説明

繊維樹脂製品、繊維樹脂製品の製造方法、粒状物の使用

【課題】より機能性に富んだ繊維樹脂製品およびこの繊維樹脂製品の製造方法、粒状物の使用を提供する。
【解決手段】50〜800nmの粒径を有するものとリポソームのうち少なくとも一方を分散相たる粒状物として、分散媒たる樹脂中に分散等させることでより機能性の富んだ繊維樹脂製品を提供できる。また繊維樹脂製品の製造方法およびこれに用いる粒状物の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より機能性に富んだ繊維樹脂製品およびこの繊維樹脂製品の製造方法、粒状物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り糸、ロープ、漁網などの繊維水産資材などの繊維樹脂製品としては様々な樹脂材料を原料としたモノまたはマルチの繊維(フィラメント)が用いられている。ナイロン6・6、ナイロン6等のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類からなる繊維、アラミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリベンザゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維などに例示されるように様々な樹脂が用いられているが、特にポリアミド6などを主成分としたポリアミド類からなるポリアミドモノフィラメントは、強度が高く、透明性が高く、柔軟性に富み、適度な伸度を有する等の特徴があることから、釣り糸、ロープ、漁網を始めとした繊維樹脂製品に幅広く用いられている。
【0003】
例えば釣り糸や漁網等のレジャーフィッシング用の釣り糸などの繊維樹脂製品には引張強度が高いのみならず、結節強度が高いこと、すなわち、引張強度と結節強度が均衡していることが求められ、研究が続けられている。特に実際の使用状態である湿時において、高い結節強度を有することが求められ、研究が続けられている。
【0004】
このように繊維樹脂製品に関しては様々な研究、開発およびそれに伴う課題が報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、さらに次世代の地球環境や産業などに著しく貢献できる機能性に富んだ繊維樹脂製品およびこの繊維樹脂製品の製造方法が望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題を少なくとも1つを解決することに鑑みてなされたものであり、次世代の地球環境や産業などに貢献できる機能性に富んだ繊維樹脂製品およびこの繊維樹脂製品を製造する製造方法、粒状物の使用を提供することをその主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、50〜800nmの粒径を有する粒状物が分散させられた樹脂層を含む繊維樹脂製品であることを特徴とする。
【0008】
前記繊維樹脂製品であって、前記粒状物は、核物質とこれを包含する外殻物質とからなるカプセルであると好適である。
【0009】
前記繊維樹脂製品であって、前記外殻物質は、前記核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質であると好適である。
【0010】
本発明は、粒状物としてリポソームが分散させられた樹脂層を含む繊維樹脂製品であることを特徴とする。
【0011】
前記繊維樹脂製品であって、前記リポソームの粒径は50〜800nmであると好適である。
【0012】
前記繊維樹脂製品であって、前記粒状物は、機能性材料を含むと好適である。
【0013】
前記繊維樹脂製品であって、前記粒状物は金属ポルフィリン錯体とレドックス性高分子のうち少なくとも一方を含むと好適である。
【0014】
前記繊維樹脂製品であって、金属ポルフィリン錯体とレドックス性高分子のうち少なくとも一方は、核物質として含有されていると好適である。
【0015】
また、本発明は、分散媒たる樹脂層に分散相たる粒状物として50〜800nmの粒径を有するものとリポソームのうち少なくとも一方を分散させる分散工程を含むことを特徴とする。
【0016】
前記繊維樹脂製品の製造方法であって、前記粒状物は、核物質とこれを包含する外殻物質とからなるカプセルであると好適である。
【0017】
前記繊維樹脂製品の製造方法であって、前記外殻物質は、前記核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質であると好適である。
【0018】
前記繊維樹脂製品の製造方法であって、前記粒状物は、機能性材料を含むと好適である。
【0019】
前記繊維樹脂製品の製造方法であって、前記粒状物を担持体に担持させる担持工程と、前記粒状物が担持させられた担持体を分散させることで前記分散工程を行うと好適である。
【0020】
前記繊維樹脂製品の製造方法であって、前記粒状物またはこれが担持された担持体を錠剤とする錠剤化工程と、前記錠剤化工程後に、前記錠剤を前記樹脂中に分散させることで前記分散工程を行うと好適である。
【0021】
前記繊維樹脂製品の製造方法であって、前記粒状物は金属ポルフィリン錯体とレドックス性高分子のうち少なくとも一方を含むと好適である。
【0022】
前記繊維樹脂製品の製造方法であって、前記金属ポルフィリン錯体と前記レドックス性高分子のうち少なくとも一方は、核物質として含有されていると好適である。
【0023】
また、本発明は、繊維樹脂製品の製造について、50〜800nmの粒径を有するものとリポソームのうち少なくとも一方を粒状物として使用する粒状物の使用を特徴とする。
【0024】
前記粒状物の使用であって、前記粒状物は、核物質とこれを包含する外殻物質とからなるカプセルであると好適である。
【0025】
前記粒状物の使用であって、前記外殻物質は、前記核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質であると好適である。
【0026】
前記粒状物の使用であって、前記粒状物は、機能性材料を含むと好適である。
【0027】
前記粒状物の使用であって、前記粒状物を担持体に担持させると好適である。
【0028】
前記粒状物の使用であって、前記粒状物を錠剤とすると好適である。
【0029】
前記粒状物の使用であって、前記粒状物は金属ポルフィリン錯体とレドックス性高分子とのうち少なくとも一方を含むと好適である。
【0030】
前記粒状物の使用であって、前記金属ポルフィリン錯体と前記レドックス性高分子のうち少なくとも一方は、核物質として含有されていると好適である。
【0031】
前記繊維樹脂製品は、繊維水産資材、フィラメント、釣り糸、漁網であると好適である。
【発明の効果】
【0032】
より機能性に富んだ繊維樹脂製品およびこの繊維樹脂製品の製造方法、粒状物の使用を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下本実施形態に係る繊維樹脂製品およびこの繊維樹脂製品の製造方法、粒状物の使用について説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではない。
【0034】
「繊維樹脂製品」
本発明者は、リポソームと50〜800nmの粒径を有する粒状物とのうち少なくとも一方の粒状物を分散相とし、分散媒となる樹脂中に分散させると、その分散相となる粒状物によって様々な機能性を有する繊維樹脂製品を実現できることを見いだした。このサイズの大きさの粒子が分散しているのであればそれぞれの粒状物の特性を顕著に繊維樹脂製品に付与することができる。これは理由を一考するに均一分散性などの向上ではないかとも考えられる。
【0035】
なお、繊維樹脂製品の製造における使用とは、含まれる樹脂と一般的にみなせる樹脂となる前段階での分散等への使用、固体となった樹脂への分散を含むものである。すなわち、樹脂となる重合前に混入するなど、すなわち樹脂となる以前の段階でも分散等使用してもよく、また、流動状態から固体となった後に粒状物を分散等に使用してもよいことを含むものである。繊維樹脂製品が樹脂以外の樹脂などを含む場合にはこの樹脂などに粒状物を使用してもよく、同様に樹脂となる以前の段階でも分散等使用してもよく、また、流動状態から固体となった後に粒状物を分散等に使用してもよいことを含むものである。
【0036】
このような粒状物が分散させられた繊維樹脂製品は引張強度や破断伸度などに優れた強力な繊維樹脂製品とすることができる。この理由は一例として一考するに樹脂の結晶性などに何らかの影響を与えた可能性もあるとも考えられなくもないが、別の理由も否定できないとも考えられる。
【0037】
分散媒に対する粒状物の分散手法は、分散媒が流動状態である場合に限られない。分散媒が固体であってもよい。50〜800nmの粒径またはリポソームである粒状物であれば樹脂が流動状態ではなく、固体であっても浸潤する場合が多い。
【0038】
さらには粒状物としてその粒状物自体の化学的な作用を得ることができるように、粒状物の材料を選択すると好適である。
【0039】
さらに、粒状物の材料として、一例として結晶化促進剤、帯電防止剤、二酸化炭素減少剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、導電剤、着色剤、金属光沢剤、滑剤、離型剤、光重合開始剤、光増感剤、光安定剤、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤、熱安定剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調製剤、分子量調節剤、重合鎖逓伝体、ラジカル形成重合開始剤、カップリング剤、光触媒等の添加剤、改質剤などの機能を有する樹脂に機能を付加する機能性材料を含むと好適である。
【0040】
一例として、本実施形態の粒状物が樹脂に合わせた結晶化促進剤を含むと、結晶化促進剤による化学的な結晶促進効果によって結晶化に応じて強度などが向上した繊維樹脂製品を提供することができる。
【0041】
本実施形態の粒状物に二酸化炭素減少剤が含まれるものを添加した繊維樹脂製品では、繊維樹脂製品の焼却時に二酸化炭素の排出量を減少させることができる。二酸化炭素の排出量は、京都議定書(1997年12月、気候変動枠組条約の目的を達成するため、京都で開かれた第3回締約国会議(COP3)にて採択された議定書)により、6%の削減が急務とされている。繊維樹脂製品の焼却時に二酸化炭素の排出量が抑制されれば二酸化炭素の削減に大きく貢献できる。
【0042】
二酸化炭素減少剤としては、金属ポルフィリン錯体、レドックス性高分子が挙げられる。これらは炭素と酸素の結合を阻害して、あるいは、生成した二酸化炭素を還元して炭素と酸素に分解することで二酸化炭素が減少するものであるとも考えられる。
【0043】
金属ポルフィリン錯体とは下記化学式(I)、(II)で示される物質である。
【0044】
【化1】

【0045】
【化2】

金属ポルフィリン錯体を形成するポルフィリン化合物は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、5,10,15,20−テトラキス(2−チオフリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−チオフリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−ピロリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−ピロリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−フリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−フリル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−メルカプトフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−メルカプトフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−メルカプトフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−アミノフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−アミノフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−アミノフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、[5,10,15−トリス(2−チオフリル)−20−モノ(フェニル)]ポルフィリン、[5,10,15−トリス(3−チオフリル)−20−モノ(フェニル)]ポルフィリン、[5,10−ビス(2−チオフリル)−15,20−ジ(フェニル)]ポルフィリン、[5,10−ビス(3−チオフリル)−15,20−ジ(フェニル)]ポルフィリン、[5,15−ビス(2−チオフリル)−15,20−ジ(フェニル)]ポルフィリン、[5,15−ビス(3−チオフリル)−15,20−ジ(フェニル)]ポルフィリン、[5−モノ(2−チオフリル)−10,15,20−トリ(フェニル)]ポルフィリン、[5−モノ(3−チオフリル)−10,15,20−トリ(フェニル)]ポルフィリンなどを好適例として挙げることができる。
【0046】
また、上記化学式(II)で示された化合物Lで表示される配位子は適宜選択して用いることができるが一例として、イミダゾール誘導体、ピリジン誘導体、アニリン誘導体、ヒスチジン誘導体、トリメチルアミン誘導体、チオフェノール誘導体、システィン誘導体、メチオニン誘導体、安息香酸誘導体、酢酸誘導体、フェノール誘導体、脂肪族アルコール誘導体が一例として挙げられる。
【0047】
イミダゾール誘導体は、特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、プロピオイミダゾール、ジメチルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどが一例として挙げられる。
【0048】
ピリジン誘導体は、特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、メチルピリジン、メチルピリジンアセテート、ニコチンアミド、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンなどが一例として挙げられる。
【0049】
アニリン誘導体は、特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、アミノフェノール、ジアミノベンゼンなどが一例として挙げられる。
【0050】
ヒスチジン誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、ヒスチジンメチルエステル、ヒスタミン、ヒップリル−ヒスチジン−ロイシンなどが一例として挙げられる。
【0051】
トリメチルアミン誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどが一例として挙げられる。
【0052】
チオフェノール誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、チオクレゾール、メルカプト安息香酸、アミノチオフェノール、ベンゼンジチオール、メチルベンゼンジチオールなどが一例として挙げられる。
【0053】
システィン誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが一例としてシスティンメチルエステル、システィンエチルエステルなどが一例として挙げられる。
【0054】
メチオニン誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例としてメチオニンメチルエステル、メチオニンエチルエステルなどが一例として挙げられる。
【0055】
安息香酸誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが一例として挙げられる。
【0056】
酢酸誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、トリフルオロ酢酸、メルカプト酢酸、プロピオン酸、絡酸などが一例として挙げられる。
【0057】
フェノール誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、クレゾール、ジヒドロキシベンゼンなどが一例として挙げられる。
【0058】
脂肪族アルコール誘導体は特に限られることなく、適宜選択して用いることができるが、一例として、エチルアルコール、プロピルアルコールなどが一例として挙げられる。
【0059】
ポルフィリン化合物の入手方法は、市場からの購入、合成により得る方法など、特に限られることなく適宜選択すればよいが、一例として、一例としてWO2003/054536号に記載される合成方法などで得ることもできる。
【0060】
上記金属ポルフィリンとしては金属に鉄を選択したものが好ましく、さらに好ましくは二価の鉄を選択したものである場合が多い。
【0061】
また、界面活性剤は適宜選択して用いることができるが、エマルジョン化することに対して好適であるものが好ましく、一例として、燐酸モノエステル、燐酸ジエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエイト、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリレート、4級アンモニウム塩などを一例として挙げることができる。ポリ乳酸、ライスワックス、大豆レシチン、リン脂質であると好適である。コストダウンの面からはライスワックスであると好適である。
【0062】
一例としてオレイン酸、脂肪酸多価アルコールエステルタイプの非イオン性界面活性剤、一例としてソルビタンモノラウレート、モノオレエート、モノステアレートもしくはモノパルミテート、ソルビタントリステアレートもしくはトリオレート、脂肪酸多価アルコールエステルのポリオキシエチレン付加物、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸とポリメタクリル酸とからなる共重合体、スルホン酸基含有の水溶性重合体、一例としてスルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレートもしくはスルホプロピルメタクリレートによる重合体、ならびにN−(スルホエチル)−マレインイミド、2−アクリルアミド−2−アルキルスルホン酸、スチロールスルホン酸およびビニルスルホン酸の重合体、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、モノオレエート、モノステアレート、モノパルミテート、トリステアレートもしくはトリオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、一例としてポリオキシエチルステアレート、ポリエチレングリコール400ステアレート、ポリエチレングリコール2000ステアレート、D−α−トコフェロール、DL−α−トコフェロール、D−α−トコフェロール酢酸エステル、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンFのグリセリド;ビタミンD類、特にビタミンD2及びビタミンD3;レチノール、レチノールエステル(パルミチン酸レチノールエステル及びプロピオン酸レチノールエステル)、β−カロチン、D−パンテノール、ファルネソール、酢酸ファルネシル;必須脂肪酸に富んだ油、特にジョジョバ油及び黒すぐり(cassis)油;5−n−オクタノイルサリチル酸、サリチル酸;α−ヒドロキシ酸、一例としてクエン酸、乳酸及びグリコール酸のアルキルエステル;アジア酸、マダガスカル酸(acide madecassique)、アジアチコシド、ツボクサ(Centellaasiatica)の全抽出物、β−グリシレチン酸、α−ビサボロール;セラミド類、特に2−オレオイルアミノ−1,3−オクタデカン;フィタントリオール(phytanetriol)、乳からのスフィンゴミエリン、ポリ不飽和必須脂肪酸に富む海産物由来のリン脂質、エトキシキン、マンネンロウ抽出物、香油抽出物、ケルセチンなど、短鎖(C1〜C6)アルコール一例としてエタノール;ポリオール一例としてグリコール、特に1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール又はヘキシレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン及びソルビトールなどを例示することができる。
【0063】
親油性界面活性剤の一例は、ショ糖ジステアリン酸エステル、ジステアリン酸ジグリセリン、トリステアリン酸テトラグリセリン、デカステアリン酸デカグリセリン、モノステアリン酸ジグリセリン、トリステアリン酸ヘキサグリセリン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ジエチレングリコール、グリセリンとパルミチン酸とステアリン酸とのエステル、モノステアリン酸ポリオキシエチレン2EO(すなわちエチレンオキシド単位を2個含有するもの)、モノ−及びジベヘン酸グリセリン並びにテトラステアリン酸ペンタエリトリトールである。
【0064】
親水性界面活性剤は一例としては、次の化合物:すなわちモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン4EO、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン20EO、モノステアリン酸ポリオキシエチレン8EO、モノステアリン酸ヘキサグリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン10EO、ジステアリン酸ポリオキシエチレン12EO及びジステアリン酸ポリオキシエチレンメチルグルコース20EOを挙げ得る。
【0065】
非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性の界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、一例としてEO付加型非イオン性界面活性剤[一例として高級アルコール(C8〜18、以下同じ)、高級脂肪酸(C8〜24、以下同じ)または高級アルキルアミン(C8〜24)のEO付加物(分子量158〜Mn200,000);グリコールのEO付加物であるポリアルキレングリコール(分子量150〜Mn6,000)の高級脂肪酸エステル;多価アルコール(C2〜18の2価〜8価またはそれ以上、一例としてエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールおよびソルビタン)高級脂肪酸エステルのEO付加物(分子量250〜Mn30,000);高級脂肪酸アミドのEO付加物(分子量200〜Mn30,000);および多価アルコール(前記のもの)アルキル(C3〜60)エーテルのEO付加物(分子量120〜Mn30,000)]、および多価アルコ−ル(C3〜60)型非イオン性界面活性剤 [一例として多価アルコールの脂肪酸(C3〜60)エステル、多価アルコールのアルキル(C3〜60)エーテルおよび脂肪酸(C3〜60)アルカノールアミド]が挙げられる。
【0066】
なお界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性いずれであってもよい。アニオン性界面活性剤としては、前記(C1)を除く化合物、一例としてカルボン酸(一例としてC8〜22の飽和または不飽和脂肪酸およびエーテルカルボン酸)またはその塩;硫酸エステル塩〔一例として高級アルコール硫酸エステル塩(一例としてC8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩[一例としてC8〜18の脂肪族アルコールのEO(1〜10モル)付加物の硫酸エステル塩]〕;スルホン酸塩[C10〜20、一例としてアルキルベンゼンスルホン酸塩(一例としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、ハイドロカーボン(一例としてアルカン、α−オレフィン)スルホン酸塩およびイゲポンT型];およびリン酸エステル塩[一例として高級アルコール(C8〜60)EO付加物リン酸エステル塩およびアルキル(C4〜60)フェノールEO付加物リン酸エステル塩]が挙げられる。上記の塩としては、一例としてアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン(C1〜20)塩およびアルカノールアミン(C2〜12、一例としてモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン)塩が挙げられる。
【0067】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型[一例としてテトラアルキル(C4〜100)アンモニウム塩(一例としてラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイドおよびステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド)、トリアルキル(C3〜80)ベンジルアンモニウム塩(一例としてラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、アルキル(C2〜60)ピリジニウム塩(一例としてセチルピリジニウムクロライド)、ポリオキシアルキレン(C2〜4)トリアルキルアンモニウム塩(一例としてポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド)およびサパミン型第4級アンモニウム塩(一例としてステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート)];およびアミン塩型[一例として高級脂肪族アミン(C12〜60、一例としてラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミンおよびロジンアミン)の無機酸(一例として塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸)塩または有機酸(C2〜22、一例として酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、オレイン酸、安息香酸、コハク酸、アジピン酸およびアゼライン酸)塩、脂肪族アミン(C1〜30)のEO付加物などの無機酸(上記のもの)塩または有機酸(上記のもの)塩および3級アミン(C3〜30、一例としてトリエタノールアミンモノステアレートおよびステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミン)の無機酸(上記のもの)塩または有機酸(上記のもの)塩]が挙げられる。
【0068】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤[一例として高級アルキルアミン(C8〜24)のプロピオン酸ナトリウム]、ベタイン型両性界面活性剤[一例としてアルキル(C12〜18)ジメチルベタイン]、硫酸エステル塩型両性界面活性剤[一例として高級アルキルアミン(C8〜24)の硫酸エステルナトリウム塩およびヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステルナトリウム塩]、スルホン酸塩型両性界面活性剤(一例としてペンタデシルスルホタウリンおよびイミダゾリンスルホン酸)およびリン酸エステル塩型両性界面活性剤[一例としてグリセリン高級脂肪酸(C8〜24)エステル化物のリン酸エステルアミン塩]が挙げられる。
【0069】
分子量調節剤または重合鎖逓伝体は、適宜選択して用いることができるが、一例として、メルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト琥珀酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトグリセリン、メルカプト酢酸、チオグリコール酸エステル、一例としてヘキシルチオグリコレート、メルカプトグリコールシラン、一例として3−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、酢酸テトラヒドロフルフリルエステル、アルコール、一例としてイソプロパノール、n−ブタノールおよびn−デカノールならびに芳香族炭化水素、一例としてイソプロピルベンゾールを一例として挙げることができる。
【0070】
ラジカル形成重合開始剤は、適宜選択して用いることができるが、一例として、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−アミルペルオキシピバレート、ジラウロイルペルオキシド、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2´−アゾビス−(2,4−ジメチル)バレロニトリル、2,2´−アゾビス−(2−メトキシブチロニトリル)、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンおよびクモールヒドロペルオキシドである。有利に使用されるラジカル開始剤は、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)−ペルオキシド、4,4´−アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルペルピバレートおよびジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレートなどを一例として挙げることができる。
【0071】
また、前記粒状物は、核物質とこれを包含する外殻物質とからなるカプセルであると好適である。このようにすることで、前記粒状物は均一に繊維樹脂製品中に分散する場合が多くなる。ここでより好適に分散させるには前記外殻物質は、前記核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質であると均一分散に寄与して好適である。
【0072】
均一分散性が向上すると、同様の効果を得るために使用する粒状物の使用量を削減することができる。したがって、粒状物の使用量の著しい減少により大幅なコストダウンを実現できることとなり、大きな経済的貢献効果を得ることができる。また、粒状物が環境に何らかの影響を与える場合などできるだけ使用を差し控えたい場合には、使用量の削減に大幅に寄与することになり、ひいては地球環境問題解決への大きな貢献とすることもできる。
【0073】
このような物質は上記界面活性剤や両親媒性脂質が挙げられる。両親媒性脂質は、中和された陰イオン性脂質、両性脂質及びアルキルスルホン酸誘導体からなる群から選択されたり、後述のリン脂質、糖脂質などが挙げられる。
【0074】
中和された陰イオン性脂質は、一例としてリン酸ジセチルのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩及びカリウム塩;リン酸ジミリスチルのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩及びカリウム塩;スルホン酸コレステロールのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩;リン酸コレステロールのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩;アシルグルタミン酸のモノナトリウム塩又はジナトリウム塩、特にN−ステアロイルグルタミン酸のモノナトリウム塩又はジナトリウム塩;及びホスファチジン酸ナトリウム塩の中から選ばれるものなどが挙げられる。上述の機能性材料が核物質として含有されているカプセルであると機能性材料がカプセルによって均一分散されるので、同様の機能を得るのに必要な機能性材料の使用量を削減することができ、大きな経済的貢献効果や地球環境問題解決への大きな貢献を提供できることになる。
【0075】
また、金属ポルフィリン錯体、レドックス性高分子を機能性材料としてこれらが核物質として含有されているカプセルを分散させた繊維樹脂製品であれば、この繊維樹脂製品を燃焼させたときに発生する二酸化炭素を減少させるのにカプセル化しない場合に比べ少量の金属ポルフィリン錯体、レドックス性高分子の使用量で済むことになる。これら機能性材料は高価であることが通常であり、使用量を少なくして低価格化をはかることが至上の命題である。このように使用量を少なくして低価格化をはかることができるので、このカプセル分散した繊維樹脂製品は低価格で提供できる。これにより、市場の繊維樹脂製品がこの繊維樹脂製品に置換されるので二酸化炭素の削減効果に大きく貢献し、二酸化炭素の減少による環境的、経済的効果は著しい。
【0076】
このようなカプセルはリポソームであると好適である。リポソームであればその粒径は限定されない。さらに均一分散などに貢献でき、環境的、経済的、物性的効果をさらに高めることができる。リポソームの内部には上記機能性材料が核物質として包含されていると好適である。より好適にはリポソーム内部に二酸化炭素減少剤たる金属ポルフィリン錯体、レドックス性高分子が包含されていると好適である。この中でも特に鉄ポルフィリン錯体であると好適である。このようなリポソームによる分散性の確保によってさらに機能性材料の使用量を少なくして低価格化をはかることができるので、このリポソームが分散した繊維樹脂製品は低価格で提供可能となり、流通市場をさらに席巻することとなる。これにより、さらに市場の繊維樹脂製品がこの繊維樹脂製品に置換されるので二酸化炭素の削減効果に大きく貢献し、二酸化炭素の減少による環境的、経済的利益はさらに著しい。また、リポソームは化粧品や食品として用いられるもので、健康面や環境面への影響も少なく次世代の環境社会へ貢献できる繊維樹脂製品を提供することができる。
【0077】
本実施形態において、分散媒となる樹脂成分としては、市場購入、製造などで得ればよく特に限られることがないが、その一例を示す。本実施形態に係る粒状物はこれら樹脂の重合後に拘わらず、重合前・重合中に加えてもよい。
【0078】
分散媒たる樹脂成分としては、特に限られることがないが、一例として、一例として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などいずれに拘わらず採用することができる。また、これら樹脂は各種を単独であるいは複数種組み合わせて用いてもよい。
【0079】
熱可塑性樹脂は、特に限られるものではなく適宜選択して採用することができるが水性エマルジョン樹脂(各種のエマルジョンが使用できるが、一例としてはエチレン−酢ビ、アクリル系樹脂の単体又はブレンド、共重合体などが挙げられる)、ポリエチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、樹脂合成樹脂等が用いることができる。一例としてポリエチレン樹脂は廃棄物とし燃焼させた時にダイオキシンを発生させにくく、環境面に与える害が少ないなどの利点を有し、好適であるなどの利点がある。ポリエチレン、ポリブタジエンなど一般的なポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体であるホモポリマーとコポリマータイプのいずれでもよく、さらに、コポリマーのランダムコポリマーとブロックコポリマーのいずれでもよい。常温での耐衝撃性・透明性に優れるランダムコポリマーを用いると好適である。また、上記成分にエラストマー成分を混合させてもよい。エラストマー成分としては特に限定されないが、一例としてオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、生分解性樹脂、などが一例として挙げられる。
【0080】
一例として、ポリアミドとしては、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体あるいはこれらのポリアミド系樹脂 をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族アミンで変性したものやメタキシリレンジアンモニウムアジペート等が挙げられる。
【0081】
上記ポリアミド樹脂の末端は、炭素数6〜22のカルボン酸またはアミンで封止されていてもよい。具体的に封止に用いるカルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。また、アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミンなどの脂肪族第一級アミンが挙げられる。封止に使用するカルボン酸またはアミンの量は、30μeq/g程度がよい。このようなポリアミドとしてはポリアミド6、およびポリアミド6を主成分とする共重合ポリアミド6/66、共重合ポリアミド6/6Tが好ましく、より好ましくは、ポリアミド6を主成分とする共重合ポリアミド6/66である。共重合ポリアミド中のポリアミド6の比率は、50〜99重量%が好ましく、より好ましくは70〜99重量%である。更に上述のポリアミドを2種以上混合してもかまわない。混合方法は、紡糸 用押出機への供給直前までの任意の方法で実施できる。例えば、2種以上のペレット同士をドライブレンドした後に押出機ホッパーに供給する方法、単軸や二軸押出機で予め溶融混練する方法等が挙げられる。
【0082】
また、一例として、ポリエステル樹脂は、適宜選択して用いることができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエステルエラストマーなどを挙げることができる。
【0083】
上記ポリエステル樹脂を得るにはそれぞれ適宜選択して多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合反応を用いてそれぞれのポリエステル樹脂を得たりすればよい。
【0084】
また、一例として水溶性ポリマー、例としてポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような樹脂が挙げられる。上記ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーは、ビニルアルコール単位の水酸基の一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良く、また、ビニルアルコールと他のモノマーとの共重合体の形態を有していても良い。
【0085】
また、一例として、ポリケトンは、オレフィンと一酸化炭素の共重合樹脂である。強度、寸法安定性、耐湿潤特性、高温繊維物性等の観点からエチレンと一酸化炭素が結合した1−オキソトリメチレンを主たる繰り返し単位とするポリマーが好ましい場合が多い。繰り返し単位中の1−オキソトリメチレンの割合は、多ければ多いほど高融点、高力学物性の繊維が得られるため90重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは97重量%以上である。
【0086】
オレフィンと一酸化炭素が結合した繰り返し単位同士は、部分的にケトン基同士、エチレン同士が結合していてもよいが、90重量%以上がオレフィンと一酸化炭素が交互に配列したポリケトンポリマーであることが望ましい。耐光性、耐熱性、高温時の物性の低下の観点からオレフィンと一酸化炭素が交互に配列した部分の含有率は多ければ多いほどよく、好ましくは97重量%以上、最も好ましくは100重量%である。また必要に応じて、プロペン、ブテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ペンテン、シクロペンテン、オクテン、ノネン等のエチレン以外のオレフィンやメチルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドン、塩化ビニル等の不飽和炭化水素を有する化合物を共重合してもよい。
【0087】
また一例として、ポリベンザゾールとは、ポリベンゾオキサゾール(以下、PBOともいう)、ポリベンゾチアゾール(以下、PBTともいう)、またはポリベンズイミダゾール(以下、PBIともいう)から選ばれる1種以上のポリマーをいう。PBOは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)や芳香族基に結合された複数のオキサゾール環の単位からなるポリマーが広く含まれる。同様の考え方は、PBTやPBIにも適用される。また、PBO、PBT及び、またはPBIの混合物、PBO、PBT及びPBIのブロックもしくはランダムコポリマー等のような二つまたはそれ以上のポリベンザゾールポリマーの混合物、コポリマー、ブロックポリマーも含まれる。を挙げることができる。
【0088】
また一例として、アラミドとは、パラ型、メターパラ型及びメタ型のいずれを用いてもよい。
【0089】
超高分子量ポリエチレンとは、一例として、メタロセン系触媒を用いることにより得られる超高分子量ポリエチレンが挙げられる。詳細にはメタロセン系触媒を用いて得られ、粘度平均分子量(Mv)が200万以上で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3より大きいものである。
【0090】
これら樹脂を用いて繊維状とする。ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリケトン繊維、ポリベンザゾール繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、これらのモノフィラメント、マルチフィラメントを用いて繊維樹脂製品とすることを挙げることができる。
【0091】
繊維状とするには、通常のモノフィラメント紡糸装置などが使用できる。例えば、特開昭63−235524や特開平1−8531にあるように、樹脂を押出機にて溶融押出後、水に浸漬したり、空冷にて固化させた後、湿式または乾式によって延伸し、熱固定を施すことが可能な装置であれば良い。具体的には、まず原料となるべき樹脂のペレットを押出機ホッパーへ投入し、溶融樹脂をノズルより紡出し、水浴に通して未延伸糸を得、次いで、1回以上延伸した後、熱固定する。
【0092】
一例としてポリアミド樹脂を用い、2段延伸を行う場合を例に説明すると、1段目の延伸を、温度90〜100℃で100%RH雰囲気下にて、延伸倍率3.0〜4.5倍にて行う。次に2段目の延伸は、原料であるポリアミド樹脂ペレットの融点より50℃低い温度から融点までの温度範囲内の一定温度で全延伸倍率が、5.0〜6.6倍になるように行う。温度がポリアミド樹脂ペレットの融点温度より50℃以上低い場合は、延伸が出来ず、糸 切れしてしまう。一方、融点を超える温度では、本発明の効果が得られない。2段目の延伸温度は、好ましくは、原料であるポリアミド樹脂ペレットの融点ピークより40℃低い温度以上、原料ポリアミド樹脂ペレットの融点ピークより5℃低い温度までの範囲である。また、融点の異なるポリアミド樹脂を2種以上ブレンドして用いる場合は、最も低い融点を基準に上述の温度にて延伸を行う。なお、全延伸倍率とは、1段延伸倍率と2段延伸倍率の積である。最後に、2段延伸温度より100℃低い温度から2段延伸と同温度の範囲内の一定温度で、弛緩率0.9〜1.0倍にて熱固定を行いモノフィラメントとする。このようにして他の樹脂に対しても最適条件を適宜選択してモノフィラメントとすればよい。
【0093】
加熱延伸方法としては、加熱したロール上やプレート上、あるいは加熱気体中を走行させる方法や、走行糸 にレーザーやマイクロ波、遠赤外線を照射する方法等従来公知の装置、方法をそのままあるいは改良して適用することが出来る。伝熱効率、糸 温度の均一性の観点から加熱ロール、加熱プレート上での延伸が好ましく、ロールとプレートを併用した延伸法であってもよい。また、ロールやプレートの周囲を密閉し、密閉空間内に加熱気体を充填するとより温度が均一な延伸が可能となり好ましい場合が多い。
【0094】
延伸段数は何段であってもよく、必要に応じて多段延伸を行ってもよい。多段延伸を行う場合には延伸温度を徐々に高くしていく方法が好ましい。延伸温度は糸 を有効に延伸可能な範囲であればどのような温度でもよく、好ましい範囲としては80℃〜300℃、さらに好ましくは融点−50℃〜融点の範囲である。モノフィラメントの強度、弾性率、耐熱性の観点から、延伸倍率は好ましくはトータルで5倍以上、より好ましくは10倍以上、特に好ましくは15倍以上の倍率で延伸することが望ましい場合が多い。
【0095】
上記各樹脂の延伸工程中又は後に必要に応じて、シリコンエマルジョンや、ポリエチレングリコール等などの油剤を塗布してもかまわない。更に、熱固定後、巻き上げたモノフィラメントに、再度延伸およびまたは、熱固定を行ってもよい。
【0096】
繊維水産資材として用いる場合には、モノフィラメントの単糸繊度は一例として、10dtex以上であると好適である。単糸繊度の範囲は10dtex以上であれば特に制限はないが、繊度が細すぎるとモノフィラメントとしての使い勝手が低下し、また、繊度が太すぎると工業的な装置・速度で製造することが出来なくなるため、10〜100000dtexの範囲が好ましく、より好ましくは20〜10000dtexが望ましい。
【0097】
繊維水産資材として用いる場合には、また、モノフィラメントの高次構造が重要であり、具体的には結晶化度が50%以上、結晶配向度が90%以上であることが必要であると好適である場合がある。強度、弾性率、寸法安定性、耐熱性の観点から結晶化度は高いほど好ましく、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上の結晶化度が望ましい。また、結晶配向度は高いほど高弾性率のモノフィラメントが得られることから、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であることが望ましい。また、望まれる物性としては、強度は好ましくは5cN/dtex以上、より好ましくは10cN/dtex以上であることが望ましい。また、引っ張り弾性率は好ましくは50cN/dtex以上、より好ましくは100cN/dtex以上、特に好ましくは200cN/dtex以上であることが望ましい。
【0098】
さらに、繊維水産資材として用いる場合には、耐熱性としては乾熱収縮率および湿熱処理後の繊維強度に代表される耐乾熱・湿熱特性に優れることが望まれる場合が多い。乾熱収縮率としては、無緊張下で180℃、30分の乾熱処理後の乾熱収縮率が好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下であることが望ましい。湿熱処理後の強度としては、120℃、100%湿度下で30分の湿熱処理後の繊維の強度としては、好ましくは5cN/dtex以上、さらに好ましくは10cN/dtex以上の強度であることが望ましい。以上のような特性を具備するポリケトンモノフィラメントは補強材等の産業用途資材や漁網、ロープ、ネット、釣り糸等の用途に幅広く使用することが可能となる。
【0099】
上記分散媒たる樹脂、または本実施形態に係る粒状物が分散させられた樹脂材料には更に必要に応じ、各種添加剤を添加する事もできる。これらの添加剤としては、一例として、上記機能性材料などが挙げられる。
【0100】
本実施形態において、分散相たる粒状物およびその内容物に用いるものは、上記機能性材料、樹脂一般およびその誘導体、それらの組み合わせ、高分子体、無機物、炭素類(グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンなど)、高分子液晶、高分子医薬品、DNA、タンパク質、層状粘土鉱物、金属およびその酸化物、無機顔料などを含むことが挙げられる。その態は、液体、固体それらの中間体などあらゆる態を採用することができる。
【0101】
分散媒たる樹脂に分散させる分散相たる粒状物およびその内容物に用いる樹脂としては適宜選択することができるが、一例として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などいずれに拘わらず採用することができる。また、これら樹脂は各種を単独であるいは複数種組み合わせて用いてもよい。
【0102】
熱可塑性樹脂は、特に限られるものではなく適宜選択して採用することができるが水性エマルジョン樹脂(各種のエマルジョンが使用できるが、一例としてはエチレン−酢ビ、アクリル系樹脂の単体又はブレンド、共重合体などが挙げられる)、ポリエチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、樹脂合成樹脂等が用いることができる。一例としてポリエチレン樹脂は廃棄物とし燃焼させた時にダイオキシンを発生させにくく、環境面に与える害が少ないなどの利点を有し、好適であるなどの利点がある。ポリエチレン、ポリブタジエンなど一般的なポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体であるホモポリマーとコポリマータイプのいずれでもよく、さらに、コポリマーのランダムコポリマーとブロックコポリマーのいずれでもよい。常温での耐衝撃性・透明性に優れるランダムコポリマーを用いると好適である。また、上記成分にエラストマー成分を混合させてもよい。エラストマー成分としては特に限定されないが、一例としてオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、生分解性樹脂、などが一例として挙げられる。
【0103】
生分解性樹脂としては、完全分解型、部分分解型いずれであってもよく、生分解性成分としてはポリ乳酸、微生物産出系樹脂、天然高分子系樹脂、化学合成系樹脂を用いることができる。
【0104】
微生物産出系樹脂は一例として、バイオポール、ビオファン、ビオグリーンなどを例示することができる。
【0105】
天然高分子系樹脂は一例として、ノボン、マタービー、ドロンなどを例示することができる。
【0106】
化学合成系樹脂は一例として、セルグリーン、ビオノーレ、PCL、ラクティ、ルナーレ、レイシアなどを例示することができる。
【0107】
熱硬化性樹脂としては、適宜選択してもちいることができるが、一例として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂などを例示することができる。
【0108】
紫外線硬化性樹脂としては、適宜選択してもちいることができるが、一例として、アクリレート化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物などを挙げることができる。
【0109】
電子線硬化性樹脂としては、適宜選択して用いることができる。具体的には、分子中にラジカル重合性不飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した電子線により硬化可能な組成物が好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは単体又は複数種を混合して用いてもよい。また、硬化は通常は架橋硬化であり、また耐摩耗性等の耐久性の点からも架橋硬化が好ましい。上記プレポリマー又はモノマーは、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からなる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用いてもよい。
【0110】
その他にも分散相たる粒状物およびその内容物に用いる樹脂は、一例として、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリサッカライド、デンプン質、ポリ(N−ビニルピロリドン)、およびそれらの共重合体、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド、エチレンー酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性エラストマーなどを用いてもよい。ウレタン系樹脂を用いる場合は、一例としてポリオキシアルキル化ジオール又はポリオール、軟化点40℃〜140℃の粘着付与剤、脂肪族あるいは芳香族ジイソシアネートあるいはポリイソシアネート等があげられる。また、ビニル系樹脂としては、一例として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル重合体、ポリビニルブチラ−ル及びポリアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル系からなる樹脂があげられる。さらにシリコーン系樹脂としては,一例として樹脂状ポリシロキサン及び樹脂状ポリシロキサン等があげられる。本実施形態で記載した樹脂は、単独またはこれら2種類以上から成る共重合体及びこれらの混合物としても使用できる。
【0111】
また分散相たる粒状物およびその内容物に用いるものは、低分子有機化合物、一例としてフタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系もしくはペリレン系顔料もしくは染料、長鎖エステルなどの可塑剤、リン酸エステルなどの離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、医薬品、アミノ酸、DNA・タンパク質およびそれらの断片などを含んでいてもよい。
【0112】
また分散相となる粒状物は、無機層状化合物を用いることができる。これらの中でも膨潤性を持つ粘土鉱物が好ましく、粘土系鉱物はシリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした8面体層を有する2層構造よりなるタイプと、シリカの4面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした8面体層を両側から挟んだ3層構造よりなるタイプに分類される。前者としてはカオリナイト族、アンチゴライト族等を挙げることができ、後者としては層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等を挙げることができる。具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等をあげることができる。さらには本無機層状化合物を膨潤させた粒状物とすると好適である。膨潤に用いる溶媒は、特に限定されないが、一例として天然の膨潤性粘土鉱物の場合、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられ、水やメタノール等のアルコール類が好ましい。
【0113】
分散相となる粒状物は、一例として、Pt、Au、W、Ru、Ir、Al、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Pd、Ag、Cd、Ln、Sn、Ta、Re、Os、Tl、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の金属単体もしくは積層もしくはその化合物を採用することもできる。
【0114】
また、分散相となる粒状物には金属酸化物も採用できる。金属酸化物としては、LiOx、LiNx、NaOx、KOx、RbOx、CsOx、BeOx、MgOx、MgNx、CaOx、CaNx、SrOx、BaOx、ScOx、YOx、YNx、LaOx、LaNx、CeOx、PrOx、NdOx、SmOx、EuOx、GdOx、TbOx、DyOx、HoOx、ErOx、TmOx、YbOx、LuOx、TiOx、TiNx、ZrOx、ZrNx、HfOx、HfNx、ThOx、VOx、VNx、NbOx、TaOx、TaNx、CrOx、CrNx、MoOx、MoNx、WOx、WNx、MnOx、ReOx、FeOx、FeNx、RuOx、OsOx、CoOx、RhOx、IrOx、NiOx、PdOx、PtOx、CuOx、CuNx、AgOx、AuOx、ZnOx、CdOx、HgOx、BOx、BNx、AlOx、AlNx、GaOx、GaNx、InOx、TiOx、TiNx、SiNx、GeOx、SnOx、PbOx、POx、PNx、AsOx、SbOx、SeOx、TeOxなどの金属酸化物や、LiAlO、LiSiO、LiTiO、NaAl2234、NaFeO、NaSiO、KSiO、KTiO、KWO、RbCrO、CsCrO、MgAl、MgFe、MgTiO、CaTiO、CaWO、CaZrO、SrFe1219、SrTiO、SrZrO、BaAl、BaFe1219、BaTiO、Yl512、YFe12、LaFeO、LaFe12、LaTi、CeSnO、CeTiO、SmFe12、EuFeO、EuFe12、GdFeO、GdFe12、DyFeO、DyFe12、HoFeO、HoFe12、ErFeO、ErFe12、TmFe12、LuFeO、LuFe12、NiTiO、AlTiO、FeTiO、BaZrO、LiZrO、MgZrO、HfTiO、NHVO、AgVO、LiVO、BaNb、NaNbO、SrNb、KTaO、NaTaO、SrTa、CuCr、AgCrO、BaCrO、KMoO、NaMoO、NiMoO、BaWO、NaWO、SrWO、MnCr、MnFe、MnTiO、MnWO、CoFe、ZnFe、FeWO、CoMoO、CuTiO、CuWO、AgMoO、AgWO、ZnAl、ZnMoO、ZnWO、CdSnO、CdTiO、CdMoO、CdWO、NaAlO、MgAl、SrAl、GdGa12、InFeO、MgIn、AlTiO、FeTiO、MgTiO、NaSiO、CaSiO、ZrSiO、KGeO、LiGeO、NaGeO、BiSn、MgSnO、SrSnO、PbSiO、PbMoO、PbTiO、SnO−Sb、CuSeO、NaSeO、ZnSeO、KTeO、KTeO、NaTeO、NaTeOなどの金属複合酸化物などを挙げることもできる。
【0115】
また、FeS、Al、MgS、ZnSなどの硫化物、LiF、MgF、SmFなどのフッ化物、HgCl、FeCl、CrClなどの塩化物、AgBr、CuBr、MnBrなどの臭化物、PbI、CuI、FeIなどのヨウ化物、またはSiAlONなどの金属酸化窒化物であってもよく特に限定されない。また、金属や金属化合物に限られず、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコールなどポリマー系材料などの有機材料、高分子、樹脂ITO、IZOのような金属酸化物類、ポリアニリン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類などの共役性高分子化合物を含む有機導電材料も採用できる。
【0116】
半導体特性を用いる有機材料でもよく、一例として、フタロシアニン系誘導体、ナフタロシアニン系誘導体、アゾ化合物系誘導体、ペリレン系誘導体、インジゴ系誘導体、キナクリドン系誘導体、アントラキノン類などの多環キノン系誘導体、シアニン系誘導体、フラーレン類誘導体、あるいはインドール、カルバゾール、オキサゾール、インオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサアジアゾール、ピラゾリン、チアチアゾール、トリアゾールなどの含窒素環式化合物誘導体、ヒドラジン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、スチルベン類、アントラキノンジフェノキノン等のキノン化合物誘導体、アントラセン、ビレン、フェナントレン、コロネンなどの多環芳香族化合物誘導体などでその構造がポリエチレン鎖、ポリシロキサン鎖、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖、ポリアミド鎖、ポリイミド鎖等の高分子の主鎖中に用いられた物あるいは側鎖としてペンダント状に結合したもの、もしくはポリパラフェニレン等の芳香族系共役性高分子、ポリアセチレン等の脂肪族系共役性高分子、ポリピノールやポリチオフェン率の複素環式共役性高分子、ポリアニリン類やポリフェニレンサルファイド等の含ヘテロ原子共役性高分子、ポリ(フェニレンビニレン)やポリ(アニーレンビニレン)やポリ(チェニレンビニレン)等の共役性高分子の構成単位が交互に結合した構造を有する複合型共役系高分子等の炭素系共役高分子が用いられる。また、ポリシラン類やジシラニレンアリレンポリマー類、(ジシラニレン)エテニレンポリマー類、(ジシラニレン)エチニレンポリマー類のようなジシラニレン炭素系共役性ポリマー構造などのオリゴシラン類と炭素系共役性構造が交互に連鎖した高分子類などが用いられる。他にもリン系、窒素系等の無機元素からなる高分子鎖でも良く、さらにフタロシアナートポリシロキサンのような高分子鎖の芳香族系配位子が配位した高分子類、ペリレンテトラカルボン酸のようなペリレン類を熱処理して縮環させた高分子類、ポリアクリロニトリルなどのシアノ基を有するポリエチレン誘導体を熱処理して得られるラダー型高分子類、さらにペロブスカイト類に有機化合物がインターカレートした複合材料などを用いることもできる。
【0117】
「繊維樹脂製品の製造方法」
次に、粒状物たる機能性材料の一例として金属ポルフィリン錯体を核物質とした50〜800nmの粒径を有するリポソームをカプセルとして、これを樹脂中に分散させる方法を例示して繊維樹脂製品の製造方法を説明する。すなわち、本実施形態では好適であることから下記超臨界二酸化炭素法によって、核物質たる封入物質として金属ポルフィリン錯体、外殻物質として脂質からなるカプセルたるリポソームを用いてこれを樹脂中に分散させる。
【0118】
(リポソームの準備)
第一に水溶液たる水相中に分散した50〜800nmの粒径を有するリポソームを用意する。リポソームの外殻物質は脂質、脂肪であり、これらのうちから適宜選択して用いることができるがリン脂質または糖脂質であると好適である。リン脂質または糖脂質は脂質2分子膜を形成しうる化合物であるとさらに好適である。脂質は核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質である。親和性物質の代表例として上述の界面活性剤、乳化剤等の界面活性物質が挙げられる。
【0119】
リン脂質は、ホスファチドともいわれ、複合脂質のうちリン酸エステルおよびC−P結合を持つ一群の物質の総称であることが一応の定義として考えられる。リン脂質としては、一例として一例としてホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質などを挙げることができる。
【0120】
糖脂質としては、一例として一例としてジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステル等のグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4等のスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
【0121】
他にも外殻物質としては、一例として例示すると、ポリ乳酸、ライスワックスなどを用いることもできる。ライスワックスであるとコスト面から好適である。
【0122】
リポソームの核物質たる封入物質は親油性または親水性の物質であると好適である。本実施形態では、または親油性または親水性の封入物質としては金属ポルフィリン錯体が好適であるので例示しているがその他の機能性材料などその他の物質を封入物質として用いることも可能である。封入物質の態は気体、液体、固体いずれであってもよい。
【0123】
封入物質としては上記機能性材料に加えて、一例として、薬理活性成分などを加えてもよい。
【0124】
リポソームの製造方法は適宜選択してもちいることができるが一例として、一例として以下の方法を採用することができる。
(1)脂質のサスペンションを超音波で処理する超音波処理法。
(2)脂質と界面活性剤の混合ミセルを形成し界面活性剤を除去する界面活性剤除去法。
(3)有機溶媒に溶かした脂質を水槽に注入して、水と有機溶媒の界面でリポソームを形成させる有機溶媒注入法。
(4)脂質を懸濁した水溶液を凍結した後、溶融して脂質二重膜を形成し、これをさらに凍結溶融してリポソームを形成させる凍結融解法。
(5)水に溶解しない有機溶媒に、少量の水系溶媒を加え、超音波をあててW/Oエマルジョン(逆ミセル)を形成し、有機溶媒を減圧下で除去する逆相蒸発法。
(6)超臨界流体を利用した方法。超臨界流体としては特に限られることがないが、一例として、二酸化炭素、水、エタン、エチレン、プロパン、亜酸化窒素などが挙げられる。二酸化炭素とエタノールの混合流体に脂質を溶解し、減圧過程で保持対象水溶液を攪拌注入する超臨界二酸化炭素法は好適である。
【0125】
超臨界二酸化炭素法は様々な態様を取りうるが本法のうち一例を挙げて説明すると、超臨界二酸化炭素と必要に応じて助溶媒などをそれぞれポンプで送り、リン脂質を充填したカラムへ通す。リン脂質は二酸化炭素と助溶媒などの混合流体に溶解した状態で減圧弁まで運ばれ、減圧される。減圧過程でリン脂質は析出するが、このとき保持対象となる物質(本実施形態では金属ポルフィリン錯体、助溶媒を加えて水溶性としてもよい)を含む水相をポンプを介して流入させ、ミキサーで攪拌することにより、リポソームをミキサー内で形成させる方法などが挙げられる。
【0126】
また、超臨界状態または臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素とリン脂質または糖脂質の均一混合流体中に、封入物質(本実施形態では金属ポルフィリン錯体)を含む水相を加えることを特徴とする封入物質を内包した超臨界二酸化炭素法によってこのリポソームを製造する方法であると好適である。この方法であると超臨界状態または臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素にリン脂質を均一に溶解させた混合物中に、水溶性または親水性の封入物質を含む水相を加えて、一段で封入物質を内包するリポソームを製造することにある。本方法により製造したリポソームは、保持効率が高いので、従来のリポソームに比べて、より多量に封入物質を内包させることができる。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度だけ、あるいは臨界圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する(ただし、もう片方が臨界条件をこえていないものである)。以下、超臨界状態または臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素を「超臨界二酸化炭素」と総称するのが一応の定義として考えられる。
【0127】
当初透明であった均一混合流体は水相の導入とともに徐々に白濁し(逆ミセルが形成されていると考えられる)、さらに水相を導入すると超臨界二酸化炭素(および逆ミセル)への水の溶解限界を越えた時点で反応容器底部に白濁した水相が形成される。所定水相を注入した後、減圧することにより均一なリポソームが得られることになる。
【0128】
リン脂質と超臨界二酸化炭素との均一混合物を調製するに際し、助溶媒を用いることが好ましい。助溶媒を系に添加することにより、超臨界二酸化炭素に対する難溶性の封入物質の溶解度を増加させることができる。助溶媒としては、一例としてエチルアルコール、極性溶媒、ジクロロエタン、ジクロロメタン等を挙げることができるが特にジクロロエタン、ジクロロメタン等を用いると金属ポルフィリンを封入物質とする場合に溶解性などに好適である。
【0129】
水相の添加量は、水が流動性をもって流入できる範囲で、なおかつリポソームの形成が阻害されない範囲で適宜選択すればよい。
【0130】
封入物質(本実施形態では金属ポルフィリン錯体)が含まれる水相を構成する媒体としては、水、水道水、蒸留水、純水、海洋深層水、限外濾過水、濾過水、地下水、伏流水、脱塩水、精製水(RO水、膜処理水)、雨水、井戸水、中和水、電解水、水溶液などを挙げることができる。
【0131】
(リポソームと樹脂の混入)
本実施形態では、従来医療や化粧品などの分野に通常用いられていたリポソームをまったく別の繊維樹脂製品中に分散させるという新規な試みによって、優れた繊維樹脂製品を提供することができた。その分散による混入方法について説明する。
【0132】
準備されたリポソームは、乾燥させて固体のカプセルとしてもよいが、水相などの液体中に液中分散した態様で次工程に用いると工程の削減などにも好適である。
【0133】
乾燥させて固体のカプセルとする方法については適宜選択して用いることができるが、一例として、界面沈積法、界面反応法、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、スプレードライング法、パンコーティング法、凍結乾燥法、気中懸濁被覆法、粉床法、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被覆法、オリフィス法、界面反応法などを利用することが挙げられる。
【0134】
本実施形態では固体のカプセルとせずに水相などの液体中にリポソームが液中分散した態様で説明する。水相中に上記機能性材料たる金属ポルフィリン錯体を核物質としたリポソームを分散させた分散液を用意する。
【0135】
リポソームが分散させられる液体は、特に限られる物ではないが、リポソームの生成過程において生じた液体であるとそのまま利用できるので好適である。また、液体は樹脂との分散、成形工程の加熱、減圧などの際に揮発したりして消失する揮発性液体や繊維樹脂製品に機能性を付与する液体であると好適である。
【0136】
この分散液を直接、分散媒となる樹脂に混入し、成形してもよいが、混入前にリポソームを担持体に担持させ、このリポソームが担持させられた担持体を分散媒となる樹脂に混入し、成形すると好適である。または、混入前にリポソームまたはリポソームが担持された担持体を分散媒となる錠剤化し、この錠剤をペレットとして分散媒となる樹脂に混入し、成形すると好適である。錠剤化する材料は特に限られることがないが、一例として樹脂であれば分散媒となる樹脂とは異なる樹脂または同じ樹脂によって樹脂であると好適である。また、分散媒たる樹脂と分散性のよい樹脂、一例として分散媒たる樹脂と同じ樹脂または類似の樹脂を用いると好適である。このような錠剤化して形成されたペレットは単体で販売することもでき、大きな経済的利益を得ることもできる。なお、リポソームに代えて50〜800nmの粒径を有する粒状物を用いてもよい。
【0137】
担持体としては適宜選択して用いることができるが、一例として、古紙、新聞紙、多孔質体、繊維物質、セルロース、ゼオライト、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。
【0138】
樹脂との混入方法、成形方法については適宜選択して用いることができる。
【0139】
混入方法は、適宜選択して用いることができるが、一例として、ボールミル、サンドミル、三本ロール、アトライター、ニーダーなどを用いて分散溶媒中に分散、混合する方法。また、溶媒などを用いることなく、加熱型三本ロール、加熱加圧ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融、混合しても良い。ここで溶解、分散、混合などに用いられる分散溶媒は、一例として、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、キシレン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノールなどを用いることもできる。さらに、分散に際しては、分散性を向上する目的で、分散助剤を用いることができる。適当な分散助剤としては、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩の様な高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステルナトリウム塩の様なポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの様なアルキルアリルスルホン酸塩や、アニオン性界面活性剤、及びポリオキシエチレンモノラウリン酸エステルの様なポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステルや、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの様なポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン性界面活性剤などを用いることが挙げられる。
【0140】
(繊維樹脂製品の用途)
本実施形態に係る繊維樹脂製品は様々な用途に適用でき、その用途は限られることがないが、繊維水産資材、釣り糸、ロープ、ネット、漁網、モノフィラメントまたはマルチフィラメント、繊維製品、化学繊維、被服、ベルト、タイヤの補強材、宇宙航空分野などにこれらに限られず、従来の繊維樹脂製品の用途に変えてあらゆる用途に適用できる。
【実施例】
【0141】
以下、実施例によりさらに詳細に説明する。
【0142】
「実施例1」
分散相として上記実施形態において例示した50〜800nmの粒径を有する粒状物またはリポソームを用意し、これらを上記実施形態において例示した分散媒たる樹脂中に分散させた樹脂層を含む繊維樹脂製品についてJIS Z 1702で規定される強度試験(引っ張り試験および破断伸度試験、以下強度試験はこれに準拠)を行った。
【0143】
その結果、それぞれの樹脂を用いた繊維樹脂製品において、強度が向上した繊維樹脂製品を得ることができた。
【0144】
「実施例2」
実施例1において、分散相たる前記粒状物を核物質とし、これを包含する外殻物質とからなるカプセルとした。
【0145】
その結果、それぞれの樹脂を用いた繊維樹脂製品において、少なくとも繊維樹脂製品の強度が実施例1以上の強度となった。
【0146】
「実施例3」
実施例2において、前記外殻物質は、前記核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質とした。親和性物質としては界面活性剤とした。
【0147】
その結果、それぞれの分散媒たる樹脂を用いた繊維樹脂製品において、少なくとも繊維樹脂製品の強度が実施例2以上の強度となった。
【0148】
「実施例4」
実施例3において、核物質として機能性材料を含ませた。機能性材料は帯電防止剤、二酸化炭素減少剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、導電剤、着色剤、金属光沢剤、滑剤、離型剤、光重合開始剤、光増感剤、光安定剤、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤、熱安定剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調製剤、分子量調節剤、重合鎖逓伝体、ラジカル形成重合開始剤を用いた。
【0149】
その結果、それぞれの機能特性が著しく向上した繊維樹脂製品を提供することができた。
【0150】
「実施例5」
実施例4において、金属ポルフィリン錯体を核物質として、製造した繊維樹脂製品をJIS K 7217で規定される方法で燃焼させ、ガスクロマトグラフ法(GC−TCD)で測定した。
【0151】
その結果、実施例4と比較してさらに二酸化炭素減少効果が得られた。金属ポルフィリンとして鉄ポルフィリンを採用したものではその効果は大きく、さらに二価の鉄ポルフィリンではその効果はさらに大きかった。
【0152】
「実施例6」
実施例5において、リポソーム中に金属ポルフィリン錯体を含ませた系についてJIS K 7217で規定される方法で燃焼させ、ガスクロマトグラフ法(GC−TCD)で測定した。
【0153】
その結果、実施例4と比較してさらに二酸化炭素減少効果が得られた。
【0154】
「実施例7」
実施例1〜6において、釣り糸、ロープ、漁網を繊維樹脂製品とした系についてJIS K 7217で規定される方法で燃焼させ、ガスクロマトグラフ法(GC−TCD)で測定した。
【0155】
その結果、同様に二酸化炭素減少効果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
50〜800nmの粒径を有する粒状物が分散させられた樹脂層を含む繊維樹脂製品。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維樹脂製品であって、
前記粒状物は、核物質とこれを包含する外殻物質とからなるカプセルである繊維樹脂製品。
【請求項3】
請求項2に記載の繊維樹脂製品であって、
前記外殻物質は、
前記核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質である繊維樹脂製品。
【請求項4】
粒状物としてリポソームが分散させられた樹脂層を含む繊維樹脂製品。
【請求項5】
請求項4に記載の繊維樹脂製品であって、
前記リポソームの粒径は50〜800nmである繊維樹脂製品。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の繊維樹脂製品であって、
前記粒状物は、機能性材料を含む繊維樹脂製品。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1つに記載の繊維樹脂製品であって、
前記粒状物は金属ポルフィリン錯体とレドックス性高分子のうち少なくとも一方を含む繊維樹脂製品。
【請求項8】
請求項7に記載の繊維樹脂製品であって、
前記金属ポルフィリン錯体と前記レドックス性高分子のうち少なくとも一方は、核物質として含有されている繊維樹脂製品。
【請求項9】
分散媒たる樹脂層に分散相たる粒状物として50〜800nmの粒径を有するものとリポソームのうち少なくとも一方を分散させる分散工程を含む繊維樹脂製品の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の繊維樹脂製品の製造方法であって、
前記粒状物は、核物質とこれを包含する外殻物質とからなるカプセルである繊維樹脂製品の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の繊維樹脂製品の製造方法であって、
前記外殻物質は、
前記核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質である繊維樹脂製品の製造方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1つに記載の繊維樹脂製品の製造方法であって、
前記粒状物は、機能性材料を含む繊維樹脂製品の製造方法。
【請求項13】
請求項9から11のいずれか1つに記載の繊維樹脂製品の製造方法であって、
前記粒状物を担持体に担持させる担持工程と、
前記粒状物が担持させられた担持体を分散させることで前記分散工程を行う繊維樹脂製品の製造方法。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか1つに記載の繊維樹脂製品の製造方法であって、
前記粒状物またはこれが担持された担持体を錠剤とする錠剤化工程と、
前記錠剤化工程後に、前記錠剤を前記樹脂中に分散させることで前記分散工程を行う繊維樹脂製品の製造方法。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか1つに記載の繊維樹脂製品の製造方法であって、
前記粒状物は金属ポルフィリン錯体とレドックス性高分子のうち少なくとも一方を含む繊維樹脂製品の製造方法。
【請求項16】
請求項9から14のいずれか1つに記載の繊維樹脂製品の製造方法であって、
前記金属ポルフィリン錯体と前記レドックス性高分子のうち少なくとも一方は、核物質として含有されている繊維樹脂製品の製造方法。
【請求項17】
繊維樹脂製品の製造について、50〜800nmの粒径を有するものとリポソームのうち少なくとも一方を粒状物として使用する粒状物の使用。
【請求項18】
請求項17に記載の粒状物の使用であって、
前記粒状物は、核物質とこれを包含する外殻物質とからなるカプセルである粒状物の使用。
【請求項19】
請求項18に記載の粒状物の使用であって、
前記外殻物質は、
前記核物質よりも前記樹脂と親和性を有する樹脂親和性物質と前記樹脂よりも前記核物質と親和性を有する核物質親和性物質とを含む親和性物質である粒状物の使用。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1つに記載の粒状物の使用であって、
前記粒状物は、機能性材料を含む粒状物の使用。
【請求項21】
請求項17から20のいずれか1つに記載の粒状物の使用であって、
前記粒状物を担持体に担持させる粒状物の使用。
【請求項22】
請求項17から21のいずれか1つに記載の粒状物の使用であって、
前記粒状物を錠剤とする粒状物の使用。
【請求項23】
請求項17から22のいずれか1つに記載の粒状物の使用であって、
前記粒状物は金属ポルフィリン錯体とレドックス性高分子とのうち少なくとも一方を含む粒状物の使用。
【請求項24】
請求項17から23のいずれか1つに記載の粒状物の使用であって、
前記金属ポルフィリン錯体と前記レドックス性高分子のうち少なくとも一方は、核物質として含有されている粒状物の使用。
【請求項25】
請求項1から8のいずれか1つに記載の繊維樹脂製品であって、
前記繊維樹脂製品は、繊維水産資材、フィラメント、釣り糸、漁網である繊維樹脂製品。
【請求項26】
請求項9から16のいずれか1つに記載の繊維樹脂製品の製造方法であって、
前記繊維樹脂製品は、繊維水産資材、フィラメント、釣り糸、漁網である繊維樹脂製品の製造方法。
【請求項27】
請求項17から24のいずれか1つに記載の粒状物の使用であって、
前記繊維樹脂製品は、繊維水産資材、フィラメント、釣り糸、漁網である粒状物の使用。

【公開番号】特開2007−107138(P2007−107138A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299805(P2005−299805)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(505311308)
【出願人】(505344845)
【出願人】(501370945)株式会社日本ボロン (33)
【出願人】(505344786)イーベーシック株式会社 (23)
【Fターム(参考)】