説明

繊維製品処理剤組成物

【課題】 加熱式乾燥機を用いる洗濯において、衣料に快適な風合い(柔軟感)を与えながら、乾燥機特有のシワを低減し、形態保持効果や防縮効果に優れた繊維製品処理剤組成物の提供。
【解決手段】 (A)ゲル化温度が30〜120℃の範囲にある水溶性及び/又は水分散性の非イオン性多糖、(B)シリコーン化合物及び(C)カチオン性界面活性剤を含有する繊維製品処理剤組成物、並びにこの繊維製品処理剤組成物で処理された繊維製品を、加熱式乾燥機により加熱処理する、繊維製品の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の繊維製品に柔軟感を与え、シワを低減させる為の繊維製品処理剤組成物に関し、特に、加熱式乾燥機使用時に生じるシワ軽減を目的とした繊維製品処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗濯機に乾燥機能を搭載したドラム型の洗濯乾燥機が急速に普及している。しかし、これらの洗濯乾燥機に付加されている加熱式乾燥機(以下、本明細書で述べる加熱式乾燥機は、単に乾燥機ということもある)を使用して乾燥を行うと、衣料にシワや縮みが生じたり、タオルにごわつきが生じたりするため、この問題を解消できる仕上げ剤が求められている。
【0003】
洗濯後の衣料に残るシワは、着用時に不快感を与えるものであるが、乾燥機使用時に生じるシワは衣料に深く刻まれてしまう折れシワであり、特に著しく酷い性質のものである。この乾燥機使用時のシワは、通常の洗濯で吊り干し乾燥させた場合では見られない特有のものである。従って、洗濯乾燥機ユーザーは、このシワの問題を回避する為、洗濯乾燥機を使用する際に、例えば(1)多量の衣料を詰め込まない、(2)乾燥途中の水分を含む状態で槽内から衣料を取り出し吊り干しする、等の方法を工夫して使用している。
【0004】
一方、最近の新しい洗濯乾燥機は、年々大型化しており、多くの衣類を一度に洗濯し、そして乾燥する事ができる様になっている。しかし、先に述べたとおり、多くの衣料を槽内にいれた状態で乾燥させてしまうと、シワの問題が発生する。従って、実質的には、洗濯乾燥機メーカーが推奨する「洗濯から乾燥までをボタンひとつで行える」という手軽さや、「一度に多くの衣料を洗濯して乾燥できる」という大型化のメリットをうまく活用できる現状にはない。従って、どの様な洗濯乾燥機の使用条件においても、柔軟性を与える事はもとより確実にシワを軽減できる仕上げ剤が求められている。
【0005】
洗濯乾燥機用途に開発された繊維製品処理剤や処理方法については、既に幾つかが知られている。特許文献1には、柔軟剤を含浸させた不織布等の特定基材を使用する乾燥機用の柔軟剤が開示されている。特許文献2には、特定のシリコーン化合物を含有した組成物を可撓性基材に含浸させた乾燥機用シートが開示されている。特許文献3、4には、水不溶性のポリマーナノ粒子を仕上げ剤組成物として応用する方法が開示されている。特許文献5には、デンプン以外の非イオン性の多糖を仕上げ剤組成物として使用する方法が開示されている。特許文献6には、水溶性セルロース誘導体を微量のシリコーンと併用する方法が開示されている。特許文献7には、水溶性加工澱粉、その誘導体及びセルロース誘導体を用いた洗濯された衣料の型くずれを改善する繊維製品処理剤が開示されている。特許文献8には、ノニオン活性剤とシリコーン化合物に水溶性高分子を併用した組成物に関する防シワ仕上げ剤が開示されている。しかし、これらの組成物を用いる方法では、洗濯後のシワを多少軽減させる事はできても、乾燥機特有の折れシワを軽減させる効果は乏しく、洗濯乾燥機ユーザーが求めるシワが無く、風合い(柔軟感)の良好な衣料の仕上がりが得られない。さらに、洗濯乾燥機用途としての記述がないので、乾燥機使用条件におけるシワ取り効果は不明である。特許文献9には、エステル基を含むカチオン活性剤とシリコーン化合物に水溶性高分子を併用した組成物に関する防シワ仕上げ剤が開示されている。しかし、この組成物で用いられるカチオン活性剤はエステル基を含む剤の使用に限定しており、本発明で使用するものとは異なる。
さらに、乾燥機以外の使用におけるシワ軽減方法としては、特許文献10にある様な、有効量のシリコーンと皮膜形成性ポリマーを含む水性媒体組成物をトリガー方式によりスプレー処理する方法も知られている。しかし、洗濯乾燥機用途としての記述はないので、乾燥機使用条件におけるシワ取り効果は不明である。
【特許文献1】特開平7−18578号公報
【特許文献2】特開平6−17376号公報
【特許文献3】特開2004−512431号公報
【特許文献4】特開2004−515660号公報
【特許文献5】特開2002−543302号公報
【特許文献6】特開2000−129577号公報
【特許文献7】特開2005−187987号公報
【特許文献8】国際公開第2004/025017号
【特許文献9】特開2000−129570号公報
【特許文献10】特表平10−508912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、加熱式乾燥機を用いる洗濯において、衣料に快適な風合い(柔軟感)を与えながら、乾燥機特有のシワを低減し、形態保持効果や防縮効果に優れた繊維製品処理剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)ゲル化温度が30〜120℃の範囲にある水溶性及び/又は水分散性の非イオン性多糖、(B)シリコーン化合物及び(C)カチオン性界面活性剤を含有する繊維製品処理剤組成物、並びにこの繊維製品処理剤組成物で処理された繊維製品を、加熱式乾燥機により加熱処理する、繊維製品の処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、加熱式乾燥機を使用した洗濯において、衣料に快適な風合い(柔軟感)を与えると共に、乾燥機使用時に生じる特有のシワを軽減し、形態保持効果や防縮効果に優れた繊維製品処理剤組成物及び繊維製品の処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、ゲル化温度が30〜120℃の範囲にある水溶性及び/又は水分散性の非イオン性多糖である。ここで水溶性とは、20℃で100gの水に対して1g以上溶解できるものを示し、水分散性とは、20℃で100gの水に対して1g以上分散させた時に、液中で安定な分散状態を維持できるものを言う。ここで、分散するとは、100gの水に(A)成分1gを投入し攪拌棒で数回攪拌した後に、30分静置しても微粒子が散在した状態を維持できて分離しないもの、或いは、弱い凝集が起こっても合一が起こらず、容易に再び微粒子が散在した状態に戻す事ができるものをいう。
【0010】
(A)成分は、温度上昇に伴いゲル化挙動を示す(以下感熱ゲル化という)ものであり、温度上昇に伴いゲル水溶液及び/又は分散液の水に対する溶解度が小さくなり白濁したり、粘度が上昇したりするものが挙げられる。本願においては、この様な変化を認める温度をゲル化温度という。
【0011】
(A)成分のゲル化温度の範囲は、30〜120℃の範囲であり、30℃〜100℃が好ましく、50〜100℃が更に好ましく、60〜100℃が特に好ましい。また、ゲル化挙動が温度可逆性であるものが好ましい。
【0012】
ゲル化温度は、高分子論文集、38巻3号、P.133〜137に示される方法によって測定する事ができる。即ち、(A)成分の2%水溶液を試料とし、ねじれ振動型粘度計を用い昇温速度1.0℃/minで温度−粘度挙動を測定し、ゲル化増粘を開始する温度をゲル化温度とした。
感熱ゲル化した後の外観は、非イオン性多糖の種類や加熱条件、そして他種侠雑成分の影響により、白濁から透明まで様々な状態を示すが、何れの状態でも使用できる。
【0013】
本発明に使用される非イオン性多糖の感熱ゲル化に伴う粘度変化は、1%溶液の室温(20℃)での粘度が0.01〜100,000mPa・sであるものが好ましく、0.1〜10,000mPa・sであるものが特に好ましい。また、1%溶液の50℃での粘度が0.1〜100,000mPa・sであるものが好ましく、1.0〜100,000mPa・sであるものが特に好ましい。さらに、20℃と50℃の粘度を比較した場合、10倍以上の粘度差があるものが好ましい。
【0014】
本発明に使用される非イオン性多糖としては、セルロースエーテル類、熱凝固性デンプン、竈−1,3−グルカン類であるカードランや、「機能性高分子ゲルの製造と応用」(p87、入江正浩編集、シーエムシー出版、1987年第1刷発行)に開示されている非イオン性多糖が挙げられ、セルロースエーテル類が好ましい。
【0015】
セルロースエーテル類としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒロドキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース等が挙げられ、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0016】
これらセルロースエーテル類は、公知の方法により合成することができる。特に限定されるわけではないが、この製法の例としては、天然に広く分布するセルロースを苛性ソーダで処理した後に、塩化メチル、酸化プロピレンあるいは酸化エチレン等のエーテル化剤等と反応させる方法があげられる。
【0017】
本発明において使用されるセルロースエーテル類の具体例としては、信越化学工業社製のメトローズSMシリーズ(SM100、SM1500、SM4000等)、メトローズSHシリーズ(60SH、65SH、90SH等)、SEシリーズ(SEB、SNB等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
これらのセルロースエーテル類の感熱ゲル化挙動については、高分子論文集、38巻3号、P133〜137等に示されている。感熱ゲル化挙動を示すセルロースエーテル類の水溶液を加熱すると、セルロースエーテルの置換度が高い部位(例えば、メチルセルロースであれば、3つの水酸基全てがメトキシル基で置換された部分)に水和された水が脱水和し、架橋が形成される為、白濁し、そしてゲル化する。
【0019】
本発明で用いられるセルロースエーテル類の構造は、次のものが好ましい。すなわち、多糖類に対して、メトキシ基等のアルコキシ基が導入された置換度(平均導入個数)が0.1超2.8以下が好ましく、より好ましくは0.5超2.5以下であり、更に好ましくは1.0超2.5以下であり、特に好ましくは1.5超2.5以下である。ヒドロキシプロポキシ基あるいはヒドロキシエトキシ基等のヒドロキシアルコキシ基が導入された場合の置換度は、0.001〜2.0が好ましく、0.01〜1.5が特に好ましい。セルロースエーテル類の、アルコキシ基ならびにヒドロキシアルコキシ基のグルコース環への置換基の分布は、不均一でも良い。
【0020】
非イオン性多糖の水溶液及び/又は水分散液の調整法は、特に限定されず、例えば70℃以上の熱水に非イオン性多糖の粉体を加え、プロペラ攪拌や、高速ホモジナイザー若しくはカッターミキサー等で十分に攪拌を加える等の方法により、液中に均一分散させ、その後、冷水の添加により徐冷を行い、非イオン性多糖の透明な水溶液又は水分散液を得る事ができる。この様な方法を用いると、比較的簡便に非イオン性多糖を水に溶解ならびに分散させる事ができるが、溶解方法は、この方法に限定されるものでは無い。
【0021】
本発明の(A)成分である非イオン性多糖の防シワ効果は、全て解明されている訳ではないが、次の様な機構に基づき、発現していると考えられる。
【0022】
乾燥機使用時のシワは、加熱条件下で濡れた繊維が、乾燥する過程で生じると考えている。シワが形成されるこの環境下において、繊維表面に感熱ゲル化特性を備えた非イオン性多糖が介在すると、加熱乾燥時には増粘ゲル化するので、繊維近傍の溶液粘度が局所的に増加し、弾性的な性質を持つゲルが介在する状況も生じているかもしれない。この様な状態では、シワ形成の原因となる外力が加わっても、高粘度溶液の状態が保たれているので、繊維束や糸の個々の自由な動きに制限が加えられ易く、さらには、弾性ゲルの介在により外力を幾分か緩和させる様な事も生じているかもしれない。この様な考えから、乾燥機特有のシワが減少すると考えている。
【0023】
[(B)成分]
本発明の(B)成分であるシリコーン化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、4級アンモニウム変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、アミノポリオキシアルキレン変性シリコーン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン化合物が挙げられ、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミノポリオキシアルキレン変性シリコーン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン)変性ジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0024】
本発明の(B)成分の重量平均分子量は1,000〜1,000万が好ましく、1,000〜100万がより好ましく、1,000〜10万が更に好ましい。また25℃における動粘度は、2〜100万mm2/sが好ましく、500〜100万mm2/sがより好ましく、1000〜100万mm2/sが更に好ましい。
【0025】
(B)成分として、アミノ変性ジメチルポリシロキサンを用いた場合には、アミノ基が中和されていた方が、(B)成分の吸着残留性や、貯蔵安定性、色相を改善する上で好ましい。中和度は0.7以上1.0以下であることがより好適である。この時の中和度は、アミノ基が中和に用いる酸と化学量論的に反応したときの中和されたアミノ基のモル比率を示す値であり、具体的には以下の式(I)で表される値である。
【0026】
【数1】

【0027】
中和に用いる水溶性の酸としては、塩酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、安息香酸、乳酸、酪酸、リン酸、硫酸等が挙げられる。これらの酸は1種又は2種以上を使用できる。この内、塩酸、酢酸、クエン酸、乳酸が好ましく、塩酸、クエン酸が特に好ましい。
【0028】
[(C成分)]
本発明の(C)成分であるカチオン性界面活性剤は、一般的な柔軟化剤として知られており、(B)成分の繊維製品に対する吸着を促し、繊維間の摩擦を低減する目的から使用される。本発明の(C)成分は、窒素原子に結合する3個の基のうち、1又は2個が炭素数8〜24の炭化水素基、残りが炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基である3級アミン、その酸塩もしくはその4級化物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。具体例としては、一般式(II)で表される3級アミン、その酸塩もしくはその4級化物が挙げられる。
【0029】
【化1】

【0030】
[式中、R1は炭素数8〜24の炭化水素基、R2は炭素数8〜24の炭化水素基又は炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基、R3は炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基を示す。]
一般式(II)において、R1としては炭素数8〜24のアルキル基及び/又はアルケニル基が好ましく、炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基がより好ましく、炭素数12〜18のアルキル基及び/又はアルケニル基が更に好ましい。R2のうち炭素数8〜24の炭化水素基としては炭素数8〜24のアルキル基及び/又はアルケニル基が好ましく、炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基がより好ましく、炭素数12〜18のアルキル基及び/又はアルケニル基が更に好ましい。また炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R3としては、炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基が好ましい。上記3級アミンの酸塩としては、塩酸、硝酸、燐酸、硫酸等の無機酸、あるいは酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸等の有機酸の塩が挙げられる。また、上記3級アミンの4級化物としては、メチルクロライド等の炭素数が1〜4のアルキルハライド又は炭素数が2〜6のジアルキルサルフェート等を用いて4級化したものが挙げられる。
【0031】
[繊維製品処理剤組成物]
本発明の繊維製品処理剤組成物は、必須成分として(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する。本発明の組成物中の(A)成分の含有量は、良好な防シワ性能と仕上げ感を与える観点から、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.1〜5.0質量%がより好ましい。本発明の組成物中の(B)成分の含有量は、良好な防シワ性能と仕上げ感を与える観点から、0.01〜15.0質量%が好ましく、3.0〜15.0質量%がより好ましく、5.0〜10.0質量%が更に好ましい。本発明の組成物中の(C)成分の含有量は、良好な防シワ性能と仕上げ感を与える観点から、0.01〜15.0質量%が好ましく、0.1〜10.0質量%がより好ましい。
【0032】
本発明の繊維製品処理剤組成物において、下記式(III)で表される(A)成分と(B)成分の合計質量に対する(A)成分の質量の割合は、良好な防シワ性能と仕上げ感を与える観点から、0.01〜50.0質量%が好ましく、0.1〜40.0質量%がより好ましい。
【0033】
(A)の質量/[(A)の質量+(B)の質量]×100〔%〕 …(III)
本発明の繊維製品処理剤組成物において、下記式(IV)で表される(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計質量に対する(C)成分の質量の割合は、良好な防シワ性能と仕上げ感を与える観点から、0.1〜80.0質量%が好ましく、0.1〜75.0質量%がより好ましく、0.1〜50.0質量%が更に好ましい。
【0034】
(C)の質量/[(A)の質量+(B)の質量+(C)の質量]×100〔%〕 …(IV)
本発明の繊維製品処理剤組成物は、良好な防シワ性能と仕上げ感を与える観点から、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計含有量が0.5〜30.0質量%であることが好ましく、3.0〜20.0質量%であることがより好ましく、5.0〜20.0質量%であることが特に好ましい。
【0035】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分の他に、下記成分等を併用しても良い。
【0036】
即ち、本発明の繊維製品処理剤組成物は、(B)成分の乳化安定性及び吸着性を向上させて、防シワ性能を高める目的から、(D)成分として非イオン性界面活性剤を含有する事が好ましい。(D)成分としては、HLB3〜18、好ましくは5〜16のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤(以下(D1)成分という)、下記一般式(V)で表される化合物(以下(D2)成分という)が挙げられる。
【0037】
4−O−[(EO)x/(PO)y]−H …(V)
(式中、R4は平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、xはEOの数平均付加モル数を示す2〜100の数、yはPOの数平均付加モル数を示す0〜2の数である。また、(EO)x/(PO)yは、EOとPOのランダム付加体でも、あるいはブロック付加体でもよい。)
(D1)成分としては、アルキル基の炭素数が10〜24でオキシエチレン基の数平均付加モル数が2〜100のポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適であり、中でも、アルキル基の炭素数が10〜14でオキシエチレン基の数平均付加モル数が2〜50のポリオキシエチレンアルキルエーテルが更に好適である。
【0038】
(D2)成分としては、通常市販されているものを使用してもよく、また周知の方法で合成された、或いは天然油脂から誘導されたR4で示されるアルキル基又はアルケニル基を有するアルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを公知の方法で付加する事によって製造したものを用いてもよい。
【0039】
本発明においては、(D1)成分と(D2)成分を併用することが好ましく、これらを併用することにより、(B)成分の乳化安定性を向上させるだけでなく、希釈時に(B)成分の吸着性を向上させ、防シワ性能を高める上で有用である。
【0040】
本発明の繊維製品処理剤組成物中の(D)成分の含有量は、良好な防シワ性能を得る観点から、0.01〜20.0質量%が好ましく、0.1〜10.0質量%がより好ましい。
【0041】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、溶液の好ましい外観を得る目的、及び貯蔵安定性を改善する目的から(E)成分として有機溶剤を含有する事が可能であるが、引火点や臭いの問題がある為、組成物中の(E)成分の含有量は、好ましくは0〜40.0質量%、より好ましくは0.01〜30.0質量%、特に好ましくは0.1〜20.0質量%である。
【0042】
(E)成分としては、水酸基及び/又はエーテル基を有する水溶性有機溶剤が好ましい。(E)成分として以下の(E1)〜(E6)のものが挙げられ、これらのうちの1種以上を用いることが好ましい。
(E1)エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール等のアルカノール類。
(E2)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類。
(E3)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200のポリエチレングリコール、平均分子量約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、平均分子量約1000のポリプロピレングリコール等のポリグリコール類。
(E4)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチルグリセリルエーテル、2−メチルグリセリルエーテル、1,3−ジメチルグリセリルエーテル、1−エチルグリセリルエーテル、1,3−ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、1−オクチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキルエーテル類。
(E5)2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等の芳香族エーテル類。
(E6)2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン混合物(モノ,ジ,トリの混合物)等のアルカノールアミン類。
【0043】
これらの中でも、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルが好適であり、特にエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0044】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、さらに性能を高める目的から、上記に示した成分以外の界面活性剤(陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤)を併用することができるが、多量に配合すると繊維製品に付着し、ごわつく等の風合いを損なう為、使用に際しては注意を要する。
【0045】
陰イオン界面活性剤としては、アルキル基の炭素数10〜24のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数10〜24のアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜24のアルキル基と数平均付加モル数1〜6のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜24のα−オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸の炭素数10〜24のα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩等を挙げることができる。
【0046】
両性界面活性剤としては、アルキル基の炭素数10〜24のアルキルジメチルアミンオキサイド、アルカノイル基の炭素数が10〜24のアルカノイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、アルキル基の炭素数が10〜24のN−アルキル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、アルカノイル基の炭素数が10〜24のN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等を挙げる事ができる。
【0047】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、さらに、一般の液体組成物に添加する各種成分を含む事ができ、例えば防腐剤、香料、顔料、染料、ハイドロトロープ剤、増粘剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤等を含有する事ができる。
【0048】
本発明の繊維製品処理剤組成物は乳濁物から透明(光学的に透明まで光が透過する)の何れの外観をとるものであっても良い。
【0049】
本発明の繊維製品処理剤組成物は上記成分を水に溶解させた水溶液の形態であり、組成物中の水の含有量は、好ましくは20.0〜90.0質量%、より好ましくは30.0〜80.0質量%、特に好ましくは40.0〜70.0質量%である。溶解又は分散安定性の点から、溶液のpHは好ましくは1〜9、更に好ましくは2〜7であり、このようなpHに調整するには、通常の硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸等の酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ剤を用いることができる。
【0050】
[繊維製品の処理方法]
本発明の繊維製品処理剤組成物の使用形態としては、下記(1)〜(5)等が挙げられるが、繊維製品の洗浄後の濯ぎ工程及び/又は濯ぎ工程までに本発明の処理剤組成物を添加して繊維製品に処理した後に、加熱式乾燥機により加熱処理する方法が好ましい。
(1)繊維製品の洗濯工程における濯ぎの段階で該処理剤組成物を濯ぎ水に添加し、繊維製品に処理する方法。
(2)(1)の方法により繊維製品に処理した後、脱水させ、処理繊維製品を加熱式乾燥機に入れて加熱処理を行う方法。
(3)洗濯機能と乾燥機能が一体化した洗濯乾燥機を用いて、洗浄から乾燥までの連続運転により加熱処理を行う方法。
(4)トリガー容器などの噴霧器を用いて該処理剤組成物を繊維製品にスプレーした後、加熱式乾燥機に入れて加熱処理を行う方法。
(5)可撓性吸収体に該処理剤組成物を含浸させた製品を処理の対象である繊維製品と共に加熱式乾燥機に入れて加熱処理を行う方法。
【0051】
(1)、(2)、(3)の方法を使用する場合は、浴比(水/繊維製品の質量比)は、3〜30が好ましい。これらの使用量や浴比などを考慮して、(B)成分が繊維製品に効率的に付着する様な濯ぎ条件を選定することが好適である。この方法においては、本発明の処理剤組成物を、(B)成分が繊維製品1kgあたり0.1〜50.0g、好ましくは0.3〜40.0gとなる様に使用する。乾燥機を使用する場合の、熱処理温度は、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100℃であり、熱処理時間は、乾燥機や洗濯乾燥機の機能によるところが大きいが、5〜400分程度である。
【0052】
(1)、(2)、(3)の方法において、すすぎ処理時に処理剤組成物を添加する場合には、添加量は、水に対する(B)成分の量が0.001〜1000ppmとなる割合が好ましく、0.01〜1000ppmがより好ましく、0.01〜100ppmが更に好ましい。
【0053】
(4)の方法において用いる噴霧器としては、トリガー式噴霧器が好ましく、1回のストロークで本発明の処理剤組成物を0.1〜2.0g、好ましくは0.2〜1.5g、さらに好ましくは0.3〜1.0g噴出するものが良好である。本発明で使用するトリガー式スプレー容器として特に好ましいものは、実開平4−37554号公報に開示されているような蓄圧式トリガーが、噴霧の均一性の点で特に良好である。噴霧特性としては、特に地面に垂直に置いた対象物に15cm離れた場所からスプレーしたときの液のかかる面積が100〜800cm2、好ましくは150〜600cm2になるトリガー式噴霧器が好ましい。本発明において(4)の方法を用いる場合には、噴霧器に充填する本発明の処理剤組成物中の(B)成分の比率が、0.001〜5.0質量%、更に0.005〜3.0質量%、特に0.01〜1.0質量%であることが、噴霧特性の観点から好ましい。(B)成分が繊維製品1kgあたり0.1〜20.0g、好ましくは0.5〜8.0gとなる様にトリガー式噴霧器を使用する。
【0054】
(5)の方法において、本発明の処理剤組成物を用いる場合には、(B)成分や他の成分を含有する組成物を可撓性吸収体に担持させた製品の存在下、繊維製品を加熱式乾燥機に入れて加熱処理する方法が好ましい。(5)の方法に供される本発明の処理剤組成物は、可撓性吸収体に対して、(B)成分が0.001〜5.0質量%、更に0.005〜3.0質量%、特に0.01〜1.0質量%となるように担持する事が、可撓性吸収体から繊維製品への本発明の処理剤組成物の均一付着の観点から好ましい。また(5)の方法では、本発明の処理剤組成物を、(B)成分が繊維製品1kg当り0.1〜20.0g、好ましくは0.5〜8.0gとなる様に使用する。この場合、可撓性吸収体の坪量、厚さなどを考慮(例えば後述する範囲から適宜選定)して、本発明の処理剤組成物が繊維製品に効率的に付着するような可撓性吸収体に、本発明の処理剤組成物を担持させることが好適である。
【0055】
可撓性吸収体としては紙、織物、不織布、スポンジ等を挙げることができ、特に空隙率が30〜90%のものが好ましい。ここで、空隙率は下式(VI)で求めることができる。
【0056】
空隙率(%)=[1−W/(T×ε)]×100 …(VI)
〔式中、Wは可撓性吸収体の質量(g)であり、Tは可撓性吸収体の見かけ体積(cm3)であり、εは可撓性吸収体を構成する材料の比重を示す。〕
本発明では可撓性吸収体として不織布が最も好適に使用される。不織布としては、湿式不織布、ケミカルボンド、サーマルボンド、エアレイ等の乾式不織布の他に、スパンレース、スパンボンド、メルトブローン、ニードルパンチ及び/又はステッチボンドを挙げることができるが、特に湿式不織布、ケミカルボンド、サーマルボンド、メルトブローン、又はスパンレースから選ばれる1種以上が好ましい。また、不織布の坪量は10〜300g/m2、より好ましくは10〜200g/m2、特に好ましくは15〜180g/m2が好ましい。不織布の材質としてはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルから選ばれる疎水性繊維、ナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、ポリウレタン、セルロースから選ばれる親水性繊維を用いることができる。本発明では疎水性繊維及び親水性繊維を併用することもできる。
【0057】
本発明の可撓性吸収体はブロック状でもシート状でも良いが、シート状のものが良好である。シートの厚さとしては好ましくは平均50μm〜3000μm、特に好ましくは100μm〜2000μmであり、加熱式乾燥機の大きさにもよるが縦10〜30cm、横10〜50cm程度の大きさのものを1枚乃至複数枚用いることが適当である。
【0058】
可撓性吸収体としてシート状のものを用いる場合において、本発明の処理剤組成物の担持量は、好ましくは30〜800g/m2、より好ましくは50〜600g/m2、特に好ましくは100〜500g/m2である。担持方法としてはリバースロールコーター法、グラビアロールコーター法、オポジットナイフコーター法、インバースナイフコーター法、キスロールコーター法、スプレーコート法、エアナイフコーター法、ディップロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、ハケ塗り法等の湿式コーティング法を用いて担持させることができ、特にディップロールコーター法が製造の容易性の点から好ましい。
【0059】
(5)の方法では、繊維製品を上記本発明の処理剤組成物の存在下で、繊維製品を加熱式乾燥機により加熱処理する。この場合、本発明の処理剤組成物による処理と加熱乾燥がほぼ同時に進行する。繊維製品に対する本発明の処理剤組成物の比率は、(1)、(2)、(3)の方法で使用する場合と同様、本発明の処理剤組成物中の(B)成分が繊維製品1kgあたり0.1〜50g、好ましくは0.3〜40gとなる様に使用する事が望ましい。加熱式乾燥機による処理温度は、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100℃であり、処理時間は、好ましくは5分〜360分、より好ましくは10分〜180分である。
【0060】
本発明において、処理剤組成物を処理する際の繊維は湿潤状態である事が好ましい。湿潤状態とは、水浴(すすぎ浴等)中に浸漬させた状態や、洗濯、脱水後のような、乾燥状態の繊維製品よりも水分量が相対的に多く、繊維重量の10〜500質量%に相当する水を含む状態をいう。
【実施例】
【0061】
以下の例中、%及び部は、特記しない限りそれぞれ質量部、質量%である。
【0062】
実施例1〜8、比較例1〜4
下記に示す各成分を用い、表1に示す組成の繊維製品処理剤組成物を各150g調製した。その際の、混合容器としては、ポリプロピレン製のプラスティックカップ(容量200mL)を使用し、混合方法としてはマグネティックスターラーを用いた。先ず、(A)〜(E)成分を混合後、約30分混合し、塩酸を用いて所定のpHに調整して、各組成物を得た。得られた組成物を、下記方法で衣料に処理し、防シワ性を評価した。結果を表1に示す。なお、比較例1は処理剤による処理を行わなかった例である。
【0063】
(A)成分:
A−1:メチルセルロース(信越化学工業社製 メトローズSM100、メトキシル基置換度1.8、粘度80〜120mPa・s、ゲル化温度55℃)
A−2:メチルセルロース(信越化学工業社製 メトローズSM1500、メトキシル基置換度1.8、粘度1200〜1800mPa・s、ゲル化温度55℃)
A−3:メチルセルロース(信越化学工業社製 メトローズSM4000、メトキシル基置換度1.8、粘度3500〜5600mPa・s、ゲル化温度55℃)
上記(A)成分のメトキシル基置換度、粘度、ゲル化温度はメーカー技術資料、カタログ等の報告値を記載した。
【0064】
(B)成分:
B−1:モノアミノ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KF864、アミノ当量3,800g/mol、動粘度1,700mm2/s(25℃))
B−2:アミノポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製、SS−3588、アミノ当量1,250g/mol、動粘度49,000mm2/s(25℃))
B−3:ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製、FZ2203、動粘度5,000mm2/s(25℃))
(C)成分
C−1:コータミンD24E(花王(株)製、カチオン性界面活性剤、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド)
(D)成分
D−1:エマルゲンKS108(花王(株)製、非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(平均EO付加モル数8、平均PO付加モル数2、ランダム付加物))
D−2:ソフタノール33(日本触媒(株)製、非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(C12−14の直鎖型第2級アルコールのEO付加物、平均EO付加モル数3))
(E)成分
E−1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
<衣料の処理方法>
・洗濯乾燥機標準使用
評価衣料として、新品のポロシャツ((株)BIG JEMUSON製、綿100%、青)、新品のTシャツ((株)グンゼ、綿100%、黄)、及び肌着((株)グンゼ、綿100%、黄))を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で3回繰り返して洗濯した(洗剤濃度0.0667%、水道水(20℃)36L使用、洗濯10分−脱水3分−泡がなくなるまで濯いだ(流水濯ぎ、水量15L/min.))。
【0065】
これらの衣料各1枚を用意し、これに質量調整布として肌着(綿100%)とワイシャツ(白、綿/ポリエステル=80/20%)を加え、合計3.5kgの衣料を洗濯乾燥機(東芝TW―80TB)を用いて、標準使用条件により、洗濯から乾燥迄を連続して行った。洗剤26.25g、及び表1記載の処理剤組成物50g又は75gは、それぞれ洗濯乾燥機の洗剤及び柔軟剤の自動投入口に入れて使用した。処理剤組成物は柔軟剤投入口に入れたので、洗浄後の濯ぎ工程において、繊維は処理され、乾燥工程で加熱処理が行われる。乾燥終了の後に、評価用衣料であるポロシャツ、Tシャツ、肌着を取り出し、ハンガーに掛けて、防シワ性を評価した。
【0066】
・評価基準衣料の調整(吊り干し乾燥処理)
評価衣料として、新品のポロシャツ((株)BIG JEMUSON製、綿100%、青)、新品のTシャツ((株)グンゼ、綿100%、黄)、及び肌着((株)グンゼ、綿100%、黄))を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で3回繰り返して洗濯した(洗剤濃度0.0667%、水道水(20℃)36L使用、洗濯10分−脱水3分−泡がなくなるまですすぎ(流水すすぎ、水量15L/min.))、室温にて乾燥させた。
【0067】
これらの衣料各1枚を用意し、これに質量調整布として肌着(綿100%)とワイシャツ(白、綿/ポリエステル=80/20%)を加え、合計3.5kgの衣料を洗濯乾燥機(東芝TW―TB)を用いて洗濯を行った。洗剤26.25g、及び表1記載の処理剤組成物50g又は75gは、それぞれ洗濯乾燥機の洗剤及び柔軟剤の自動投入口に入れて使用した。処理剤組成物は柔軟剤投入口に入れたので、洗浄後の濯ぎ工程において、繊維は処理される。脱水終了の後に、評価用衣料であるポロシャツ、Tシャツ、肌着を取り出し、それぞれをハンガーに掛けて、12時間 吊り干しを行い、乾燥衣料に対して防シワ性を評価した。この調整法により得られた衣料には、乾燥機使用時とは異なり、大きな深いシワは生じていない。
【0068】
<防シワ性評価法>
5人のパネラーが、上記方法で処理された乾燥衣料に対して、防シワ性の評価を行った。衣料のシワの程度を評価するに際しては、下記に示すシワレベル1、2、3、4をシワ等級の尺度として与え、5人のパネラーにより0.5点刻みで採点をしてもらい、平均値をシワレベルとして取り扱った。
【0069】
なお、シワ等級3は、各種衣料を吊り干し乾燥した時の状態に相当し、シワ等級1は、洗濯乾燥機に3.5kg以上の衣料を投入し、洗濯から乾燥までの連続運転において、加熱乾燥を行った結果、大きな折れシワが発生した状態とした。洗濯乾燥機を使用した乾燥において、明らかにシワが少なく、見栄えが良くみえ、シワ低減効果が確認できたと判断できるレベルは本評価点で1.8以上である。なお、本評価法におけるシワレベルの数値の0.5の差は有意差として目視で充分認識できる。
【0070】
・シワ等級
4:全くシワがない
3:シワがない
2:少しシワが残っている
1:シワが残っている
【0071】
【表1】

【0072】
なお、実施例1〜8に記載した組成物は市販柔軟剤と同等の、柔軟性能を備えていた。
【0073】
実施例9〜10
表2に示す組成の繊維製品処理剤組成物を用い、以下に示す処理法によりスプレー処理を行った後、実施例1〜8と同様にして防シワ性を評価した。結果を表2に示す。
【0074】
なお、実施例9〜10に記載した組成物は市販柔軟剤と同等の、柔軟性能を備えていた。
【0075】
<衣料の処理方法>
評価衣料として、新品のポロシャツ((株)BIG JEMUSON製、綿100%、青)、新品のTシャツ((株)グンゼ、綿100%、黄)、及び肌着((株)グンゼ、綿100%、黄))を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で3回繰り返して洗濯した(洗剤濃度0.0667%、水道水(20℃)36L使用、洗濯10分−脱水3分−泡がなくなるまで濯ぎ(流水すすぎ、水量15L/min.))、室温にて乾燥させた。これらの前処理された衣料を各1枚づつ用意し、トリガー((株)三谷製 M3トリガー)を用いて、繊維製品処理剤組成物50mLを衣料に対して、均一に噴霧した。これらのスプレー処理した衣料と質量調整布として肌着(綿100%)とワイシャツ(白、綿/ポリエステル=80/20%)を加え、合計3.5kgの衣料を洗濯乾燥機(東芝TW―80TB)を用いて、標準使用条件により乾燥した。
【0076】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ゲル化温度が30〜120℃の範囲にある水溶性及び/又は水分散性の非イオン性多糖、(B)シリコーン化合物及び(C)カチオン性界面活性剤を含有する繊維製品処理剤組成物。
【請求項2】
(A)成分と(B)成分の合計質量に対する、(A)成分の質量の割合が0.01〜50.0質量%である請求項1記載の繊維製品処理剤組成物。
【請求項3】
(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計質量に対する、(C)成分の質量の割合が0.1〜80.0質量%である請求項1又は2記載の繊維製品処理剤組成物。
【請求項4】
繊維製品の洗濯において、乾燥機を使用する場合に用いる、請求項1〜3いずれかに記載の繊維製品処理剤組成物。
【請求項5】
繊維製品の洗濯において、洗浄後の濯ぎ工程で添加し、乾燥工程で生じるシワを低減する為に使用する、請求項1〜4いずれかに記載の繊維製品処理剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の繊維製品処理剤組成物で処理された繊維製品を、加熱式乾燥機により加熱処理する、繊維製品の処理方法。

【公開番号】特開2008−297675(P2008−297675A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147069(P2007−147069)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】