説明

縦排水路のごみ取り装置

【課題】 縦排水路を流下するごみを、人力を用いることなく容易に縦排水路から除去する装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 縦排水路内に取り付ける排水とごみを分離するスクリーン部と、スクリーン部に溜まったごみを排水が押すことにより自動的に縦排水路外に排出する、縦排水路上に取り付ける横取り部により構成されるごみ取り装置を縦排水路に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
縦排水路を流下するごみを、人力を用いることなく容易に縦排水路から除去する装置を提供することを課題とする。
【背景技術】
【0002】
切土や盛土構造の道路の法面は、所定の高さごとに設けられる小段と、小段に挟まれた一定勾配の斜面とで構成されることが一般的であり、法面に降った降水を処理する排水系統は、斜面ごとの降水を集水するために小段に設けられる小段排水路と、小段排水路の水を道路沿いに設置された側溝に排水するため、斜面に設けられる縦排水路で構成され、それぞれの水路は枡で接続されている。
【0003】
法面は緑化の為に植栽が施されることが多く、また隣接する山林には樹木が繁茂することもわが国では一般的である。このため秋には多くの枯葉等が法面に降り積もり、風や降水によって水路に流れ込む。また心無い道路利用者が投げ捨てる空き缶なども水路に流れ込むことがある。これらは小段排水路から縦排水路に流れ込み、最終的に枡を通じて側溝で処理される。
【0004】
これらの枯葉や空き缶などのごみが、縦排水路と側溝や小段排水路をつなぐ枡を詰まらせると、縦排水路を流下する流速の早い排水が水路外に溢れ、水路周辺の斜面を洗掘して災害を発生することがある。この為、ごみが枡を詰まらせないよう定期的な水路清掃作業が必要であり多くの労力がかかっていた。
【0005】
水路を流れるごみを取り除くため、格子状のスクリーンを水路に取り付けごみを補足するなどは以前から行われており、特許文献1では枡に籠を取り付け水路から流れ込むごみを取り除く方法が提示されているが、これらはいずれも溜まったごみを人力で取り除くことが必要であり問題が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許公開2003−64763
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、人力に頼ることなく、縦排水路を流下するごみを容易に縦排水路から除去する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、縦排水路内に取り付ける排水とごみを分離するスクリーン部と、スクリーン部に溜まったごみを排水が押すことにより自動的に縦排水路外に排出する、縦排水路上に取り付ける横取り部により構成される。
【0009】
スクリーン部は、傾斜した縦排水路の地表部から水路底に立てかけるもので、設置後においても十分な排水勾配が取れる長さを有し、排水とごみを分離するスリットが多数あけられているものである。この構造によりごみは排水と分離されてスクリーン部の表面に溜まり、排水はスリットから縦排水路に戻ることになる。
【0010】
平均的な降水ではごみはスクリーン部に溜まることになるが、大きな降水があると縦排水路内の水位が高くなり、スクリーン部に溜まったごみは排水により押されて横取り部の方に移動することになる。
【0011】
繰り返しの大きな降水によりスクリーン部から横取り部に押されてきたごみは、横取り板により水路横方向に進路を変え縦排水路外に排除されることになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、人力によることなく縦排水路内のごみを縦排水路外に排除することが可能となり、排水系統の閉塞を予防し、排水の越流による災害を防止することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】道路法面の排水系統を示した図である。
【図2】縦排水路のごみ取り装置の平面図である。
【図3】縦排水路のごみ取り装置の側面図である。
【図4】平均的な降水での状況を示した平面図である。
【図5】平均的な降水での状況を示した側面図である。
【図6】大きな降水での状況を示した平面図である。
【図7】大きな降水での状況を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1に道路法面の排水系統を示す。斜面3に降った降水は小段排水路5に集まり、枡7を経て縦排水路6を流下して道路沿いの側溝8に処理される。
【0016】
図2に縦排水路のごみ取り装置の平面図を示す。9はスクリーン部でスリット10が開けられており縦排水路6に立てかけられている。11は横取り部で縦排水路外にまで伸びる横取り板12が取り付けられている。
【0017】
図3に縦排水路のごみ取り装置の側面図を示す。13は模式的に示した水平線でありスクリーン部が十分な排水勾配を持っていることを示している。
【0018】
図4、5に標準的な降水での状況を示した平面図と側面図を示す。14は平均的な降水での縦排水路内の排水の水位であり、排水と分離されたごみ15は排水に押されてスクリーン部に溜まり、排水はスリット10から縦排水路に流れ落ちる。
【0019】
図6、7に大きな降水での状況を示した平面図と側面図を示す。16は大きな降水での縦排水路内の排水の水位であり、排水と分離されたごみ15は排水に押されて、スクリーン部に溜まっていたごみを次々と横取り部の方に押し出し、押し出されたごみは横取り板12により縦排水路外に排出される。
【符号の説明】
【0020】
1 道路法面
2 道路
3 斜面
4 小段
5 小段排水路
6 縦排水路
7 枡
8 側溝
9 スクリーン部
10 スリット
11 横取り部
12 横取り板
13 水平線
14 平均的な降水での縦排水路内の水位
15 分離されたごみ
16 大きな降水での縦排水路内の水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦排水路内に取り付ける排水とごみを分離するスクリーン部と、スクリーン部に溜まったごみを排水が押すことにより自動的に縦排水路外に排出する、縦排水路上に取り付ける横取り部により構成されることを特徴とする、縦排水路のごみ取り装置。
【請求項2】
スクリーン部は、排水から分離されたごみが、スクリーン部を遡上する排水により押されて円滑に移動できるよう、多数の細いスリットや丸穴を持ち、なおかつ必要な排水勾配を持って縦排水路内に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の縦排水路のごみ取り装置。
【請求項3】
横取り部は、スクリーン部に連続して縦排水路上に設置する平板と、平板上を移動するごみを円滑に縦排水路外に排除出来るよう、平板に角度を持って取り付けられた横取り板で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の縦排水路のごみ取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−241508(P2012−241508A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124648(P2011−124648)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(506341928)株式会社フェアデザイン (11)
【Fターム(参考)】