説明

締付工具

【課題】 管継手のねじ締結体のボルト及びナットの締め付け作業を容易にかつ短時間で効率良く行うことが可能な締付工具を提供する。
【解決手段】 本体2と、該本体2に設けられる第1ソケット取付部4と、該本体2の前記第1ソケット取付部4に対向する位置に設けられるとともに、前記第1ソケット取付部4の方向に進退可能な締付ねじ8と、前記締付ねじ8の先端に設けられる第2ソケット取付部12と、前記第1ソケット取付部4に着脱可能に取り付けられるとともに、ねじ締結体30のボルト31の頭部又はナット33の何れか一方を嵌合可能な第1ソケット15と、前記第2ソケット取付部12に着脱可能に取り付けられるとともに、前記ねじ締結体30のボルト31の頭部又はナット33の何れか他方を嵌合可能な第2ソケット18とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締付工具に関し、特に、2つの管部材間を水密かつ伸縮自在に接続する管継手のねじ締結体の締付作業に有効な締付工具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水力発電所においては、高所の水槽や貯水池等に貯水した水を、山の斜面等を利用して敷設した導水路を介して低所の水車に導き、水車を駆動することによって水車に直結された発電機を介して発電することが行われている。
【0003】
このような水力発電所の導水路には、水車を停止したときの落差に相当する静水圧と、管内の流速の変化によって生じる水撃圧が作用するため、それらの圧力に十分に耐え得る強度を有するPCコンクリート管や鋼製の水圧鉄管等が使用されている。
【0004】
水圧鉄管を導水路に使用する場合には、季節や昼夜の外気温や水温の変化によって水圧鉄管が伸縮し、水車やその付帯設備等に悪影響を与えるおそれがあるため、通常、複数の水圧鉄管を管継手を介して水密かつ伸縮自在に接続し、管継手によって各水圧鉄管の伸縮を吸収することで、水車やその付帯設備等に悪影響が及ぶのを防止している。
【0005】
このように2つの水圧鉄管間を水密かつ伸縮自在に接続する管継手の一例が特許文献1、2に記載されている。
この管継手は、隣接する2つの水圧鉄管の接続端部間の外周側に被嵌されるとともに、軸方向の一端部が一方の水圧鉄管の接続端部外周側に溶接によって一体に固定される筒状のスリーブと、スリーブの内周面と他方の水圧鉄管の外周面との間に形成されるスタフィングボックス内に詰め込まれるグラウンドパッキンと、他方の水圧鉄管の外周面にスライド可能に設けられるとともに、先端部でグラウンドパッキンをスタフィングボックスの内方に押圧する筒状のパッキン押えと、スリーブの軸方向の他端部とパッキン押えの後端部との間を周方向に所定の間隔ごとに締結する複数のねじ締結体とを備えている。
【0006】
このような構成の管継手にあっては、ねじ締結体のボルトとナットとを所定のトルクで締め付け、パッキン押えの先端部でグランドパッキンをスタフィングボックスの内方に押圧し、グラウンドパッキン内外周面を水圧鉄管の外周面及びスリーブの内周面に圧接することにより、隣接する2つの水圧鉄管間をシールするとともに、両水圧鉄管を伸縮自在に接続することができる。
【0007】
そして、上記のような構成の管継手を用いた導水路にあっては、季節や昼夜の外気温や水温の変化によって各水圧鉄管が伸縮を繰り返すことにより、管継手のグラウンドパッキンが摩耗し、グラウンドパッキンのシール性が次第に低下し、隣接する2つの水圧鉄管の接続端部間から水漏れが生じることがある。
【0008】
このため、定期的に管継手のねじ締結体のボルト及びナットを増し締めし、グランドパッキンの水圧鉄管及びスリーブへの圧接力を回復させ、隣接する2つの水圧鉄管の接続端部間からの水漏れを止めるメンテナンスが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−229267号公報
【特許文献2】特開2008−175314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記のような構成の管継手のねじ締結体のボルト及びナットを増し締めする場合、例えば、片方の手でボルトの頭部をスパナ、ソケットレンチ、ボックスレンチ等で固定し、もう一方の手でナットをスパナ、ソケットレンチ、ボックスレンチ等で増し締めしているが、この増し締め作業を、導水管が敷設されている傾斜面で不安定な姿勢で行わなければならない。また、雨天等の劣悪な環境下でも行わなければならない。さらに、各管継手のねじ締結体のボルト及びナットに対してそれぞれ増し締め作業を行わなければならない。さらに、各ねじ締結体のボルト及びナットの大きさが異なる場合には、それに対応したスパナ、ソケットレンチ、ボックスレンチ等に交換して増し締め作業を行わなければならない。このため、管継手のねじ締結体のボルト及びナットの増し締め作業に時間と手間が非常にかかり、また、作業者の負担も大きいものであった。
【0011】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、管継手のねじ締結体のボルト及びナットの増し締め作業を容易に短時間で行うことができるとともに、増し締め作業を行う作業者の負担を軽減させることができる締付工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、本体と、該本体に設けられる第1ソケット取付部と、該本体の前記第1ソケット取付部に対向する位置に設けられるとともに、前記第1ソケット取付部の方向に進退可能な締付ねじと、前記締付ねじの先端に設けられる第2ソケット取付部と、前記第1ソケット取付部に着脱可能に取り付けられるとともに、ねじ締結体のボルトの頭部又はナットの何れか一方を嵌合可能な第1ソケットと、前記第2ソケット取付部に着脱可能に取り付けられるとともに、前記ねじ締結体のボルトの頭部又はナットの何れか他方を嵌合可能な第2ソケットとを備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明の締付工具によれば、例えば、水力発電所の導水管を構成する隣接する2つの水圧管を水密かつ伸縮自在に接続する管継手のメンテナンスに用いる場合には、第1ソケット取付部に第1ソケットを取り付け、第2ソケット取付部に第2ソケットを取り付け、ハンドルを介して締付ねじを回転させて、締付ねじを前進又は後退させて第1ソケットと第2ソケットとの間隔を調整し、第1ソケットに管継手のねじ締結体のボルトの頭部又はナットの何れか一方を嵌合させ、第2ソケットに管継手のねじ締結体のボルトの頭部又はナットの何れか他方を嵌合させる。そして、ハンドルを回して締付ねじを前進させて、ねじ締結体のボルト及びナットを増し締めすることにより、管継手のグランドパッキンの圧接力を調整することができる。従って、ねじ締結体のボルトの頭部をスパナ、ソケットレンチ、ボックスレンチ等で固定し、ねじ締結体のナットをスパナ、ソケットレンチ、ボックスレンチ等で締め付けるような煩雑な作業が不要となるので、ねじ締結体のボルト及びナットの増し締め作業を容易に短時間で行うことができ、作業者の負担を大幅に軽減させることができる。
【0014】
また、本発明において、前記本体はC型又はコ型をなし、該本体の開口部の一端に前記第1ソケット取付部が設けられ、他端に前記締付ねじが設けられていることとしてもよい。
【0015】
さらに、本発明において、前記第1ソケット及び前記第2ソケットは、前記ねじ締結体のボルトの頭部又はナットを嵌合させるソケット部を有していることとしてもよい。
【0016】
また、本発明において、前記第1ソケット取付部及び前記第2ソケット取付部には、凸部又は凹部が設けられ、前記第1ソケット及び前記第2ソケットには、前記第1ソケット取付部及び前記第2ソケット取付部の凸部又は凹部と嵌合可能な凹部又は凸部が設けられていることとしてもよい。
【0017】
本発明の締付工具によれば、ねじ締結体のボルト及びナットの大きさに応じた第1ソケット及び第2ソケットを使用し、第1ソケット取付部の凸部又は凹部と第1ソケットの凹部又は凸部とを嵌合させ、第2ソケット取付部の凸部又は凹部と第2ソケットの凹部又は凸部とを嵌合させることで、第1ソケット取付部に第1ソケットを取り付け、第2ソケット取付部に第2ソケットを取り付けることができる。
従って、ねじ締結体のボルト及びナットの大きさに応じた第1ソケット及び第2ソケットを用いることにより、大きさの異なるボルト及びナットの増し締め作業に対応することができる。
【0018】
さらに、本発明において、前記第1ソケット及び第2ソケットには、マーキング剤が充填可能に構成されていることとしてもよい。
【0019】
本発明の締付工具によれば、第1ソケット及び第2ソケットに充填したマーキング剤をねじ締結体のボルトの頭部又はナットに付着させることにより、ねじ締結体のボルト及びナットの増し締めを完了したか否かの判断を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明の締付工具によれば、例えば、水力発電所の導水管を構成する隣接する2つの水圧管間を水密かつ伸縮自在に接続する管継手のねじ締結体のボルト及びナットの増し締め作業に適用した場合に、ボルト及びナットの増し締め作業を容易に短時間で行うことができるとともに、作業者の負担を大幅に軽減させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による締付工具の一実施の形態の全体を示した概略図である。
【図2】図1の締付工具の使用状態を示した説明図である。
【図3】第1ソケット及び第2ソケットを示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図3には、本発明による締付工具の一実施の形態が示されている。図1は締付工具の全体の概略図、図2は図1の締付工具の使用状態を示す説明図、図3は第1ソケット及び第2ソケットの概略図である。
【0023】
すなわち、本実施の形態の締付工具1は、図2に示すように、例えば、水力発電所の導水路を構成する複数の水圧鉄管の隣接する2つの水圧鉄管35、37間を水密かつ伸縮自在に接続する管継手21のメンテナンスに有効なものである。
【0024】
管継手21は、図2に示すように、隣接する2つの水圧鉄管35、37の接続端部36、38間の外周側に設けられるとともに、軸方向の一端部が一方の水圧鉄管35の接続端部36外周面に溶接によって一体に固定される筒状のスリーブと22、スリーブ22の内周面と他方の水圧鉄管37の接続端部38外周面との間に形成されるスタフィングボックス24内に詰め込まれるグランドパッキン27と、他方の水圧鉄管37の接続端部38外周面に管軸方向にスライド自在に設けられるとともに、軸方向の一端部(先端部)でグランドパッキン27をスタフィングボックス24の内方に押圧する筒状のパッキン押え25と、スリーブ22の軸方向の他端部とパッキン押え25の軸方向の他端部(後端部)との間を周方向に所定の間隔ごとに締結する複数のねじ締結体と30を備えている。
【0025】
スリーブ22の軸方向の他端部には、径方向外方に環状に張り出るフランジ23が一体に設けられ、このフランジ23には、周方向に所定の間隔ごとに複数のねじ挿通孔(図示せず)が貫通した状態で設けられている。
【0026】
パッキン押え25の軸方向の他端部(後端部)には、径方向外方に環状に張り出るフランジ26が一体に設けられ、このフランジ26には、周方向に所定の間隔ごとに複数のねじ挿通孔(図示せず)が貫通した状態で設けられている。
【0027】
ねじ締結体30は、スリーブ22のフランジ23のねじ挿通孔及びパッキン押え25のフランジ26のねじ挿通孔をスリーブ22側から挿通するボルト31と、パッキン押え25のフランジ26のねじ挿通孔から突出したボルト31の部分に螺着されるナット33とから構成されている。
【0028】
ねじ締結体30のボルト31及びナット33を締め付けることにより、パッキン押え25の先端部でグランドパッキン27をスタフィングボックス24の内方に押圧することができ、グランドパッキン27の内外周面を他方の水圧鉄管37の外周面及びスリーブ22の内周面に圧接させることができる。
【0029】
上記のような構成のねじ締結体30の締め付けに用いられる本実施の形態の締付工具1は、図1及び図2に示すように、C型状の本体2と、本体2の開口部3の一端に設けられる第1ソケット取付部4と、本体2の開口部3の他端に第1ソケット取付部4に対向して設けられる筒状の雌ねじ部7と、雌ねじ部7に回転可能、かつ第1ソケット取付部4の方向に前進後退可能に螺着される丸棒状の締付ねじ8と、締付ねじ8の先端に設けられる第2ソケット取付部12と、締付ねじ8の後端に設けられるハンドル10と、第1ソケット取付部4に着脱自在に取り付けられる第1ソケット15と、第2ソケット取付部12に着脱自在に取り付けられる第2ソケット18とを備えている。
【0030】
第1ソケット取付部4は、本体2の開口部3の一端に一体に設けられる円錐台形状の台座部5と、この台座部5の上面中央部に一体に設けられる、開口部3の他端方向に突出する角柱状の凸部6とから構成され、第1ソケット取付部4の凸部6と後述する第1ソケット15の凹部17とを相互に嵌合させることにより、第1ソケット取付部4に第1ソケット15が着脱自在に取り付けられる。
【0031】
雌ねじ部7は、内周面に雌ねじ(図示せず)が螺設される筒状をなすものであって、軸線が第1ソケット取付部4の凸部6の軸線と一致するように、本体2の開口部3の他端に一体に設けられ、この雌ねじ部7の雌ねじに締付ねじ8が回転可能、かつ第1ソケット取付部4の方向に前進後退可能に螺着されている。
【0032】
第2ソケット取付部12は、締付ねじ8の先端に一体に設けられる円錐台形状の台座部13と、この台座部13の上面中央部に一体に設けられる、第1ソケット取付部4の方向に突出する角柱状の凸部14とから構成され、この第2ソケット取付部12の凸部14と後述する第2ソケット18の凹部20とを相互に嵌合させることにより、第2ソケット取付部12に第2ソケット18が着脱自在に取り付けられる。
【0033】
締付ねじ8の軸方向の後端部には、ハンドル支持部9が一体に設けられ、このハンドル支持部9には、締付ねじ8の軸線と直交する方向に貫通するスライド孔(図示せず)が設けられ、このスライド孔内にハンドル10がスライド自在に挿着されている。ハンドル10の両端部には、スライド孔よりも大径のストッパー部11がそれぞれ一体に設けられ、これらのストッパー部11、11によってハンドル10がスライド孔から脱落するのが防止されている。
【0034】
第1ソケット15は、図3に示すように、円筒状をなすものであって、一端側に内周面を六角形状に面取りして構成したソケット部16が設けられ、他端側に内周面を四角形状に面取りして構成した凹部17が設けられ、この第1ソケット15の凹部17と第1ソケット取付部4の凸部6とを相互に嵌合させることにより、第1ソケット取付部4に着脱自在に取り付けられる。
【0035】
なお、円筒状の第1ソケット15の内周側を隔壁(図示せず)によって一端側と他端側とに区画し、一端側の内周面を六角形状に面取りして、その部分に底部が隔壁によって閉塞されたボックス部を形成し、他端側の内周面を四角形状に面取りして、その部分に底部が隔壁によって閉塞された凹部を形成するように構成してもよい。この場合、ボックス部の内部に塗料等のマーキング剤を充填しておくことにより、このマーキング剤をねじ締結体のボルトの頭部又はナットに付着させることができる。
【0036】
第2ソケット18は、図3に示すように、円筒状をなすものであって、一端側に内周面を六角形状に面取りして構成したソケット部19が設けられ、他端側に内周面を四角形状に面取りして構成した凹部20が設けられ、この第2ソケット18の凹部20と第2ソケット取付部12の凸部14とを相互に嵌合させることにより、第2ソケット取付部12に着脱自在に取り付けられる。
【0037】
なお、第2ソケット18の内周側を隔壁によって一端側と他端側とに区画し、一端側の内周面を六角形状に面取りして、その部分に底部が隔壁によって閉塞されたボックス部を形成し、他端側の内周面を四角形状に面取りして、その部分に底部が隔壁によって閉塞された凹部を形成するように構成してもよい。この場合、ボックス部の内部に塗料等のマーキング剤を充填しておくことにより、このマーキング剤をねじ締結体のボルトの頭部又はナットに付着させることができる。
【0038】
なお、第1ソケット取付部4の凸部6と第2ソケット取付部12の凸部14とを同一形状、大きさに形成し、第1ソケット15の凹部17と第2ソケット18の凹部と20を同一形状、大きさに形成することにより、第1ソケット15及び第2ソケット18を第1ソケット取付部4及び第2ソケット取付部12の両方に取り付け可能に構成してもよい。
【0039】
そして、上記のように構成した本実施の形態の締付工具1によって管継手21のねじ締結体30の増し締めを行うには、図2に示すように、ねじ締結体30のボルト31の頭部32に合致した大きさのソケット部16を有する第1ソケット15を用意し、ナット33に合致した大きさのソケット部19を有する第2ソケット18を用意し、第1ソケット15を本体2の第1ソケット取付部4に取り付け、第2ソケット18を第2ソケット取付部12に取り付け、ハンドル10を介して締付ねじ8を回転させて締付ねじ8を前進又は後退させることにより、第1ソケット15と第2ソケット18との間の間隔をねじ締結体8のボルト31の長さに合わせる。
【0040】
次に、第1ソケット15のソケット部16にねじ締結体30のボルト31の頭部32を嵌合させ、第2ソケット18のソケット部19にナット33を嵌合させ、ハンドル10を介して締付ねじ8を回転させて前進させることによりボルト31及びナット33を増し締めし、パッキン押え25を水圧鉄管37の外周面上をスライドさせて、パッキン押え25の先端部でグランドパッキン27をスタフィングボックス24の内方に押圧して圧縮し、グランドパッキン27の内周面を水圧鉄管37の外周面に圧接させ、グランドパッキン27の外周面をスリーブ2の内周面に圧接させる。
なお、第1ソケット15のソケット部16にねじ締結体30のナット33を嵌合させ、第2ソケット18のソケット部19にボルト31の頭部32を嵌合させるように構成してもよい。
【0041】
そして、上記のような作業を管継手21の各ねじ締結体30のボルト31及びナット33に対して行い、管継手21の全てのねじ締結体30のボルト31及びナット33の増し締めを行うことにより、グラウンドパッキン27と水圧鉄管27の外周面との間のシール性、及びグランドパッキン27とスリーブ22との間のシール性を回復させることができ、隣接する水圧鉄管35、37の接続端部36、38間から水漏れが生じていた場合には、その水漏れを止めることができる。
【0042】
上記のように構成した本実施の形態の締付工具1にあっては、本体2の開口部3の一端に第1ソケット取付部4を設け、他端に締付ねじ8を前進後退可能に設け、締付ねじ8の先端に第2ソケット取付部12を設け、第1ソケット取付部4に第1ソケット15を着脱自在に取り付け、第2ソケット取付部12に第2ソケット18を着脱自在に取り付け、第1ソケット15にねじ締結体30のボルト31の頭部32を嵌合させ、第2ソケット18にねじ締結体30のナット33を嵌合させ、締付ねじ8をハンドル10を介して回転させることにより、ねじ締結体30のボルト31及びナット33を締め付けるように構成したので、従来のように、片方の手でスパナ、ソケットレンチ、ボックスレンチ等によってねじ締結体30のボルト31を固定しながら、もう一方の手でスパナ、ソケットレンチ、ボックスレンチ等によってねじ締結体30のナット33を増し締めするような煩雑な作業が不要となる。
【0043】
すなわち、隣接する2つの水圧鉄管間35、37を水密にかつ伸縮自在に接続する管継手21の各ねじ締結体30のボルト31及びナット33の増し締め作業を、容易に短時間で行うことができ、作業者の負担を大幅に軽減させることができる。
【0044】
なお、図示はしないが、第1ソケット15及び第2ソケット18として、底部が塞がれたボックス部を有するタイプのものを用いた場合には、ボックス部の内部にマーキング剤を充填しておくことにより、増し締めが完了したねじ締結体30のボルト31の頭部32及びナット33にマーキング剤を付着させることができ、増し締めが完了したか否かの管理が容易となる。
【0045】
また、前記の説明においては、水力発電所の導水路を構成する隣接する2つの水圧鉄管35、37の接続端部36、38間を接続する管継手21のねじ締結体30の増し締めに本発明を適用したが、水力発電所の導水路の水圧鉄管に限らず、他の各種の管状部材の接続に本発明を適用してもよいものであり、その場合にも同様の作用効果を奏する。
【0046】
さらに、前記の説明においては、第1ソケット取付部4に凸部6を設け、第1ソケット15に凹部17を設け、第1ソケット取付部4の凸部6と第1ソケット15の凹部17とを嵌合させたが、第1ソケット取付部4に凹部を設け、第1ソケット15に凸部を設け、第1ソケット取付部4の凹部と第1ソケット15の凸部とを嵌合させるように構成してもよい。
【0047】
さらに、前記の説明においては、第2ソケット取付部12に凸部14を設け、第2ソケット18に凹部20を設け、第2ソケット取付部12の凸部14と第2ソケット18の凹部20とを嵌合させたが、第2ソケット取付部12に凹部を設け、第2ソケット18に凸部を設け、第2ソケット取付部12の凹部と第2ソケット18の凸部とを嵌合させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 締付工具
2 本体
3 開口部
4 第1ソケット取付部
5 台座部
6 凸部
7 雌ねじ部
8 締付ねじ
9 ハンドル支持部
10 ハンドル
11 ストッパー部
12 第2ソケット取付部
13 台座部
14 凸部
15 第1ソケット
16 ソケット部
17 凹部
18 第2ソケット
19 ソケット部
20 凹部
21 管継手
22 スリーブ
23 フランジ
24 スタフィングボックス
25 パッキン押え
26 フランジ
27 グランドパッキン
30 ねじ締結体
31 ボルト
32 頭部
33 ナット
35 一方の水圧鉄管
36 接続端部
37 他方の水圧鉄管
38 接続端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、該本体に設けられる第1ソケット取付部と、該本体の前記第1ソケット取付部に対向する位置に設けられるとともに、前記第1ソケット取付部の方向に進退可能な締付ねじと、前記締付ねじの先端に設けられる第2ソケット取付部と、前記第1ソケット取付部に着脱可能に取り付けられるとともに、ねじ締結体のボルトの頭部又はナットの何れか一方を嵌合可能な第1ソケットと、前記第2ソケット取付部に着脱可能に取り付けられるとともに、前記ねじ締結体のボルトの頭部又はナットの何れか他方を嵌合可能な第2ソケットとを備えていることを特徴とする締付工具。
【請求項2】
前記本体はC型又はコ型をなし、該本体の開口部の一端に前記第1ソケット取付部が設けられ、他端に前記締付ねじが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の締付工具。
【請求項3】
前記第1ソケット及び前記第2ソケットは、前記ねじ締結体のボルトの頭部又はナットを嵌合させるソケット部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の締付工具。
【請求項4】
前記第1ソケット取付部及び前記第2ソケット取付部には、凸部又は凹部が設けられ、前記第1ソケット及び前記第2ソケットには、前記第1ソケット取付部及び前記第2ソケット取付部の凸部又は凹部と嵌合可能な凹部又は凸部が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の締付工具。
【請求項5】
前記第1ソケット及び第2ソケットには、マーキング剤が充填可能に構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の締付工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−93026(P2011−93026A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248124(P2009−248124)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)