説明

絶縁電線およびこれを用いた電気コイル

【課題】良好な絶縁性を有し、機器の長寿命化と、通電時の漏れ電流の低減化を図ることができる絶縁電線およびこれを用いた電気コイルを提供することを目的とする。
【解決手段】絶縁電線1は、導体2と、導体2上に形成された絶縁皮膜3とを備えている。そして、絶縁皮膜3は、ポリアミドイミド樹脂により形成され、導体2の外周を被覆する第1の樹脂層4と、ポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂により形成され、第1の樹脂層4の外周を被覆する第2の樹脂層5とを有している。従って、絶縁電線1を屈曲させて捲線すると、絶縁電線1の変形に第2の樹脂層5が追従するため、絶縁皮膜3に亀裂が生じるのを回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの電気コイル等に用いられる絶縁電線、特に、圧縮機と一体となった駆動モータ用の電気コイル等として使用される絶縁電線、および当該絶縁電線により形成される電気コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空調機の送風機や、冷蔵庫、あるいは自動車等の各種機器に搭載される電動圧縮機をインバータ電源で駆動するシステムが増加している。例えば、空調システムにおいては、熱交換器、圧縮機、ドライヤ、およびこれらを配管接続する循環システムを備えており、当該圧縮機は、冷媒を圧縮するための圧縮部と、圧縮機と一体となった駆動モータとを備えている。そして、インバータ電源で圧縮機を駆動することにより、例えば、始動時においては、電動圧縮機を最大回転で運転することにより、空調システムの最大能力を引き出し、室温をいち早く設定温度に到達させることが可能になる。
【0003】
また、一般に、この駆動モータ用の電気コイルの巻線(コイル巻きを形成する絶縁電線)として、導体と、当該導体上に形成された絶縁皮膜とを備える絶縁電線が使用されている。より具体的には、例えば、図14に示すように、導体50である銅線の表面に、ポリアミドイミド樹脂を主成分とする塗料を塗布して、焼付けを行い、当該銅線上に絶縁皮膜51を形成した絶縁電線52が開示されている。このような構成によれば、耐摩耗性および可塑性に優れた絶縁電線を得ることができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、図15に示すように、導体53である銅線の表面に、ポリアミドイミド樹脂を含有する絶縁塗料を数回塗布して、焼付けを行い、第1の樹脂層54を形成し、さらに当該第1の樹脂層54の表面に、ポリアミドイミドを含有する絶縁塗料を塗布して、焼付けを行い、第2の樹脂層55を形成し、銅線上に、第1、第2の樹脂層54、55からなる絶縁皮膜56を形成した絶縁電線57が開示されている。この第2の樹脂層55を形成する絶縁塗料には、酸無水物変性ポリオレフィン樹脂をキシレン溶媒中に分散させたポリオレフィン分散液が添加されており、このような構成により、自己潤滑性に優れ、自己潤滑化されていない電線と同等な含浸ワニス固着力を有する絶縁電線を得ることができると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−11312号公報
【特許文献2】特開平5−217427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の絶縁電線においては、絶縁電線を屈曲させて捲線することにより、電気コイルを形成する際に、絶縁皮膜に対して作用する応力により、当該絶縁皮膜に亀裂が生じてしまう場合がある。その結果、絶縁電線において、良好な絶縁性を確保することができず、絶縁電線が使用される駆動モータ等の機器の長寿命化を図ることが困難になるという問題があった。
【0006】
また、絶縁電線を捲線して形成した電気コイルを、磁性体の芯等からなる固定子鉄心に形成されたスロットに挿入し、プレス加工によりコイルエンドを整形する際に、絶縁皮膜に亀裂が生じてしまう場合がある。その結果、絶縁電線において、良好な絶縁性を確保することができず、通電時の漏れ電流が大きくなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、良好な絶縁性を有し、機器の長寿命化と、通電時の漏れ電流の低減化を図ることができる絶縁電線およびこれを用いた電気コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、導体と、導体上に形成された絶縁皮膜と、を備える絶縁電線であって、絶縁皮膜は、導体の外周を被覆する第1の樹脂層と、第1の樹脂層の外周を被覆する第2の樹脂層とを有し、第1の樹脂層は、ポリアミドイミド樹脂により形成され、第2の樹脂層は、ポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂により形成されていることを特徴とする。
【0009】
同構成によれば、第2の樹脂層が、第1の樹脂層を形成するポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂により形成されているため、絶縁電線を捲線することにより、電気コイルを形成する際に、加工治具による絶縁電線の変形に第2の樹脂層が追従するため、絶縁皮膜に亀裂が生じるのを回避できる。その結果、絶縁電線において、良好な絶縁性を確保することが可能になるため、当該絶縁電線が使用される機器の長寿命化を図ることが可能になる。
【0010】
また、例えば、磁性体の芯等からなる固定子鉄心に捲線された絶縁電線からなる電気コイルをプレス加工して整形する際に、第1の樹脂層を形成するポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂により形成されている第2の樹脂層により、絶縁皮膜が伸長しやすくなる。従って、絶縁皮膜に亀裂が生じるのを回避でき、結果として、絶縁電線が使用される機器の長寿命化を図ることが可能になる。
【0011】
また、例えば、磁性体の芯等からなる固定子鉄心に捲線された絶縁電線からなる電気コイルをプレス加工して整形する際に、絶縁電線が屈曲することがあるが、第1の樹脂層を形成するポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂により形成されている第2の樹脂層により、屈曲内側の絶縁皮膜にシワが発生し、絶縁皮膜に対して作用する応力が緩和されるため、皮膜ワレを回避できる。従って、絶縁皮膜の耐加工性が向上するため、当該絶縁皮膜に亀裂が生じるのを回避できる。その結果、絶縁電線において、良好な絶縁性を確保することが可能になるため、通電時の漏れ電流が小さい電気コイルを提供することが可能になり、絶縁電線が使用される機器の安全性が向上するとともに、長寿命化を図ることが可能になる。また、電気コイルをプレス加工する際の整形性に優れているため、電気コイルの小型化が可能になり、結果として、圧縮機等の機器への搭載性が向上することになる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の絶縁電線であって、第2の樹脂層を構成する樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする。同構成によれば、ポリイミド樹脂は、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、およびポリビニルホルマール樹脂に比し、比誘電率が小さいため、絶縁皮膜を構成する第2の樹脂層に、当該ポリイミド樹脂を使用することにより、電気コイルの静電容量が小さくなる。従って、通電時の電気コイルの漏れ電流をより一層小さくすることができ、絶縁電線が使用される機器の安全性がより一層向上するとともに、より一層の長寿命化を図ることが可能になる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の絶縁電線であって、絶縁皮膜が、第2の樹脂層を構成する樹脂より潤滑性の高い樹脂により形成され、第2の樹脂層の外周を被覆する第3の樹脂層を、更に有することを特徴とする。
【0014】
同構成によれば、磁性体の芯等からなる固定子鉄心に形成されたスロットに絶縁電線を容易に挿入することが可能になるため、絶縁皮膜への応力が低減でき、スロット内により多くの絶縁電線を挿入することが可能になる。その結果、絶縁電線が使用される機器(例えば、駆動モータ)の効率や出力を向上できる。また、絶縁皮膜への応力が低減するため、絶縁電線の絶縁性能が向上し、絶縁電線の安全性を向上することができる。また、絶縁電線が使用される機器を形成する際の作業性が向上することになる。また、例えば、第2の樹脂層を、複数回の焼付塗装により形成する場合、第2の樹脂層を構成する樹脂の界面が剥離しやすくなるが、第2の樹脂層の外周を第3の樹脂層により被覆することにより、当該第3の樹脂層が、剥離性の高い第2の樹脂層の保護層として機能することになる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の絶縁電線であって、第3の樹脂層を形成する樹脂が、ポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする。同構成によれば、ポリアミドイミド樹脂は、優れた耐摩擦性を有するため、当該ポリアミドイミド樹脂を、絶縁電線の最外層である第3の樹脂層に使用することにより、当該絶縁電線の耐摩擦性を向上させることが可能になる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の絶縁電線を捲線して成ることを特徴とする電気コイルである。同構成によれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の絶縁電線を備える構成としているため、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の絶縁電線と同じ効果を有する電気コイルを得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、絶縁電線において、良好な絶縁性確保することができ、当該絶縁電線が使用される機器の長寿命化と、通電時の漏れ電流の低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る絶縁電線の構造を示す断面図である。図1に示すように、絶縁電線1は、例えば、空調機の送風機や、冷蔵庫、あるいは自動車等の各種機器に搭載される電動圧縮機と一体となった駆動モータ用の電気コイルの巻線(コイル巻きを形成する絶縁電線)等として使用されるものであり、導体2と、当該導体2上に形成された絶縁皮膜3とを有している。また、この絶縁皮膜3は、導体2の外周を被覆する第1の樹脂層4と、当該第1の樹脂層4の外周を被覆する第2の樹脂層5とを有している。
【0019】
また、この絶縁電線1を使用して電気コイルを形成する際には、図2に示すように、まず、第1の工程として、絶縁電線1が巻き付けられたボビン(不図示)から、当該絶縁電線1を引き出すとともに、移動巻枠6を有する巻枠構成体7を回転させることにより、絶縁電線1がコイル供給ノズル8を介して移動巻枠6に捲線され、環状の電気コイル9を形成する。
【0020】
次に、第2の工程として、形成された環状の電気コイル9の外周を凹凸形状に成形して、星型コイルを形成する。より具体的には、図3に示すように、電気コイル9を保持している移動巻枠6間に成形移動枠10を挿入し、電気コイル9の外側より放射方向にコイルを押して、成形固定枠11にコイルを押し付けつけることにより、環状の電気コイル9を星型に成形する。
【0021】
次に、第3の工程として、図4に示すように、磁性体の芯等からなる固定子鉄心12に形成されたスロット13に、上述の星型に成形された第1の電気コイル9aを、挿入治具(不図示)に装着した状態で挿入し、固定子鉄心12を第1の電気コイル9aにより巻装する。そして、第4の工程として、挿入された第1の電気コイル9aに対して、次にスロット13に挿入される第2、第3の電気コイル9b、9cの挿入を容易にするためのコイル整形工程が行われる。このコイル整形工程により、高占積率の電気コイル9を多層に形成することができる。以上に説明した、第1〜第4の工程を三回繰り返すことで、第1〜第3の電気コイル9a〜9cの挿入を行う。
【0022】
そして、第5の工程として、挿入された第1〜第3の電気コイル9a〜9cの各々のコイルエンド14〜16を、プレス加工により駆動モータ用の軸の方向(図中の矢印Xの方向)に整形する。より具体的には、図5に示すように、例えば、第1の電気コイル9aについては、コイルエンド14の立ち上がり部14aが、仮想線で示すコイルエンド14のように、左右方向(図中の矢印Y1、Y2の方向)に逃げるように、当該立ち上がり部14aを図中の矢印Zの方向からプレスして変形させ、その高さを低く整形する。そして、第2、第3の電気コイル9b、9cの各々のコイルエンド15、16に対しても、同様のプレス加工による整形を行うことにより、図6に示す、コイルエンド14〜16が整形された第1〜第3の電気コイル9a〜9cにより巻装された固定子鉄心12を得ることができる。
【0023】
導体2としては、必要な送電容量が確保できるものであれば良く、特に材質・構成が限定されるわけではないが、例えば、銅線、錫めっき銅線、アルミ線、アルミ合金線、鋼心アルミ線、カッパーフライ線、ニッケルめっき銅線、銀めっき銅線、銅覆アルミ線等が使用できる。
【0024】
また、絶縁皮膜3の第1の樹脂層4を形成する樹脂としては、導体2との密着性が高いとともに、絶縁性、および耐熱性が高い樹脂であれば特に限定されず、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、およびH種ポリエステル樹脂等が好適に使用できる。なお、導体2との密着性が高い樹脂とは、例えば、ポリアミドイミド樹脂については、導体2との密着性が、汎用のポリアミドイミド樹脂(例えば、日立化成(株)製、商品名HI−405H、HI−401D等)よりも高いポリアミドイミド樹脂(例えば、日立化成(株)製、商品名HI−400A、HI−407A等)をいう。
【0025】
なお、これらの樹脂は、単独で使用しても構わないし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。また、密着性付与剤(例えば、メラミン等のアミノ樹脂や、ヘテロ環状メルカプタン等)を添加した樹脂を使用する構成としても良い。
【0026】
第1の樹脂層4は、例えば、直径1.0mmの銅線からなる導体2の表面に、ポリアミドイミド系絶縁塗料を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、導体2の外周を被覆することにより形成される。
【0027】
また、通常の車載用や室内用の空調機においては、冷媒中に300ppm以上の水分を含有していることが多いため、水分を多く含む液相環境内においても絶縁性が高い樹脂が好ましく、当該絶縁性の観点から、本実施形態においては、ポリアミドイミド樹脂が特に好適に使用される。
【0028】
ここで、本実施形態においては、絶縁皮膜3の第2の樹脂層5が、第1の樹脂層4を形成するポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂により形成される点に特徴がある。このような構成により、絶縁電線1を捲線することにより、電気コイル9を形成する際に、加工治具による絶縁電線1の変形に第2の樹脂層5が追従するため、絶縁皮膜3に亀裂が生じるのを回避できる。その結果、絶縁電線1において、良好な絶縁性を確保することが可能になるため、当該絶縁電線1が使用される機器(例えば、上述の駆動モータ)の長寿命化を図ることが可能になる。
【0029】
なお、ここでいう伸長性とは、引張伸びのことをいい、例えば、ポリイミド樹脂の引張伸びは約60%であり、ポリアミドイミド樹脂の引張伸び(約30%)よりも高いため、ポリイミド樹脂はポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂であるといえる。なお、本実施形態においては、当該引張伸びは、40%以上であることが好ましい。
【0030】
また、第2の樹脂層5が、第1の樹脂層4を形成するポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂により形成されているため、固定子鉄心12に捲線された絶縁電線1からなる電気コイル9をプレス加工して整形する際に、第2の樹脂層5により、絶縁皮膜3が伸長しやすくなる。従って、プレス加工時に絶縁皮膜3に対して作用する応力が緩和されることになり、絶縁皮膜3の耐加工性が向上するため、当該絶縁皮膜3に亀裂が生じるのを回避でき、結果として、絶縁電線1が使用される機器の長寿命化を図ることが可能になる。
【0031】
また、例えば、絶縁電線1からなる電気コイル9をプレス加工して整形する際に、絶縁電線1が屈曲することがあるが、第1の樹脂層4を形成するポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂により形成されている第2の樹脂層5により、屈曲内側の絶縁皮膜3にシワが発生し、絶縁皮膜3に対して作用する応力が緩和されるため、皮膜ワレを回避できる。従って、絶縁皮膜3の耐加工性が向上するため、当該絶縁皮膜3に亀裂が生じるのを回避できる。その結果、絶縁電線1において、良好な絶縁性を確保することが可能になるため、通電時の電気コイル9の漏れ電流を小さくすることが可能になり、絶縁電線1が使用される機器の安全性が向上するとともに、長寿命化を図ることが可能になる。また、電気コイル9をプレス加工する際の整形性に優れているため、電気コイル9の小型化が可能になり、結果として、圧縮機等の機器への搭載性が向上することになる。
【0032】
なお、ここで言う、電気コイル9と当該電気コイル9を捲線した固定子鉄心12との間の漏れ電流Iは、例えば、電源としてインバータ電源を使用し印加した場合、電気コイル9の静電容量をCとすると、電気コイル9と固定子鉄心12間の絶縁材を考慮しない場合、I∝Cの関係にある。また、静電容量Cは、誘電率ε(空間の誘電率をε、絶縁皮膜3の比誘電率をεとした場合に、ε=εεで表されるもの)との間に、C∝εの関係があり、比誘電率εが小さい絶縁皮膜3の巻線を用いることで、漏れ電流Iを小さくすることが可能になる。
【0033】
また、第2の樹脂層5を形成する樹脂としては、絶縁電線1を屈曲させる際に、屈曲内側の絶縁皮膜3にシワを発生できるものであれば特に限定されず、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂等が好適に使用できるが、これらの樹脂のうち、ポリイミド樹脂を使用することが特に好ましい。これは、ポリイミド樹脂は、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、およびポリビニルホルマール樹脂に比し、比誘電率が小さいため、絶縁皮膜3を構成する第2の樹脂層5に、当該ポリイミド樹脂を使用することにより、電気コイル9の静電容量Cが小さくなる。従って、例えば、インバータ電源による通電時の電気コイル9の漏れ電流Iをより一層小さくすることができ、絶縁電線1が使用される機器の安全性がより一層向上するとともに、より一層の長寿命化を図ることが可能になるからである。
【0034】
なお、これらの樹脂は、単独で使用しても構わないし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。また、複数回の焼付塗装を行うことにより、当該第2の樹脂層5を、複数層の樹脂(即ち、ポリイミド樹脂による多層構造)により形成する構成としても良い。
【0035】
また、第2の樹脂層5は、例えば、第1の樹脂層4の表面に、ポリイミド系絶縁塗料を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、第1の樹脂層4の外周を被覆することにより形成される。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る絶縁電線の構造を示す断面図である。なお、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、上記第1の実施形態において第1〜第5の工程として説明した、電気コイルの形成方法、固定子鉄心を電気コイルにより巻装する方法、およびコイルエンドの整形方法についても、第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0037】
本実施形態においては、図7に示すように、図1に示す絶縁電線1において、第2の樹脂層5の外周を被覆する第3の樹脂層17を設けるとともに、当該第3の樹脂層17を、第2の樹脂層5を形成する樹脂より潤滑性の高い樹脂により形成した点に特徴がある。このような構成により、固定子鉄心12に形成されたスロット13に絶縁電線1からなる電気コイル9を容易に挿入することが可能になるため、絶縁皮膜3への応力が低減でき、スロット13内により多くの絶縁電線1を挿入することが可能になる。その結果、絶縁電線1が使用される機器(例えば、駆動モータ)の効率や出力を向上できる。また、絶縁皮膜3への応力が低減するため、絶縁電線1の絶縁性能が向上し、当該絶縁電線1の安全性を向上することができる。また、絶縁電線1が使用される機器を形成する際の作業性が向上することになる。
【0038】
また、上述のごとく、第2の樹脂層5を、複数回の焼付塗装により、例えば、上述のポリイミド樹脂により形成する場合、当該第2の樹脂層5を構成する樹脂の界面が剥離しやすくなるが、第2の樹脂層5の外周を第3の樹脂層17により被覆することにより、当該第3の樹脂層17が、剥離性の高い第2の樹脂層5の保護層として機能することになる。
【0039】
なお、絶縁皮膜3の第3の樹脂層17を形成する樹脂としては、第2の樹脂層5を形成する樹脂より潤滑性の高い樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ナイロン樹脂等が好適に使用できる。また、潤滑性が高い樹脂とは、例えば、ポリアミドイミド樹脂については、固定子鉄心12に形成されたスロット13に絶縁電線1からなる電気コイル9を挿入する際の滑り性が、第2の樹脂層5を形成する汎用のポリイミド樹脂(例えば、I.S.T(株)製、商品名Pyre−M.L.RC5057等)よりも高いポリアミドイミド樹脂をいう。
【0040】
また、これらの樹脂のうち、第3の樹脂層17を形成する樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂を使用することが特に好ましい。これは、ポリアミドイミド樹脂は、優れた耐摩擦性を有するため、当該ポリアミドイミド樹脂を、絶縁電線1の最外層である第3の樹脂層17に使用することにより、当該絶縁電線1の耐摩擦性が向上することになるからである。
【0041】
なお、これらの樹脂は、単独で使用しても構わないし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。また、上述の第1の樹脂層4を形成する、導体2との密着性の高いポリアミドイミド樹脂により、第3の樹脂層17を形成する構成としても良い。
【0042】
また、第3の樹脂層17は、例えば、第2の樹脂層5の表面に、ポリアミドイミド系絶縁塗料を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、第2の樹脂層5の外周を被覆することにより形成される。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0044】
(実施例1)
(絶縁電線の作製)
直径1.0mmの銅線からなる導体2の表面に、ポリアミドイミド系絶縁塗料(日立化成(株)製、商品名HI−405)を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、導体2の外周を被覆する、厚さ0.03mmの第1の樹脂層4を形成した。次に、第1の樹脂層4の表面に、ポリイミド系絶縁塗料(I.S.T(株)製、商品名Pyre−M.L.)を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、第1の樹脂層4の外周を被覆する、厚さ0.005mmの第2の樹脂層5を形成し、厚さ0.035mmの絶縁皮膜3を有する絶縁電線1を作製した。
【0045】
(シワ・亀裂判定試験)
次に、図8に示すように、作製した絶縁電線1の一端部1aを、取付部材18に取り付けて固定し、絶縁電線1を吊り下げた。次に、図9に示すように、絶縁電線1を屈曲させて、当該絶縁電線1に輪部1cを形成するとともに、絶縁電線1の他端部1bに、図中の矢印Wの方向に移動可能な荷台19に載置された荷重部材20を取り付け、絶縁電線1にキンク部21を形成した。なお、キンク部21の拡大図を図10に示した。そして、絶縁電線1の他端部1bに取り付けされた荷重部材20を、荷台19に載置させた状態で、上述の矢印Wの方向に一定速度(約50mm/分)で移動(降下)させた。そして、荷重部材20が、荷台19から離れるまで、当該荷台19を移動させ、荷重部材20が自然落下の状態になった時点で、キンク部21の屈曲内側3d(図10を参照)の絶縁皮膜3におけるシワの発生、および亀裂の発生の有無を判定した。なお、シワの発生、および亀裂の発生は、顕微鏡(OLYMPUS(株)製、商品名BX60)を使用して観察した。また、荷重部材20により、絶縁電線1に対して、13N、15N、20Nの3種類の荷重をかけて行った。また、判定指標は、○:屈曲内側3dの絶縁皮膜3にシワが発生しているもの、または亀裂が発生していないもの、×:屈曲内側3dの絶縁皮膜3にシワが発生していないもの、または亀裂が発生しているもので行った。以上の結果を表1に示す。
【0046】
(絶縁破壊電圧試験)
上述のシワ・亀裂判定試験において作製した絶縁電線1のキンク部21を、グリセリンと飽和食塩水の混合溶液に浸し、絶縁電線1の導体2と、グリセリンと飽和食塩水の混合溶液の間に、50Hz、または60Hzの正弦波に近い波形を有する交流電圧を加えて、絶縁破壊電圧を測定した。なお、この際、絶縁電線の一端部1aと他端部1bが、上述の混合溶液に浸からないようにした。また、交流電圧は、500V/秒の速さで一様に上昇させ、絶縁破壊の検出電流は5mAとした。また、初期電圧(即ち、荷重が0Nの場合の電圧)を測定するとともに、上述の荷重部材20により、絶縁電線1に対して、10N、15N、20N、25Nの4種類の荷重をかけて絶縁破壊電圧を測定した。以上の結果を図13に示す。
【0047】
(実施例2)
直径1.0mmの銅線からなる導体2の表面に、ポリアミドイミド系絶縁塗料(日立化成(株)製、商品名HI−405)を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、導体2の外周を被覆する、厚さ0.027mmの第1の樹脂層4を形成した。次に、第1の樹脂層4の表面に、ポリイミド系絶縁塗料(I.S.T(株)製、商品名Pyre−M.L.)を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、第1の樹脂層4の外周を被覆する、厚さ0.005mmの第2の樹脂層5を形成した。次に、第2の樹脂層5の表面に、ポリアミドイミド系絶縁塗料(日立化成(株)製、商品名HI−405)を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、第2の樹脂層5の外周を被覆する、厚さ0.003mmの第3の樹脂層17を形成し、厚さ0.035mmの絶縁皮膜3を有する絶縁電線1を作製した。次いで、上述の実施例1と同様の条件により、シワ・亀裂判定試験、および絶縁破壊電圧試験を行った。以上の結果を表1、図13に示す。
【0048】
(実施例3)
直径1.0mmの銅線からなる導体2の表面に、ポリアミドイミド系絶縁塗料(日立化成(株)製、商品名HI−405)を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、導体2の外周を被覆する、厚さ0.027mmの第1の樹脂層4を形成した。次に、第1の樹脂層4の表面に、ポリイミド系絶縁塗料(I.S.T(株)製、商品名Pyre−M.L.)を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、第1の樹脂層4の外周を被覆する、厚さ0.005mmの第2の樹脂層5を形成した。次に、第2の樹脂層5の表面に、潤滑性のポリアミドイミド系絶縁塗料として、アミドイミドワニス(日立化成(株)製、商品名HI−400)の固形分50重量部に対し、コロネート2503(日本ウレタン(株)製)を固形分で50重量部、ポリエチレンワックス(三井石油化学(株)製、商品名220P)を3重量部配合したものを塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、第2の樹脂層5の外周を被覆する、厚さ0.003mmの第3の樹脂層17を形成し、厚さ0.035mmの絶縁皮膜3を有する絶縁電線1を作製した。次いで、上述の実施例1と同様の条件により、シワ・亀裂判定試験、および絶縁破壊電圧試験を行った。以上の結果を表1、図13に示す。
【0049】
(比較例1)
直径1.0mmの銅線からなる導体50の表面に、ポリアミドイミド系絶縁塗料(日立化成(株)製、商品名HI−405)を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、導体50の外周を被覆する、厚さ0.035mmの絶縁皮膜51を有する絶縁電線52を作製した。次いで、上述の実施例1と同様の条件により、シワ・亀裂判定試験、および絶縁破壊電圧試験を行った。なお、比較例1では、後述のごとく、絶縁破壊電圧試験において、15Nの荷重をかけた場合に、絶縁性能を維持することができなかったため、初期電圧を測定するとともに、絶縁電線52に対して、10N、15Nの2種類の荷重をかけて、絶縁破壊電圧試験を行った。以上の結果を表1、図13に示す。
【0050】
(比較例2)
直径1.0mmの銅線からなる導体53の表面に、ポリアミドイミド系絶縁塗料(日立化成(株)製、商品名HI−405)を塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、導体53の外周を被覆する、厚さ0.032mmの第1の樹脂層54を形成した。次に、第1の樹脂層54の表面に、自己潤滑性ポリアミドイミド系絶縁塗料として、アミドイミドワニス(日立化成(株)製、商品名HI−400)の固形分50重量部に対し、コロネート2503(日本ウレタン(株)製)を固形分で50重量部、ポリエチレンワックス(三井石油化学(株)製、商品名220P)を3重量部配合したものを塗布して、450℃にて約1分間焼付けを行い、第1の樹脂層54の外周を被覆する、厚さ0.003mmの第2の樹脂層55を形成し、厚さ0.035mmの絶縁皮膜56を有する絶縁電線57を作製した。次いで、上述の実施例1と同様の条件により、シワ・亀裂判定試験、および絶縁破壊電圧試験を行った。なお、比較例2では、後述のごとく、絶縁破壊電圧試験において、15Nの荷重をかけた場合に、絶縁性能を維持することができなかったため、初期電圧を測定するとともに、絶縁電線57に対して、10N、15Nの2種類の荷重をかけて、絶縁破壊電圧試験を行った。以上の結果を表1、図13に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1から判るように、13Nの荷重をかけた場合は、実施例1〜3、および比較例1〜2のいずれの場合においても、屈曲内側の絶縁皮膜3、51、56にシワは発生しておらず、また、亀裂も生じていなかった。しかし、15N、20Nの荷重をかけた場合は、実施例1〜3においては、いずれの場合も、屈曲内側3dの絶縁皮膜3にシワ30(図11参照)が発生しており、また、亀裂は生じていなかったが、比較例1〜2においては、いずれの場合も、屈曲内側51d、56dの絶縁皮膜51、56にシワは発生していないが、亀裂が生じており、屈曲内側51d、56dの絶縁皮膜51、56の表面が破断して剥離部58(図12参照)が生じていた。
【0053】
また、図13から判るように、10Nの荷重をかけた場合は、実施例1〜3、および比較例1〜2のいずれの場合においても、約10kVの絶縁性能を有していた。しかし、15Nの荷重をかけた場合は、実施例1〜3においては、いずれの場合も、約10kVの絶縁性能を維持していたが、比較例1〜2においては、上述のごとく、いずれの場合も、屈曲内側51d、56dの絶縁皮膜51、56に亀裂が生じており、屈曲内側51d、56dの絶縁皮膜51、56の表面が破断して剥離部58が生じていたため、約10kVの絶縁性能を維持することができなかった。
【0054】
また、図13から判るように、20Nの荷重をかけた場合は、実施例1〜3のいずれの場合においても、約8kVの絶縁性能を維持していた。なお、25Nの荷重をかけた場合は、実施例1〜3のいずれの場合においても、屈曲内側3dの絶縁皮膜3にシワ30は発生していたが、亀裂も生じており、屈曲内側3dの絶縁皮膜3の表面が破断して、上述の剥離部58に相当する剥離部(不図示)が生じていたため、絶縁性能を維持することができなかった。
【0055】
これは、実施例1〜3においては、いずれの場合も、第1の樹脂層4を形成するポリアミドイミド樹脂より伸長性の高いポリイミド樹脂により、絶縁皮膜3の第2の樹脂層5が形成されているためであると考えられ、シワ30の発生により、15N、20Nの荷重をかけた場合に、絶縁皮膜3に対して作用する応力が緩和され、絶縁性能についても維持ができたことが判る。
【0056】
一方、比較例1においては、絶縁皮膜51が、上述のポリイミド樹脂より伸長性の低いポリアミドイミド樹脂のみで形成されているため、15N、20Nの荷重をかけた場合に、絶縁皮膜51に対して作用する応力が緩和されなかったためであると考えられる。また、比較例2においても、絶縁皮膜56が2層により構成されているものの、当該絶縁皮膜56が上述のポリイミド樹脂より伸長性の低いポリアミドイミド樹脂のみで形成されているため、比較例1の場合と同様に、15N、20Nの荷重をかけた場合に、絶縁皮膜56に対して作用する応力が緩和されなかったためであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の活用例としては、モータのコイル等に用いられる絶縁電線、特に、圧縮機と一体となった駆動モータ用のコイル等として使用される絶縁電線、および当該絶縁電線により形成される電気コイルが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る絶縁電線の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る絶縁電線により、環状の電気コイルを形成する工程を説明するための図である。
【図3】環状の電気コイルを星型に成形する工程を説明するための図である。
【図4】固定子鉄心に形成されたスロットに、星型に成形された電気コイルを挿入し、固定子鉄心を電気コイルにより巻装する工程を説明するための図である。
【図5】固定子鉄心のスロットに挿入された電気コイルのコイルエンドを整形する工程を説明するための図である。
【図6】コイルエンドが整形された電気コイルにより巻装された固定子鉄心を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る絶縁電線の構造を示す断面図である。
【図8】シワ・亀裂判定試験を説明するための図であり、絶縁電線の一端部を、取付部材に取り付けて固定し、絶縁電線を吊り下げた状態を示す図である。
【図9】シワ・亀裂判定試験を説明するための図であり、絶縁電線にキンク部を形成した状態を示す図である。
【図10】図9に示すキンク部の拡大図である。
【図11】絶縁皮膜の屈曲内側に発生したシワを示す部分拡大図である。
【図12】絶縁皮膜の屈曲内側に発生した剥離部を示す部分拡大図である。
【図13】絶縁破壊電圧試験の結果を示す図である。
【図14】従来の絶縁電線の構造を示す断面図である。
【図15】従来の絶縁電線の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1…絶縁電線、2…導体、3…絶縁皮膜、3d…キンク部の屈曲内側、4…第1の樹脂層、5…第2の樹脂層、17…第3の樹脂層、21…キンク部、30…シワ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、前記導体上に形成された絶縁皮膜と、を備え、前記絶縁皮膜は、前記導体の外周を被覆する第1の樹脂層と、前記第1の樹脂層の外周を被覆する第2の樹脂層とを有し、前記第1の樹脂層は、ポリアミドイミド樹脂により形成され、前記第2の樹脂層は、前記ポリアミドイミド樹脂より伸長性の高い樹脂により形成されていることを特徴とする絶縁電線。
【請求項2】
前記第2の樹脂層を構成する樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
【請求項3】
前記絶縁皮膜は、前記第2の樹脂層を構成する樹脂より潤滑性の高い樹脂により形成され、前記第2の樹脂層の外周を被覆する第3の樹脂層を、更に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の絶縁電線。
【請求項4】
前記第3の樹脂層を形成する樹脂が、ポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の絶縁電線。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の絶縁電線を捲線して成ることを特徴とする電気コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−149562(P2007−149562A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344681(P2005−344681)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(302068597)住友電工ウインテック株式会社 (22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】