説明

縫合糸に棘を形成する装置および方法

【課題】縫合糸に棘を形成する装置および方法を提供する。
【解決手段】ある長さの縫合糸10上に1つ以上の棘14を形成するためのシステムであって、システムは,ある長さの縫合糸の受け取りのために構成された長手方向の通路を規定する縫合糸ネストであって、該縫合糸ネストは、該長手方向の通路に沿って形成された少なくとも1つの凹部15と、該少なくとも1つの凹部に対応する少なくとも1つの開口とを含む、縫合糸ネストと、縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口に対応する少なくとも1つのパンチ部材を含むパンチデバイスであって、少なくとも1つのパンチ部材は、縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口内で選択的に受け取られるように構成される、パンチデバイスとを含む、システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年4月29日に出願された米国仮出願第61/480、653号の利益を主張し、この出願に対し優先権を主張し、この出願の全内容は、参照によって本明細書において援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、縫合糸に棘を形成するための装置および方法に関する。さらに詳細には、本開示はヒートステーキング溶接を使用して縫合糸上に棘を形成する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連分野の背景)
有刺縫合糸は、通常、従来の縫合糸と同じ材料から成り、従来の縫合糸と比べて傷口を閉鎖するためのいくつかの利点を提供する。有刺縫合糸は、1つ以上の間隔を開けられた棘を有する細長い本体を含み、棘は本体の長さ方向に沿って縫合糸本体の表面から外側に突出する。棘は組織をとおって一方向への有刺縫合糸の通過を可能にするように配列されるが、反対方向への有刺縫合糸の動作に抵抗する。従って、有刺縫合糸の1つの利点は、滑らない特性の提供である。
【0004】
有刺縫合糸は無数の処置において使用される。特定の縫合糸において必要とされる棘の数は、傷口の大きさと、傷口を閉じた状態に保持するために必要とされる力により影響される。従来の縫合糸と同様に、有刺縫合糸は外科用縫合針を使用して組織内に挿入され得る。
【0005】
一部の状況において、縫合糸の外側表面上の棘の特定の構成が、特定の傷口の最適な傷口の閉鎖保持を達成するために好まれる。しかし、他の状況において、必要とされる傷口または組織の修復が比較的小さい場合、低減された数の棘が所望され得る。他の状況において、きつく閉鎖する縫合を行うために、縫合糸の一部分にわたる棘が一方向への縫合糸の通過を可能にし、縫合糸の別の部分にわたる棘が第二の方向への縫合糸の通過を可能にする二方向型有刺縫合糸が所望される。
【0006】
縫合糸上の棘を形成する様々な方法、例えば機械的切断、レーザ切断、射出成型、押出し加工などが提案されている。しかし、このような方法は、適切な処置と、そのための効率的で費用効率の高い手法とに必要とされる構成に棘を配列することに対する所望される結果を達成することが困難または高価であり得る。
【0007】
よって、より困難でなく、より効率的および/または経済的である、縫合糸上に棘を形成する方法に対する継続的な必要性が存在する。また、棘の大きさ、数、位置、および/または深さが変更可能である方法に対する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある長さの縫合糸上に1つ以上の棘を形成するためのシステムが提供される。システムは、縫合糸ネストとパンチ装置とを含む。縫合糸ネストは、ある長さの縫合糸の受け取りのために構成された長手方向の通路を規定する。縫合糸ネストは、長手方向の通路に沿って形成された少なくとも1つの凹部と、少なくとも1つの凹部に対応する少なくとも1つの開口とを含む。パンチ装置は縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口に対応する少なくとも1つのパンチ部材を含む。少なくとも1つのパンチ部材は、縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口内において選択的に受け取られるように構成される。
【0009】
1つの実施形態において、縫合糸ネストは複数の凹部と複数の対応する開口とを含む。パンチ装置は、縫合糸ネストにおける複数の開口に対応する複数のパンチ部材を含み得る。パンチ装置およびネストのうちの少なくとも1つは、他方に対して選択的に動作可能であり得る。縫合糸ネストは、第一および第二ネスト半分部を含み得、少なくとも1つの凹部が第一および第二ネスト半分部のうちの1つにおいて形成され得る。少なくとも1つの凹部に対応する少なくとも1つの開口は、第一および第二ネスト半分部のうちの他方において形成され得る。
【0010】
また、縫合糸形成ネストが提供される。縫合糸形成ネストは、第一の長手方向の溝を規定する第一ネスト半分部と、第一の長手方向の溝に対応する第二の長手方向の溝を規定する第二ネスト半分部とを含む。第一ネスト半分部は、さらに、長手方向の溝に沿って形成される少なくとも第一凹部を規定する。第二ネスト半分部は、さらに、第一ネスト半分部の少なくとも第一凹部に対応する、第二ネスト半分部を貫通する少なくとも第一開口を規定する。
【0011】
1つの実施形態において、第一および第二ネスト半分部は、それぞれ、縫合形成プロセス中に接触するように構成された内側表面を含む。第一および第二の長手方向の溝が、第一および第二ネスト半分部の第一および第二内側表面が接触する場合に縫合糸を受け取るための長手方向の通路を形成し得る。第一ネスト半分部は、第一の細長い溝に沿って形成された複数の凹部を含み得る。複数の凹部は、第一の長手方向の溝の側面に交互に形成され得る。第二ネスト半分部は第一の長手方向の溝に沿って形成された複数の開口を含み得る。複数の開口は、第二の長手方向の溝の側面に交互に形成され得る。少なくとも1つの凹部は、先の尖った棘および丸められた棘のうちの1つを形成し得る。第二ネスト半分部は、パンチと係合するように構成され得る。
【0012】
また、縫合糸形成ネストとの使用のためのパンチデバイスが提供される。装置は、基部と、基部から延びる少なくとも1つのパンチアセンブリとを含む。少なくとも1つのパンチアセンブリは、基部部材とパンチ部材とを含む。パンチ部材は、縫合糸ネストの開口内における受け取りのために構成され得る。基部部材は、基部および/または基部部材に対して選択的に延びることが可能であり得る。パンチ部材の遠位端は、縫合糸と係合するように構成され得る。パンチデバイスは、さらに、少なくとも1つのパンチ部材を加熱するためのメカニズムを含み得る。
【0013】
その上、有刺縫合糸が提供される。有刺縫合糸は、細長い本体部と、細長い本体部から延びる少なくとも1つの棘とを含み、細長い本体部は、少なくとも1つの棘に隣接する凹部を規定する。1つの実施形態において、細長い本体部は複数の棘を含む。有刺縫合糸は、さらに、細長い本体部において規定された凹部の周りに延びる1つ以上の隆起を含み得る。複数の隆起は、複数の棘のそれぞれに対応する。少なくとも1つの棘に隣接する凹部は、少なくとも1つの棘と同じ方向に配向され得る。凹部は実質的に長円形であり得る。
【0014】
また、有刺縫合糸を生成する方法が提供される。方法は、縫合糸ネストと縫合糸ネストとの動作可能な係合に対して構成されたパンチ装置とを提供するステップと、縫合糸ネストをとおして縫合糸を充填するステップと、パンチ装置を縫合糸ネストと係合するステップと、パンチ装置を縫合糸ネストとの係合を解除するステップとを含む。縫合糸ネストは、第一および第二縫合糸半分部を含み得る。第一ネスト半分部は、第一の長手方向の溝と、長手方向の溝に沿って形成された少なくとも第一凹部とを規定し得る。第二ネスト半分部は、第一の長手方向の溝に対応する第二の長手方向の溝と、第一ネスト半分部の少なくとも第一凹部に対応する、第二ネスト半分部を貫通する少なくとも第一開口とを規定し得る。第一および第二の長手方向の溝は、第一ネスト半分部が第二ネスト半分部と係合している場合、ネストをとおる細長い通路を形成し得る。
【0015】
本開示の様々な実施形態は、以下の図面への参照と共に本明細書に記述される。
【0016】
本発明は例えば以下を提供する。
(項目1) ある長さの縫合糸上に1つ以上の棘を形成するためのシステムであって、システムは、
ある長さの縫合糸の受け取りのために構成された長手方向の通路を規定する縫合糸ネストであって、該縫合糸ネストは、該長手方向の通路に沿って形成された少なくとも1つの凹部と、該少なくとも1つの凹部に対応する少なくとも1つの開口とを含む、縫合糸ネストと、
該縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口に対応する少なくとも1つのパンチ部材を含むパンチデバイスであって、該少なくとも1つのパンチ部材は、該縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口内で選択的に受け取られるように構成される、パンチデバイスと
を含む、システム。
(項目2) 上記縫合糸ネストは複数の凹部と複数の対応する開口とを含む、上記項目に記載のシステム。
(項目3) 上記パンチデバイスは、上記縫合糸ネストにおける複数の開口に対応する複数のパンチ部材を含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目4) 上記パンチデバイスのうちの少なくとも1つおよび上記ネストは、他方に対して選択的に移動可能である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目5) 上記縫合糸ネストは、第一ネスト半分部と第二ネスト半分部とを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目6) 上記少なくとも1つの凹部は、上記第一ネスト半分部および上記第二ネスト半分部のうちの一方において形成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目7) 上記少なくとも1つの凹部に対応する少なくとも1つの開口は上記第一ネスト半分部および上記第二ネスト半分部のうちの他方に形成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目8) 第一ネスト半分部であって、
該第一ネスト半分部は、第一の長手方向の溝と、該長手方向の溝に沿って形成された少なくとも第一凹部とを規定する第一ネスト半分部と、
第二ネスト半分部と
を含み、
該第二ネスト半分部は、該第一の長手方向の溝に対応する第二の長手方向の溝と少なくとも第一の開口とを規定し、該第一の開口は、該第二ネスト半分部をとおって延び、該第一ネスト半分部の該少なくとも第一凹部に対応する、
縫合糸形成ネスト。
(項目9) 上記第一のネスト半分部および第二ネスト半分部のそれぞれは、縫合糸形成プロセス中に接触するように構成された内側表面を含む、上記項目に記載の縫合糸形成ネスト。
(項目10) 上記第一の長手方向の溝および上記第二の長手方向の溝は、上記第一および第二ネスト半分部の第一および第二内側表面とが接触する場合に縫合糸を受け取るための長手方向の通路を形成する、上記項目のいずれかに記載の縫合糸形成ネスト。
(項目11) 上記第一ネスト半分部は、上記第一の長手方向の溝に沿って形成された複数の凹部を含む、上記項目のいずれか一項に記載の縫合糸形成ネスト。
(項目12) 上記複数の凹部は、上記第一の長手方向の溝の側面上に交互に形成される、上記項目のいずれか一項に記載の縫合糸形成ネスト。
(項目13) 上記第二ネスト半分部は、上記第一の長手方向の溝に沿って形成される複数の開口を含む、上記項目のいずれか一項に記載の縫合糸形成ネスト。
(項目14) 上記複数の開口は、上記第二の長手方向の溝の側面上に交互に形成される、上記項目のいずれか一項に記載の縫合糸形成ネスト。
(項目15) 上記少なくとも1つの凹部は、先の尖った棘および先の丸い形の棘のうちの1つを形成する、上記項目のいずれか一項に記載の縫合糸形成ネスト。
(項目16) 上記第二ネスト半分部はパンチデバイスと係合するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載の縫合糸形成ネスト。
(項目17) 縫合糸形成ネストとの使用のためのパンチデバイスであって、該パンチは、
基部と、
該基部から延びる少なくとも1つのパンチアセンブリであって、該少なくとも1つのパンチアセンブリは、基部部材とパンチ部材とを含み、該パンチ部材は、該縫合糸ネストの開口内での受け取りのために構成される、パンチアセンブリと
を含む、デバイス。
(項目18) 上記基部部材は、上記基部に対して選択的に延びることが可能である、上記項目に記載のデバイス。
(項目19) 上記パンチ部材は、上記基部部材に対して選択的に延びることが可能である、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目20) 上記パンチ部材の遠位端は、縫合糸と係合するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目21) 上記少なくとも1つのパンチ部材を加熱するためのメカニズムをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
【0017】
(摘要)
ある長さの縫合糸上に1つ以上の棘を形成するためのシステムが提供される。システムは、縫合糸ネストとパンチ装置とを含む。縫合糸ネストは、ある長さの縫合糸の受け取りのために構成された長手方向の通路を規定する。縫合糸ネストは、長手方向の通路に沿って形成された少なくとも1つの凹部と、少なくとも1つの凹部に対応する少なくとも1つの開口とを含む。パンチ装置は縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口に対応する少なくとも1つのパンチ部材を含む。少なくとも1つのパンチ部材は、縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口内において選択的に受け取られるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】図1Aは、本開示による、モノフィラメント糸から形成された有刺縫合糸の実施形態の斜視図である。
【図1B】図1Bは、本開示による、マルチフィラメントの組紐状に編まれた糸から形成された有刺縫合糸の別の実施形態の斜視図である。
【図1C】図1Cは、図1Aの有刺縫合糸の断面図である。
【図2】図2A−2Gは、円形状(図2A)、楕円形状(図2B)、正方形状(図2C)、星形状(図2D)、八角形状(図2E)、矩形状(図2F)、および平面状(図2G)を含む別の断面形態を有する縫合糸の端面図である。
【図3】図3は、本開示の実施形態による、有刺縫合糸形成ネストの斜視図である。
【図4A】図4Aは、図3の有刺縫合糸形成ネストの第一ネスト半分部の正面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの第一ネスト半分部の背面図である。
【図5A】図5Aは、本開示の別の実施形態によるネスト半分部の拡大断面図である。
【図5B】5Bは、本開示の別の実施形態によるネスト半分部の拡大断面図である。
【図6A】図6Aは、図3の有刺縫合糸形成ネストの第二ネスト半分部の正面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aの第二ネスト半分部の背面図である。
【図7】図7は、図3の有刺縫合糸形成ネストとの使用のためのパンチの正面図である。
【図8】図8は、図7のパンチの側面図である。
【図9】図9は、図3の平面9に沿った、図3の有刺縫合糸形成ネストの断面図である。
【図10】図10は、図9の有刺縫合糸形成ネストの断面図であり、有刺縫合糸形成ネスト内において受け取られたある長さの縫合糸を含む。
【図11】図11は、図10の有刺縫合糸および縫合糸の断面図であり、有刺縫合糸形成ネストと動作可能に係合しているパンチアセンブリを含む。
【図12】図12は、図11の有刺縫合糸および縫合糸の断面図であり、有刺縫合糸形成ネストと動作可能に係合しているパンチアセンブリを含む。
【図13】図13は、本開示の別の実施形態による有刺縫合糸の断面図であり、開いた配置にあり、有刺縫合糸形成ネストをとおして受け取られたある長さの縫合糸を含む。
【図14】図14は、閉じた配置における、図13の有刺縫合糸形成ネストの断面図である。
【図15】図15は、本開示の別の実施形態による有刺縫合糸の断面図であり、開いた配置にあり、有刺縫合糸形成ネストをとおして受け取られたある長さの縫合糸を含む。
【図16】図16は、閉じた配置における、図15の有刺縫合糸形成ネストの断面図であり、有刺縫合糸形成ネストと動作可能に係合した一対のパンチアセンブリを含む。
【図17】図17は、本開示のさらに別の実施形態による有刺縫合糸形成ネストの断面図である。
【図18】図18は、棘を形成する以前の、図17の棘形成ネストの断面図であり、棘形成ネスト内において受け取られた縫合糸を含む。
【図19】図19は、棘を形成した後の、図17の棘形成ネストおよび縫合糸の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に開示されているのは、その長さに沿って形成される少なくとも1つの棘を有する縫合糸を形成するためのシステムおよび方法である。ここで詳細に図面を参照し、図面においては同様な参照番号が様々な図面における同様な要素に適用されている。図1Aおよび1Bは、ある長さの縫合糸10を示し、縫合糸10は、細長い本体部12と、細長い本体部12に形成された複数の棘14とを有する。縫合糸10は近位端10aおよび遠位端10bを有する。近位端10aおよび遠位端10bのいずれかまたは両方は針を含み得る(図示なし)。示されているように、棘14は、縫合糸10の細長い本体部12から外側に第一方向に突出して形成される。しかし、棘14は縫合糸10の第一部分に沿って第一方向に外側に突出し、第二の長さの棘14は縫合糸10の第二部分に沿って第二の方向に外側に突出し得、これによって二方向型棘縫合糸を形成する。
【0020】
図1Aおよび1Bを継続して参照すると、棘14は、棘14および細長い本体部12の間に90度(90°)未満の角度α(図1A)を形成する。各棘14は、窪みまたは凹部15を含み、窪みまたは凹部15は少なくとも部分的に細長い本体部12に沿って配置される。示されているように、各凹部15は隆起16(図1C)によって規定される。隆起16は細長い本体部12の一部分から形成され、増加された厚さおよび/または密度を有する。隆起16は棘形成プロセスの一部として生成される。隆起16を含んで示されているが、細長い本体部12は隆起16なしに1つ以上の凹部15を規定し得ることが想起される。あるいは、細長い本体部12が複数の隆起16、16a(図1C参照、破線にて示されている)が形成された凹部を規定し得ることが想起される。凹部15および/または隆起16は、棘14および/または細長い本体部12に構造的な強度を付加するように構成され得る。図1Aおよび1Bにおいて示されているように、凹部15は棘14と同じ方向に配向される。
【0021】
図1Aに示されているように、縫合糸10はモノフィラメント糸で形成される。図1Bを参照すると、示されているように、縫合糸10は組紐状に編まれた糸で形成される。組紐状に編むことは当業者の技術範囲内の任意の方法でなされ得る。縫合糸10を形成するために使用されるフィラメントおよび/または繊維は、例えば押出し加工および/またはモールディングのような当業者の技術範囲内の任意の技術を使用して形成され得る。一部の実施形態において、縫合糸は2つ以上のフィラメントから成るヤーンを含み得る。1つまたは複数のフィラメントは同じまたは異なる材料の複数のストランドを含み得る。縫合糸10が複数のフィラメントから成る場合、縫合糸10は、例えば組紐状に編む、織る、ニッティングするなどの任意の公知の技術を使用し生成され得る。また、フィラメントは不織縫合糸を製造するために結合され得る。フィラメント自体は、縫合糸形成プロセスの一部として、ヤーンを形成するために延伸、配向、縮れ、ねじり、混合、またはエアーエンタングルが施され得る。以下の開示から明らかになるように、本開示の特定の局面は特に組紐状に織られた縫合糸および/または多フィラメント縫合糸との使用に適切であり、これは棘形成プロセスが複数の糸を互いに接合するようにまたは固定するように動作し得るためである。
【0022】
縫合糸10は、分解性材料、非分解性材料、またはこれらの組み合わせから形成され得る。さらに詳細には、縫合糸10は、ポリエステル、ポリオルトエステル、高分子医薬、ポリヒドロキシブチレート、タンパク質、炭酸塩、これらのホモポリマー、これらのコポリマー、およびこれらの組み合わせから成る群から選択された分解性材料から形成され得る。他の実施形態において、縫合糸10を形成するために活用され得る適切な分解性材料は、自然膠質材料または合成樹脂を含む。
【0023】
縫合糸10を形成するために使用され得る適切な非分解性材料は、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマーならびにポリエチレンとポリプロピレンとの混合物、(ナイロンのような)ポリアミド、ポリアミン、ポリイミン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブテステルなどのポリエーテルエステル、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−ブタンジオール、ポリウレタン、およびこれらの組み合わせを含む。ポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレン、またはアイソタクチックポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレンまたはアタクチックポリプロピレンの混合物であり得る。
【0024】
図1Aおよび1Bに示されているように、縫合糸10は断面形態が円形状であるが、縫合糸10の断面形態は任意の適切な形状であり得る。例えば、図2A−2Gを参照すると、縫合糸10の断面形態は、円形状(図2A)、楕円形状(図2B)、正方形状(図2C)、星形状(図2D)、八角形状(図2E)、矩形状(図2F)、および平面状(図2G)を含み得る。
【0025】
ここで図3を参照すると、縫合糸10(図1Aおよび1B)上に棘14を形成するための装置の実施形態が一般的に縫合糸形成ネスト100として示されている。縫合糸形成ネスト100は第一ネスト半分部110および第二ネスト半分部120を含む。第一ネスト半分部110および第二ネスト半分部120は空洞101を形成するように協働し、空洞101内でのある長さの縫合糸10の受け取りのために構成される。
【0026】
ここで図3、4A、および4Bを参照すると、縫合糸形成ネスト100の第一ネスト半分部110は内側表面112に沿って長手方向の溝111を規定する。長手方向の溝111は縫合糸10の細長い本体部12を受け取るように構成される。複数の棘形状の凹部113が長手方向の溝111の長さに沿って内側表面112に形成される。示されているように、凹部113は交互のパターンで溝111の第一および第二側面に沿って形成される。しかし、溝111の一方の側面にのみ沿って凹部113が内側表面112に形成され得ることが想起される。さらに、第一ネスト半分部110は、内側表面112に形成された凹部113を1つだけ含み得ることが想起される。示されているように、凹部113は実質的に三角形状の切り抜きを形成する。図5Aおよび5Bを暫時注目すると、第一ネスト半分部110は、代わりに、先が尖った棘を形成するために鋭利な凹部113a(図5A)を規定するか、なめらかな棘を形成するために丸い形の凹部113b(図5B)を規定し得る。1つの実施形態において、ネスト半分部110は、1つ以上の異なる構成を有する凹部113を規定し得る。別の実施形態において、凹部113は、形状だけでなく大きさも異なり得る。
【0027】
ここで図3、6A、および6Bを参照すると、第二ネスト半分部120は、第二ネスト半分部の内側表面122に沿って長手方向の溝121を規定する。長手方向の溝121は縫合糸10の細長い本体部12を受け取るように構成され、第一ネスト半分部110の長手方向の溝111に対応する。長手方向の溝111および121は、第一半分部110および第二半分部120のそれぞれの内側表面112および122が互いに接触する場合に、棘形成ネスト100をとおる通路101を形成するように協働する。さらに、第二ネスト半分部120は複数の開口123を規定する。開口123は第二ネスト半分部120をとおって貫通する。各開口123は第一ネスト半分部110において形成された凹部113に対応する。開口123のそれぞれは、パンチ部材156の遠位端(図8)を受け取るように構成される。以下でさらに詳細に述べられるように、パンチ部材156は、縫合糸10(図1)の細長い本体部12において棘14を形成するために開口123をとおして受け取られる。示されているように、開口123は実質的に長円形状の断面を有するパンチ部材156の遠位端156bを受け取るように構成された実質的に長円形状の断面を有するスロットを規定する。開口123は、パンチ部材156の遠位端156bの一部分が縫合糸10の細長い本体部12の一部分と係合するように配向される。
【0028】
図7および8を参照すると、縫合糸形成ネスト100との使用のための装置がパンチ150として一般的に示されている。パンチ150は基部151と基部151に動作可能に接続された複数のパンチアセンブリ152とを含む。パンチアセンブリ152の構成は、縫合糸形成ネスト100の開口123に対応する。各パンチアセンブリ152は基部154と基部154から延びるパンチ部材156とを含む。パンチ部材156は丸い形の遠位端156bを含む。実質的にパンチ部材156に対して直交する遠位表面157を有することが示されているが、パンチ部材156の遠位表面157は角度を持たせられ得ることが想起される。遠位表面157に角度を持たせることは、棘14の形成中の縫合糸材料の動作を容易にする、および/または縫合糸10の細長い本体部12上の凹部15(図1A)の形成を容易にし得る。示されていないが、パンチ部材156の遠位表面157は、輪郭を付けられ得るか、そうでない場合縫合糸10の細長い本体部12上の1つ以上の隆起16の形成を容易にするように構成され得る。パンチ部材156は、パンチ部材156の遠位端156bが縫合糸10の細長い本体部12と係合するように、第二ネスト半分部120の開口123をとおって延びるために充分な長さを有する。1つの実施形態において、パンチ部材156は、基部154の遠位表面155が第二ネスト半分部120の外側表面と係合するような長さを有する。このように、基部154の遠位表面155は、開口123内でのパンチ部材156の過度の挿入を防止するための障害物として機能する。
【0029】
基部部材154および/またはパンチ部材156は、パンチ部材の長手方向の軸「X」(図8)の周りでの選択的な回転のために構成され得る。このように、パンチ部材156は別の縫合糸形成ネストにおける別の方向に配向された開口に対応するように再配向され得る。また、基部部材154は、パンチ150からの選択的な除去のために構成され得る。このように、1つ以上のパンチアセンブリ152は、パンチ150が五つ(5)より少ない開口を有する縫合糸形成ネストと共に使用され得るように除去され得る。その上、基部部材154の選択的な除去は、パンチ部材156に対する損傷の際にパンチ部材156を交換すること、またはパンチ部材156が別の形態に形成された開口との使用のための別の形態に構成されたパンチ部材(図示なし)と交換することを可能にする。
【0030】
図7および8を継続して参照すると、1つの実施形態において、基部部材154はパンチ150の基部151から選択的に延伸するように構成される。この態様において、パンチ150は縫合糸形成ネスト100に対して固定され、パンチ部材156が第二ネスト半分部110における開口123と整列するように配置され得る。基部部材154の基部151に対する前進に際して、矢印「A」(図8)により表されるように、パンチ部材156は第二ネスト半分部120の開口123(図6)に受け取られる。あるいは、基部部材154が基部151に対して固定され、基部151が縫合糸形成ネスト100に対して動かされるように構成され得る。このように基部151のネスト100に対する前進に際して、矢印「B」(図8)により表されるように、パンチ部材156は第二ネスト半分部120の開口123において受け取られる。基部151および/または基部部材154のいずれかまたは両方が前進させられているかどうかに関わらず、基部部材154および/または基部151それぞれの後退は、第二ネスト半分部120の開口123内からのパンチ部材156の後退をもたらす。
【0031】
図7および8を継続して参照すると、パンチ150の基部151はパンチ部材156のそれぞれを加熱するためのメカニズム158を含む。メカニズム158は加熱要素(図示なし)またはパンチ部材156を加熱するための任意の他の適切な方法、例えば、レーザ光線、抵抗をとおって流れる電流、誘電加熱を含み得る。あるいは、基部151は、超音波でパンチ部材156を振動させるための超音波デバイス(図示なし)を含み得る。特定の実施形態において、超音波装置は縫合糸10(図1A)の細長い本体部12とパンチ部材156との間に摩擦を生じさせ、これにより細長い本体部12のパンチ部材156と接触する部分を柔軟にするか曲げやすくなるようにする。さらに別の実施形態において、パンチ部材156および/または細長い本体部12は、棘14の成形を容易にするために、細長い本体部12を形成する材料を柔軟に、または曲げやすくするために溶剤または化学薬品で処理され得る。
【0032】
ここで縫合糸形成ネスト100の使用が図9−12への参照と共に記述される。先ず初めに図9を参照すると、第一ネスト半分部110および第二ネスト半分部120の内側表面112および122が細長い通路101を形成するように接していることが示されている。縫合糸10は、次に長手方向の通路101をとおして装填され得る。あるいは、第一ネスト半分部110および第二ネスト半分部120のいずれかまたは両方は、縫合糸がその中に装填され得るように、矢印「C」により表されるように、他方のネスト半分部から離され得る。図10に注目すると、縫合糸10は縫合糸ネスト100の通路101内に配置されて示されている。
【0033】
ここで図11を参照すると、縫合糸10が棘形成ネスト100の細長い通路101内に配置されると、パンチ150(図7)は起動され、パンチ150のパンチ部材156は、対応するネスト100の第二ネスト半分部120における開口123をとおして挿入される。パンチ部材156は開口123に個別にまたは同時に挿入され得る。上述されたように、パンチ150は第二ネスト半分部120の開口123の大きさおよび位置に対応する複数のパンチ部材156を含む。
【0034】
図11を継続して参照すると、上述されたように、パンチ部材156は、パンチ部材156の遠位端156bが縫合糸10の細長い本体部12の一部分と係合するように、矢印「D」により表されるように、前進させられる。縫合糸10に対するパンチ部材156の継続的な前進は、縫合糸10の細長い本体部12の局部的な柔軟化または融解、および柔軟化/融解された材料の第一ネスト半分部110の凹部113への変移をもたらす。上述されたように、パンチ部材156の遠位表面157は、融解された材料の凹部113への流れを容易にするために角度を持たされ得る。1つの実施形態において、示されているように、基部部材154の遠位表面155は、開口123内でのパンチ部材156の完全な受け取りと同時に、縫合糸形成ネスト100の第二ネスト半分部120と係合するように構成され、これによりパンチ部材156の開口123への過度の挿入を防止するための障害物として作用する。あるいは、基部部材154および基部151のいずれかまたは両方の前進および後退のメカニズムは、パンチ部材156の開口123内での過度の挿入を防止するための停止特徴を含み得る。
【0035】
パンチ部材が適切に前進させられると、加熱メカニズム158はパンチ部材156の冷却を可能にするように非活性化され得る。1つの実施形態において、パンチアセンブリ152は、パンチ部材156の冷却を補助するためのヒートシンク(図示なし)を含む。ここで図12を参照すると、パンチ部材156の充分な冷却に際して、パンチ部材156は、パンチ部材156の遠位端156bが縫合糸10の細長い本体部12との係合を解くように、矢印「E」により表されるように、縫合糸10の細長い本体部12から引き離される。
【0036】
縫合糸形成ネスト100の構成、および所望される棘14の数および構成によって、縫合糸10は、縫合糸形成ネスト100内において滑らかなある長さの縫合糸10を受け取るように、縫合糸形成ネスト100に対して長手方向に前進させられ得る。縫合糸10はまた、以前形成された棘からその後形成された棘を半径方向にずらせるために長手方向の軸に沿って回転させられ得る。あるいは、縫合糸形成ネスト100は、棘14が同時に形成されるか縫合糸10を動かさずに形成され得るように、縫合糸10の全長を収納するように構成される。別の実施形態において、縫合糸10はネスト100の細長い通路101内から除去され、第一の棘から反対に延びる棘を形成するために百八十度(180°)回転させられる。このように、二方向型有刺縫合糸が形成され得る。棘形成プロセスは縫合糸10の長さ方向に沿って反復され得る。
【0037】
縫合糸形成ネスト100は様々な構成の棘を形成するために改変され得ることが想起される。棘14は適切な任意なパターン、例えば螺旋状に、直線状に、または不規則な間隔で配列され得る。パターンは対称的または非対称的であり得る。棘14の数、構成、間隔、および表面積は、縫合糸が使用される組織および縫合糸10を形成するために使用される材料の組成および形態によって異なる。その上、棘14のプロポーションは比較的一定に維持され得、棘14の全体的な長さおよび棘14の間隔は結合される組織により決定され得る。例えば、縫合糸10が皮膚または腱の傷口の縁を結合するために使用される場合、棘14は、このむしろ堅固な組織への侵入を容易にするために比較的短く、より硬質に生成され得る。あるいは、縫合糸10が比較的柔らかい脂肪質の組織においての使用が意図される場合、棘14は縫合糸の柔らかい組織を把握する能力を上げるためにより長く、さらに間隔を開けて生成され得る。
【0038】
また、棘14の表面積は異なり得る。例えば、フーラ型先端を有する棘は特定の外科用途のために設計された様々な大きさで生成され得る。脂肪質で比較的柔らかい組織を結合することに対しては、より大きな棘が所望され得、それに対してコラーゲン密度の高い組織に対してはより小さな棘がより適切であり得る。一部の実施形態において、同じ構造において大きな棘および小さな棘の組み合わせが有益であり得る。例えば、縫合糸が異なる層構造を有する組織の修復において使用される場合はその一例である。棘の大きさがそれぞれの組織層に対してカスタマイズされる、同じ縫合糸に大きな棘および小さな棘の組み合わせの使用は、縫合糸の固定特性を最大化し得る。特定の実施形態において、一方向型縫合糸が大きな棘および小さな棘の両方を有し得、他の実施形態においては二方向型縫合糸が大きな棘および小さな棘の両方を有し得る。形成された棘は、円状、三角形状、正方形状、斜め状、八角形状、矩形状、および平坦な幾何学的形状を含み得る。
【0039】
ここで図13および14を参照すると、縫合糸10(図1Aおよび1B)上に棘14を形成するための装置の別の実施形態が縫合糸形成ネスト200として一般的に示されている。縫合糸形成ネスト200は上記された縫合糸形成ネスト100と実質的に同様であり、従って両者間の相違点に関してのみ記述される。
【0040】
継続して図13および14を参照すると、縫合糸形成ネスト200は、長手方向の溝211を規定する第一ネスト半分部210と、長手方向の溝221を規定する第二ネスト半分部202を含む。第一ネスト半分部210および第二ネスト半分部220は、細長い通路201を形成するように対応する。図13において示されているように、細長い通路201は、細長い通路201の直径より大きい直径を有する縫合糸10の細長い本体部12を受け取るように構成される。あるいは、縫合糸10の細長い本体部12は、細長い通路201の断面構成と異なる断面構成を有し得る。示されているように、縫合糸10の細長い本体部12は実質的に円形状の断面構成を含み、細長い通路201は実質的に長円形状の断面構成を含む。実質的に長円形状の断面構成を有していることが示されているが、細長い通路201は他の断面構成を有し得ることが想起される。例えば、細長い通路201は、代わりにダイヤ形状断面構成を有し得る。第一ネスト半分部210は、さらに、縫合糸10(図1A)に棘14を形成するための少なくとも1つの凹部213を規定する。第二ネスト半分部220は、さらに、棘形成凹部213に対応する少なくとも1つの開口223を規定する。第二ネスト半分部120の開口123と同様に、開口223はパンチ部材156を受け取るように構成される。
【0041】
図14に注目すると、第一ネスト半分部210および第二ネスト半分部220は、縫合糸形成ネスト200が縫合糸10の細長い本体部12の周りで閉じられる場合に、細長い本体部12が細長い本体部12の一部分を凹部213の方に締めつけるように変形させられるように構成される。このように、第一ネスト半分部210および第二ネスト半分部220は、縫合糸10の細長い本体部12上の棘14の形成を容易にする。
【0042】
ここで図15および16を参照すると、縫合糸の細長い本体部12上に棘を形成するための装置の別の実施形態が、縫合糸形成ネスト300として一般的に示されている。縫合糸形成ネスト300は上記された縫合糸形成ネスト100および200と実質的に同様であり、従ってネスト300とネスト100およびネスト200との間の相違点に関してのみ記述される。
【0043】
縫合糸形成ネスト300は、第一ネスト半分部310および第二ネスト半分部320を含む。第一ネスト半分部310および第二ネスト半分部320のそれぞれは長手方向の溝311と321とをそれぞれ規定し、溝311および溝321は細長い通路301を形成するように対応する。第一ネスト半分部310および第二ネスト半分部320のそれぞれは、さらに、開口313と323とをそれぞれ規定する。開口313および323は互いに対して整列し、それぞれがパンチ部材156を受け取るように構成される。図16に示されているように、第一ネスト半分部310および第二ネスト半分部320は、縫合糸の細長い本体部12上の棘の形成をもたらすためにそれぞれの開口313と323とをとおしてパンチ部材156を同時に受け取るように構成される。
【0044】
ここで図17−19を参照すると、本開示によるさらに別の縫合糸形成ネストの実施形態が縫合糸形成ネスト400として一般的に示されている。棘形成ネスト400は、上記された縫合糸形成ネスト100、200、および300と同様であり、従ってネスト400とネスト100、200、および300との間の相違点に関してのみ記述される。
【0045】
図17−19を継続して参照すると、縫合糸形成ネスト400は、第一ネスト半分部410と第二ネスト半分部420とを含む。棘形成ネスト410および420のそれぞれは、長手方向の溝411と421とを規定する内側表面412と422とをそれぞれ含む。長手方向の溝411および421は、第一ネスト半分部410と第二ネスト半分部420との内側表面412と422とが接しているときに、第一ネスト半分部410と第二ネスト半分部420との間に細長い通路401を形成するように協力する。第一ネスト半分部410は、さらに、長手方向の溝411から延びる少なくとも1つの凹部413を規定する。示されているように、凹部413は、縫合糸10の細長い本体部12に対して直角に延びる棘14(図19)を形成するために内側表面412に対して直角に延びる。しかし、凹部413が、代わりに、様々な角度で縫合糸10の細長い本体部12から延びる棘14を形成するように様々な角度で長手方向の溝411から延び得ることが想起される。さらに、第二ネスト半分部420はまた、1つ以上の棘14を形成するための1つ以上の凹部423(斜線で示されている)を含み得ることが想起される。第一ネスト半分部410および第二ネスト半分部420のいずれかまたは両方が、第一ネスト半分部410および第二ネスト半分部420の少なくとも一部分を選択的に加熱するための加熱メカニズム458に動作可能に接続される。1つの実施形態において、加熱メカニズム458は、凹部423に対応する、第一ネスト半分部410および第二ネスト半分部420の一部分のみを加熱する。
【0046】
棘形成ネスト400の使用がここで図17−19を特に参照して記述される。先ず初めに、ある長さの縫合糸10がネスト400の細長い通路401内に充填される。示されているように、縫合糸10は、細長い通路401の直径より大きな直径を含む。加熱メカニズム458が次に第一ネスト半分部410および第二ネスト半分部420のいずれかまたは両方を加熱するために起動される。ネスト半分部410および420の加熱は、縫合糸10の柔軟化および/または融解をもたらす。第一ネスト半分部410および第二ネスト半分部420の互いへの接近は、矢印「F」(図18)により表されるように、縫合糸10が融解されるにつれ縫合糸10の融解された材料を、棘14を形成するように凹部413内へと強いる。第一ネスト半分部410と第二ネスト半分部420との内側表面412と422とが接触すると、加熱メカニズム458は非活性化され、縫合糸10は凝固することが可能になる。パンチ部材156と同様に、第一ネスト半分部410および第二ネスト半分部420は、縫合糸10の冷却を容易にするためにヒートシンク(図示なし)を含み得る。縫合糸10が十分に冷えると、第一ネスト半分部410および第二ネスト半分部420は、互いに対して離され、縫合糸10が除去される。縫合糸10は、次にネスト400内において再配置され得、プロセスが反復され得る。前に開示された縫合糸形成ネストと同様に、棘形成ネスト400が縫合糸10の細長い本体部12の全長に沿って棘14を同時に形成するように構成され得ることが想起される。
【0047】
上記記述は多くの詳細を含むが、これらの詳細は開示の範囲の制限としてではなく、その実施形態の実施例にすぎないと解釈されるべきである。当業者は、添付される特許請求の範囲によって規定されるような開示の範囲および精神内において他の多くの可能性を想起する。例えば、第一ネスト半分部110および第二ネスト半分部120のそれぞれは、開口および凹部の両方をそれぞれ含み得る。このように、半径方向にずれた棘が縫合糸10をネストに対して動かすことなく形成され得る。また、第二パンチが第二の棘の組を同時に形成するためにネストと使用され得る。あるいは、またはその上、開口および凹部は、さらに縫合糸10を動かすことなく半径方向にずれた棘を形成することを可能にするために、ネスト半分部の上面および底面のいずれかまたは両方において形成され得る。
【符号の説明】
【0048】
10 縫合糸
10a 縫合糸の近位端
10b 縫合糸の遠位端
12 細長い本体部
14 棘
15 凹部
16 隆起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある長さの縫合糸上に1つ以上の棘を形成するためのシステムであって、システムは、
ある長さの縫合糸の受け取りのために構成された長手方向の通路を規定する縫合糸ネストであって、該縫合糸ネストは、該長手方向の通路に沿って形成された少なくとも1つの凹部と、該少なくとも1つの凹部に対応する少なくとも1つの開口とを含む、縫合糸ネストと、
該縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口に対応する少なくとも1つのパンチ部材を含むパンチデバイスであって、該少なくとも1つのパンチ部材は、該縫合糸ネストにおける少なくとも1つの開口内で選択的に受け取られるように構成される、パンチデバイスと
を含む、システム。
【請求項2】
前記縫合糸ネストは複数の凹部と複数の対応する開口とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記パンチデバイスは、前記縫合糸ネストにおける複数の開口に対応する複数のパンチ部材を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記パンチデバイスのうちの少なくとも1つおよび前記ネストは、他方に対して選択的に移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記縫合糸ネストは、第一ネスト半分部と第二ネスト半分部とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの凹部は、前記第一ネスト半分部および前記第二ネスト半分部のうちの一方において形成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの凹部に対応する少なくとも1つの開口は前記第一ネスト半分部および前記第二ネスト半分部のうちの他方に形成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第一ネスト半分部であって、
該第一ネスト半分部は、第一の長手方向の溝と、該長手方向の溝に沿って形成された少なくとも第一凹部とを規定する第一ネスト半分部と、
第二ネスト半分部と
を含み、
該第二ネスト半分部は、該第一の長手方向の溝に対応する第二の長手方向の溝と少なくとも第一の開口とを規定し、該第一の開口は、該第二ネスト半分部をとおって延び、該第一ネスト半分部の該少なくとも第一凹部に対応する、
縫合糸形成ネスト。
【請求項9】
前記第一のネスト半分部および第二ネスト半分部のそれぞれは、縫合糸形成プロセス中に接触するように構成された内側表面を含む、請求項8に記載の縫合糸形成ネスト。
【請求項10】
前記第一の長手方向の溝および前記第二の長手方向の溝は、前記第一および第二ネスト半分部の第一および第二内側表面とが接触する場合に縫合糸を受け取るための長手方向の通路を形成する、請求項9に記載の縫合糸形成ネスト。
【請求項11】
前記第一ネスト半分部は、前記第一の長手方向の溝に沿って形成された複数の凹部を含む、請求項8に記載の縫合糸形成ネスト。
【請求項12】
前記複数の凹部は、前記第一の長手方向の溝の側面上に交互に形成される、請求項11に記載の縫合糸形成ネスト。
【請求項13】
前記第二ネスト半分部は、前記第一の長手方向の溝に沿って形成される複数の開口を含む、請求項8に記載の縫合糸形成ネスト。
【請求項14】
前記複数の開口は、前記第二の長手方向の溝の側面上に交互に形成される、請求項13に記載の縫合糸形成ネスト。
【請求項15】
前記少なくとも1つの凹部は、先の尖った棘および丸い形の棘のうちの1つを形成する、請求項8に記載の縫合糸形成ネスト。
【請求項16】
前記第二ネスト半分部はパンチデバイスと係合するように構成される、請求項8に記載の縫合糸形成ネスト。
【請求項17】
縫合糸形成ネストとの使用のためのパンチデバイスであって、該パンチは、
基部と、
該基部から延びる少なくとも1つのパンチアセンブリであって、該少なくとも1つのパンチアセンブリは、基部部材とパンチ部材とを含み、該パンチ部材は、該縫合糸ネストの開口内での受け取りのために構成される、パンチアセンブリと
を含む、デバイス。
【請求項18】
前記基部部材は、前記基部に対して選択的に延びることが可能である、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記パンチ部材は、前記基部部材に対して選択的に延びることが可能である、請求項17に記載のデバイス。
【請求項20】
前記パンチ部材の遠位端は、縫合糸と係合するように構成される、請求項17に記載のデバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つのパンチ部材を加熱するためのメカニズムをさらに含む、請求項17に記載のデバイス。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−232120(P2012−232120A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97554(P2012−97554)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】