説明

緊急時対策業務支援装置及び緊急時対策業務支援方法

【課題】大規模な災害などの緊急事態においてユーザに対して現在の状況にあった情報を提示する。
【解決手段】本発明に係る緊急時対策業務支援装置1は、緊急対応の処理手順を文章化した業務ユニットを格納する業務フロー蓄積部11と、過去の緊急時の対応事例を文章化した業務ノウハウを格納する業務ノウハウ蓄積部12と、前記業務ユニット及び前記業務ノウハウの概念ベクトルを生成する概念ベクトル生成部22と、前記業務ノウハウの参照履歴を格納するログ蓄積部14と、前記概念ベクトルと前記参照履歴とに基づき、第1の業務ユニットに関連する第1の業務ノウハウを抽出する業務ノウハウ抽出部23と、前記第1の業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する第2の業務ユニットを検索する業務ユニット検索部25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、緊急時対策業務支援装置及び緊急時対策業務支援方法に関し、特に、大規模な災害などの緊急事態において、マニュアルには記載されていない想定外の事象が発生した際に対応可能な緊急時対策業務支援装置及び緊急時対策業務支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や自治体の災害対策担当者は、災害などの緊急事態発生時に組織の各部門に適切な指示を出し、直面する危機に柔軟に対応しなければならない。また、緊急事態発生時には、各部門の担当者は、通常業務とは異なる対応を行う必要があり、かつ、同時並行的に非定常業務を実行する必要がある。そのような事態に備えて対応行動をあらかじめ手順化した危機対応マニュアルを用意しておくことは重要である。従来から危機対応マニュアルを電子化してコンピュータに搭載し、そこに記載された対応行動の実行を支援するシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、意思決定する立場の担当者を対象とした指揮支援システムとして開示されている技術もある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、災害事例はその発生回数自体が少ないこともあるが、再現性がなく全く同じ状況で発生することは稀である。また、想定していない不測の事態が発生することも多いため、マニュアルにない事態が起きる可能性もある。従って、実際の災害対応業務ではマニュアルとは異なる順序で対策行動を行う必要が生じたり、新たに業務を計画し直す必要が生じたりしてしまい、災害対策担当者は、その時の状況により自分の経験や社会的な一般常識等に照らし合わせ、対策行動を策定し直すことになる。このようにマニュアルにはないような実際の対応時の希少な対応事例を後世に残そうという活動もある(例えば、非特許文献1参照)。ここでの記録方法は、当時の記憶を時系列で話した内容をそのまま文章にする形式であり、実際の緊急時の対応業務において参照できる構成や仕組みにはなっていない。
【0004】
一方で、マニュアルには規定できない業務の対応事例やコツを業務ノウハウとして蓄積する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。これらの技術では、蓄積された文章を参照するには、蓄積されている被検索文章の方にキーワードを設定しておき、キーワード検索で入力する検索キーワードと被検索文章に設定しておくキーワードが一致するもののみ抽出する、もしくは、文章登録の際に、あらかじめマニュアル内の業務と当該業務に関連する業務ノウハウとの関連性を構築する必要があった。しかしながら、キーワード検索では、過去のノウハウを記述した文章を参照するのにキーワードが一致した文章のみしか扱えない。すなわち、類似の文脈の文章であってもキーワードの文言が一致してないと抽出ができない場合が生じる。また、現実的には、マニュアルに記載されている業務は、定期的に見直され、追加・削除が繰り返されている。そのため関連性を構築する方法では、その都度マニュアルと業務ノウハウ間の関連性の再構築が必要となってしまう。
【0005】
キーワードによらない検索技術として、概念検索技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかし、従来の概念検索において、緊急時にマニュアルと業務ノウハウとを関連付ける具体的な検討は行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−265686号公報
【特許文献2】特開2010−204712号公報
【特許文献3】特許第2853206号明細書
【特許文献4】特許第4499003号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】林春男著、外2名、「防災の決め手 災害エスノグラフィー」、第1版、日本放送協会出版(NHK出版)、2009年12月20日、p.1-13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
災害対応という、稀でかつ再現性がない事象への対応を考えた場合、過去の対応事例や業務ノウハウは重要な情報である。しかし現実には、そのような情報は個人の経験としてのみ蓄積されるため第三者が参照できる形になっていない。更に、自治体では災害発生に備えて事前に計画やマニュアルを整備しているが、上記の理由によってその検証や有効性などの確認等が難しい。しかし、ひとたび災害が発生すれば、担当者は、対応を余儀なくされる。つまり、過去の経験をデータベース化すること、災害発生時にはその状況に応じて過去の経験が参照できること、既存のマニュアルから状況に応じて必要な業務が抽出できること等が求められている。このようなことが可能になれば、稀でかつ再現性がないような災害において、マニュアルに記載されていない事象に対しても躊躇することなく継続的な対応が可能になる。
【0009】
このような問題を鑑み、本発明の目的は、大規模な災害などの緊急事態において、マニュアルには記載されていない想定外の事象が発生した場合に、ユーザに対して現在の状況にあった過去の情報を提示することが可能な緊急時対策業務支援装置及び緊急時対策業務支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る緊急時対策業務支援装置は、緊急対応の処理手順を文章化した業務ユニットと、前記業務ユニット間の遷移関係を示す業務フローとを格納する業務フロー蓄積部と、過去の緊急時の対応事例を文章化した業務ノウハウを格納する業務ノウハウ蓄積部と、前記業務ユニット及び前記業務ノウハウの概念ベクトルを生成する概念ベクトル生成部と、前記業務ノウハウの参照履歴を格納するログ蓄積部と、前記概念ベクトルと前記参照履歴とに基づき、第1の業務ユニットに関連する第1の業務ノウハウを抽出する業務ノウハウ抽出部と、前記第1の業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する第2の業務ユニットを検索する業務ユニット検索部と、を備えるものである。
【0011】
また、本発明に係る緊急時対策業務支援装置は、前記第1の業務ノウハウに関連する第2の業務ノウハウを探索する業務ノウハウ探索部をさらに備え、前記業務ノウハウ探索部は、前記第1の業務ノウハウを検索入力文章として前記第1の業務ノウハウに関連する業務ノウハウの探索を行い、以降、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、前記探索した業務ノウハウに関連する業務ノウハウの探索を繰返し行い、探索した各業務ノウハウを前記第2の業務ノウハウとし、前記業務ユニット検索部は、前記第1の業務ノウハウ及び前記第2の業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する業務ユニットを検索して前記第2の業務ユニットとすることが望ましい。
【0012】
また、本発明に係る緊急時対策業務支援装置は、実行中の業務フローに、前記第2の業務ユニットからユーザが選択した業務ユニットを追加した新たな業務フローを策定する業務フロー策定部をさらに備えることが望ましい。
【0013】
また、前記ログ蓄積部は、ユーザが業務ノウハウを一定時間以上参照した場合に、前記参照履歴に含まれる当該業務ノウハウの参照回数を増加させることが望ましい。
【0014】
また、前記業務ノウハウ探索部は、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、前記探索した業務ノウハウに関連する業務ノウハウを探索する繰返し処理を行う際に、以前に前記検索入力文章となった業務ノウハウが前記関連する業務ノウハウとして探索された場合、前記繰返し処理を終了することが望ましい。
【0015】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0016】
例えば、本発明に係る緊急時対策業務支援方法は、緊急時に情報提示によりユーザを支援する緊急時対策業務支援装置による緊急時対策業務支援方法であって、前記緊急時対策業務支援装置による処理手順は、緊急対応の処理手順を文章化した業務ユニットと、前記業務ユニット間の遷移関係を示す業務フローとを格納するステップと、過去の緊急時の対応事例を文章化した業務ノウハウを格納するステップと、前記業務ユニット及び前記業務ノウハウの概念ベクトルを生成するステップと、前記業務ノウハウの参照履歴を格納するログ格納ステップと、前記概念ベクトルと前記参照履歴とに基づき、第1の業務ユニットに関連する第1の業務ノウハウを抽出するステップと、前記第1の業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する第2の業務ユニットを検索する検索ステップと、を含むものである。
【0017】
また、前記緊急時対策業務支援装置による処理手順は、前記第1の業務ノウハウに関連する第2の業務ノウハウを探索する探索ステップをさらに有し、前記探索ステップにおいて、前記第1の業務ノウハウを検索入力文章として前記第1の業務ノウハウに関連する業務ノウハウの探索を行い、以降、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、前記探索した業務ノウハウに関連する業務ノウハウの探索を繰返し行い、探索した各業務ノウハウを前記第2の業務ノウハウとし、前記検索ステップにおいて、前記第1の業務ノウハウ及び前記第2の業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する業務ユニットを検索して前記第2の業務ユニットとすることが望ましい。
【0018】
また、前記緊急時対策業務支援装置による処理手順は、実行中の業務フローに、前記第2の業務ユニットからユーザが選択した業務ユニットを追加した新たな業務フローを策定するステップをさらに有することが望ましい。
【0019】
また、前記ログ格納ステップにおいて、ユーザが業務ノウハウを一定時間以上参照した場合に、前記参照履歴に含まれる当該業務ノウハウの参照回数を増加させることが望ましい。
【0020】
また、前記探索ステップにおいて、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、前記探索した業務ノウハウに関連する業務ノウハウを探索する繰返し処理を行う際に、以前に前記検索入力文章となった業務ノウハウが前記関連する業務ノウハウとして探索された場合、前記繰返し処理を終了することが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明による緊急時対策業務支援装置及び緊急時対策業務支援方法によれば、大規模な災害などの緊急事態において、マニュアルには記載されていない想定外の事象が発生した場合に、ユーザに対して現在の状況にあった過去の情報を提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る緊急時対策業務支援装置を含むシステムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る緊急時対策業務支援装置の概略構成を示す図である。
【図3】図3は、業務フロー及び業務ユニットの一例を示す図である。
【図4】図4は、業務ノウハウの一例を示す図である。
【図5】図5は、業務ノウハウの参照履歴の一例を示す図である。
【図6】図6は、業務ノウハウの用途を意識した指標の一例を示す図である。
【図7】図7は、業務フロー策定の一例を示す図である。
【図8】図8は、図2に示す緊急時対策業務支援装置の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る緊急時対策業務支援装置を含む緊急時対策業務支援システムの概略構成を示す図である。本発明の緊急時対策業務支援装置1は、緊急時に情報提示によりユーザを支援するものである。緊急時対策業務支援装置1は、ユーザのクライアント端末2(2a〜2c)からネットワークを介して接続されるようになっている。緊急時対策業務支援装置1は、ネットワークを通じてクライアント端末2の画面に業務フローを表示させたり、クライアント端末2に対してユーザが行った操作(例えば業務ユニットの選択操作)を取得したりすることができる。クライアント端末2のユーザは、画面に表示された業務フローにそって緊急時対策業務を行う。また、ユーザは、現在の状況に対応した業務ユニットが存在しない場合には、クライアント端末2を操作して業務フロー再構築の指示を緊急時対策業務支援装置1に行い、関連する情報(業務ユニット、業務ノウハウ)を取得する。
【0025】
図2は、緊急時対策業務支援装置1の概略構成を示す図である。緊急時対策業務支援装置1は、記憶部10と、制御部20とを備え、記憶部10は、業務フロー蓄積部11と、業務ノウハウ蓄積部12と、概念ベクトル蓄積部13と、ログ蓄積部14とを備え、制御部20は、業務フロー実行部21と、概念ベクトル生成部22と、業務ノウハウ抽出部23と、業務ノウハウ探索部24と、業務ユニット検索部25と、業務フロー策定部26とを備える。
【0026】
業務フロー蓄積部11は、緊急対応の標準手順をあるまとまり毎にユニット化して遷移関係を持たせて表現した業務フローを格納する。これ以降、業務フローに含まれ、緊急対応の処理手順を文章化したユニットを業務ユニットと称する。業務フローは、業務ユニット間の遷移関係を示すものである。
【0027】
図3は、業務フロー及び業務ユニットの一例を示す図である。業務フローは、業務ユニットU01〜U07を含んで構成されている。長方形の業務ユニット(U01、U02、U04〜U07)は、ユーザが行う処理項目を示すものであり、菱形の業務ユニット(U03)は、ユーザの判断項目を示すものである。また、各ユニットU01〜U07には、例えばU07に対応するU071のような具体的な作業項目が記録されており、ユーザは、当該作業項目に基づいて現場では対応業務を実行することができる。
【0028】
業務ノウハウ蓄積部12は、過去の緊急時の対応事例(時系列情報、個人的な経験、関連する知見など)を文章化した業務ノウハウを格納する。図4は、業務ノウハウの一例を示す図である。例えば、ユーザは、業務フローに現在の状況に対応する業務ユニットが存在しない場合には、クライアント端末2を操作して業務フロー再構築の指示を緊急時対策業務支援装置1に送信する。これにより、緊急時対策業務支援装置1において実行中の業務ユニットに関連する業務ノウハウが検索され、ユーザは現在の状況に関連する業務ノウハウを取得することできる。
【0029】
概念ベクトル蓄積部13は、概念ベクトル生成部22が生成した概念ベクトルを格納する。概念ベクトルの詳細は後述するが、概念ベクトルが近い文章同士は関連性が高いと判断することができるため、当該概念ベクトルを用いることにより、現在実行中の業務ユニットに関連する業務ノウハウや他の業務ユニットを検索することが可能となる。
【0030】
ログ蓄積部14は、業務ノウハウの参照履歴を格納する。即ち、ログ蓄積部14は、業務ノウハウの有効性の指標として、ユーザが各業務ノウハウを参照した回数を格納する。図5は、ログ蓄積部14に格納される参照履歴(ログ情報)の一例を示す図である。図5(a)は、業務ノウハウの総検索回数を示すログ情報であり、業務ノウハウの検索が実行される度に検索が行われた日時と累積回数とが記録される。なお、業務ノウハウの検索とは、業務ノウハウ抽出部23による業務ノウハウの抽出と、業務ノウハウ探索部24による業務ノウハウの探索とを共に含むものである。図5(b)は、業務ノウハウの参照回数を示すログ情報であり、各業務ノウハウの文章ID毎に、業務ノウハウの登録日時、文字数、及び参照回数が記録されている。ここで、参照回数とは、現在の状況に関連する可能性が高い業務ノウハウとしてユーザに提示した際に、ユーザが実際に当該業務ノウハウを選択した回数を示すものである。なお、業務ノウハウを単に画面に表示しただけでは、ユーザが実際に内容を読んだか否かは把握できないため、ユーザが業務ノウハウを一定時間以上参照した場合(一定時間以上業務ノウハウが画面に表示された場合)にのみ参照回数を増加するようにしても良い。すなわち、例えば1文字あたり0.1秒というような標準的な黙読速度をあらかじめ設定しておき、図5(b)のログ情報にある文字数を乗じた標準文章参照時間を求め、それより長ければ参照回数を1加算するようにしても良い。この場合、標準速度の設定を0とした場合は、参照画面を開けば参照回数が1増加することになる。
【0031】
ログ蓄積部14は、さらに、業務ノウハウの用途を意識した指標を格納することができる。図6は、業務ノウハウの用途を意識した指標の一例を示す図である。ユーザは、選択した業務ノウハウを参照した後に、図6に示す項目についてユーザの評価を登録することができる。ユーザが登録した評価ポイントは、上述した各業務ノウハウの参照回数のように、業務ノウハウの有効性の指標として使用することができる。
【0032】
業務フロー実行部21は、業務フロー蓄積部11から業務フローを読み出し、ネットワークを介してクライアント端末2に業務フローを提示する。クライアント端末2は、画面に業務フローを表示し、例えば、ユーザの作業の進捗にあわせ、実行中の業務ユニットをハイライト表示するなどの処理を行う。
【0033】
概念ベクトル生成部22は、業務フロー蓄積部11に蓄積された業務フロー中の各業務ユニットや、業務ノウハウ蓄積部12に蓄積された業務ノウハウの概念ベクトルを生成する。ここで、概念ベクトルとは、概念検索に用いる文章間の関連度を示す指標である。概念ベクトル生成部22は、業務ユニット及び業務ノウハウの文章を解析し、多次元の概念ベクトル空間に点として配置する。概念ベクトル空間において文脈が類似しているとは、文章中に出現する単語の頻度分布が類似している、すなわちベクトルの向きが近いことで表される。概念ベクトル生成部22は、作成した概念ベクトルを概念ベクトル蓄積部13に格納する。概念ベクトル生成部22は、予め定めた周期等で自動的に業務ユニット及び業務ノウハウの概念ベクトルを作成したり、検索実行時にリアルタイムに概念ベクトルを作成したりすることができる。例えば、業務ユニット及び業務ノウハウの文章が一部変更された場合であっても、概念ベクトル生成部22は、自動的に最新の概念ベクトルを算出することができる。なお、概念検索及び概念ベクトルは当業者にとって既知の技術であり、本出願では、理論的な説明や具体的な解析方法、関連度等の詳述は行わないが、必要であれば、例えば特許文献4を参照されたい。
【0034】
業務ノウハウ抽出部23は、概念ベクトル蓄積部13に格納された概念ベクトルと、ログ蓄積部14に格納された業務ノウハウの参照履歴とに基づき、業務ノウハウ蓄積部12に格納された業務ノウハウを抽出する。具体的には、業務ノウハウ抽出部23は、概念ベクトルの近さを表す関連度と、参照履歴から算出される参照率とを乗じた指標である「業務関連度」に基づいて、実行中の業務ユニットに関連のある業務ノウハウを抽出する。
【0035】
まず、概念検索の検索入力文章eの概念ベクトルをv(e)とし、検索対象となる被検索文章dの概念ベクトルをv(d)とすると、業務ノウハウ抽出部23は、式1によって概念ベクトル間の関連度R(k,i)を求めることができる。式1の値は−1から1の値となり、1に近いほど検索入力文章と被検索文章が類似していることを示す。
【0036】
【数1】

【0037】
業務ノウハウ抽出部23は、さらに、ログ蓄積部14から業務ノウハウの参照履歴を取得し、式2に示すように、関連度R(k,i)に参照履歴から得た参照率を乗じて、過去の参照履歴により有用性を加味した指標である業務関連度P(k,i)を算出する。業務ノウハウ抽出部23は、当該業務関連度P(k,i)を用いて実行中の業務ユニットに関連する業務ノウハウを抽出する。ここで、n(d)は被検索文章dの登録日時以降の総検索回数、即ち現時点での累積回数から被検索文章dの登録日時以前の累積検索回数を減算した回数であり、文章が登録される以前の検索回数の影響を除去している。l(d)は被検索文章dの参照回数である。即ち、l(d)/n(d)は総検索回数に対する被検索文章dの参照率を表しており、被検索文章dの参照率が高いほど式2の指標の値は大きくなる。
【0038】
【数2】

【0039】
業務ノウハウ抽出部23は、式2の業務関連度P(k,i)が大きい順に抽出した業務ノウハウをクライアント端末2に一覧表示させる。なお、業務ノウハウ抽出部23は、式2の右辺に、さらに図6に示すような評価ポイントの平均値を正規化して(図6に示す6段階評価の場合は3で除算して)乗じることもできる。これにより、業務ノウハウの用途を意識した指標を抽出結果に反映させることができる。ユーザが抽出された結果を見て、更に検索を絞り込みたい場合があるため、業務ノウハウ抽出部23は、キーワード追加機能を備えており、検索入力文章にユーザの追加した文章を追加して、同様の業務ノウハウ抽出処理を繰返し実行することができる。なお、業務ノウハウ抽出部23は、概念検索ではなく従来のキーワード検索により業務ノウハウを抽出しても良い。
【0040】
業務ノウハウ探索部24は、業務ノウハウ抽出部23が抽出した業務ノウハウをユーザが選択した後、ユーザが選択した業務ノウハウを検索入力文章として関連する業務ノウハウの探索を行い、以降、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、さらに関連する業務ノウハウの探索を繰返し行う。つまり、業務ノウハウ探索部24は、ユーザが選択した業務ノウハウを基点に業務関連度が最大のものを順次検索入力文章として業務ノウハウ探索を繰り返し実行し、検索入力文章の対象となった業務ノウハウ群をユーザに提示する。
【0041】
具体的には、業務ノウハウ探索部24は、業務ノウハウ抽出部23と同様に、式2に示す業務関連度に基づき業務ノウハウの探索を実行する。業務ノウハウ探索部24は、探索結果のうち業務関連度が最大の業務ノウハウの文章を新たに検索入力文章として設定し、同様の探索処理を繰り返す。なお、業務ノウハウ探索部24は、例えば100回探索処理を繰り返す設定である場合でも、それまでに一度でも以前に検索入力文章となった業務ノウハウが関連する業務ノウハウとして探索された場合、その時点で探索の繰返し処理を終了することができる。なお、業務ノウハウ抽出部23による業務ノウハウの抽出の後、業務ノウハウ探索部24による探索処理を実行するか否かは、予め設定しておくことができる。業務ノウハウ探索部24による自動探索処理により、大量にある文章群から効率的に関連文章群を抽出できると共に、ユーザが特徴空間の距離の閾値を設定することなく、システムが自動で関連文章の密集具合を判定して抽出することが可能となる。なお、業務ノウハウ探索部24は、概念検索ではなく従来のキーワード検索により業務ノウハウを探索しても良い。
【0042】
業務ユニット検索部25は、業務ノウハウ抽出部23又は業務ノウハウ探索部24によって検索された業務ノウハウのうち、ユーザが選択した業務ノウハウを検索入力文章として概念検索を実行し、実行中の業務ユニットとの関連度が高い業務ユニットの一覧をユーザに提示する。なお、業務ユニット検索部25は、概念検索ではなく従来のキーワード検索により業務ユニットを検索しても良い。
【0043】
業務フロー策定部26は、業務ユニット検索部25により提示された業務ユニット一覧からユーザが選択した業務ユニットを含む業務フローのうち、ユーザが選択した業務フロー群を現在実行中の業務フローに組み込む機能を備えている。即ち、業務フロー策定部26は、実行中の業務フローに、業務ユニット検索部25により提示された業務ユニット一覧からユーザが選択した業務ユニットを追加した新たな業務フローを策定することができる。業務フロー策定部26は、策定した新たな業務フローを業務フロー蓄積部11に格納する。
【0044】
図7は、業務フロー策定部26による業務フロー策定の一例を示す図である。図7(a)に示すとおり、業務ユニット検索部25は、検索した業務ユニットA’、B’、C’を含む業務フロー全体A、B、Cを一覧としてユーザに提示することができる。ユーザは、一覧から現在の状況に応じて必要と考えられる業務ユニットA’、C’を選択する。なお、この場合、業務ユニット検索部25による検索により抽出された業務ユニットA’、C’に限らず、業務フロー内の他の業務ユニットを選択可能とすることができる。図7(b)に示すとおり、業務フロー策定部26は、現在実行中の業務フローDに選択した業務ユニットA’、C’を組み込み、新たな業務フローEを策定する。このとき、業務フロー策定部26は、現在実行中の業務ユニットD’を基点として、ユーザが選択した順番どおりに業務ユニットA’、C’を追加して新たな業務フローEを策定することができる。業務フロー策定部26は、新たな業務フローEを業務フロー蓄積部11に格納する。また、業務フロー策定部26は、業務フロー実行部21に新たな業務フローEの情報を送信し、業務フロー実行部21は、現在実行中の業務フローDと新たに策定された業務フローEとを差し替えてユーザに提示する。ユーザは再度業務フロー実行画面に戻り、直前に新規に策定した対応業務を実行する。
【0045】
図8は、緊急時対策業務支援装置1の動作フローチャートである。なお、概念検索で使用する業務ノウハウ及び業務ユニットの概念ベクトルは、概念ベクトル生成部22が予め生成したり、検索実行時にリアルタイムで生成したりするものとする。
【0046】
まず、業務フロー実行部21は、業務フロー蓄積部11より、現在の危機事象に合致する業務フローを選択して読み出し(ステップS101)、ネットワークを介してクライアント端末2の画面に業務フロー及び業務ユニットを表示させる(ステップS102)。業務フロー実行部21は、クライアント端末2のユーザから、業務フロー再構築の指示があるか否かを判定し(ステップS103)、表示された業務フローどおりに対応業務が進む場合(即ち、業務フロー再構築の指示がない場合)、ユーザが業務フローの全業務ユニットを実行した時点で、処理を終了させる(ステップS104)。
【0047】
しかし、ある業務ユニット実行中に今表示されている業務フローには該当しない事象が発生した場合、ユーザは、今後の対応業務を再構築する必要があると判断する。この場合、業務フロー実行部21は、例えばクライアント端末2から通知される制御メッセージなどによって、業務フロー再構築の指示を確認することができる(ステップS103のYes)。業務フローの再構築にあたり、制御部20は、業務ユニット及び業務ノウハウのうち、何を対象として検索するかを判定する(ステップS105)。この判定は、例えば緊急時対策業務支援装置1の初期設定や、クライアント端末2から通知される制御メッセージを参照して行うことができる。ここで、制御部20は、直接業務ユニットを検索対象とするか、業務ノウハウをまず参照してから、参考とした業務ノウハウから業務ユニットを検索するか、もしくは、両方並行して実行するという判定を行うことができる。
【0048】
ステップS105において、業務ユニットを検索対象とする場合、業務ユニット検索部25は、ユーザが現在実行している業務ユニットの文章を概念検索に用いる検索入力文章として、業務フロー蓄積部11に蓄積された業務フローに含まれる業務ユニットを検索する(ステップS106)。例えば、図3に示す業務フローの業務ユニットU02をユーザが実行している場合、業務ユニット検索部25は、「情報班は、情報を収集・整理し、本部へ報告する」という文章を検索入力文章として概念検索を実行する。業務ユニット検索部25は、検索結果を、ネットワークを介してクライアント端末2に提示し、クライアント端末2の画面には、検索結果が表示される(ステップS107)。ここで、関連する業務ユニットが検索されなかった場合や、ユーザが現在の状況を更に絞り込んだ検索を行う場合には、業務ユニット検索部25は、ユーザから新たに入力された検索条件(キーワード又は文章)を追加して業務ユニットの再検索を行う(ステップS109)。例えば、ユーザがどのような情報を対象とするのか特定したい場合、業務ユニット検索部25は、「土砂災害による通行止めの状況」等を検索条件に追加する。また、業務ユニット検索部25は、概念検索ではなく直接ユーザが入力したキーワードを用いたキーワード検索を実行してもよい。
【0049】
一方、ステップS105において、業務ノウハウを検索対象とする場合、業務ノウハウ抽出部23は、ユーザが現在実行している業務ユニットの文章を概念検索に用いる検索入力文章として、業務ノウハウ蓄積部12に蓄積された業務ノウハウを抽出する(ステップS110)。ここでは、業務ノウハウ抽出部23は、上述した「業務関連度」に基づいて業務ノウハウを抽出する。業務ノウハウ抽出部23は、抽出結果を、ネットワークを介してクライアント端末2に提示し、クライアント端末2の画面には、抽出結果が表示される(ステップS111)。ここで、関連する業務ノウハウが抽出されなかった場合には、業務ノウハウ抽出部23は、ユーザから新たに入力された検索条件(キーワード又は文章)を追加して業務ノウハウの再抽出を行う(ステップS113)。
【0050】
ユーザは、クライアント2の画面に表示された抽出結果に、現在実行中の業務ユニットに関連する業務ノウハウがある場合、当該業務ノウハウを選択する。制御部20は、ユーザが選択した業務ノウハウ(選択業務ノウハウ)を判定し(ステップS114)、選択業務ノウハウに関連する業務ノウハウを更に探索するか否かを判定する(ステップS115)。業務ノウハウ探索を行う場合、業務ノウハウ探索部24は、選択業務ノウハウを検索入力文章として、業務関連度を用いて順次業務ノウハウの探索を実行する(ステップS116)。業務ノウハウ探索部24は、探索結果を、ネットワークを通じてクライアント端末2に提示し、クライアント端末2の画面には、探索結果が表示される(ステップS117)。
【0051】
ユーザは、クライアント2の画面に表示された抽出結果又は探索結果に、現在実行中の業務ユニットに関連する業務ノウハウがある場合、当該業務ノウハウを選択する。制御部20は、ユーザが選択した業務ノウハウ(選択業務ノウハウ)を判定し(ステップS118)、業務ユニット検索部25は、選択業務ノウハウに類似した文章から構成される業務ユニットを対象に概念検索を実行する(ステップS119)。業務ユニット検索部25は、検索結果を、ネットワークを通じてクライアント端末2に提示し、クライアント端末2の画面には、検索結果が表示される(ステップS120)。
【0052】
ユーザは、クライアント2の画面に表示された業務ユニットから、必要と考えられる業務ユニットを選択する。業務フロー策定部26は、ユーザが選択した業務ユニットを判定し(ステップS121)、ユーザが選択した業務ユニットを現在実行中の業務フローに追加し新たな業務フローを策定する(ステップS122)。業務フロー策定部26は、新たな業務フローを業務フロー蓄積部11に格納する。また、業務フロー策定部26は、業務フロー実行部21に新たな業務フローの情報を送信し、業務フロー実行部21は、新たに策定された業務フローを読み出して業務ユニットのループ処理に戻る。
【0053】
なお、ステップS110及びステップS116の概念検索を実行して業務ノウハウ文章を抽出/探索する処理は、ユーザが直接一般のキーワード検索を実行すると判断した場合には、従来のキーワード検索により代替可能である。
【0054】
このように、本実施形態によれば、業務ノウハウ抽出部23は、概念ベクトルと参照履歴とに基づき、実行中の業務ユニットに関連する業務ノウハウを抽出し、業務ユニット検索部25は、抽出した業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する業務ユニットを検索する。これにより、大規模な災害などの緊急事態において、マニュアル(業務フロー及び業務ユニット)には記載されていない想定外の事象が発生した場合に、ユーザに対して現在の状況にあった過去の情報(関連する業務ノウハウ/業務ユニット)を提示することが可能となる。
【0055】
なお、従来は、業務ノウハウを関連する業務ユニットと結びつける必要があったが、本実施形態によれば、業務ノウハウを登録する際に既存の業務ユニットと連携する必要がなく、単に文章として登録するだけでよい。登録された業務ノウハウは、自動的に概念検索技術を用いて他の業務ユニット及び業務ノウハウと連携される。また、従来は、現在の状況にあった業務ノウハウを検索する際に、キーワード検索により、入力されたキーワードに一致する文章しか抽出できなかったが、本実施形態によれば、従来のキーワード検索に加え、概念検索技術を用い、その時点で登録されている業務ノウハウ及び業務ユニット群の中から文章全体として最も関連性の高い文章(類似している文脈、すなわち検索入力文章と被検索文章に出現する単語間の出現頻度のパターンが類似しているもの)の検索が可能となる。
【0056】
また、本実施形態によれば、業務ユニットの文章が修正されたとしても、登録されている業務ノウハウとの関連性がその都度自動的に更新可能となる。すなわち、災害対応などの想定外の業務が多く発生し、マニュアルの整備が不十分な場合であっても、過去事例やノウハウを業務ノウハウ文章として蓄積しておけば、自動的にマニュアルと関連付けて活用できるようになる。また、単に概念検索やキーワード検索によって抽出された文章が必ずしも業務に役に立つ情報であるかは分からないが、本実施形態によれば、過去にユーザが参照した回数に基づいて評価の高い業務マニュアル(ユーザが頻繁に参照している文章)を検索することができる。これにより、単に文章が類似しているという指標のみではなく、有用な文章であるという指標を組み合わせることで、ユーザは大量に存在する文章群から効率的に有用な文章を抽出することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態によれば、業務ノウハウ探索部24は、ユーザが選択した業務ノウハウを検索入力文章として関連する業務ノウハウの探索を行い、以降、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、関連する業務ノウハウの探索を繰返し行い、業務ユニット検索部25は、業務ノウハウ抽出部23が抽出した業務ノウハウ及び業務ノウハウ探索部24が探索した業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する業務ユニットを検索する。これにより、ユーザに対して、現在の状況に関連し得る情報を順次探索して提示することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態によれば、業務フロー策定部26は、実行中の業務フローに、業務ユニット検索部25が検索した業務ユニットからユーザが選択した業務ユニットを追加した新たな業務フローを策定する。これにより、ユーザは、参照した情報を基に新たなマニュアルを迅速に作成することができ、具体的な対応業務の計画を進めることができる。
【0059】
また、ログ蓄積部11は、ユーザが業務ノウハウを一定時間以上参照した場合に、参照履歴に含まれる当該業務ノウハウの参照回数を増加させる。これにより、実際にユーザに参照された業務ノウハウの参照率が上昇するため、ユーザに対してより有用な業務ノウハウを提示することが可能になる。
【0060】
また、業務ノウハウ探索部24は、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、関連する業務ノウハウを探索する繰返し処理を行う際に、以前に検索入力文章となった業務ノウハウが探索された場合、繰返し処理を終了する。これにより、冗長な繰返し処理を防止し、効率よく関連する業務ノウハウをユーザに提示することができる。
【0061】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 緊急時対策業務支援装置
10 記憶部
11 業務フロー蓄積部
12 業務ノウハウ蓄積部
13 概念ベクトル蓄積部
14 ログ蓄積部
20 制御部
21 業務フロー実行部
22 概念ベクトル生成部
23 業務ノウハウ抽出部
24 業務ノウハウ探索部
25 業務ユニット検索部
26 業務フロー策定部
2a、2b、2c クライアント端末


【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急対応の処理手順を文章化した業務ユニットと、前記業務ユニット間の遷移関係を示す業務フローとを格納する業務フロー蓄積部と、
過去の緊急時の対応事例を文章化した業務ノウハウを格納する業務ノウハウ蓄積部と、
前記業務ユニット及び前記業務ノウハウの概念ベクトルを生成する概念ベクトル生成部と、
前記業務ノウハウの参照履歴を格納するログ蓄積部と、
前記概念ベクトルと前記参照履歴とに基づき、第1の業務ユニットに関連する第1の業務ノウハウを抽出する業務ノウハウ抽出部と、
前記第1の業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する第2の業務ユニットを検索する業務ユニット検索部と、
を備える緊急時対策業務支援装置。
【請求項2】
前記第1の業務ノウハウに関連する第2の業務ノウハウを探索する業務ノウハウ探索部をさらに備え、
前記業務ノウハウ探索部は、前記第1の業務ノウハウを検索入力文章として前記第1の業務ノウハウに関連する業務ノウハウの探索を行い、以降、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、前記探索した業務ノウハウに関連する業務ノウハウの探索を繰返し行い、探索した各業務ノウハウを前記第2の業務ノウハウとし、
前記業務ユニット検索部は、前記第1の業務ノウハウ及び前記第2の業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する業務ユニットを検索して前記第2の業務ユニットとする、請求項1に記載の緊急時対策業務支援装置。
【請求項3】
実行中の業務フローに、前記第2の業務ユニットからユーザが選択した業務ユニットを追加した新たな業務フローを策定する業務フロー策定部をさらに備える、請求項1又は2に記載の緊急時対策業務支援装置。
【請求項4】
前記ログ蓄積部は、ユーザが業務ノウハウを一定時間以上参照した場合に、前記参照履歴に含まれる当該業務ノウハウの参照回数を増加させる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の緊急時対策業務支援装置。
【請求項5】
前記業務ノウハウ探索部は、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、前記探索した業務ノウハウに関連する業務ノウハウを探索する繰返し処理を行う際に、以前に前記検索入力文章となった業務ノウハウが前記関連する業務ノウハウとして探索された場合、前記繰返し処理を終了する、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の緊急時対策業務支援装置。
【請求項6】
緊急時に情報提示によりユーザを支援する緊急時対策業務支援装置による緊急時対策業務支援方法であって、
前記緊急時対策業務支援装置による処理手順は、
緊急対応の処理手順を文章化した業務ユニットと、前記業務ユニット間の遷移関係を示す業務フローとを格納するステップと、
過去の緊急時の対応事例を文章化した業務ノウハウを格納するステップと、
前記業務ユニット及び前記業務ノウハウの概念ベクトルを生成するステップと、
前記業務ノウハウの参照履歴を格納するログ格納ステップと、
前記概念ベクトルと前記参照履歴とに基づき、第1の業務ユニットに関連する第1の業務ノウハウを抽出するステップと、
前記第1の業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する第2の業務ユニットを検索する検索ステップと、
を含む緊急時対策業務支援方法。
【請求項7】
前記緊急時対策業務支援装置による処理手順は、前記第1の業務ノウハウに関連する第2の業務ノウハウを探索する探索ステップをさらに有し、
前記探索ステップにおいて、前記第1の業務ノウハウを検索入力文章として前記第1の業務ノウハウに関連する業務ノウハウの探索を行い、以降、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、前記探索した業務ノウハウに関連する業務ノウハウの探索を繰返し行い、探索した各業務ノウハウを前記第2の業務ノウハウとし、
前記検索ステップにおいて、前記第1の業務ノウハウ及び前記第2の業務ノウハウからユーザが選択した業務ノウハウに関連する業務ユニットを検索して前記第2の業務ユニットとする、請求項6に記載の緊急時対策業務支援方法。
【請求項8】
前記緊急時対策業務支援装置による処理手順は、実行中の業務フローに、前記第2の業務ユニットからユーザが選択した業務ユニットを追加した新たな業務フローを策定するステップをさらに有する、請求項6又は7に記載の緊急時対策業務支援方法。
【請求項9】
前記ログ格納ステップにおいて、ユーザが業務ノウハウを一定時間以上参照した場合に、前記参照履歴に含まれる当該業務ノウハウの参照回数を増加させる、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の緊急時対策業務支援方法。
【請求項10】
前記探索ステップにおいて、探索した業務ノウハウを検索入力文章として、前記探索した業務ノウハウに関連する業務ノウハウを探索する繰返し処理を行う際に、以前に前記検索入力文章となった業務ノウハウが前記関連する業務ノウハウとして探索された場合、前記繰返し処理を終了する、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の緊急時対策業務支援方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−190275(P2012−190275A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53454(P2011−53454)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】