説明

継手金具の加締装置

【課題】剛性を保ちつつ軽量化が図られ、且つ略完全な円形状に加締めることができる継手金具の加締装置を提供することにある。
【解決手段】テーパ穴部2Aを有する円形のワークプレート1と、その後方に離間して配設したサポートプレート4と、前記両プレートを連結する三本の連結軸6A〜6Cと、該三本の連結軸のうち同一高さに架設した二本の連結軸6B,6Cに移動自在に支持された支持部材7と、該支持部材の前部側に装着したプレッシャプレート10と、該プレッシャプレートの前部面に着脱自在に装着した加締治具18からなり、該加締治具を前記テーパ穴部に押圧嵌合させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は継手金具の加締装置、詳しくは、ホースの端部に嵌合した継手金具を加締によ
って取付ける際に使用する継手金具の加締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば圧力流体を利用する装置にあって、圧力流体を移送するためのホースの端部には
いろいろな形状の継手用金具が取付けられているが、この継手用金具の取付けは加締装置
により行っているのが一般的である。
【0003】
この種の加締装置は従来から種々の型式のものが提案されているが、大別すると、上型
と下型とを上下に配設して上型を下型に対して上下方向に接離自在となるように構成した
縦型のもの(実開昭55ー66023号公報,特開平5ー285568号公報,実開平5
ー84430号公報)と、一対の型を左右に配設して一方の型を他方の型に対して左右方
向に接離自在となるように構成した横型のもの(実開平1ー89823号公報,特開平8
ー103837号公報,特開2004ー9071号公報)とに分類することができる。
【0004】
しかし、前記実開昭55ー66023号公報等の縦型の加締装置にあっては、外周に継
手用金具を嵌合したホースの端部を加締装置内にセットする際、ホース全体を支持しなけ
ればならない。そのため、ホースの径が大きくその全重量が大きい場合には作業者に重労
働を強いることになり、作業能率が悪いといった問題点がある。これに対して、前記実開
平1ー89823号公報等の横型の加締装置にあっては、ホース全体を床の上に置き、そ
の端部から所定長さの部分だけ作業者が手で保持することでホースの端部を加締装置内に
セットすることができるため、縦型の加締装置がもつ上記のような問題点は解消されると
いった長所がある。
【0005】
【特許文献1】実開平1ー89823号公報
【特許文献2】特開平8ー103837号公報
【特許文献3】特開2004ー9071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特開平8ー103837号公報に開示された横型の加締装置は、図11及び図12
に示すように、中央部にテーパ穴31を有する矩形枠状の前部本体30と、該前部本体3
0の後方にこれと平行に離間して配設した後部本体32とが、それぞれの四隅部において
両本体30,32間に互いに平行に架設した四本のガイド軸33により一体に連結固定さ
れている。
【0007】
また、前部本体30と後部本体32との間には前記四本のガイド軸33によってそれぞ
れ支持された矩形枠状の支持部材34が設けられており、該支持部材34と後部本体32
との間に設置した油圧シリンダ35を駆動せしめることでそのロッドを伸縮させ、該ロッ
ドの先端に固定した前記支持部材34を前記四本のガイド軸33に沿って前部本体30に
対して進退自在に構成されている。
【0008】
更に、前記支持部材34の前部面には回転自在に装着した回転リング36が装着されて
おり、該回転リング36の前部面には複数個の加締駒37を放射方向に移動自在に装着し
た加締治具が取付けされている。そして、これらの加締駒37を前部本体30のテーパ穴
31内に押入せしめることにより各加締駒37をホース金具の中心に向かって移動させ、
その内周面でホース金具を加締める構成としたものである。
【0009】
上記のように、前記特開平8ー103837号公報の発明では、支持部材34が両本体
30,32間に架設した四本のガイド軸33に沿って移動自在となるように支持されてい
るので、このような支持部材を具備しない前記実開平1ー89823号や特開2004ー
9071号の発明のように、加締駒37の自重によりシリンダロッドが下方へ倒れ、各加
締駒37からなる加締治具の中心軸と前部本体30のテーパ穴31の中心軸とが一致しな
くなるといった問題点は、調整後の初期の段階では解消できるといった効果がある。
【0010】
すなわち、ホースの端部に嵌合した継手金具の外周面を各加締駒37の円弧状の内周面
で絞り込んで正円形状に加締るためには、各加締駒37がテーパ穴31と嵌合する際に、
このテーパ穴にかかる圧力をその内周面で均等に分散して受け、各加締駒を介して継手金
具の外周面を均等に押圧することが必要である。そのためには、加締治具の中心軸とテー
パ穴の中心軸とが一致した状態で加締治具がテーパ穴内に嵌合する必要があり、両軸心に
ずれがある場合には継手金具が楕円形状に加締られて不良品となる。
【0011】
しかるに、前記特開平8ー103837号公報の発明では、各加締駒37は回転リング
36を介して支持部材34に装着されており、且つ該支持部材34は両本体30,32間
に架設した四本のガイド軸33により支持されているため、上記のように、各加締駒37
の自重によりシリンダロッドが下方へ倒れてその中心軸とテーパ穴31の中心軸とにずれ
が生じることがないといった諸効果を奏する。
【0012】
しかし、支持部材34は四本のガイド軸33により支持されているため、該支持部材3
4の前部面に装着した各加締駒37の中心軸と前部本体30のテーパ穴31の中心軸とが
一致するように調整するためには、支持部材34を支持している四本のガイド軸33と両
本体30,32との固定を緩めて微調整し、その後に固定しなおす必要があり、調整に時
間がかかり非能率的であるといった問題点がある。
【0013】
特に、加締時において、前部本体30には外方向(前部側方向)への圧力がかかり、こ
の圧力をその四隅部で連結固定した四本のガイド軸33がそれぞれ受けることになるが、
この矩形枠状の前部本体30とガイド軸33との連結固定部、すなわち四隅部は前部本体
30の二辺の端縁からそれぞれ近い位置にあるため、前記連結固定部は構造的にその剛性
が小さなものとなる。そのため、前部本体30の中央部に前部側方向への圧力がかかるこ
とで、剛性が小さいガイド軸33との固定部には後部側方向への反力がかかり、前部本体
30が変形してそのテーパ穴31が真円を保持できなくなる。その結果、各加締駒37は
テーパ穴31の深部まで進入不可能になるか、或いは無理に押入したとしてもホースに嵌
合した継手金具を各加締駒37の内周で均等に加圧できず、継手金具が楕円形に加締られ
た不良品が発生し、歩留りが悪いといった問題点もある。
【0014】
更には、加締時における前記圧力により、前記四本のガイド軸33には両本体30,3
2の連結固定部を介してそれぞれ引っ張り方向の力が作用するが、加締作業を継続するう
ちに各ガイド軸33に次第に伸びが発生し、しかもこの伸び率は四本とも必ずしも同じで
ないことが実験の結果明らかになった。したがって、支持部材34を移動自在に支持する
四本のガイド軸33のうちの一本でも他の三本のガイド軸と平行でなくなった場合には支
持部材34が移動することが出来ず、加締作業が停止するといった問題点がある。
【0015】
そしてまた、前部本体30と後部本体32は4本のガイド軸33により連結固定されて
いるため装置全体の剛性は向上するが重量が大きくなる。したがって、据え置き型として
使用する場合は問題はないが、例えば施工現場に搬送して或いは自動車内に設置して使用
する、いわゆる搬送型として使用するには重すぎて不便であるといった問題点もある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の従来の諸問題点を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、テーパ穴を有す
るワークプレートと、その後方にこれと平行に離間して配設したサポートプレートと、前
記両プレートを連結する三本の連結軸と、該三本の連結軸のうち同一高さに架設した二本
の連結軸に移動自在に支持された支持部材と、該支持部材の前部側にアーム部材を介して
装着したプレッシャプレートと、該プレッシャプレートの前部面に着脱自在に装着した加
締治具からなり、該加締治具を前記テーパ穴に押圧嵌合させることで継手金具をホースに
加締て取付ける装置であって、前記ワークプレートはその外形が円形のプレートであり、
又このワークプレートと前記サポートプレートとを連結する前記三本の連結軸の前記ワー
クプレートとの連結位置は、そのテーパ穴の中心から真下に延びる半径方向線上の第1の
位置及びこの第1の位置と同一円周上にあって中心角が120°の均等に離間した第2の
位置並びに第3の位置であり、更に前記支持部材を移動自在に支持する前記二本の連結軸
は、前記ワークプレートの前記第2の位置及び第3の位置でそれぞれ連結した連結軸であ
ることを特徴とする。
【0017】
更に、上記の従来の問題点を解決するため、本願の請求項2に係る発明は、前記ワーク
プレートに形成したテーパ穴は、後部側から前部側に向け連続する大径から小径となるテ
ーパ穴部及び該テーパ穴部の前記小径とほゞ同一径の水平穴部からなり、また前記プレッ
シャプレートの外径は前記テーパ穴の水平穴部の内径とほゞ同一大きさとした構成からな
り、該プレッシャプレートをワークプレート方向に移動させそのテーパ穴の前記水平穴部
に嵌合せしめることで、前記ブレッシャブレートの前部面に装着する前記加締治具の中心
軸と前記テーパ穴の中心軸とを一致させるように形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の請求項1記載の継手金具の加締装置によれば、(1)連結軸の本数を3本と
することで装置全体の軽量化を図ることができる。(2)ワークプレートはその外形が円
形のプレートであって、連結軸との固定部はテーパ穴の中心軸を中心として同一円周上に
あって且つ中心角が120°の均等に離間した位置であるから、連結軸との固定部におけ
る剛性が劣化することがない。従って、加締時においてワークプレートが変形することが
なくそのテーパ穴の真円が保たれる。(3)支持部材は同一高さに架設した二本の連結軸
により支持されているため、加締治具の自重によりシリンダロッドが下方へ倒れることが
なく、加締治具の中心軸と前記テーパ穴の中心軸とが一致した状態で加締作業を行うこと
ができるとゝもに、二本の連結軸に伸び率が異なる現象が発生した場合でも支持部材は円
滑に移動でき、加締作業の中断といった事態の発生を防止することができる。
【0019】
また、本願発明の請求項2記載の加締装置によれば、前記プレッシャプレートをアーム
部材に仮止めしておき、これをワークプレート方向に移動させ、そのテーパ穴の前記水平
部に嵌合せしめることで位置決めをする。そしてこの状態で、ワークプレートのテーパ穴
の前部側から前記仮止めしたボルトを本締めすることで、プレッシャプレートの前部面に
装着する前記加締治具の中心軸と前記テーパ穴の中心軸とを一致させることができ、調整
作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明に係る加締装置を図1乃至図7に示す一実施形態に基づいて詳細に説明
する。図において、1は基台1A上に立設した円板状のワークプレートで、その中央部に
は、後部側が大径,前部側が小径のテーパ面からなるテーパ穴部2Aと、該テーパ穴部2
Aの前部側に連続する前記小径と同一又はこれよりやや大きい内径の水平穴部2Bを備え
たワークリング2が装着されている。また、この円板状のワークプレート1には後述する
所定の三箇所にボルト孔3A,3B,3Cがそれぞれ穿設されており、該ワークプレート
1の後方にこれと平行に離間して基台4A上に立設したサポートプレート4にも、前記ボ
ルト孔3A,3B,3Cとそれぞれ対向する位置にボルト孔5A,5B,5Cがそれぞれ
穿設されている。
【0021】
前記ワークプレート1に穿設したボルト孔3A,3B,3Cは、前記ワークリング2に
形成したテーパ穴部2A及び水平穴部2Bの中心から真下に延びる半径方向線上の第1の
位置,該第1の位置と同一円周上にあって中心角が120°の均等に離間した第2の位置
及び第3の位置にそれぞれ形成されており、これらのボルト孔3A,3B,3Cと前記サ
ポートプレート4に穿設したボルト孔5A,5B,5C内に、前記両プレート1,4間に
あって互いに平行に架設した三本の連結軸6A,6B,6Cの両端部をそれぞれ挿入し、
ナット締めすることで両プレート1,4が一体に連結されている。
【0022】
したがって、前記ワークプレート1の前記第2の位置及び第3の位置にそれぞれ穿設し
たボルト孔3B,3Cと、該ボルト孔3B,3Cと対向する前記サポートプレート4に穿
設したボルト孔5B,5Cはそれぞれ同一高さ位置にあり、該ボルト孔3Bと5B及び3
Cと5Cに内にそれぞれ挿入しナット締めで固定された上方部の二本の連結軸6B,6C
はそれぞれ同一高さで且つ互いに平行に架設されている。
【0023】
7は前記二本の連結軸6B,6Cに支持された支持部材で、前記二本の連結軸6B,6
Cに案内されて前記ワークプレート1に対し進退自在となるように構成されており、該支
持部材7の中央に垂設した矩形状のホルダプレート7Aの後部面中央には前記サポートプ
レート4に設置した油圧シリンダ8のロッド8A先端が、また矩形状のホルダプレート7
Aの前部面には左右両側に離間して且つ互いに平行に設置した左右一対のアームプレート
9A,9Bがそれぞれ装着されている。
【0024】
10は前記アームプレート9A,9Bの前部面に装着した外形が円形状のプレッシャプ
レートで、中央部に円形の貫通穴10Aを備えており、該プレッシャプレート10は前記
貫通穴10Aを避けた左右の位置でボルト11,11締めにより固定されている。また、
このプレッシャプレート10の外径は、前記ワークプレート1の中央部に装着したワーク
リング2の前記水平穴部2Bの内径とほゞ同一大きさに形成したものである。なお、図中
12A,12Bは前記プレッシャプレート10の上部周縁の一部に形成した切欠凹部で、
平面視において円形状のプレッシャプレート10の中心軸Lを挟んだ左右にそれぞれ形
成されている。
【0025】
13は前記左右一対のアームプレート9A,9B間にあって前記ホルダプレート7Aの
前部面から突出した突当板で、その後部面で突当バー14の先端部に固定されている。こ
の突当バー14は、前記プレッシャプレート10及び貫通穴10Aの中心軸Lの線上に
あって、前記ホルダプレート7A及びシリンダロッド8Aの中心部にそれぞれ穿設した横
孔15内に移動自在となるよう圧縮型のプリング16を介して挿入されており、前記支持
部材7の上方に位置するクランクレバー17を回動してロックバー17Aの先端を前記突
当バー14の外周と当接させることで前記突当板13の位置決めを行う構成としている。
【0026】
18は前記プレッシャプレート10の前部面に設置する加締治具で、同径環状のパック
プレート19A及びフロントプレート19Bと、両プレート19A,19Bの間に放射方
向に摺動可能に圧縮型のスプリング20Aを介して設置した複数個の加締駒20,20と
から構成されており、該各加締駒20の外周面には前記ワークプレート1に形成したテー
パ穴部2Aのテーパ面の角度と同一もしくは近似した角度のテーパ面が、また加締駒20
の内周面には被加締部材であるホースの端部に嵌合した継手金具を加締終わったときの金
具の曲率と同一かもしくはそれ以上の円弧状の円弧面がそれぞれ形成されている。
【0027】
21A,21Bは前記パックプレート19Aの後部面に離間して取付けた係合ピンで、
該両係合ピン21A,21Bを前記プレッシャプレート10に形成した切欠凹部12A,
12Bにそれぞれ係合させることで、前記加締治具18をプレッシャプレート10の前部
面に密着した状態で着脱自在に組付けられる構成としている。なお、図中22は前記支持
部材7の一端側に装着したリミットスイッチ、23は前記連結軸6Bに装着したマイクロ
メータであり、該マイクロメータ23の先端部と前記リミットスイッチ22とは対峙した
位置に設置されている。
【0028】
次に、前述のように構成された加締装置を用いて継手金具をホースに取付ける際には、
図8乃至図10に示すように、まず円形状のプレッシャプレート10の中心軸Lとワー
クプレート1に形成したテーパ穴部2Aの中心軸Lとを一致させる調整作業を行う。両
中心軸L,Lが一致しない場合、プレッシャプレート10の前部面に装着する加締治
具18はワークプレート1のテーパ穴部2A内に傾斜状態で押入されることになり、前記
テーパ穴部2Aの内周面で前記加締治具18の各加締駒20をそれぞれ中心軸L方向へ
移動させることができない。その結果、該各加締駒20の円弧面でホースの端部に嵌合し
た継手金具の外周面を均等に加圧することができずに楕円形となり不良品となる。
【0029】
そこで、本発明では、図6及び図8に示すように、プレッシャプレート10の前部面に
加締治具18を設置しないで油圧シリンダ8のシリンダロッド8Aを伸ばし、支持部材7
を介してこれと一体のホルダプレート7A,アームプレート9A・9B,プレッシャプレ
ート10をそれぞれ前進させる。この際、該プレッシャプレート10はアームプレート9
A・9Bにボルト11による仮止めした状態としてある。そして、前進する前記プレッシ
ャプレート10をワークプレート1のテーパ穴内に嵌合せしめ、テーパ穴部2A内を経て
内径が前記プレッシャプレート10の外径とほゞ同一径とした前記水平穴部2Bと嵌合す
るまで前進させる。
【0030】
前記プレッシャプレート10を水平穴部2Bと嵌合させることで、プレッシャプレート
10の中心軸Lとワークプレート1のテーパ穴部2A及び水平穴部2Bの中心軸L
が一致するので、この状態でボルト11の本締めを行ってプレッシャプレート10をアー
ムプレート9A・9Bに固定し、調整作業が終了する。そして、この調整作業が終了した
後、油圧シリンダ8のシリンダロッド8Aによりプレッシャプレート10を後退させて図
8に示す状態に戻し、加締治具18のパックプレート19Aに取付けた係合ピン21A,
21Bを前記プレッシャプレート10に形成した切欠凹部12A,12Bにそれぞれ係合
させることで、前記加締治具18をプレッシャプレート10の前部面に組付ける。
【0031】
つぎに、端部に継手金具Rを嵌めたホースWを手に持ってワークプレート1の前部側か
ら差し込み、その先端部を突当板13に当接させて継手金具Rを各加締駒20に囲まれて
いる加締治具18の中心部にセットする。この状態で油圧シリンダ8の往路側に圧力油を
送ってピストン8Aを伸ばし、支持部材7,ホルダプレート7A,アームプレート9A・
9B,プレッシャプレート10及び加締治具18を、前記支持部材7を支持する連結軸6
B,6Cに沿ってそれぞれ前記ワークプレート1方向へ前進させれば、加締治具18と継
手金具Rは互いの位置関係を一定に保ちつつワークプレート1方向へ前進し、リミットス
イッチ22がマイクロメータ23の先端部と当接するまで前進する。
【0032】
加締治具18が設定距離だけ前進することで加締治具18はワークプレート1のテーパ
穴部2Aの中に押し込まれ、その押し込み動作によって加締治具18の各加締駒20は継
手金具Rの中心方向に移動し、加締治具18の加締部中心にセットされている継手金具R
は各加締駒20によって均等に加圧されてホースWの先端部に締着され、加締作業が終了
する。そして、ピストン8Aを後退させれば、加締治具18がテーパ穴部2Aから外れ、
各加締駒20は圧縮型のスプリング20Aの付勢によって外方に開かれ、端部に継手金具
Rが加締められたホースWを取り出すことができる。
【0033】
本発明に係る加締装置は上記のような構成であるから、装置全体の軽量化が図られるの
で移動型として使用するのに適しているとゝもに、加締治具がテーパ穴部に押入される際
の圧力によるワークプレートの変形が少ないのでテーパ穴部の真円が保持される。したが
って、該テーパ穴部に加締治具が押し込まれる際の圧力をテーパ穴部の内周面で均等に受
けることができ、加締精度が向上する。また、加締治具は同一高さに架設した二本の連結
軸により支持されているためその自重によりシリンダロッドが下方へ倒れることがなく、
加締治具の中心軸と前記テーパ穴の中心軸とが一致した状態で円滑に移動できる。
【0034】
そして更に、前記プレッシャプレートをアーム部材に仮止めしておき、これをワークプ
レート方向に移動させ、そのテーパ穴の前記水平部に嵌合せしめることで位置決めをする
ことができるので、該プレッシャプレートの前部面に装着する前記加締治具の中心軸と前
記テーパ穴の中心軸とを一致させる調整作業が容易であり、作業能率が一段と向上すると
いった諸効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に加締装置の正面図である。
【図2】同装置の縦断面図である。
【図3】同装置の平面図である。
【図4】同装置の右側面図である。
【図5】同装置の左側面図である。
【図6】同装置の要部の分解斜視図である。
【図7】同組立てた状態の要部の斜視図である。
【図8】同装置の調整工程を示す縦断面図である。
【図9】同調整工程の右側面図である。
【図10】同装置のワークプレートの拡大断面部分図である。
【図11】従来の加締装置の一部切欠正面図である。
【図12】同装置の右側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ワークプレート
2A テーパ穴部
2B 水平穴部
3A,3B,3C ボルト孔
4 サポートプレート
5A,5B,5C ボルト孔
6A,6B,6C 連結軸
7 支持部材
7A ホルダープレート
9A,9B アームプレート
10 プレッシャプレート
11 ボルト
12A,12B 切欠凹部
18 加締治具
19A バックプレート
19B フロントプレート
20 加締駒
21A,21B 係合ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパ穴を有するワークプレートと、その後方にこれと平行に離間して配設したサポートプレートと、前記両プレートを連結する三本の連結軸と、該三本の連結軸のうち同一高さに架設した二本の連結軸に移動自在に支持された支持部材と、該支持部材の前部側にアーム部材を介して装着したプレッシャプレートと、該プレッシャプレートの前部面に着脱自在に装着した加締治具からなり、該加締治具を前記テーパ穴に押圧嵌合させることで継手金具をホースに加締て取付ける装置であって、前記ワークプレートはその外形が円形のプレートであり、又このワークプレートと前記サポートプレートとを連結する前記三本の連結軸の前記ワークプレートとの連結位置は、そのテーパ穴の中心から真下に延びる半径方向線上の第1の位置及びこの第1の位置と同一円周上にあって中心角が120°の均等に離間した第2の位置並びに第3の位置であり、更に前記支持部材を移動自在に支持する前記二本の連結軸は、前記ワークプレートの前記第2の位置及び第3の位置でそれぞれ連結した連結軸であることを特徴とする継手金具の加締装置。
【請求項2】
前記ワークプレートに形成したテーパ穴は、後部側から前部側に向け連続する大径から小径となるテーパ穴部及び該テーパ穴部の前記小径とほゞ同一径の水平穴部からなり、また前記ブレッシャブレートの外径は前記テーパ穴の水平穴部の内径とほゞ同一大きさとした構成からなり、該プレッシャプレートをワークプレート方向に移動させそのテーパ穴の前記水平穴部に嵌合せしめることで、前記プレッシャプレートの前部面に装着する前記加締治具の中心軸と前記テーパ穴の中心軸とを一致させるように形成したことを特徴とする請求項1記載の継手金具の加締装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−110604(P2006−110604A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301679(P2004−301679)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(591249378)株式会社タカシュウ (6)
【出願人】(504385823)北興商事株式会社 (1)