説明

繊維処理剤組成物

【課題】 大過剰の水に希釈しても乳化が壊れず、しかも繊維製品などの対象表面への油剤の吸着性を向上させて、高い残香性を付与することができる繊維処理剤組成物の提供。
【解決手段】 (A)粒子:(a)ヒドロキシ基、カルボン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基及びアミド基から選ばれる基を1つ以上有し、C2-20の構成単位(a1)(但し(a2)の構成単位は除く)、及びC8-22の炭化水素基を有する構成単位(a2)を特定割合で含有する高分子化合物、(b)20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤及び(c)香料を特定割合で含有し、(b)成分及び(c)成分が(a)成分で乳化された乳化粒子、及び(B)成分:オキシアルキレン基の数平均付加モル数が50〜200のポリオキシアルキレン基を1〜3個と、C14-32の炭化水素基を1〜3個有する、HLBが16以上で、かつ融点が30〜80℃の非イオン性界面活性剤を、特定割合で含有する繊維処理剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乳化粒子を含有する繊維処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン化合物等の油剤は洗浄剤、仕上げ剤、繊維処理剤、潤滑剤などの様々な分野に応用され、特に衣料などの繊維製品の仕上げ剤には対象物の風合いを改善するなどの効果を付与する目的から汎用されている。また、シリコーン化合物等の油剤と高分子化合物を併用した技術も多く開示されている。特許文献1〜4には、一般に糊基剤として知られている水溶性高分子化合物及びシリコーン化合物を含有する繊維処理剤組成物が開示されている。また、特許文献5には特定多糖誘導体が開示されており、該特許文献の多糖誘導体は疎水性化合物を安定化できることが記載されている。
【特許文献1】特開2000−129570号公報
【特許文献2】特開2000−129577号公報
【特許文献3】特開2000−129578号公報
【特許文献4】特開2000−239970号公報
【特許文献5】国際公開第00/73351号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、香りに対する意識の高まりから、衣料用洗浄剤や仕上げ剤に残香性のある香料を用いて、洗濯終了後にも香りが持続する技術が開発されている。これら技術は、比較的揮発蒸散しにくい香料を用いることが一般的であるが、選択的に衣類などの対象物に香料を付着させることができないため、洗濯すすぎ時に大部分の香料成分は濯ぎ水と共に排出され、効率的に衣類に残香させることは困難である。
【0004】
特許文献1〜4には水溶性高分子化合物とシリコーン化合物を併用した技術が開示されており、またこれら公報には香料を使用できることが記載されている。しかしながら、これらは水溶性高分子化合物を糊基剤あるいは皮膜形成剤として用いており、シリコーン化合物等の油剤を乳化させる目的で水溶性高分子化合物を用いるものではない。
【0005】
特許文献5には長鎖アルキル基で変性された多糖誘導体が開示されており、該特許文献の実施例には多糖誘導体とシリコーン化合物を併用した技術が開示されている。しかしながら、該特許文献はシリコーン化合物の溶液安定化を目的としており、シリコーン化合物等の油剤と香料を併用することにより、高い残香性を付与できる点については何ら示唆するものではない。
【0006】
従って本発明の課題は、油剤と香料混合物(油剤成分)を含有する水性組成物を大過剰の水に希釈しても乳化が壊れず、しかも繊維製品などの対象表面への油剤成分の吸着性を向上させて、高い残香性を付与することができる繊維処理剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(A)粒子及び(B)成分を含有し、(A)粒子中の下記(a)〜(c)成分の合計量と、(B)成分の質量比が1/100〜1/1である繊維処理剤組成物を提供する。
【0008】
(A)粒子:
(a)成分:ヒドロキシ基、カルボン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基及びアミド基から選ばれる基を1つ以上有し、総炭素数が2〜20である構成単位(a1)(但し(a2)の構成単位は除く)、及び炭素数8〜22の炭化水素基を有する構成単位(a2)を、(a1)/(a2)=100/30〜1000/1のモル比で含有する高分子化合物と、
(b)成分:20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤と、
(c)成分:香料とを、(a)成分1質量部に対し、(b)成分1〜100質量部、(c)成分0.005〜30質量部の割合で含有し、(b)成分及び(c)成分が(a)成分で乳化された乳化粒子。
【0009】
(B)成分:
オキシアルキレン基の数平均付加モル数が50〜200のポリオキシアルキレン基を1〜3個と、炭素数14〜32の炭化水素基を1〜3個有する、HLBが16以上で、かつ融点が30〜80℃の非イオン性界面活性剤
【発明の効果】
【0010】
本発明の繊維処理剤組成物は、20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤と香料(油剤成分)を高分子化合物で乳化することで大過剰の水に希釈しても乳化状態を保つことができ、しかも、繊維製品などの対象表面への油剤成分の吸着性を向上させて、高い残香性を付与することができ、更に繊維に良好な張り性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[(a)成分]
本発明の(a)成分は、ヒドロキシ基、カルボン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基及びアミド基から選ばれる基を1つ以上有し、総炭素数が2〜20である構成単位(a1)(但し(a2)の構成単位は除く)、及び炭素数8〜22の炭化水素基を有する構成単位(a2)を、(a1)/(a2)=100/30〜1000/1のモル比で含有する高分子化合物である。
【0012】
(a1)と(a2)のモル比は、(a)成分が下記(i)の化合物の場合、(a1−1)/(a2−1)のモル比は、100/30〜150/1が好ましく、100/20〜100/1がより好ましく、100/15〜100/3が特に好ましい。一方、(a)成分が下記(ii)の化合物の場合、(a1−2)/(a2−2)のモル比は、1000/100〜1000/1が好ましく、1000/80〜750/1がより好ましく、1000/50〜1000/4が特に好ましい。
【0013】
本発明の(a)成分としては、下記(i)又は(ii)から選ばれる少なくとも1種の高分子化合物が挙げられ、、(i)の高分子化合物が好ましい。
(i)一般式(1)で表されるモノマー単位(a1−1)及び一般式(2)で表されるモノマー単位(a2−1)を含有し、(a1−1)/(a2−1)がモル比で100/30〜150/1であり、分子中の全モノマー単位に対する(a1−1)と(a2−1)の合計モノマー単位の割合が50〜100モル%である高分子化合物。
【0014】
【化2】

【0015】
[式中;R1a及びR2aはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R1b及びR2bはそれぞれ独立に、水素原子又は−COOM1(M1は水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子)から選ばれる基であり、R1c及びR2cはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基から選ばれる基であり、R2dは炭素数8〜22の炭化水素基であり、Aは−COOM2、−OH、−CON(R1d)(R1e)、−COO−R1f−N+(R1g)(R1h)(R1i)・X-、−COO−R1f−N(R1g)(R1h)、−CON(R1d)−R1f−N+(R1g)(R1h)(R1i)・X-、−CON(R1d)−R1f−N(R1g)(R1h)、もしくは環内にアミノ基又はアミド基を少なくとも1つ有する5又は6員環構造の複素環基である。ここで、M2は水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子、R1d、R1e、R1g、R1h及びR1iはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、R1fは炭素数1〜5のアルキレン基、X-は有機又は無機の陰イオン基を示す。Bは−O−、−COO−、−OCO−又は−CONR2e−(R2eは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)から選ばれる基であり、Dはエーテル基、エステル基、陽イオン基又はアミド基から選ばれる基を介してR2dと結合し、B及びR2dを連結する炭素数2〜6の2価の炭化水素基、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜300のポリオキシアルキレン基及びグリセリル基の平均付加モル数1〜10のポリグリセリル基から選ばれる少なくとも1種の基である。aは0又は1の数を示す。]
(ii)単糖単位、又はヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)化、カルボキシアルキル(炭素数1〜3)化、もしくはカチオン化された単糖単位(a1−2)、及び単糖単位又はヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)化、カルボキシアルキル(炭素数1〜3)化、もしくはカチオン化された単糖単位のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、一般式(3)で表される基で置換されている単糖単位(a2−2)を有し、(a1−2)/(a2−2)がモル比で1000/100〜1000/1である多糖誘導体。
【0016】
−R3a−(OR3b)b−E−R3c (3)
[式中、R3aはヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、R3bはヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、bは1〜300の数を示し、b個のR3bは同一又は異なっていてもよい。Eは−O−、−COO−又は−OCO−から選ばれる基を示し、R3cはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す。]
【0017】
<(i)の高分子化合物>
(i)の高分子化合物は、重合可能な不飽和化合物をラジカル重合などの通常の方法で合成した合成高分子化合物である。
【0018】
本発明の(i)の高分子化合物では、一般式(2)においてaが1の構成単位が本発明の効果を得る目的から好ましく、高分子化合物の主鎖と、油剤と親和性のある疎水基R2dの間にスペーサーを設けることで乳化粒子の安定性が向上するものと推定される。本発明では、一般式(2)において、Dが−(C24O)d−で、dが5〜40であるモノマー単位が最も好ましい。
【0019】
(i)の高分子化合物は、モノマー単位(a1−1)及び(a2−1)を分子中に合計で、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは55〜100モル%、特に好ましくは60〜100モル%含有する高分子化合物である。
【0020】
(i)の高分子化合物の重量平均分子量は、好ましくは2000〜20万、より好ましくは3000〜15万、特に好ましくは4000〜12万である。
【0021】
[(b)成分]
本発明の(b)成分は20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤であり、(c)成分の香料の保留性を高める剤である。香料の保留性を高める油剤とは、香料と当該化合物を併用することで香料の残香性が向上する剤である。このような油剤としては、シリコーン化合物、グリセリルエーテル、グリセリンの脂肪酸エステル、脂肪酸アルキル又はアルケニルエステル、脂肪族アルコール、炭化水素類、ステロール類等が挙げられる。
【0022】
シリコーン化合物としては、水不溶性のシリコーン化合物が好適である。ここで水不溶性化合物とは20℃のイオン交換水1Lに溶解する量が1g以下の化合物である。
【0023】
本発明では特に分子量千〜100万、好ましくは3千〜100万、特に好ましくは5千〜100万、25℃における粘度が2〜100万mm2/s、好ましくは500〜100万mm2/s、特に好ましくは1千〜100万mm2/sのジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種以上が好ましい。アミノ変性ジメチルポリシロキサンとしては、アミノ当量(アミノ当量とは窒素原子1個当たりの分子量)は、1,500〜40,000g/mol、好ましくは2,500〜20,000g/mol、更に好ましくは、3,000〜10,000g/molである。ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、界面活性剤便覧(産業図書(株)発行 昭和35年7月5日発行)、324頁〜325頁に記載の曇数Aが、0〜18、好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜5のものである。
【0024】
グリセリルエーテルとしては、一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0025】
【化3】

【0026】
〔式中、R5は炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖の飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はコレステリル基を示す。〕
一般式(5)で表される化合物におけるR5は炭素数8〜30、好ましくは8〜20の直鎖若しくは分岐鎖の飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はコレステリル基である。具体的にはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0027】
グリセリンの脂肪酸エステルとしては、一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0028】
6aCOOCH2CH(OR6b)CH2OR6c (6)
【0029】
〔式中、R6aは炭素数7〜21、好ましくは11〜17、より好ましくは13〜15のアルキル基又はアルケニル基であり、R6b及びR6cはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数6〜22の飽和又は不飽和アシル基である。〕
【0030】
一般式(6)で表される化合物の具体例としては、1−モノミリスチン、1−モノパルミチン、1−モノステアリン、2−モノラウリン、2−モノミリスチン、2−モノステアリン等が挙げられる。
【0031】
脂肪酸アルキル又はアルケニルエステルとしては、一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
7aCOOR7b (7)
【0033】
〔式中、R7aは炭素数7〜21、好ましくは11〜17、より好ましくは13〜15のアルキル基又はアルケニル基であり、R7bは炭素数1〜22のアルキル基又はアルケニル基である。〕
【0034】
これら(b)成分の中では、シリコーン化合物、グリセリルエーテル、グリセリンの脂肪酸エステルが好ましく、シリコーン化合物が更に好ましい。
【0035】
[(c)成分]
本発明の(c)成分の香料としては、logPowが2.0以上の香料成分(以下香料成分(c1)という)を含有する香料が好ましい。より好ましくはlogPowが2.0以上、7.0以下、更に好ましくは3.0以上、7.0以下の香料成分を含有する香料である。(c)成分中の香料成分(c1)の含有量は、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。一方で、よりlogPowの高い香料成分、即ち、より疎水性の香料成分を含有していることが好ましい。logPowが3.0以上の香料成分を(c)成分中に20質量%以上含有していることが好ましく、30質量%以上含有していることが更に好ましく、40質量%以上含有していることが特に好ましい。
【0036】
香料成分(c1)としては、(i)炭化水素系香料、(ii)アルコール系香料、(iii)アルデヒド、ケトン系香料、(iv)エステル系香料、(v)フェノール系香料、(vi)エーテル系香料から選ばれる化合物を選択することができる。
【0037】
(i)炭化水素系香料としては、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、リモネン、ジテルペン、テルピノーレン、ミルセン等が挙げられる。
【0038】
(ii)アルコール系香料としては、ゲラニオール、ジヒドロミルセノール、リナロール、サンダルマイソールコア等が挙げられる。
【0039】
(iii)アルデヒド、ケトン系香料としては、アルデヒドC−111、シトラール、シトロネラール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、メチルイオノンG、リリアール等が挙げられる。
【0040】
(iv)エステル系香料としては、フェニルエチルアセテート、アリルアミルグリコレート、スチラリルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキサノン、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、リナリルアセテート、アセチルオイゲノール、シンナミルアセテート等が挙げられる。
【0041】
(v)フェノール系香料としては、オイゲノール、イソオイゲノール、モスシンス、チモール、バニトロープ等が挙げられる。
【0042】
(vi)エーテル系香料としては、アンブロキサン、アネトール、メチルイソオイゲノール、ネロリンヤラヤラ等が挙げられる。
【0043】
本発明の(c)成分は、特に上記(i)〜(iv)から選ばれる香料成分を30質量%以上含有する香料が好適であり、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上含有する香料である。
【0044】
また、組成物中の安定性の点から、(ii)の香料成分+(iii)の香料成分+(iv)の香料成分の合計含有量が、(c)成分中20〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることが更に好ましい。また、(c)成分中の(ii)の香料成分/(iii)の香料成分の質量比が、2/8〜8/2であることが好ましく、7/3〜3/7であることが更に好ましい。
【0045】
本発明の(c)成分には上記香料成分(c1)以外に、logPowが−0.5以上2.0未満の香料成分、希釈剤、保留剤を含有することが出来る。
【0046】
[(d)成分]
本発明の(d)成分は水であり、微量に存在する重金属などを取り除いたイオン交換水や蒸留水を用いることができる。また、塩素などで滅菌した滅菌水を用いることも可能である。
【0047】
[(A)粒子]
本発明の(A)粒子は、上記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を、(a)成分1質量部に対し、(b)成分1〜100質量部、(c)成分0.005〜30質量部の割合で含有し、(b)成分及び(c)成分が(a)成分で乳化された乳化粒子である。
又、この(A)粒子の乳化粒子は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して得られるものが好ましい。
【0048】
本発明の(A)粒子中の、(a)成分の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8.0質量%がより好ましく、0.1〜5.0質量%が特に好ましい。(b)成分の含有量は、3〜50質量%が好ましく、4〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%が特に好ましい。また(a)成分と(b)成分の配合比率は、(a)成分1質量部に対し(b)成分1〜100質量部であるが、(a)成分が(i)の化合物の場合、(a)成分1質量部に対し(b)成分2〜80質量部が好ましく、3〜60質量部がより好ましい。一方(a)成分が(ii)の化合物の場合、(a)成分1質量部に対し(b)成分2〜80質量部が好ましく、3〜70質量部がより好ましい。本発明の(A)粒子中の(c)成分の含有量は、0.0001〜15質量%が好ましく、0.001〜12質量%がより好ましく、0.01〜10質量%が特に好ましい。また、また(a)成分と(c)成分の配合比率は、(a)成分1質量部に対し(c)成分0.005〜30質量部であるが、0.01〜15質量部が好ましく、0.02〜10質量部がより好ましい。本発明の(A)粒子中の(d)成分である水の含有量は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜90質量%が特に好ましい。
【0049】
[(B)成分]
本発明の(B)成分は繊維製品に附形効果を付与できる成分である。本発明で用いられる(B)成分は、オキシアルキレン基の数平均付加モル数が50〜200のポリオキシアルキレン基を1〜3個と、炭素数14〜32の炭化水素基を1〜3個有する、HLBが16以上で、かつ融点が30〜80℃の非イオン性界面活性剤である。
【0050】
尚、本発明において、HLBはグリフィン法で算出されるHLBであり、融点は下記方法で測定した。
<融点の測定法>
サンプル0.5gを容量10mLのガラス製スクリュー管(No.3、21mm×45mm)に入れ(1つのサンプルについて5本)、大気圧下で密栓する。1種のサンプルについて、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃の恒温槽に各1本づつ(計5本)栓口を上方にして立てて保存し、24時間後に状態を観察する。サンプルが完全に透明な液体になっているものは保存温度が融点以上であると判定し、各サンプルについて融点の範囲を決定する。次に、温度調整可能な水浴を用意し、予め5℃の恒温室に24時間保存した各サンプルを密栓したまま容器の底から半分以上を浸す。予想される温度範囲の下限より5℃下から30分に1℃の速度で水浴の温度を上昇させる。サンプルが完全に透明になった時の温度を融点とする。
【0051】
本発明の(B)成分の具体例として、一般式(9)で表される化合物を挙げることができる。
【0052】
9a−J−[(R9b−O)f−R9cg (9)
【0053】
〔式中、R9aは炭素数14〜32、好ましくは16〜24、特に好ましくは16〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R9bは炭素数2又は3のアルキレン基である。R9cは水素原子、炭素数14〜32、好ましくは16〜24、特に好ましくは16〜18のアルキル基又はアルケニル基、あるいは炭素数15〜33、好ましくは17〜25、特に好ましくは17〜19のアルカノイル基又はアルケノイル基(好ましくはアルカノイル基)から選ばれる基である。Jは−O−、−COO−、−CON<、−N<から選ばれる連結基であり、Jが−O−又は−COO−の場合にはgは1であり、Jが−CON<又は−N<の場合にはgは2である。fは数平均で50〜200、好ましくは70〜180、特に好ましくは90〜160の値である。ここで、複数個のR9b及びR9cは同一でも異なっていても良い。〕
【0054】
一般式(9)において、R9aは炭素数16〜18のアルキル基が最も好ましく、R9bはエチレン基が最も好ましく、R9cは水素原子が最も好ましい。また、Jは−O−又は−COO−、特に−O−が好ましい。
(B)成分としては特に一般式(9−1)で表される化合物が最も好ましい。
9a−O−(C24O)f−H (9−1)
〔式中、R9a及びfは上述と同一の意味である。〕
【0055】
又、(B)成分は繊維に賦形効果を付与するだけでなく、本発明の(A)粒子と併用することで(A)粒子の対象衣料への吸着性が向上し、その結果、(c)成分の性能を持続させることが出来る。
【0056】
[その他成分]
本発明の繊維処理剤組成物は、上記(A)粒子及び(B)成分を必須成分とするが、通常繊維処理剤組成物に用いられる成分、例えば、水溶性溶剤や乳化剤を配合することができる。
【0057】
[繊維処理剤組成物及びその製造方法]
本発明の繊維処理剤組成物は、上記(A)粒子及び(B)成分を、(A)粒子中の(a)〜(c)成分の合計量と、(B)成分の質量比が1/100〜1/1、好ましくは1/80〜1/1.5、更に好ましくは1/50〜1/2の割合で含有する。
【0058】
本発明の繊維処理剤組成物は、上記(A)粒子を(a)成分〜(c)成分の合計質量として、繊維処理剤組成物中に好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは0.8〜8.0質量%、特に好ましくは1.0〜6.0質量%含有する。また、(B)成分を繊維処理剤組成物中に好ましくは3.0〜15.0質量%、より好ましくは4.0〜12.0質量%、特に好ましくは5.0〜10.0質量%含有する。
【0059】
本発明の繊維処理剤組成物は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して(A)粒子である乳化粒子を得る工程(工程1)、工程1で得られた(A)粒子と(B)成分を混合する工程(工程2)を有する製造方法により調製することができる。
【0060】
工程1は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して(A)粒子である乳化粒子を得る工程である。
上記混合溶液を得る方法としては、一括して混合しても良く、順次添加しても良いが、好ましくは(b)成分と(c)成分を混合した後、(a)成分を添加することで、より均一な混合溶液を得ることができる。上記混合溶液を調製した後、撹拌下で昇温する。温度は、好ましくは30〜90℃、より好ましくは40〜80℃、特に好ましくは50〜70℃である。撹拌は、好ましくは0.1〜3時間、より好ましくは0.1〜2時間、特に好ましくは0.2〜1時間続け、その後、室温付近、好ましくは20〜40℃、特に好ましくは20〜30℃まで冷却する。冷却後、撹拌下で(d)成分をゆっくり添加することで、(A)粒子の乳化粒子を得ることができる。
【0061】
工程2は、工程1で得られた(A)粒子と(B)成分を混合する工程である。工程1で得られた(A)粒子は、水中油型の乳化粒子として存在しているため、(A)粒子が存在する水中油型の乳化物と(B)成分を混合することで本発明の繊維処理剤組成物を得ることができる。また、(B)成分は、(A)粒子と均一に混合するため、(B)成分が水に分散された組成物を調製した後、工程1で得られた(A)粒子と混合するのが好ましく、(A)粒子が存在する水中油型の乳化物と混合するのが特に好ましい。
【0062】
本発明では、(b)成分の油剤及び香料を内包した乳化粒子を含む繊維処理剤組成物を提供することができ、繊維に対し効率的に張り性と残香性を付与することができる。
【実施例】
【0063】
実施例に用いる配合成分を以下にまとめて示す。また、例中の「%」は、特記しない限り「質量%」である。
【0064】
<(A)粒子>
・(a)成分
(a−1):ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリレート及びジメチルアミノプロピルメタクリレートのラウリルクロライドによる4級アンモニウム塩の共重合体(スタイリーゼW−20、アイエスピー・ジャパン(株)製、(a1−1)/(a2−1)=90/10(モル比))
(a−2):下記方法で調製した化合物
N,N−ジメチルアクリルアミド94.2g,ALE−900(日本油脂(株)製 ラウロキシポリエチレングリコール(EO=18)モノアクリレート)51.7g、エタノール200gを混合した。この溶液中に窒素ガスを吹き込み(20ml/min,1時間)、系内を脱気した後、60℃に昇温した。その後V−65(和光純薬工業(株)製、重合開始剤)エタノール溶液(3%)82.8gを60℃に保ちながら滴下した。滴下終了後60℃で12時間熟成を行った。反応終了後、得られた反応終了物をジイソプロピルエーテル2kg中に滴下し、白色固体を濾別し、更にジイソプロピルエーテルで洗浄し(500g×2回)、減圧乾燥することで式(10)で表される高分子化合物(a−2)を115g得た。得られた(a−2)のラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレートの導入率[m2/(m1+m2)]をNMRより測定した結果、0.054であった。また、重量平均分子量は65000であった。
【0065】
【化4】

【0066】
(a−3):メタクリル酸(MAA)とラウリルメタクリレート(LMA)の共重合体(重量平均分子量:8900、MAA/LMA=96/4(モル比))
(a−4):アクリル酸(AA)とラウリルメタクリレート(LMA)の共重合体(重量平均分子量:5500、AA/LMA=96/4(モル比))
(a−5):ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEMA)とステアリルメタクリレート(SMA)の共重合体(重量平均分子量:54000、DMAEMA/SMA=74/26(モル比))
(a−3)〜(a−5)の共重合体も各々のモノマーを用いて、化合物(a−2)と同様の方法で調製した。
・比較の化合物
(a’−1):ラウリルアルコールにエチレンオキサイドをアルコール1モル当たり平均12モル付加させた非イオン界面活性剤
・(b)成分
(b−1):花王(株)製 ペネトールGE−IS(イソステアリルグリセリルエーテル)
(b−2):花王(株)製 ココナードMT(トリグリセライド(脂肪酸の炭素数8、10)
(b−3):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 BY16−891(ジアミノアミド変性シリコーン)
(b−4):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 BY16−906(アミドポリエーテル変性シリコーン)
(b−5):信越化学工業(株)製 KF−864(アミノ変性シリコーン、粘度1700mm2/s、アミノ当量3800)
(b−6):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 DC2−8630(アミノ変性シリコーン、粘度1500mm2/s、アミノ当量4300)
上記(b−1)〜(b−6)は全て20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下である。
・(c)成分
香料として表1記載の(c−1)〜(c−4)を使用した。
【0067】
【表1】

【0068】
・(d)成分:水
【0069】
<(B)成分>
(B−1):ステアリルアルコールにエチレンオキサイドをアルコール1モル当たり平均140モル付加させた非イオン性界面活性剤(HLB19.2、融点60.9℃)
(B−2):カルコール8688(花王(株)製、炭素数18のアルコールの含有量87質量%、炭素数16のアルコールの含有量13質量%、炭素数14のアルコールの含有量0.1質量%未満の直鎖第1級アルコール)にエチレンオキサイドをアルコール1モル当たり平均90モル付加させた非イオン性界面活性剤(HLB18.7、融点60.3℃)
(B−3):カルコール8688(花王(株)製)にエチレンオキサイドをアルコール1モル当たり平均130モル付加させた非イオン性界面活性剤(HLB19.1、融点61.2℃)
<その他の成分>
(e−1):グリセリン
(f−1):炭素数10〜14の直鎖第1級アルコールにEOを平均5モル付加した非イオン界面活性剤(HLB10.8)
【0070】
実施例1
表2に示す配合成分を用い、下記に記す方法で乳化粒子((A)粒子)を調製し、更に下記方法で繊維処理剤組成物を調製した。得られた繊維処理剤組成物について、下記方法で香料の残香性及び張り性を評価した。これらの結果を表2に示す。
【0071】
<(A)粒子の調製方法>
(a)成分、(e)成分及び1/5(質量比)の(b)成分を、表2の組成にするのに必要な(d)成分の15%(25℃)に添加し、25℃にて1時間攪拌した後、残りの(b)成分及び(c)成分を添加する。次に、25℃で1時間攪拌した後、配合物の温度を60℃に上昇させ、1時間攪拌し、混合物を得る。上記の方法で得られた混合物を1時間かけて40℃まで冷却した後、残りの(d)成分(40℃)を添加し、30分攪拌し、pHを調整した後、1時間かけて25℃にまで配合物の温度を下げて、乳化粒子を得た。
【0072】
<繊維処理剤組成物の調製方法>
最終の繊維処理剤組成物が300gになるように、表2に示す各成分を使用し、繊維処理剤組成物を製造した。一枚の長さが2.5cmのタービン型羽根が3枚ついた攪拌羽根をビーカー底面より1cm上部に設置した、500mLのガラスビーカーに表2に示す割合の(B)成分及び(f)成分を入れ、その後、(A)粒子を添加し、5分間混合した。最後に再度pHを確認し、必要に応じて35%塩酸水溶液、及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整した。また、残香性を評価する為の対照繊維処理剤組成物として、(A)粒子のかわりに、香料成分として同量の(c)成分を添加した組成物を調製した。
尚、攪拌速度は全ての工程で400rpmである。
【0073】
<残香性の評価法>
(1)処理ワイシャツの調整方法
市販のワイシャツ(フレックスジャパン社製BLUE RIVER、白、綿100%)を市販の衣料用洗剤(花王(株)アタック)を用いて洗濯機で洗浄した(東芝製2槽式洗濯機VH−360S1、洗剤濃度0.0677質量%、水道水30L(水温20℃)使用、水温20℃、10分間)。その後、洗浄液を排出し、3分間脱水後、30Lの水道水(水温20℃)を注水した。5分間攪拌後、濯ぎ水を排出し、3分間脱水した。次に30Lの水道水(水温20℃)を注水し、5分間攪拌後、濯ぎ水を排出し、3分間脱水した。このサイクルを5回繰り返した後、室温で風乾した。この風乾したワイシャツの質量を測定した。
【0074】
次に、このワイシャツを衣料用洗剤(花王(株)アタック)を用いて洗濯機で洗浄した〔東芝製2槽式洗濯機VH−360S1、洗剤濃度0.0677%、風乾したワイシャツの質量の17倍の質量の水(水温20℃)使用、水温20℃、5分間〕。その後、洗浄液を排出し、3分間脱水後、風乾したワイシャツの質量の17倍の質量の水道水(水温20℃)を注水した。5分間攪拌後、濯ぎ液を排水し、3分間脱水した。次に、風乾したワイシャツの質量の17倍の質量の水道水(水温20℃)を注水した。次に、風乾したワイシャツの質量の1.34%に相当する繊維処理剤組成物を添加し、3分間攪拌した。その後、水を排出し、3分間脱水し自然乾燥した。
得られた繊維処理剤組成物、及びそれぞれに対応する対照繊維処理剤組成物を用いて、以下の方法で香りの強さを評価した。
【0075】
(2)香りの強さの評価
香りの強さを以下の基準で評価した。
4:非常に強い香り
3:やや強い香り
2:やや弱い香り
1:弱い香り
0:無臭
【0076】
<張り性の評価法>
繊維処理剤組成物(20℃の溶液)に、下記方法で前処理を行ったワイシャツ(形態安定加工シャツ(SSP)、フレックスジャパン社製BLUE RIVER、白、綿100%)を1枚浸漬させた。浸漬時間は10分である。その後、洗濯機(ナショナル製NAF80SP1)の脱水装置を用いて3分脱水し、日陰でハンガーにかけて吊り干しし、12時間乾燥した。この乾燥後のワイシャツについて、下記方法に従い張り性を評価した。
【0077】
・評価用繊維製品の前処理
ワイシャツ(形態安定加工シャツ(SSP)、フレックスジャパン社製BLUE RIVER、白、綿100%)を、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)アタック)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で10回繰り返し洗濯した(洗剤濃度0.0667質量%、水道水(20℃)40L使用、洗濯10分−脱水3分−すすぎ8分(流水すすぎ、水量15L/min.))。最後の処理回のすすぎが終了した後、5分間脱水し、25℃−65RHの恒温恒湿室にて平干しで自然乾燥して評価用繊維製品とした。
【0078】
・張り性の評価
各処理剤組成物で処理して、12時間吊り干し乾燥させた後、25℃−65RHの恒温恒湿室で24時間静置して調湿処理した繊維製品について、前処理後、処理剤を用いずに水道水だけで処理し同様に25℃−65RHの恒温恒湿室で調湿処理した繊維製品を対照品として、張り性について、それぞれ10人のパネラーにより下記の基準で得点をつけ、平均点を求めた。平均点が1.0を超え2.0以下を◎、0を超え1.0以下を○、0を△、−1.0以上0未満を×、−2.0以上−1.0未満を××として判定した。
「張り性の評価基準」
対照品より張りがある:+2点
対照品よりやや張りがある:+1点
対照品と同等:0点
対照品の方がやや張りがある:−1点
対照品の方が張りがある:−2点
【0079】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)粒子及び(B)成分を含有し、(A)粒子中の下記(a)〜(c)成分の合計量と、(B)成分の質量比が1/100〜1/1である繊維処理剤組成物。
(A)粒子:
(a)成分:ヒドロキシ基、カルボン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基及びアミド基から選ばれる基を1つ以上有し、総炭素数が2〜20である構成単位(a1)(但し(a2)の構成単位は除く)、及び炭素数8〜22の炭化水素基を有する構成単位(a2)を、(a1)/(a2)=100/30〜1000/1のモル比で含有する高分子化合物と、
(b)成分:20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤と、
(c)成分:香料とを、(a)成分1質量部に対し、(b)成分1〜100質量部、(c)成分0.005〜30質量部の割合で含有し、(b)成分及び(c)成分が(a)成分で乳化された乳化粒子。
(B)成分:
オキシアルキレン基の数平均付加モル数が50〜200のポリオキシアルキレン基を1〜3個と、炭素数14〜32の炭化水素基を1〜3個有する、HLBが16以上で、かつ融点が30〜80℃の非イオン性界面活性剤
【請求項2】
(A)粒子が、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して得られた乳化粒子である請求項1記載の繊維処理剤組成物。
【請求項3】
(a)成分が、下記(i)から選ばれる少なくとも1種の高分子化合物である請求項1又は2記載の繊維処理剤組成物。
(i)一般式(1)で表されるモノマー単位(a1−1)及び一般式(2)で表されるモノマー単位(a2−1)を含有し、(a1−1)/(a2−1)がモル比で100/30〜150/1であり、分子中の全モノマー単位に対する(a1−1)と(a2−1)の合計モノマー単位の割合が50〜100モル%である高分子化合物。
【化1】

[式中;R1a及びR2aはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R1b及びR2bはそれぞれ独立に、水素原子又は−COOM1(M1は水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子)から選ばれる基であり、R1c及びR2cはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基から選ばれる基であり、R2dは炭素数8〜22の炭化水素基であり、Aは−COOM2、−OH、−CON(R1d)(R1e)、−COO−R1f−N+(R1g)(R1h)(R1i)・X-、−COO−R1f−N(R1g)(R1h)、−CON(R1d)−R1f−N+(R1g)(R1h)(R1i)・X-、−CON(R1d)−R1f−N(R1g)(R1h)、もしくは環内にアミノ基又はアミド基を少なくとも1つ有する5又は6員環構造の複素環基である。ここで、M2は水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子、R1d、R1e、R1g、R1h及びR1iはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、R1fは炭素数1〜5のアルキレン基、X-は有機又は無機の陰イオン基を示す。Bは−O−、−COO−、−OCO−又は−CONR2e−(R2eは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)から選ばれる基であり、Dはエーテル基、エステル基、陽イオン基又はアミド基から選ばれる基を介してR2dと結合し、B及びR2dを連結する炭素数2〜6の2価の炭化水素基、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜300のポリオキシアルキレン基及びグリセリル基の平均付加モル数1〜10のポリグリセリル基から選ばれる少なくとも1種の基である。aは0又は1の数を示す。]
【請求項4】
(A)粒子中の(a)成分の含有量が0.01〜10質量%、(b)成分の含有量が3〜50質量%、(c)成分の含有量が0.0001〜15質量%、(d)成分の含有量が40〜95質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維処理剤組成物。
【請求項5】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して(A)粒子である乳化粒子を得る工程(工程1)、工程1で得られた(A)粒子と(B)成分を混合する工程(工程2)を有する請求項1〜4のいずれかに記載の繊維処理剤組成物の製造方法。

【公開番号】特開2007−297752(P2007−297752A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128868(P2006−128868)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】