説明

継手

【課題】ホースなどの管体を簡単な操作で着脱することができる継手を提供する。
【解決手段】継手本体12の周面の突出部14の一方には、流体24が封入されたゴム製の第1袋状部18が配置されている。突出部14の他方には、流体24が封入されたゴム製の第2袋状部20が配置され、第1袋状部18と第2袋状部20とは連結管22で連通している。第2袋状部20の外周側には、固定爪32Aを備えたゴム製の環状部材32が配置されている。継手本体12のナット16を突出部14の方向に締めることで、第1袋状部18が押し潰され、流体24が連結管22を通って第2袋状部20に移動する。これにより、第2袋状部20が膨張し、固定爪32Aがホース30の内壁を押圧することにより、ホース30が継手10に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体を簡単な操作で装着及び離脱(着脱)することができる継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、継手を構成する金具をホースに固定する際には、金具に形成された金属製のパイプにホースを挿入し、加締機を用いてパイプをホースに加締めることによって固定している。また、ホースと継手とのシールには、継手の内側に配設されたOリングなどを使用している(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
しかし、このような金具では、金具をホースに固定するための専用の加締機が必要となると共に、固定する作業に手間がかかる。また、ホースに金具を一旦加締めてしまうと、その後、金具をホースから取り外して再使用することができない。さらに、Oリングは、へたりや扁平状の変形によって流体漏れが発生しやすいが、金具をホースに加締めているため修理することができない。
【特許文献1】特開平8−103837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ホースなどの管体を簡単な操作で装着及び離脱(着脱)することができる継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る継手は、管体に着脱可能に固定される継手であって、前記管体の内部に挿入される継手本体と、前記継手本体の周面から張出し、前記管体の口部に当接して前記管体を位置決めする突出部と、前記管体の軸方向に移動可能に設けられ、固定可能な移動部材と、前記突出部と前記移動部材の間に設けられ、内部に流体が封入された伸縮性の第1袋状部と、前記継手本体と前記管体との間に設けられ、内部に流体が封入されて前記第1袋状部と連通する伸縮性の第2袋状部と、前記第2袋状部と前記管体との間に設けられ、前記第2袋状部の膨張時に前記管体の内壁を押圧して保持する固定爪と、を有することを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、管体の内部に継手本体が挿入され、管体の口部が突出部に当接することによって管体が位置決めされる。突出部と管体の軸方向に移動する移動部材との間に、内部に流体が封入された伸縮性の第1袋状部が設けられており、移動部材を突出部の方向に移動させると、第1袋状部が押し潰される。継手本体と管体との間には、第1袋状部と連通する伸縮性の第2袋状部が設けられており、第1袋状部が押し潰されると、第1袋状部内の流体が第2袋状部に移動し、第2袋状部が膨張する。第2袋状部と管体との間に固定爪が設けられており、第2袋状部の膨張時に固定爪が管体の内壁を押圧することにより、管体が継手本体に保持される。このため、管体を継手本体に強固に固定することが可能となる。
【0007】
また、管体を継手本体から離脱する際には、移動部材を突出部と離間する方向に移動させる。これにより、第2袋状部の内圧が下がり、管体の内壁への固定爪の押圧力が開放され、管体を継手本体から引き抜くことが可能となる。したがって、簡単な操作によって管体を継手本体に着脱することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、管体に着脱可能に固定される継手であって、前記管体の内部に挿入される継手本体と、前記継手本体の周面から張出し、前記管体の口部に当接して前記管体を位置決めする突出部と、前記突出部から延設され、前記管体の外周側に折り曲げられた折曲部と、前記管体の軸方向に移動可能に設けられ、固定可能な移動部材と、前記突出部と前記移動部材の間に設けられ、内部に流体が封入された伸縮性の第1袋状部と、前記継手本体と前記管体との間に設けられ、内部に流体が封入されて前記第1袋状部と連通する伸縮性の内側袋状部と、前記内側袋状部の外周面と前記管体との間に設けられ、前記内側袋状部の膨張時に前記管体の内壁を押圧して保持する内側固定爪と、前記管体と前記折曲部との間に設けられ、内部に流体が封入されて前記第1袋状部と連通する伸縮性の外側袋状部と、前記外側袋状部の内周面と前記管体との間に設けられ、前記外側袋状部の膨張時に前記管体の外壁を押圧して保持する外側固定爪と、を有することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、継手本体と管体との間には、第1袋状部と連通する伸縮性の内側袋状部が設けられており、移動部材の移動によって第1袋状部が押し潰されると、第1袋状部内の流体が内側袋状部に移動し、内側袋状部の膨張時に内側袋状部が膨張する。内側袋状部と管体との間には、内側固定爪が設けられており、内側固定爪が管体の内壁を押圧する。また、管体と突出部から延設された折曲部との間には、第1袋状部と連通する伸縮性の外側袋状部が設けられており、第1袋状部が押し潰されると、第1袋状部内の流体が外側袋状部に移動し、外側袋状部が膨張する。外側袋状部と管体との間に外側固定爪が設けられており、外側袋状部の膨張時に外側固定爪が管体の外壁を押圧する。このように内側固定爪と外側固定爪によって管体が挟まれて押圧されることにより、管体が継手本体に保持される。このため、管体を継手本体に強固に固定することが可能となる。
【0010】
また、管体を継手本体から離脱する際には、移動部材を突出部と離間する方向に移動させる。これにより、内側袋状部の内圧が下がり、管体の内壁への内側固定爪の押圧力が開放されると共に、外側袋状部の内圧が下がり、管体の外壁への外側固定爪の押圧力が開放される。これにより、管体を継手本体から引き抜くことが可能となる。したがって、簡単な操作によって管体を継手本体に着脱することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の継手において、前記第2袋状部、前記内側袋状部、又は前記外側袋状部が環状体であり、連結管を通じて前記第1袋状部に連通されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、第1袋状部内の流体が連結管を通じて第2袋状部、内側袋状部、又は外側袋状部を構成する環状体に移動し、環状体が膨張する。このため、環状体によって固定爪が径方向に押し出され、管体の内壁又は外壁を押圧するので、管体の保持が確実となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の継手において、前記移動部材が、前記継手本体の周面のネジ部に螺合されるナットであることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、継手本体の周面のネジ部に螺合されたナットを突出部の方向に締めることで、第1袋状部が押し潰され、第2袋状部、内側袋状部、又は外側袋状部が膨張することによって管体が保持される。また、管体を離脱する際には、ナットを回して元の位置に戻し、管体を継手本体から引き抜く。このため、継手の着脱操作が容易となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1、請求項3、請求項4のいずれか1項に記載の継手において、前記固定爪は、前記管体側に爪部が形成された伸縮性の環状部材からなり、前記第2袋状部の膨張時に拡径して前記管体の内壁に食い込むことを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、第2袋状部の膨張時に伸縮性の環状部材が拡径し、環状部材の爪部が管体の内壁に食い込む。その際、管体の内壁の周方向全体が環状部材の爪部によって押圧されるので、管体と継手本体とをシールすることが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項2、請求項3、請求項4のいずれか1項に記載の継手において、前記内側固定爪と前記外側固定爪は、前記管体側に爪部が形成された伸縮性の環状部材からなり、前記内側袋状部の膨張時に前記内側固定爪が拡径すると共に、前記外側袋状部の膨張時に前記外側固定爪が縮径して前記管体に食い込むことを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、内側袋状部の膨張時に伸縮性の環状部材が拡径し、環状部材の内側固定爪が管体の内壁に食い込む。また、外側袋状部の膨張時に伸縮性の環状部材が縮径し、環状部材の外側固定爪が管体の外壁に食い込む。その際、管体の内壁および外壁の周方向全体が内側固定爪と外側固定爪によって押圧されるので、管体と継手本体とをシールすることが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の継手において、前記継手本体に、前記ナットが前記突出部から離間することを規制する回り止めが設けられていることを特徴としている。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、継手本体に設けられた回り止めによってナットが突出部から離間することが防止される。このため、継手の使用時に外力によってナットが突出部から離間する方向へ移動することがなく、管体が継手本体から不用意に外れることが防止される。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の継手において、前記移動部材は、弾性部材からなり、前記管体が前記継手本体に保持されたときに弾性変形により前記突出部に形成された被係合部と係合する係合部を備えていることを特徴としている。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、管体が継手本体に保持されたときに、移動部材の係合部が弾性変形し、突出部に形成された被係合部と係合される。このため、継手の使用時に外力によって移動部材が突出部から離間する方向に移動することがなく、管体が継手本体から不用意に外れることが防止される。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る継手は、上記のように構成したので、ホースなどの管体に継手を簡単な操作により着脱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の継手の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の継手10の第1実施形態を示す半裁断面図であって、継手10をホース30に固定する前の状態を示している。
【0026】
図1に示すように、継手10は、ホース30の内部に挿入される円筒状の継手本体12を備えている。この継手本体12には、周面から張出した突出部14が設けられており、ホース30の口部を突出部14に当接させてホース30を位置決めするように構成されている。
【0027】
継手本体12の周面には、ホース30と反対側に雄ネジ15が形成されており、雄ネジ15にナット16が螺合され、継手本体12の軸方向に移動可能となっている。
【0028】
継手本体12の周面には、突出部14とナット16との間に伸縮性の第1袋状部18が配置されている。また、突出部14のナット16と反対側であって継手本体12とホース30との間に伸縮性の第2袋状部20が配置されている。第1袋状部18と第2袋状部20とは、伸縮性の連結管22によって連通されている。この連結管22は、突出部14の根元に形成された開孔14Aに貫通されている。
【0029】
第1袋状部18と第2袋状部20には、内部に粘性を有する流体24が封入されており、流体24が第1袋状部18と第2袋状部20との間を、連結管22を通じて移動可能となっている。すなわち、第1袋状部18から流体24が第2袋状部20に移動すると、第2袋状部20が膨張する。
【0030】
第2袋状部20とホース30との間には、第2袋状部20の膨張時にホース30の内壁を押圧する固定爪32Aを備えた環状部材32が配置されている。固定爪32Aは、ホース30の軸方向と直交する方向に複数形成されており、固定爪32Aの角度はホース30の引抜きを抑制する方向に形成されている。図4(A)、(B)に示すように、環状部材32は、伸縮性を有する材料で形成されており、径方向に拡径、縮径が可能となっている。そして、第1袋状部18内の流体24が第2袋状部20に移動して第2袋状部20が膨張したとき、図4(B)に示すように環状部材32が伸びてホース30の内壁を押圧するように構成されている(図2参照)。
【0031】
この環状部材32の材料としては、ゴムなどの弾性材料が用いられ、例えば、SBR、NBR、EPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴム、IIR(ブチルゴム)、天然ゴムなどが用いられている。
【0032】
図1及び図2に示すように、継手本体12の第2袋状部20側の先端には、第2袋状部20の端部より外側で径方向に張出した突起部26が形成されている。また、ナット16の外周面には、第1袋状部18を外側から覆うように折り曲げられた保護部16Aが形成されている。
【0033】
図3(A)に示すように、第1袋状部18は環状体からなり、側面に小径の円筒状の雄ネジ部18Aが突設されている。この雄ネジ部18Aは、例えばプラスチックで形成されている。また、連結管22の内周面の一端部には、雄ネジ部18Aが締結される雌ネジ部(図示省略)が設けられている。また、第2袋状部20は扁平状の環状体からなり、第1袋状部18と同様に側面に小径の円筒状の雄ねじ部(図示省略)が突設され、連結管22の内周面の他端部に形成された雌ネジ部22Aに締結される。そして、図3(B)に示すように、図示しない浴槽内に満たされた流体24中で第2袋状部20の雄ネジ部を連結管22の雌ネジ部22Aに締結し、第1袋状部18の雄ネジ部18Aを連結管22の雌ネジ部に締結する。これにより、第1袋状部18と第2袋状部20と連結管22が一体化されるとともに、これらの内部に流体24が充填される。
【0034】
第1袋状部18と第2袋状部20と連結管22の伸縮部分の材料としては、ゴムなどの弾性材料が用いられ、例えば、SBR、NBR、EPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴム、IIR(ブチルゴム)、天然ゴムなどが用いられている。また、流体24としては、液体や粘度の高い流体などが使用可能である。例えば、流体24として、シリコーンオイル、鉱物系作動油、グリスなどが用いられる。
【0035】
また、継手10は、ステンレスなどの金属製であるが、必ずしも金属に限るものではなく、例えばプラスチック製でも良い。なお、ホース30としては、ゴム製、樹脂製などが用いられる。
【0036】
次に、継手10の作用について説明する。
【0037】
図1に示すように、ホース30を継手10に装着する際には、継手本体12の環状部材32の外側に、ホース30の内部を挿入する。そして、ナット16を突出部14の方向(矢印A方向)に締め付けることで、第1袋状部18を押し潰す。これにより、図2に示すように、第1袋状部18内の流体24が連結管22を通って第2袋状部20に移動し、第2袋状部20が膨張する。
【0038】
第2袋状部20が膨張すると、環状部材32を拡径させ、固定爪32Aがホース30の内壁を押圧することにより、ホース30が継手本体12に保持される。環状部材32は、伸縮性があり、固定爪32Aがホース30の内壁に食い込んで周方向全体にしっかりと密着するので、ホース30と継手10とをシールすることができる。
【0039】
一方、ホース30を継手10から離脱する際には、ナット16を突出部14から離れる方向に回して元に戻す。これにより、第2袋状部20の内圧が下がり、ホース30の内壁への固定爪32Aの押圧力が開放され、ホース30を継手本体12から抜くことができる。
【0040】
このような継手10では、ホース30に固定するための専用の加締機が不要となり、作業の手間も軽減される。また、環状部材32の固定爪32Aによってホース30を保持されるので、ホース30の継手本体12への保持が確実となる。また、継手10をホース30に簡単な操作で着脱でき、継手10を取り外して再使用することができる。さらに、固定爪32Aで継手10とホース30とをシールするので、Oリングを使用した場合のへたりや扁平状の変形による流体漏れの発生を低減することができる。また、継手10の保持力が低下しても、固定爪32Aを有する環状部材32、第2袋状部20及び第1袋状部18などを交換すればよいので修理も容易となる。
【0041】
また、図5(A)、(B)に示すように、継手10の第1袋状部18に代えて、伸縮性の球形の第1袋状部42を用いてもよい。第1袋状部42の雄ネジ部42Aを連結管22の雌ネジ部22Aに締結することで、第2袋状部20と第1袋状部42とを連結管22を介して一体化する。この第1袋状部42は、ナット16の保護部16Aの内側に配置される。
【0042】
なお、上記実施形態では、固定爪32Aは、伸縮性の環状部材32の周面に複数形成されていたが、この構成に限定するものではない。例えば、複数に分割された湾曲片の周面に固定爪32Aを形成し、湾曲片を径方向に拡大してホース30の内壁を押圧する構成でもよい。
【0043】
なお、第1袋状部と第2袋状部は、上記形状に限定するものではない。第2袋状部によって固定爪をホースの内壁側へ押し出す構成であれば、適宜に設定可能である。
【0044】
図6には、本発明の第2実施形態の継手50が示されている。
【0045】
なお、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0046】
この継手50では、継手本体12の周面から張出した突出部52が設けられており、ホース30の口部を突出部52に当接させてホース30を位置決めする。突出部52の外径側には、ホース30の外周側に折り曲げられた折曲部54が延設されている。
【0047】
また、突出部52のナット16と反対側であって継手本体12とホース30との間に伸縮性の内側袋状部56が配置されている。第1袋状部18と内側袋状部56とは、伸縮性の連結管58によって連通されている。この連結管58は、突出部52の根元に形成された開孔52Aに貫通されている。
【0048】
また、突出部52のナット16と反対側であってホース30と折曲部54との間に伸縮性の外側袋状部60が配置されている。第1袋状部18と外側袋状部60とは、伸縮性の連結管62によって連通されている。この連結管62は、突出部52に斜め方向に形成された開孔52Bに貫通されている。
【0049】
第1袋状部18と内側袋状部56と外側袋状部60には、内部に粘性を有する流体24が封入されている。流体24は第1袋状部18と内側袋状部56との間を、連結管58を通じて移動可能であり、また、第1袋状部18と外側袋状部60との間を、連結管62を通じて移動可能である。すなわち、第1袋状部18から流体24が内側袋状部56と外側袋状部60に移動すると、内側袋状部56と外側袋状部60がそれぞれ膨張する。
【0050】
内側袋状部56とホース30との間には、内側袋状部56の膨張時にホース30の内壁を押圧する複数の内側固定爪64Aを備えた内側環状部材64が配置されている。また、ホース30と外側袋状部60との間には、外側袋状部60の膨張時にホース30の外壁を押圧する複数の外側固定爪66Aを備えた外側環状部材66が配置されている。図8(A)、(B)に示すように、内側環状部材64と外側環状部材66は、伸縮性を有する材料で形成されており、内側環状部材64は径方向に拡径し、外側環状部材66は径方向に縮径が可能となっている。
【0051】
内側環状部材64、外側環状部材66の材料としては、ゴムなどの弾性材料が用いられ、例えば、SBR、NBR、EPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴム、IIR(ブチルゴム)、天然ゴムなどが用いられている。また、内側袋状部56、外側袋状部60、連結管58、連結管62の伸縮部分の材料としては、ゴムなどの弾性材料が用いられ、例えば、SBR、NBR、EPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴム、IIR(ブチルゴム)、天然ゴムなどが用いられている。
【0052】
また、折曲部54の外側袋状部60側の先端には、外側袋状部60の端部より外側で径方向に張出した突起部54Aが形成されている。
【0053】
次に、継手50の作用について説明する。
【0054】
図6に示すように、ホース30を継手50に装着する際には、継手本体12の内側環状部材64と外側環状部材66との間に、ホース30を挿入する。そして、ナット16を突出部52の方向(矢印B方向)に締め付けることで、第1袋状部18を押し潰す。これにより、図7に示すように、第1袋状部18内の流体24が連結管58を通って内側袋状部56に移動すると共に、連結管62を通って外側袋状部60に移動し、内側袋状部56と外側袋状部60が膨張する。
【0055】
内側袋状部56が膨張すると、内側環状部材64を拡径させ、内側固定爪64Aがホース30の内壁を押圧する。また、外側袋状部60が膨張すると、外側環状部材66を縮径させ、外側固定爪66Aがホース30の外壁を押圧する。これにより、ホース30が内側固定爪64Aと外側固定爪66Aに挟まれた状態で継手本体12に保持される。
【0056】
内側環状部材64と外側環状部材66は、伸縮性があり、内側固定爪64Aと外側固定爪66Aがホース30壁に食い込んで周方向全体にしっかりと密着するので、ホース30と継手本体12とをシールすることができる。
【0057】
一方、ホース30を継手50から離脱する際には、ナット16を突出部52から離れる方向に回して元に戻す。すると、内側袋状部56と外側袋状部60の内圧が下がり、ホース30への内側固定爪64Aと外側固定爪66Aの押圧力が開放される。これにより、ホース30を継手本体12から抜くことができる。
【0058】
このような継手50では、ホース30に固定するための専用の加締機が不要となり、作業の手間も軽減される。また、内側固定爪64Aと外側固定爪66Aとの間でホース30を挟み込んで保持するので、ホース30の継手本体12への保持が確実となる。さらに、内側固定爪64Aと外側固定爪66Aで継手10とホース30とをシールするので、Oリングを使用した場合のへたりや扁平状の変形による流体漏れの発生を低減することができる。
【0059】
なお、内側袋状部と外側袋状部は、上記形状に限定するものではない。内側袋状部によって内側固定爪をホースの内壁側へ押し出し、外側袋状部によって外側固定爪をホースの外壁側へ押し出す構成であれば、適宜に設定可能である。
【0060】
図9には、本発明の第3実施形態の継手80が示されている。
【0061】
なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0062】
この継手80には、継手本体12の周面にナット16が螺合される雄ネジ84が軸方向に長く形成されている。ナット16の第1袋状部18と反対側には、ナット16を突出部14側に移動させたときに、ナット16の回り止めとしてのロックナット82が雄ネジ84に締結されている。このロックナット82により、継手80の使用時にナット16が外力によって第1袋状部18と反対側に緩むことがなく、ホース30が継手80から不用意に外れることを防止できる。
【0063】
図10には、本発明の第4実施形態の継手90が示されている。
【0064】
なお、第1実施形態から第3実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0065】
この継手90には、継手本体12の周面に、第1袋状部18を押し潰す方向に移動可能な樹脂製のカラー92が外挿されている。また、継手本体12の周面には、カラー92と第1袋状部18を挟んで対向する位置に樹脂製のカラーロック94が突出されている。カラーロック94の外周側は、第1袋状部18の方向に折り曲げられており、その先端の内径側には係合爪94Aが形成されている。また、カラー92の外周部は第1袋状部18の上部方向に突出しており、その突出部の外周面には、係合爪94Aが係合される係合溝92Aが形成されている。カラー92とカラーロック94の材料は、例えば、PP、ポリブチレンテレフタレート、POMなどの樹脂が用いられる。
【0066】
この継手90では、図10及び図11に示すように、カラー92をカラーロック94の方向(矢印C方向)に移動することにより、第1袋状部18が押し潰され、流体24が連結管22を移動して第2袋状部20が膨張する。そして、第2袋状部20によって環状部材32が拡径し、固定爪32Aによってホース30が保持されたときに、カラーロック94の係合爪94Aが弾性変形によりカラー92の係合溝92Aに係合され、カラー92がロックされる。
【0067】
このような継手90では、カラー92をカラーロック94の方向に移動させ、係合爪94Aを係合溝92Aに係合させることで、ワンタッチでホース30に継手90を固定することができる。また、継手90の使用時に係合爪94Aと係合溝92Aとの係合が外れてカラー92が第1袋状部18と反対側に移動することがなく、ホース30が継手本体12から不用意に外れることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態の継手を示す半裁断面図である。
【図2】(A)は図1に示す継手をホースに装着した状態を示す半裁断面図、(B)は継手をA−A線で切断した断面図である。
【図3】図1に示す継手に用いられる第1袋状部、連結管、及び第2袋状部を示す分解斜視図、及び結合時の斜視図である。
【図4】図1に示す継手に用いられる環状部材を示す半裁断面図であって、通常時と拡径時の状態を示す図である。
【図5】第1袋状部、連結管、及び第2袋状部の変形例を示す分解斜視図、及び結合時の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態の継手を示す半裁断面図である。
【図7】(A)は図6に示す継手をホースに装着した状態を示す半裁断面図、(B)は継手をA−A線で切断した断面図である。
【図8】図6に示す継手に用いられる内側環状部材及び外側環状部材を示す半裁断面図であって、内側環状部材の通常時と拡径時の状態、外側環状部材の通常時と縮径時の状態を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態の継手を示す半裁断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の継手を示す半裁断面図である。
【図11】図10に示す継手をホースに装着した状態を示す半裁断面図である。
【符号の説明】
【0069】
10 継手
12 継手本体
14 突出部
14A 開孔
15 雄ネジ
16 ナット(移動部材)
18 第1袋状部
20 第2袋状部
22 連結管
24 流体
30 ホース(管体)
32 環状部材
32A 固定爪
42 第1袋状部
50 継手
52 突出部
52A 開孔
52B 開孔
54 折曲部
56 内側袋状部
58 連結管
60 外側袋状部
62 連結管
64 内側環状部材
64A 内側固定爪
66 外側環状部材
66A 外側固定爪
80 継手
82 ロックナット(回り止め)
90 継手
92 カラー
92A 係合溝
94 カラーロック
94A 係合爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体に着脱可能に固定される継手であって、
前記管体の内部に挿入される継手本体と、
前記継手本体の周面から張出し、前記管体の口部に当接して前記管体を位置決めする突出部と、
前記管体の軸方向に移動可能に設けられ、固定可能な移動部材と、
前記突出部と前記移動部材の間に設けられ、内部に流体が封入された伸縮性の第1袋状部と、
前記継手本体と前記管体との間に設けられ、内部に流体が封入されて前記第1袋状部と連通する伸縮性の第2袋状部と、
前記第2袋状部と前記管体との間に設けられ、前記第2袋状部の膨張時に前記管体の内壁を押圧して保持する固定爪と、
を有することを特徴とする継手。
【請求項2】
管体に着脱可能に固定される継手であって、
前記管体の内部に挿入される継手本体と、
前記継手本体の周面から張出し、前記管体の口部に当接して前記管体を位置決めする突出部と、
前記突出部から延設され、前記管体の外周側に折り曲げられた折曲部と、
前記管体の軸方向に移動可能に設けられ、固定可能な移動部材と、
前記突出部と前記移動部材の間に設けられ、内部に流体が封入された伸縮性の第1袋状部と、
前記継手本体と前記管体との間に設けられ、内部に流体が封入されて前記第1袋状部と連通する伸縮性の内側袋状部と、
前記内側袋状部の外周面と前記管体との間に設けられ、前記内側袋状部の膨張時に前記管体の内壁を押圧して保持する内側固定爪と、
前記管体と前記折曲部との間に設けられ、内部に流体が封入されて前記第1袋状部と連通する伸縮性の外側袋状部と、
前記外側袋状部の内周面と前記管体との間に設けられ、前記外側袋状部の膨張時に前記管体の外壁を押圧して保持する外側固定爪と、
を有することを特徴とする継手。
【請求項3】
前記第2袋状部、前記内側袋状部、又は前記外側袋状部が環状体であり、連結管を通じて前記第1袋状部に連通されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の継手。
【請求項4】
前記移動部材が、前記継手本体の周面のネジ部に螺合されるナットであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の継手。
【請求項5】
前記固定爪は、前記管体側に爪部が形成された伸縮性の環状部材からなり、前記第2袋状部の膨張時に拡径して前記管体の内壁に食い込むことを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4のいずれか1項に記載の継手。
【請求項6】
前記内側固定爪と前記外側固定爪は、前記管体側に爪部が形成された伸縮性の環状部材からなり、前記内側袋状部の膨張時に前記内側固定爪が拡径すると共に、前記外側袋状部の膨張時に前記外側固定爪が縮径して前記管体に食い込むことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4のいずれか1項に記載の継手。
【請求項7】
前記継手本体に、前記ナットが前記突出部から離間することを規制する回り止めが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の継手。
【請求項8】
前記移動部材は、弾性部材からなり、前記管体が前記継手本体に保持されたときに弾性変形により前記突出部に形成された被係合部と係合する係合部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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