説明

緑化工事用の植栽基盤およびそれを用いた緑化工法

【課題】 マンションや商業ビルの本体建設工事の完成後、短期間に、芝生が育成・養生され定着された緑化駐車場が建設できる植栽基盤を提供する。
【解決手段】 底面用の底面骨組11と、底面骨組12の上面に立設した複数の柱状骨組12とを備えた植栽基盤骨組10を用い、底面骨組11を基礎として底面部20、柱状骨組12を基礎として轍部となる柱状構造物30を形成し、土40を充填する。あらかじめ土40の上面に地被植物50を生育させておき、所定時期に駐車場建設現場など緑化工事場所に運び込んでその上面に敷設し、地被植物50に覆われた緑化工事を短時間に完成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑化予定地において、芝生や草などの地被植物で覆う緑化工事を短期間に完了せしめる緑化工事用の植栽基盤およびそれを用いた緑化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市部におけるヒートアイランド現象の緩和や大気中の炭酸ガスの吸収、アメニティ空間の創出などを目的として、建築物や駐車場などの人工地盤上に植栽を施し緑化することが行なわれている。例えば駐車場の敷地内では、多数の植栽基盤となるブロックを敷き詰めると共に、各ブロック間に区画形成される土砂収容部内に土砂を充填させ、その土砂中に芝生などの植物を植生させることにより、都市景観の緑化が図られることがある。
【0003】
例えば、緑化用の植栽基盤用のブロックとして、0.01〜0.1mmの範囲の孔径のものが全体の50%以上である細孔を有し、空隙率が40〜90%の範囲である多孔質成形体の表面に、根を細孔内に入り込ませた状態で植物を定着させて成ることを特徴とする植栽基盤用のブロック(特許文献1)が知られている。
この植栽基盤用のブロックは、植栽基盤用のブロックの土壌に種子を蒔いたり、切芝を載置するなどして植栽が施され、敷設面に隙間なく複数敷設することにより人工地盤に緑化を施すことが可能とされている。
【0004】
多孔質成形体は有機繊維が含有された無機質原料を焼成して形成されたものが開示されており、さらに、多孔質成形体の植物を定着させた面以外の面に、保水マットを重ねて成る工夫や、多孔質成形体の植物に潅水する潅水ノズルを備える工夫や、自動車の車輪が通る部分以外の床面に植栽体を配置することなどが開示されている。
【0005】
従来の緑化用の植栽基盤用のブロックは、如何に屋上や駐車場などの人工的な建設物の上面に芝生などの地被植物を定着させるかという点に力点が置かれていた。
【0006】
【特許文献1】特開2007−195455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明者池内修は、駐車場の緑化に取り組み、研究を続けてきた中、実際に駐車場予定地に地被植物が定着された駐車場を建設する上で大きな問題点があることに気付いた。それは、併設されるマンションや商業ビルの建設完成時期および駐車場の建設完成時期と、地被植物の定着時期がずれていることである。
【0008】
一般の住宅、マンションの建設現場、大規模商業ビルなどの建設現場において、敷地内に駐車場が併設されることが多い。例えば建設工期が5か月のマンションであれば、整地や基礎工事から始まり、マンションの鉄筋組み、鉄筋コンクリート打ち、外装仕上げ、室内内装仕上げまでで5カ月のほとんどの工期を占める。その間、様々な建設資材の搬入や搬出のためトラックや建設機器が出入りし、周囲の土地には他の造作物はできず、当然、駐車場にも何の造作も行うことはできないのが通常である。建設工事ではマンションや商業ビルの本体工事に対して駐車場の建設は付属工事とならざるを得ず、本体工事が完成しないうちに本体工事の邪魔になるような付属工事を開始することは実際問題として難しい。
この事情はマンション工事に限らず、一般住宅の建設においても同様である。
【0009】
そこで、駐車場は、一般の住宅、また、マンション、商業ビルの本体工事が完了した後、取りかからざるを得ない。
従来の駐車場の建設方法では、駐車場の上面がコンクリートやアスファルトなどで固められたものであれば、比較的短期間で完成するため、マンションや商業ビルの本体工事が完了した後に取りかかっても大きな支障とはならない。
【0010】
しかし、その駐車場の上面に芝生などの地被植物を設けて緑化駐車場を造作する場合、芝生などの地被植物を上面に定着させなければならない。定着する前に駐車場としての使用が始まってしまうと、車が出入りし、利用者が乗降する際に芝生の上を踏みつけることとなり、地被植物が十分に定着していなければすぐに地被植物が傷んで剥がれたり枯れてしまったりするという問題が発生する。
【0011】
そのため、一般住宅やマンションや商業ビルで緑化駐車場を導入する場合、一般住宅やマンションや商業ビルが完成した後であっても、芝生を定着させるために3か月程度、駐車場のみは使用不可とし、芝生を育成・養生する期間を空けざるを得ない。
【0012】
上記問題点は、新規に建設される住宅やマンションなどの建築物に付属する形で緑化工事される駐車場における問題点を挙げたが、既に稼働している駐車場の緑化工事においても事情は同じである。既に稼働しているコンクリート張りの駐車場を緑化工事する場合、従来の緑化工事方法では植栽工事は短期間にできてもその後の養生期間がやはり3か月程度は必要となり、その間駐車場が使用できなくなるという問題が発生する事情は同じである。今まで稼働していた駐車場が3か月にもわたり使用できなくなるという問題があるため駐車場所有者が緑化工事を逡巡してしまい、駐車場の緑化が進まないという事情があった。
【0013】
また、上記のように駐車場という利用目的がある場所の緑化工事では芝生の養生期間の問題が顕著であるが、屋上緑化や園庭緑化などにおいても芝生の養生期間が長いことはやはり問題であり、養生が完了した状態の屋上緑化や園庭緑化が短期間に完成することは望ましい。
【0014】
特開2007−195455号公報に開示された技術では、敷設した緑化基盤ブロックに芝生を確実に早く定着させる技術であるが、やはり、マンションや商業ビルが完成した後、芝生を定着させるために数か月は必要となり、駐車場のみは使用不可とし、芝生を育成・養生する期間を空けざるを得ない。
【0015】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決することを目的とし、マンションや商業ビルの本体建設工事と並行して、緑化駐車場の造作を開始し、マンションや商業ビルの本体建設工事の完成後、すみやかに、芝生が定着した緑化駐車場の建設が完了することのできる駐車場用の植栽基盤を提供することを目的とする。また、当該駐車場用の植栽基盤を用いた短期間で地被植物が定着した緑化駐車場の工事が完了できる駐車場の建設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の緑化工事用の植栽基盤は、
緑化工事現場とは異なる育成場所においてあらかじめその上面に地被植物を生育させておき、所定時期に前記緑化工事現場に運び込んで敷設し、前記緑化工事現場における前記緑化工事を短期間で完了させる緑化工事用の植栽基盤であって、
水溜め構造と水はけ構造を備えた底面部と、
前記底面部に対して立設した複数の柱状構造の柱状構造物と、
前記底面部の上面において前記柱状構造物同士の隙間に充填した土と、
当該土の上に植栽した前記地被植物とを備えたものである。
ここで、前記柱状構造物が、前記植栽基盤を吊り下げるための懸垂治具を備え、前記地被植物の前記育成場所からの搬出の際および前記緑化工事現場への搬入の際の昇降時に前記柱状構造物の懸垂治具を利用するものであることが好ましい。
【0017】
上記構成により、例えば、緑化工事着手時期に合わせて、緑化工事現場とは別の場所で、本発明の緑化工事用の植栽基盤の土の上面に芝生などの地被植物を定着するまで育成・養生しておき、緑化工事着手時期に合わせて緑化工事現場に運び込み、その上面に敷設することにより、前記地被植物で覆う緑化工事を短時間に完了することができる。なお、柱状構造物により懸垂できるので、地被植物の育成・養生場所から緑化場所への運び込みのための十分な構造的強度が得られる。
【0018】
特に、緑化工事現場が、マンションや商業ビルの新設の駐車場である場合、駐車場の工事着手時期がマンションなどの本体工事期間の後となるが、この着手時期に合わせて、建設工事現場とは別の場所で、本発明の駐車場用の植栽基盤の土の上面に芝生などの地被植物を定着するまで育成・養生し、マンションや商業ビルの本体工事期間が終了して駐車場の工事着手時期となれば速やかに駐車場に運び込んで敷設することができ、地被植物に覆われた駐車場を短時間に建設することができる。
【0019】
なお、本発明の緑化工事用の植栽基盤は、緑化場所の用途に応じた機能を担うことも可能である。
たとえば、緑化工事現場が駐車場である場合、前記底面部に対する前記柱状構造物の立設位置を、前記駐車場に入出庫する車の車輪が通過する轍部分とすることができ、前記柱状構造物を轍補強構造物としての機能を兼ね備えたものとする工夫を施すことも可能である。
【0020】
また、緑化工事現場が駐車場である場合、駐車場に入庫した車のエンジンが位置する直下付近の部分に前記柱状構造物の一部を配置し、前記エンジンの熱の影響を周囲の前記地被植物への影響を防止せしめた構造とする工夫を施すことも可能である。
【0021】
また、たとえば、緑化工事現場が園庭など緑化場所に特に構造物がなく、上面前面が芝生などの地被植物で覆われている方が好ましい環境の場合、前記柱状構造物が上下に分割できる構造体となっておれば、前記柱状構造物の前記懸垂治具を用いて前記緑化工事現場に搬入後、前記柱状構造物を分割して上側の柱状構造部分を取り外すことができ、上面に突出する構造物がなくなる。当該上側の柱状構造物を取り除いた部分に土を充填しておけば、地被植物の性質上、隣接する地面に対して横方向にも根を張って葉を茂らせてゆくので、園庭などの緑化場所の全面を地被植物で覆うことが可能となる。
【0022】
次に、本発明の緑化工事用植栽基盤を用いた緑化工法は、水溜め構造と水はけ構造を備えた底面部と、前記底面部に対して立設した複数の柱状構造物と、前記底面部の上面において前記柱状構造物同士の隙間に充填した土と、当該土の上に植栽した前記地被植物とを備えた緑化工事用の植栽基盤を用いて、前記植栽基盤を前記緑化工事現場とは異なる育成場所においてあらかじめその上面に前記地被植物を生育させておき、前記緑化工事の予定時期に前記植栽基盤を前記緑化場所に運び込んで上面に敷設することにより、前記緑化工事現場における前記緑化工事を短期間で完了させる緑化工法である。
【0023】
なお、上記の緑化工法において、前記柱状構造物が、前記植栽基盤を吊り下げるための懸垂治具を備え、前記地被植物の前記育成場所からの搬出の際および前記緑化場所への搬入の際の昇降時に前記柱状構造物の懸垂治具を利用することにより作業効率を向上させることが好ましい。
上記緑化工法により、緑化工事着手時期に合わせて、地被植物が定着・養生された植栽基盤を速やかに緑化工事場所に運び込んで建設することができ、短期間にしっかりと地被植物が定着・養生された緑化工事を完了することができる。
【0024】
また、上記の緑化工法において、前記植栽基盤を複数個並べることにより緑化場所の緑化工事を行うことも可能である。つまり分割された小さいサイズの植栽基盤を用いて複数の植栽基盤を並べて敷きつめる工法も可能である。
【0025】
また、本発明の緑化工法ではメンテナンスにおいても非常に有利である。例えば、前記緑化工事現場とは異なる育成場所において多数の前記植栽基盤を用いてあらかじめその上面に前記地被植物を生育・養生させておき、前記緑化工事により敷設済みの前記植栽基盤のメンテナンスが必要となった時点に、前記養生済みの植栽基盤と入れ替えることにより、前記緑化場所に常に前記地被植物による緑化状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の緑化工事用の植栽基盤およびそれを用いた緑化工法によれば、緑化工事着手時期に合わせて、緑化工事現場とは別の場所で、本発明の緑化工事用の植栽基盤の土の上面に芝生などの地被植物を定着するまで養生しておき、緑化工事着手時期に合わせて緑化工事現場に運び込み、その上面に敷設することにより、前記地被植物で覆う緑化工事を短時間に完了することができる。なお、柱状構造物により懸垂できるので、地被植物の養生場所から緑化場所への運び込みのための十分な構造的強度が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例により具体的に説明する。なお、本発明の技術的思想の範囲はこれらの実施例の具体的な形状や数値に限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
実施例1として、緑化工事現場が駐車場であり、駐車場の上面を緑化工事する際に用いる植栽基盤100を例として説明する。そのため柱状構造物が轍部として形成されておりその間隔や配置が、駐車場に入出庫する車の車輪が通過する轍部分に立設されており、轍補強構造物としての機能を兼ね備えた構成例となっている。
【0029】
図1は、本発明の実施例1にかかる植栽基盤100の基本構成を模式的に示した図である。図1(a)は平面図、図1(b)は底面図、図1(c)は側面図、図1(d)は植栽基盤100の内部が分かりやすいようにA−A線断面図となっている。
図2は、植栽基盤100を構成する植栽基盤骨組10の基本構成を模式的に示した図である。図2(a)は平面図、図2(b)は底面図、図2(c)は側面図となっている。
【0030】
図1に示すように、本発明の実施例1にかかる植栽基盤100は、全体の骨組となる植栽基盤骨組10(内部構造なので図示せず)と、植栽基盤の底面を形成する底面部20と、底面部20から立設している植栽基盤100内の車の轍部となる柱状構造物30と、底面部20の上面に充填した土40と、当該土40の上に植栽した地被植物50を備えている。
【0031】
図2に示すように、植栽基盤骨組10は、底面骨組11と複数の柱状骨組12を備えている。底面骨組11は、植栽基盤100の底面を形成するための骨組となるものであり、柱状骨組12は、底面骨組11の上面から立設させた複数の柱状の骨組であって、植栽基盤100の轍部となる柱状構造物30を形成するための骨組となるもので、例えば、図2に示すように、鉄筋を組み上げて構成する。
これら鉄筋で形成された植栽基盤骨組10は適度に鉄筋結束され、構造的強度が確保されている。
【0032】
底面部20は底面骨組11を基礎として形成する。
底面部20は、植栽基盤内に充填した土40を保持するための構造的強度のみならず保水性と透水性を持つ構造であることが好ましい。
【0033】
図3は、底面部20のみを取り出してその構造の一例を示したものである。図3(a)は平面図、図3(b)は後述する水溜め構造21の一つを拡大して側面から示した断面図である。
【0034】
底面骨組11に対してコンクリートを流し込み、図3(a)のような 水溜め構造21と水はけ構造22を備えたコンクリート構造を作る。
水溜め構造21は底面部20に設けた窪み状の構造であり、後述するように植栽基盤100に対して降った雨や与えられた水が地被植物50および土40を浸透して底面部20の上面に到達した後、この窪み状の水溜め構造21に集まるようになっている。この窪み状の水溜め構造21は保水性を持つようにコンクリート素材などの非透水性素材で構成されていることが好ましい。この構成例では水抜き構造21を柱状構造物30の隙間にそれぞれ設けた構成となっている。
【0035】
水はけ構造22は水溜め構造21の一部に設けた孔状の構造であり、窪み状の水溜め構造21に溜まった水の一部が当該孔状の構造である水はけ構造22を通って余分な水が抜け出て行くようになっている。
【0036】
この構成例では、水はけ構造22の上面は水溜め構造21の底面よりやや高くなっている。このように水はけ構造22の上面を水溜め構造21の底面よりやや高くしておけば、水が水はけ構造22から抜けて行っても水溜め構造21からすべて抜け出てしまうことなく、水はけ構造22の上面より低い水は水溜め構造21に貯蔵されるので、一定量の水分が確保される。
【0037】
上記の構成例は一例であり、水溜め構造21の形状、個数、配置位置などは多様なものがあり得る。また、水抜き構造22の形状、個数、配置位置なども多様なものがあり得る。
【0038】
なお、上記の例ではコンクリート素材で形成した例であるが、コンクリート素材以外の保水性と透水性を兼ね備えた性質を持つ素材を採用しても良い。これら性質を兼ね備えた1つの素材で形成しても良いし、それぞれの性質を与えるために複数の素材にて形成しても良い。例えば、スポンジ状の発泡素材である程度の構造的強度を備えたものなどがある。
このように、底面部20が保水性と透水性を持つことにより、養生された芝生等の地被植物の好ましい育成環境が得られ、地被植物が長持ちする。
【0039】
轍部となる柱状構造物30は、柱状骨組12に対してコンクリートを流し込み、柱状のコンクリート構造物を形成する。この構成例では轍部となる柱状構造物30aは駐車場に駐車する車の車輪が乗る部分であるので車重に耐える構造的強度が必要である。
なお、轍部となる柱状構造物30の上面は駐車場に駐車する車のタイヤが触れる部分であるのでタイヤがパンクしやすいような突起物や角があることは好ましくためそのような突起物や角がないように形成しておく必要がある。
【0040】
次に、柱状構造物30の間隔、配置について説明する。
この例では、緑化工事現場が駐車場であり、駐車場に敷設する例であるので、轍部となる柱状構造物30が、駐車場に入出庫する車の車輪が通過する轍部分に立設された例となっている。図1の例では、周辺に並ぶ長方形の轍部となる柱状構造物30aと、中央付近にある柱状構造物30bがある。中央の柱状構造物30bは車の轍としての機能も発揮することができるが、駐車状態にあるエンジンの直下に配置されており、エンジン焼け防止としての役割も兼務している。エンジン直下の地面は駐車した車のエンジンが熱を持っていることが多く、熱に晒される位置にある。そのためこの位置に地被植物50があると“熱やけ”して地被植物50が枯れやすい。地被植物50は一部が枯れると周辺部分にも悪影響が及ぶ可能性があるため、エンジン焼け防止の構造物として柱状構造物30bを配置しておくことが好ましい。
【0041】
図1に示した例は一例であり、多様な柱状構造物30の間隔、配置がある。
柱状構造物30aが備える植栽基盤100を吊り下げるための懸垂治具31について説明する。後述するように本発明の植栽基盤100は地被植物50の育成場所で養生させておき、育成場所から実際の敷設場所となる緑化工事現場へ搬入するものであるので、その搬出・搬入の際に昇降が必要となる。そこで、その昇降時に柱状構造物30の懸垂治具31を利用する。
【0042】
図4は懸垂治具31の一構成例を分かりやすく示した図である。図4の例では柱状構造物30の上端にフックを受け入れる輪状の金具が取り付けられている。後述するように植栽基盤100を昇降する際にはこの輪状の金具の懸垂治具31に対してフックを引っ掛けて吊して昇降する。なお、懸垂治具31の構造は多様な構造が可能であり、輪状のものに限定はされない。
【0043】
懸垂治具31はすべての柱状構造物30に設けられていても良いが、植栽基盤100を懸垂するために必要な個所の柱状構造物30に設けられていれば良い。
【0044】
なお、図4は懸垂治具31は柱状構造物30の上面に設けた例であるが、柱状構造物30の鉄筋にしっかりと固設されておれば上面である必要はなく、側面などであっても構わない。
【0045】
柱状構造物30の上面に懸垂治具31を設けた場合、駐車場に設置した後は柱状構造物の上面に懸垂治具31があれば駐停車の際に邪魔になる。そこで、懸垂治具31を着脱式で取り外せる構造であるか、懸垂治具31を覆うような化粧板32を取り付けることが好ましい。図4(b)は懸垂治具31を着脱式で取り外せる構造を模式的に示している。例えば懸垂治具31と内部の鉄筋のそれぞれにネジが設けられており(図示せず)、両者が螺合式により着脱できる構造が挙げられる。図4(c)は化粧板を取り付けて柱状構造物30の上面に化粧板32を取り付けて覆った例である。このように化粧板32を取り付けることにより柱状構造物30の上面が平面となり、轍として使いやすくなる。
【0046】
図1に戻って説明を続ける。
土40は、上記のように外周縁部20、底面部20、柱状構造物30を形成した後、図5(a)に示すように、底面部20の上面において柱状構造物30の隙間に充填する。
【0047】
地被植物50は、図5(a)に示した基盤を地被植物50の養生場所に運び込み、図5(b)に示すように、土40の上に芝生などの地被植物50を植栽し、養生し、植栽基盤100として完成させる。
【0048】
なお、地被植物50の養生場所への基盤の運び込みに際しては、懸垂治具31をワイヤーなどに引っ掛けて持ち上げて運搬することができる。
【0049】
この地被植物50の育成・養生場所は植栽基盤100敷設する駐車場ではなく、例えば、植栽基盤100を集中的に育成・養生する農場などの育成・養生場所で良い。地被植物50は植栽した土に定着して育成・養生が完成するまでには3か月程度はかかるものであるので、建設現場となっている駐車場ではなく、あらかじめこの地被植物の育成・養生場所において地被植物を生育させておき、所定時期に駐車場建設現場に運び込んで駐車場上面に配置することにより、地被植物に覆われた駐車場を短時間に建設する。
【0050】
上記のように、地被植物50の育成・養生場所にて地被植物を植栽して完成した植栽基盤100を駐車場建設現場に運び込んで駐車場上面に敷設する。
【0051】
敷設工事手順には複数のやり方がある。
図6から図8は、植栽基盤100を駐車場予定地に敷設して完成させる工事手順を示す図である。図6が第1の工事手順を示し、図7および図8が第2の工事手順を示している。第1の工事手順は駐車場の高さを駐車場予定地の土地の高さよりも少し高くした駐車場の建設手順であり、車が縁石を乗り上げて駐車場に入るタイプに対応する。第2の工事手順は駐車場の高さを駐車場予定地の土地の高さと同じにするもので車が道路からそのまま駐車場に入れるタイプに対応する。
【0052】
まず、第1の工事手順を示す。
図6(a)に示すように、植栽基盤100を敷設する駐車場の上面の整備工事を行う。ここでは、上面は特に掘り下げることなく、その予定場所に周囲を囲むように、ブロックを組んで縁石部110を形成する。
なお駐車場の上面となる土地に対して必要があれば基礎工事も行っておいても良い。
【0053】
次に、図6(b)に示すように、植栽基盤100を運び込み、縁石部110で囲まれた駐車場予定地に載せ置いて敷設する。ここで、植栽基盤100の運搬にあたり懸垂治具31を利用し、懸垂治具31にワイヤーを引っ掛けて昇降することができる。
【0054】
なお、縁石と植栽基盤100との間に隙間がある場合、当該隙間に土40を補充し、縁石と植栽基盤100をならしておく。縁石がしっかりしたものであれば植栽基盤100は載せ置くのみで車が乗り入れするために必要な構造的強度を得ることは可能である。
【0055】
次に、第2の工事手順を示す。
まず、図7(a)に示すように、植栽基盤100を敷設する駐車場の上面の整備工事を行う。ここでは、植栽基盤100の敷設工事に向けて植栽基盤100の敷設に必要な深さ分が掘り起こす。ここで、植栽基盤100の大きさ分のみならず、周囲に形成する縁石110の幅も確保して掘り起こす。
なお駐車場の上面となる土地に対して必要があれば基礎工事も行っておいても良い。
【0056】
次に、図7(b)に示すように、植栽基盤100を敷設する駐車場に植栽基盤100を運び込む。ここで、植栽基盤100の運搬にあたり懸垂治具31を利用し、懸垂治具31にワイヤーを引っ掛けて昇降することができる。
【0057】
次に、図8に示すように、縁石部110を完成させ、必要な完成工事を行う。縁石部110の高さが、上面整備工事で土地を掘り下げた分の高さであれば、縁石部110の高さ、駐車場の高さ、周囲の道路の高さが同じとなりフラットな駐車場が建設できる。
【0058】
なお、縁石と植栽基盤100との間に隙間がある場合、当該隙間に土40を補充し、縁石と植栽基盤100をならしておく。縁石がしっかりしたものであれば植栽基盤100は載せ置くのみで車が乗り入れするために必要な構造的強度を得ることは可能である。
【0059】
次に、複数の植栽基盤100を組み合わせる工夫について述べる。
上記の例では駐車場を一つの植栽基盤で覆う基本タイプのものを説明したが、例えば、植栽基盤100を3分割したような小型の植栽基盤を用い、それらを駐車場に運び込んで並べて敷きつめることにより形成することも可能である。
【0060】
図9は、3枚の小型の植栽基盤100−1,100−2,100−3を用いて駐車場の上面に敷きつめて緑化工事する様子を模式的に示す図である。
図9に示すように、3枚の小型の植栽基盤100−1,100−2,100−3を順に並べて一つの駐車場の緑化工事が完成される。なお、植栽基盤の大きさは多様なものが可能であり、緑化対象面積に対応して植栽基盤のサイズを計算し、あらかじめ必要なサイズを必要な個数分、地被植物を養生しておけばよい。
【0061】
次に、建設現場の工事スケジュールと本発明の植栽基盤100の敷設工事のスケジュールとの関係について述べておく。
たとえば、建設現場が大規模マンションの建設現場とする。図10は大規模マンションの建設工期のスケジューリングを示す図である。図10(a)は本発明の植栽基盤100を用いた大規模マンション内の駐車場建設を行う場合のスケジュール、図10(b)は従来の大規模マンション内の駐車場建設を行う場合のスケジュールを示している。
【0062】
大規模マンションの建物部分の工期が5か月あるとする。この5か月の間、基礎工事、鉄筋敷設、コンクリート打ち、躯体工事、内装工事、仕上げ工事などの各工程があり、各工程における資材搬入、トラックの乗り入れ、足場の建設などのために周辺の土地には出入りがあり、駐車場予定地や植え込み予定地などの造作はできないのが通例である。
【0063】
そのため、図10(b)に示すように、従来の大規模マンション内の駐車場建設を行う場合は、大規模マンションの周辺の駐車場予定地や植え込み予定地の工事は、マンション本体の内装工事が終了した頃や仕上げ工事が終了した頃にようやく始まらざるを得ないのが実情である。従来工法ではこの駐車場予定地に芝生などの地被植物を植え、その後育成・養生することとなる。なお、芝生の場合の育成・養生期間は3か月程度であるため、結局、駐車場が完全に使用可能となるには工事が始まってから合計8か月経過後となってしまう。
【0064】
一方、図10(a)に示すように、本発明の植栽基盤100を用いた駐車場建設を行う場合は、マンション建設工事現場とは異なる地被植物の育成・養生場所、例えば、郊外の地被植物育成・養生の専用農場のような場所で集中的に育成・養生を進めることができる。そのため、マンション建設工事の進捗と並行して当該地被植物育成・養生の専用農場のような場所で本発明の植栽基盤100を育成・養生させておき、大規模マンション本体の内装工事が終了した頃や仕上げ工事が終了して駐車場予定地に対する造作が可能となるタイミングに合わせて、地被植物育成・養生の専用農場から育成・養生済みの植栽基盤100を搬入し、駐車場予定地の上面に敷設工事を行う。このように3か月の地被植物の育成・養生期間を逆算して、植栽基盤100の製作を並行して行っておけば、駐車場予定地に対する造作が可能となるタイミングですみやかに短期間に地被植物の育成・養生が完了した駐車場が完成する。
【0065】
以上、本発明の駐車場の植栽基盤によれば、一般住宅やマンションや商業ビルの本体工事期間に合わせて、建設工事現場とは別の地被植物育成・養生農場などの場所で、本発明の駐車場用の植栽基盤の土の上面に芝生などの地被植物を定着するまで育成・養生し、マンションや商業ビルの本体工事期間の終了に合わせて建設現場の駐車場に運び込み、駐車場上面に敷設し、地被植物に覆われた緑化駐車場を短時間に建設することができる。
【0066】
なお、上記説明は一般住宅やマンションや商業ビルの本体工事期間に合わせて併設される駐車場の緑化を中心に説明したが、既に駐車場として稼働している既存の駐車場であっても本発明の植栽基盤100を用いた緑化工法は有効である。
【0067】
図11は、既に稼働済みの駐車場について、本発明の植栽基盤100を用いて緑化工事を行う場合のスケジュールを模式的に示した図である。
一般住宅やマンションや商業ビルなどにおいて既に稼働している駐車場を緑化する場合、短期間に緑化工事が終了するのみならず、短期間に使用可能な状態にならなければ、緑化工事に逡巡してしまい緑化工事が行えない。図11(a)に示すように、従来技術による緑化工法では3か月程度の地被植物の養生期間が必要となってしまい、この3か月程度の間、駐車場として使用不能となってしまう。
【0068】
一方、本発明の植栽基盤100を用いた緑化工法によれば、図11(b)に示すように、短期間(例えば数日程度)の緑化工事期間が必要なだけで、ほぼ切れ目なく駐車場としての使用を可能としつつ、コンクリートやアスファルトの駐車場から地被植物に覆われた駐車場へと切り替えることが可能となる。
【0069】
以上、本発明の駐車場の植栽基盤によれば、一般住宅やマンションや商業ビルで既に稼働中の駐車場とは別の地被植物育成・養生農場などの場所で、本発明の駐車場用の植栽基盤の土の上面に芝生などの地被植物を定着するまで育成・養生しておき、緑化工事に合わせて駐車場に運び込み、駐車場上面に敷設するのみで短期間(例えば数日程度)に地被植物に覆われた緑化駐車場を建設することができる。
【0070】
次に、植栽基盤100のメンテナンスと、植栽基盤のリサイクル養生について述べる。
敷設当初は養生済みの植栽基盤100により良好な地被植物で覆われているが、駐車場としての使用や天候などにより植栽基盤100の地被植物が傷んだり枯れたりすることがある。このような事態に対処するため、植栽基盤100のメンテナンスを行う。植栽基盤100のメンテナンスとして、植栽基盤100の定期入れ替えや、植栽基盤100の地被植物が傷んだり枯れたりした場合の修復目的の入れ替えがある。本発明の植栽基盤100の場合、あらかじめ地被植物の専用の養生場所において、入れ替え用の植栽基盤100に地被植物を養生しておき、入れ替え時点で緑化場所に運び込み、敷設していた植栽基盤100と入れ替えれば良い。入れ替え工事自体は古い植栽基盤100の吊り上げ、新しい植栽基盤100の敷設だけで良いので短時間に完了することができる。最初の緑化工事では駐車場予定地での縁石部110の形成が必要であるが、メンテナンスでの入れ替えの際には縁石部110既に存在しているのでさらに簡単に工事を行うことができる。
【0071】
図12は、本発明の植栽基盤100を用いた緑化工事手法におけるメンテナンス(図12(b))と、従来の緑化工事手法におけるメンテナンス(図12(a))を模式的に示した図である。
従来の緑化工法では、図12(a)に示すように、緑化場所で養生するため養生期間として3か月程度、駐車場が使用できなくなることとなってしまう。
一方、本発明の植栽基盤を用いた緑化工法では、図12(b)に示すように、本発明の植栽基盤100を用いた緑化工事手法では入れ替えは短期間(例えば数日程度)で完了するため、古い植栽基盤100を新しい植栽基盤100に入れ替えつつ、実質上切れ目なく常に良好な地被植物を維持し続けることができる。
【0072】
次に、本発明の植栽基盤100のリサイクル養生について述べる。敷設済みの植栽基盤100を上記メンテナンスにより取り替えて回収した後、回収した植栽基盤100を廃棄する必要はなく、積極的に再生することが可能である。回収した植栽基盤100を再び地被植物50の育成・養生の専用農場等に運び込んで養生を行えば、傷んだり枯れたりした地被植物50が元気に復活し、再度養生が完了した植栽基盤100を得ることができる。もし、地被植物50が完全に枯れてしまうなど養生では復活しない状態になっている場合は、上面の地被植物50を剥がして新たな地被植物50を植栽して養生すれば、新たに養生済みの植栽基盤100を得ることができる。このように、本発明の植栽基盤100はリサイクル利用が可能である。
【実施例2】
【0073】
実施例2の緑化工事用の植栽基盤は、屋上緑化工事や庭園の緑化工事など轍等の構造物が不要で比較的大きな面積の芝生等の地被植物を短期間に形成する緑化工事に用いるものを説明する。
【0074】
図13は、植栽基盤100aを構成する植栽基盤100aの基本構成を模式的に示した図である。図13(a)は平面図、図13(b)は底面図、図13(c)は側面図、図13(d)は植栽基盤100aの内部が分かりやすいように断面図となっている。
【0075】
図13に示すように、本発明の実施例2にかかる植栽基盤100aは、実施例1と同様、底面部20、柱状構造物30c、土40、当該土40の上に植栽した地被植物50を備えているが、実施例2の植栽基盤の柱状構造物30cは上下に分割できる構造体となっており、上部構造30c1と下部構造30c2に分割することができる。例えば、上部構造30c1と下部構造30c2とが螺合し合って接続されているものとすれば上部構造30c1を回転させて螺合を解けば上下に分割することができる。なお、懸垂治具31は上部構造30c1に設けられている。
【0076】
このように柱状構造物30cが上下に分割できる構造体であるので、懸垂治具31を用いて植栽基盤100aを屋上や庭園等の緑化予定地に搬入した後、柱状構造物30cを上下に分割して上部構造30c1を取り外すことにより、植栽基盤100aの上面から構造物を取り除くことができる。
【0077】
上下に分割できる柱状構造体30cを用いて植栽基盤の全面に地被植物を養生する手順について述べる。
図14(a)に示すように屋上や庭園等の緑化予定地に設けられている窪みに対して、図14(b)に示すように地被植物50を上面に育成・養生済みの実施例2にかかる植栽基盤100aを運び込む。
【0078】
その後、図14(c)に示すように柱状構造物30cを上下に分割して上部構造30c1を取り外すことにより、植栽基盤100aの上面から上部構造30c1を取り除く。上部構造30c1を取り除いた後に土40を穴埋めしておけば全面が土となる。
【0079】
地被植物50は定着するとその後も育成を続け横方向にも繁殖する。そのうちに図14(d)に示すように上部構造30c1を取り除いた部分も地被植物50により覆われるようになる。
【0080】
大面積の屋上や庭園等の緑化予定地を緑化する工法について述べる。
まず、図15(a)に示すように屋上や庭園等の緑化予定地に窪みを掘り下げて用意する。
【0081】
次に、図15(b)に示すように、地被植物50を上面に育成・養生済みの実施例2にかかる植栽基盤100aを運び込み、緑化予定地に窪みに敷きつめて行く。
【0082】
その後、柱状構造物30cを上下に分割して上部構造30c1を取り外して上部構造30c1を取り除き、上部構造30c1を取り除いた後に土40を穴埋めしておく。この時点で大面積の緑化工事そのものは完了している。
なお、その後、地被植物の繁殖が継続し、上部構造30c1を取り除いた部分も地被植物50により覆われる。
【0083】
以上、本発明の駐車場用の植栽基盤における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の駐車場用の植栽基盤は、マンションや商業ビルの駐車場予定地に対する地被植物が植栽された緑化駐車場に対して広く適用される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施例1にかかる駐車場用の植栽基盤100の基本構成を模式的に示した図
【図2】植栽基盤100を構成する植栽基盤骨組10の基本構成を模式的に示した図
【図3】底面部20の構造を模式的に示す図
【図4】懸垂治具31の構造を模式的に示した図
【図5】土40の充填と地被植物の植栽の様子を模式的に示した図
【図6】植栽基盤100を駐車場予定地に敷設して完成させる第1の工事手順を示す図(その1)
【図7】植栽基盤100を駐車場予定地に敷設して完成させる第1の工事手順を示す図(その2)
【図8】植栽基盤100を駐車場予定地に敷設して完成させる第2の工事手順を示す図
【図9】3枚の小型の植栽基盤100−1,100−2,100−3を用いて駐車場の上面に敷きつめて緑化工事する様子を模式的に示す図
【図10】大規模マンションの建設工期のスケジューリングを示す図
【図11】本発明の植栽基盤100を用いた緑化工事手法におけるメンテナンスと、従来の緑化工事手法におけるメンテナンスを模式的に示した図
【図12】既に稼働済みの駐車場について、本発明の植栽基盤100を用いて緑化工事を行う場合のスケジュールを模式的に示した図
【図13】植栽基盤100aを構成する植栽基盤100aの基本構成を模式的に示した図
【図14】植栽基盤100aを駐車場予定地へ搬入して駐車場上面に敷設する様子を模式的に断面において示す図
【図15】大面積の緑化予定地に対して、植栽基盤100aを敷きつめて緑化する工法を模式的に示す図
【符号の説明】
【0086】
10 植栽基盤骨組
11 底面骨組
12 柱状骨組
20 底面部
30,30a,30b 柱状構造物
30c1 柱状構造物の上部構造
30c2 柱状構造物の下部構造
31 懸垂治具
40 土
50 地被植物
100,100a 駐車場用の植栽基盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑化工事現場とは異なる育成場所においてあらかじめその上面に地被植物を生育させておき、所定時期に前記緑化工事現場に運び込んで敷設し、前記緑化工事現場における前記緑化工事を短期間で完了させる緑化工事用の植栽基盤であって、
水溜め構造と水はけ構造を備えた底面部と、
前記底面部に対して立設した複数の柱状構造の柱状構造物と、
前記底面部の上面において前記柱状構造物同士の隙間に充填した土と、
当該土の上に植栽した前記地被植物とを備えた緑化工事用の植栽基盤。
【請求項2】
前記柱状構造物が、前記植栽基盤を吊り下げるための懸垂治具を備え、前記地被植物の前記育成場所からの搬出の際および前記緑化工事現場への搬入の際の昇降時に前記柱状構造物の懸垂治具を利用することを特徴とする請求項1に記載の緑化工事用の植栽基盤。
【請求項3】
前記緑化工事現場が駐車場であり、前記柱状構造物が、前記駐車場に入出庫する車の車輪が通過する轍部分に立設されており、轍補強構造物としての機能を兼ね備えた請求項1または2に記載の緑化工事用の植栽基盤。
【請求項4】
前記緑化工事現場が駐車場であり、前記駐車場に入庫した車のエンジンが位置する直下付近の部分に前記柱状構造物の一部を配置し、前記エンジンの熱の影響を周囲の前記地被植物への影響を防止せしめた構造としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の緑化工事用の植栽基盤。
【請求項5】
前記柱状構造物が上下に分割できる構造体となっており、前記柱状構造物の前記懸垂治具を用いて前記緑化工事現場に搬入後、前記柱状構造物を分割して上側の柱状構造部分を取り外すことができる構造とした、請求項1から4のいずれか1項に記載の緑化工事用の植栽基盤。
【請求項6】
緑化場所を地被植物で覆う緑化工事を短期間に完了する緑化工法であって、
水溜め構造と水はけ構造を備えた底面部と、前記底面部に対して立設した複数の柱状構造物と、前記底面部の上面において前記柱状構造物同士の隙間に充填した土と、当該土の上に植栽した前記地被植物とを備えた緑化工事用の植栽基盤を用いて、前記植栽基盤を前記緑化工事現場とは異なる育成場所においてあらかじめその上面に前記地被植物を生育させておき、前記緑化工事の予定時期に前記植栽基盤を前記緑化場所に運び込んで上面に敷設することにより、前記緑化工事現場における前記緑化工事を短期間で完了させる緑化工事用の植栽基盤を用いた緑化工法。
【請求項7】
前記柱状構造物が、前記植栽基盤を吊り下げるための懸垂治具を備え、前記地被植物の前記育成場所からの搬出の際および前記緑化場所への搬入の際の昇降時に前記柱状構造物の懸垂治具を利用することにより作業効率を向上させることを特徴とする請求項6に記載の緑化工事用の植栽基盤を用いた緑化工法。
【請求項8】
前記植栽基盤を複数個並べることにより緑化場所の緑化工事を行う請求項6または7に記載の緑化工事用の植栽基盤を用いた緑化工法。
【請求項9】
前記緑化工事現場とは異なる育成場所において多数の前記植栽基盤を用いてあらかじめその上面に前記地被植物を生育・養生させておき、前記緑化工事により敷設済みの前記植栽基盤のメンテナンスが必要となった時点に、前記養生済みの植栽基盤と入れ替えることにより、前記緑化場所に常に前記地被植物による緑化状態を維持する請求項6から8のいずれか1項に記載の緑化工事用の植栽基盤を用いた緑化工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−115183(P2010−115183A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292870(P2008−292870)
【出願日】平成20年11月16日(2008.11.16)
【出願人】(504237142)株式会社 池内工務店 (1)
【Fターム(参考)】