説明

繊維材料洗浄組成物

【目的】 廃水中に過剰な有機物を含む問題もなく、生分解性の良好な繊維材料洗浄組成物を提供する。
【構成】 5乃至40重量%の1種以上の界面活性剤、5乃至50重量%のゼオライトA、0.5乃至70重量%の、漂白剤、漂白活性剤、ビルダー、酵素、安定剤、消泡剤及び香料から選択される1種以上の添加剤、0.5乃至5重量%の1種以上のポリアミノ酸(そのまま又は部分的に塩化されたもの)、及び任意に0.2乃至2.5重量%の、無水マレイン酸及び/又はアクリル酸と澱粉、デキストリン又はグルコースのような天然の物質とのコポリマー、無水マレイン酸/アクリル酸コポリマー、無水マレイン酸とアリル又はビニル基を有する物質とのコポリマー、無水マレイン酸/エチレンオキシドコポリマー、グリオキシル酸/ホルムアルデヒドコポリマーから選択される従来のコビルダーを含む繊維材料の洗浄に適する粉末及び液体組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動サイクルにおいて繊維材料を洗浄する組成物であって、前記組成物中に含まれるビルダーが5重量%未満の1種以上のポリアミノ酸から成るか、又は従来のビルダーとの混合物として5重量%未満の1種以上のポリアミノ酸を含むことを特徴とする組成物に関する。本発明の明細書において“繊維材料”という用語は、織物又は、天然又は人造の紡織繊維を意味する。“組成物”又は“配合物”という用語は、本発明の明細書において繊維材料の洗浄に使用するために設計された製品を意味する。
【0002】
【従来の技術】洗浄力のある製品は水中に燐が存在することが原因であることは広く知られている。とりわけ、洗浄力のあるビルダーとして使用されるナトリウムトリポリホスフェート(STPP)の効果が明示された。ポリホスフェートに代わるものを探す努力も知られているが、STPPが除去されているか又はその配合物中の含量が減少している場合には洗浄プロセスに及ぼす負の効果が洗浄剤マトリックスの金属イオン封鎖能力の単なる減少より期待されるものより大きいので、必ずしも満足な結果が得られないこともある。この不満足な結果は、STPPと同一の特性、すなわち水の硬度を制御するうえに、緩衝剤として作用すること、汚物分離剤及び懸濁剤として作用すること、並びに汚物抗再堆積作用をなすこと、を示す製品を突き止めることが不可能なために生ずる。そのような配合物において最も広くSTPPの代わりに用いられている化合物は、ゼオライトA(ナトリウムアルミノシリケート)である。
【0003】現在、ゼオライトAは粉末状及び液体組成物状の両方で用いられている。環境に及ぼす負の効果については、この製品は許容しうる。水の集まっている所に危険を与えないし、無機物であり不溶性であるため排水処理設備ににBOD負荷を増大させない。洗浄力の見地からは、ゼオライトAは織物から放出される染料及び顔料に対して良好な吸着性能を示し、そのイオン交換能力は温度の上昇に伴って増大する。欠点は、特にマグネシウムに関して交換反応が遅いこと、緩衝作用がないこと、及び分散させなければならないことである。
【0004】従って、ゼオライトAは常に(“ビルダー”又は“コビルダー”と呼ばれる)他の成分と共に使用される。そのような目的でゼオライトAと共に現在使用されている製品は、高分子ポリカルボン酸のナトリウム塩である。そのような目的に関して評価されている高分子ポリカルボン酸のなかでは、アクリル酸−無水マレイン酸コポリマーが最も効果的であることが分かったものである。これらの製品は良好な錯化剤であり、良好な汚物分散能及び抗再堆積能を示し、洗濯洗剤のテクスチャーを改良し、塊の形成を防ぐ。公知のように、高分子ポリカルボン酸は−C−C−主鎖を有するのでかなりゆっくり生分解するため、改良された生分解性を示すうえに同様な性能特性を示す別の化合物を開発するには大変な努力が必要であった。
【0005】生分解性の改良は、現在使用されているビルダーに代わるものと認められるビルダーの定義の出発点であった。従って、無水マレイン酸及び/又はアクリル酸と澱粉又はデキストリンのような天然の物質とのコポリマー、無水マレイン酸とアリル及びビニル部分を提供しうる物質とのコポリマー、無水マレイン酸/エチレンオキシドコポリマー、グリオキシル酸/ホルムアルデヒドコポリマー等について研究したが、不幸なことにその結果は望ましい結果とは程遠かった。現在、多くの洗濯洗剤は2乃至4%のポリマー(通常アクリル−マレインコポリマー)をその他のビルダーと組み合わせて含む。
【0006】ポリイミド誘導体と長鎖脂肪族アミンとを反応させることにより得られる官能化ポリアミノ酸が界面活性剤として使用しうることは公知である(英国特許第 1,404,814号)。後者の連鎖の制御から、又はポリイミドの重合度からポリアミノ酸の最終特性の選択の可能性が生ずる。しかしながら、前記英国特許に開示された製品は、最高含量においては示唆された以外の用途に一般的に使用しうるような望ましい特性のバランス、すなわち簡単にあげれば、生分解性、毒性のないこと、刺激性でないこと、水溶性が高いことのような特性のバランスを持っていないと思われる。それらは洗剤特性の他に、得られる配合物における適用性及び使用の融通性を決定する。
【0007】ポリアミノ酸又はそれらの誘導体が5%以上の濃度で使用される場合には、非常に良好なカルシウム錯化能を示してCaCO3 結晶微生物の形成を阻害するため、洗剤配合物においてビルダー又はコビルダーとして使用されうることは欧州特許出願広告第454126号から公知である。前述の前記出願に示されている製品は、錯化剤として有効な性質、熱及びpHに対する高い安定性を示し、無毒性及び無刺激性で、環境問題を引き起こすことなく使用しうるような生分解性である。しかしながら、前述の前記特許出願に開示されているような濃度で使用すると廃水中に過剰な有機物を含む問題を引き起こすであろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】本出願人は、ビルダー又はコビルダーとして0.5乃至5重量%の範囲内の濃度でポリアミノ酸を含む洗剤配合物を使用すれば前述の前記欠点が完全に除去されうるということ(本発明の目的である)を発見した。ポリアスパルテートを使用した場合には特に有利であった。L-アスパラギン酸及びL-グルタミン酸のようなアミノ酸はたとえ良好な遷移金属錯化能を示しても、アルカリ又はアルカリ土類金属と安定な錯体を形成できないので、この結果はますます驚くべきものである[Angew.Chem.Ind.English Ed.,29 (1990) 1090-1103]。従って、最も広義には、本発明は界面活性剤及びその他の塩を含むことを特徴とする繊維材料を洗浄するのに適する組成物に関する。
【0009】アニオン界面活性剤としては、例えば、線状C10〜C20脂肪酸のナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、ヒドロキシアルカンスルホネート、アルケンスルホネート及びアルキルエトキシスルフェートが使用できる。更に、アルキルスルホスクシネート及びアルカリ金属及び/又はアンモニウムN-アシル-N- メチルタウリネートのような種々のスルホネート等及又はそれらの混合物も考えられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、C10〜C20脂肪酸のようなエチレンオキシドと活性水素原子を含む物質との縮合生成物がある。さらにアミド、脂肪族アルコール及びアミン、蔗糖エステル及びC6 〜C12アルキル鎖を有するアルキルフェノールがある。非イオン界面活性剤としては、アミノオキシドも挙げられる。両性界面活性剤としては、一般的には、脂肪族アミンから誘導する、1種以上のC8 〜C18鎖及び1種以上の親水性アニオン部分(例えば、カルボキシ又はスルホン酸基)を含む鎖の存在を特徴とする化合物がある。
【0010】本発明に従ってアルカリ土類カチオンを錯化する薬剤は、一般的には“ビルダー”として定義され、前述のように良好な繊維材料洗浄結果を得るためにいくつかの明白な作用をする。これらの作用のうち最も重要なものの一は、水の硬度を構成する金属イオン、特にアルカリ土類金属イオン(Ca++,Mg++)を封鎖することである。“ビルダー”として使用するものとしては、先行技術においては、例えば炭酸塩、シリケート等のような水溶性アルカリ塩、又は例えば天然又は合成ゼオライトのようなアルミノシリケートのような水不溶性化合物のような数種の無機化合物が示唆されている。更に、ポリカルボン酸(くえん酸、カルボキシ−メトキシスクシン酸、オキシジスクシン酸等)のアルカリ金属又はアンモニウム塩のような水溶性有機化合物も示唆されている。
【0011】繊維材料を洗浄すると同時に増白するための最も適する蛍光増白剤のうち、DAA(アミノスチルベン−ジスルホン誘導体)、DP(ピラゾリン系)及びAC(アミノ−クマリン系)系からの蛍光増白剤を本発明においては使用しうる。必要であれば、前記配合物には、漂白剤として例えば過酸化水素、アルカリ金属過ホウ酸塩(好ましくは過ホウ酸ナトリウム)、ナトリウム過炭酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、亜燐酸塩、ヒドロ亜硫酸塩のような酸化又は還元剤を含みうる。低温繊維材料洗浄用配合物に過酸塩又は過酸化水素を使用する場合には、例えばテトラアセチレンジアミン、TAGU、ペンタアセチルグルコース、ノナノイルフェノールスルホネート(ナトリウム塩)等のような漂白活性剤の使用が示唆されている。あるいは、低温洗浄の場合には、過酢酸、ドデカン二過酸、フタルイミノカプロン酸等のような有機過酸化物の使用が可能である。
【0012】前述の成分の他に、本発明による配合物は、例えば香料、消泡剤、安定剤、凝結防止剤、緩衝剤、洗浄による着色防止剤、及び硫酸ナトリウムのようなエキステンダーのようなその他の一般的な成分を明らかに含みうる。更に、本発明による配合物は又、1種以上のポリアミノ酸(部分的に塩化した形でもよい)を0.5乃至5重量%の濃度で含む。無水マレイン酸及び/又はアクリル酸と澱粉、デキストリン又はグルコースのような天然物質とのコポリマー、無水マレイン酸とアリル又はビニル部分を有する化合物とのコポリマー、無水マレイン酸/エチレンオキシドコポリマー、グリオキシル酸/ホルムアルデヒドコポリマー、及びその他の高分子電解質から選択される従来のコビルダーも含みうる。使用しうるポリアミノ酸の分子量は、1,000乃至300,000、好ましくは10,000乃至100,000であり、塩化度は好ましくは70乃至85%である。本発明による配合物においては、ポリアスパラギン酸及びその塩を含む、前述の欧州特許出願公表第454126号に開示されているアミノ酸を全て使用しうる。
【0013】本発明による洗剤配合物ののための非限定的な組成物の例には以下のものがある。
*界面活性剤 5〜40重量%*4Aゼオライト 5〜50重量%*ポリマー 0.5〜5重量%*過ホウ酸ナトリウム四水和物 0〜30重量%*テトラアセチルエチレンジアミン 0〜5重量%*ナトリウムジシリケート 0〜10重量%*炭酸ナトリウム 5〜25重量%*CMC 0〜2重量%*酵素 0〜1重量%*香料、消泡剤等 0〜2重量%*硫酸ナトリウム+H2 O 100重量%程度まで
【0014】
【実施例】以下の実施例は本発明をさらに説明するために提供する。本発明の製品の有効性も示す。
実施例コビルダーとしてポリアミノ酸のナトリウム塩を含むか、又は対照標準として85%塩化した数平均分子量75,000の1:2マレイン−アクリルコポリマー、並びにそれらの混合物を含む配合物を用いて洗浄試験を実施した。試験条件は以下のとおりであった。
*試験した編織物 EMPA 103(結合ストリップ)白色のWfK布*洗浄温度 90℃*水の硬度 40°fH*洗浄液のpH 10.5*洗剤濃度 10g/l
【0015】使用した洗剤の組成物(重量%の値)は以下のとおりであった。
*C11〜C13アルキルベンゼンスルホネート 7.0*C12〜C22石鹸 2.0*Lialet-145.7 EO (oxoC14〜C15アルコール+7.0 mol の EO) 5.0*ポリマー 0〜4*4Aゼオライト 27.0*過ホウ酸ナトリウム四水和物 20.0*テトラアセチルエチレンジアミン 4.0*ナトリウムジシリケート 3.0*炭酸ナトリウム 10.0*酵素 0.4*硫酸ナトリウム+H2 O 100程度までポリマーの性能をさらに明白にするためにカルボキシメチルセルロース(CMC)は添加しなかった。更に、蛍光増白剤も排除した。ポリマーの不在下、アクリル/マレインコポリマーの存在下、2種類のポリアスパラギン酸の存在下、及びアクリル/マレインコポリマー及びポリアスパラギン酸のブレンドの存在下で試験を実施した。結果を以下の表1及び2にまとめる。
【0016】
【表1】 表1(洗剤の性能) 1 2 3 4 5 油状の汚れ 23.7 25.1 26.6 26.1 26.3 タンパク質を含む汚れ 55.2 57.2 57.7 55.5 56.8 被酸化性の汚れ 48.2 53.5 52.1 52.4 52.8 平均値 42.4 45.3 45.5 44.7 45.3 備考1=ポリマーなし2=アクリル−マレインコポリマーのナトリウム塩(85%)(分子量[mw]=75,000)(4%)
3=ポリアスパラギン酸のナトリウム塩(80%)(mw=12,000)(4%)
4=ポリアスパラギン酸のナトリウム塩(80%)(mw=70,000)(4%)
5=アクリル−マレインコポリマーのナトリウム塩(2%)+ポリアスパラギン酸のナトリウム塩(mw=70,000)(2%)
【0017】表1に示されるデータから、ポリアスパラギン酸が少なくとも市販のコポリマーにより提供される洗剤性能に匹敵する洗剤性能を提供すると推論しうる。表2においては、前述の配合物について得られる、異なる洗浄回数後に綿上に残る外層の値に関するデータを報告する。
【0018】
【表2】 表2(灰分) 1 2 3 4 5 5回 0.5 0.5 0.5 0.4 0.5 10回 1.1 0.6 1.0 0.7 0.7 15回 1.4 0.7 1.1 0.8 0.8
【0019】表2に示されるデータから、ポリアスパラギン酸が完全に良好でかつ市販のコポリマーにより提供される洗剤性能に匹敵する第一及び第二の洗剤性能を示すことが確認できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 5乃至40重量%の1種以上の界面活性剤、5乃至50重量%のゼオライトA、0.5乃至70重量%の、漂白剤、漂白活性剤、ビルダー、酵素、安定剤、消泡剤及び香料から選択される1種以上の添加剤、0.5乃至5重量%の1種以上のポリアミノ酸(そのまま又は部分的に塩化されたもの)、及び任意に0.2乃至2.5重量%の、無水マレイン酸及び/又はアクリル酸と澱粉、デキストリン又はグルコースのような天然の物質とのコポリマー、無水マレイン酸/アクリル酸コポリマー、無水マレイン酸とアリル又はビニル基を有する物質とのコポリマー、無水マレイン酸/エチレンオキシドコポリマー、グリオキシル酸/ホルムアルデヒドコポリマーから選択される従来のコビルダーを含む繊維材料の洗浄に適する粉末及び液体組成物。
【請求項2】 前記ポリアミノ酸がポリアスパラギン酸である請求項1記載の洗剤組成物。
【請求項3】 前記ポリアミノ酸が0乃至100%の塩化度の塩の形で存在する請求項1記載の洗剤組成物。
【請求項4】 前記ポリアミノ酸がナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩として存在する請求項1記載の洗剤組成物。
【請求項5】 前記ポリアミノ酸が4%の濃度で存在する請求項2又は3のいずれかに記載の洗剤組成物。