説明

練り製品の製造装置および製造方法

【課題】魚肉等を素材とする練り製品素材を管部材内に連続的に搬送しながら通電加熱して綺麗な表面仕上がりの練り製品を製造し得るようにする。
【解決手段】製造装置は絶縁性材料からなる円筒形状のスペーサ21と、導電性材料からなるリング状の電極22とが交互に配置された管部材23を有しており、管部材23内に供給された練り製品素材はジュール熱により加熱される。電極には相互に隣り合う電極が逆極性となるように電力を供給するとともに冷却液により冷却された状態のもとで、油脂成分を含む練り製品素材は通電加熱される。これにより、練り製品素材は管部材23の内周面に油脂成分を介して接触するとともに電極22を冷却した状態のもとで硬化温度まで加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚肉等を素材とするペースト状の練り製品素材をジュール熱により加熱して練り製品を製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ジュースやスープ等の流動性を有する飲食物をジュール熱により連続的に加熱するために、従来では、特許文献1に記載される加熱装置が使用されている。この加熱装置は、流動性の飲食物を案内する管部材を有しており、管部材は絶縁性のスペーサとリング状の電極とを交互に配置することにより形成されている。飲食物を連続的に搬送する管部材には複数対の電極対が設けられており、搬送方向に隣り合って対をなすリング状の電極に電力を供給すると、飲食物をジュール熱により加熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4275840号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジュースやスープのように液状の飲食物については、リング状の電極を有する加熱装置によってジュール熱により75℃程度の殺菌加熱温度まで加熱することは容易であるが、魚肉等を素材とするペースト状の練り製品素材をジュール熱により75℃程度の殺菌加熱温度および100℃以上の調理加熱温度まで加熱することは、その温度にまで加熱される前にペースト状の練り製品素材が固体状態にまで硬化するので困難であった。このため、練り製品素材をジュール熱により加熱する場合には、例えば、40℃程度の予備加熱のために使用することが限度であった。この理由は、ジュース等の液状の飲食物を管部材内に搬送しながらジュール加熱する場合には、搬送される際に管部材の内部で液状の飲食物が径方向に移動することになるのに対し、ペースト状の練り製品素材をリング状の電極を有する管部材内を搬送しながら通電加熱すると、練り製品素材の表面側の部分は通電開始から終了まで常に管部材の内周面に接触した状態となるとともに、殺菌温度や調理温度等の加熱処理温度にまで高まる前にペースト状の練り製品素材が加熱硬化されてある程度の弾性を有する固体状態となるので、表面が綺麗に仕上がらなかったためである。このため、管部材内を搬送しながらジュール熱により加熱する加熱装置は、魚肉や畜肉等を素材とする練り製品であるソーセージを製造するためには使用されていなかった。
【0005】
固体状態あるいはそれに近い状態となった練り製品素材に通電加熱を行うと、表面に部分的に焦げ目が付いたり、表面がざらざらとなったりした練り製品となることが実験により判明した。実験によると、所定時間通電した後の管部材の内周面には練り製品素材が部分的に付着することが判明し、練り製品素材が管部材の内周面に付着すると通電加熱後の練り製品素材の表面に焦げ目がついたり、表面がざらざらとなったりすることが判明した。このように、練り製品素材が管部材の内周面に付着するのは、電極に接触する素材表面に通電時に突沸現象が発生していると考えられる。
【0006】
突沸現象が発生しても、表面の品質を問題としない場合にはリング状の電極を有する加熱装置を用いて搬送しながら練り製品素材を通電加熱することが可能である。しかしながら、通電加熱によりペースト状の練り製品素材を加熱処理して高品質の練り製品を製造するために、加熱処理後の練り製品の表面が綺麗に仕上げられた状態とする必要がある。
【0007】
ペースト状の練り製品素材を一度の通電加熱により固化された状態にまで加熱してソーセージ等の練り製品を製造するために、種々の実験を行ったところ、突沸現象により表面が綺麗に仕上がらないのは、通電により固化された状態の練り製品素材を管部材内に搬送しながら引き続いて通電加熱すると、管部材の内周面に接触する練り製品素材の表面が摩擦抵抗により円滑に管部材内を移動することができず、表面側が管部材の内周面に一時的に留まった状態となって、練り製品素材の表面が局部的に過加熱されるからであると考えられた。
【0008】
本発明の目的は、魚肉等を素材とする練り製品素材を管部材内に連続的に搬送しながら通電加熱して綺麗な表面仕上がりの練り製品を製造し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の練り製品の製造装置は、絶縁性材料からなる円筒形状のスペーサと、導電性材料からなるリング状の電極とが交互に配置された管部材を有し、前記管部材の流入端部から流出端部に向けてペースト状の練り製品素材を連続的に供給してジュール熱により加熱する練り製品の製造装置であって、油脂成分を含むペースト状の練り製品素材を前記流入端部に供給する素材供給手段と、搬送方向に隣り合って対をなす電極の相互に隣り合う電極が逆極性となるように電力を供給する電力供給ユニットと、それぞれの前記電極内に形成された冷却液循環流路に冷却液を供給する冷却液供給手段とを有し、練り製品素材に含まれた油脂成分を前記管部材の内周面に接触させるとともに前記電極を前記冷却液により冷却した状態のもとで、練り製品素材を加熱処理温度まで加熱することを特徴とする。本発明の練り製品の製造装置においては、練り製品は魚肉を素材として油脂成分が添加された魚肉ソーセージであることを特徴とする。
【0010】
本発明の練り製品の製造方法は、絶縁性材料からなる円筒形状のスペーサと、導電性材料からなるリング状の電極とが交互に配置された管部材に、当該管部材の流入端部から流出端部に向けてペースト状の練り製品素材を連続的に供給してジュール熱により加熱する練り製品の製造方法であって、油脂成分を含むペース状の練り製品素材を加工する工程と、前記管部材に搬送方向に隣り合って対をなして設けられた電極の相互に隣り合う電極が逆極性となるように電力を供給するとともに、それぞれの前記電極内に形成された冷却液循環流路に冷却液を供給しながら、練り製品素材を前記管部材の搬入端部に供給する工程とを有し、練り製品に含まれた油脂成分を前記管部材の内周面に接触させるとともに前記電極を前記冷却液により冷却した状態のもとで、練り製品素材を加熱処理温度まで加熱することを特徴とする。本発明の練り製品の製造方法においては、練り製品は魚肉を素材とする魚肉ソーセージであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、油脂成分を有するペースト状の練り製品素材を管部材に供給するとともに、管部材に設けられた複数のリング状の電極を冷却するようにしたので、管部材の内周面と練り製品素材は油脂成分を介して接触することになるとともに電極が高温になることが防止された状態のもとで、練り製品素材は管部材内の流路を移動することになる。これにより、練り製品素材を75℃以上の殺菌加熱温度あるいは100℃以上の調理温度にまで加熱しても、加熱後の練り製品の表面には突沸現象などが発生せずに、表面が綺麗に仕上がり、高品質の練り製品をジュール加熱により製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態である練り製品の製造装置を示す概略図である。
【図2】図1に示されたジュール加熱ユニットを拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1に示されるように、本発明の練り製品の製造装置は、ペースト状の練り製品素材Wを収容するホッパ11と、練り製品素材をジュール熱により加熱するジュール加熱ユニット12とを有している。この練り製品の製造装置は、魚肉ソーセージを製造するために使用されており、ホッパ11内には魚肉ソーセージ素材が練り製品素材Wとして収容される。ホッパ11とジュール加熱ユニット12は上下方向を向いて図示しない支持台に設置されている。
【0015】
ホッパ11の下端部とジュール加熱ユニット12の下端部に設けられた流入端部とを接続する接続管13には、ホッパ11内の練り製品素材Wとしての魚肉ソーセージ素材をジュール加熱ユニット12に供給する素材供給ポンプ14が設けられており、素材供給ポンプ14は素材供給手段を構成している。ジュール加熱ユニット12の上端部の流出端部側には、下流側に向けて外径が小さくなったリデューサ管つまりテーパ管15が設けられており、テーパ管15にはこれを通過した魚肉ソーセージ素材を外部に搬出するための搬出管16が接続されている。
【0016】
搬出管16は冷却器17内を貫通しており、所定の加熱温度まで加熱されて製品化された魚肉ソーセージ素材は搬出管16内を移動しながら冷却される。冷却器17は内部に冷却液が循環する冷却室18を有し、冷却室18は供給ポート18aと排出ポート18bに連通している。それぞれのポートに連通する冷却管により冷却液容器19内の冷却液Lがポンプ20により冷却室18内に循環供給される。
【0017】
このように、ジュール加熱ユニット12の下流端部にテーパ管15を設けると、ジュール加熱ユニット12内の練り製品素材の圧力が大気圧以上の高圧となるので、練り製品を100℃以上の調理温度、例えば120℃程度まで加熱処理することができる。ジュール加熱ユニット12により例えば120℃の調理温度まで加熱されて製品化された魚肉ソーセージは、包装可能な程度まで冷却器17により冷却される。
【0018】
図示する練り製品の製造装置は、魚肉を素材とする練り製品であって、練り製品は魚肉ソーセージとして製品化される。魚肉を練り製品素材として魚肉ソーセージを製造する場合には、調味料と油脂とが添加された魚肉素材を、図示しない擂潰機によりすり潰してペースト状の練り製品素材を製造する。油脂成分としては、植物油や動物油が使用される。一方、練り製品素材として豚肉等の畜肉を使用する場合には、畜肉に予め油脂成分が含まれているので、調味料を添加して擂潰機やカッターによりペースト状の練り製品素材を製造することになる。
【0019】
図2に示されるように、ジュール加熱ユニット12は、樹脂等の絶縁性材料からなる円筒形状の複数のスペーサ21と、チタンなどの導電性材料からなるリング状の複数の電極22とを交互に配置して形成された管部材23を有し、管部材23内にはホッパ11から供給された練り製品素材を案内する流路24が形成されている。管部材23の流入端部にはジョイント部25が取り付けられ、流出端部にはジョイント部26が取り付けられている。それぞれのジョイント部25,26は、スペーサ21と同様に絶縁性材料により形成されており、ジョイント部25には図1に示した接続管13が接続され、ジョイント部26には図1に示した搬出管16が接続されるようになっている。図1および図2に示されるように、管部材23は上下方向を向いて垂直に設置されているが、傾斜して設置するようにしても良い。
【0020】
図2に示した管部材23は、6つのスペーサ21を有しており、それぞれのスペーサ21には流入端部側から流出端部側に向けて符号a〜fがカッコ書きで示されている。管部材23は7つのリング状の電極22を有しており、それぞれの電極22には同様に符号a〜gがカッコ書きで示されている。ただし、それぞれの数は練り製品素材を流路24内に搬送する速度や加熱温度等により任意に設定される。
【0021】
それぞれの電極22は高周波電力を出力する電力供給ユニット27に電力供給線を介して接続されている。7つの電極22は流路24内における練り製品素材の搬送方向に隣り合う2つの電極22が対をなしている。例えば、電極22(a)と電極22(b)は対をなし、電極22(b)と電極22(c)は対をなしている。電力供給ユニット27は、流路24内の練り製品素材の搬送方向に隣り合う電極22が相互に逆特性となるようにそれぞれの電極22に接続されている。
【0022】
各々のリング状の電極22の内部には、冷却液が流れる冷却液循環流路30が形成されている。それぞれの冷却液循環流路30には冷却液容器31内の冷却液Lが冷却液供給ポンプ32により液体供給管を介して供給されるようになっている。冷却液供給手段としての冷却液供給ポンプ32は、図2に示す場合には、共通管33に設けられており、共通管33には二系統の冷却配管34,35が接続されている。一方の冷却配管34により相互に同極性となる一方の極性の電極22に冷却液が供給され、他方の冷却配管35により相互に同極性となる他方の極性の電極22に冷却液が供給される。
【0023】
このように、複数の電極22の冷却液循環流路30に連続させて冷却液を供給する場合には、同極性の電極22の冷却液循環流路30内に連続させて冷却液を供給するようにすると、冷却配管内の冷却液に電流が流れることを防止できるので、電極相互間を接続する冷却配管34,35の部分の長さを短くすることができる。これに対して、相互に搬送方向に隣り合う電極22内の冷却液循環流路30に連続させて一系統の冷却配管により冷却液を供給する場合には、冷却配管の電極相互間の部分の長さを長く設定することになる。それぞれの部分の長さを長く設定すると、冷却配管内の冷却液の電気抵抗が電極間における練り製品素材の電気抵抗よりも大きくなるので、冷却配管内の冷却液に電流が流れることを防止できる。このように、冷却配管の接続形態としては、二系統の形態と一系統の形態のいずれでも良い。
【0024】
それぞれの冷却配管34,35は、図2に示されるように、管部材23における下流側の練り製品素材の方が上流側よりも温度が高くなるので、管部材23の上流側の電極22から下流側の電極22に向けて冷却液を順次流すようにしているが、それぞれの電極22に対して独立した冷却配管により冷却液を流すようにしても良い。冷却配管34,35の流出端部34a,35aから排出された冷却液を、冷却装置により冷却して冷却液容器31内に戻すようにすると、冷却液は循環して使用されることになる。
【0025】
次に、上述した製造装置を用いて練り製品を製造する手順について説明する。練り製品として魚肉ソーセージを製造する場合には、練り製品素材は予め擂潰機を用いたすり潰し工程において、魚肉に調味料と油脂とを加えた状態で魚肉をすり潰すことにより製造される。このようにして加工されたペースト状の練り製品素材は、図1に示されるホッパ11内に投入される。
【0026】
ホッパ11内の練り製品素材は、素材供給ポンプ14によりジュール加熱ユニット12の管部材23にその流入端部から流入して流出端部から外部に流出される。管部材23の流路24内に練り製品素材が供給される工程においては、電力供給ユニット27からは、練り製品素材の搬送方向に隣り合う電極22が相互に逆極性となるように、それぞれの電極22に対して電力が供給されるとともに、それぞれの電極22内に形成された冷却液循環流路30に冷却液供給ポンプ32から冷却液が供給される。
【0027】
ホッパ11内の練り製品素材の残量が少なくなったら、ホッパ11内に新たに練り製品素材を追加投入することにより、連続的に練り製品を製造することができる。
【0028】
流路24内に練り製品素材を供給してこれに通電加熱する際には、練り製品素材である魚肉にはすり潰し工程において予め植物油や動物油等の油脂成分が加えられているので、管部材23の内周面には油脂成分が接触して油脂成分を介して練り製品素材と内周面とが接触することになり、ペースト状の練り製品素材の表面側の部分は内周面に付着することなく、素材の横断面の全体が均一の速度となって流路24内を移動することになる。しかも、それぞれの電極22は冷却液循環流路30内を流れる冷却液により冷却されるので、それぞれの電極22は過加熱状態となることがない。これにより、通電加熱時に練り製品の表面に突沸現象が発生することなく、表面がつるつるした綺麗な仕上げ状態となって調理温度まで練り製品素材は加熱される。
【0029】
練り製品素材は、管部材23の流出端近傍にまで移動すると、120℃以上の調理温度まで加熱されることになる。流入端部内に供給された状態の当初の練り製品素材は、ペースト状となっているが、管部材23内を加熱されながら移動するに伴って練り製品素材はペースト状から加熱硬化されて弾性を有する固体状態となる。特に、固体状態となった練り製品素材は、従来のジュール加熱装置では、突沸現象によって表面に部分的に焦げ目が付いたり、表面がざらざらとなったりした。これに対し、本発明の練り製品素材は、魚肉を素材とする場合には予め油脂成分が添加され、畜肉を素材とする場合には畜肉自体は油脂成分を有しており、油脂成分を含んでいる。
【0030】
このように、練り製品素材に油脂成分が含まれていると、流路24内に流れる練り製品素材は管部材23の内周面に油脂成分を介して接触することになるとともに、電極22を冷却することによりその過加熱が防止されるので、練り製品素材を120℃程度の調理温度にまで加熱しても表面が綺麗に仕上がった練り製品を製造することが可能となった。しかも、加熱完了後の練り製品を切断して観察したところ、横断面全体が一定の色彩となった綺麗な仕上がりとなっていた。
【0031】
加熱して硬化された練り製品は、図1に示す搬出管16から連続的に搬出され、冷却器17により、例えば80℃程度の包装可能な温度にまで冷却される。搬出管16から搬出された練り製品である魚肉ソーセージは一定の長さ毎にカッターにより切断された後にラップ材により包装される。調理加熱された練り製品は、管部材23の断面形状に対応した断面形状となっており、切断された後の練り製品は端部を含めて全体が円柱形状となった製品となる。
【0032】
図1に示す製造装置においては、ジュール加熱ユニット12から吐出された練り製品素材を搬出管16を介して冷却器17に案内するようにしているが、ジュール加熱ユニット12により加熱された練り製品を図1において二点鎖線で示すようにホールド管40内に案内し、ホールド管40を介して加熱終了時の温度に所定時間保持するようにしても良い。例えば、調理温度である120℃まで練り製品を加熱することなく、殺菌温度である75℃以上、例えば80℃に練り製品を加熱して外部に搬出する場合には、ホールド管40内に搬出管16を貫通させて練り製品がホールド管40内に一定間保持されるようにする。調理温度まで加熱する場合にもホールド管40内で一定時間保持するようにしても良い。
【0033】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えは、図1に示すジュール加熱ユニット12は1つの管部材23により形成されているが、直列に接続される複数の管部材23によりジュール加熱ユニット12を形成するようにしても良い。その場合には最終段の管部材23の流出端部において調理温度である120℃以上に練り製品素材が加熱されるように、電極22へ供給する電力と練り製品素材の流速とが設定される。練り製品素材を調理温度である120℃以上の温度まで加熱することなく、殺菌温度である75℃から80℃程度の温度にまで加熱するのであれば、図1に示したテーパ管15は不要となる。
【0034】
上述した実施の形態においては、練り製品素材としては魚肉を使用しているが、魚肉に畜肉を加えて練り製品素材としても、畜肉のみを練り製品素材としても良い。畜肉を練り製品素材とする場合には、挽肉のように粒状の肉片を含むペースト状の練り製品素材とすると、加熱調理後の練り製品を所定の厚みに切断することによってハンバーグとすることができる。ハンバーグの形状を楕円形とする場合には、管部材23の横断面形状を楕円形状とすることも可能であり、搬出管16の横断面形状を楕円形状として加熱調理後の練り製品素材を強制的に楕円形状に成形するようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0035】
11 ホッパ
12 ジュール加熱ユニット
13 接続管
14 素材供給ポンプ(素材供給手段)
15 テーパ管
16 搬出管
21 スペーサ
22 リング状の電極
23 管部材
24 流路
25,26 ジョイント部材
27 電力供給ユニット
31 冷却液容器
32 冷却液供給ポンプ(冷却液供給手段)
33 共通管
34,35 冷却配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性材料からなる円筒形状のスペーサと、導電性材料からなるリング状の電極とが交互に配置された管部材を有し、前記管部材の流入端部から流出端部に向けてペースト状の練り製品素材を連続的に供給してジュール熱により加熱する練り製品の製造装置であって、
油脂成分を含むペースト状の練り製品素材を前記流入端部に供給する素材供給手段と、
搬送方向に隣り合って対をなす電極の相互に隣り合う電極が逆極性となるように電力を供給する電力供給ユニットと、
それぞれの前記電極内に形成された冷却液循環流路に冷却液を供給する冷却液供給手段とを有し、
練り製品素材に含まれた油脂成分を前記管部材の内周面に接触させるとともに前記電極を前記冷却液により冷却した状態のもとで、練り製品素材を加熱処理温度まで加熱することを特徴とする練り製品の製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の練り製品の製造装置において、練り製品は魚肉を素材として油脂成分が添加された魚肉ソーセージであることを特徴とする練り製品の製造装置。
【請求項3】
絶縁性材料からなる円筒形状のスペーサと、導電性材料からなるリング状の電極とが交互に配置された管部材に、当該管部材の流入端部から流出端部に向けてペースト状の練り製品素材を連続的に供給してジュール熱により加熱する練り製品の製造方法であって、
油脂成分を含むペース状の練り製品素材を加工する工程と、
前記管部材に搬送方向に隣り合って対をなして設けられた電極の相互に隣り合う電極が逆極性となるように電力を供給するとともに、それぞれの前記電極内に形成された冷却液循環流路に冷却液を供給しながら、練り製品素材を前記管部材の搬入端部に供給する工程とを有し、
練り製品に含まれた油脂成分を前記管部材の内周面に接触させるとともに前記電極を前記冷却液により冷却した状態のもとで、練り製品素材を加熱処理温度まで加熱することを特徴とする練り製品の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の練り製品の製造方法において、練り製品は魚肉を素材とする魚肉ソーセージであることを特徴とする練り製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−87464(P2011−87464A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240988(P2009−240988)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000136642)株式会社フロンティアエンジニアリング (30)
【Fターム(参考)】