説明

綿塵発生装置

【課題】十分な性能を備えた簡易な綿塵発生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】綿塵を生成させる空間10、該空間10内に糸14を供給可能な供給口24、及び生成させた綿塵を前記空間10から外部に排出可能な排出口22を有する綿塵発生手段12と、糸源から前記供給口24まで連続する糸を配送する配送手段36、38、及び前記供給口24近傍に設けられた空気エゼクター46を有し、前記空間10内に糸を供給する糸供給手段16と、該糸供給手段16によって供給された糸の供給方向と垂直に交わる面に沿って回転する回転カッター20と、を備え、前記空気エゼクター46は、その排出口52Aから糸14を排出するように構成されており、その空気エゼクター46の排出口52Aから排出された糸14が前記回転カッター20によって切断されることによって、綿塵が生成されることを特徴とする綿塵発生装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境測定などに用いられる綿塵を発生させる綿塵発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気製品などの環境耐性などの試験を行うため、粉塵発生装置によって自発的に粉塵を発生させることが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−302342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電気製品などが扱われる通常の家庭環境において、ハウスダストとしては、粉塵だけでなく衣類などから発生する綿塵もあり、粉塵だけでは必ずしも十分な環境耐性の試験を行うことができないという問題があるところ、十分な性能を有する簡易な綿塵発生装置が存在しないのが現状である。そこで、本発明は、十分な性能を備えた簡易な綿塵発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するため、本発明は、綿塵を生成させる空間、該空間内に糸を供給可能な供給口及び該糸供口から供給された糸を切断する切断手段を有する綿塵発生手段と、前記供給口近傍に設けられた空気エゼクターを有し、前記空間内に糸を供給する糸供給手段と、を備え、前記空気エゼクターは、その排出口から糸を排出するように構成されており、その空気エゼクターの排出口から排出された糸が前記切断手段によって切断されることによって、綿塵が生成されることを特徴とする綿塵発生装置である。
【0006】
以上のように、本発明に係る綿塵発生装置によれば、空気エゼクターの排出口から連続する糸が排出されるので、その排出口近傍においては、糸の直線状態が維持され、その直線状態が維持された糸が回転手段によって切断されることによって綿塵が生成される。
【0007】
本発明に係る綿塵発生装置において、前記綿塵発生手段は、生成させた綿塵を前記空間から外部に排出可能な排出口をさらに備えていることが好ましく、前記糸供給手段は、糸源から前記供給口まで連続する糸を搬送する搬送手段をさらに備えていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る綿塵発生装置において、前記切断手段は、前記糸供給手段によって供給された糸の供給方向と垂直に交わる面に沿って糸を切断することが好ましく、また、前記切断手段は、前記糸供給手段によって供給された糸の供給方向と交わる面に沿って回転する回転カッターを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、十分な性能を備えた綿塵発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明に係る綿塵発生装置の実施例について図面に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る綿塵発生装置の一部切欠正面図であり、図2は、その一部切欠平面図であり、図3は、その右側面図である。本実施例に係る綿塵発生装置は、綿塵を生成させる所定空間である綿塵発生室10を有する綿塵発生部12と、綿塵発生部12内に糸14を供給する糸供給部16と、を備えている。
【0011】
綿塵発生部12は、有底円筒状に形成され、その開口側が糸供給部16の綿塵発生部12側の側板28に設置さることによって綿塵発生室10を形成するケース部18と、綿塵発生室10内に供給される糸を切断する回転カッター20と、ケース部18の下方右側に設けられ、綿塵発生室10に連通して外部と連通する綿塵排出管21と、ケース部18の側面の中央に形成され、綿塵発生室10と外部を連通する空気口22と、糸供給部16の綿塵発生部12側の側板28の左上側に形成され、糸供給部16内と綿塵発生室10内を貫通する糸供給口24と、を備えている。回転カッター20は、直線状に形成され、糸供給部16内に設置されたモータ26によって回転可能に構成されている。
【0012】
回転カッター20の各先端の回転進行側それぞれには、糸を切断可能な刃20A、20Aが設けられており、これら刃20A、20Aが、糸供給口24の横側を通り、糸供給口24から綿塵発生室10内に供給される糸を切断するように、回転カッター20は、設置されている。また、回転カッター20は、回転すると、綿塵排出管21から綿塵発生室10内の空気を外部に掃き出すよう構成されており、綿塵排出管21から排出された分量の空気が空気口22から吸入されるよう構成されている。
【0013】
糸供給部16は、綿塵発生部12のケース部18の開口を塞ぐ側板28と、側板28のケース部18の反対側の下方に設置され、直方体状に形成された制御部30と、制御部30の上面に立脚して、側板28と垂直に交わる支持板32と、支持板32の糸供給口24が位置する側の一の面32A側に設けられ、他の面32B側に設けられたモータ34によって回転駆動される駆動プーリ36と、駆動プーリ36の下方に設けられ、駆動プーリ36とともに搬送される糸14を挟持する挟持プーリ38と、支持板32の一の面32Aの回転プーリ36及び挟持プーリ38の上流側(基端側)に設けられ、上方に向かって立脚する一対のガイドピン40、40と、支持板32の一の面32Aのガイドピン40、40よりも上流側に設けられた第1ガイドプーリ42と、支持板32の一の面32Aの第1ガイドプーリ42の下方に設けられた第2ガイドプーリ44と、糸供給口24に設けられた空気エゼクター46と、を備えている。
【0014】
第1ガイドプーリ42と第2ガイドプーリ44は、図2に示すように3つのプーリから構成されており、それぞれを通る糸14は、ガイドピン40、40の間を通ることによって、一体とされ、駆動プーリ36と挟持プーリ38の間に供給されるよう構成されている。駆動プーリ36と挟持プーリ38の間に供給された糸は、駆動プーリ36の回転により顆粒側に空気エゼクター46に搬送される。
【0015】
空気エゼクター46は、図4に示すように、主として上流側に設けられた基端部48と、基端部48の下流側に設けられた中間部50と、中間部50のさらに下流側に設けられた先端部52と、から構成されている。基端部48には、上流側から下流側に向かって貫通する貫通孔48Aが形成されている。中間部50の基端側には、基端部48の先端側が挿入可能な基端孔50Aが形成され、先端側には、基端孔50Aに連通する先端孔50Bが得規制され、さらに中間部50の周面には、その周面と基端孔50Aを連通する連通孔50Cが形成されている。先端部52には、上流側から下流側に向かって貫通する排出孔52Aが形成されている。空気エゼクター46は、基端部48の貫通孔48A、中間部50の先端孔50B及び先端部52の排出孔52Aに亘って、糸14が挿入可能に構成されている。また、先端部52の先端側は、糸供給口24に挿入可能な小径に形成されている。空気エゼクター46は、その先端が糸供給口24に挿入され、ねじによって側板28に固定される。
【0016】
空気エゼクター46は、連通孔50Cから基端孔50Aに空気が供給されると先端孔50B及び排出孔52Aに向かって急速な空気が流れ、貫通孔48Aから挿入された糸14は、先端孔50B及び排出孔52Aを通って急速な空気とともに綿塵発生室10内に供給されるよう構成されている。この際、糸14は、急速な空気とともに綿塵発生室10内に供給されるので、直線状を維持した状態で綿塵発生室10内に供給される。
【0017】
次に、本実施例に係る綿塵発生装置の動作について説明する。先ず、3つの糸源から3本の糸14が第2ガイドプーリ44及び第1ガイドプーリ42を通って、ガイドピン40、40に供給され、3本の糸14は、一体化される。一体化された糸14は、駆動プーリ36及び挟持プーリ38によって挟持され、駆動プーリ36の回転により空気エゼクター46に搬送される。糸14は、2つのガイドプーリ42、44を介して供給されるので、駆動プーリ36及び挟持プーリ38まで引張状態を維持することができる。空気エゼクター46に供給された糸14は、空気エゼクター46から排出される急速な空気とともに直線状を維持した状態で綿塵発生室10内に供給され、綿塵発生室10内を回転する回転カッター20の刃20Aによって切断され、綿塵が生成される。綿塵発生室10内で生成された綿塵は、回転カッター20によって掃出される空気と共に綿塵排出管21から排出される。
【0018】
本実施例に係る綿塵発生装置は、回転カッター20や駆動プーリ36の回転速度が制御部30によって制御可能に構成されており、これらの回転速度を調整することによって生成される綿塵の大きさを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る綿塵発生装置の実施例の一部切欠正面図である。
【図2】本実施例に係る綿塵発生装置の一部切欠平面図である。
【図3】本実施例に係る綿塵発生装置の右側面図である。
【図4】本実施例に係る綿塵発生装置に設置された空気エゼクターの側面断面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 綿塵発生室
12 綿塵発生部
14 糸
16 糸供給部
20 回転カッター
46 空気エゼクター
52A 排出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿塵を生成させる空間、該空間内に糸を供給可能な供給口及び該糸供口から供給された糸を切断する切断手段を有する綿塵発生手段と、
前記供給口近傍に設けられた空気エゼクターを有し、前記空間内に糸を供給する糸供給手段と、を備え、
前記空気エゼクターは、その排出口から糸を排出するように構成されており、
その空気エゼクターの排出口から排出された糸が前記切断手段によって切断されることによって、綿塵が生成されることを特徴とする綿塵発生装置。
【請求項2】
前記綿塵発生手段は、生成させた綿塵を前記空間から外部に排出可能な排出口をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の綿塵発生装置。
【請求項3】
前記糸供給手段は、糸源から前記供給口まで連続する糸を搬送する搬送手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の綿塵発生装置。
【請求項4】
前記切断手段は、前記糸供給手段によって供給された糸の供給方向と垂直に交わる面に沿って糸を切断することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の綿塵発生装置。
【請求項5】
前記切断手段は、前記糸供給手段によって供給された糸の供給方向と交わる面に沿って回転する回転カッターを備えていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の綿塵発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−275553(P2008−275553A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122353(P2007−122353)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000181767)柴田科学株式会社 (32)
【Fターム(参考)】