説明

繊維材料のウェブを生産する及び/又は仕上げ加工する装置及び方法

本発明は、繊維材料のウェブ、特に紙又は板紙ウェブを生産する及び/又は変形させる装置に関する。前記装置は、加熱流体により内側から衝撃を受け得るシリンダスリーブ(1)を有する、加熱可能なかつ回転可能なシリンダ、特に乾燥区間の乾燥シリンダを備える。加熱流体を案内するための少なくとも1つの経路(11)が設けられ、これにより、加熱能力が向上し、シリンダカバーの外部表面(7)の下での生産が簡単になり得る。乾燥シリンダは、少なくとも一部分モジュラーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱流体で内側から荷重がかけられ得るシリンダシェルを有する、加熱可能なかつ回転可能なシリンダ、特に乾燥区間に乾燥シリンダを備えた、繊維材料のウェブ、特に紙又は板紙ウェブを生産する及び/又は仕上げ加工する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の熱シリンダが、DE10260509.2号明細書より公知である。この公知のシリンダにおいては、シリンダの内部領域が外部領域より大きく拡張することによってできる引っ張り応力が、シリンダシェルが少なくとも2つのシェル層を有し、外部シェル層の材料が、内部シェル層の材料と比べて、平均動作温度未満の組立て温度ではより大きい熱膨張係数を、平均動作温度を超える組立て温度ではより小さい熱膨張係数を有することにより最小限に抑えられる。さらなる対策は、外部シェル層の層厚が内部シェル層の層厚より小さいことである。
【0003】
この種の乾燥シリンダにおいては、紙の乾燥中に、表面の方への温度勾配ができる。シリンダの表面温度は蒸気の温度より低く、このため、シリンダが加熱され、したがって、乾燥能力が制限される。飽和蒸気温度を増加させることは、通常、経済的な理由により、適切ではない。
【0004】
欧州特許第0559628B1号明細書では、繊維材料のウェブを乾燥するための乾燥機が開示されており、この乾燥機においては、貫流シリンダがブローフードと合わせて使用される。ブローフードにはノズル装置が設けられ、これにより、乾燥されるべきウェブの外表面に乾燥ガスジェットが当たり、前記ウェブが、熱シリンダの周囲の約270°以上の扇形全体に案内される。シリンダの円周には経路ラインシステムが設けられ、冷媒が冷媒源からこの中に案内され得る。乾燥ガスジェットにより、ウェブ内の水が外に蒸発し、ブローフードの空間を介して除去される。第二に、ウェブからの水が、シリンダの冷却された円周表面上で凝縮し、吸込みによりシリンダの外部シェル内の貫通穴を介して、かつシリンダ内部の真空によって排出される。シリンダの内部空間全体が、凝縮液を受けるよう利用可能である。この結果、使用されるシリンダ径で圧力荷重を持ちこたえることができるよう、シリンダの内部の壁が、ある最小の壁厚を有する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、加熱可能なシリンダの乾燥性能を向上し、その製造を簡単にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、加熱流体を案内するための少なくとも1つの経路が、シリンダシェルの外表面の下で形成されることにより、かつ乾燥シリンダが少なくとも一部分モジュラ構造であることによって実現される。
【0007】
本発明に従って、加熱流体は、加熱可能なシリンダの外表面のすぐ近くに持って来られ得る。この結果、温度勾配は、前述の種類の公知の装置より低くなり、したがって、乾燥性能が向上する。モジュラ構造により、その製造が簡単になる。
【0008】
本発明の1つの特に好ましい改良形態によれば、少なくとも1つの経路を形成するために、外部のシリンダシェルから間隔を置いて設けられたさらなるシリンダシェルが、そのシリンダシェル内に配置される。これは、構造的に見て上手く実現され得る。また、加熱流体で、外部のシリンダシェルの内側全体に荷重がかけられ得るという利点を有する。
【0009】
本発明のさらなる改良形態によれば、外部のシリンダシェルは、内部のシリンダシェル上で支えられる。この結果、内部のシリンダシェルが担持シリンダとして働くので、外部のシリンダシェルの壁厚が低く保たれ得る。この結果、乾燥性能がさらに向上し得る。
【0010】
開放された及び/又は閉じられたプロファイルが、モジュールを形成し得る。特に、第一に内部のシリンダシェルの及び/又は外部のシリンダシェルの、及び第二に1つ以上の接続要素の区域が、モジュールを形成し得る。これは、製造の点で好ましいものであり、組立てが簡単なものとなる。その上、この結果、同一のモジュールを用いて、全体の大きさが異なるものを容易に実現することができる。
【0011】
乾燥シリンダは、軸方向及び円周方向の両方だけでなく、両方向においても、モジュラ構造であり得る。次いで、個々のモジュールが、円周方向に及び/又は軸方向に、互いに並んで位置決めされる。軸方向のモジュールは、たとえば最大7mの長さを有し、円周方向のモジュールは、たとえば1mの長さを有し得る。
【0012】
本発明の1つの特定の改良形態によれば、乾燥シリンダの断面積を有するシリンダリングが、モジュールを形成する。次いで、これらは、単に前後に配置されて、たとえば溶接で、互いに接続され得る。乾燥シリンダの部分断面積を有する環状区域もモジュールを形成し、次いで、これが組み立てられてリングを形成し、軸方向に前後に配置され得る。これも、製造及び組立ての点において好ましいものである。
【0013】
経路を形成する又は経路を有するモジュールリング又はモジュール部分リングが、担持チューブの方に押されることが特に好ましい。したがって、プレハブ式環状モジュール又は部分環状モジュールは、簡単に取り付けられ、互いに接続され得る。
【0014】
モジュールが同時に乾燥シリンダの機能要素を形成する場合、特に好ましい結果が生じる。たとえば、モジュールが、加熱流体のための1つ以上の案内経路を形成し得る。前記モジュールが互いに並んで位置決めされることにより、所望の経路システムができ、互いに対して個々のモジュールを封止する必要がない。この構造のさらなる利点は、圧力による力がモジュール内に吸収され、モジュール間の接続に荷重がかからないことである。
【0015】
モジュールはまた、溶接以外にも、はんだ付け、ねじ締めにより、形状適合接続により、又は力伝達接続により接続され得る。これらの組合せも可能である。
【0016】
特に、ウェブ、ロッド、ピン、リベット、ボルト、ネジ、及び/又は他の接続手段が、内部のシリンダシェル上で、外部のシリンダシェルを支えるために設けられ得る。確実に均一に支えるようにするためには、接続手段が、両方のシリンダシェルの表面全体に分散されることが重要である。
【0017】
ウェブ又は他の接続要素は、軸方向に、円周方向に、及び/又はこれらの間の方向に延在し得る。すべての場合において、満足すべき支持が実現され得る。
【0018】
特に、円周方向に延在するウェブの場合には、加熱流体のための通路開口部が少なくとも一部分設けられることが好ましい。次いで、加熱流体は、乾燥シリンダの円周方向だけでなく長手方向にも流れ得る。
【0019】
本発明のさらなる改良形態によれば、外部のシリンダシェルの内側に、隆起が設けられる。この結果、外部のシリンダシェルの内側に集められた凝縮液が乱流に当たり、この結果、熱転写が向上する。即ち、集まった凝縮液は、断熱効果を有し、シリンダ表面への温度勾配を増加させる。
【0020】
本発明の1つの好ましい改良形態によれば、外部のシリンダシェル面の内側は、リブ及び/又は出っ張り及び/又は格子又は蜂の巣構造で構成される。したがって、凝縮液の満足すべき渦巻きが実現され得る。
【0021】
隆起は、シリンダの長手方向に及び/又はらせんに沿って延在することが好ましい。特に凝縮液を除去するための運搬作用が、らせんによって実現され得る。
【0022】
乾燥シリンダの外表面に、被膜又はカバーリングが設けられ得る。被膜又はカバーリングは、特に、腐食及び/又は磨耗から保護するのに、又はたとえば紙の粘着性を回避するよう表面を改良するのに役立つ。
【0023】
本発明の1つの特別な改良形態によれば、内部のシリンダシェルに接続されたウェブ金属板が、内部のシリンダシェルと外部のシリンダシェルとの間の接続要素として設けられる。外部のシリンダシェルは、これも同様にウェブ金属板に接続されたカバープレートによって形成されることが好ましい。
【0024】
本発明の別の特別な改良形態においては、ウェブ金属板及びカバープレートは、組み合わせられて、好ましくはU形又はT形の、プロファイルを形成する。
【0025】
本発明の別の改良形態によれば、厚肉のチューブとして構成された唯一のシリンダシェルが設けられ、たとえば深穴あけ又はフライス加工により、この中に加熱流体用の経路が作製される。このようにして、加熱流体はまた、乾燥シリンダの外表面の近くに持って来られ得る。したがって、乾燥性能が向上し得る。
【0026】
その上、外周面を旋削し得ることが好ましい。この結果、滑らかな表面が実現され得る。
【0027】
外部のシリンダシェルの内側の隆起は、フライス加工され得る、絞り加工され得る、プレス加工され得る、圧延され得る、又は鋳造され得る。他の製造の種類も可能である。
【0028】
内部のシリンダシェルと外部のシリンダシェルとの間の、ウェブ、金属板、又は他の接続要素は、材料を除去することにより、一次成形技術により、又は二次成形技術により製造され得る。これらのプロセスの組合せも可能である。
【0029】
前述の種類の装置が、繊維材料のウェブ、特に紙又は板紙ウェブを製造するのに使用されることが好ましい。本明細書においては、前述の種類の乾燥シリンダ又はこの種の複数の乾燥シリンダが使用され得る。本発明による乾燥シリンダはまた、従来の乾燥シリンダと組み合わせられ得る。好適な従来の乾燥プロセスは、特に、シリンダ乾燥、ブーストドライプロセス、コンデベルト(Condebelt)プロセス、ヤンキーシリンダ、及びハイドライヤ(HiDryer)である。
【0030】
乾燥性能は、本発明による方法及び本発明による装置によって向上し得る。この結果、仕上げ加工され乾燥された紙が、比較的低い滞留時間で実現され得る。これは、第一に、先行技術による乾燥区間と比べてより少ない空間しか必要でないために利用され得る。この結果、ホール、機械のフレーム、及びヒューム排出フードの、基本価格、建設費、さらに駆動装置及びフードの換気のための運転費用が節約される。これは、第二に、たとえば既存の空間条件を有する製紙機械を、同じ長さの乾燥区間と交換することにより、速度増加が実現されるために利用され得る。この結果、製紙機械は、より経済的に操作され得る。その上、蒸気圧が、同じ乾燥性能で減少され得る。たとえば、蒸気の差圧が電気の生成に利用され得るか、又は蒸気生成のためのエネルギーが最小限に抑えられ得る。
【0031】
本発明の例示的実施形態を図面に示し、以下に記述する。図面においては、それぞれが概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、製紙機械の乾燥区間内の乾燥シリンダを示している。乾燥シリンダは、外部のシリンダシェル1と、外部のシリンダシェル1と同心状に配置された内部のシリンダシェル2とを有する。内部のシリンダシェル2は、ネジ3により2つの端部側のカバー4に締付けられる。このカバーは円板形の形態であり、それぞれが1つの軸受けの中心軸5、6を有する。駆動側は図1の左側にあり、乾燥シリンダのオペレータ側は右側にある。
【0033】
外部のシリンダシェル1は外表面7を有し、この上を、乾燥されるべき紙ウェブが案内される。外部のシリンダシェル1の外表面7は、2つのカバー4の円周面8と同一平面にある。この結果、紙ウェブのための連続した接触面が設けられる。
【0034】
外部のシリンダシェル1は、内部のシリンダシェル2の厚さdより小さい厚さdを有する。外部のシリンダシェル1の内周面9は、内部のシリンダシェル2の外周面10から間隔が置かれ、この結果、環状の中空空間11が、外部のシリンダシェル1と内部のシリンダシェル2との間に形成される。この環状空間11は、カバー4内の経路(図示せず)を介して、2つのシリンダシェル1、2の両端部側のカバー4の2つの中心軸5、6内の放射状の経路12、13に接続される。これについて、オペレータ側のカバー4の中心軸5の放射状の経路12は、オペレータ側のカバー4の中心軸5の中央に設けられた軸方向の経路14に接続され、接続端15で開放される。駆動側のカバー4の中心軸6の放射状の経路13も同様に、軸方向の経路16に接続される。前記経路16は、駆動側のカバー4から開始して、2つのシリンダシェル1、2の中心を通る乾燥シリンダの回転軸I及びオペレータ側のカバー4の中心軸5に対して同心状に案内され、同様に、接続端17で開放される。本明細書においては、経路16は、経路14を同心状に貫通し、この結果、経路14は環状の断面積を有する。
【0035】
上述の構造により、外部のシリンダシェル1と内部のシリンダシェル2との間の中空空間11を通る加熱流体の循環を可能にする経路システムが生じる。このため、たとえば、加熱流体が、接続端15を介して環状の経路14に送られる。ここから、加熱流体が、放射状の経路12を介してオペレータ側のカバー4内の経路(図示せず)へと通過し、この経路から、外部のシリンダシェル1と内部のシリンダシェル2との間の中空空間11へと通過する。次いで、加熱媒体は、オペレータ側から中空空間11を通って駆動側へと流れ、ここから駆動側のカバー4内の経路(図示せず)を介して駆動側の中心軸6の放射状の経路13へと通過する。ここから、加熱流体は、再び、中心の経路16を介してその接続端17へと流れる。
【0036】
両端部側で、外部のシリンダシェル1は、それぞれ、先細りになった区間18を有し、このため、外部のシリンダシェル11が、それぞれ、カバー4の円周側のこれに対応するシート19に載る。この結果、外部のシリンダシェル1は、2つのカバー4上で支えられる。しかし、外部のシリンダシェル1の主要な支持は、たとえば図2に示されているように、接続要素20によりその長さ全体に行われ、外部のシリンダシェル1及び内部のシリンダシェル2の円周面全体に分散される。その上、図2はまた、中空空間11の端部側の端部で凝縮液を除去するために設けられたサイホン21を示している。この種のサイホン21が、駆動側とオペレータ側との両方に設けられ、共回転形態又は静止形態のいずれかであり得る。この種の複数のサイホンがまた、円周方向に設けられ得る。
【0037】
本発明による乾燥シリンダのモジュラ構造の異なる変形形態を図3〜図7に示し、これについて、以下に記述する。
【0038】
図3〜図5は、小さい厚さdの外部のシリンダシェル1と、これと比較してより大きい厚さdの内部のシリンダシェル2とを有する、本発明による乾燥シリンダの円周区間を示している。外部のシリンダシェル1と内部のシリンダシェル2との間を通って加熱流体を案内するための中空空間11がある。
【0039】
図3〜図5に示されている変形形態においては、担持チューブとして内部のシリンダシェル2に装着されたモジュール22が設けられる。ここでは、モジュール22は、円周方向において互いに隣接し、外部のシリンダシェル1、及び外部のシリンダシェル1と内部のシリンダシェル2との間の中空空間11を共に形成するよう配置される。外部のシリンダシェル1は、モジュール22自体を介して内部のシリンダシェル2上で支えられる。
【0040】
図3にD1で示されている変形形態においては、モジュール22は、それらの外周でほぼ矩形のチューブ23として構成され、乾燥シリンダの長手方向に延在する。矩形のチューブ23の中空空間24は、加熱流体のための経路を、及び接合されて全体として、外部のシリンダシェル1と内部のシリンダシェル2との間の中空空間11を形成する。右側のチューブ23にD1で示されているように、乱流を有する作業中にそこに集まった加熱流体の凝縮液に荷重をかける隆起27が、チューブ23の外部区間26の内側25に配置される。
【0041】
チューブ23は、ネジ28により内部のシリンダシェル2に接続される。このため、内部のシリンダシェル2は、これに対応する場所に穴29を有する。チューブ23の2つの側方区間31に、関連するねじ穴30がある。その上、互いに並んで配置されたチューブ23は、互いに溶接され得る。次いで、滑らかな表面を実現するために、外部のシリンダシェル1の外側7が旋削され得る。
【0042】
図3にD2で示されている変形形態は、D1の変形形態に大部分合致する。唯一の差は、ここでは、ほぼ矩形の断面積を有するチューブ23は、それぞれ、図3の左側に肩部32を有し、右側に突出部分33を有することであり、この突出部分33は、肩部32に対して正確に適合した形で形成される。突出部分33と肩部32とが互いに係合することにより、さらに、隣接したモジュール22間での形状適合接続が生じる。本明細書においては、溶接接続が任意に省かれ得る。
【0043】
D3で示されている図3の変形形態においては、形状適合接続がまた、隣接したチューブ23間に設けられる。本明細書においては、D2の変形形態との差について、チューブ23は、左側には上方に曲がった丸い突出部分34、右側にはこれに対応して形作られた窪み35を有し、この窪み35に突出部分34が係合する。本明細書においては、チューブ23間の溶接接続も省かれ得る。図4にD4で示されている変形形態は、図3のD3の変形形態に実際的に完全に合致する。唯一の差は、D4の突出部分の断面積が図3のD3の変形形態より小さく、かつこれに対応して、窪み35の断面積もより小さいことである。
【0044】
図4は、D5で、外周がD4の変形形態に完全に合致する変形形態を示している。しかし、チューブ23は、1つではなく、乾燥シリンダの円周方向に互いに並んで配置された2つのチャンバ24を有する。その上、締付けネジ28内のねじ締め用のねじ穴30は、本明細書においては、チューブ23の側方区間31に設けられず、2つのチャンバ24間の境界壁36内に設けられる。したがって、この変形形態においては、以前に記述した変形形態との違いについて、チューブ23毎に1列のみのネジ28が乾燥シリンダの長手方向に設けられる。
【0045】
D5の変形形態に大部分合致する変形形態が、図4にD6で示されている。唯一の差は、本明細書においては、チューブ23が、乾燥シリンダの円周方向により大きい幅を有することである。
【0046】
図5の変形形態においても同様に、担持チューブとして役立つ内部のシリンダシェル2がある。乾燥シリンダの長手方向に延在するU形の断面積のプロファイル37が、この内部のシリンダシェル2に溶接される。本明細書においては、U形の開口部は、内部のシリンダシェル2の方を指し示し、この結果、加熱流体のための経路38が、Uプロファイルと内部のシリンダシェル2との間に形成される。
【0047】
Uプロファイル37は、乾燥シリンダの円周方向に互いに間隔を置いて設けられた形で、内部のシリンダシェル2上に配置される。隣接したUプロファイル37が、それぞれ、内部のシリンダシェル2の基部40の高さで、Uプロファイル37に溶接された平らなプロファイル39を介して互いに接続される。この結果、それぞれ、加熱流体のためのさらなる経路42が、2つの隣接したUプロファイル37のリム41と、そこに配置された平らなプロファイル39と、内部のシリンダシェル2との間に形成される。Uプロファイル37の基部40及び平らなプロファイル39は共に、外部のシリンダシェル1を形成し、同一平面の外側7と共に構成される。経路38及び経路42は共に、外部のシリンダシェル1と内部のシリンダシェル2との間に中空空間11を形成する。
【0048】
図6は、環状モジュール43が乾燥シリンダの長手方向において前後に配置された、乾燥シリンダを示している。本明細書においては、2つだけでなくより多くのモジュール43も、前後に配置され得る。乾燥シリンダは、それぞれが中心軸5、6を有するカバー4により端部で閉じられる。モジュール43は、溶接により、互いに及びカバーに接続される。
【0049】
図7には、図6のモジュール43の断面積が見える。これらは、それぞれ、固体リング又はチューブ区間44であり、この中に、乾燥シリンダの長手方向に延在する経路45が作製される。本明細書においては、経路は、乾燥シリンダの外側7のすぐ下に配置され、加熱流体を通過するよう役立つ。このことにより、繊維材料のウェブへの満足すべき熱転写が確実となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による装置の乾燥シリンダを示す縦断面図である。
【図2】図1の乾燥シリンダの端部側を示す部分平面図である。
【図3】本発明による装置の乾燥シリンダを示す部分断面図である。
【図4】図3の変形形態を示す図である。
【図5】図3のさらなる変形形態を示す図である。
【図6】本発明による装置の乾燥シリンダを示す側面図である。
【図7】図6の乾燥シリンダを示す断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 外部のシリンダシェル
2 内部のシリンダシェル
3 締付けネジ
4 カバー
5 オペレータ側の中心軸
6 駆動側の中心軸
7 1の外側
8 4の円周面
9 1の内側
10 2の外側
11 中空空間
12 放射状の経路
13 放射状の経路
14 軸方向の経路
15 14の接続端
16 軸方向の経路
17 16の接続端
18 1の先細りになった区間
19 シート
20 接続要素
21 サイホン
22 モジュール
23 チューブ
24 中空空間
25 26の内側
26 23の外部区間
27 隆起
28 ネジ
29 穴
30 ねじ穴
31 23の側方区間
32 肩部
33 突出部分
34 突出部分
35 窪み
36 境界壁
37 Uプロファイル
38 経路
39 平らなプロファイル
40 37の基部
41 37のリム
42 経路
43 モジュールリング
44 チューブ
45 経路
I 回転軸
II 流れ方向
1の厚さ
2の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱流体で内側から荷重がかけられ得るシリンダシェル(1)を有する、加熱可能なかつ回転可能なシリンダ、特に乾燥区間の乾燥シリンダを備えた、繊維材料のウェブ、特に紙又は板紙ウェブを生産する及び/又は仕上げ加工するための装置であって、
前記加熱流体を案内するための少なくとも1つの経路(11)が、前記シリンダシェル(1)の外表面(7)の下に形成され、前記乾燥シリンダが、少なくとも一部分モジュラ構造であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの経路(11)を形成するために、前記外部のシリンダシェル(1)から間隔を置いて設けられたさらなるシリンダシェル(2)が、前記シリンダシェル(1)内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外部のシリンダシェル(1)が、前記内部のシリンダシェル(2)上で支えられることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
開放された及び/又は閉じられたプロファイル(23、37、39)が、モジュール(22)を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
第一に前記内部のシリンダシェル(2)の及び/又は前記外部のシリンダシェル(1)の、及び第二に1つ以上の接続要素(31、36、41)の区域が、モジュール(22)を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記乾燥シリンダが、軸方向において及び/又は円周方向においてモジュラ構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
乾燥シリンダの断面積を有するシリンダリング(43)が、モジュール(42)を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記乾燥シリンダの部分断面積を有する環状区域(23)が、モジュール(22)を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記経路(24、38、42、45)を形成する又はこれを有するモジュールリング(43)又はモジュール部分リング(23、37、39)が、前記担持チューブ(2)にねじ締めされることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
モジュール(22)が、同時に、前記乾燥シリンダの機能要素を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
モジュール(22)が、前記加熱流体のための1つ以上の案内経路(24、38)を形成することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記モジュール(22)が、溶接、はんだ付け、ねじ締め、形状適合接続、又は力伝達接続により、互いに接続されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記外部のシリンダシェル(1)が、放射状のウェブ、ロッド、ピン、リベット、ボルト、ネジ、及び/又は他の接続手段(20)を介して、前記内部のシリンダシェル(2)に接続されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記接続手段(20)が、軸方向に、円周方向に、及び/又はこれらの間の方向に延在する又は配置されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ウェブが、少なくとも一部分、前記加熱流体のための通路開口部を有することを特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記外部のシリンダシェル(1)の内側(9)に、隆起(27)が設けられることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記外部のシリンダシェル(1)の内側(9)に、リブ及び/又は出っ張り及び/又は格子又は蜂の巣構造が設けられることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記シリンダの長手方向に延在する及び/又はらせんの形である隆起(27)が設けられることを特徴とする請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
前記乾燥シリンダの外周面(7)に、被膜又はカバーリングが設けられることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記被膜又はカバーリングが、腐食及び/又は磨耗に対して保護する及び/又は表面特性を向上するのに適することを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
ウェブ金属板が、前記外部のシリンダシェル(1)と前記内部のシリンダシェル(2)との間の接続要素(20)として設けられることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記外部のシリンダシェル(1)が、カバープレートによって形成されることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記カバープレートが、ウェブ金属板と組み合わせられて、プロファイルを形成する、特にU形の又はT形のプロファイルを形成することを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
厚肉のチューブ(44)が、乾燥シリンダとして設けられ、この中に、特に深穴あけ又はフライス加工により、流路(45)が作製されることを特徴とする請求項1〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記乾燥シリンダの外側(7)が、旋削されることを特徴とする請求項1〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記隆起(27)が、フライス加工される、絞り加工される、プレス加工される、圧延される、又は鋳造されることを特徴とする請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記接続要素(20)が、材料を除去することにより、一次成形技術により、又は二次成形技術により製造されることを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
繊維材料のウェブ、特に紙又は板紙ウェブを生産する方法であって、
請求項1〜27のいずれか一項に記載の装置が、使用されることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の1つの又は複数の乾燥シリンダが、使用されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の1つ以上の乾燥シリンダが、従来の乾燥プロセス、特にシリンダ乾燥、ブーストドライプロセス、コンデベルトプロセス、ヤンキーシリンダ、又はハイドライヤと組み合わせられることを特徴とする請求項28又は29に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−527180(P2008−527180A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548797(P2007−548797)
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056166
【国際公開番号】WO2006/072508
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(506294244)ボイス パテント ゲーエムベーハー (57)
【氏名又は名称原語表記】Voith Patent GmbH
【Fターム(参考)】