説明

練り歯磨き組成物

【課題】本発明は、球状シリカ粒子を含有し、歯に塗ることで、容易に歯を白くすることができるコーティング機能を有する練り歯磨き組成物に関する。近年、人々の歯の美しさに対する関心は高まっている。すなわち歯を白くしたいという要望が多く、歯科医院では、かかる要望にこたえるためにホワイトニングと称して歯を白くする処置を行っている。しかし、通院の煩わしさもあり、より手軽に歯を白くする技術が求められている。そこで、通常の歯磨きの際に歯ブラシに着けて使用するだけで、歯を白くコーティングできる歯磨き組成物を提供することを目的とした。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明者は、一般の練り歯磨き成分中に無孔質かつ真球度の高い球状シリカ粉末および天然粘着付与性樹脂を含有されてなる構成を採用することにより、歯石の蓄積や食品による着色を除去し、白くコーティングできることを見いだした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、練り歯磨き組成物に関する。さらに詳しくは、球状シリカ粒子を含有し、歯に塗ることで、容易に歯を白くすることができるコーティング機能を有する練り歯磨き組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、経済の発展に伴い、人々の美容への関心は高まっている。従来の美しい肌や髪への関心のみならず、歯の美しさ、すなわち白い歯への関心も高まっているという現状がある。しかし、人々は白い歯を求めているにもかかわらず、一般の練り歯磨きを用いて毎日あるいは毎食後の歯磨きを励行していても、歯には次第に歯石が蓄積してゆくのが常であり、また、飲食物の色素の沈着により、歯の白さが失われてしまう。特に喫煙者においては歯石に煙草の脂が加わって歯の黄色化や褐色化を招くことが避けられない。そこで、白い歯に対する要望に応えるため、歯科医院では、ホワイトニングと称して、漂白等の方法により歯を白くする処置を行っている。ところが、このような処置を受けるためには通院が必要であり煩わしさがある。よって、現在、手軽に歯を白く、美しく出来る方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、以上の事実を鑑みて、通常の歯磨きの際に歯ブラシに着けて使用するだけで、歯石の蓄積や飲食物、煙草による着色を確実に防止できる上、歯を白くコーティングでき、歯茎や口内粘膜を傷めたり使用者の健康に害を及ぼす懸念もなく、且つ安価に調製し得る練り歯磨き組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明者は、一般の練り歯磨き成分中に無孔質かつ真球度の高い球状シリカ粉末および天然粘着付与性樹脂を含有されてなる構成を採用することにより、歯石の蓄積や食品による着色を除去し、白くコーティングできることを見いだした。
【0005】
また、本発明の歯磨き組成物は平均粒子径50μm以下且つ真球度が0.7以上の球状シリカの構成を採用したものである。この場合、平均粒子径が50μm以下であるため、歯磨き中に口内でざらつきが感じられず、良好な使用感が得られることになる。
【発明の効果】
【0006】
球状シリカ粒子には以下の;<1>銀白色光沢、<2>無孔質、<3>水系組成物に対しての高分散性、の特徴がある。よって、球状シリカ粒子を練り歯磨きの組成として添加することにより、通常の研磨剤としてのシリカの働きにより歯垢の除をし、また、球状であることの特徴を活かして歯のホワイトンニング(歯を白く保つ)の効果が得られる。また、天然粘着付与性樹脂を含有することにより、該球状シリカ粒子により歯をコーティングすることが可能となり、より歯を白くする効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の練り歯磨きの組成物について詳しく説明する。なお、本発明の練り歯磨きは、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【0008】
本発明の練り歯磨き組成物は、基本成分として一般に練り歯磨きに配合される研磨剤(りん酸水素カルシウム、炭酸水素カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等)、発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム,ラウロイルサルコシンナトリウム,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等)、粘結剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、湿潤剤(ソルビット液,プロピレングリコール、グリセリン等)、香味剤(各種香料,サッカリンナトリウム等)等を適宜配合している。本発明の練り歯磨きの組成物は前述の基本成分の他に、球状シリカ粒子および天然粘着付与性樹脂を含有していることを特徴としている。
【0009】
本発明の練り歯磨きが配合する球状シリカ粒子は、真球度が0.7以上であることが望ましい。ここで、本明細書中における「真球度」とは、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)}で算出される値とする。1に近づくほど真球に近い。
【0010】
前記の球状シリカ粒子は、どのように製造されたものでも構わないが、含酸素雰囲気下にて金属粉末を酸化させて得られる方法(VMC法)や、火炎溶融法などが好ましい方法として挙げられる。VMC法は、酸素を含む雰囲気中でバーナーにより化学炎を形成し、この化学炎中に目的とする酸化物粒子の一部を構成する金属粉末を粉塵雲が形成される程度の量投入し、爆燃を起こさせて酸化物粒子を得る方法である。VMC法の作用について説明すれば以下のようになる。まず、容器中に反応ガスである酸素を含有するガスを充満させ、この反応ガス中で化学炎を形成する。次いで、この化学炎に金属粉末を投入し高濃度(500g/m以上)の粉塵雲を形成する。すると、化学炎により金属粉末表面に熱エネルギが与えられ、金属粉末の表面温度が上昇し、金属粉末表面から金属の蒸気が周囲に広がる。この金属蒸気が酸素ガスと反応して発火し火炎を生じる。この火炎により生じた熱は、さらに金属粉末の気化を促進し、生じた金属蒸気と反応ガスが混合され、連鎖的に発火伝播する。このとき金属粉末自体も破壊して飛散し、火炎伝播を促す。燃焼後に生成ガスが自然冷却されることにより、酸化物粒子の雲ができる。得られた酸化物粒子は、バグフィルターや電気集塵器等により捕集される。VMC法は粉塵爆発の原理を利用するものである。VMC法によれば、瞬時に大量の酸化物粒子が得られる。得られる酸化物粒子は、略真球状の形状をなす。目的とする球状金属酸化物粒子の組成に応じて、例えば、シリカ粒子を得る場合にはシリコン粉末を投入し、アルミナ粒子を得る場合にはアルミニウム粉末を投入する。投入するシリコン粉末などの粒子径、投入量、火炎温度等を調整することにより、得られる酸化物粒子の粒子径を調整することが可能である。また、原料物質としては金属微粉末に加えて、金属酸化物粉末も添加することができる。 なお、本球状シリカ粒子は、好ましいと考えられるVMC法以外にも、乾式法としての火炎溶融法、PVS(Physical Vapor Synthesis)法等の燃焼法や、湿式法としての沈降法やゲル法などによって製造できる。火炎溶融法は目的とする球状金属酸化物粒子を構成する金属酸化物を粉砕などにより粉末化した後に、火炎中に投入・溶解させた後、冷却・固化させることで、球状金属酸化物粒子を製造する方法である。
【0011】
また、本発明の練り歯磨き組成物は、配合する天然粘着付与性樹脂はベンゾインガムが望ましいが、シリカ粒子の歯に対するコーティングを補助できる性質を持てばよく、特に限定はしない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
練り歯磨き成分中に球状シリカ粒子が有効且つ安全な割合で含有されてなる練り歯磨き組成物。
【請求項2】
前記の球状シリカの真球度が0.7以上であり、平均粒子径が50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の練り歯磨き組成。
【請求項3】
前記の球状シリカ粒子により歯をコーティングする目的で、天然粘着付与樹脂を含有されてなる請求項1から2いずれかの練り歯磨き組成物。

【公開番号】特開2011−37808(P2011−37808A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196001(P2009−196001)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(509192547)
【出願人】(509192558)
【Fターム(参考)】