説明

縦穴用管路位置計測装置

【課題】本発明は、縦穴計測体に単芯の同軸ケーブルを接続し、検出信号の伝送及び電源供給を同時に行い、縦穴計測体の吊り下げ時のより戻しによる回転を防止することを目的とする。
【解決手段】本発明による縦穴用管路位置計測装置は、縦穴計測体(1)とコントロールボックス(12)を単芯の同軸ケーブル(6)で接続し、検出信号(11)と電源供給(16)とをこの同軸ケーブル(6)を用いて同時に伝送する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦穴用管路位置計測装置に関し、特に、縦穴計測体に単芯の同軸ケーブルを接続し、検出信号の伝送及び電源供給を同時に行い、縦穴計測体の吊り下げ時のより戻しによる回転を防止するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の縦穴用管路位置計測装置としては、例えば、特許文献1及び2に開示された構成を挙げることができるが、何れも、多芯型のケーブルを用いて、計測体を横穴と縦穴に用いていた。
【0003】
【特許文献1】特開2007−155377号公報
【特許文献2】特開2007−169954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の管路位置計測装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、計測体を横穴に用いる場合は、計測体に車輌を設けて横穴の底面を走行するため、計測体がロールを起して不要な角速度信号がコントロールボックス側に入力して検出精度の低下となることはないが、縦穴に計測体を吊り下げて縦穴の管路位置を計測する場合は、ケーブルが多芯の“より線”で形成されているため、このケーブルのより戻しによって、計測体が縦穴の中で回転することが発生する。
この自転によって、計測体にセンサの検出範囲を超える過大な角速度が印加され、本来の管路位置の計測が不可能となることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による縦穴用管路位置計測装置は、少なくともジャイロ及び加速度計を有する縦穴計測体がケーブルを介してコントロールボックスに接続され、前記縦穴計測体を前記ケーブルを介して縦穴内に吊り下げさせ、前記ジャイロ及び加速度計からの検出信号を前記コントロールボックス内に取り込み、前記縦穴の管路位置を計測するようにした縦穴用管路位置計測装置において、前記ケーブルは、単芯の同軸ケーブルにて電源供給及び前記検出信号のデータ伝送を同時に行う構成であり、また、前記縦穴計測体は、全体形状が円筒体で形成され、前記縦穴計測体の先端にはショックアブソーバが設けられている構成である。
【発明の効果】
【0006】
本発明による縦穴用管路位置計測装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、少なくともジャイロ及び加速度計を有する縦穴計測体がケーブルを介してコントロールボックスに接続され、前記縦穴計測体を前記ケーブルを介して縦穴内に吊り下げさせ、前記ジャイロ及び加速度計からの検出信号を前記コントロールボックス内に取り込み、前記縦穴の管路位置を計測するようにした縦穴用管路位置計測装置において、前記ケーブルは、単芯の同軸ケーブルにて電源供給及び前記検出信号のデータ伝送を同時に行うことにより、同軸ケーブルのよじれがなく、縦穴計測体の回転が発生せず、姿勢・方位角の安定計測ができる。
また、前記縦穴計測体は、全体形状が円筒体で形成され、前記縦穴計測体の先端にはショックアブソーバが設けられていることにより、縦穴の底部に縦穴計測体が衝突した場合でも、縦穴計測体の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、縦穴計測体を単芯の同軸ケーブルを用いて、検出信号の送信及び電源供給を同時に行い、縦穴計測体の吊り下げ時のより戻しによる回転を防止するようにした縦穴用管路位置計測装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0008】
以下、図面と共に本発明による縦穴用管路位置計測装置の好適な実施の形態について説明する。
図1において符号1で示されるものは全体形状が円筒型をなす縦穴計測体であり、この縦穴計測体1の先端にはショックアブソーバ2が設けられている。
前記縦穴計測体1内には、ジャイロ3、加速度計4及び信号処理部5が内設されており、前記縦穴計測体1は単芯のよじれのない同軸ケーブル6を介してケーブル巻取機7のケーブルリール8に接続されている。
【0009】
前記同軸ケーブル6は、滑車9とケーブル測長器10及びケーブルリール8を介して前記ケーブル巻取機7に巻き取られるように構成され、前記ケーブル測長器10を介して前記ケーブル巻取機7からの同軸ケーブル6の繰り出し長さ、すなわち、ケーブル長10aを計測することができるように構成されている。
【0010】
前記ケーブル巻取機7には、前記同軸ケーブル6を介して伝送される前記縦穴計測体1のジャイロ3及び加速度計4等からの検出信号11が通過して操作盤であるコントロールボックス12に取り込まれるように構成されている。
【0011】
前記コントロールボックス12には、AC100Vの外部電源13が印加されており、これにより、ケーブルリール電源7Aがコントロールボックス12から前記ケーブル巻取機7に印加されている。
【0012】
前記コントロールボックス12には、図示しない信号処理回路が内設され、前記ケーブル長10a及び検出信号11の入力によって、ケーブル長X及び縦穴計測体1の曲り量Yが演算されてX−Yレコーダ14に入力され、このケーブル長X及び曲り量Yは前記X−Yレコーダ14に表示される。
また、前記コントロールボックス12からは、前記ケーブル長X及び曲り量Yは、ディジタルデータとしてディジタル出力15が出力されるように構成されている。
【0013】
前述の構成において、前記縦穴計測体1を、図示しない縦穴内に吊り下げ、同軸ケーブル6をケーブル巻取機7から伸ばすことにより、縦穴計測体1が縦穴の管路内の各種計測をしつつ、その検出信号11のデータを単芯の同軸ケーブル6を介して前記コントロールボックス12に伝送する。
尚、この場合、同軸ケーブル6がよじれのない単芯で構成されているため、縦穴内で縦穴計測体1が回転することがなく、計測不能な角速度入力もなく、安定した計測ができる。
【0014】
同時に、前記同軸ケーブル6には、縦穴計測動作の初期から電源供給16が行われており、この電源供給16と検出信号11の伝送は、前記同軸ケーブル6を介して同時に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による縦穴用管路位置計測装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0016】
1 縦穴計測体
2 ショックアブソーバ
3 ジャイロ
4 加速度計
5 信号処理部
6 同軸ケーブル
7 ケーブル巻取機
7A ケーブルリール電源
8 ケーブルリール
10 ケーブル測長器
11 検出信号
12 コントロールボックス
13 外部電源
14 X−Yレコーダ
15 ディジタル出力
16 電源供給

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともジャイロ(3)及び加速度計(4)を有する縦穴計測体(1)がケーブルを介してコントロールボックス(12)に接続され、前記縦穴計測体(1)を前記ケーブルを介して縦穴内に吊り下げさせ、前記ジャイロ(3)及び加速度計(4)からの検出信号(11)を前記コントロールボックス(12)内に取り込み、前記縦穴の管路位置を計測するようにした縦穴用管路位置計測装置において、
前記ケーブルは、単芯の同軸ケーブル(6)にて電源供給(16)及び前記検出信号(11)のデータ伝送を同時に行うことを特徴とする縦穴用管路位置計測装置。
【請求項2】
前記縦穴計測体(1)は、全体形状が円筒体で形成され、前記縦穴計測体(1)の先端にはショックアブソーバ(2)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の縦穴用管路位置計測装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−25704(P2010−25704A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186282(P2008−186282)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)