説明

編機又はループ形成機械のための引取コーム

【課題】編機又はループ形成機械のための単純化された引取コームを提供する。
【解決手段】特に横編機又はループ形成機械のための引取コームは、湾曲シートメタル部品のみからなるベッド(19)に保持された多数の引取要素を有する。引取要素(10)は、クローザレッジ(35)によってシフトする閉要素(15)を有する。クローザレッジ(35)、及びオプションで当該レッジに割り当てられるスライダ(45)も好ましくは湾曲シートメタル部品である。従って、このように構成される引取コーム(7)は経済的で簡単に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編機又はループ形成機械のための引取コームに関する。
【背景技術】
【0002】
編機又はループ形成機械では、ループ形成操作後にステッチが針から取られなければならない。そうするために、引取コームが編物の始めにしばしば使用される。このコームは、第1の列のステッチを捕捉し、この第1の列のステッチを制御された様式で編み位置から取り出すために使用される。
【0003】
このような引取コームは、例えば特許文献1から知られている。そこでは、コームは2つのニードルベッドの間に形成されたコームギャップの下に位置し、当該ベッドに入り込める。そのベースボディとして、この引取コームは引取ニードル保持部を示す縦長形材ボディからなる。これは互いに平行に配置された一列の針溝を具備し、そこに引取ニードルが着座している。それぞれの引取ニードルは、スライダがスライドするように保持されたニードルボディを有する。横断レッジはスライダの端部を保持し、針の縦方向に互いに関して同期した態様でそれらを移動させる。そうすることで、針のフックが開閉する。横断レッジはロッカーを有するカムプレートにより調節される。ロッカーはカムプレートの縦運動を横断レッジに伝達される横断運動に変換する。
【0004】
この引取コームの製造は比較的高い。これは、そのサポートと閉要素の位置決めなどの、このような引取コームに必要な正確な仕様により証明される。
【0005】
【特許文献1】DE4003667A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これを考慮して、本発明の目的は、編機又はループ形成機械のための単純化された引取コームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、引取要素を保持するための保持装置を有する本発明の引取コームにより達成される。好ましくは、保持装置は、例えば、シャフトの長手方向に互いから距離を置いた2つの歯ペアのそれぞれの2つの歯の間の、当該シャフトの縦方向に互いから距離を置いた位置でシャフトを収容し、好ましくは平坦な締付面(例えば、位置決め金属板及び整列金属板の平坦な側面)の間で保持要素のシャフトを締付ける。保持装置は主に湾曲シートメタル部品(ベントシートメタル部品)からなる。湾曲シートメタル部品は、オプションで保持金属板を具備したガーダー(桁)を表す。加えて、引取コームは、湾曲シートメタル部品として設計されたクローザレッジを有する。引取要素の保持部として機能するように使用されるガーダーはシートメタル、例えばシートスチールからなる。第1実施形態に関しては、当該保持部は屈曲部分を有し、その間に引取要素が保持される。第2実施形態に関しては、当該保持部は、引取要素を整列するための屈曲部分を具備した保持金属板を支持する。
【0008】
屈曲部分は、互いに平行な少なくとも2つの列を形成する。その結果、引取要素は従来技術の場合のように、もはや針溝に着座せず、縦方向に互いから短い距離を隔てたそれらのシャフトの位置で保持されるだけである。これらの支持位置の長さは、支持部(又は、場合によっては、保持金属板)が作られるメタルシートの厚さに対応する。
【0009】
いわゆる当業者は、精度要件と製造すべき製品の数を考慮して、湾曲シートメタル部品の製造のために製造プロセスの広範な範囲でそれらを利用できる。これらは、穿孔プロセス、屈曲プロセス、及び例えばレーザ切断・屈曲プロセスなどの穿孔−屈曲プロセスを含む。
【0010】
ガーダー及び/又は保持金属板は、例えば切欠を有する屈曲エッジで形成される屈曲部分を有する。エッジの固定部品はフィンガーを形成し、これらフィンガーの間に引取要素を収容するための隙間が残る。
【0011】
例えば、このようなフィンガー又は舌片を作り又は外側に曲げるために、ガーダー又は保持金属板のU形部分を使用することも可能である。また、この場合、隣接するフィンガーの間に隙間が形成されてもよい。当該隙間は引取要素を収容する働きをする。この際、引取要素は平らに寝て収容されると好ましい。例えば、2つの大きめの平坦側面と2つの細めの平坦側面で境界付けられる長方形断面を有する。この場合、大きめの平坦側面は共通の平面に水平に配置されると好ましい。これにより、針ギャップが非常に狭いときでも引取コームが使用できるという利点が得られる。
【0012】
互いに対して引取要素を配列するために、整列金属板が設置される。これは、例えば、保持金属板及び/又は保持部の屈曲部分の2つの列の間に位置したメタルストリップとして設計され、好ましくは平坦な上側側面を有する。引取コームの実施形態に依存して、引取要素の細い側面又は大きい平坦側面は当該上側側面に当接する。
【0013】
ガーダーは保持金属板と共に又は保持金属板自体は、引取要素の間隔を置いて離れた部分と協働する、2つの平行な列の屈曲部分を有する。従って、引取要素は、ペアで共に2つの隙間を画定する4つの屈曲部分の間に保持される。
【0014】
当該屈曲部分は保持部又は別個の保持金属板に直接形成される。1つの列の屈曲部分をガーダーに形成し、別な列を保持金属板に形成することも可能である。引取要素が少なくとも2つの列のコーム状に配置された屈曲部分に割り当てられ、その間に当該引取要素が支持されることだけが重要である。言い換えれば、引取要素は平行な列の溝及び隙間に支持され、それぞれは互いから距離を置いた位置に支持されている。
【0015】
しかしながら必要に応じて、引取要素の収容のために隙間が設けられた少なくとも1つの列の屈曲部分を有する位置決め金属板を設置することも可能である。この位置決め金属板は引取要素上に平らに載り、当該要素に対して応力を加えられ、当該要素をその位置に保持する。応力付加方向は屈曲部分の方向に固定される。それに代えて又は加えて、引取要素と屈曲部分の間の遊びを取り除くために、保持金属板はその縦方向、すなわち引取要素に対して屈曲部分の横断方向に応力を加えられてもよい。このようにして、引取要素の良好な整列が簡単な手段で実現される。保持金属板の屈曲部分は、引取要素をそれらのフットに縦方向に最小の遊びを有して又は有さず、保持する働きもする。それに代えて、この目的のために屈曲部分が保持金属板又はガーダーに設置されてもよい。
【0016】
好ましくは、引取要素は2つの部品から作られ、これらはそれぞれ1つの基体と少なくとも1つの可動に支持された閉要素を有する。引取要素の基体は好ましくはガーダー又は保持金属板に固定して支持されるのに対し、閉要素は、閉要素の端部が保持された屈曲部分を好ましくは有する可動に支持されたクローザレッジに連結している。加えて、クローザレッジは、湾曲シートメタル部品として設計された位置決めレッジに割り当てられる。この位置決めレッジとクローザレッジは共に、閉要素のフットが支持される溝を画定する。ガーダー上のクローザレッジの移動はスライダにより行われる。スライダは例えば、湾曲シートメタル部品としても設計され、クローザレッジと位置決めレッジの間に形成された溝と係合する屈曲エッジを有する。当該スライダは当該溝内を縦に移動できるが、横運動を伝達する。ロッカーガイドはスライダの縦移動を当該スライダの横運動に変換することができる。当該運動はクローザレッジを介して閉要素に伝達される。
【0017】
ここで提案されるアイデアを用いることで、引取要素及びそれらの閉要素を除いて、またオプションで複数のねじ、リベット、ベアリング及び多種多様の小さい部品を除いて、シートメタル部品及び湾曲シートメタル部品から引取コームが製造される。湾曲シートメタル部品はシーム溶接がないと好ましい。しかしながら、湾曲シートメタル部品を含む他の部品を取り付けるために、又は湾曲シートメタル部品を互いに取り付けるために、スポット溶接又はシーム溶接を使用することもできる。
【0018】
別な実施形態に関しては、シートメタル部品及び湾曲シートメタル部品はプラスチック材料から作られる。この際、これらのプラスチック材料部品は、材料−材料結合、例えばスポット接合により互いに結合されると好ましい。
【0019】
前記のアイデアは、閉要素が、引取要素上で閉じたスペースを形成することなく、保持すべきステッチを掴む形状を有するように設計され、ステッチが当該スペースに保持される場合に利用できる。この場合、スライダは、ステッチを掴むフック状のステッチ捕捉部分を有する。
【0020】
引取要素は1つの平面に平らに寝て配置され、当該要素の細い側面は互いに向き合う。保持金属板、保持部及び/又は位置決め金属板の屈曲部分の間の隙間の適当に細い構成が使用される場合、引取要素はそれらの幅広い側面、すなわちそれらの大きめの平坦側面で互いに向き合うように、互いに隣接して配置される。経済的だが正確に製造できる引取コームを得るために、どちらのアイデアも使用できる。
【0021】
本発明に従う実施形態のさらなる有利な詳細及び変形は図面、対応する明細書及び/又は請求項から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に従う実施例は図面を用いて示される。
【0023】
図1では、引取装置1が、横編機として設計された編機及び2つのニードルベッド2,3に関連して示されている。ニードルベッド2,3のそれぞれは、それらに保持された針4,5と互いに平行なニードルチャネルを有する。当該針はラッチタイプ針又は複合針として設計され、編物を製造するために使用される。針4,5を駆動させるためのロックが設けられる。しかしながら、これらのロックは詳細には示されていない。コームギャップ6がニードルベッド2,3と針4,5の間に形成され、このギャップに、引取装置1に割り当てられた引取コーム7が下部から入り込んでいる。加えて、引取装置1は、例えば引取ローラ8,9の形状の別な引取手段を有しても良い。ローラはニードルベッド2,3の下に配置され、織物が引取コーム7により十分下方に動かされると織物と噛み合う。
【0024】
図2は、それ自体で引取コーム7を示す。この引取コームは一列の隣接する引取要素10を有し、これら要素は図2において区別するために、参照番号が付されている。引取要素10は互いに同じ構造を有する。図4は、他の全ての代表として引取要素10を示す。引取要素10はシャフトを備えた基体11を有する。シャフトは一方の端部12に糸持ち上げスペース13を有し、他方の端部に固定して引取要素10を保持するためにフット14を有する。基体11に機械加工されているのは、閉要素15に延びる溝(チャネル)である。この要素はスライダのように設計され、その一方の端部に閉突出部17を具備している。フット14は特定の縦のスライド移動のために使用される一方、閉突出部17は糸持ち上げスペース13を開閉するために使用される。端部12、糸持ち上げスペース13、閉突出部17の形状及びデザイン並びに引取要素10のさらなる細部は幅広い制限内において変更できることを指摘しておく。基本的に、糸持ち上げスペース13は引取要素10の基体11に対するスライダ要素15の移動により開閉される。図4の実施形態に関しては、この相対的な運動は、矢印18の方向における引取要素10のフット14に対する、スライダ要素15のフット16により生じる。別な様式で相対運動を作る他の実施形態も可能である。例えば、基体11をスライダ45に対して移動させることが可能である。
【0025】
図3は引取コーム7を示す。引取要素10を収容するベッド19が当該コームに設けられる。本発明では、引取要素10は水平に配置される、すなわち引取要素10の細い側面が互いに向き合う。加えて、糸持ち上げスペース13はそのそれぞれに隣接する引取要素に対して開いている。
【0026】
引取要素10のシャフトの対応部分はベッド19内にあり、引取要素10の保持部分20を形成する。ベッド19に割り当てられているのは、湾曲シートメタル部品として設計された保持金属板21である。この部品は同一形状を有してもよく、それに代えて屈曲部分を有する平坦なプラスチック材料部品として設計されてもよい。この部品は、やはり湾曲シートメタル部品として設計されたガーダー22に設置される。保持金属板21は好ましくは2つの平行な長くて細いエッジを有する平坦な後方部分を有し、エッジから屈曲部分23,24が突出している。屈曲部分23,24のそれぞれの間に、角度を付けて屈曲部分23,24を曲げる前又は後に設けられる隙間25,26がある。屈曲部分23,24は2つの真っ直ぐで平行な列を形成し、これらの列は、保持金属板21の平面中央部分から上方に、ほぼ直角に延在する。従って、保持金属板21は平らなU形を形成する。隙間25,26の幅は、引取要素10が最小の遊びを有して隙間に保持されるように寸法決めされる。これを実現するために、引取要素10は、隙間25,26の幅より大きい幅を有する部分(フット14)を有する。この結果として、エッジ55が引取要素10に形成され、当該エッジは、引取要素10を隙間25,26に挿入後、保持金属板21と当接する。よって、当該部分24は引取要素10のために当接表面を形成する。この結果、引取要素10は保持金属板21を介してガーダー22により支持される。
【0027】
保持金属板21に、整列金属板27が設置される。保持金属板はねじ、リベット、スポット溶接、シーム溶接、スポット接合又は他の接合手段により装着される。整列金属板27は、持ち上げ要素10を支持する平坦な上側側面を有すると好ましい。隙間25,26は、上側側面で画定される平面、すなわち整列金属板27の支持表面の下に延在する。従って、ガーダー22の大きい平坦側面に平行な引取要素10の配列は整列金属板27で決定される。引取要素10は、整列金属板27の細い側面に対して、70°〜110°、好ましくは90°の角度αで保持されると好ましい。引取要素10のこの配列は保持金属板21の歯で決定され、当該歯は屈曲部分23,24により形成される。
【0028】
固定金属板28は、整列金属板27に対して引取要素10に応力を加えるために使用される。固定金属板28は、整列金属板27に対して適当な締付手段の使用により応力付加されるべき、シートメタルの平坦な細片として設計される。同様な形状では、固定金属板28はそれに代えて屈曲部分のある又はない、平坦なプラスチック材料部品として設計されてもよい。締付手段の例は、一方の端部30で保持部22に締付けられた、細いシートメタルストリップの形状の1列の締付フィンガー29である。ねじ、リベット、溶接接合などが締付のために使用される。締付フィンガー29の他方の端部31は、固定金属板28を引取要素10の平坦側面に、従って引取要素10を整列金属板27に押し付ける。
【0029】
固定金属板28は、一方又は両方の側面に一列の屈曲部分32を具備し、その間に隙間33が形成される。これらの隙間33の幅は、引取要素10のフット幅14より小さい。当該部分32は、引取要素10と引取要素10の間に係合するフィンガーを形成する。この手法の結果、引取要素10のフット14はその位置に固定され、それで引取要素10の基体11は、それらが縦方向に移動できないように支持される。引取要素10は、エッジ55を介して(図4)、一方の方向に保持金属板21に当接し、エッジ56を介して、他の方向に固定金属板28に当接する。保持金属板21の隙間25,26及び固定金属板28の隙間33の幅より大きい幅を有する、引取要素10のフット14は、保持金属板21と固定金属板28の間で応力を加えられる。さらに、整列金属板27に向かう方向だけでなく、その縦方向にも圧力を加えるために固定金属板28を利用することも可能である。従って、引取要素10の基体11はそれぞれの隙間25,26の1つのフランクに押し付けられ、従ってそれらが遊びなく保持される。これを実現するために、固定金属板28は適切なテンショニング手段、ばね、カム、締付爪などにより連結される。これらの使用により、固定金属板28は所望の方向に押し込まれる。
【0030】
これまで説明した固定金属板28、保持金属板21及びガーダー22は引取要素10のための保持装置34を形成する。当該保持装置は湾曲シートメタル部品だけからなる。
【0031】
引取要素10を開閉するため、すなわち閉要素15を移動させるために、クローザレッジ35が設置される。当該レッジは湾曲シートメタル部品から作られてもよい。同じ形状において、当該部品はそれに代えて屈曲部分を備えた平坦なプラスチック材料部品として設計されてもよい。クローザレッジも同様に2つの屈曲エッジを有する平坦なU形ボディである。引取要素10に向いたエッジは、屈曲部分37の間に隙間36を形成する溝を具備している。閉要素15の端部は隙間36を通って延び、この場合フット16のエッジ57(図4)、隙間36の幅を超える幅を有する当該フットはクローザレッジ35の内側に当接する。従って、フット16は閉要素15の保持部分を形成する。フット16をクローザレッジ35に固定するために、位置決めレッジ38が内側スペースに配置される。位置決めレッジ38は固い形材からなるか、又は図示のように湾曲シートメタル部品からなる平らなU形からなってもよい。同じ形状で、位置決めレッジはそれに代えて屈曲部分を有する平坦なプラスチック材料部品として構成されてもよい。好ましくは、金属ストリップの使用が想定される。ここで、当該ストリップの両方のエッジはある角度で曲がっている。位置決めレッジ38は、例えば、リベット、ねじ又はスポット溶接などの適当な手段によりクローザレッジ35に連結される。クローザレッジ35の溝付きエッジと共に、当該位置決めレッジはフット16を収容するための第1溝39を画定し、反対側のエッジにより案内溝を画定する。この案内溝40はクローザレッジ35のエッジ41により一方の側面の境界を定められ、位置決めレッジ38のエッジ42により他方の側面の境界を定められる。位置決めレッジ38の反対側のエッジ43は、閉要素15の端面58(図4)の当接部として機能する。閉要素15は、クローザレッジ43の部分37と位置決めレッジ38のエッジ43との摩擦結合により保持される。
【0032】
クローザレッジ35は、保持金属板21に向かって及びそれから離れるように縦方向に対する横方向にガーダー22上を移動できる。従って、当該クローザレッジは、閉要素15を引取要素10の基体11に対してシフトさせ、従って糸取り上げスペース13を開閉することができる。
【0033】
クローザレッジ35の特定のシフト移動を実現するために、作動装置44が設けられる。当該装置は、例えば、湾曲シートメタル部品から作られたスライダ45を有する。同じ形状で、この部品はそれに代えて屈曲部分を有する平坦なプラスチック材料部品として構成されてもよい。スライダ45は2つのエッジ46,47を有し、これらは好ましくは同じ方向に屈曲し、異なる高さを有してもよい。エッジ46はガーダー22に支持されるのに対し、エッジ47は案内溝40内に延在し、最小の遊びでそこに収容される。スライダ44はガーダー22上に支持されるので、案内溝40に沿って移動することができる。当該スライダが移動するとき、クローザレッジ35は溝40に沿う縦移動に関与しない。従って、溝40とスライダ45のエッジ47は、縦移動に関してクローザレッジ35とスライダ45を解除するためのクラッチを形成する。しかしながら、閉要素15に沿う方向に生じる横移動は直接伝わる。
【0034】
スライダ45は、縦開口49と連動するロッカーガイド48を具備する。開口49は、スライダ45の縦方向Lに対して斜めに延びる部分を有する。縦方向Lはスライドレッジ35の縦方向と一致する。ボルト50は開口49を通って延び、図1から明らかなように、当該ボルトは好ましくは開口49のエッジが延びる環状溝を具備している。従って、スライダ45の縦の延在にわたって分配された複数のこのようなロッカーガイド48はスライダ45をガーダー22に保持し、同時に、当該ガーダーが縦方向に移動した場合に横方向の調整を行う。明確には示されていないが、手動作動装置や、電気、機械式、空気圧又は油圧アクチュエータなどの作動装置が縦方向の調節に使用される。
【0035】
ボルト50を複数の部品で製作することも可能である。次いで、環状溝が形成され、2つのブシュが回転軸上に互いに距離を置いて配置される。次いで、2つのブシュの距離は環状溝の高さを形成する。2つのブシュは異なる直径を有してもよい。例えば、スライダ45の下のブシュは大きい直径を有し、従ってスライダに平坦支持表面を与える。
【0036】
これまで説明した引取装置の動作は以下のようである。
【0037】
糸が図1に従い針4,5により取り上げられると、糸部分はこれらの針4,5のフックの間に延びる。それから引取コーム7が下からコームギャップ6内に移動する。引取要素10は開いている。これを実現するために、スライダ45は、その開口49の部分Iがボルト50に当接する位置まで移動する。この部分Iは、クローザレッジ35に近い開口49の部分である。この結果、クローザレッジ35は移動してベッド19から最大に離れ、閉要素15は糸持ち上げスペース13を開く。この状態で引取要素10は糸部分を掴み、それから閉じる。これは、閉位置にスライダ45を移動させることで実現され、スライダの開口49の部分IIはボルト50に達する。部分IIは、クローザレッジ35から離れた開口49の部分である。この結果、クローザレッジ35はベッド19に向かって移動し、従って閉要素15を閉じさせる。編みプロセスは続行される。その際、引取コーム7は、適切な力生成手段の使用により又はその自重によっても、作られている過程にある織物を引っ張り、その際、織物を針4,5から引き離す。
【0038】
図5は、本発明に従う引取コーム7の変形例を描く。以下に別なふうに説明しない場合は、前記の説明が当てはまる。
【0039】
この場合、ベッド19は支持金属板21及びガーダー22により形成される。既に上述したように、ガーダーはベッド19から延びる補強エッジ51を有し、その反対の側面に、多数の溝を有した屈曲した多数の断続エッジ52を有する。このようにして、屈曲部分53(53a,53b)が形成され、それらの間で隙間54が画定される。これらの隙間は、前記の実施例の隙間25と同じ寸法を有する。
【0040】
別な可能性のある変形は支持金属板21がなくてもよく、それに代えて、ガーダー22の中央部分から上方に屈曲した自立型の舌片を有してもよい。やはり、隙間は舌片の間に残る。当該隙間は、隙間26のそれに実質的に一致する寸法を有する。従って、舌片は部分24に取って代わる。
【0041】
別な実施形態(図7及び8)に関しては、引取要素10は、「凹形フット14」ともみなされる凹部の形状の連結位置60又は保持部分を有する。基体11から突出するエッジ55及び56(図4)を形成する突出部に代えて、図8に従う引取要素10の連結位置60は、基体11に延びる凹部の境界を定めるエッジ55’及び56’を有してもよい。従って、連結位置60は基体11に凹部を有してもよい。図8によれば、基体11は引取要素10の細い側面の1つと隣接し、外側に向かって解放している。この連結位置60を引取要素10の両方の細い側面に設置することも可能である(図7)。連結位置60は長方形の構造を有してもよい。しかしながら、確動係合により支持金属板21との連結を保証する別な形状を有してもよい。確動係合は最小の遊びで設計される。引取要素10が、互いから離れて向かう開口を有した連結位置であって、引取要素10の縦方向に測定して引取要素の共通ポイントから同じ距離を有する連結位置60を有する場合、連結位置60の深さは引取要素10の幅の50%以下である。距離が異なる場合、単一の連結位置60の深さは引取要素10の幅の半分より大きい。
【0042】
同様に、閉要素15は、フット16に代えて連結位置60(図示せず)の形状の保持部分を有する。この連結位置60に関して、前記の説明が同様に当てはまる。よって、このような閉要素15は連結位置60を介してクローザレッジ35と連結する。連結位置60の凹部は、引取要素10及び支持金属板21に関して図7に示されたのと同様にして部分37の周りに部分的に延びる。部分37は最小の遊びで連結位置を通って延びるので、位置決めレッジ38は不必要である。これは確動係合を形成する。この場合、図3,5によれば溝39は必要ない。
【0043】
同様に、溝40は省略されてもよい。図9は対応する例を示す。スライダレッジ35の縦方向に横断する運動が前記のように可能になるように、スライダ45のエッジ47はスライダレッジ35に連結しなければならない。そうするために、スライダ45は、スライダレッジ35のエッジ41と係合する溝40’を有する。よって、スライダ45の溝40’は、エッジ47から距離をおいてスライダ45に設置されるL型の湾曲シートメタル部品により境界を定められる。それに代えて、エッジ47は図6に示されるように構成される。
【0044】
図8に従う引取要素10、特にその連結位置60のデザイン、及び連結位置60を有するクローザ15のデザインにより、固定金属板28、整列金属板27及び位置決めプレート38が不要になる。従って、固定金属板61だけは引取要素10を設置するために必要である。固定金属板61は金属レッジとして設計され、前記手段29を使用して設置される。同じ形状を有したまま、当該プレートはそれに代えて屈曲部分を有する平坦なプラスチック材料部品として設計されてもよい。
【0045】
前記のように、前記実施形態は湾曲シートメタル部品からなり、この場合整列金属板27、固定金属板28及び位置決めレッジ38が省略されるので、図7に従う引取コーム1の実施形態は非常に経済的である。
【0046】
これに関連して、「湾曲シートメタル部品」は主にシートメタルの部品、好ましくは薄鋼板であると理解されたい。しかしながら、前記のように、プラスチック材料の一致した形状の部品を使用することもできる。これも湾曲シートメタル部品を表すと理解されたい。その際、引取コーム1又はその個々の部品を完全に又は部分的にプラスチック材料から製造することが可能である。そのために、ガラス繊維強化プラスチック材料が使用されると好ましい。金属で作られた湾曲シートメタル部品を用いる実施形態が好ましい。
【0047】
この点について、図7に従う引取コーム1は前記の図面に従う引取コーム1と同じ効果を実現することを付言しておく。従って、適用できる限りにおいて同じ参照番号が使用されている。
【0048】
プラスチック材料からも作られる、「湾曲シートメタル部品」と称した全ての前述の部品は、実質的に平坦な中央部分を有すると好ましい。この場合、少なくとも1つのエッジが屈曲し、又は他の屈曲部分、例えば切抜かれた屈曲舌片が設置される。各湾曲シートメタル部品は強化ビード又は同様な構造物を具備してもよく、従って縦方向のその剛性が増加する。例えば、平坦な中央部分と屈曲エッジ若しくは屈曲部分の間の、湾曲シートメタル部品上の屈曲線は、互いに平行に向いていると好ましい。湾曲シートメタル部品は適切なシートメタル機械加工工程によって製造される。さらには、個々の湾曲シートメタル部品を複数の湾曲シートメタル部品と交換することが可能である。例えば、位置決めレッジ38に代えて、一組の位置決めレッジが設置され、当該レッジの一方が溝40を形成するのに使用され、他方が溝39を形成するのに使用されてもよい。加えて、厳密には溝39の形成のために位置決めレッジ38を使用し、スライドレッジ35にジグザグの屈曲部分を具備することができる。例えば、第1屈曲線上の偶数の部分又は歯、及び第1屈曲線と距離を置いてしかし平行に配置された第2屈曲線上の偶数でない歯は屈曲している。2列の屈曲歯の間に、エッジ47が係合するチャネルが形成される。同様に、固定金属板28の歯又は部分32は、自立型舌片又は固定金属板21の歯又は部分、又は整列金属板の対応部分と交換される。
【0049】
図6は、位置決めレッジを必要としないクローザレッジ35を示す。前記のように、このクローザレッジ35は、プロング又は歯として構成される屈曲部分37(37a,37b)のエッジを有する。しかしながら、当該部分は交互に内側屈曲線及び外側屈曲線で曲がり、それで2列の歯が形成され、それらの間に溝39ができる。それらの間に、フット16とオプションで設置される付加的なフット16aが保持される。この後者のフットは図4に破線で示される。同様にして、溝40は、屈曲部分59(59a,59b)として構成される2列の歯により形成される。その際、歯は同じ又は異なる幅を有してもよい。また、歯は内側と外側に交互に配置され、又は異なる順序で配置されてもよい。
【0050】
例として、固定金属板21のエッジの少なくとも1つが、図6のクローザレッジ35を使用して製造されることを示す。この場合、位置決めレッジ28は屈曲部分を必要としない。
【0051】
特に横編機又はループ形成機械のための引取コームは、湾曲シートメタル部品のみからなるベッド19に保持された多数の引取要素を有する。引取要素10は、クローザレッジ35によってシフトする閉要素15を有する。クローザレッジ35、及びオプションで当該レッジに割り当てられるスライダ45も好ましくは湾曲シートメタル部品である。従って、このように構成される引取コーム7は経済的で簡単に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】引取コームとして設計された引取装置を有する2つのニードルベッドの概略側面図である。
【図2】図1に従う引取コームの概略斜視図である。
【図3】図2に従う引取コームの変形斜視図である。
【図4】引取要素及びそれに収容される閉要素の縦断面の概略図である。
【図5】湾曲シートメタル部品からなる引取コームの変形例である。
【図6】クローザレッジの変形例である。
【図7】図1に従う引取コームの変形例の概略斜視図の詳細である。
【図8】図7に従う引取コームの使用のための引取要素の概略斜視図の詳細である。
【図9】図1に従う引取コームの変形例の概略正面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 引取装置
2,3 ニードルベッド
4,5 針
6 コームギャップ
7 引取コーム
8,9 引取ローラ
10 引取要素
11 基体
12 端部
13 糸取り上げスペース
14 フット、保持部分
15 閉要素、スライド要素
16 フット、保持部分
17 閉突出部
18 矢印
19 ベッド
20 保持部分
21 保持金属板
22 ガーダー
23,24 屈曲部分
25,26 隙間
27 整列金属板
28 位置決め金属板
29 締付フィンガー
30,31 端部
32 部分
33 隙間
34 保持装置
35 クローザレッジ
36 隙間
37 部分
38 位置決めレッジ
39 溝
40 案内溝
41,42,43 エッジ
44 作動装置
45 スライダ
46,47 エッジ
48 ロッカーガイド
49 開口
50 ボルト
51 補強エッジ
52 補強エッジ
53 部分
54 隙間
55,56,57 エッジ
58 端面
59 部分
60 連結位置、保持部分
61 固定金属板
62 湾曲シートメタル部分
L 縦方向
I,II 開口部49の部分
α 角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
編機又はループ形成機械のための引取コーム(7)において、
糸部分を保持するように設定された端部(12)を有する要素であって、固定されるべきシャフトを有する複数の引取要素(10)と、
歯(23a,23b;24a,24b)の間の縦に離れた領域にシャフトを収容し、好ましくは平坦な締付表面の間に引取要素(10)のシャフトを保持する保持装置(34)とを有する引取コーム。
【請求項2】
編機又はループ形成機械のための引取コーム(7)において、
糸部分を保持するように設定された端部(12)を有する要素であって、固定されるべき保持部分(14,20,60)を有する複数の引取要素(10)、
引取要素(10)に割り当てられ、固定されるべき保持部分(16,60)を有する閉要素(15)、
少なくとも1つの湾曲シートメタル部品(22,21)又は平坦なプラスチック材料部品から作られた、引取要素(10)を保持するための保持装置(34)、
少なくとも1つの湾曲シートメタル部品又は平坦なプラスチック材料部品から作られた、閉要素(15)を保持するためのクローザレッジ(35)、及び
ガーダー(22)に対してクローザレッジ(35)を調節するための作動装置(44)を有する引取コーム。
【請求項3】
保持装置(34)が、屈曲部分(53)を備えたガーダー(22)を有し、引取要素(10)の収容のために屈曲部分の間に隙間(54)が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の引取コーム。
【請求項4】
保持装置(34)が、ガーダー(22)と、引取要素(10)を保持する機能を有する保持金属板(21)とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の引取コーム。
【請求項5】
保持金属板(21)が屈曲部分(23,24)を有し、引取要素(10)の収容のために屈曲部分の間に隙間(25,26)が形成されることを特徴とする請求項4に記載の引取コーム。
【請求項6】
固定金属板(28,61)がガーダー(22)又は保持金属板(21)に割り当てられることを特徴とする請求項1,2又は4に記載の引取コーム。
【請求項7】
固定金属板(28)が屈曲部分(32)を有し、引取要素(10)の収容のために屈曲部分の間に隙間(25,26)が形成されることを特徴とする請求項6に記載の引取コーム。
【請求項8】
保持装置(34)が、固定金属板(28,61)及び/又は保持金属板(21)及び/又はガーダー(22)の構成を有するシートメタル部品又は平坦なプラスチック材料部品のみからなることを特徴とする請求項4又は6に記載の引取コーム。
【請求項9】
閉要素(15)を保持するために、クローザレッジ(35)が、閉要素(15)の保持部分(16,60)を収容するために設置された屈曲部分(37)及び隙間(36)を有することを特徴とする請求項2に記載の引取コーム。
【請求項10】
保持部分(60)がクローザレッジ(35)の屈曲部分(37)の上に部分的に延在することを特徴とする請求項9に記載の引取コーム。
【請求項11】
位置決めレッジ(38)がクローザレッジ(35)内に配置されることを特徴とする請求項2に記載の引取コーム。
【請求項12】
位置決めレッジ(38)が湾曲シートメタル部品又は平坦なプラスチック材料部品として設計されることを特徴とする請求項10に記載の引取コーム。
【請求項13】
位置決めレッジ(38)が、閉要素(15)の端面と協働する屈曲エッジを有することを特徴とする請求項10に記載の引取コーム。
【請求項14】
クローザレッジ(35)及び位置決めレッジ(38)が少なくとも1つの溝(39,40)を形成することを特徴とする請求項10に記載の引取コーム。
【請求項15】
クローザレッジ(35)が、引取要素(10)の縦方向に対して可動に支持されることを特徴とする請求項2に記載の引取コーム。
【請求項16】
作動装置(44)がスライダ(45)を有することを特徴とする請求項2に記載の引取コーム。
【請求項17】
スライダ(45)が、湾曲シートメタル部品、平坦なプラスチック材料部品、又は複数の湾曲シートメタル部品若しくは平坦なプラスチック材料部品からなる装置として設計されることを特徴とする請求項16に記載の引取コーム。
【請求項18】
スライダ(45)が溝(40)に延びる屈曲エッジ(47)を有することを特徴とする請求項14又は16に記載の引取コーム。
【請求項19】
スライダ(45)が溝(40’)を有することを特徴とする請求項16に記載の引取コーム。
【請求項20】
クローザレッジ(35)のエッジ(41)がスライダ(45)の溝(40’)に延びることを特徴とする請求項19に記載の引取コーム。
【請求項21】
スライダ(45)が、クローザレッジ(35)の縦方向(L)に対して可動に支持されることを特徴とする請求項16に記載の引取コーム。
【請求項22】
スライダ(45)がロッカーガイド(48)により引取要素(10)に対して斜めに移動できるように、スライダが支持されていることを特徴とする請求項2に記載の引取コーム。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の引取コームを使用するために設定された、保持部分(14,16,20,60)を有する引取要素(10)。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の引取コームにおける保持部分(14,16,20,60)を有する引取要素(10)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−204914(P2007−204914A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−22960(P2007−22960)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)
【Fターム(参考)】