説明

線虫による損傷を低減する方法

植物繁殖材料及び後で成長する植物器官に対する、線虫綱の代表による損傷を低減する方法であって、該方法は、(I)該繁殖材料を、該材料が播種又は植え付けされる前に、(A)キレート剤、及び任意には(B)大環状ラクトン化合物又は他の農薬で処理し、又は(II)該材料又は(I)で定義された処理済材料の場所に、該材料の植え付け前、及び/又はその植え付け時、及び/又はその成長中に(A)キレート剤、及び任意には(B)大環状ラクトン化合物又は他の農薬を適用することを含む、植物繁殖材料及び後で成長する植物器官に対する、線虫綱の代表による損傷を低減する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物成長を改善する方法、土壌生息性の害虫、例えば線虫による、植物繁殖材料及び後で成長する植物器官に対する攻撃を低減する方法、及びそのための農業化学的な組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
業界は絶えず、植物の成長を改善する方法を模索している。典型的には、(i)望ましくない種(例えば害虫(例えば昆虫)、植物(例えば雑草)、又は菌類)を駆除するため、そして(ii)植物成長を(例えば栄養素を提供することにより)促進するために、化学薬品を使用し、そしてこれにより植物の成長を改善する。
【0003】
土壌生息性の害虫、例えば線虫は、直接的な食害、ウィルスの伝染、及び細菌及び菌類の感染を容易にすることにより、作物を損傷する。線虫により作物にもたらされた損傷はしばしば明確でなく、干ばつ、栄養不良、又は疾患と混同されやすい。典型的な症状は、枯れ、葉の黄変化、及び不均一な成長又は発育不良である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
線虫を駆除し、これにより植物を保護する方法は、(1)種子処理用線虫駆除剤(例えばアバメクチン)、及び燻蒸剤(例えば臭化メチル)の利用を含む、線虫駆除剤(例えばアルジカルブ)の利用、(2)土壌蒸気処理の利用、(3)輪作の利用(特定の作物に対して特異的な線虫に対しては効果的ではあるが、しかし、種々異なる宿主を有する線虫は、この方法によって駆除することはできない)、及び(4)線虫抵抗性又は線虫耐性作物の利用(慣用育種又は組換えDNA技術によって開発されている(遺伝子操作された植物))、を含む。
【0005】
キレートを形成することができる化合物が、予期せぬことに、植物繁殖材料及び後で成長する植物器官に線虫によってもたらされる損傷を低減可能にすることが判った。さらに、農薬による土壌生息性の害虫の駆除作用が、キレート剤の使用によって改善されることが明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、第1の観点において、本発明は、線虫綱の代表によって植物繁殖材料及び後で成長する植物器官にもたらされる損傷を低減する方法であって、該方法は、(i)該繁殖材料を、該材料が播種又は植え付けされる前に、(A)キレート剤、及び任意には(B)大環状ラクトン化合物又は他の農薬で処理し、又は(ii)該材料又は(i)で定義された処理済材料の場所に、該材料の植え付け前、及び/又はその植え付け時、及び/又はその成長中に(A)キレート剤、及び任意には(B)大環状ラクトン化合物又は他の農薬を適用することを含む、線虫綱の代表によって植物繁殖材料及び後で成長する植物器官にもたらされる損傷を低減する方法を提供する。
【0007】
(A)及び(B)が第1の観点において定義された(i)及び(ii)に用いられる場合には、(A)及び(B)の処理又は適用は、同時に又は相前後して行うことができる。
【0008】
可変量の農薬、特に大環状ラクトン化合物、及びキレート剤で土壌を処理すると、予期せぬことに、植物の成長、及び害虫、具体的には土壌生息性の害虫、例えば線虫の駆除を改善することになる。本発明の利点は、従って、(i)組み合わせ(大環状ラクトン化合物及びキレート剤)を含む組成物で土壌を処理することにより、又は(ii)大環状ラクトン化合物及びキレート剤で、同時に又は引き続き土壌を処理することにより、達成することができる。典型的には、組み合わせによる土壌の処理は、組み合わせが単一の組成物としてであれ個々の成分としてであれ、収穫までの植物の成長中に数回にわたって行うことができる(すなわち、その植え付け前、及び/又はその植え付け時、及び/又はその成長中)。実際に、植物の生長中に、単一の組成物で、次いで個々の成分で続いて処理することが考えられる。
【0009】
従って、第2の観点において、本発明は、第1の観点において定義された(i)及び(ii)を含む、植物の成長を改善する(例えば作物の収穫量を改善する)方法を提供する。
【0010】
さらに、キレート剤が、農薬(例えば殺虫剤、ダニ駆除剤、線虫駆除剤)による土壌生息性の害虫の駆除を改善することが判っており、従って、本発明はまた、作物の場所に適用するための、又は植物繁殖材料を処理するための農業化学組成物であって、活性成分としてアバメクチンとN-ホスホノメチル・バリンとから成る組成物が除外されることを条件として、(A)キレート剤及び(B)1種又は2種以上の農薬(例えば殺虫剤、線虫駆除剤、ダニ駆除剤)を含む、農業化学組成物を提供する。好適な農薬の例は、大環状ラクトン化合物(B)を含む。このような組成物は、第1の観点において定義された処理(i)及び適用(ii)に有用であり得る。
【0011】
別の観点において、本発明は、植物繁殖材料及び後で成長する植物器官を、線虫綱の代表による攻撃から保護する方法であって、該方法は、(i)該繁殖材料を、該材料が播種又は植え付けされる前に、(A)キレート剤、及び(B)線虫駆除剤で処理し、又は(ii)該材料又は(i)で定義された処理済材料の場所に、該材料の植え付け前、及び/又はその植え付け時、及び/又はその成長中に(A)キレート剤、及び(B)線虫駆除剤を適用することを含む、植物繁殖材料及び後で成長する植物器官を、線虫綱の代表による攻撃から保護する方法を提供する。
【0012】
本発明の1実施態様の場合、キレート剤は、(ii)において定義された方法によって適用される。好ましくは、キレート剤は、繁殖材料の植え付け前に、そして繁殖材料の収穫までの成長中に適用される。キレート剤は有利には、繁殖材料の植え付け後に繁殖材料の場所に適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明をより詳細に説明する。
土壌生息性の害虫
本発明は、植物の発育初期段階において作物を損傷するおそれのある、土壌生息性の害虫に対して特に効果的である。例えば、組成物は、昆虫(Insecta)綱の代表、及びダニ(Acarnia)目の代表をターゲットとするように調製することができる。これらの例は:
鱗翅(Lepidoptera)目からは、例えばアクレリス(Acleris)種、アエゲリア(Aegeria)種、アグロチス(Agrotis)種、アラバマ・アルギラセエ(Alabama argillaceae)、アミロイス(Amylois)種、アウトグラファ(Autographa)種、ブッセオラ・フスカ(Busseola fusca)、カドラ・カウテラ(Cadra cautella)、チロ(Chilo)種、クロシドロミア・ビノタリス(Crocidolomia binotalis)種、ディアトラエア(Diatraea)種、ディパロプシス・カスタネア(Diparopsis castanea)、エラスモパルプス(Elasmopalpus)種、ヘリオチス(Heliothis)種、マメストラ・ブラッシサエ(Mamestra brassicae)、フィトリマエア・オペルクレラ(Phtorimaea operculella)、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)、シルポファガ(Scirpophaga)種、セサミア(Sesamia)種、スポドプテラ(Spodoptera)種、及びトルトリクス(Tortrix)種;
鞘翅(Coleoptera)目からは、例えばアグリオテス(Agriotes)種、アントノムス(Anthonomus)種、アトマリア・リネアリス(Atomaria linearis)、ケトクネマ・チビアリス(Chaetocnema tibialis)、コノトラケルス(Conotrachelus)種、コスモポリテス(Cosmopolites)種、クルクリオ(Curculio)種、デルメステス(Dermestes)種、ディアブロチカ(Diabrotica)種、ディロポデルス(Dilopoderus)種、エピラクナ(Epilachna)種、エレムヌス(Eremnus)種、ヘテロニクス(Heteronychus)種、リッソロプトルス(Lissorhoptrus)種、メロロンタ(Melolontha)種、オリケフィルス(Orycaephilus)種、オチオリンクス(Otiorhynchus)種、フリクチヌス(Phlyctinus)種、ポピリア(Popillia)種、プシリオデス(Psylliodes)種、リゾペルタ(Rhizopertha)種、スカラベイデ(Scarabeidae)、シトトロガ(Sitotroga)種、ソマチクス(Somaticus)種、タニメクス(Tanymecus)種、テネブリオ(Tenebrio)種、トリボリウム(Tribolium)種、トロゴデルマ(Trogoderma)種、及びザブルス(Zabrus)種;
直翅(Orthoptera)目からは、例えばグリロタルパ(Gryllotalpa)種;
シロアリ(Isoptera)目からは、例えばレチクリテルメス(Reticulitermes)種;
プソコプテラ(Psocoptera)目からは、例えばリポセリス(Liposcelis)種;
シラミ(Anoplura)目からは、例えばヘマトピヌス(Haematopinus)種、リノグナトゥス(Linognathus)種、ペディクルス(Pediculus)種、ペンフィグス(Pemphigus)種、及びフィロキセラ(Phylloxera)種;
同翅(Homoptera)目からは、例えばエリオソマ・ラリゲルム(Eriosoma larigerum);
膜翅(Hymenoptera)目からは、例えばアクロミルメクス(Acromyrmex)、アッタ(Atta)種、セフス(Cephus)種、ラシウス(Lasius)種、モノモリウム・ファラオニス(Monomorium pharaonis)、ネオジプリオン(Neodiprion)種、ソレノプシス(Solenopsis)種、及びベスパ(Vespa)種;
双翅(Diptera)目からは、例えばチプラ(Tipula)種;
アブラナ・ノミハムシ(Phyllotreta)種、根ウジムシ(Delia種)、キャベツ莢ゾウムシ(Ceutorhynchus)種、及びアブラムシ
を含む。
【0014】
本発明の特に重要な観点は、本発明による化合物を使用して線虫(Nematoda)綱の害虫を駆除することである。種々の線虫、内部寄生性、半内部寄生性、及び外部寄生性の線虫、例えば根瘤線虫、嚢胞形成線虫、及び茎葉線虫がある。本発明は特に、根瘤線虫を対象にする。
【0015】
線虫の例は、メロイドジン(Meloidogyne)種(例えばメロイドジン・インコギニタ(Meloidogyne incoginita)及びメロイドジン・ジャバニカ(Meloidogyne javanica)、メロイドジン・ハプラ(Meloidogyne hapla)、メロイドジン・アレナリ(Meloidogyne arenari))、ヘテロデラ(Heterodera)種(例えばヘテロデラ・グリシン、ヘテロデラ・カロテ(Heterodera carotae)、ヘテロデラ・シャクチ(Heterodera schachtii)、ヘテロドラ・アベネ(Heterodora avenae)、及びヘテロドラ・トリフォリ(Heterodora trifolii)、グロボデラ(Globodera)種(例えばグロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis))、ラドフォルス(Radopholus)種(例えばラドフォルス・シミレス(Radopholus similes)、ロチレンクルス(Rotylenchulus)種、プラチレンクス(Pratylenchus)種(例えばプラチレンクス・ネグレクタンス(Pratylenchus neglectans)及びプラチレンクス・ペネトランス(Pratylenchus penetrans)、アフェレンコイデス(Aphelenchoides)種、ヘリコチレンクス(Helicotylenchus)種、ホプロライムス(Hoplolaimus)種、パラトリコドルス(Paratrichodorus)種、ロンギドルス(Longidorus)種、ナコブス(Nacobbus)種、スバンギナ(Subanguina)種、ベロンライムス(Belonlaimus)種、クリコネメラ(Criconemella)種、クリコネモイデス(Criconemoides)種、ディチレンクス(Ditylenchus)種、ディチレンクス・ディプサシ(Ditylenchus dipsaci)、ドリコドルス種(Dolichodorus)種、ヘミクリコネモイデス(Hemicriconemoides)種、ヘミシクリオフォラ(Hemicycliophora)種、ヒルシュマニエラ(Hirschmaniella)種、ヒプソペリン(Hypsoperine)種、マクロポストニア(Macroposthonia)種、メリニウス(Melinius)種、プンクトデラ(Punctodera)種、キニスルシウス(Quinisulcius)種、スクテロネマ(Scutellonema)種、キシフィネマ(Xiphinema)種、及びチレンコルヒンクス(Tylenchorhynchus)種を含む。
【0016】
線虫種のメロイドジン種、ヘテロデラ種、ロチレンクス種、及びプラチレンクス種、がキレート剤によって特に良好に駆除される。
【0017】
キレート剤
本発明の範囲におけるキレート剤は、O、N及びSから選択された2つ以上のヘテロ原子を含有する化合物である。このようなキレート剤は、別の化合物、又は1つ又はいくつかの金属原子カチオンを捕捉(又は封鎖)することができる。好ましいキレート剤は、金属カチオンを捕捉することができる物質である。
【0018】
本発明により使用されるキレート剤はこうして、メタル化形態(金属カチオンがキレート剤によって捕捉又は封鎖される)、又は非メタル化形態(金属カチオン又は他の化合物が封鎖されず、或いは、別の非金属化合物が封鎖される)を成す。
【0019】
キレート剤によって捕捉されることが可能な金属カチオンの例は、好ましくは、第一遷移金属系列、特にCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZn、とりわけFeから選択される。
【0020】
キレート剤は、酸付加塩を形成することもでき、また、1つ以上の酸基を有するキレート剤は、塩基と塩を形成することができる。塩基を有する好適な塩は、例えば金属塩、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、又はマグネシウム塩である。キレート剤はさらに、金属カチオンを捕捉し、そして同時に、Fe3+Na1+(EDTA4-)(EDTAはエチレンジアミノ四酢酸である)、又はZn2+Na31+(DTPA5-)(DTPAはジ-エチレントリアミノ五酢酸である)、又はNa[FeEDDHA](EDDHAは、N,N'-エチレン-ビス(ヒドロキシフェニル)グリシンである)におけるように、残留酸基のうちの1つ又は2つ以上と塩を形成することができる。
【0021】
キレート剤は従って、カルボン酸、ヒドロキシル、チオール、アミノ、リン酸、又はこれらの誘導体、例えば塩誘導体から選択された複数の基を一般に含む。
【0022】
好ましいキレート剤の例は、アミノポリカルボン酸キレート剤、芳香族及び脂肪族カルボン酸キレート剤、アミノ酸キレート剤、エーテルポリカルボン酸キレート剤、リン酸キレート剤、ヒドロキシカルボン酸キレート剤、及びジメチルグリオキシムを含む。キレート剤は、酸又は塩の形態を成していてよい。
【0023】
アミノポリカルボン酸キレート剤の例は、N,N'-エチレン-ビス(ヒドロキシフェニル)グリシン(EDDHA)、エチレンジアミンビス(2-ヒドロキシ-メチルフェニル酢酸)(EDDHMA)、N,N'-エチレンビス(2-ヒドロキシ-5-スルホフェニル)グリシン(EDDHSA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(2-ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン四酢酸(HEDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノ二酢酸(IDA)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIMDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、及びグリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、エチレンジアミン二琥珀酸(EDDS)、及びこれらの塩を含む。
【0024】
本発明に使用されるべき芳香族または脂肪族カルボン酸キレート剤の例は、シュウ酸、琥珀酸、ピルビン酸、サリチル酸及びアントラニル酸、及びこれらの塩、メチルエステル及びエチルエステルを含む。
【0025】
さらに、本発明に使用されるべきアミノ酸キレート剤の例は、グリシン、セリン、アラニン、リシン、シスチン、システイン、エチオニン、チロシン及びメチオニン、及びこれらの塩及び誘導体を含む。
【0026】
さらに、本発明に使用されるべきエーテルポリカルボン酸キレート剤は、下記式:
によって表される化合物、下記式によって表される化合物と類似する化合物、及びこれらの塩(例えばナトリウム塩)を含み、
【化1】

上記式中、Y1は、水素原子、式-CH2COOHによって表される基、又は式-COOHによって表される基を表し、そしてZ1は、水素原子、式-CH2COOHによって表される基、又は式
【化2】

によって表される基によって表される基を表す。
【0027】
本発明に使用されるべきヒドロキシカルボン酸キレート剤の例は、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、ヘプトン酸、酒石酸、乳酸、及びこれらの塩を含む。
【0028】
本発明に使用されるべきポリマー(オリゴマーを含む)タイプの電解質キレート剤の例は、アクリル酸ポリマー、無水マレイン酸ポリマー、α-ヒドロキシアクリル酸ポリマー、イタコン酸ポリマー、これらのポリマーの構成モノマーのうちの2つ以上を含むコポリマー、及びエポキシ琥珀酸ポリマーを含む。
【0029】
加えて、本発明に使用されるべきキレート剤は、さらにアスコルビン酸及びチオグリコール酸、及びこれらの塩を含む。
【0030】
最も好ましいキレート剤は、アミノポリカルボン酸、脂肪族カルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸である。
【0031】
特に好適なキレート剤は、式(II)
【化3】

の化合物であり、上記式中、
R6は、-C2-C4-アルキル-X-C1-C6-アルキル、-C2-C4-アルキル-X-C2-C4-X-C1-C6-アルキル、-C1-C4-アルキル-COOH、-C2-C4-アルキル-N(R10)R11、-C2-C4-アルキル-X-C2-C4-N(R10)R11、-C2-C4-アルキル-X-C4-C6-アルキル-X-C2-C4-N(R10)R11、2-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシベンジル、-CH[フェニル置換]COOH、ピリド-2-イル、ピリミジン-2-イル、-CH2-ピリド-2-イル、-CH2-ピリミジン-2-イル、又は
【化4】

であり、
YはOH又はSHであり;
XはO、S又はN(R9)であり;
R7、R8、R9、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素、C1-C6-アルキル、-C2-C4-アルキル-X-C1-C6-アルキル、-C2-C4-アルキル-X-C2-C4-X-C1-C6-アルキル、-C1-C4-アルキル-COOH、2-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシベンジル、-CH[2-OH-C6H4)]COOH、2-ピリジル、2-ピリミジニル、-CH2-ピリド-2-イル、又は-CH2-ピリミジン-2-イルであり;
又はR7及びR8は結合して、=CH-R12を形成し;
又はR10及びR11は結合して、=CH-R12を形成し;
R12は、OR13又はSR13でオルト置換されたフェニルであり;
置換されたフェニルは、式
【化5】

の基であり;
mは1、2又は3であり;そして
R13は、水素又はC1-C6-アルキルである。
【0032】
キレート剤の特に好ましい例は、N[-C1-C4-アルキル-COOH]3 (NTA、ニトリロ三酢酸)、[HOOC-CH2-]2NCH2CH2N[-CH2-COOH]2 (EDTA、エチレンジアミノ四酢酸)、HEDTA(N-(2-ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン四酢酸)、[HOOC-CH2-]2NCH2CH2[HOOC-CH2-]2NCH2CH2N[-CH2-COOH]2(DTPA、ジエチレントリアミノ五酢酸)、及び
【化6】

(上記式中、R1及びR2は、水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、ハロゲン-C1-C4アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン-C1-C6アルコキシ及び-SO3Hから成る群から選択され、そしてm及びnはそれぞれ独立して、1, 2又は3であり、但し各R1及びR2は、2つ以上のこのような置換基が存在すべき場合には互いに異なっていることが可能であるものとする)であり、特に好ましいのは、式
【化7】

の化合物、

【化8】

の化合物、

【化9】

の化合物、
又はこれらの任意の混合物;及び

【化10】

の化合物、又は、

【化11】

の化合物、又は、

【化12】

の化合物である。
【0033】
1実施態様の場合、キレート剤は、遷移金属カチオン、好ましくは鉄(III)又は鉄(II)、特に鉄(III)でメタル化される。商業的な鉄キレートの例は、Sequestrene(商標)(鉄キレートNa[FeEDDHA])、Farben(商標)、Greental(商標)、Basafer(商標)、Libfer(商標)、Torneo(商標)、Ferreosterene(商標)、Pantafer(商標)、Septamin(商標)、Bolikel(商標)、Hampiron(商標)、Ferrilene(商標)、Rexene(商標)、及びFolcidin(商標)を含む。メタル化キレート剤の商業的試料は典型的には、所定の比率の非メタル化キレート剤をも含有する。
【0034】
特に好ましいのは、EDDHA、例えば(o,o-EDDHA)、(o,p-EDDHA)、(p,p-EDDHA)、又はこれらの混合物の鉄キレートである。鉄キレートを含む組成物の鉄含有率は一般に、組成物の重量を基準として、0.5〜10、好ましくは1〜8、具体的には1.5〜7、具体的には2〜6、又は2〜5.5、特に2.4〜5.5重量パーセントである。
【0035】
EDDHAの鉄キレートの好ましい混合物は、(o,o-EDDHA)及び(o,p-EDDHA)を含む混合物である。好ましくは、(o,p-EDDHA)と(o,o-EDDHA)とのモル比は、0.8:1よりも大きく、具体的には0.9:1〜100:1にある。特にo,p-EDDHAとo,o-EDDHAとの比は、1:1〜50:1、又は2:1〜10:1、又は0.9:1〜2:1である。
【0036】
キレート剤を含む組成物は、付加的な植物栄養素又は植物肥料を含んでよく、これらの物質は、好ましくは硫酸カルシウムCaSO4、硝酸カルシウムCa(NO3)2*4H2O、炭酸カルシウムCaCO3、硝酸カリウムKNO3、硫酸マグネシウムMgSO4、リン酸水素カリウムKH2PO4、硫酸マンガンMnSO4、硫酸銅CuSO4、硫酸亜鉛ZnSO4、塩化ニッケルNiCl2、硫酸コバルトCoSO4、水酸化カリウムKOH、塩化ナトリウムNaCl、ホウ酸H3BO3、及びこれらの金属塩Na2MoO4を含む群から選択される。好ましい付加的な植物栄養素は、5〜50重量%、好ましくは10〜25重量%、又は15〜20重量%の量で存在してよい。好ましい付加的な植物栄養素は、尿素、メラミン、酸化カリウム、及び無機硝酸塩である。最も好ましい付加的な植物栄養素は、酸化カリウムである。好ましい付加的な植物栄養素が尿素の場合、これは、1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%、又は3〜7重量%で存在してよい。
【0037】
使用
驚くべきことに、特にメタル化形態のキレート剤、例えばFe2+又はFe3+をキレートする物質を作物の場所に使用する結果、線虫による損傷が全く予期せぬほどに低減されることが判った。損傷の低減は、植物成長特性、例えば出芽、収穫高、タンパク質含量の増強、根系の発育向上、若木の増大、植物の高さの増大、葉身の拡大、死滅根出葉の減小、若木の強化、葉色の緑化向上、所要肥料量の減小、所要種子量の減小、所要農薬量の減小、若木の生産性の向上、開花の早期化、穀物の早期成熟、植物の反転(倒壊)の減小、芽の成長の増大、植物の活力の改善、及び早期の発芽を可能にする。
【0038】
キレート剤は、植物の成長中に1回又は2回以上にわたって、植物の場所に適用される。キレート剤は、播種前、播種中、発芽前、及び/又は発芽後に、植え付け現場に適用することができる。この組み合わせは、温室内での植物の成長中に利用することができ、そして移植後にも利用し続けることができる。
【0039】
キレート剤は、薬剤が土壌に浸透するのを保証する任意の好適な方法を介して使用することができる。例えば、苗床トレイにおける適用、畝間における適用、土壌含浸、土壌注入、細流灌漑、スプリンクラー又は中心枢軸を介した適用、土壌内への取込み(散布又は帯状)が、このような方法である。
【0040】
植物におけるキレート剤の比率及び頻度は、幅広い制限内で変化してよく、そして用途のタイプ、特定のキレート剤、土壌の性質、適用方法(出芽前、出芽後、など)、植物又は駆除されるべき害虫、主な気候条件、及び適用方法によって支配されるその他の因子、適用時間及び標的植物に依存する。
【0041】
作物の場所にキレート剤を適用する典型的な比率は、1ヘクタール当たり45〜10000 g/ha、特に90〜5000 g/ha、好ましくは140〜2000 g/ha、最も好ましくは230〜1000 g/haである。キレート剤がメタル化キレート、例えば鉄EDDHAである場合、適用率は、1ヘクタール当たり45〜4800 g/ha、特に90〜2400 g/ha、好ましくは140〜1500 g/ha、最も好ましくは230〜950 g/haであってよい。この薬剤は、植物及びその環境に応じて、植物の成長中に1回又は数回、例えば1〜6回、又は1〜4回適用することができ(トマト作物収穫の場合、例えばこの組み合わせは、収穫前に最大4回適用することができる)、上記量は、各適用毎のものである。
【0042】
植物繁殖材料は、材料が播種又は植え付けされる前に、キレート剤で処理することもでき、次いで、植物の成長中に、任意にはキレート剤を1回又は2回以上にわたって植物の場所に適用することができる。
【0043】
「植物繁殖材料」という用語は、種子は植物及び生長植物材料、例えば切枝及び塊茎(例えばジャガイモ)の増殖のために使用することができる植物の生殖部分全て、例えば種子を意味するものと理解される。例えば種子(厳密な意味での)、根、果実、塊茎、球根、ほふく茎、植物部分が挙げられる。発芽後、又は土壌からの出現後に移植することができる発芽植物及び若い植物を挙げることもできる。これらの若い植物は、浸漬による全体又は部分の処理によって、移植する前に保護することができる。
【0044】
さらに、本発明は、農薬による処理を既に施された植物繁殖材料、例えば植物種子とともに使用するために適用することもできる。
【0045】
種子へのキレート剤(及び任意には1種又は2種以上の他の農薬)の均一な分布、及びその付着が、繁殖材料、例えば種子の処理中に望まれる。処理は、植物繁殖材料、例えば種子上にキレート剤を含有する、元のサイズ及び/又は形状が認識可能である配合物薄膜から、種子の元の形状及び/又はサイズがもはや認識不能である厚い膜(例えば種々異なる材料、例えばキャリヤ、例えば粘土;種々異なる配合物、例えば活性成分;ポリマー;及び着色剤から成る多層を有する被膜又はペレット)まで、種々様々である。
【0046】
従って、1実施態様の場合、キレート剤は、繁殖材料、例えば種子に付着させられる。
【0047】
1実施態様の場合、キレート剤は、ぺレット形態で種子上に存在する。
【0048】
この方法はいかなる生理学的状態の種子にも適用され得ると考えられるものの、種子は、処理プロセス中に損傷を招くことのないほどに十分に耐久性があることが好ましい。典型的には、種子は既に畑から収穫され、植物から取り外され、そして穂軸、柄、外殻、及び周りの果肉、又はその他の非種子植物材料から分離されている種子である。種子は好ましくはまた、処理が種子に対して生物学的損傷を招くことのない程度に、生物学的に安定である。処理は、種子の収穫と、播種又は播種プロセス中との間の任意の時点で、種子に施すことができる(種子向け用途)。
【0049】
種子処理は、播かれていない種子に対して行われる。「播かれていない種子」という用語は、種子の収穫と、植物の発芽及び成長を目的とした地中への種子の播種との間の任意の時点の種子を意味するものとする。
【0050】
播かれていない種子に対する処理は、農薬が土壌に適用されることを含まず、播種/植え付けプロセス中の種子をターゲットにする適用を含むものとする。
【0051】
本発明の処理済植物繁殖材料は、慣用の植物繁殖材料と同様に処理することができる。
【0052】
処理済繁殖材料は、他の農薬処理済材料、例えば種子と同様に貯蔵し、取り扱い、播種し、そして耕作することができる。
【0053】
好ましくは、播種前に処理を施すことにより、播種/植え付けされようとする種子を前処理しておく。
【0054】
繁殖材料に対するキレート剤の典型的な適用比率はまた、特定の用途に応じて変化する。種子の場合、その比率は、種子1ヘクタール当たり10〜1000グラム、好ましくは150〜700グラム、より好ましくは100〜600グラム、特に150〜400グラムのキレート剤であってよい。
【0055】
野菜作物の場合、キレート剤は典型的には数回で適用される。果実作物の場合、キレート剤は、野菜の場合のように数回にわたって適用することもできるが、キレート剤(例えばセクエストレン(SEQUESTRENE))を一回注入すれば一般には十分である。
【0056】
本発明において使用するための標的作物植物は、特に農作物果実、野菜、ナッツ、ベリー、熱帯植物、装飾品及びその他のもの、例えば小麦、大麦、ライ麦、オート麦、稲、トウモロコシ、サトウモロコシ、豆、レンティル、エンドウ豆、大豆、ナタネ、カラシナ、ケシ、甜菜、及び飼料用ビート、綿、亜麻、麻、ジュート、ヒマワリ、ヒマシ油、ラッカセイ、ジャガイモ、タバコ、サトウキビ、リンゴ、西洋ナシ、モモ、ネクタリン、アンズ、サクランボ、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン、オリーブ、ブドウの木、ホップ、アーモンド、クルミ、ヘーゼルナッツ、アボカド、バナナ、茶、コーヒー、ココナツ、ココア、天然ゴム植物、油脂植物、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、チャイニーズ・ケール、ニンジン、タマネギ、トマト、キュウリ、胡椒、ナス、メロン、パプリカ、チリ、バラ、菊、及びカーネーションを含む。
【0057】
植物は遺伝子操作することもできる。
【0058】
本発明は、高いpH(7〜8.5)の土壌タイプにおいて特に効果的であることが判った。
【0059】
通常、栽培者は、作物の管理において、第1の観点において定義された処理(i)及び適用(ii)のためのキレート剤と組み合わせて、1種又は2種以上の農業用化学薬品を使用することになる。農業用化学薬品の例は、農薬、植物栄養素、又は植物肥料を含む。
【0060】
植物栄養素又は植物肥料の好適な例は、硫酸カルシウムCaSO4、硝酸カルシウムCa(NO3)2*4H2O、炭酸カルシウムCaCO3、硝酸カリウムKNO3、硫酸マグネシウムMgSO4、リン酸水素カリウムKH2PO4、硫酸マンガンMnSO4、硫酸銅CuSO4、硫酸亜鉛ZnSO4、塩化ニッケルNiCl2、硫酸コバルトCoSO4、水酸化カリウムKOH、塩化ナトリウムNaCl、ホウ酸H3BO3、及びこれらの金属塩Na2MoO4である。栄養素は、5〜50重量%、好ましくは10〜25重量%、又は15〜20重量%の量で存在してよい。好ましい付加的な植物栄養素は、尿素、メラミン、酸化カリウム、及び無機硝酸塩である。最も好ましい付加的な植物栄養素は、酸化カリウムである。好ましい付加的な植物栄養素が尿素の場合、これは、1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%、又は3〜7重量%で存在してよい。
【0061】
単一の農薬は、害虫駆除を上回る分野において活性を有することができる。例えば農薬は防カビ剤、殺虫剤、及び線虫駆除剤活性を有することができる。具体的には、殺虫剤、ダニ駆除剤、及び線虫駆除剤活性として、アルジカルブが知られており、これに対して、殺虫剤、除草剤、防カビ剤、及び線虫駆除剤活性として、メタムが知られている。
【0062】
従って、種子の処理、又は植物が成長させられる場所に適用するものとして、農業において使用される1種又は2種以上の農薬化合物、例えば線虫駆除剤、殺虫剤、及び/又は防カビ剤を用いることにより、キレート剤の作用を著しく改善し、そして所与の環境に適応させることができる。
【0063】
農薬の例は、大環状ラクトン化合物を含む。大環状ラクトン化合物は、化学構造において12又は13以上の原子から成る環を有する化合物である。原子は、炭素、酸素、窒素又は硫黄から選択することができる。好ましくは、原子は炭素又は酸素である。1実施態様の場合、環の原子数は最大20である。
【0064】
(B)の例は、スミノサド(737)、アベルメクチン及びアベルメクチン単糖誘導体、例えばアバメクチン(1)、ドラミクチン(25-シクロヘキシル-5-O-デメチル-25-デ(1-メチルプロピル)アベルメクチンA1a; CAS RN 117704-25-3)、エマメクチン(291)、エプリノメクチン((4''R)-4''-(アセチルアミノ)-4''-デオキシアベルメクチンB1; CAS RN 123997-26-2)、イベルメクチン(5-O-デメチルアベルメクチンA1a(i)と、5-O-デメチル-25-デ(1-メチルプロピル)-25-(1-メチルエチル)アベルメクチンA1a (ii)との混合物;CAS RN 70288-86-7(70161-11-4 + 70209-81-3))及びセラメクチン((5Z,25S)-25-シクロヘキシル-4'-O-デ(2,6-ジデオキシ-3-O-メチル-α-L-アラビノ-ヘキソピラノシル)-5-デメトキシ-25-デ(1-メチルプロピル)-22,23-ジヒドロ-5-(ヒドロキシイミノ)アベルメクチンA1a;CAS RN 165108-07-6)、及びミルベマイシン誘導体、例えばミルベメクチン(557)、ミルベマイシンオキシム((6R,25R)-5-デメトキシ-28-デオキシ-6,28-エポキシ-25-エチル-5-(ヒドロキシイミノ)ミルベマイシンBと、(6R,25R)-5-デメトキシ-28-デオキシ-6,28-エポキシ-5-(ヒドロキシイミノ)-25-メチルミルベマイシンBとの混合物)、モキシデクチン((6R,23E,25R)-5-O-デメチル-28-デオキシ-25-[(1E)-1,3-ジメチル-1-ブテニル]-6,28-エポキシ-23-(メトキシイミノ)ミルベマイシンB;CAS RN 113507-06-5)、及びSI0009 (5-O-デメチル-28-デオキシ-6,28-エポキシ-25-メチル-13-[[(メトキシイミノ)フェニルアセチル]オキシ]-(6R,13R,25R)-(9Cl)と、5-O-デメチル-28-デオキシ-6,28-エポキシ-25-エチル-13-[[(メトキシイミノ)フェニルアセチル]オキシ]-(6R,13R,25R)-(9Cl)とのミルベマイシンB混合物;CAS RN 171249-10-8及び171249-05-1)を含む。
【0065】
ストレプトミセス・アベルミチリスから得ることができる天然型アベルメクチンは、A1a、A1b、A2a、A2b、B1a、B1b、B2a、及びB2bと呼ばれる。「A」及び「B」と呼ばれる化合物は、5位置においてそれぞれメトキシ基、及びOH基を有する。「a」シリーズ及び「b」シリーズは、置換基R1(位置25)がそれぞれsec-ブチル基及びイソプロピル基である化合物である。化合物の名称における数字1は、炭素原子22及び23が、二重結合で結合されていることを意味し、数字2は、これらが単結合によって結合され、そしてC原子23がOH基を担持していることを意味する。
【0066】
好ましい実施態様の場合、大環状ラクトン化合物は、アベルメクチン誘導体、アベルメクチン単糖誘導体、又はミルベマイシン誘導体である。特に好ましいのは、(i) アベルメクチンB1誘導体(例えば、B1a、B1b、及び25位置上の置換基);(ii)炭素原子22と23との間に単結合を有するアベルメクチンB誘導体;並びに(i)及び(ii)の相応の単糖誘導体である。有利には、本発明に基づく大環状ラクトン化合物としては、アバメクチンが好ましい。
【0067】
アベルメクチン及びアベルメクチン単糖の誘導体は、化学合成によって得ることができ、そして国際公開第02/068442号パンフレット、同第02/068441号パンフレット、同第03/020738号パンフレット、同第03/053988号パンフレット、及び同第03/095468号パンフレットに開示されているものを含む。
【0068】
線虫駆除剤の例は、アバメクチン、カルバメート線虫駆除剤(例えばアルジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、オキサミル、アルドキシカルブ、エトプロプ・ベノミル、アラニカルブ)、有機リン線虫駆除剤(例えばフェナミフォス(phenamiphos)、フェナミフォス(fenamiphos)、フェンスルホチオン、テルブフォス、フォスチアゼート、ホスフォカルブ、ジクロフェンチオン、イサミドフォス、フォスチエタン、イサゾフォス、エトプロフォス、カドゥサフォス、クロルピリフォス、ヘテロフォス、イサミドフォス、メカルフォン、ホレート、チオナジン、トリアゾフォス、ジアミダフォス、フォスファミドン)、臭化メチル、ヨウ化メチル、二硫化炭素、1,3-ジクロロプロペン、クロロピクリン、サイトカイニン、ダゾメット、DCIP、二臭化エチレン、GY-81、メタム、メチルイソシアネート、ミロテシウム・ベルカリア組成物、フルピラゾフォス、ベンクロチアズ、[2-シアノイミノ-3-エチルイミダゾリジン-1-イル]ホスホノチオ酸O-エチルS-プロピルエステル、及びバチルス・フィルムスである。
【0069】
アバメクチン、アルジカルブ、オキサミル、フェナミフォス、エトプロフォス、カドゥサフォス、フォスチアゼート、1,3-ジクロロプロペン、クロロピクリン、及び臭化メチル、ヨウ化メチルが、キレート剤との組み合わせで使用するのに好ましい線虫駆除剤である。
【0070】
さらに、キレート剤は、害虫駆除を改善するために、1種又は2種以上の農薬と組み合わせて使用することもできる。
【0071】
使用可能な農薬の好適な例は、アセフェート(2)、アセタミプリド(4)、アセトプロール(1-[5-アミノ-1-[2,6-ジクロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-(メチルスルフィニル)-1H-ピラゾル-3-イル]エタノン]、アルジカルブ(16)、アルファ-サイパーメトリン(202)、アジンフォス-メチル(45)、アゾキシストロビン(47)、ベナラキシル(56)、ベナラキシル-M(メチルN-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(フェニルアセチル)-D-アラニネート)、ベンクロチアズ(7-クロロ-1,2-ベンズイソチアゾール)、ベンジコアルブ(58)、ベンフラカルブ(60)、ベノミル(62)、ベンスルタプ(66)、ビフェントリン(76)、ビテルタノール(84)、ボスカリド(88)、カプタン(114)、カルベンダジム(116)、カルバリル(115)、カルボフラン(118)、カルボスルファン(119)、カルボキシン(120)、カルブプロパミド(2,2-ジクロロ-N-[1-(4-クロロフェニル)エチル]-1-エチル-3-メチルシクロプロパンカルボキサミド)、クロロタロニル(142)、クロルピリフォス(145)、クロルピリフォス-メチル(146)、クロチアニジン(165)、銅塩(例えば硫酸銅(172)、亜酸化銅(181)、ボルドー液(87)、水酸化銅(169)、硫酸銅(三塩基性)(173)、酸塩化銅(171)及びオクタン酸銅(170))、サイモキサニル(200)、サイパーメトリン(201)、シプロコナゾール(207)、シプロジニル(208)、サイロマジン(209)、ダゾメット(216)、デルタメトリン(223)、ジアジノン(227)、ジフェノコナゾール(247)、ジメトエート(262)、ジモキシストロビン(266)、ジニコナゾール(267)、ジノテフラン(271)、エマメクチン(291)、エンドスルファン(294)、エタボキサム(N-(シアノ-2-チエニルメチル)-4-エチル-2-(エチルアミノ)-5-チアゾールカルボキサミド)、エチリモル(5-ブチル-2-(エチルアミノ)-6-メチル-4(1H)-ピリミジノン)、エチプロール(310)、エトプロフォス(312)、ファモキサドン(322)、フェナミドン(325)、フェナミホス(326)、フェンヘキサミド(334)、フェンピクロニル(341)、フィプロニル(354)、フロニカミド(358)、フルオキサストロビン(382)、フルアジナム(363)、フルジオキソニル(368)、フルキンコナゾール(385)、フルトラニル(396)、フルトリアフォル(397)、フォノフォス(O-エチルS-フェニルエチルホスホノジチオエート)、フォセチル-アルミニウム(407)、フベリダゾール(409)、フラチオカルブ(412)、ガンマ-シハロトリン(197)、ガンマ-HCH(430)、グアザチン(422)、ヘプテノフォス(432)、ヘキサコナゾール(435)、ヒメキサゾール(447)、イマザリル(449)、イミダクロプリド(458)、イプコナゾール(468)、イプロジオン(470)、イソフェンフォス、ラムダ-シハロトリン(198)、マンコゼブ(496)、マネブ(497)、メタラキシル(516)、メタラキシル-M(517)、メトコナゾール(525)、メチオカルブ(530)、臭化メチル(537)、ヨウ化メチル(542)、ミクロブタニル(564)、ヌアリモル(587)、オメトエート(594)、オキサミル(602)、オキサジキシル(601)、オキシン銅(605)、オキソリン酸(606)、ペンシクロン(620)、ペフラゾエート(618)、フォスメット(638)、ピコキシストロビン(647)、ピリミカルブ(651)、プロクロラズ(659)、プロシミドン(660)、プロパモカルブ(668)、プロピコナゾール(675)、プロチオコナゾール(685)、ピメトロジン(688)、ピラクロストロビン(690)、ピリメタニル(705)、ピロキロン(710)、キントゼン(716)、シルチオファム(729)、スピノサド(737)、テブコナゾール(761)、テフルトリン(769)、テトラコナゾール(778)、チアベンダゾール(790)、チアクロプリド(791)、チアメトキサム(792)、チオジカルブ(799)、チオファネート-メチル(802)、チラム(804)、トリフルアニド(1,1-ジクロロ-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-1-フルオロ-N-(4-メチルフェニル)メタンスルフェンアミド)、トリアジメノール(815)、トリアザメート(818)、トリアゾフォス(820)、トリアゾキシド(821)、トリチコナゾール(842)、トリフロキシストロビン(832)、3-ヨード-N*2*-(2-メタンスルホニル-1,1-ジメチル-エチル)- N*1*-[2-メチル-4-(1,2,2,2-テトラフルオロ-1-トリフルオロメチル-エチル)-フェニル]-フタルアミド(コードNNI-0001)、及び2-ピリジン-2-イル-2H-ピラゾール-3-カルボン酸(2-メチルカルバモイル-フェニル)-アミド(コードDKI-0001)、例えば2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-5-トリフルオロメチル-2H-ピラゾール-3-カルボン酸(4-クロロ-2-イソプロピルカルバモイル-6-メチル-フェニル)-アミド、2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-5-トリフルオロメチル-2H-ピラゾール-3-カルボン酸(4-クロロ-2-メチル-6-メチルカルバモイル-フェニル)-アミド、5-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸(4-クロロ-2-イソプロピルカルバモイル-6-メチル-フェニル)-アミド、5-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸(4-クロロ-2-メチル-6-メチルカルバモイル-フェニル)-アミド、及び3-ジフルオロメチル-1-メチル-1Hピラゾール-4-カルボン酸(2-ビシクロプロピル-2-イル-フェニル)-アミドを含む。
【0072】
農薬、例えば線虫駆除剤、殺虫剤及び防カビ剤は、第1の観点において定義された処理(i)及び適用(ii)を介して、本発明において使用することができる。従って、例えば、種子をアバメクチン及び任意には1種又は2種以上の農薬で処理することができ、次いで、その植え付け前、その植え付け時、及び/又はその成長中に、キレート剤をアバメクチンで処理された種子の場所に適用する。さらに、農薬は、植物の植え付け前、植え付け時、及び/又は成長中に、(農薬で処理された植物繁殖材料を含む)植物繁殖材料の場所に適用することもできる。
【0073】
繁殖材料の場所に農薬を適用する方法は、薬剤が土壌に浸透するのを保証する任意の好適な方法を介して行われる。苗床トレイにおける適用、畝間における適用、土壌含浸、土壌注入、細流灌漑、スプリンクラー又は中心枢軸を介した適用、土壌内への取込み(散布又は帯状)が、このような方法である。
【0074】
成分が個別に適用される場合には、植物の場所への成分の適用間の経過時間は、第2の成分の適用時に、改善された植物成長特性が明示されるように設定されるべきである。成分適用の順序はさほど重要でないが、キレート剤に続いて農薬(例えば線虫駆除剤、大環状ラクトン化合物)が適用されることが好ましい。第2の成分は、第1成分の適用から好ましくは14日以内、例えば10日以内、例えば5日以内、より好ましくは4日以内、特に3日以内、有利には1日以内に適用される。
【0075】
植物における農薬の比率及び頻度は、幅広い制限内で変化してよく、そして特定の農薬、用途のタイプ、土壌の性質、適用方法(出芽前、出芽後、など)、植物又は駆除されるべき害虫、主な気候条件、及び適用方法によって支配されるその他の因子、適用時間及び標的植物に依存する。
【0076】
作物の場所にアバメクチンを適用する典型的な比率は、1ヘクタール当たり3〜90 g/ha、特に6〜60 g/ha、好ましくは9〜40 g/ha、最も好ましくは18〜36 g/haである。
【0077】
農薬は、植物及びその環境に応じて、植物の成長中に、キレート剤と組み合わせて(すなわち同時に又は相前後して)1回又は数回、例えば1〜6回、又は1〜4回適用することができ(トマト作物収穫の場合、例えばこの組み合わせは、収穫前に最大4回適用することができる)、アバメクチンの上記量は、各適用毎のものである。
【0078】
繁殖材料に対する農薬の典型的な適用率はまた、特定の用途、特定の種子、及び特定の農薬に応じて変化し、当業者であれば、本発明の有利な効果が示されるように、特定の環境に応じた適切な比率を決定することができる。
【0079】
本明細書中で述べた農薬の構造の説明は、e-Pesticide Manual, version 3.1、第13版、CDC Tomlin編、British Crop Protection Council, 2004〜05に見いだすことができる。
【0080】
農薬は、既知の害虫に対して(植物繁殖材料を含む)植物を保護する。農薬は、植物、特に農業、園芸及び林業における有用な植物(すなわち栽培者にとって価値、例えば金銭価値を有する植物、例えば作物)及び装飾品に、又はこのような植物の一部、例えば果実、花、葉、茎、塊茎又は根に発生する害虫を駆除、すなわち阻害又は破壊する一方、いくつかの事例では、後で成長する植物部分が、依然としてこれらの害虫に対して保護される。
【0081】
アバメクチン及びキレート剤の組み合わせは、線虫、例えば根瘤線虫を駆除するのに特に効果的であることが判った。特に好ましい組み合わせは、EDDHAの鉄キレートを含む組み合わせであり、そして任意には他の金属、例えばナトリウム及びカリウムが、キレート剤成分の一部として存在してもよい。キレート剤と一緒の状態での大環状ラクトン化合物の作用は、これらの個別の作用を遥かに上回り、そしてキレート剤は、農薬の活性の増強を可能にする。例えば、化合物の活性成分の組み合わせの作用が、別個に適用された活性成分の作用の和よりも大きいときはいつでも、相乗効果が存在する。この効果は、例えば、COLBY, S.R., 「Calculating synergistic and antagonistic response of herbicide combinations(除草剤の組み合わせの相乗反応及び拮抗反応の計算)」、Weeds 15, 第20〜22頁、1967に記載されているようなColbyの式によって計算することができる。
【0082】
第1の観点で定義された処理(i)及び適用(ii)において、キレート剤は一般に、他の習慣的な配合アジュバントを含有する製剤の形態を成す。なぜならば、このような製剤は、例えば取り扱い性及び適用の煩わしさを減らすことができるからである。
【0083】
種々の配合タイプが存在する:乾燥流動可能物質(DF)、流動可能液体(LF)、真の液体(TL)、乳化可能濃縮物(EC)、懸濁濃縮物(SC)、ダスト(D)、湿潤可能粉末(WP)、懸濁エマルジョン(SE)、水分散性グラニュール(WG)、及びその他のもの、例えば高分子物質中のカプセル化物。いくつかのものは、閉じた適用システムを使用した商業的アプリケーターによってのみ使用するように登録されており、またその他のものは、ダスト、スラリー、水溶性バッグ、又は適用する準備ができている液体製剤として、農場上での使用が容易に可能である。しかし、通常は、商業的な製品は濃縮物として調製されており、この場合、末端使用者は通常、希釈製剤を採用することになる。
【0084】
キレート剤がどのように使用されるかはまた、製剤のタイプを決定することになる。例えばキレート剤が種子処理剤として使用されるようになっている場合には、水性組成物が好ましい。
【0085】
キレート剤及びその他の農業化学薬品(特に農薬)は、単一組成物の一部であってよく、同時に使用することができ(すなわち、これらは混ぜ合わされ、しばしば「プレミックス」と呼ばれる)、或いは別個の製品であってもよく、(例えば相前後して)別々に使用することができる。これらが別個の製品である場合、処理(i)又は適用(ii)の直前に、使用者によって混ぜ合わせることができる。
【0086】
可能な場合には、キレート剤及び農業化学薬品の商業的に入手可能な製剤が、適用直前に容器において所望の混合比で、水中で合体される(しばしばタンク混合物と呼ばれる)ことがしばしばより実際的である。
【0087】
従って、本発明はまた、作物の場所に適用するための、又は植物繁殖材料を処理するための農業化学組成物(例えば「タンク混合物」及び「プレミックス」)であって、活性成分としてアバメクチンとN-ホスホノメチル・バリンとから成る組成物が除外されることを条件として、(A)キレート剤及び(B)1種又は2種以上の農薬(例えば殺虫剤、線虫駆除剤、ダニ駆除剤)を含む、農業化学組成物に関する。
【0088】
1実施態様の場合、キレート剤及び1種又は2種以上の農業化学薬品(特に農薬、例えば線虫駆除剤(例えばアバメクチン))は、特異的に調製された単一組成物中で使用され、組成物は、上記製剤タイプのうちの1つの形態を成していてよい。製剤タイプは、意図される目的及び主な環境に従って選ばれる。キレート剤及び農業化学薬品は、製剤技術において習慣的なアジュバントのうちの1つ以上、例えば増量剤、例えば溶剤又は固形キャリヤ、又は界面活性化合物(界面活性剤)と一緒に使用される。
【0089】
好適な製剤アジュバントは、例えば固形キャリヤ、溶剤、安定剤、徐放アジュバント、色素、及び任意には界面活性物質(界面活性剤)である。この場合の好適なキャリヤ及びアジュバントは、作物保護製品中、特に、カタツムリ及びナメクジの駆除に習慣的に使用される全ての物質を含む。好適なアジュバント、例えば溶剤、固形キャリヤ、界面活性化合物、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び本発明に従って使用される組成物中の更なるアジュバントは、例えば欧州特許出願公開第736252号明細書に記載されたものと同じである。上記明細書における有用な製剤アジュバントに関する開示内容全体を、参考のため本明細書中に引用する。
【0090】
組成物は概ね、0.1〜99 %、具体的には0.1〜95 %の組み合わせ、及び1〜99.9 %、具体的には5〜99.9 %の1種以上の固形又は液体助剤を含み、組成物の概ね0〜25 %、具体的には0.1〜20 %が界面活性剤であることが可能である(%はそれぞれの事例において重量パーセントである)。商業的物品としては濃縮組成物がより好ましいが、末端使用者は通常、かなり低濃度の組成物を含む希釈組成物を使用する。好ましい組成物は、具体的には下記のように構成される(% = 重量パーセント)。
【0091】
乳化可能濃縮物:
組み合わせ: 1〜90 %、好ましくは5〜20 %
界面活性剤: 1〜30 %、好ましくは10〜20 %
溶剤: 残余
【0092】
ダスト
組み合わせ: 0.1〜10 %、好ましくは0.1〜1 %
固形キャリヤ: 99.9〜90 %、好ましくは99.9〜99 %
【0093】
懸濁濃縮物
組み合わせ: 5〜60 %、好ましくは10〜40 %
界面活性剤: 1〜40 %、好ましくは2〜30 %
水: 残余
【0094】
湿潤可能粉末
組み合わせ: 0.5〜90 %、好ましくは1〜80 %
界面活性剤: 0.5〜20 %、好ましくは1〜15 %
固形キャリヤ: 残余
【0095】
グラニュール
組み合わせ: 0.5〜60 %、好ましくは3〜40 %
固形キャリヤ: 99.5〜70 %、好ましくは97〜85 %
【0096】
作物保護において使用するための具体的な製剤例を、以下に示す(% = 重量パーセント)。
【0097】
【表1】

微粉砕された大環状ラクトン化合物、キレート剤及び添加剤の混合物は、エマルジョン濃縮物を提供する。エマルジョン濃縮物は水で希釈することによって、所望の濃度のエマルジョンをもたらす。
【0098】
【表2】

微粉砕された大環状ラクトン化合物、キレート剤及び添加剤の混合物は、マイクロ液滴の形態で使用するのに適した溶液を提供する。
【0099】
【表3】

大環状ラクトン化合物及びキレート剤をジクロロメタン中に溶解し、溶液を、キャリヤの混合物上に噴霧し、そして溶剤を減圧下で蒸発させる。
【0100】
【表4】

大環状ラクトン化合物、キレート剤及び添加剤を混合し、そして混合物を好適なミル内で粉砕する。このことは、湿潤可能粉末を提供し、湿潤可能粉末は、水で希釈することにより、所望の濃度の懸濁液を提供することができる。
【0101】
【表5】

大環状ラクトン化合物、キレート剤及び添加剤を混合し、そして混合物を粉砕し、水で湿潤し、押し出し、そしてグラニュール化する。グラニュールを空気流中で乾燥させる。
【0102】
【表6】

ミキサー内で、微粉砕された大環状ラクトン化合物、及びキレート剤を、ポリエチレングリコールで湿潤されたカオリンに均一に塗布する。このことはダストなしの被覆グラニュールを提供する。
【0103】
【表7】

微粉砕された大環状ラクトン化合物、キレート剤及び添加剤を混合することにより、懸濁濃縮物を提供する。懸濁濃縮物は、水で希釈することにより、所望の濃度の懸濁液を提供する。
【0104】
組成物はさらに、固形又は液体アジュバント、例えば安定剤、例えば植物油又はエポキシ化植物油(例えばエポキシ化ココナツ油、菜種油又は大豆油)、消泡剤、例えばシリコーン油、保存剤、粘度調節剤、バインダー及び/又は粘着付与剤、並びに肥料、又は特別な効果を得るためのその他の活性成分、例えばダニ駆除剤、殺菌剤、防カビ剤、線虫駆除剤、軟体動物駆除剤、又は選択的除草剤を含んでもよい。
【0105】
下記例は、説明のためのものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0106】
生物学的例(特に断りのない場合には、% = 重量パーセント)
試験1:
線虫(プラチレンクス(Pratylenchus種))を感染させた畑内にトマト植物を移植し、そして、移植から1、14、27及び40日後に下記表Iに示された処理手段で処理する。1植物体当たり100 mlの噴霧溶液を含浸させることにより、生成物を適用する。区画サイズは、4つの複製を含んで24 m2である。収穫時(最大19週間後)に、全てのトマトを集め、秤量する。照合基準は未処理対照である。
【0107】
【表8】

【0108】
試験2:
線虫(プラチレンクス(Pratylenchus種))を感染させた畑内にトマト植物を移植し、そして、移植から1、14、27及び40日後に下記表IIに示された処理手段で処理する。1植物体当たり100 mlの噴霧溶液を含浸させることにより、生成物を適用する。区画サイズは、4つの複製を含んで24 m2である。収穫時(最大19週間後)に、全てのトマトを集め、秤量する。照合基準は未処理対照である。
【0109】
【表9】

【0110】
試験3:
線虫(メロイドジン(Meloidogyne種))を感染させた畑内にトマト植物を移植し、そして、移植から1、18、32及び46日後に下記表IIIに示された処理手段で処理する。1植物体当たり100 mlの噴霧溶液を含浸させることにより、生成物を適用する。区画サイズは、4つの複製を含んで36.7 m2である。収穫時(最大19週間後)に、全てのトマトを集め、秤量する。照合基準は未処理対照である。
【0111】
【表10】

【0112】
試験4:
線虫(メロイドジン(Meloidogyne種))を感染させた畑内にトマト植物を移植し、そして、移植から1、18、32及び46日後に下記表IVに示された処理手段で処理する。1植物体当たり100 mlの噴霧溶液を含浸させることにより、生成物を適用する。区画サイズは、4つの複製を含んで42.7 m2である。収穫時(最大19週間後)に、全てのトマトを集め、秤量する。照合基準は未処理対照である。
【0113】
【表11】

【0114】
試験5:
110グラムの乾燥砂土をプラスチック・カップ内に入れる。所与の濃度(ppm)の化学薬品を含有する25 mlの水を土壌に添加することにより、土壌を処理する。土壌と水とを注意深く混合し、そしてその後、メロイドジンの12000個の卵を含有する1 mlの水を添加する。インキュベーションから15日後に、砂を篩にかけ、そして水道水ですすぐことにより、試料の生きた第2段階線虫を分析する。すすぎ液量を20 mlに調節する。この20 mlから、1 mlの3試料を採取し、そしてカウンティング・チャンバーを使用して、線虫をカウントする。
【0115】
【表12】

【0116】
試験6:
50グラムの乾燥粘土質土壌をプラスチック・カップ内に入れる。所与の濃度(ppm)の化学薬品を含有する50 mlの水を土壌に添加することにより、土壌を処理する。土壌と水とを注意深く混合し、そしてその後、メロイドジンの10000個の卵を含有する1 mlの水を添加する。インキュベーションから15日後に、粘度を篩にかけ、そして水道水ですすぐことにより、試料の生きた第2段階線虫を分析する。すすぎ液量を20 mlに調節する。この20 mlから、1 mlの3試料を採取し、そしてカウンティング・チャンバーを使用して、線虫をカウントする。
【0117】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物繁殖材料及び後で成長する植物器官に対する、線虫綱の代表による損傷を低減する方法であって、該方法は、(i)該繁殖材料を、該材料が播種又は植え付けされる前に、(A)キレート剤、及び任意には(B)大環状ラクトン化合物又は他の農薬で処理し、又は(ii)該材料又は(i)で定義された処理済材料の場所に、該材料の植え付け前、及び/又はその植え付け時、及び/又はその成長中に(A)キレート剤、及び任意には(B)大環状ラクトン化合物又は他の農薬を適用することを含む、植物繁殖材料及び後で成長する植物器官に対する、線虫綱の代表による損傷を低減する方法。
【請求項2】
該植物繁殖材料が、作物野菜、柑橘類、大豆、綿、トウモロコシ、ジャガイモ、甜菜、サトウキビ、及び穀物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該植物繁殖材料が種子である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
キレート剤が2つ以上のカルボン酸基を有する化合物である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該キレート剤が、アミノポリカルボン酸、脂肪族カルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸から選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該キレート剤が、メタル化されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該メタル化キレート剤が鉄キレートである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1種又は2種以上の農薬が、該処理(i)、又は該適用(ii)の際に、キレート剤との組み合わせで存在する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該農薬が線虫駆除剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該農薬が、アバメクチン、カルバメート線虫駆除剤(例えばアルジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、オキサミル、アルドキシカルブ、エトプロプ・ベノミル、アラニカルブ)、有機リン線虫駆除剤(例えばフェナミフォス、フェナミフォス、フェンスルホチオン、テルブフォス、フォスチアゼート、ホスフォカルブ、ジクロフェンチオン、イサミドフォス、フォスチエタン、イサゾフォス、エトプロフォス、カドゥサフォス、クロルピリフォス、ヘテロフォス、イサミドフォス、メカルフォン、ホレート、チオナジン、トリアゾフォス、ジアミダフォス、フォスファミドン)、臭化メチル、ヨウ化メチル、二硫化炭素、1,3-ジクロロプロペン、クロロピクリン、サイトカイニン、ダゾメット、DCIP、二臭化エチレン、GY-81、メタム、メチルイソシアネート、ミロテシウム・ベルカリア組成物、フルピラゾフォス、ベンクロチアズ、[2-シアノイミノ-3-エチルイミダゾリジン-1-イル]ホスホノチオ酸O-エチルS-プロピルエステル、及びバチルス・フィルムスである、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の(i)及び(ii)を含む、植物の成長を改善する方法。
【請求項12】
植物に向かう土壌生息性の害虫を農薬によって駆除するのを改善する方法であって、該方法が、(i)該繁殖材料を、該材料が播種又は植え付けされる前に、(A)キレート剤、及び(B)大環状ラクトン化合物又は他の農薬で処理し、又は(ii)該材料又は(i)で定義された処理済材料の場所に、該材料の植え付け前、及び/又はその植え付け時、及び/又はその成長中に(A)キレート剤、及び(B)大環状ラクトン化合物又は他の農薬を適用することを含む、植物に向かう土壌生息性の害虫を農薬によって駆除するのを改善する方法。
【請求項13】
作物の場所に適用するための、又は植物繁殖材料を処理するための農業化学組成物であって、活性成分としてアバメクチンとN-ホスホノメチル・バリンとから成る組成物が除外されることを条件として、(A)キレート剤及び(B)1種又は2種以上の農薬(例えば殺虫剤、線虫駆除剤、ダニ駆除剤)を含む、農業化学組成物。
【請求項14】
該農薬が、請求項9又は10に記載されている通りである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
該キレート剤が、請求項4から7までのいずれか1項に記載されている通りである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
植物繁殖材料及び後で成長する植物器官を、線虫綱の代表による攻撃から保護する方法であって、該方法は、(i)該繁殖材料を、該材料が播種又は植え付けされる前に、(A)キレート剤、及び(B)線虫駆除剤で処理し、又は(ii)該材料又は(i)で定義された処理済材料の場所に、該材料の植え付け前、及び/又はその植え付け時、及び/又はその成長中に(A)キレート剤、及び(B)線虫駆除剤を適用することを含む、植物繁殖材料及び後で成長する植物器官を、線虫綱の代表による攻撃から保護する方法。
【請求項17】
(A)キレート剤及び(B)線虫駆除剤が付着させられた、植物繁殖材料、好ましくは、線虫抵抗性の植物繁殖材料。

【公表番号】特表2008−501664(P2008−501664A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513878(P2007−513878)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006057
【国際公開番号】WO2005/120232
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】