説明

編集文章表示装置および方法

【課題】キー操作時の視線の移動距離を限りなく少なくする。デスクトップ型やノート型などどのようなパソコンでも使用できるようにする。
【解決手段】スタンド5Dの脚部5D1と支柱部5D2と透過液晶モニタ5Cとで断面「コ」字状の差し込み構造を形成する。スタンド5Dの脚部5D1をキーボード1の底面1aとこのキーボード1が置かれる面6との間の隙間hに差し込む。このスタンド5Dの設置状態において、透過液晶モニタ5Cは、キーボード1の上面に浮上した状態で位置し、キーボード1上のキーがある部分に重ねられる。キーボード1から打ち込まれた編集文章は、パソコンのディスプレイに表示されると同時に、手元の透過液晶モニタ5Cにも表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キーボードとディスプレイとを備えた情報処理装置に用いられる編集文章表示装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置として、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略す)の普及が目覚ましい。パソコンには、デスクトップ型、ノート型などの種類があるが、何れもキーボードとディスプレイとを備えている。
【0003】
このパソコンにおいて、操作者は、ディスプレイ上に表示される文字を見ながら、キーボードを操作して、文章を作成して行く。この場合、高齢者や幼児にはキーボードの操作が難しく、人差し指で一つ一つキーを確かめながら、ディスプレイ上に表示される文字と照らし合わせて、文章を作成して行くことが多い。また、一々画面を確認しなければ、文字を打ち込むことができない人も少なくない。
【0004】
このような場合、操作者は視線をキーボードとディスプレイとの間で頻繁に移動させることになり、目や肩が疲れ、誤字や脱字も多くなり、入力速度も低下してしまう。
【0005】
そこで、関連する技術として、例えば、特許文献1では、ワードプロセッサにケーブルを介して液晶表示盤を接続し、この液晶表示盤にキーボードから打ち込まれた編集中の文章(例えば、現在入力中の1行分)を同時に表示するようにしている。この場合、ワードプロセッサに接続された液晶表示盤は、例えば磁石により原稿台に吸着させて用いるが、原稿を使用しない場合にはキーボード上にも移動することができる。この液晶表示盤をキーボード上に移動して用いれば、キーボード上で編集中の文章を見ることができるので、キーボードとディスプレイとの間で頻繁に視線を移動させなくてもよくなる。
【0006】
また、特許文献2や3では、キーボードに液晶パネル等からなる表示部を設け、この表示部にキーボードから打ち込まれた編集中の文章(例えば、現在入力中の1行分)を同時に表示するようにしている。また、特許文献4では、キーボードの近くにサブ画面を配置し、このサブ画面にキーボードから打ち込まれた編集中の文章(例えば、現在入力中の文章のうち、漢字変換中の単語を含む最新の入力部分)を同時に表示するようにしている。この特許文献2や3でも、特許文献1において液晶表示盤をキーボード上に移動して用いた場合と同様、キーボード上あるいはキーボードの近くで編集中の文章を見ることができるので、キーボードとディスプレイとの間で頻繁に視線を移動させなくてもよくなる。
【0007】
また、特許文献5では、パソコンのディスプレイを透過性とし、この透過性のディスプレイをキーボードの上部に重ねて配置している。この場合、操作者は、パソコンのディスプレイが透過性になっているので、視線を動かさなくてもキーボード(キーボード上の指の位置)とディスプレイ(編集中の文章)の両方を観察することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭62−099090号公報
【特許文献2】特開2000−207107号公報
【特許文献3】特開昭63−249215号公報
【特許文献4】特開平09−305266号公報
【特許文献5】特開平06−018812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に示された技術では、キー操作の邪魔になるので、液晶表示盤をキーボード上のキーがある部分に重ねて置くわけには行かない。すなわち、キーボード上のキーがない部分に液晶表示盤を置かなければならず、そのようなスペースがキーボード上にない場合には液晶表示盤をキーボードの外に置かざるを得ない。この場合、キー操作時の視線の移動距離が大きくなり、その分、疲れやすく、誤字や脱字も多くなる。
【0010】
また、上述した特許文献2〜4に示された技術においても、キーボード上のキーがある部分から離れた位置に表示部やサブ画面が設けられるので、キー操作時の視線の移動距離が大きくなり、同様の問題が生じる。特に、特許文献2および3に示された技術では、表示部の有無で2種類のキーボードが存在し、管理上の問題も生じることになる。
【0011】
また、上述した特許文献5に示された技術では、パソコンのディスプレイを透過性とし、この透過性のディスプレイをキーボードの上部に重ねて配置しなければならず、パソコンの構造が特殊なものとなってしまい、デスクトップ型やノート型など汎用的なパソコンに適用することはできない。
【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、キー操作時の視線の移動距離を限りなく少なくすることができ、かつデスクトップ型やノート型などどのようなパソコンでも使用することが可能な編集文章表示装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するために、本発明に係る編集文章表示装置は、キーボードとディスプレイとを備えた情報処理装置に接続されるUSBコネクタと、このUSBコネクタを介して情報処理装置より送られてくるキーボードから打ち込まれた編集中の文章を表示する透過液晶モニタと、この透過液晶モニタを支えるスタンドと設け、スタンドの脚部をキーボードの底面とこのキーボードが置かれる面との間の隙間に差し込んで設置するようにし、このスタンドの設置状態において透過液晶モニタをキーボードの上面に浮上した状態で位置させるようにしたものである。
【0014】
この発明によれば、スタンドの脚部をキーボードの底面とこのキーボードが置かれる面との間の隙間に差し込んで設置すると、このスタンドに支えられた透過液晶モニタがキーボードの上面に浮上した状態で位置する。本発明では、透過液晶モニタがキーボードの上面に浮上した状態で位置するので、透過液晶モニタをキーボード上のキーがある部分に重ねて配置することができる。この場合、透過液晶モニタが浮上しているので、その透過液晶モニタの下面側の空間でキー操作を行うことができる。また、透過液晶モニタを通して、キーの位置を観察することができる。また、キーボードから打ち込まれた文字は、ディスプレイに表示されると同時に、透過液晶モニタにも表示される。
【0015】
すなわち、本発明では、キーボードから打ち込まれた編集中の文章がディスプレイに表示されると同時に、手元の透過液晶モニタにも表示される。これにより、キー操作時の視線の移動距離を限りなく少なくすることができ、疲れにくく、誤字や脱字も少なくなる。また、スタンドの脚部をキーボードの底面とこのキーボードが置かれる面との間の隙間に差し込むのみでよく、デスクトップ型やノート型などジャンルを問わず、どのようなパソコンでも使用することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、キーボードとディスプレイとを備えた情報処理装置に接続されるUSBコネクタと、このUSBコネクタを介して情報処理装置より送られてくるキーボードから打ち込まれた編集中の文章を表示する透過液晶モニタと、この透過液晶モニタを支えるスタンドと設け、スタンドの脚部をキーボードの底面とこのキーボードが置かれる面との間の隙間に差し込んで設置するようにし、このスタンドの設置状態において透過液晶モニタをキーボードの上面に浮上した状態で位置させるようにしたので、キーボードから打ち込まれた編集中の文章をディスプレイに表示すると同時に、手元の透過液晶モニタにも表示させるようにし、キー操作時の視線の移動距離を限りなく少なくすることが可能となる。また、スタンドの脚部をキーボードの底面とこのキーボードが置かれる面との間の隙間に差し込むのみでよく、デスクトップ型やノート型などジャンルを問わず、どのようなパソコンでも使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る編集文章表示装置の一実施例の使用例を示す概略図である。
【図2】この編集文章表示装置をキーボードの底面とこのキーボードが置かれる面との間の隙間にスタンドの脚部を差し込んで設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係る編集文章表示装置の一実施例の使用例を示す概略図である。
【0019】
図1において、1はキーボード、2はディスプレイ、3はコンピュータ本体であり、このキーボード1,ディスプレイ2およびコンピュータ本体3によってデスクトップ型のパソコン4が構成されている。
【0020】
5は本発明に係る編集文章表示装置であり、USB(Universal Serial Bus)コネクタ5Aと、このUSBコネクタ5Aにケーブル5Bを介してつながる透過液晶モニタ5Cと、この透過液晶モニタ5Cを支えるスタンド5D(図2参照)とを備えている。図2は図1に平面方向から見た図として示したキーボード1を横方向(正面)から見た図である。
【0021】
スタンド5Dは断面L字状とされ、脚部5D1と支柱部5D2とを有し、支柱部5D2の上端部に透過液晶モニタ5Cがそのほゞ全面を浮上させた状態で支持されている。すなわち、透過液晶モニタ5Cがその左端部で支柱部5D2の上端部に支持されており、スタンド5Dの脚部5D1と支柱部5D2と透過液晶モニタ5Cとで断面「コ」字状の差し込み構造が形成されている。
【0022】
また、スタンド5D(5D1,5D2)は透過性の材料で形成されており、透過液晶モニタ5Cの透過液晶部5C1の周囲を囲むフレーム5C2も透過性の材料で形成されている。すなわち、透過液晶部5C1の基材、透過液晶部5C1の周囲を囲むフレーム5C2、透過液晶モニタ5Cを支えるスタンド5D(5D1,5D2)は全て透明(スケルトン)とされている。
【0023】
また、透過液晶モニタ5Cは、その表示面の角度を調整可能にスタンド5Dに支えられている。この例では、支柱部5D2との付け根部で、角度調整可能とされている。また、透過液晶モニタ5Cは、高さ調節可能とされている。すなわち、キーボード1との間の距離を調整可能にスタンド5Dに支えられている。なお、本実施例において、透過液晶モニタ5Cには、最低限漢字が綺麗に表示できるドットを表示させるものとする。
【0024】
〔編集文章表示装置の設置〕
この編集文章表示装置5は、図2に示されるように、キーボード1の底面1aとこのキーボード1が置かれる面(載置面)6との間の隙間hにスタンド5Dの脚部5D1を差し込んで設置される。このスタンド5Dの設置状態において、透過液晶モニタ5Cは、キーボード1の上面に浮上した状態で位置し、キーボード1上のキーがある部分に重ねられる。
【0025】
この際、操作者は、必要に応じて、スタンド5Dの設置位置を調整したり、透過液晶モニタ5Cの表示面の角度を調整したり、透過液晶モニタ5Cのキーボード1との間の距離を調節したりする。この場合、透過液晶モニタ5Cの下面側の空間で無理なくキー操作ができるように、透過液晶モニタ5Cのキーボード1との間の距離を確保する。
【0026】
〔編集文章の表示〕
次に、この編集文章表示装置5の使用時の動作について説明する。なお、この編集文章表示装置5の使用に際しては、USBコネクタ5Aをパソコン4のUSBポートに差し込む。これにより、パソコン4から透過液晶モニタ5Cへの電源入力、信号入力などが行われる。
【0027】
操作者は、キーボード1を操作するこにより、文字を打ち込む。この場合、透過液晶モニタ5Cが浮上しているので、その透過液晶モニタ5Cの下面側の空間に指を入れて、キー操作を行う。この際、透過液晶モニタ5Cの透過液晶部5C1は透き通っているので、キーの位置を観察しながら、キー操作を行うことができる。また、透過液晶モニタ5Cのフレーム5C2やスタンド5Dも透明であるので、これらが操作者の視界を遮ることもない。
【0028】
キーボード1から打ち込まれた文字は、ディスプレイ2に表示されると同時に、手元の透過液晶モニタ5Cにも表示される。この文字はENTERキーを押すまではずっと表示されたままである。文字を打ち込んで行き、ある程度の文章ができあがり、ENTERキーを押すと、編集中の文章が完成し、手元の透過液晶モニタ5Cから文字が消える。以下、同様にして、手元の透過液晶モニタ5Cに編集中の文章を表示させながら、ディスプレイ2上で文章を作成して行く。
【0029】
このように、本実施例では、キーボード1から打ち込まれた編集中の文章がディスプレイ2に表示されると同時に、手元の透過液晶モニタ5Cにも表示されるものとなる。これにより、キー操作時の視線の移動距離が限りなく少なくなり、疲れにくく、誤字や脱字も少なくなる。
【0030】
また、編集文章表示装置5の設置に際しては、スタンド5Dの脚部5D1をキーボード1の底面1aとこのキーボード1の載置面6との間の隙間hに差し込むのみでよく、取り付けが極めて簡単である。また、上述した実施例では、デスクトップ型のパソコンを例にとって説明したが、ノート型などジャンルを問わず、どのようなパソコンでも使用することが可能である。
【0031】
また、インタフェースはUSB接続のみなので、USBコネクタ5AをパソコンのUSBポートに差し込むだけで、誰でも簡単に使用することができる。
【0032】
また、本実施例によれば、高さ調整、液晶の角度調整も可能で、大々的に机上に設置する必要もなく、軽量に設計することもできる。また、折りたためる構造とすれば、コンパクトで持ち運びも楽となり、手軽に汎用のパソコンに使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の編集文章表示装置および方法は、パソコンなどキーボードとディスプレイとを備えた情報処理装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…キーボード、1a…底面、2…ディスプレイ、3…コンピュータ本体、4…パソコン、5…編集文章表示装置、5A…USBコネクタ、5B…ケーブル、5C…透過液晶モニタ、5C1…透過液晶部、5C2…フレーム、5D…スタンド、5D1…脚部、5D2…支柱部、6…載置面、h…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボードとディスプレイとを備えた情報処理装置に接続されるUSBコネクタと、
このUSBコネクタを介して前記情報処理装置より送られてくる前記キーボードから打ち込まれた編集中の文章を表示する透過液晶モニタと、
この透過液晶モニタを支えるスタンドとを備え、
前記スタンドは、
前記キーボードの底面とこのキーボードが置かれる面との間の隙間にその脚部を差し込んで設置され、
前記透過液晶モニタは、
前記スタンドがその脚部を前記隙間に差し込んで設置された状態において前記キーボードの上面に浮上した状態で位置する
ことを特徴とする編集文章表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された編集文章表示装置において、
前記透過液晶モニタは、
前記スタンドにその表示面の角度を調整可能に支えられている
ことを特徴とする編集文章表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された編集文章表示装置において、
前記透過液晶モニタは、
前記スタンドに前記キーボードとの間の距離を調整可能に支えられている
ことを特徴とする編集文章表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された編集文章表示装置において、
前記透過液晶モニタのフレームは、透過性の材料で形成されている
ことを特徴とする編集文章表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載された編集文章表示装置において、
前記スタンドは、透過性の材料で形成されている
ことを特徴とする編集文章表示装置。
【請求項6】
スタンドに支持された透過液晶モニタをキーボードの上面に浮上させた状態で位置させるステップと、
前記キーボードの上面に浮上した状態で位置する前記透過液晶モニタに前記キーボードから打ち込まれた編集中の文章を表示するステップと
を備えることを特徴とする編集文章表示方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−287084(P2010−287084A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140898(P2009−140898)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】