説明

線材支持具

【課題】本発明は、一種類の線材支持具で線材端部の支持も線材の中間保持もできて、支持する線材を多方向に自由に設けることができる線材支持具を提供する。
【解決手段】取付面1に固定するベース体2に第一保持体3を重合し、第一保持体3に第二保持体4を重合し、第一保持体3及び第二保持体4のいずれか一方は線材5の一部を収容して保持する凹溝6を設け、他方は線材5の一部を収容して保持する凹溝6を設けるか若しくは線材5の端部を固定する端部固定部8を設けた線材支持具9であって、ベース体2に設けた載置部10の中央部にネジ孔11を設け、第一保持体3の中央部に挿通孔14を設け、第一保持体3の外周位置に重合用ネジ孔16を設け、第二保持体4に重合用挿通孔18を設け、第一保持体3若しくは第二保持体4に設けた凹溝6に収容される線材5が第一保持体3若しくは第二保持体4の中央部を通るように凹溝6を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合交差する線材から構成される線材網において各線材を支持する線材支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、枠にワイヤなどの線材を格子状に組んでツタなどの植物を這わせ垣根を形成し、それによる断熱効果や紫外線防護効果を狙って建物の壁面に前記垣根を設けることが注目されている。この際、格子状に張られた線材網の緩みを防止する為、交差点の位置を保持する小型軽量な支持部材が使われている。この場合線材の端部を保持するために例えば構造物の取付面に金属製の枠体等を取付けてこの枠体で線材を支えることが必要であった。しかしながら、大規模にこのように植物を這わせると線材や支持部材や枠体に相当な荷重がかかることになり、線材や支持部材や枠体、ひいては建物の壁面に局所的に無理な力がかかり易いことになる。また上述したように線材の端部は枠体で保持することが多く見た目がよくないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述したような問題を解決するためになされたもので、一種類の線材支持具で線材端部の支持も線材の中間保持もできて、また、支持する線材の方向も多方向に自由に選ぶことができる線材支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0005】
取付面1に固定するベース体2に第一保持体3を重合し、この第一保持体3に第二保持体4を重合し、前記第一保持体3及び前記第二保持体4のいずれか一方は線材5の一部を収容して保持する凹溝6を設け、他方は線材5の一部を収容して保持する凹溝6を設けるか若しくは線材5の端部を固定する端部固定部8を設けて、前記第一保持体3及び前記第二保持体4に保持される複数の線材5を支持するように構成した線材支持具9であって、前記ベース体2に前記第一保持体3を重合状態で回動調整可能に載置する載置部10を設け、この載置部10の中央部にネジ孔11を設けるか若しくはボルト12を立設し、前記ネジ孔11に螺着するネジ体13を挿通する若しくは前記ボルト12が挿通する挿通孔14を前記第一保持体3の中央部に設け、前記載置部10に前記第一保持体3を重合して載置向きを回動調整した後、前記ネジ孔11に前記ネジ体13を螺合する、又は前記ボルト12にナット15を螺着することにより、前記第一保持体3を前記載置部10に固定し得るように構成し、前記第一保持体3の前記挿通孔14の外周位置に前記第二保持体4を固定する重合用ネジ孔16を設け、前記第二保持体4に前記第一保持体3の前記重合用ネジ孔16に螺着される重合用ネジ体17が挿通する重合用挿通孔18を設け、この重合用挿通孔18を、前記第二保持体4と前記第一保持体3とを重合して所定方向に回動して向きを回動調整した際、前記重合用挿通孔18と前記重合用ネジ孔16とが連通するように構成し、この前記重合用ネジ孔16に前記重合用ネジ体17を前記第二保持体4の前記重合用挿通孔18に挿通し前記載置部10に固定された前記第一保持体3に螺着して固定し得るように構成し、前記第一保持体3若しくは前記第二保持体4に設けた凹溝6に収容される前記線材5が前記第一保持体3若しくは前記第二保持体4の中央部を通るように前記第一保持体3若しくは前記第二保持体4に設けた凹溝6を構成したことを特徴とする線材支持具に係るものである。
【0006】
また、前記第一保持体3を前記ベース体2の前記載置部10に重合して、前記第一保持体3の挿通孔14に前記ネジ体13を挿通して螺着した際、前記ネジ体13の頭部若しくは前記ボルト12の先端部又は前記ボルト12に螺着するナット15が収容される凹設部19を前記第一保持体3の上面部20に設け、前記ネジ体13の頭部の位置若しくは前記ボルト12の先端部位置又は前記ボルト12に螺着するナット15の位置が前記凹設部19内に収容されて、前記第一保持体3の前記上面部20より突出しないように構成したことを特徴とする請求項1項に記載の線材支持具に係るものである。
【0007】
また、前記第二保持体4の下面に前記第一保持体3に形成される前記凹設部19に係合する凸部21を設け、この前記第二保持体4の凸部21が第一保持体3に形成された前記凹設部19との係合部を形成して、前記凹設部19が前記第二保持体4を前記第一保持体3に重合して、回動する際の回動ガイドになるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の線材支持具に係るものである。
【0008】
また、前記第二保持体4の上面若しくは下面いずれか一方の面において前記凸部21を設け、前記第二保持体4の他方の面に前記一方の面の前記凸部21と係合し得る凹部22を設け、前記第二保持体4同士を重合する際、前記一方の第二保持体4に設けた凹部22を、下段となる他方の前記第二保持体4の上面、若しくは上段となる他方の前記第二保持体4の下面のいずれか一方に設けられた前記凸部21と凹凸係合するように構成して、一方の前記第二保持体4に他方の前記第二保持体4を前記凹凸係合させて重合して回動する際の回動ガイドとなるように前記第二保持体4の凹部22若しくは凸部21を構成したことを特徴とする請求項1〜3に記載の線材支持具に係るものである。
【0009】
また、前記ベース体2の前記載置部10の中央部に凹部22若しくは凸部21を設け、前記第一保持体3の下面の中央部に前記載置部10の凹部22若しくは凸部21と凹凸係合する凸部21若しくは凹部22を設けて、前記載置部10と前記第一保持体3とを重合して前記凸部21と前記凹部22とを凹凸係合した際、この凹凸係合部の前記凹部22若しくは前記凸部21が前記第一保持体3の前記載置部10上での回動ガイドとなるように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の線材支持具に係るものである。
【0010】
また、前記ネジ体13が螺着される前記ネジ孔11の底部に突起体23を設けて、前記ネジ体13を前記第一保持体3に挿通して前記ベース体2に螺着した際に前記ベース体2と前記第一保持体3とが締め係り固定されずに回動自在となるように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の線材支持具に係るものである。
【0011】
また、前記第一保持体3若しくは前記第二保持体4のいずれか一方に設けられて、線材5の端部7を保持する端部固定部8は、前記第一保持体3及び前記第二保持体4が前記載置部10上に載置された際にこの載置部10の載置面に平行に設けられ、前記端部固定部8は、前記端部固定部8に保持される前記線材5の端部の軸の延長線が前記第一保持体3若しくは前記第二保持体4の中央部を通る向きで線材5の端部を保持するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の線材支持具に係るものである。
【0012】
また、前記第一保持体3の前記重合用ネジ孔16は、前記第一保持体3の中央部に設けた前記挿通孔14を挟んで互いに反対側の位置になるように一対設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の線材支持具に係るものである。
【0013】
また、前記第一保持体3の前記重合用ネジ孔16を、前記第一保持体3の中央部に設けた前記挿通孔14を挟んで互いに反対側の位置になるように二対以上設けて、複数の前記第二保持体4を重合し得るようにしたことを特徴とする請求項8に記載の線材支持具に係るものである。
【0014】
また、前記第二保持体4に設けた前記重合用挿通孔18は湾曲状長孔であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の線材支持具に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、線材を支持する際、第一保持体に第二保持体を重合して複数線材を支持する線材支持具を構成することができるようになり、複数の線材端部を固定したり、或いは線材の中間保持もでき、また、第一保持体及び第二保持体の方向を自在に変えられるので保持する線材の方向若しくは支持する線材の方向を自由に選ぶことができる線材支持具を提供できることになる。また、線材の端部を保持できるので、特別な取り付け部材は必要がない。更に、線材の中間などの途中を保持して構造物の取付面に支持することができるから、取付面にかかる力を平均的に小さくすることができ、構造物への負荷が軽減できることになる。更にまた、第一保持体若しくは第二保持体に設ける凹溝はこの溝に収容される線材が中央部を通るように設けたので、第一保持体及び第二保持体を製造しやすく、また、ベース体に重合して取付面に取り付ける際の作業性がよく、また、線材を取り付けた際のバランスがよくて見た目がよいことになる。
【0016】
更に、請求項2〜10記載の発明においては、上記の作用を一層確実に行えることになる線材支持具を提供することになる。
【0017】
特に、請求項2記載の発明においては、第一保持体とベース体とをネジ体で螺着した際、ネジ体の頭部若しくはボルト若しくはそのボルトに螺着するナットが第一保持体の中央部に凹んで収容されることになるので、この凹みにより形成される凹設部を第二保持体との嵌合部として利用でき、また、第一保持体の上面部に設けた凹溝に収容された線材をこの凹設部を経由して通すことができることになるので、第一保持体においても線材の一部保持を行うことができることになる。
【0018】
また、請求項3〜5記載の発明においては、ベース体の載置部と第一保持体との係合部及び第一保持体と第二保持体との係合部、更に第二保持体と第二保持体との係合部に回動自在な凹凸係合部を設けたから、ベース体に第一保持体を重合した際、及び、第一保持体に第二保持体を重合した際、更に、第二保持体同士を重合した際、ベース体の載置部及び第一保持体及び第二保持体の各々に設けた前記凹部、凸部は、ベース体に対する第一保持体の、若しくは第一保持体に対する第二保持体の、更に第二保持体同士の位置決めになると共に回動のガイドとなる。従って、第一保持体、第二保持体の各々が夫々の回動位置に自ずと重合されることになり、夫々の回動操作が容易になる。
【0019】
また、請求項6記載の発明においては、第一保持体を載置部に重合して螺着した際にも、第一保持体と載置部とが回動自在になるので、線材が保持された第一保持体及び第二保持体がベース体の載置部に対して回動動作することができることになり、線材を固定する端子固定部や線材そのものへの風や振動に伴う種々の外力等のストレスを吸収して低減することが可能になる。
【0020】
また、請求項7記載の発明においては、線材の端部を保持する端部固定部を第一保持体若しくは第二保持体の中心部を通るようにしたから、各保持体を製造しやすくなり、また、取り付け作業性も上がって、更に、バランスよく取り付けできることになる。
【0021】
また、請求項8記載の発明においては、第二保持体を前記一対のネジ孔により第一保持体に取り付けた際に線材、若しくは端子固定部の延長線を左右に挟むことになるから、バランスのよい状態で取り付けすることができることになる。
【0022】
また、請求項9記載の発明においては、第一保持体に複数の第二保持体を重合する際、各々の保持体の方向が重ならないように各第二保持体を所望の方向に向けて配置することができるようになる。
【0023】
また、請求項10記載の発明においては、第一保持体に複数の第二保持体を重合する際、第二保持体の重合用挿通孔と連通する第一保持体の一対の前記重合用ネジ孔を有することができて、広い角度範囲を連続して調整することができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0025】
本発明は、ベース体2を取付面1に取り付けてベース体2の載置部10の上に第一保持体3を載置して重合して第一保持体3を回動すると、ベース体2の取り付け方向によらずに、第一保持体3の向きを所望の方向に向けることができることになり、この所望の方向に第一保持体3を回動させて前記載置部10、若しくはベース体2に固定できることになる。次に、この第一保持体3の上に第二保持体4を重合して別の所望の方向にこの第二保持体4を回動して自在に方向を決めることができ、また、線材5の端部の保持も線材5の中間部の保持もできて、自在に線材網を形成できることになる。
【0026】
即ち、このベース体2の載置部10に第一保持体3を重合して第一保持体3に設けた挿通孔14にネジ体13若しくは載置部10に設けたボルト12を挿通すると、第一保持体3を載置部10に対して自在に回動することができることになるから、ベース体2の取り付け方向とは関係なく、第一保持体3の向きを決めることができて、第一保持体3を自由に回動して前記線材5の方向に位置を決めたうえでネジ体13を螺着するか、ボルト12にナット15を螺着することで第一保持体3を載置部10に固定することができることになる。
【0027】
次に、第二保持体4を第一保持体3に重合して、第一保持体3の方向とは別な方向に第二保持体4を回動すると、第一保持体3に設けてある重合用ネジ孔16のなかに、第二保持体4が所望の方向に向いた状態で前記第二保持体4の重合用挿通孔18と連通する重合用ネジ孔16が現れて、この重合用ネジ孔16を使って位置決めできるようになるから、この重合用挿通孔18とこれに連通する重合用ネジ孔16とを重合用ネジ体17で螺着固定すれば、第一保持体3に第二保持体4を重合して線材支持具9を構成することができることになる。従って、一つの線材支持具で複数の線材5の端部の保持も線材5の中間の保持もできて、また、前記第一保持体3及び第二保持体4の方向を所定方向に向けられるので支持する線材5の方向も自由に選ぶことができる線材支持具を提供できることになる。
【0028】
また、第一保持体3若しくは第二保持体4に線材5を収容する凹溝に線材5を通すと、中央部を通ることになって、ベース体2に重合して取付面1に取り付けた際に線材5が線材支持具9の中央部を通るからバランスがよくて見た目がよいことになると共に、第一保持体3及び第二保持体4の製造がしやすいことになる。
【0029】
更に、線材の重合した重合交差部でも単に線材重合部同士を保持するだけで無く、このような線材の重合部分も構造物の取付面で支持することができて、植栽や線材などによる荷重を局所集中することなく分散することができるようになるから、垣根の規模が大きい場合や荷重が大きい場合には、特に施工設計及び施工が容易になる。
【実施例】
【0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例は、図1に示すように、線材5を沿わせる壁面などを取付面1として、この取付面1に対してベース体2の分だけ突出させて、このベース体2に第一及び第二の各保持体を取り付けた状態で予め所定の長さにして加工を施した線材5を架設する実施例であって、例えば、線材5はワイヤロープであり、壁面1に架設して建物の壁面1を緑化を図る場合の実施例である。
【0032】
本実施例は、図2に示すように取付面1にアンカーボルト25を利用して突設状態に螺着固定するベース体2に円盤状の載置部10を設け、この載置部10とは別体に第一保持体3を設ける構成としている。この第一保持体3を前記載置部10に載置し、前記第一保持体3を所定の方向に回動して固定した後、第二保持体4を前記第一保持体3に重合して所定の方向に向けて回動固定することで、線材5を固定する構成としている。
【0033】
尚、この第一保持体3及び第二保持体4の各々には、線材の保持方法の違いにより、線材5の一部を収容して保持する凹溝6を有するタイプと、線材5の端部を固定した端子金具7を螺着する端子固定部8を有するタイプとがある。また、第一保持体3若しくは第二保持体4に設けられる、線材5の一部を収容して保持する凹溝6は、架設される線材5の途中部分を収容するU字状の凹溝6であり、固定端子部8は、予め所要の長さに裁断した線材5の端部を固定した端子金具7を螺着する金具である。
【0034】
図1に示されている実施例では、線材支持具9は、第一保持体3及び第二保持体4のタイプの違いによりA,B,Cの三タイプに分類できる。
【0035】
まず、図1のタイプAの線材保持体9について説明する。
【0036】
図3は、図1に示すタイプAの線材保持体9の構成であり、第一保持体3により端子金具7による線材5の端部保持を行い、第二保持体4により一本の線材5の一部を収容して保持を行う場合の線材支持具9の構成である。
【0037】
この図3の構成では、まず図4に示すように取付面1に固定したベース体2において、前記ベース体2に前記第一保持体3を重合状態で回動調整可能に載置する円盤状の載置部10を設け、この載置部10の中央部にネジ孔11を設け、このネジ孔11の中心軸が回動中心となるようにしている。更に、第一保持体3の中央部にこのネジ孔11に螺着するネジ体13が挿通する挿通孔14を設け、前記載置部10に前記第一保持体3を重合して前記ネジ孔11に前記ネジ体13を螺合して仮止めした後、前記載置部10に対する前記第一保持体3の載置向きを回動調整した後、前記第一保持体3を前記載置部10に固定するように構成している。
【0038】
従って、図5に示すように、取付面1に固定したベース体2において、このベース体2の載置部10に第一保持体3を重合して、ネジ体13により前記載置部10と第一保持体3とを螺着して仮止めを行い、架設する線材5の方向に第一保持体3の端子固定部8を向けてからネジ体13を螺着すると、第一保持体3を所定方向に向かせてベース体2の載置部10に固定することができることになる。このような状態において、予め所定の長さに裁断した線材5の端部を固定した端子金具7を前記第一保持体3の端子固定部8に螺着する。
【0039】
また、ベース体2の載置部10の中央部に凹部22を設け、第一保持体3の下面の中央部に載置部10の凹部22と凹凸係合する凸部21を設けて、載置部10と第一保持体3とを重合して凸部21と前記凹部22とによる凹凸係合した際、この凹凸係合部が第一保持体3の載置部10上での回動ガイドとなるように構成している。
【0040】
更に、第一保持体3をベース体2の載置部10と重合して、第一保持体3の挿通孔14にネジ体13を挿通して螺着した際、ネジ体13の頭部が収容される凹設部19を第一保持体3の上面部20に設け、ネジ体13の頭部の位置が前記凹設部19内に収容されて、第一保持体3の前記上面部20より突出しないように構成している。従って、第一保持体3をベース体2にネジ体13で固定した際に凹設部19が設けられることになるので、第二保持体4を第一保持体3に重合して回動する際、第一保持体3の凹設部19部分を回動ガイドとすることができることになる。また、第一保持体3に線材5の一部を収容して保持する凹溝6を設ける際、前記第一保持体3の中央部に形成される前記凹設部19に線材5を通せることになるから、線材5の一部をこの凹溝6に収容して保持ことができることになる。
【0041】
次に、この例では、第二保持体で線材5の一部の保持を行うため、図7に示すように第二保持体4に線材5の一部が収容される凹溝6を設け、この凹溝6に収容される線材5がこの第二保持体4の中央部を通るように前記第二保持体4に凹溝6を構成している。
【0042】
また、図8はベース体2の載置部10に第一保持体3を重合して、ネジ体13を第一保持体3の中央に設けた挿通孔14に挿通して載置部10のネジ孔11に螺着した状態を示し、前記第一保持体3の挿通孔14の外周位置に第二保持体4を固定する重合用ネジ孔16を二対設けると共に、図9に示すように第二保持体4の凹溝6の線材5の一部を収容して第一保持体3に重合した際、第二保持体4に第一保持体3の重合用ネジ孔16に螺着される重合用ネジ体17が挿通する重合用挿通孔18を湾曲状長孔形状に設け、この重合用挿通孔18を、第二保持体4と第一保持体3とを重合して所定方向に回動して向きを回動調整した際、重合用挿通孔18と重合用ネジ孔16とが連通するように構成している。
【0043】
図5は、重合用ネジ体17を挿通して係止するカバー体24を前記第二保持体4に重合し、重合用ネジ孔16に重合用ネジ体17をカバー体24の止孔26と第二保持体4の重合用挿通孔18とに挿通し載置部10に固定された第一保持体3に螺着して固定する構成を示している。
【0044】
また、図6に示すように、第一保持体3に設けた線材5の端部7を保持する端部固定部8は、第一保持体3が載置部10上に載置された際にこの載置部10の載置面、従って取付面1に平行になるように設けられ、端部固定部8は、端部固定部8に保持される線材5の端部の軸の延長線が第一保持体3の中央部を通る向きで線材5の端部を保持するように構成している。
【0045】
更に、図7に示すように、第二保持体4に設けた凹溝6に収容される線材5が第二保持体4の中央部を通るように第二保持体4に設けた凹溝6を構成している。
【0046】
また更に、例えば、図10に示すように、ネジ体13が螺着されるネジ孔11の底部に突起体23を設けて、ネジ体13を第一保持体3に挿通してベース体2に螺着した際にベース体2と第一保持体3とが締め係り固定されずに回動自在となるような長さのネジ体にすると、第二保持体4がネジ止めされた第一保持体3がベース体2の載置部10に対して回動できるので、線材5が張設された状態で風や種々の外力が線材5を固定する端子固定部8や線材5そのものへのストレスを吸収して低減することが可能になる。
【0047】
次に図1のタイプBの線材保持体9について説明する。
【0048】
図11は、図1に示すタイプBの線材保持体9の構成であり、線材5の重合部を保持する線材支持具9の構成である。
【0049】
この場合、第一保持体3及び第二保持体4の各々は線材5の一部を収容するU字状の凹溝6を有し、線材5の一部は、この第一保持体3及び第二保持体4の各々の前記凹溝6に収容される。この構成は、前記したタイプAの構成において端子固定部8を有する第一保持体3を、線材5の一部を収容する凹溝6を有する保持体に変更したものに相当する。
【0050】
このようにして線材5の重合部を保持して壁面などに取り付けることができるため、外側に枠体を設け、この枠体に取付金具を設けた場合のように局所的に集中して荷重がかかることを低減できて、壁面に対する荷重負荷の分散に役に立つことになる。
【0051】
次に、図1のタイプCの線材保持体9について説明する。
【0052】
図12は、図1に示すタイプCの線材保持体9の構成であり、線材5の端部二個所を保持する線材支持具9の構成である。
【0053】
この場合、線材5の端部は、第一保持体3及び第二保持体4の各々が端部固定部8を有している。この構成は、タイプAの構成における第二保持体4を、線材5を収容する凹溝6を有する保持体から端子固定部8を有する保持体に換えた場合に相当する。
【0054】
従って、ベース体2を取付面1に取り付けて第一保持体3をベース体2に取り付けるまでは全く同一構成である。
【0055】
この場合、第二保持体4を第一保持体3に重合するために、第二保持体4の下面に第一保持体3に形成される凹設部19に係合する凸部21を設け、この第二保持体4の凸部21が第一保持体3に形成された凹設部19との係合部を形成して、この係合部が第二保持体4を第一保持体3に重合して、回動する際の回動ガイドになるように構成している。
【0056】
従って、第二保持体4を第一保持体3に重合する際に、回動位置に自ずと重合されることになり、取り扱いが容易になる。
【0057】
また、図13に、四本の線材5の各端部を一個の線材支持具9で支持する別例を示す。この場合、図12における第二保持体4に更に二個端子固定部8を有する保持体を追加、重合したものである。
【0058】
この様に第二保持体4を複数重合する際の作業を容易にするため、第二保持体4の上面若しくは下面いずれか一方の面において凸部21を設け、第二保持体4の他方の面に一方の面の凸部21と係合し得る凹部22を設け、下段の第二保持体4の上面に設けた凹部22は、上段の第二保持体4の下面に設けた凸部21と凹凸係合するように構成して、一方の第二保持体4に他方の第二保持体4を凹凸係合させて重合して回動する際の回動ガイドとなるように構成している。
【0059】
以上のようにして、本実施例では、一種類のベース体を使って線材の保持方法によって保持体の種類を変えて壁面に取り付ければよいから、一種類の線材支持具で線材端部の支持も線材の中間保持もできて、また、支持する線材の方向も多方向に自由に選ぶことができる線材支持具を提供することができることになり、従って、本実施例の線材支持具によって例えば壁面緑化を行う場合には、構造物の取付面を広く使って支持することができることになるから、植栽や線材などによる荷重を局所的に集中することなく分散することができるから、特に垣根の規模が大きい場合や荷重が大きい場合には、施工設計及び施工が容易に行うことができることになる。
【0060】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施例の説明斜視図である。
【図2】本実施例のベース体の取付例を示す説明斜視図である。
【図3】本実施例に係るタイプAの線材支持具の使用状態を示す説明斜視図である。
【図4】実施例に係るタイプAの線材支持具の第一保持体の取付例を示す説明斜視図である。
【図5】本実施例に係るタイプAの線材支持具の第二保持体の取付例を示す説明斜視図である。
【図6】本実施例に係る第一保持体の例を示す説明斜視図である。
【図7】本実施例に係る第二保持体の例を示す説明斜視図である。
【図8】本実施例に係るタイプAの線材支持具の第一保持体の上面部を示す説明斜視図である。
【図9】本実施例に係るタイプAの線材支持具の第二保持体の重合状況を示す説明斜視図である。
【図10】本実施例に係るタイプAの線材支持具の使用状態の説明側断面図である。
【図11】本実施例に係るタイプBの線材支持具の分解斜視図である。
【図12】本実施例に係るタイプCの線材支持具の分解斜視図である。
【図13】別例に係る線材支持具の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 取付面
2 ベース体
3 第一保持体
4 第二保持体
5 線材
6 凹溝
7 端子金具
8 端部固定部
9 線材支持具
10 載置部
11 ネジ孔
12 ボルト
13 ネジ体
14 挿通孔
15 ナット
16 重合用ネジ孔
17 重合用ネジ体
18 重合用挿通孔
19 凹設部
20 上面部
21 凸部
22 凹部
23 突起体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に固定するベース体に第一保持体を重合し、この第一保持体に第二保持体を重合し、前記第一保持体及び前記第二保持体のいずれか一方は線材の一部を収容して保持する凹溝を設け、他方は線材の一部を収容して保持する凹溝を設けるか若しくは線材の端部を固定する端部固定部を設けて、前記第一保持体及び前記第二保持体に保持される複数の線材を支持するように構成した線材支持具であって、前記ベース体に前記第一保持体を重合状態で回動調整可能に載置する載置部を設け、この載置部の中央部にネジ孔を設けるか若しくはボルトを立設し、前記ネジ孔に螺着するネジ体を挿通する若しくは前記ボルトが挿通する挿通孔を前記第一保持体の中央部に設け、前記載置部に前記第一保持体を重合して載置向きを回動調整した後、前記ネジ孔に前記ネジ体を螺合する、又は前記ボルトにナットを螺着することにより、前記第一保持体を前記載置部に固定し得るように構成し、前記第一保持体の前記挿通孔の外周位置に前記第二保持体を固定する重合用ネジ孔を設け、前記第二保持体に前記第一保持体の前記重合用ネジ孔に螺着される重合用ネジ体が挿通する重合用挿通孔を設け、この重合用挿通孔を、前記第二保持体と前記第一保持体とを重合して所定方向に回動して向きを回動調整した際、前記重合用挿通孔と前記重合用ネジ孔とが連通するように構成し、この前記重合用ネジ孔に前記重合用ネジ体を前記第二保持体の前記重合用挿通孔に挿通し前記載置部に固定された前記第一保持体に螺着して固定し得るように構成し、前記第一保持体若しくは前記第二保持体に設けた凹溝に収容される前記線材が前記第一保持体若しくは前記第二保持体の中央部を通るように前記第一保持体若しくは前記第二保持体に設けた凹溝を構成したことを特徴とする線材支持具。
【請求項2】
前記第一保持体を前記ベース体の前記載置部に重合して、前記第一保持体の挿通孔に前記ネジ体を挿通して螺着した際、前記ネジ体の頭部若しくは前記ボルトの先端部又は前記ボルトに螺着するナットが収容される凹設部を前記第一保持体の上面部に設け、前記ネジ体の頭部の位置若しくは前記ボルトの先端部位置又は前記ボルトに螺着するナットの位置が前記凹設部内に収容されて、前記第一保持体の前記上面部より突出しないように構成したことを特徴とする請求項1項に記載の線材支持具。
【請求項3】
前記第二保持体の下面に前記第一保持体に形成される前記凹設部に係合する凸部を設け、この前記第二保持体の凸部が第一保持体に形成された前記凹設部との係合部を形成して、前記凹設部が前記第二保持体を前記第一保持体に重合して、回動する際の回動ガイドになるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の線材支持具。
【請求項4】
前記第二保持体の上面若しくは下面いずれか一方の面において前記凸部を設け、前記第二保持体の他方の面に前記一方の面の前記凸部と係合し得る凹部を設け、前記第二保持体同士を重合する際、前記一方の第二保持体に設けた凹部を、下段となる他方の前記第二保持体の上面、若しくは上段となる他方の前記第二保持体の下面のいずれか一方に設けられた前記凸部と凹凸係合するように構成して、一方の前記第二保持体に他方の前記第二保持体を前記凹凸係合させて重合して回動する際の回動ガイドとなるように前記第二保持体の凹部若しくは凸部を構成したことを特徴とする請求項1〜3に記載の線材支持具。
【請求項5】
前記ベース体の前記載置部の中央部に凹部若しくは凸部を設け、前記第一保持体の下面の中央部に前記載置部の凹部若しくは凸部と凹凸係合する凸部若しくは凹部を設けて、前記載置部と前記第一保持体とを重合して前記凸部と前記凹部とを凹凸係合した際、この凹凸係合部の前記凹部若しくは前記凸部が前記第一保持体の前記載置部上での回動ガイドとなるように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の線材支持具。
【請求項6】
前記ネジ体が螺着される前記ネジ孔の底部に突起体を設けて、前記ネジ体を前記第一保持体に挿通して前記ベース体に螺着した際に前記ベース体と前記第一保持体とが締め係り固定されずに回動自在となるように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の線材支持具。
【請求項7】
前記第一保持体若しくは前記第二保持体のいずれか一方に設けられて、線材の端部を保持する端部固定部は、前記第一保持体及び前記第二保持体が前記載置部上に載置された際にこの載置部の載置面に平行に設けられ、前記端部固定部は、前記端部固定部に保持される前記線材の端部の軸の延長線が前記第一保持体若しくは前記第二保持体の中央部を通る向きで線材の端部を保持するように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の線材支持具。
【請求項8】
前記第一保持体の前記重合用ネジ孔は、前記第一保持体の中央部に設けた前記挿通孔を挟んで互いに反対側の位置になるように一対設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の線材支持具。
【請求項9】
前記第一保持体の前記重合用ネジ孔を、前記第一保持体の中央部に設けた前記挿通孔を挟んで互いに反対側の位置になるように二対以上設けて、複数の前記第二保持体を重合し得るようにしたことを特徴とする請求項8に記載の線材支持具。
【請求項10】
前記第二保持体に設けた前記重合用挿通孔は湾曲状長孔であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の線材支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−7748(P2010−7748A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166937(P2008−166937)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(503231055)株式会社アサノトレード (8)
【Fターム(参考)】