと前記第2垂直ガイドローラが交差する直角の第2コーナ面が前記第2ガイド押圧面となること、を特徴とする。
【0008】
(3)(1)に記載する絶縁被覆導線製造方法において、前記第1ガイド押圧面は前記導線の垂直位置を位置決めする第1垂直押圧面と、前記導線の水平位置を位置決めする第1水平押圧面を有すること、前記第2ガイド押圧面は前記導線の垂直位置を位置決めする第2垂直押圧面と、前記導線の水平位置を位置決めする第2水平押圧面を有すること、を特徴とする。
【0009】
(4)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載する絶縁被覆導線製造方法において、前記第1ガイドローラ及び前記第2ガイドローラは同時に同じ方向へ同じ速さで同じ量移動すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記絶縁被覆導線製造方法の作用及び効果について説明する。
(1)ダイス孔を有する押出クロスヘッドを用いて断面が矩形状である導線の外周に絶縁被覆材料を被覆して絶縁被覆膜を形成することにより、絶縁被覆導線を製造する絶縁被覆導線製造方法において、前記押出クロスヘッドの上流側で前記導線をガイドする第1ガイドローラを有すること、前記押出クロスヘッドの下流側で前記導線をガイドする第2ガイドローラを有すること、前記第1ガイドローラは、前記導線の2つの面を第1ガイド押圧面により押圧すること、及び、前記第2ガイドローラは、前記導線の2つの面を第2ガイド押圧面により押圧することにより前記導線を前記ダイス孔に対して位置決めすることができる。また、導線の外周に絶縁被覆材料を均一に被覆させることができる。すなわち、第1ガイドローラの第1ガイド押圧面及び第2ガイドローラの第2ガイド押圧面により導線を押圧することにより、導線は第1押圧面及び第2押圧面方向に対して張力が生じる。導線に対して張力が生じた部分には第1押圧面及び第2押圧面により固定されているため導線はダイス孔の中心位置に位置決めされることになる。導線の位置精度が高まることにより、導線の偏心を抑制することができ、導線の外周に絶縁被覆材料を均一に被覆させることができる。均一安定性を得ることができるため、絶縁性を保つことができない程度の絶縁被覆材料の膜厚の薄い箇所がなくなる。そのため、特にHV自動車に用いるモータに使用する場合においても対応することができる。
【0011】
(2)第1ガイドローラは、前記導線の水平位置を位置決めする第1水平ガイドローラと、前記導線の垂直位置を位置決めする第1垂直ガイドローラを有すること、前記第1水平ガイドローラと前記第1垂直ガイドローラが交差する直角の第1コーナ面が前記第1ガイド押圧面となること、前記第2ガイドローラは、前記導線の水平方向を位置決めする第2水平ガイドローラと、前記導線の垂直位置を位置決めする第2垂直ガイドローラを有す
ること、前記第2水平ガイドローラと前記第2垂直ガイドローラが交差する直角の第2コーナ面が前記第2ガイド押圧面となることにより、導線の外周に絶縁被覆材料を均一に被覆させることができる。すなわち、直角の第1コーナ面及び第2コーナ面が第1ガイド押圧面及び第2押圧面となることにより、矩形状の導線に対して一方の側面及び底面の2つの面と当接することになる。また、導線の張力は当接する第1ガイド押圧面の2つの面及び第2ガイド押圧面の2つの面に対してかかるため張力を受けやすく位置決めがし易くなる。したがって、導線の中心軸とダイス孔の中心軸を同じ位置にでき位置精度を高めることができるため、導線の偏心を抑制することができ、導線の外周に絶縁被覆材料を均一に被覆させることができる。均一安定性を得ることができるため、絶縁性を保つことができない程度の絶縁被覆材料の膜厚の薄い箇所がなくなる。そのため、特にHV自動車に用いるような場合においても対応することができる。
【0012】
(3)第1ガイド押圧面は前記導線の垂直位置を位置決めする第1垂直押圧面と、前記導線の水平位置を位置決めする第1水平押圧面を有すること、前記第2ガイド押圧面は前記導線の垂直位置を位置決めする第2垂直押圧面と、前記導線の水平位置を位置決めする第2水平押圧面を有することにより、導線の外周に絶縁被覆材料を均一に被覆させることができる。すなわち、第1垂直押圧面及び第1水平押圧面が第1ガイド押圧面となること、及び第2垂直押圧面、第2水平押圧面が第2ガイド押圧面となることにより、矩形状の導線に対して一方の側面及び底面の2つの面と当接することになる。また、導線の張力は当接する第1ガイド押圧面の2つの面及び第2ガイド押圧面の2つの面に対してかかるため張力を受けやすく位置決めがし易くなる。したがって、導線の中心軸とダイス孔の中心軸を同じ位置にでき位置精度を高めることができるため、導線の偏心を抑制することができ、導線の外周に絶縁被覆材料を均一に被覆させることができる。均一安定性を得ることができるため、絶縁性を保つことができない程度の絶縁被覆材料の膜厚の薄い箇所がなくなる。そのため、特にHV自動車に用いるような場合においても対応することができる。
また、一つの第1ガイドローラ及び一つ第2ガイドローラにより導線の位置精度を高めることができる。一つの第1ガイドローラ及び一つ第2ガイドローラにより位置決めすることができるため、製造装置を安価にすることができるためコストダウンを図ることができる。
【0013】
(4)第1ガイドローラ及び前記第2ガイドローラは同時に同じ方向へ同じ速さで同じ量移動することにより、導線を位置決めすることができる。すなわち、第1ガイドローラと第2ガイドローラが同じ方向へ同じ速さで同じ量移動することにより、導線の平行を保つことができ、導線をダイス孔の中心を挿通させることができる。導線をダイス孔の中心を挿通させることにより、導線の外周に絶縁被覆材料を均一に被覆させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の本実施例1に係る押出成形装置の概念図である。
【図2】本発明の本実施例1に係る図1の第1ガイドローラをAA方向から見た一部断面側面図である。
【図3】本発明の本実施例1に係る図1の第2ガイドローラをBB方向から見た一部断面側面図である。
【図4】本発明の本実施例1に係る押出クロスヘッドの概念断面図である。
【図5】本発明の本実施例1に係る図4の絶縁被覆導線をDD方向から見た一部断面側面図である。
【図6】本発明の本実施例1に係る絶縁被覆導線製造装置の構成図である。
【図7】本発明の本実施例に係る押出成形装置を使用した場合の地面と垂直方向の導線の動きを表した図である。
【図8】本発明の本実施例2に係る押出成形装置の概念図である。
【図9】本発明の本実施例2に係る第1ガイドローラをCC方向から見た一部断面側面図である。
【図10】本発明の本実施例2に係る第2ガイドローラをDD方向から見た一部断面側面図である。
【図11】従来技術に係る押出クロスヘッドの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る絶縁被覆導線製造方法の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
<絶縁被覆導線製造装置の全体構成>
図6には、絶縁被覆導線製造装置1の構成図を示す。
図6に示すように、絶縁被覆導線製造装置1は、一端に導線20が巻かれ巻き線が送出される送出機11を有し、他端には導線20を巻きとるためモータを備える巻線機16を有する。送出機11と巻線機16の間には、導線20を真っすぐに整えるための整直器12、導線20を予熱するための予熱炉13、導線20に絶縁被覆材料30を被覆するための押出成形装置14、導線20に絶縁被覆材料30が被覆した絶縁被覆導線21を冷却するための冷却槽15を有する。
後に図を用いて詳細に説明する押出成形装置14以外の構成及び作用効果は従来技術と変わるところがないため詳細な説明を割愛する。
【0017】
<押出成形装置の全体構成>
図1に、押出成形装置14の概念図を示す。図2に、図1の第1ガイドローラをAA方向から見た一部断面側面図を示す。図3に、図1の第2ガイドローラをBB方向から見た一部断面側面図を示す。
図1に示すように、押出成形装置14は、押出クロスヘッド50、第1ガイドローラ60、及び第2ガイドローラ70を有し、導線20が押出成形装置14の間を挿通している。図1に示すように、押出クロスヘッド50を中心に、上流側である予熱炉13側には導線20をガイドする第1ガイドローラ60を有し、下流側である冷却槽15側には導線20をガイドする第2ガイドローラ70を有する。
【0018】
押出クロスヘッド50の構成について説明する。図1に示す押出クロスヘッド50は概念的に示したため、図4の押出クロスヘッド50の概念断面図を示し、図4により押出クロスヘッドを説明する。
図4に示すように、押出クロスヘッド50は、中空孔511が形成されたクロスヘッド部材51を有する。クロスヘッド部材51の中空孔511には、導線20をダイス53に形成されたダイス孔57へとガイドするための導線ガイド54が挿入されている。クロスヘッド部材51には、絶縁被覆材料30を挿入するためのシリンダ52が連通している。シリンダ52内には、絶縁被覆材料30を適量運ぶためのスクリュ55が形成されている。スクリュ55から流入した絶縁被覆材料30は、中空孔511の内周壁と導線ガイド54の外周壁とにより形成された材料導入路56へ流入し、クロスヘッド部材51に連通しているダイス53に形成されたダイス孔57へと流入するように形成されている。図5に示すように、ダイス孔57は、矩形状の形状をなす。ダイス孔57の高さは、導線20の高さよりも100μm長く、横の幅は導線20の高さよりも100μm長い。そのため、導線20がダイス孔57の中心を挿通することにより、導線20に対して絶縁被覆材料30が上下に各々50μm被膜する。また、導線20に対して絶縁被覆材料30が左右に各々50μm被膜する。
【0019】
導線20及び絶縁被覆導線21について説明する。
導線20は、図1に示すように、一本の長い線状のもので押出成形装置14を挿通している。導線20は、銅線等が使用される。導線20は、図5に示すように、断面矩形状をしている。
絶縁被覆導線21は、図5に示すように、導線20の左右方向、及び、上下方向に絶縁被覆材料30が被覆したものである。本実施形態において、絶縁被覆材料30の厚みは50μm程度の厚みであり、導線20の外周に均一に被膜されている。
【0020】
第1ガイドローラ60の構成について説明する。
図1に示すように、第1ガイドローラ60は、第1水平ガイドローラ61と第1垂直ガイドローラ62とを有する。第1水平ガイドローラ61は、導線20の水平位置を位置決めするガイドの役目を有し、第1垂直ガイドローラ62は、導線20の垂直位置を位置決めするガイドの役目を有する。押出クロスヘッド50に近い下流側に第1水平ガイドローラ61を有し、押出クロスヘッド50から遠い上流側に第1垂直ガイドローラ62を有する。第1水平ガイドローラ61と第1垂直ガイドローラ62は近接している。ここで、近接とは、第1水平ガイドローラ61と第1垂直ガイドローラ62のローラの回転が阻害されない範囲であり当接していない状態であればよい。第1水平ガイドローラ61及び第1垂直ガイドローラ62は中心軸を中心に回転可能に保持されている。
【0021】
図2に示すように、第1水平ガイドローラ61は垂直方向に保持されており、第1垂直ガイドローラ62は水平方向に保持されている。そのため、第1水平ガイドローラ61及び第1垂直ガイドローラ62をAA方向から見ると、第1水平ガイドローラ61及び第1垂直ガイドローラ62により直角の第1ガイド押圧面81が形成される。第1ガイド押圧面81の角にはコーナ部81Aが形成される。図2に示すように、第1ガイド押圧面81に断面矩形状である導線20の一側面及び底面の2つの面が当接する。
【0022】
図2に示すように、第1水平ガイドローラ61は、水平移動が可能な左右動機構41を備える。また、第1垂直ガイドローラ62は、垂直移動が可能な上下動機構42を備える。第1水平ガイドローラ61が水平移動をし、第1垂直ガイドローラ62が垂直移動したとしても、直角の第1ガイド押圧面81は直角のままであるため、導線20の一側面及び底面の2つの面が当接することに変わりはない。
【0023】
第2ガイドローラ70の構成について説明する。
図1に示すように、第2ガイドローラ70は、第2水平ガイドローラ71と第2垂直ガイドローラ72を有する。第2水平ガイドローラ71は、絶縁被覆導線21の水平位置を位置決めするガイドの役目を有し、第2垂直ガイドローラ72は、絶縁被覆導線21の垂直位置を位置決めするガイドの役目を有する。押出クロスヘッド50に近い上流側に第2水平ガイドローラ71を有し、押出クロスヘッド50から遠い下流側に第2垂直ガイドローラ72を有する。第2水平ガイドローラ71と第2垂直ガイドローラ72は近接している。ここで、近接とは、第2水平ガイドローラ71と第2垂直ガイドローラ72のローラの回転が阻害されない範囲であり当接していない状態であればよい。第2水平ガイドローラ71及び第2垂直ガイドローラ72は中心軸を中心に回転可能に保持されている。
【0024】
図3に示すように、第2水平ガイドローラ71は垂直方向に保持されており、第2垂直ガイドローラ72は水平方向に保持されている。そのため、第2水平ガイドローラ71及び第2垂直ガイドローラ72をBB方向から見ると、第2水平ガイドローラ71及び第2垂直ガイドローラ72により直角の第2ガイド押圧面82が形成される。第2ガイド押圧面82の角にはコーナ部82Aが形成される。図3に示すように、第2ガイド押圧面82に断面矩形状である絶縁被覆導線21の一側面及び底面の2つの面が当接する。
【0025】
図3に示すように、第2水平ガイドローラ71は、水平移動が可能な左右動機構43を備える。また、第2垂直ガイドローラ72は、垂直移動が可能な上下動機構44を備える。第2水平ガイドローラ71が水平移動をし、第2垂直ガイドローラ72が垂直移動したとしても、直角の第2ガイド押圧面82は直角のままであるため、絶縁被覆導線21の一側面及び底面の2つの面が当接することに変わりはない。
【0026】
<絶縁被覆導線製造装置の作用効果>
絶縁被覆導線製造装置1を用いることにより、導線20に絶縁被覆材料30を被膜させ絶縁被覆導線21とすることができる。絶縁被覆導線製造工程において、図6に示す送出機11から送出された導線20が巻線機16に巻きとられることにより行われる。
第1工程では、送出機11から送出された導線20が整直器12により真っすぐに流れるように整えられる。
第2工程では、導線20が予熱炉13により予熱され、第3工程における絶縁被覆材料30が被膜し易いようにする。
第3工程では、押出成形装置14により導線20に絶縁被覆材料30を被膜させ絶縁被覆導線21を成形する。本発明の特徴部分である第3工程における押出成形装置14の作用効果は、後に詳細に説明する。
第4工程で、絶縁被覆導線21に被膜している絶縁被覆材料30を冷却槽15において冷却することで、絶縁被覆材料30を導線20に固定することができる。冷却後、絶縁被覆導線21は、巻線機16に巻きとられる。
なお、後に詳細に説明する押出成形装置14以外の作用効果は従来技術と変わるところがないため詳細な説明を割愛する。
【0027】
<押出成形装置の作用効果>
押出成形装置14の作用効果について説明する。
導線20は、図1中上流から押出クロスヘッド50を挿通し下流方向へと流れる。押出クロスヘッド50を挿通する際に、導線20に絶縁被覆材料30が被膜され、絶縁被覆導線21が成形される。
【0028】
具体的には、図1に示す、第1ガイドローラ60の第1水平ガイドローラ61及び第2垂直ガイドローラ62により形成される第1ガイド押圧面81に導線20の一側面及び底面の2つの面を当接させた状態とする。また、第2ガイドローラ70の第2水平ガイドローラ71及び第2垂直ガイドローラ72により形成される第2ガイド押圧面82に絶縁被覆導線21の一側面及び底面の2つの面を当接させた状態とする。
続いて、第1水平ガイドローラ61及び第2水平ガイドローラ71を左右動機構41、43により図2及び図3中の左方向に水平移動させる。さらに、第1垂直ガイドローラ62及び第2垂直ガイドローラ72を上下動機構42、44により図2及び図3中の上方向に垂直移動させる。このとき、第1ガイドローラ60及び第2ガイドローラ70は同時に同じ方向へ同じ速さで同じ量移動する。
以上の左方向への水平移動及び上方向へ垂直移動したとしても、第1ガイド押圧面81に導線20の一側面及び底面の2つの面が当接した状態に変わりはない。また、第2ガイド押圧面82に絶縁被覆導21の一側面及び底面の2つの面が当接した状態に変わりはない。
【0029】
以上の左方向への水平移動及び上方向へ垂直移動したとしても、第1ガイド押圧面81に導線20の一側面及び底面の2つの面が当接した状態に変わりはない。また、第2ガイド押圧面82に絶縁被覆導21の一側面及び底面の2つの面が当接した状態に変わりはない。
一方、左方向への水平移動及び上方向へ垂直移動をすることにより、導線20は図2中の左斜め上方向へ移動したことになる。また、絶縁被覆導線21は図3中の左斜め上方向へ移動したことになる。導線20は、送出機11及び巻線機16によりテンションが張られた状態にある。そのため、第1ガイドローラ60及び第2ガイドローラ70が同時に同様の左斜め上方向へと移動されると、導線20及び絶縁被覆導線21には、図2及び図3中のコーナ部81A及びコーナ部82Aに向かう矢印S方向の張力が発生することになる。このとき、第1ガイドローラ60及び第2ガイドローラ70が同時に同じ方向へ同じ速さで同じ量移動することにより、導線20及び絶縁被覆導線21対する矢印S方向の張力も同じになる。矢印S方向の張力が同じになることにより位置精度が良くなる。
【0030】
導線20に対するコーナ部81Aに向かう矢印S方向へ張力の発生、及び、絶縁被覆導線21に対するコーナ部82Aに向かう矢印S方向へ張力の発生により、押出クロスヘッド50を挿通する際の導線20の位置精度を高めることができる。すなわち、導線20に対して第1ガイドローラ60及び第2ガイドローラ70により、矢印S方向へ同じ張力が発生することにより、導線20は、第1ガイド押圧面81及び第2ガイド押圧面82に対して同じ力で押し当てられながら移動する。第1ガイドローラ60及び第2ガイドローラ70は同じ位置に位置するため、導線20はダイス孔57を挿通する際に決まった位置を移動することができ、導線20の偏心を抑制することができる。導線20が位置精度良く押出クロスヘッド50のダイス孔57を挿通することにより、導線20の外周に絶縁被覆材料30を均一に被覆させた絶縁被覆導線21を成形することができる。
【0031】
図7に、押出成形装置を使用した場合の地面と垂直方向の導線の動きを表した図を示す。図7の縦軸は導線の動き(1目盛=0.1mm)を示し、横軸は引取り長さ(m)を示す。また、動き線Yは、従来技術の押出成形装置を用いた場合の地面と垂直方向の導線の動きを示す。動き線Xは、本実施形態に係る押出成形装置を用いた場合の地面と垂直方向の導線の動きを示す。
動き線Yは、導線の動きが最大幅YWとなる。最大幅YWは、約0.4mmの幅である。それに対して、動き線Xは、導線の動きが最大幅XWとなる。最大幅XWは、約0.2mmの幅である。導線20は、ダイス孔57を挿通する際に材料導入路56へ高圧の絶縁被覆材料30が流入する。そのため、導線20は、ダイス孔57を挿通する際には中心方向へと押圧される。しかし、従来技術のように導線の動きの最大幅が約0.4mmある場合には、導線は高圧の絶縁被覆材料の押圧力を押さえ中心方向から外れ偏心することが確認できた。また、本実施形態のように導線の動きの最大幅が約0.2mmである場合には、導線は高圧の絶縁被覆材料の押圧力により中心位置に押し戻されるため偏心しないことが確認できた。
したがって、本実施形態により、導線の動きの最大幅を約0.2mmとすることができることにより導線の偏心を防止することができる。
【0032】
以上詳細に説明したように、第1実施形態のように絶縁被覆導線製造装置を用いた絶縁被覆導線製造方法によれば、以下の効果を有する。
ダイス孔57を有する押出クロスヘッド50を用いて断面が矩形状である導線20の外周に絶縁被覆材料30を被覆して絶縁被覆膜を形成することにより、絶縁被覆導線21を製造する絶縁被覆導線製造方法において、押出クロスヘッド50の上流側で導線20をガイドする第1ガイドローラ60を有すること、押出クロスヘッド50の下流側で導線20をガイドする第2ガイドローラ70を有すること、第1ガイドローラ60は、導線20の2つの面を第1ガイド押圧面81により押圧すること、及び、第2ガイドローラ70は、絶縁被覆導線21の2つの面を第2ガイド押圧面82により押圧することにより導線20の中心をダイス孔57の中心に対して位置決めすることができる。また、導線20の外周に絶縁被覆材料30を均一に被覆させることができる。すなわち、第1ガイドローラ60の第1ガイド押圧面81及び第2ガイドローラ70の第2ガイド押圧面82により導線20を押圧することにより、導線20は第1押圧面81及び第2押圧面82方向の矢印Sに対して張力が生じる。導線20に対して矢印S方向の張力が生じた部分には第1ガイド押圧面81及び第2ガイド押圧面82により固定されているため導線20は位置決めされることになる。導線20の位置精度が高まることにより、導線20の偏心を抑制することができるため、導線20の外周に絶縁被覆材料30を均一に被覆させることができる。均一安定性を得ることができるため、絶縁性を保つことができない程度の絶縁被覆材料30の膜厚の薄い箇所がなくなる。そのため、特にHV自動車に用いるような場合においても対応することができる。
【0033】
第1ガイドローラ60は、導線20の水平位置を位置決めする第1水平ガイドローラ61と、導線20の垂直位置を位置決めする第1垂直ガイドローラ62を有すること、第1水平ガイドローラ61と第1垂直ガイドローラ62が交差する直角の第1コーナ面が第1ガイド押圧面81となること、第2ガイドローラ70は、導線の水平方向を位置決めする第2水平ガイドローラ71と、導線20の垂直位置を位置決めする第2垂直ガイドローラ72を有すること、第2水平ガイドローラ71と第2垂直ガイドローラ72が交差する直角の第2コーナ面が第2ガイド押圧面82となることにより、導線20の外周に絶縁被覆材料30を均一に被覆させることができる。すなわち、直角の第1コーナ面及び第2コーナ面が第1ガイド押圧面81及び第2押圧面82となることにより、矩形状の導線20に対して一方の側面及び底面の2つの面と当接することになる。また、導線20の張力は当接する第1ガイド押圧面81の2つの面及び第2ガイド押圧面82の2つの面に対してかかるため張力を受けやすく位置決めがし易くなる。したがって、導線20の位置精度を高めることができるため、導線20の偏心を抑制することができ、導線20の外周に絶縁被覆材料30を均一に被覆させることができる。均一安定性を得ることができるため、絶縁性を保つことができない程度の絶縁被覆材料30の膜厚の薄い箇所がなくなる。そのため、特にHV自動車に用いるような場合においても対応することができる。
【0034】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る絶縁被覆導線製造方法は、第1実施形態に係る絶縁被覆導線製造方法と比較して、押出成形装置90のうち第1ガイドローラ91及び第2ガイドローラ95の形状が異なる以外異なるところがない。そのため、第2実施形態においては、押出成形装置90のうち第1ガイドローラ91及び第2ガイドローラ95について詳細に説明することにより、その他の説明を割愛する。
なお、第2実施形態では押出成形装置90以外の構成、作用効果については説明を割愛するが、その他の部分は第1実施形態と同様の構成、作用効果を有する。
【0035】
<押出成形装置の全体構成>
図8に、押出成形装置90の概念図を示す。図9に、図8の第1ガイドローラをCC方向から見た一部断面側面図を示す。図10に、図8の第2ガイドローラをDD方向から見た一部断面側面図を示す。
図8に示すように、押出成形装置90は、押出クロスヘッド99、第1ガイドローラ91、及び第2ガイドローラ95を有し、導線20が押出成形装置90の間を挿通している。図8に示すように、押出クロスヘッド99を中心に、上流側である予熱炉13側には、導線20をガイドする第1ガイドローラ91を有し、下流側である冷却槽15側には導線20をガイドする第2ガイドローラ95を有する。
押出クロスヘッド99の構成、作用効果は第1実施例1の押出クロスヘッド50と同様であるため詳細な説明を割愛する。
【0036】
第1ガイドローラ91の構成について説明する。
図9に示すように、第1ガイドローラ91は軸Jを有する略円筒形状をなす。また第1ガイドローラ91には、周回上に切込み部である第1ガイド押圧面92が形成されている。第1ガイド押圧面92は、水平方向に切り込まれ導線20の垂直方向を位置決めする第1垂直押圧面93、及び垂直方向に切り込まれ導線20の水平方向を位置決めする第1水平押圧面94を有する。第1垂直押圧面93及び第1水平押圧面94が当接する位置に第1コーナ部92Aが形成されている。第1垂直押圧面93は導線20の底面に当接し、
第1水平押圧面94は導線20の一側面に当接する。第1ガイドローラ91は、本実施例においては軸Jを中心に時計反対回りに回転する。第1ガイドローラ91が回転可能とすることにより、導線20を下流側に対して送り出すことができる。また、第1ガイドローラ91は図示しない上下動機構及び左右動機構を備える。
【0037】
第2ガイドローラ95の構成について説明する。
図10に示すように、第2ガイドローラ95は軸Jを有する略円筒形状をなす。また第2ガイドローラ95には、周回上に切込み部である第2ガイド押圧面96が形成されている。第2ガイド押圧面96は、水平方向に切り込まれ絶縁被覆導線21の垂直方向を位置決めする第2垂直押圧面97、及び垂直方向に切り込まれ絶縁被覆導線21の水平方向を位置決めする第2水平押圧面98を有する。第2垂直押圧面97及び第2水平押圧面98が当接する位置に第2コーナ部96Aが形成されている。第2垂直押圧面97は絶縁被覆導線21の底面に当接し、第2水平押圧面98は絶縁被覆導線21の一側面に当接する。第2ガイドローラ95は、本実施例においては軸Jを中心に時計反対回りに回転する。第2ガイドローラ95が回転可能とすることにより、絶縁被覆導線21を下流側に対して送り出すことができる。また、第2ガイドローラ95は図示しない上下動機構及び左右動機構を備える。
【0038】
<押出成形装置の作用効果>
押出成形装置14の作用効果について説明する。
導線20は、図8中上流から押出クロスヘッド99を挿通し下流方向へと流れる。押出クロスヘッド99を挿通する際に、導線20に絶縁被覆材料30が被膜され、絶縁被覆導線21が成形される。
【0039】
具体的には、図8に示す、第1ガイドローラ91の第1水平押圧面94に導線20の一側面を、第1垂直押圧面93に導線20の底面を当接させた状態とする。また、第2ガイドローラ95の第2水平押圧面98に絶縁被覆導線21の一側面を、第2垂直押圧面97に絶縁被覆導線21の底面を当接させた状態とする。
続いて、第1ガイドローラ91及び第2ガイドローラ95を図示しない上下動機構により図9及び図10中の上方向に移動させる。さらに、図示しない左右動機構により図9及び図10中の左方向に移動させる。以上の第1ガイドローラ91が上方向の垂直移動及び左方向への水平移動をすることにより、導線20に対して第1コーナ部92Aに向かう矢印S方向へ張力が発生する。また、第2ガイドローラ95が上方向の垂直移動及び左方向への水平移動をすることにより、絶縁被覆導線21に対しても同様に第2コーナ部96Aに向かう矢印S方向へ張力が発生する。
【0040】
以上の左方向への水平移動及び上方向へ垂直移動したとしても、第1ガイド押圧面92に導線20の一側面及び底面が当接した状態に変わりはない。また、第2ガイド押圧面96に絶縁被覆導線21の一側面及び底面が当接した状態に変わりはない。
一方、左方向への水平移動及び上方向へ垂直移動をすることにより、導線20は図9中の左斜め上方向へ移動したことになる。また、絶縁被覆導線21は図10中の左斜め上方向へ移動したことになる。導線20は、送出機11及び巻線機16によりテンションが張られた状態にある。そのため、第1ガイドローラ91及び第2ガイドローラ95が同時に同様の左斜め上方向へと移動されると、導線20及び絶縁被覆導線21には、図9及び図10中の第1コーナ部92A及び第2コーナ部96Aに向かう矢印S方向の張力が発生することになる。このとき、第1ガイドローラ91及び第2ガイドローラ95が同時に同じ方向へ同じ速さで同じ量移動することにより、導線20及び絶縁被覆導線21対する矢印S方向の張力も同じになる。矢印S方向の張力が同じになることにより位置精度が良くなる。
【0041】
導線20に対する第1コーナ部92Aに向かう矢印S方向へ張力の発生、及び、絶縁被覆導線21に対する第2コーナ部96Aに向かう矢印S方向へ張力の発生により、押出クロスヘッド50を挿通する際の導線20の位置精度を高めることができる。すなわち、導線20に対して第1ガイドローラ91及び第2ガイドローラ95により、矢印S方向へ同じ張力が発生することにより、導線20は、第1ガイド押圧面92及び第2ガイド押圧面96に対して同じ力で押し当てられながら移動する。第1ガイドローラ91及び第2ガイドローラ95は同じ位置に位置するため、導線20はダイス孔99Aを挿通する際に決まった位置を移動することができ、導線20の偏心を抑制することができる。導線20が位置精度良く押出クロスヘッド50のダイス孔57を挿通することにより、導線20の外周に絶縁被覆材料30を均一に被覆させた絶縁被覆導線21を成形することができる。
【0042】
以上詳細に説明したように、第2実施形態のように絶縁被覆導線製造装置を用いた絶縁被覆導線製造方法によれば、以下の効果を有する。
第1ガイド押圧面92は導線20の垂直位置を位置決めする第1垂直押圧面93と、導線20の水平位置を位置決めする第1水平押圧面94を有すること、第2ガイド押圧面96は絶縁被覆導線21の垂直位置を位置決めする第2垂直押圧面97と、導線20の水平位置を位置決めする第2水平押圧面98を有することにより、導線20の外周に絶縁被覆材料30を均一に被覆させることができる。すなわち、第1垂直押圧面93及び第1水平押圧面94が第1ガイド押圧面92となること、及び第2垂直押圧面97、第2水平押圧面98が第2ガイド押圧面96となることにより、矩形状の導線20及び絶縁被覆導線21に対して一方の側面及び底面の2つの面と当接することになる。また、導線20及び絶縁被覆導線21の張力は当接する第1ガイド押圧面92の2つの面及び第2ガイド押圧面96の2つの面に対してかかるため張力を受けやすく位置決めがし易くなる。したがって、導線20の位置精度を高めることができるため、導線20の偏心を抑制することができ、導線20の外周に絶縁被覆材料30を均一に被覆させることができる。均一安定性を得ることができるため、絶縁性を保つことができない程度の絶縁被覆材料30の膜厚の薄い箇所がなくなる。そのため、特にHV自動車に用いるような場合においても対応することができる。
また、本実施形態によれば、一つの第1ガイドローラ91及び一つ第2ガイドローラ95により導線20の位置精度を高めることができる。そのため、第1実施形態における2つの第1ガイドローラ及び2つ第2ガイドローラにより位置決めする場合と比較して、ガイドローラを半減することができる。そのため、製造装置を安価にすることができるためコストダウンを図ることができる。
【0043】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施形態においては、第1ガイドローラ及び第2ガイドローラを押出成形装置において用いたが、その他の工程においても使用することができる。すなわち、整直器、予熱炉、冷却槽を挿通させる際に使用することができる。整直器において、第1ガイドローラ及び第2ガイドローラを使用することにより、導線に張力が発生するため導線を真っすぐすることができる。また、予熱炉において、導線に張力が発生するため導線を真っすぐの状態で予熱することができるため熱のムラを防止することができる。冷却槽において、巻線機に巻とられる前に、絶縁被覆導線を再度真っすぐに整えることができるため、巻線機において巻きとり易くなる。
【0044】
例えば、本実施形態においては、左右動機構及び上下動機構が別々に存在する旨記載したが、斜め方向動機構を有するものであってもよい。斜め方向動機構を有することにより、左右動及び上下動を行う必要がなくなり一つの動作で済むため時間を短縮することができる。
また、第1ガイドローラ及び第2ガイドローラは弾性体により歪むようにすることができる。弾性体により歪むことにより第1ガイド押圧面及び第2ガイド押圧面を確実に導線に押し当てることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 絶縁被覆導線製造装置
20 導線
21 絶縁被覆導線
30 絶縁被覆材料
50 押出クロスヘッド
57 ダイス孔
60 第1ガイドローラ
61 第1水平ガイドローラ
62 第1垂直ガイドローラ
70 第2ガイドローラ
71 第2水平ガイドローラ
72 第2垂直ガイドローラ
81 第1ガイド押圧面
82 第2ガイド押圧面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイス孔を有する押出クロスヘッドを用いて断面が矩形状である導線の外周に絶縁被覆材料を被覆して絶縁被覆膜を形成することにより、絶縁被覆導線を製造する絶縁被覆導線製造方法において、
前記押出クロスヘッドの上流側で前記導線をガイドする第1ガイドローラを有すること、
前記押出クロスヘッドの下流側で前記導線をガイドする第2ガイドローラを有すること、
前記第1ガイドローラは、前記導線の2つの面を第1ガイド押圧面により押圧すること、及び、前記第2ガイドローラは、前記導線の2つの面を第2ガイド押圧面により押圧することに、より前記導線を前記ダイス孔に対して位置決めすること、
を特徴とする絶縁被覆導線製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載する絶縁被覆導線製造方法において、
前記第1ガイドローラは、前記導線の水平位置を位置決めする第1水平ガイドローラと、前記導線の垂直位置を位置決めする第1垂直ガイドローラを有すること、
前記第1水平ガイドローラと前記第1垂直ガイドローラが交差する直角の第1コーナ面が前記第1ガイド押圧面となること、
前記第2ガイドローラは、前記導線の水平方向を位置決めする第2水平ガイドローラと、前記導線の垂直位置を位置決めする第2垂直ガイドローラを有すること、
前記第2水平ガイドローラと前記第2垂直ガイドローラが交差する直角の第2コーナ面が前記第2ガイド押圧面となること、
を特徴とする絶縁被覆導線製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載する絶縁被覆導線製造方法において、
前記第1ガイド押圧面は前記導線の垂直位置を位置決めする第1垂直押圧面と、前記導線の水平位置を位置決めする第1水平押圧面を有すること、
前記第2ガイド押圧面は前記導線の垂直位置を位置決めする第2垂直押圧面と、前記導線の水平位置を位置決めする第2水平押圧面を有すること、
を特徴とする絶縁被覆導線製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する絶縁被覆導線製造方法において、
前記第1ガイドローラ及び前記第2ガイドローラは同時に同じ方向へ同じ速さで同じ量移動すること、
を特徴とする絶縁被覆導線製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−174402(P2012−174402A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33140(P2011−33140)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】