説明

綾巻きボビンを製造する繊維機械の作業部位を運転する方法及び装置

【課題】綾巻きボビン製造用の繊維機械の作業部位の秩序正しい運転を長期間に亘って可能にする方法と装置とを提供すること。
【解決手段】回転可能な巻取りボビンを保持するためのボビンフレームと、個別モータ式で駆動可能な糸綾振り装置と、糸ガイドの位置に比例した測定値を発信する、校正可能なセンサエレメントとを備えた、綾巻きボビン製造用の繊維機械の作業部位を運転する方法において、
所定の時間間隔でかつ/又は事件に関連して、センサエレメント(19)から発信された測定値と糸ガイド(13)の規定位置との間で調整を行うことでセンサエレメント(19)の秩序正しい作業形式を保証すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念に記載した、綾巻きボビンを製造する繊維機械の作業部位を運転する方法並びに請求項5に記載した方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維ボビンを製造するためには周知のように、一方では当該繊維ボビンを回転させることが必要であり、他方ではボビンに巻上げられる糸をボビン軸に沿って綾振りすることが必要である。この場合には糸の比較的に高速である綾振りによっていわゆる綾巻きが形成されることができる。このような綾巻きボビンは巻体が比較的に安定する点で優れているだけではなく、巻解き特性が良いという長所を有している。このような綾巻きボビンの巻き方に関してはワイルドワインディング方式と精密ワインディング方式もしくはステップ精密ワインディング方式とに分けられる。
【0003】
この場合には特にワイルドワインディング方式と関連して、巻上げられる糸にトラバース運動を与えるだけではなく、同時に綾巻きボビンのための周面駆動装置を形成するいわゆる糸案内ドラムが使用される。
【0004】
精密又はステップ精密ワインディングを形成するためにはもちろん、前記の如き糸案内ドラムは使用できない。何故ならばこのワインディング方式で製造する場合には綾巻きボビンの駆動と糸綾振り装置の駆動とは別々に行われなければならないからである。すなわち、精密又はステップ精密ワインディング方式で綾巻きボビンを製造する場合には綾巻きボビンは別個のボビン駆動装置によって駆動され、巻上げられる糸は付加的な、個別に駆動される糸綾振り装置で給糸される。
【0005】
高速でかつ位置精度の高い糸綾振りを行うためには、綾巻きボビンの回転軸に対して平行に移動可能な糸ガイドが引張り手段を介して可逆可能な単個駆動装置と結合されている装置又はいわゆるフィンガ糸ガイド又はワイパーで働く装置、つまり綾巻きボビン軸に対し垂直に配置された軸を中心として所定の角度領域に亘って旋回可能であるフィンガ状の給糸レバーを有する糸ガイドで働く装置が適していることが証明された。
【0006】
DE10021963A1号明細書には綾巻きボビンを製造する繊維機械の作業部位であって、ボビンフレームに回転可能に保持された巻管が個別の駆動装置を有する駆動ローラによって回転させられる形式の作業部位が記載されている。この作業部位はさらに、エンドレスベルトに固定されかつ規定されて制御可能な単個駆動装置によって、長さを変えることのできる綾振り行程内で往復案内できる綾振り糸ガイドを有している。この場合、綾振り糸ガイドの単個駆動装置は電気モータのロータ位置を検出しかつ制御装置に告げる角度信号発生器と連結されている。もちろんDE10021963A1号明細書には使用された角度信号発生器についての正確な構成形式と作用形式についての詳細な説明はない。
【0007】
又、DE19858548A1号明細書によっても、綾巻きボビンを製造する繊維機械のための作業部位であって、ボビン駆動装置と糸綾振り装置とが別個の駆動装置を有している作業部位が公知である。この場合、糸綾振り装置は電磁式の駆動装置によって負荷されている。糸ガイド駆動装置の電磁式の駆動装置はマイクロプロセッサで制御される。このマイクロプロセッサは電流強度と電流方向とを所定のプログラムに従って角度及び時間に関連して、トラバース幅に亘ってそれぞれ所望の給糸角が生じるようにもしくはトラバース幅又はトラバース点が目的に合わせて調節され得るように制御される。この場合、瞬間角度を検出するためには旋回軸に対し同軸に配置されたマークを走査する赤外線ボックスが使用される。このような光学的なセンサ装置は紡績と巻取作業ではしばしば埃と糸屑を含んだ空気で負荷されるのでもちろん完全に問題がないことはない。つまり、このような光学的なセンサ装置はほぼ故障なく作業するためには比較的に高い掃除費用を必要とする。
【0008】
本願出願後公開されたDE10354587号明細書には、綾巻きボビンを製造する繊維機械の作業部位であって、回転可能な巻取りボビンを保持するためのボビンフレームと、供給された糸にトラバース運動を与えるためのフィンガ糸ガイドとを有する作業部位が記載されている。フィンガ糸ガイドの電磁的な単個駆動装置は角度センサを備え、該角度センサは作業部位計算機に接続されており、旋回可能に支承された永久磁石並びに定置のホール−IC−エレメントを有している。このような角度センサは複数の利点を有している。旋回可能に支承された永久磁石の磁気流の影響を受ける、比較的に安価であるアナログ式のホール−IC−エレメントは例えば、永久磁石の角度位置、ひいてはフィンガ糸ガイドの角度位置に比例しかつ作業部位計算機により好適に加工できる電圧値を発生させる。さらに糸ガイドの給糸レバーのトラバース運動に際して発信される電圧信号は、糸ガイドによりカバーされる約−40°と+40°との間の領域で、ほぼ直線的な経過を有している。さらにこのような角度センサは無接触で、ひいては摩耗なしで働くので寿命が長いという利点を有している。さらに好適であることはこのような角度センサは比較的にわずかな慣性モーメントしか有しておらず、したがって高い綾振り速度で確実に使用可能であることである。
【0009】
この評価の高い角度センサの欠点は、時間の経過と共に原理的に必然的な誤差影響が発生することである。この原理的に必然的な誤差影響に対しては放熱又は永久磁石の老化プロセスが考慮されなければならない。
【特許文献1】DE10021963A1号明細書
【特許文献2】DE19858548A1号明細書
【特許文献3】DE10354587号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の公知技術から出発して本発明の課題は綾巻きボビンを製造する繊維機械の作業部位の秩序正しい運転を長期に亘って可能にする方法もしくは装置を提供することである。この場合には特に糸ガイドの角度センサの測定値が装置の寿命に亘って高い精度を有するようにしたい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は請求項1に記載した方法もしくは請求項5に記載した装置によって解決された。
【0012】
本発明の方法もしくは本発明の装置の有利な実施例は従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明による方法によっては、原理的に必然である誤差影響、例えば放熱又は永久磁石の老化によって角度センサの測定値が時間と共にゆっくりと、ひいては密かに変造されることが防止される。つまり、センサエレメントから発信された測定値が糸ガイドの規定さた位置に対し周期的にかつ/又は事件に関連して比較されることにより、誤差影響が確実に認識され、例えば作業部位計算機によって適宜考慮される。
【0014】
請求項2に示すように糸ガイドはセンサエレメントの相応する測定値を求めるためにまずはじめに順次2つの規定された位置へ移動させられる。
【0015】
次いでこの規定された位置にてセンサエレメントによりそれぞれ1つの測定値が発生させられる。検出された測定値は作業部位計算機にて比較されかつ/又はセンサエレメントの修正特性線を算出するために加工される。作業部位計算機により算出された修正特性線は、糸ガイドがその反転点の間で綾振り運動する時点にてセンサエレメントが発生させる電圧の測定値の経過を表す。
【0016】
請求項3に示すように作業部位計算機は巻取り過程の間、修正特性線に応じてセンサエレメントにより発生させられた各電圧に糸ガイドの対応する位置を相関させる。次いでこの位置が糸ガイドの制御に使用される。
【0017】
有利な構成では算出された修正特性線は請求項4に示すように、少なくとも次の調整まで使用される。つまり、次の調整では修正特性線は、そのときに存在する測定値に基づき作業部位計算機によって改めて計算される。計算機が新しい修正特性線を算出すると、この新しい修正特性線に置換えられる。
【0018】
請求項5によれば、本発明の方法を実施するための装置は、有利な構成形態では、単個駆動装置により負荷可能な糸綾振り装置と、ホール−IC−エレメントを備えた角度センサと、作業部位計算機とを有している。この場合、角度センサはその都度、糸ガイドに比例した測定値を発信する。さらに、糸ガイドを規定された位置に位置決めすることを可能にする手段が設けられている。つまり、角度センサから発信された測定値が既知の糸ガイド位置に調整される正確に規定された位置が存在する。
【0019】
請求項6に記載されているように、作業部位計算機は作業部位計算機が角度センサのホール−IC−エレメントから発生させられた各電圧を即座に糸ガイドの対応位置と連結するように構成されている。このような形式で作業部位計算機は糸ガイドを、特にその反転点に関して好適に制御することができる。
【0020】
有利な実施例では糸ガイドは請求項7に記載されているように、フィンガ糸ガイドとして構成されている。このフィンガ糸ガイドの給糸レバーは2つのストッパに当接することでそれぞれ規定された角度位置に位置決め可能である。このいわゆる調整位置では角度センサのホール−IC−エレメントにより発生された測定値が検出され、作業部位計算機にて角度センサの修正特性線を算出するために使用される。この作業部位計算機により算出された修正特性線は、この時点で給糸レバーの綾振り運動に際して角度センサにより発生させられた電圧の瞬間的な経過を特徴付ける。つまり、作業部位計算機によっては給糸レバーのそのつどの角度位置を検出した場合に、角度センサの構成原理により永久磁石のある程度の老化に基づく誤差影響が考慮される。
【0021】
請求項8に記載されているように有利な実施例では角度センサによりその校正に際してカバー可能な領域は+40°と−40°との間に位置している。つまり、この領域は糸ガイドの給糸レバーが巻取り運転の間カバーする+37.5°と−37.5°との間の領域よりもいくらか大きい。校正によってカバー可能な領域を前述の如く大きく設定することによって、例えば糸ガイド駆動装置を取付ける場合に発生する組込み誤差が確実に補整されるようになる。さらに+39°と−39°での規定された当接による位置決めは、簡単な形式で角度センサから送信された測定値と糸ガイドの給糸レバーの既知の角度位置との調整を可能にする。つまり、給糸レバーが前記ストッパに当接した場合に、角度センサから発せられた測定値が常に同じ角度位置に相当し、この測定値での偏差は原理的に必然である角度センサの誤差影響に帰因するものである。この誤差影響は作業部位計算機により修正特性線を算出する場合に考慮される。
【0022】
別の有利な構成では角度センサは0.024°の分解度を有している(請求項9)。角度センサのこのような高い分解度は糸綾振り運動に際して糸反転点の正確な到達を可能にし、ひいては高質のボビン構造を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1には側面図で概略的に、綾巻きボビンを製造する繊維機械、この場合にはいわゆる自動綾巻き機1の作業部位2が示されている。このような自動綾巻き機1の作業部位2では、公知であるために詳細には説明していない形式で、リング紡績機にて製造された紡績コップ3が体積の大きい綾巻きボビン5に巻返される。綾巻きボビン5は製造後、例えば自動的に働くサービス装置(図示せず)を用いて機械長さの綾巻きボビン搬送装置7に引渡され、機械端部側に配置されたボビン積込みステーション又はそれに類似したものに搬送される。このような自動綾巻き機1は通常はさらにボビン及び巻管搬送系6を有している。このボビン及び巻管搬送系6においては搬送皿11、紡績コップ3もしくは空の巻管が循環する。ボビン及び巻管搬送系6の内、図1にはコップ供給区間24、巻取り部位2に通じる横搬送区間26並びに巻管戻し区間27しか図示されていない。
【0024】
さらに個々の作業部位2は公知であるがために単に略示されている、このような作業部位の秩序正しい運転を保証する種々の装置を有している。これらの装置の1つは例えば巻取り装置4である。巻取り装置4は旋回軸線12を中心として可動に支承された巻取りフレーム8を有している。図示の実施例によれば綾巻きボビン5は巻取りプロセスの間、その表面で駆動ドラム9に接触し、単個モータ式に駆動されたこの駆動ドラム9により、摩擦接続を介して連行される。この対応する駆動装置は符号33で示されている。
【0025】
巻取りプロセスの間に糸に綾振り連動を与えるためには糸綾振り装置10が設けられている。図1に概略的にしか示されていない糸綾振り装置10は例えばフィンガ状に構成された給糸レバー45を備えた糸ガイド13を有している。給糸レバー45は電気機械式の駆動装置14によって負荷されて糸16に綾巻きボビン5の両端面の間でトラバース運動を与える。この場合、糸ガイド13の駆動装置14は例えばブラケット(図示せず)を介して当該作業部位2の巻取り部位ケーシング34に固定されている。さらに糸ガイド13の駆動装置14も駆動ドラム9の駆動装置33も制御導線15もしくは35を介して作業部位計算機28に接続されている。
【0026】
例えば図2から判るように駆動装置14はモータ軸17を有し、このモータ軸17にはフィンガ状に構成された給糸レバー45が相対回動不能に配置されている。糸ガイド13とは反対側でモータ軸17には、取り外し可能なカバーキャップ18の下に保護されて角度センサ19が取付けられている。この角度センサ19の構造については以後詳しく説明する。
【0027】
図2に示されているように駆動装置14のケーシング39には、給糸レバー45とは反対側にて、プラスチック成形部分31が固定されている。このプラスチック成形部分31はセンサ保持体23のための固定孔36と、電子的な回路32を備えたプレート38のための支承ピン37とを有している。その際、電子的な回路32は例えば記憶チップ並びに電子的な制御装置を有していることができる。センサ保持体23にはホール−IC−エレメント29が不動に固定されている。このホール−IC−エレメント29は永久磁石20と協働する。この永久磁石20は支持リング21並びにねじピン22とを介して駆動装置14のモータ軸17に相対回動不能に結合されている。
【0028】
図3には駆動装置14の背面図が示されている。つまり、図2の断面III−IIIが示されている。図示のように永久磁石20は半径方向で2極磁化されたリング磁石として構成されている。このリング磁石の極N,Sは糸ガイド13が図示の中央位置にある場合に、つまり角度位置0°で、定置されたホール−IC−エレメント29に垂直に配置されている。すなわち、糸ガイド13が角度位置0°を採ると、磁石リング20の極N,Sはホール−IC−エレメントに対し直角に向けられる。
【0029】
図4には角度センサ19を調整する間、糸綾振り装置10が図1の矢印Xの方向から見て示されている。図示のように糸ガイド駆動装置14のフロントプレート44に規定されて配置された孔にはストッパ40もしくは41が挿入されている。これらのストッパ40もしくは41は給糸レバー45の所定の角度位置を正確に規定する。この場合、ストッパ40,41は有利には調整する間、ストッパ40に接触する給糸レバー45が正確に−39°の角度位置を有する一方、ストッパ41における給糸レバー45の角度位置が正確に+39°であるように位置決めされる。ストッパ40もしくは41に給糸レバー45が接した場合にホール−IC−エレメント29により発生させられた電圧Vは角度センサ19の電子回路32にて加工され、データ及び制御導線15を介して作業部位計算機28へ送られる。作業部位計算機はこの電圧から必要な場合に修正特性線を算出する。この修正特性線に基づき各測定値は給糸レバー45の所定の角度位置に対応させられることができる。
【0030】
図5に座標系に基づき示された特性線42,43は、給糸レバー45、ひいては永久磁石20の角度位置に関連した、プログラミング可能なホール−IC−エレメント29によって発生させられた電気的な電圧経過を示している。この場合、座標系の横座標には糸綾振り運動の間、給糸レバー45によってカバー可能な領域が角度で示されているのに対し、座標系の縦座標にはホール−IC−エレメント29から発信された電圧がボルトで示されている。すなわち、電圧Vはホール−IC−エレメント29が永久磁石20の磁気流、その角度位置並びに装置係数から発生させる電圧である。
【0031】
その際、符号43は角度センサ19の校正後に角度センサの使用開始にあたって発生した角度センサ19の電圧経過の特性線である。図示の実施例では特性線43によれば給糸レバー45の角度位置が−39°である場合、角度センサ19には例えば0.71V電圧が作用する。給糸レバー45の角度位置が+39°である場合には角度センサにおける相当電圧は194.83Vになる。特性線43に基づき示されているように給糸レバー45によってカバーされる−39°と+39°との間の綾振り領域のおける電圧経過はほぼ直線的である。したがって給糸レバー45の中央位置0°においては角度センサ19において例えば2.76ボルトの電圧が発生する。
【0032】
特性線42は後で行われる角度センサ19の調整に際して検出された電圧経過を示している。本実施例ではこの調整に際して−39°の給糸レバー45の角度位置で発生した電圧は0.56Vである。給糸レバー45の角度位置+39°では4.47Vが発生する。特性線42もほぼ直線的な経過を有しているので給糸レバー45の中央位置0°においては例えば2.48ボルトの電圧が発生する。
【0033】
先の角度センサ19では例えば0.024°の分解度が実現可能である。
【0034】
作業部位2にて糸ガイド駆動装置14の運転を開始する前に角度センサ19はまず校正されなけれならない。取付け済みの駆動装置14における角度センサ19の校正に際しては、本願出願後に公開されたDE10354587号明細書に比較的に詳細に記載した種々の方法を用いることができる。
【0035】
この校正方法では例えば角度センサ19の永久磁石20の磁気的な特性線が糸ガイド13の給糸レバー45の規定された角度位置に基づき測定される。つまり、給糸レバー45は簡単な機械的な装置、例えば2つのストッパ40,41を用いて順次規定された角度位置に位置決めされ、その際ホール−IC−エレメント29における永久時磁石20の磁気流に基づき発生した電圧を検出する。該当する巻取り部位2の作業部位計算機28は給糸レバー45の既知の位置と角度センサの検出した測定値とに基づき角度センサ19のための第1の特性線を算出する。この第1の特性線は図5の座標系にて符号43で示されている。図5に示されているように特性線43の各点には給糸レバー45の所定の角度位置並びに角度センサ19の相応する測定値が対応させられている。給糸レバー45が中央位置にあると、つまり角度位置0°では角度センサの対応する測定値は例えば2.76Vである。
【0036】
本発明の調整方法は以下の通り実施される。
【0037】
角度センサ19の特性線は原理的に時間の経過と相俟って、例えば角度センサ19の永久磁石の老化によって又は放熱又はそれに類似したものによって変化するので、例えば2.76Vの測定値は所定の時間だけしか正確に給糸レバー45の0°の角度位置に対応しない。より長い時間に亘って角度センサ19の正確な測定値を保証できるためには角度センサ19が時間と共に調整される。この第2の校正方法では永久磁石20の磁気的な特性線があらためて測定される。これは外部の校正装置で行うか又は作業部位にて行うことができる。次で求められた修正値は巻取り部位の作業部位計算機28にて又は角度センサ19の電子的な回路32のメモリーチップ(図示せず)に記憶される。
【0038】
つまり、給糸レバー45は例えば改めて順次、規定されたストッパ40,41に当てられ、この角度位置で、角度センサ19から発せられた測定値が検出される。この検出された測定値から、作業部位計算機28は図5に示されているように修正特性線42を算出する。この修正特性線42も直線的な経過を有している。さらに修正特性線42の各点にも給糸レバー45の所定の角度位置が対応させられかつ角度センサ19の対応する測定値がボルトで対応させられる。図5に実施例として示された修正特性線42では例えば0.56Vの測定値は−39°の給糸レバー45の角度位置に相当する。給糸レバー45の中央位置0°では角度センサ19に2.48Vの測定値が発生するのに対し、給糸レバー45の+39°の角度位置では角度センサ19の測定値は例えば4.47Vになる。
【0039】
角度センサ19の修正特性線42は次の調整まで基準を維持し、次いで、同様に適当な調整によって求められた新しい修正特性線と置換えられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ボビン駆動装置と単個モータ式に駆動される個別の糸ガイドとを有し、該糸ガイドの駆動装置が角度センサを備えている形式の綾巻きボビン製造用の繊維機械の作業部位を概略的に示した図。
【図2】糸ガイド駆動装置の軸上に配置された角度センサの断面図。
【図3】図2のIII−III線に沿って角度センサを断面した図。
【図4】角度センサを調整する間のフィンガ糸ガイドを矢印Xの方向から見た図。
【図5】角度センサを調整する間の角度位置/出力電圧−線図。
【符号の説明】
【0041】
1 自動綾巻き機、 2 作業部位(巻取り部位)、 3 紡績コップ、 5 綾巻きボビン、 6 ボビン及び巻管搬送系、 7 綾巻きボビン搬送装置、 8 ボビンフレーム、 9 駆動ドラム、 10 糸綾振り装置、 11 搬送皿、 12 旋回軸、 13 糸ガイド、 14 駆動装置、 15 制御導線、 16 糸、 17 モータ軸、 18 カバーキャップ、 19 角度センサ、 20 永久磁石、 21 支持リング、 22 ねじピン、 23 センサ保持体、 24 コップ供給区間、 25 ストック区間、 26 横搬送区間、 27 巻管戻し区間、 28 作業部位計算機、 29 ホール−IC−エレメント、 31 プラスチック成形部分、 32 回路、 33 駆動装置、 34 巻取り部位ケーシング、 35 制御導線、 36 固定孔、 37 支承ピン、 38 プレート、 39 ケーシング、 40 ストッパ、 41 ストッパ、 42 特性線、 43 特性線、 44 フロントプレート、 45 給糸レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な巻取りボビンを保持するためのボビンフレームと、個別モータ式で駆動可能な糸綾振り装置と、糸ガイドの位置に比例した測定値を発信する、校正可能なセンサエレメントとを備えた、綾巻きボビン製造用の繊維機械の作業部位を運転する方法において、
所定の時間間隔でかつ/又は事件に関連して、センサエレメント(19)から発信された測定値と糸ガイド(13)の規定位置との間で調整を行うことでセンサエレメント(19)の秩序正しい作業形式を保証することを特徴とする、綾巻きボビンを製造する繊維機械の作業部位を運転する方法。
【請求項2】
センサエレメント(19)の測定値を検出するために巻取り中断中に糸ガイド(13)を順次、所定の複数の規定位置へ移動させ、これらの規定位置にてそれぞれセンサエレメント(19)の測定値を検出し、検出された測定値を作業部位計算機(28)にてセンサエレメント(19)の修正特性線(43)を算出するために加工する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
巻取り過程の間、作業部位計算機(28)に、センサエレメント(19)により発生された電圧(V)の修正特性線(43)に相応して糸ガイド(13)の対応する位置を関連させ、該位置を糸ガイド(13)を制御するための使用する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
算出した修正特性線(43)をセンサエレメント(19)の次の調整まで使用する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
請求項1の方法を実施する装置において、糸綾振り装置(10)の単個駆動装置がホール−IC−エレメントを備えた、校正された角度センサを有し、該角度センサが作業部位計算機に接続されておりかつ糸ガイドの位置に比例する測定値を発信し、糸綾振り装置(10)の領域に、規定された、再現可能な位置への糸ガイドの位置決めを可能にする手段(40,41)が設けられていることを特徴とする、綾巻きボビンを製造する繊維機械の作業部位を運転する装置。
【請求項6】
作業部位計算機(28)が角度センサ(19)のホール−IC−エレメント(29)から発生させられた各電圧(V)を糸ガイド(13)の対応する位置と結合するように、作業部位計算機(28)が構成されている、請求項5記載の装置。
【請求項7】
糸綾振り装置(10)がフィンガ糸ガイド(13)として構成され、該フィンガ糸ガイド(13)の給糸レバー(45)がストッパ(40,41)に当接することで、規定された角度位置に位置決め可能である、請求項5記載の装置。
【請求項8】
角度センサ(19)により校正によってカバー可能な角度領域が+40°と−40°との間にあり、給糸レバー(45)が調整のために位置せしめられるストッパ(40,41)がそれぞれ+39°と−39°に配置されている、請求項7記載の装置。
【請求項9】
角度センサ(19)が0.024°の分解度を有している、請求項5記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−193334(P2006−193334A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2920(P2006−2920)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(503420235)ザウラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Saurer GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Landgrafen Str. 45, D−41069 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】