説明

縫合糸パッケージ

【課題】パッケージ内に収容した縫合糸を容易かつ円滑良好に引き出すことができる縫合糸パッケージを提供する。
【解決手段】縫合糸1を螺旋状に巻回して収容保持する縫合糸パッケージであって、ベースシート11の一方の面に糸通路配置部12を有する保持器10と、螺旋状に形成され前記配置部に設ける糸通路部20とを備える。糸通路部は、一端部に第1の開口部21を有すると共に他端部に第2の開口部22を有し、第1の開口部をベースシートに形成された糸取り出しエリア15に連通させて前記配置部に固定して配置する。糸通路部は両端を開口した螺旋状のパイプ部材23で構成する。縫合糸を第1の開口部から糸通路部内に導入して収容保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縫合糸パッケージに関する。さらに詳しくは、縫合糸を螺旋状に巻回して収容保持する縫合糸パッケージに関する。本発明の縫合糸パッケージは、端部に縫合針を固着して取付けた針付き縫合糸及び縫合針を取付けていない縫合糸の両方に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来の縫合糸パッケージとして、例えば図11に示すように構成したものが一般に知られている。図11は従来の縫合糸パッケージの一部の構成を概略的に示す説明図である。この縫合糸パッケージ100は、ベースシート101の一方の面に、ベースシート101から壁部102…102を螺旋状に延出し、前記壁部102…102で螺旋状の糸通路を構成してある。糸通路103は両端に開口部(図示せず)を有している。糸通路103の図11において上端部は開口(開口部104)され、ベースシート101の他方の面にカバーシート105を接着して、前記シート105で前記開口部104を閉塞した構成を具備している(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
縫合糸106は、糸通路103の一端側における開口部から糸通路103へ導入されて収容保持される。これにより、縫合糸は螺旋状に巻回して収容保持される。また、縫合糸106をパッケージから取出す場合は、縫合糸の端部(針付き縫合糸の場合は縫合針)を持針器等で把持して引っ張り、縫合糸を前記一端側の開口部を介して糸通路から引き出すように構成されている。
【0004】
ところで、この種縫合糸パッケージは、縫合糸を糸通路から容易、かつ、円滑良好に取り出せるように構成することが肝要である。しかしながら、上記従来の縫合糸パッケージは次のような不都合な問題を有している。
【0005】
即ち、従来の縫合糸パッケージは、ベースシートの他方の面(糸通路の開口部104側の面)にカバーシート105を接着して、開口部104をシート105で閉塞する構成を採用している。そのため、糸通路の上端部(壁部の上端部)とカバーシートとの境界に隙間が生じ易い。したがって、縫合糸を糸通路から引き出すとき、縫合糸が糸通路上端部(壁部の上端部)とカバーシートとの境界領域内に挟まれて押し込まれ、その結果、縫合糸の引き出しを困難にする場合が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3078608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記したような実情に鑑みてなされたもので、パッケージ内に螺旋状に巻回して収容した縫合糸を容易かつ円滑良好に引き出すことができる縫合糸パッケージを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のうち、1つの発明(第1の発明)は、縫合糸を螺旋状に巻回して収容保持する縫合糸パッケージであって、
ベースシートの一方の面に糸通路配置部を有する保持器と、
螺旋状に形成され、前記配置部に設けられる糸通路部とを備え、
前記糸通路部は、一端部に第1の開口部を有すると共に他端部に第2の開口部を有し、前記第1の開口部を前記保持器の前記ベースシートに形成された糸取り出しエリアに連通させて前記配置部に固定して配置され、
前記糸通路部は両端を開口した螺旋状のパイプ部材で構成され、
前記縫合糸を、前記第1の開口部から前記糸通路部に導入して収容保持させるように構成したことを特徴とする。
【0009】
本発明の縫合糸パッケージは、縫合糸の端部に縫合針をかしめ着等により固着して取付けた針付き縫合糸及び縫合糸のみ、即ち、縫合針を取付けていない縫合糸の両方に適用できるものである。また、本発明においては、1本の縫合糸を収容するように構成できると共に複数本の縫合糸を収容するように構成することもできる。
【0010】
本発明において、糸通路部に収容されている縫合糸は、第1の開口部から引き出すものである。本発明は上記のように糸通路は両端を開口した螺旋状のパイプ部材で構成されているので、縫合糸を引っ張ることにより、糸通路の内壁面に案内されて容易に引き出すことができる。したがって、縫合糸を円滑良好に引き出すことができる。
【0011】
本発明の他の1つの発明(第2の発明)は、第1の発明の縫合糸パッケージにおいて、前記配置部は、前記ベースシートから延出する仕切り用壁部で構成されているであることを特徴とする。
【0012】
本発明のさらに他の1つの発明(第3の発明)は、第1及び第2の発明の縫合糸パッケージにおいて、前記配置部は、前記ベースシートから延出する螺旋状の仕切り用壁部で構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のさらに他の1つの発明(第4の発明)は、第1ないし第3の発明の縫合糸パッケージにおいて、前記糸取り出しエリア内における前記ベースシート上に、前記縫合糸の端部を保持する糸保持手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明のさらに他の1つの発明(第5の発明)は、第1ないし第3の発明の縫合糸パッケージにおいて、前記糸取り出しエリア内における前記ベースシート上に、縫合針を保持する針保持手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の1つの発明(第6の発明)は、第1ないし第5の発明の縫合糸パッケージにおいて、前記保持器は、前記糸通路の前記第2の開口部と連通して設けた空気流通路を備え、前記空気流通路に減圧吸引用開口部が設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば次のような作用効果を奏する。
(1)縫合糸を糸通路部に導入して螺旋状に巻回して整然と収容保持できる。
(2)糸通路部は両端を開口した螺旋状のパイプ部材で構成されている。したがって、針付き縫合糸の場合にあっては、縫合針を持針器等で挟持して引っ張ることにより、縫合針は糸通路の内壁面に案内され第1の開口部を介して縫合糸を糸通路から容易に引き出すことができる。また、縫合糸を取付けていない縫合糸の場合には、縫合糸の端部を持針器その他の挟持具で挟持して引っ張ることにより、上記と同様に第1の開口部を介して容易に引き出すことができる。このように本発明によれば、糸通路に収容されている縫合糸を容易かつ円滑良好に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の縫合糸パッケージの構成を概略的に示す図であって、同図(a)は平面図、同図(b)は前記パッケージの糸通路部を示す平面図、同図(c)は同図(a)のA−A線で切断し、その構成を概略的に示す拡大断面図である。
【図2】前記パッケージの保持器の構成を概略的に示す平面図である。
【図3】前記パッケージに設けた保護カバーの構成を概略的に示す平面図である。
【図4】図2のB−B線で切断し、その構成を概略的に示す説明断面図である。
【図5】前記糸通路部の一部の構成を概略的に示す説明図であって、同図(a)は糸通路部の一端部側(第1の開口部側)を示す側面図、同図(b)は同図(a)を拡大して示す説明縦断面図、同図(c)は糸通路部の他端部側(第2の開口部側)を示す側面図、同図(d)は同図(c)を拡大して示す説明縦断面図、同図(e)は前記糸通路部に取付けたアダプターを示す側面図、同図(f)は同じく正面図、同図(g)は同じく背面図である。
【図6】前記パッケージの糸通路部の第2の開口部の部分の構成を概略的に示す説明縦断面図である。
【図7】前記パッケージを外装袋に封入した状態の構成を概略的に示す説明図である。
【図8】前記パッケージに採用される他の実施形態の糸通路部の構成を概略的に示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態の縫合糸パッケージの構成を概略的に示す図であって、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)のC−C線で切断し、その構成を概略的に示す拡大断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態の縫合糸パッケージの構成を概略的に示す図であって、同図(a)は平面図、同図(b)は前記パッケージに設けた保護カバーを示す平面図、同図(c)は同図(a)のD−D線で切断し、その構成を概略的に示す説明断面図である。
【図11】従来の縫合糸パッケージの一部の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の縫合糸パッケージの実施形態の一例について説明する。
【0019】
図1ないし図6は本発明の一実施形態(実施の形態1)の縫合糸パッケージを示す。実施の形態1の縫合糸パッケージ200は、縫合糸1の端部に縫合針2をかしめ着等で固着して取付けた針付き縫合糸用に構成されている。
【0020】
図1ないし図6に示すように、実施形態1の縫合糸パッケージ200は、保持器10と、糸通路部20と、保護カバー30とを備えている。
【0021】
保持器10は、ベストシート11の一方の面に糸通路部20を配置する略楕円形状の糸通路配置部12を有している。保持器10の構成素材は特に限定されないが、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、その他のプラスチックシート等を採用できる。
【0022】
実施形態1の糸通路配置部12は、ベストシート11の前記一方の面に、ベストシート11から略垂直に延出する螺旋状の仕切り用壁部13で構成されている。前記壁部13で上方が開放する螺旋状の収容溝部14が形成されている。糸通路部20は前記溝部14内に収容して配置される。この点については、追ってさらに説明する。
【0023】
保持器10のベストシート11の前記一方の面には、糸取出しエリア15が形成されている。実施形態1の糸取出しエリア15は仕切り用壁部13で囲まれるエリア内に配置して形成されている。
【0024】
前記収容溝部14の第1の端部16は、図2に詳細に示すように、糸取出しエリア15内に連通させて開口している。また、前記溝部14の第2の端部17は閉じている。
【0025】
保持器10は、糸取出しエリア15内におけるベストシート11上に、縫合針2を係脱自在に保持する任意の構成の針保持手段18を備えている。実施形態1の針保持手段18は、前記針2を係脱自在に挟持する挟持部を有する任意の構成の保持具18aで構成されている。また、保持具18aはベストシート11と一体成形されている。
【0026】
前記糸通路部20は螺旋状に形成されている。糸通路部20は、一端部に第1の開口部21を有していると共に他端部に第2の開口部22を有している。実施形態1の糸通路部20は直線状部と円弧状部とを有する概略楕円形状(配置部12と対応する形状)に形成されている。糸通路部20は、第1の開口部21を糸取出しエリア15に連通させて配置部12に固定して配置される。
【0027】
糸通路部20は、両端を開口した螺旋状のパイプ部材23で構成されている。パイプ部材23の構成素材は特に限定されるものではないが、例えば、飲料用として一般に採用されているプラスチック製のストローのようなパイプ材その他の任意のプラスチック製等のパイプ材で構成することができる。なお、パイプ部材23は透明のパイプ材で構成することが好ましい。透明のパイプ材を採用することにより、内部に収容される縫合糸1を外部から容易に確認することができる。
【0028】
本実施形態1の糸通路部20は、パイプ部材23の両端にアダプター24A,24Bを有している。両アダプター24A,24Bは同一に構成されている。実施形態1の両アダプター24A,24Bは、図5に詳細に示すように、収容溝部14内に適合して係入し得る大きさの略四角形状に形成し、中心部に空気流通用の貫通孔26を形成した本体25と、前記孔26と連通させて本体25から突出させて設けられ、パイプ部材23の端部に適合して嵌入する接続用短管27とを有して構成されている。アダプター24A,24Bは、パイプ部材23の両端に短管27をそれぞれ嵌入し、接着その他の手段でパイプ部材23に固定して設けてある。これにより、実施形態1の糸通路部20の第1の開口部21はアダプター24Aの前記貫通孔26で構成されている。また、第2の開口部22はアダプター24Bの前記貫通孔26で構成されている。
【0029】
糸通路部20は、パイプ部材23のアダプター24A側を前記溝部14の第1の端部16に位置させると共にアダプター24B側を前記溝部14の第2の端部17の近くに位置させてパイプ部材23及びアダプター24A,24Bを前記溝部14内に係合収容して配置し、接着その他の任意の手段で固定して設けてある。これにより、糸通路部20は、第1の開口部21を収容溝部14の開口した第1の端部16を介して糸取出しエリア15内に連通させると共に第2の開口部22を収容溝部14の第2の端部17側と連通させて前記配置部12に固定して配置されている。また、前記溝部14の第2の端部17側に糸通路部20の第2の開口部22と連通した空気流通路19が形成される。
【0030】
前記保護カバー30は、保持器10と対応する形状、かつ、保持器10と対応する大きさの透明プラスチックシート材等で構成されている。保護カバー30は、前記配置部12に配置されている糸通路部20の上から保持器10に接着して設けてある。
【0031】
前記カバー30は、糸取出しエリア15の針保持手段18の位置する部位を開口する開口部31と、開口部31側に延設した舌片32とを有している。前記舌片32により、針保持手段18に保持される縫合針2の針先部を覆わせて保護するように構成してある。また、カバー30は、溝部14の第2の端部側17(空気流通路19の端部側)に減圧吸引用開口部33を有している。前記開口部33を通じて糸通路部20内を吸引減圧し、第1の開口部21から縫合糸1を通路部20内に吸引導入して収容保持させるように構成してある。この場合、アダプター24Aは溝部14の第1の端部側のパッキング材の役目をなす。また、アダプター24Bは溝部14の第2の端部側のパッキング材の役目をなす。
即ち、パイプ部材23の第1の端部側及び第2の端部側の外壁面と溝部14との間、及び前記外壁面とカバー30の内壁面との間をシールするパッキング材として機能させるために設けたものである。
【0032】
実施形態1の縫合糸パッケージは上記のように構成したもので、次に縫合糸1を糸通路部20へ収容して保持させる方法の一例及び作用効果等について説明する。
図示しない減圧吸引装置により前記吸引用開口部33から糸通路部20内を吸引減圧し、縫合糸1の端部(針2と反対側の端部)を糸通路部20の第1の開口部21へ挿入する。これにより、糸1は糸通路部内へ吸引され、パイプ部材23に案内されて螺旋状に巻回して糸通路部内に整然と収容保持される。そして、上記により糸1を収容した後、縫合針2を針保持手段18で保持する。これにより、縫合糸は螺旋状に巻回して保持され、パッケージされる。また、前記針2の針先部は舌片32で覆わせる。
【0033】
次に、縫合糸1をパッケージから取り出す場合には、持針器(図示せず)で針2を把持(挟持)して引っ張ることにより、糸2は糸通路部のパイプ部材の内壁面に案内され、第1の開口部21を介して糸通路部から容易に引き出せる。このように糸通路部はパイプ部材で構成されているので、糸通路部に収容されている縫合糸の引き出し作業を容易、かつ円滑良好に行なうことができる。
【0034】
なお、本実施形態1では、吸引減圧用開口部33をカバー部30側に設けた例を開示したが、前記開口部33は保持器10のベースシート11側に設ける構成を採用してもよい。この構成によっても上記と同様の作用効果を奏する。上記した前記開口部33を設ける部位の変形態様については、後述する各実施形態においても同様である。
【0035】
図7は上記のように縫合糸1を収容保持した前記パッケージ200を外装袋に封入した状態の一例の構成を概略的に示す説明図である。
【0036】
外装袋40は、図7に示すように、台紙41と透明プラスチックフィルム製等の表面フィルムシート42とで構成される。そして、台紙41に前記パッケージ200を載置すると共に、その上から前記フィルムシート42を台紙41上に重合し、この状態で台紙41及びフィルムシート42の両側縁(図7において上下縁)と底縁、及び上縁部近くに沿わせてシートヒート43する。これにより、前記パッケージ200は外装袋40内に密封して収容される。次いで、上記のようにパッケージ200を外装袋40に封入した状態でガス滅菌等により滅菌処理される。
【0037】
前記パッケージ200は、一般に上記のように外装袋40に封入して滅菌処理した状態で流通に供され、また、保管される。そして、所要時に開封して外装袋から取り出して使用される。この点については後述する各実施形態に老いても同様である。
【0038】
図8は前記パッケージ200に採用される他の実施形態(実施形態2)の糸通路部の構成を概略的に示す平面図である。実施形態2において、実施の形態1で既に説明した構成と共通する構成部等には同一符号を付して説明を省略する。この点については後述する各実施形態においても同様である。
【0039】
実施形態2の糸通路部20Aは、螺旋状のパイプ部材23の円弧状部に位置する部位に蛇腹パイプ部23aを介装して一体成形して構成されている。他の構成は実施形態1の糸通路部20と同様である。
【0040】
実施形態2の糸通路部20Aは、上記のように構成され、実施の形態1と全く同様に前記配置部12に固定して配置し、縫合糸パッケージを構成するものである。また、実施の形態1と同様に使用するものである。これにより、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
なお、実施形態2のように構成すると、縫合糸1をパッケージから取り出す際、糸通路部の円弧状部は蛇腹パイプ部で構成されているので、当該部位を通過する際の縫合糸1との摺接抵抗(摩擦抵抗)を小にできる。したがって、糸の引き抜き作業が一層容易かつ良好に行える。
また、実施形態2のようにパイプ部材23の所望の部位に蛇腹パイプ部23aを介装して糸通路部を構成すると、パイプ部材は蛇腹パイプ部材の部位を円弧状その他の所望の形状に弯曲させることができる。したがって、例えば、糸通路部を直線状のパイプ部材で製造し、このパイプ部材の蛇腹パイプ部を弯曲させて所望の大きさの螺旋状の糸通路部を形成することができる。
【0041】
図9は本発明のさらに他の実施形態(実施形態3)の縫合糸パッケージを示す。実施形態3の縫合糸パッケージ300は、複数本の針付き縫合糸のパッケージ用に構成されている。
【0042】
実施形態3の縫合糸パッケージ300は、保持器10のベースシート11に形成される糸取り出しエリア15Aを仕切り用壁部で囲まれるエリアの略全域で形成されている。針保持手段18Aは、複数個(縫合糸1の本数と対応する数)の保持具18b…18bを糸取り出しエリア15A内の略中央部におけるベースシート11上に、所望の間隔を存して直線状に並べて設けて構成されている。
【0043】
複数本の各縫合糸1A,1B…1Eの端部にそれぞれ固着して設けた各縫合針2A,2B…2Eは、図9(a)に示すように、針保持手段18Aの所定の部位の保持具18b…18bに係脱自在に挟持させて並べて保持させるように構成されている。なお、図9(a)において、縫合糸1A以外の縫合糸1B…1Eは、一部のみを図示してある。
【0044】
保護カバー30は、糸取り出しエリア15Aと対応する大きさに開口した開口部31Aと、カバー30から開口部31A側に延設した舌片32Aとを有している。前記舌片32Aは、針保持手段18A保持される複数本の全ての縫合針2A…2Eの針先部を覆わせる大きさに形成し、前記各針の針先部を保護するように構成されている。他の構成は実施形態1と同様である。
【0045】
実施形態3の縫合糸パッケージは上記のように構成され、実施形態1と同様の方法で糸通路部20内に吸引し、螺旋状に巻回して糸通路部20内に収容保持される。この場合、全ての縫合糸1A…1Eをまとめて吸引し、又は糸を所望本づつ吸引し、或いは1本づつ吸引して、図9(b)に示すように、糸通路部に全縫合糸1A…1Eを螺旋状に巻回して収容保持することができる。
【0046】
上記のように糸通路部内に収容した縫合糸1A…1Eは、所望の縫合針を持針器で把持して、引っ張ることにより、1本づつ糸通路部から取り出して使用する。実施形態3の縫合糸パッケージによっても実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0047】
図10は本発明のさらに他の実施形態(実施形態4)の縫合糸パッケージを示す。実施形態4の縫合糸パッケージ400は、糸通路部20の構成及び糸取り出しエリア15Bの配置の位置構成等に特徴がある。
【0048】
実施形態4は、螺旋状の仕切り用壁部13で形成した収容溝部14の第1の端部16Aを最外側部に位置させると共に第2の端部17Aを略中央部に位置させて糸通路配置部12を形成してある。これに対応して、螺旋状の糸通路部20も第1の開口部21を最外側部に位置させると共に第2の開口部22を内側に位置させるように構成し、第1の開口部21を第1の端部16A側に位置させると共に第2の開口部22を第2の端部17A側に位置させて溝部14内に係合収容して固定して配置してある。
【0049】
糸取り出しエリア15Bは糸通路配置部12の外側に位置させてベースシート11の前記一方の面に形成されている。前記第1の端部16Aは、図10(a)に示すように、糸取り出しエリア15B内に連通させて開口してある。これにより、糸通路部20の第1の開口部21は糸取り出しエリア内に連通されている。また、第2の開口部22は収容溝部14の第2の端部17A側に連通されている。糸取り出しエリア15B内におけるベースシート11上に、実施形態1と同様の針保持手段18が設けてある。
【0050】
保護カバー30Aは、糸取り出しエリアの位置する部位を開口する開口部31Bと、開口部31B側に延設した舌片32Bとを有している。また、カバー30Aは、溝部14の第2の端部17A側に減圧吸引用開口部33Aを有している。他の構成は実施形態1と同様である。
【0051】
実施形態4の縫合糸パッケージは上記したように構成され、実施形態1と同様に使用するものである。これにより、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0052】
なお、上記した各実施形態の縫合糸パッケージは、縫合糸の端部に縫合針を固着して取付けた針付き縫合糸用に構成した例を開示したが、縫合糸のみ、即ち、縫合針を取付けていない縫合糸用に構成してもよいものである。この場合には、針取り出しエリアに針保持手段に代え、縫合糸の端部側を係脱自在に保持する任意の構成の糸保持手段を設ける。
【0053】
また、上記各実施形態では、糸通路配置部を螺旋状の仕切り用壁部で構成した例を開示したが、前記壁部は螺旋状ではなく、例えば最外側部の壁部と最内側の壁部により前記配置部を構成してもよい。この場合には、中間部の部位における壁部は省略される。
【0054】
また、上記各実施形態では、全長にわたって連続する連続壁により仕切り用壁部を構成した例が開示されているが、前記壁部は断続的に連続する断続壁で構成することもできる。
【0055】
さらにまた、糸通路配置部は、仕切り用壁以外の手段により構成することもできる。要は、糸通路部を配置して固定できるように構成すればよいものである。
【0056】
さらにまた、糸通路部のパイプ部材の両端に設けたアダプターは、所望に応じて設けるもので、省略してもよい。また、保護カバー30は、基本的には配置部に配置して設けた糸通路部等を覆わせて保護することを主な目的として設けたもので、省略することもできる。
【0057】
なお、上記した各実施形態の縫合糸パッケージは一例として開示したもので、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想を越脱しない範囲において任意に変更可能なものである。
【符号の説明】
【0058】
1 縫合糸
2 縫合針
10 保持器
11 ベースシート
12 糸通路配置部
15 糸取り出しエリア
20 糸通路部
21 第1の開口部
22 第2の開口部
23 パイプ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸を螺旋状に巻回して収容保持する縫合糸パッケージであって、
ベースシートの一方の面に糸通路配置部を有する保持器と、
螺旋状に形成され、前記配置部に設けられる糸通路部とを備え、
前記糸通路部は、一端部に第1の開口部を有すると共に他端部に第2の開口部を有し、前記第1の開口部を前記保持器の前記ベースシートに形成された糸取り出しエリアに連通させて前記配置部に固定して配置され、
前記糸通路部は両端を開口した螺旋状のパイプ部材で構成され、
前記縫合糸を、前記第1の開口部から前記糸通路部に導入して収容保持させるように構成した
ことを特徴とする縫合糸パッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載の縫合糸パッケージにおいて、
前記配置部は、前記ベースシートから延出する仕切り用壁部で構成されていることを特徴とする縫合糸パッケージ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の縫合糸パッケージにおいて、
前記配置部は、前記ベースシートから延出する螺旋状の仕切り用壁部で構成されていることを特徴とする縫合糸パッケージ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の縫合糸パッケージにおいて、
前記糸取り出しエリア内における前記ベースシート上に、前記縫合糸の端部を保持する糸保持手段を備えていることを特徴とする縫合糸パッケージ。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の縫合糸パッケージにおいて、
前記糸取り出しエリア内における前記ベースシート上に、縫合針を保持する針保持手段を備えていることを特徴とする縫合糸パッケージ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の縫合糸パッケージにおいて、
前記保持器は、前記糸通路の前記第2の開口部と連通して設けた空気流通路を備え、前記空気流通路に減圧吸引用開口部が設けてあることを特徴とする縫合糸パッケージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−239632(P2012−239632A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112362(P2011−112362)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(591257580)株式会社秋山製作所 (5)
【Fターム(参考)】