説明

繊維製品処理剤組成物

【課題】 ドラム型洗濯機を用いる洗濯、ならびに自然乾燥又は加熱乾燥後の衣料やタオル類等の繊維製品のごわつきやパイルの倒れによるボリュームの低下を防止することで、衣料に快適な風合い(柔軟性や吸水性)を与え、更に優れたシワ低減効果を有する貯蔵安定性に優れた繊維製品処理剤組成物ならびに繊維製品の処理方法の提供。
【解決手段】 (a)アミノ当量8,000〜20,000のアミノ変性シリコーン化合物、(b)HLB7以上のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル型非イオン性界面活性剤、及び(c)一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤を含有する繊維製品処理剤組成物、並びにこの繊維製品処理剤組成物を用いる繊維製品の処理方法。
【化1】


[式中、m及びnは0〜15の整数で、m+nは5〜15、EOはオキシエチレン基、xは1〜70の数である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯後の衣類やタオル等の繊維製品のごわつきを解消して柔軟性を与え、さらには乾燥後のシワを低減させる為の繊維製品処理剤組成物及び繊維製品の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗濯機に乾燥機能を搭載したドラム型といわれる洗濯機が急速に普及している。このドラム型の洗濯機では、従来までの全自動型や二槽型の洗濯機とは異なり、環境配慮への必要性から、徹底した節水化が行われており、少ない水で効率よく洗浄する為に、「叩き洗い」と言われる方式が採用されている。この様な方式の相違に起因して、ドラム型の洗濯機では、従来では認められなかった仕上げ面での課題が生じている。
【0003】
即ち、第1の課題は、このドラム型の洗濯機に備えられている加熱式乾燥機(以下、本明細書で述べる加熱式乾燥機は、単に乾燥機ということもある)を使用して乾燥を行うか、ドラム型の洗濯機で洗濯を行った後に自然乾燥を行うと、衣料にドラム型使用時に特有のシワが発生し、特に加熱式乾燥機を使用した場合では、通常の自然乾燥の場合とは異なり、容易には解消困難な深い折れシワが発生する点である。
第2の課題は、洗濯した後の衣類やタオルに、明らかなごわつき(柔軟性の低下)が生じる点である。ドラム型洗濯機で洗濯した後のタオル等を観察すると、パイルが倒れており、ボリュームが乏しくなり、ふんわりした感じが失われている。
【0004】
このようなシワの発生や、柔軟性の低下の問題は、家庭でドラム型の洗濯機を使用すると、誰もが容易に認める明らかな課題である。従って、この問題を解消できる仕上げ剤が求められている。
【0005】
乾燥機使用時に生じたシワを解消するために開発された繊維製品処理剤や処理方法としては、特許文献1に、柔軟剤を含浸させた不織布等の特定基材を使用する乾燥機用の柔軟剤が開示されている。特許文献2には、特定のシリコーン化合物を含有した組成物を可撓性基材に含浸させた乾燥機用シートが開示されている。また洗濯後の自然乾燥条件におけるシワの改善策として、例えば特許文献3には、エステル基を含むカチオン活性剤とシリコーン化合物に1%以上の水溶性高分子を併用した組成物に関する防シワ仕上げ剤が開示されている。さらに、特許文献4、5には、水不溶性のポリマーナノ粒子を使用する方法が開示されている。特許文献6には、アミノ変性シリコーンと非イオン系界面活性剤及び両性界面活性剤を併用する繊維製品処理剤の技術が開示されている。特許文献7には、30℃以上の融点を有する非イオン界面活性剤とモノアミノ変性シリコーンを併用すると、シワの軽減に有効な適度な張り感と柔軟性に優れた組成物が得られる事が開示されている。しかしながら、シワの低減効果、特にドラム型の洗濯乾燥機を使用した場合のシワの低減効果は、不十分である。
【0006】
さらに、ドラム型特有の洗濯方式を考慮して検討が加えられた柔軟化技術は現時点では無く市販品はもとより公知化技術も殆ど無い状況にある。
【特許文献1】特開平7−18578号公報
【特許文献2】特開平6−17376号公報
【特許文献3】特開2005−187987号公報
【特許文献4】特開2004−512431号公報
【特許文献5】特開2004−515660号公報
【特許文献6】特開2003−3378号公報
【特許文献7】特開2006−57199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドラム型の洗濯機を使用することにより生じるシワの解消を狙いとして、高いアミノ当量を有するアミノ変性シリコーン化合物を利用すると、シワの解消に有効な効果を与える事を見出したが、液の貯蔵安定性に課題があった。一方、ドラム型洗濯機を使用する事により生じる、衣料やタオル類等の繊維製品に認められるごわつきやパイルの倒れによるボリュームの低下等による柔軟性の低下を解消できる繊維製品処理剤は無い。
すなわち、ドラム型の洗濯ならびに洗濯乾燥後のシワを軽減しつつ、液の貯蔵安定性に優れ、衣料に快適な風合い(柔軟性や吸水性)を与える繊維製品処理剤組成物を提供する事は困難であった。
【0008】
従って、本発明の課題は、ドラム型洗濯機を用いる洗濯、ならびに自然乾燥又は加熱乾燥後の衣料やタオル類等の繊維製品のごわつきやパイルの倒れによるボリュームの低下を防止することで、衣料に快適な風合い(柔軟性や吸水性)を与え、更に優れたシワ低減効果を有する貯蔵安定性に優れた繊維製品処理剤組成物ならびに繊維製品の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する繊維製品処理剤組成物、及びこの繊維製品処理剤組成物を、繊維製品の洗濯における洗浄後の濯ぎ工程で添加し、自然乾燥又は加熱乾燥後のシワを低減させる繊維製品の処理方法、並びにこの繊維製品処理剤組成物を、繊維製品の洗濯における洗浄後の濯ぎ工程で添加し、繊維の柔軟性を向上させる繊維製品の処理方法を提供する。
(a):アミノ当量8,000〜20,000のアミノ変性シリコーン化合物
(b):HLB7以上のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル型非イオン性界面活性剤
(c):一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、m及びnはそれぞれ独立に0〜15の整数を示し、m+nは5〜15である。EOはオキシエチレン基を示し、xはオキシエチレン基の平均付加モル数を示す1〜70の数である。]
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ドラム型洗濯機を使用した洗濯において、衣料やタオル類等の繊維製品のごわつきや、パイルの倒れによるボリュームの低下を抑制して、衣料に快適な風合い(柔軟性や吸水性)を与えると共に、自然乾燥又は加熱乾燥後に生じるシワ、特に加熱式乾燥機使用時に生じる特有のシワを軽減し、貯蔵安定性に優れた繊維製品処理剤組成物ならびに繊維製品の処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[(a)成分]
本発明の(a)成分であるアミノ変性シリコーン化合物のアミノ当量は、性能の点から、8,000〜20,000であり、好ましくは8,000より大きく18,000以下、より好ましくは8,600〜15,000である。尚、アミノ当量は、窒素原子1つ当りの分子量で、アミノ当量=分子量/窒素原子数で求められる。ここで分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準として求めた値であり、窒素原子数は元素分析法により求めることができる。
【0014】
また、(a)成分の25℃での動粘度(オストワルト型粘度計で求めることができる)は、性能の点、特に強力な機械力を伴う分散機器を使用しなくても乳化しうる観点から、20000mm2/s以下が好ましく、50〜10000mm2/sがより好ましく、50〜5000mm2/sが更に好ましい。
【0015】
(a)成分の具体例として、一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0016】
【化3】

【0017】
〔式中、R2aは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基又は水素原子から選ばれる基を示し、R2bは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基又は水素原子から選ばれる基を示し、Bは少なくとも一つのアミノ基を有する側鎖を示し、R2cは炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示す。c及びdはそれぞれ平均重合度を示し、該化合物のアミノ当量が上記範囲になるように選ばれる。尚、R2a、R2b、R2cはそれぞれ同一でも異なっていても良く、また複数個のR2bは同一でも異なっていても良い。〕
一般式(2)で表される化合物において、R2a、R2bはそれぞれ独立して、メチル基又はヒドロキシ基が好ましく、R2cはメチル基又は水素原子が好ましい。cは10〜10,000の数が好ましく、20〜3,000の数が更に好ましい。dは1〜1,000の数が好ましく、1〜100の数が更に好ましい。一般式(2)で表される化合物の重量平均分子量は、好ましくは2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜100,000、特に好ましくは8,000〜50,000である。ここで、重量平均分子量はポリスチレンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めることができる。
【0018】
一般式(2)において、アミノ基を有する側鎖Bとしては、下記のものを挙げることができる。
−C36−NH2
−C36−NH−C24−NH2
−C36−NH−[C24−NH]e−C24−NH2
−C36−NH(CH3)
−C36−NH−C24−NH(CH3)
−C36−NH−[C24−NH]f−C24−NH(CH3)
−C36−N(CH3)2
−C36−N(CH3)−C24−N(CH3)2
−C36−N(CH3)−[C24−N(CH3)]g−C24−N(CH3)2
−C36−NH−cyclo−C511
ここで、e、f、gはそれぞれ1〜30の数である。
【0019】
(a)成分は、例えば、一般式(3)で表されるオルガノアルコキシシランを過剰の水で加水分解して得られた加水分解物と、ジメチルシクロポリシロキサンとを水酸化ナトリウムのような塩基性触媒を用いて、80〜110℃に加熱して平衡反応させ、反応混合物が所望の粘度に達した時点で酸を用いて塩基性触媒を中和することにより製造することができる(特開昭53−98499号参照)。
【0020】
2N(CH2)2NH(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2 (3)
本発明の(a)成分としては、着色及び風合いの観点から、アミノ基を有する側鎖Bが−C36−NH2である化合物〔以下、(a1)成分という〕が好適である。(a1)成分として、市販されているものでは、信越化学工業(株)製のKF−8005(アミノ当量11,000、動粘度1200mm2/s(25℃))、信越化学工業(株)製のKF868(アミノ当量8,800、動粘度90mm2/s(25℃))等が挙げられる。
【0021】
(a)成分は、アミノ基が中和されていた方が、(a)成分の吸着残留性や、貯蔵安定性、色相を改善する上で好ましい。中和度は0.4以上1.0以下であることが好ましく、0.7以上1.0以下であることがより好ましい。この時の中和度は、アミノ基が中和に用いる酸と化学量論的に反応したときの中和されたアミノ基のモル比率を示す値であり、具体的には以下の式(4)で表される値である。
【0022】
【数1】

【0023】
中和に用いる水溶性の酸としては、塩酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、安息香酸、乳酸、酪酸、リン酸、硫酸等が挙げられる。これらの酸は1種又は2種以上を使用できる。この内、塩酸、酢酸、クエン酸、乳酸が好ましく、塩酸、クエン酸が特に好ましい。
【0024】
[(b)成分]
本発明の(b)成分は、HLB7以上のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル型非イオン性界面活性剤であり、好ましくはHLB7〜20のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル型非イオン性界面活性剤である。尚、本発明において、HLBはグリフィン法で算出される値である。
【0025】
(b)成分としては、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が10〜18でオキシエチレン基(EO)の数平均付加モル数が4〜70のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルが好適であり、中でも、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が10〜14でオキシエチレン基の数平均付加モル数が6〜50のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルが更に好適である。
【0026】
具体的にはポリオキシエチレン(EO平均付加モル数6〜50)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(EO平均付加モル数6〜50)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO平均付加モル数6〜50)ミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO平均付加モル数6〜50)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO平均付加モル数6〜50)オレイルエーテル等が挙げられる。
【0027】
[(c)成分]
本発明の(c)成分は、前記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤である。
【0028】
一般式(1)において、m及びnはそれぞれ独立に0〜15の整数を示し、m+nは5〜15であるが、7〜13がより好ましく、9〜11が更に好ましい。また、xはオキシエチレン基の平均付加モル数を示す1〜70の数であるが、1〜50が好ましく、1〜20がより好ましい。(c)成分は、通常市販されているものを使用してもよく、また周知の方法で合成され、天然油脂から誘導された炭素数8〜18の2級アルコールにエチレンオキサイドを公知の方法で付加することによって製造することもできる。通常市販されているものとしては、例えば日本触媒(株)製のソフタノール(登録商標)等が挙げられる。
【0029】
[繊維製品処理剤組成物]
本発明の繊維製品処理剤組成物は、必須成分として(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する。
【0030】
本発明の組成物において、下記式(5)で表される、(a)成分と(b)成分と(c)成分の合計質量に対する、(a)成分の割合は、良好な性能(柔軟性と防シワ性)と液の貯蔵安定性を確保する観点から、10〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
【0031】
【数2】

【0032】
本発明の組成物において、(b)成分と(c)成分の質量比は、(b)成分/(c)成分=1/10〜10/1が好ましく、1/8〜8/1がより好ましい。
【0033】
本発明の組成物中の(a)成分の含有量は、良好な性能(柔軟性と防シワ性)と液の貯蔵安定性を確保する観点から、0.5〜30.0質量%が好ましく、1.0〜20.0質量%がより好ましく、2.0〜15.0質量%が更に好ましい。
【0034】
本発明の組成物中の(b)成分の含有量は、良好な性能(柔軟性と防シワ性)と液の貯蔵安定性を確保する観点から、0.5〜20.0質量%が好ましく、1.0〜15.0質量%がより好ましく、1.0〜10.0質量%が更に好ましい。
【0035】
本発明の繊維製品処理剤組成物中の(a)成分と(b)成分と(c)成分の合計含有量は、良好な性能(柔軟性と防シワ性)と液の貯蔵安定性を確保する観点から、1.0〜50.0質量%が好ましく、1.0〜40.0質量%がより好ましく、3.0〜40.0質量%が特に好ましい。
【0036】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、(a)成分の繊維製品に対する吸着を促し、繊維間の摩擦を低減する目的から、(d)成分として陽イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
【0037】
(d)成分の陽イオン性界面活性剤としては、一般的な柔軟化剤として知られている、窒素原子に結合する3個の基のうち、1又は2個が炭素数10〜24の炭化水素基、残りが炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基である3級アミン、その酸塩もしくはその4級化物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。具体例としては、一般式(6)で表される3級アミン、その酸塩もしくはその4級化物が挙げられる。
【0038】
【化4】

【0039】
〔式中、R6aはエステル基もしくはアミド基で分断されていても良い炭素数10〜24の炭化水素基、R6bはエステル基もしくはアミド基で分断されていても良い炭素数10〜24の炭化水素基又は炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基、R6cは炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基を示す。〕
一般式(6)において、R6aとしては、エステル基もしくはアミド基で分断されていても良く、炭素数10〜24のアルキル基及び/又はアルケニル基が好ましく、炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基がより好ましく、炭素数12〜18のアルキル基が更に好ましい。R6bとしては、エステル基もしくはアミド基で分断されていても良く、炭素数10〜24のアルキル基及び/又はアルケニル基、あるいは炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基、あるいは炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、炭素数12〜18のアルキル基、あるいは炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基が更に好ましい。R6cとしては炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基が好ましい。
【0040】
上記3級アミンの酸塩としては、塩酸、硝酸、燐酸、硫酸等の無機酸、あるいは酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸等の有機酸の塩が挙げられる。また、上記3級アミンの4級化物としては、メチルクロライド等の炭素数が1〜4のアルキルハライド又は炭素数が2〜6のジアルキルサルフェートを用いて4級化したものが挙げられる。
【0041】
本発明の組成物中の(d)成分の含有量は、良好な性能(柔軟性と防シワ性)を得る観点から0.1〜20.0質量%が好ましく、0.1〜10.0質量%がより好ましく、0.1〜8.0質量%が更に好ましい。
【0042】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、さらに、溶液の好ましい外観を得る目的、及び貯蔵安定性を改善する目的から、(e)成分として有機溶剤を含有することが可能であるが、引火点や臭いの問題があるため、組成物中の(e)成分の含有量は、好ましくは0〜40.0質量%、より好ましくは0.01〜30.0質量%、特に好ましくは0.1〜20.0質量%である。
【0043】
(e)成分としては、水酸基及び/又はエーテル基を有する水溶性有機溶剤が好ましい。(e)成分として、以下の(e1)〜(e6)に示すものがあげられ、これらのうちの1種以上を用いることが好ましい。
(e1)エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール等のアルカノール類。
(e2)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類。
(e3)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200のポリエチレングリコール、平均分子量約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、平均分子量約1000のポリプロピレングリコール等のポリグリコール類。
(e4)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチルグリセリルエーテル、2−メチルグリセリルエーテル、1,3−ジメチルグリセリルエーテル、1−エチルグリセリルエーテル、1,3−ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、1−オクチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキルエーテル類。
(e5)2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等の芳香族エーテル類。
(e6)2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン混合物(モノ,ジ,トリの混合物)等のアルカノールアミン類。
【0044】
これらの中でも、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノフェニルエーテルが好適であり、特にエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノフェニルエーテルが好ましい。
【0045】
さらに本発明の繊維製品処理剤組成物は、(f)成分として、(a)成分以外のシリコーン化合物を使用目的に応じて併用しても良い。これらの使用により、製品安定性の確保、柔軟性や防シワレベルの向上、各種仕上げ性能、吸水性等を高める事ができる。具体的には、ジメチルポリシロキサン、4級アンモニウム変性ジメチルポリシロキサン、ジアミノ変性ジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、アミノポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン化合物が挙げられる。
【0046】
本発明の繊維製品処理剤組成物は更に性能を向上させる目的から、上記に示した成分以外の界面活性剤(陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤)を併用することができるが、多量に配合すると繊維製品に付着し、ごわつく等の風合いを損なうため、使用に際しては注意を要する。陰イオン性界面活性剤としては、アルキル基の炭素数10〜15のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数10〜24のアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜24のアルキル基と数平均付加モル数1〜6のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜24のα−オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸の炭素数10〜24のα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩等を挙げることができる。両性界面活性剤としては、アルキル基の炭素数10〜24のアルキルジメチルアミンオキサイド、アルカノイル基の炭素数が10〜24のアルカノイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、アルキル基の炭素数が10〜24のN−アルキル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、アルカノイル基の炭素数が10〜24のN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等を挙げることができる。
【0047】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、さらに、一般の液体組成物に添加する各種成分を含む事ができ、例えば、香料、防腐剤、顔料、染料、ハイドロトロープ剤、増粘剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
【0048】
本発明の繊維製品処理剤組成物は乳濁物から透明の何れの外観をとるものであっても良い。
【0049】
本発明の繊維製品処理剤組成物は上記成分を水に溶解させた水溶液の形態であり、組成物中の水の含有量は、好ましくは20.0〜90.0質量%、より好ましくは30.0〜80.0質量%、特に好ましくは40.0〜70.0質量%である。溶解又は分散安定性の点から、溶液のpHは好ましくは1〜9、更に好ましくは2〜7、特に好ましくは3〜7であり、このようなpHに調整するには、通常の硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸等の酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ剤を用いることができる。
【0050】
[繊維製品の処理方法]
本発明の繊維製品処理剤組成物の使用形態としては、下記(i)〜(vi)等の方法が挙げられるが、繊維製品の洗浄後の濯ぎ工程及び/又は濯ぎ工程までに本発明の処理剤組成物を添加して繊維製品に処理した後に、自然乾燥((i)に該当)或いは加熱式乾燥機により加熱乾燥処理する方法((ii)(iii)に該当)が好ましく、ドラム型洗濯乾燥機を用いる洗濯に使用することが更に好ましい。
(i)繊維製品の洗濯工程におけるすすぎの段階で該処理剤組成物をすすぎ水に添加し、繊維製品に処理し、脱水させた後に、処理繊維製品を自然乾燥する方法。
(ii)繊維製品の洗濯工程におけるすすぎの段階で該処理剤組成物をすすぎ水に添加し、繊維製品に処理し、脱水させた後に、処理繊維製品を加熱式乾燥機に入れて加熱乾燥処理を行う方法。
(iii)洗濯機能と乾燥機能が一体化した洗濯乾燥機を用いて、洗浄から乾燥までの連続運転により加熱乾燥処理を行う方法。
(iv)トリガー容器などの噴霧器を用いて該処理剤組成物を繊維製品にスプレーした後、自然乾燥処理を行う方法。
(v)トリガー容器などの噴霧器を用いて該処理剤組成物を繊維製品にスプレーした後、加熱式乾燥機に入れて加熱乾燥処理を行う方法。
(vi)可撓性吸収体に該処理剤組成物を含浸させた製品を処理の対象である繊維製品と共に加熱式乾燥機に入れて加熱乾燥処理を行う方法。
【0051】
(i)、(ii)、(iii)の方法を使用する場合は、浴比(水/繊維製品の質量比)は、3〜20が好ましく、4〜17がより好ましい。ドラム型の洗濯機の使用においては、これらの浴比は、通常、洗濯物の重量に応じて、自動的に設定される。これらの浴比などを考慮して、(a)成分、(b)成分、(c)成分が繊維製品に効率的に付着するようなすすぎ条件を選定することが好適である。この方法においては、本発明の処理剤組成物を(a)成分が繊維製品1kgあたり0.005〜10.0g、好ましくは0.05〜5.0gとなる様に使用する。乾燥機を使用する場合の、熱処理温度は、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100℃であり、熱処理時間は、乾燥機や洗濯乾燥機の機能によるところが大きいが、5〜400分程度である。
【0052】
(i)、(ii)、(iii)の方法において、すすぎ処理時に本発明の処理剤組成物を添加する場合には、添加量は、水に対する(a)成分が、0.001〜1000ppmとなる割合が好ましく、0.01〜100ppmがより好ましい。
【0053】
(iv)、(v)の方法において用いる噴霧器としては、トリガー式噴霧器が好ましく、1回のストロークで本発明の処理剤組成物を0.1〜2.0g、好ましくは0.2〜1.5g、さらに好ましくは0.3〜1.0g噴出するものが良好である。本発明で使用するトリガー式スプレー容器として特に好ましいものは、実開平4−37554号公報に開示されているような蓄圧式トリガーが、噴霧の均一性の点で特に良好である。噴霧特性としては、特に地面に垂直に置いた対象物に15cm離れた場所からスプレーしたときの液のかかる面積が100〜800cm2、好ましくは150〜600cm2になるトリガー式噴霧器が好ましい。本発明において(iv)、(v)の方法を用いる場合には、噴霧器に充填する本発明の処理剤組成物中の(a)成分の含有量は0.001〜5.0質量%、更に0.005〜3.0質量%、特に0.01〜1.0質量%であることが、噴霧特性の観点から好ましい。(a)成分が繊維製品1kgあたり好ましくは0.005〜10.0g、より好ましくは0.05〜5.0gとなる様にトリガー式噴霧器を使用する。
【0054】
(vi)の方法に本発明の処理剤組成物を用いる場合には、(a)成分及び他の成分を含有する組成物を可撓性吸収体に担持させた製品の存在下、繊維製品を加熱式乾燥機に入れて加熱乾燥処理する方法が好ましい。(vi)の方法に供される本発明の処理剤組成物は(a)成分の含有量が、可撓性吸収体に対して、0.001〜5.0質量%、更に0.005〜3.0質量%、特に0.01〜1.0質量%であることが、可撓性吸収体から繊維製品への(a)成分の均一付着の観点から好ましい。また(vi)の方法では、本発明の処理剤組成物を、(a)成分の量が繊維製品1kg当り0.1〜10.0g、好ましくは0.5〜8.0gとなる様に使用する。
【0055】
この場合、可撓性吸収体の坪量、厚さなどを考慮(例えば後述する範囲から適宜選定)して、(a)成分が繊維製品に効率的に付着するような可撓性吸収体に、本発明の処理剤組成物を担持させることが好適である。
【0056】
可撓性吸収体としては紙、織物、不織布、スポンジ等を挙げることができ、特に空隙率が30〜90%のものが好ましい。ここで、空隙率は下式(7)で求めることができる。
【0057】
空隙率(%)=[1−W/(T×ε)]×100 …(7)
〔式中、Wは可撓性吸収体の質量(g)であり、Tは可撓性吸収体の見かけ体積(cm3)であり、εは可撓性吸収体を構成する材料の比重を示す。〕
【0058】
本発明では可撓性吸収体として不織布が最も好適に使用される。不織布としては、湿式不織布、ケミカルボンド、サーマルボンド、エアレイ等の乾式不織布の他に、スパンレース、スパンボンド、メルトブローン、ニードルパンチ及び/又はステッチボンドを挙げることができるが、特に湿式不織布、ケミカルボンド、サーマルボンド、メルトブローン、又はスパンレースから選ばれる1種以上が好ましい。また、不織布の坪量は、10〜300g/m2が好ましく、10〜200g/m2がより好ましく、15〜180g/m2が更に好ましい。
【0059】
不織布の材質としてはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルから選ばれる疎水性繊維、ナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、ポリウレタン、セルロースから選ばれる親水性繊維を用いることができる。本発明では疎水性繊維及び親水性繊維を併用することもできる。
【0060】
本発明の可撓性吸収体はブロック状でもよくシート状でも良いが、シート状のものが良好である。シートの厚さとしては好ましくは平均50μm〜3000μm、特に好ましくは100μm〜2000μmであり、回転式加熱式乾燥機の大きさにもよるが縦10〜30cm、横10〜50cm程度の大きさのものを1枚乃至複数枚用いることが適当である。
【0061】
可撓性吸収体としてシート状のものを用いる場合において、本発明の処理剤組成物の担持量は、好ましくは30〜800g/m2、より好ましくは50〜600g/m2、特に好ましくは100〜500g/m2である。担持方法としてはリバースロールコーター法、グラビアロールコーター法、オポジットナイフコーター法、インバースナイフコーター法、キスロールコーター法、スプレーコート法、エアナイフコーター法、ディップロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、ハケ塗り法等の湿式コーティング法を用いて担持させることができ、特にディップロールコーター法が製造の容易性の点から好ましい。
【0062】
(vi)の方法では、繊維製品を上記本発明の処理剤組成物の存在下で、繊維製品を加熱式乾燥機により加熱処理する。この場合、本発明の処理剤組成物による処理と加熱乾燥がほぼ同時に進行する。繊維製品に対する本発明の処理剤組成物の比率は、(i)、(ii)、(iii)の方法で使用する場合と同様、(a)成分の量が繊維製品1kgあたり0.005〜10.0g、好ましくは0.05〜5.0gとなる様に使用する事が望ましい。加熱式乾燥機による処理温度は、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100℃であり、処理時間は、好ましくは5〜120分、より好ましくは10〜90分である。
【0063】
本発明において、処理剤組成物を処理する際の繊維は湿潤状態である事が好ましい。湿潤状態とは、水浴(すすぎ浴等)中に浸漬させた状態や、洗浄後、或いは脱水後のような、乾燥状態の繊維製品よりも水分量が相対的に多い状態を示す。
【0064】
本発明の繊維製品の処理方法としては、本発明に係わる繊維製品処理剤組成物を、繊維製品の洗濯における洗浄後の濯ぎ工程で添加し、自然乾燥又は加熱乾燥後のシワを低減させる方法、あるいは本発明に係わる繊維製品処理剤組成物を、繊維製品の洗濯における洗浄後の濯ぎ工程で添加し、繊維の柔軟性を向上させ、特にタオル地のパイルの立ち上げを向上させてボリュームを付与する方法が好ましい。
【実施例】
【0065】
以下の例中、%及び部は、特記しない限りそれぞれ質量部、質量%である。
【0066】
実施例1〜9及び比較例1〜5
下記に示す各成分を用い、表1に示す組成の繊維製品処理剤組成物を各150g調製した。その際、混合容器としては、ポリプロピレン製のプラスチックカップ(容量200mL)を使用し、混合方法としてはマグネチックスターラーを用いた。先ず(a)〜(f)成分を混合後、約30分混合し、塩酸を用いて所定のpHに調整して、各組成物を得た。得られた組成物の貯蔵安定性を下記方法で評価した。また下記方法で衣料に処理し、柔軟性と防シワ性を評価した。本評価においては、改善が特に必要とされる自然乾燥後の柔軟性と、加熱乾燥後のシワ低減効果を取り上げ、評価結果を表1に示したが、これらの使用場面以外についても、それぞれの性能は確認されている(加熱乾燥後の柔軟性や自然乾燥後のシワ低減効果)。なお、比較例1は処理剤による処理を行わなかった例である。
【0067】
(a)成分
a−1:アミノ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KF−8005、アミノ当量11,000、動粘度1200mm2/s(25℃))
a−2:アミノ変性シリコーン(アミノ当量8,600、動粘度1170mm2/s(25℃))
(a’)成分((a)成分の比較品)
a’−1:アミノ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KF−864、アミノ当量3,800、動粘度1000mm2/s(25℃))
(b)成分
b−1:非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(平均EO付加モル数40)、HLB16)
b−2:エマルゲン420(花王(株)製、非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(平均EO付加モル数20)、HLB13.6)
(b’)成分((b)成分の比較品)
b’−1:エマルゲンKS108(花王(株)製、非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(平均EO付加モル数8、PO付加モル数2、ランダム付加物))
(c)成分
c−1:ソフタノール33(日本触媒(株)製、非イオン性界面活性剤、2級イソトリデシルアルコールのEO平均3モル付加物)
(d)成分
d−1:コータミンD24E(花王(株)製、陽イオン性界面活性剤、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド(アルキル組成C12/C14))
(e)成分
e−1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
e−2:トリエチレングリコールモノフェニルエーテル(EO付加モル数平均3モル)
(f)成分
f−1:ジアミノポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製、SS−3588、アミノ当量1,250、動粘度49,000mm2/s(25℃))。
【0068】
<貯蔵安定性の評価法>
各処理剤組成物を50mLのガラス瓶(規格瓶No.6)に充填し、室温(25℃)にて2週間保存した後の液が分離しているか否かを目視にて判定した。
【0069】
<柔軟性評価における衣料の処理方法>
・洗濯後に自然乾燥させる方法
評価衣料として、新品の薄手のタオル(武井タオル製、綿100%、#220)、新品の厚手タオル((株)ユニクロ製、綿100%)、及び肌着((株)グンゼ製、丸首、綿100%、白)を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)を用いて全自動洗濯機(松下製NA−F702P)で5回繰り返して洗濯した(洗剤濃度0.0667%、水道水(20℃)47L使用)。
【0070】
これらのタオル2種類と肌着を各3枚用意し、これに質量調整布として肌着(綿100%)を加え、合計3.5kgの衣料をドラム型洗濯乾燥機(松下製NA―VR1100)を用いて、標準使用条件により、洗濯を行った。洗剤22.5g(花王(株)製アタック)、表1記載の処理剤組成物の表1に示す量を、それぞれドラム型洗濯乾燥機の洗剤及び柔軟剤の自動投入口に入れて使用した。処理剤組成物は柔軟剤投入口に入れたので、洗浄後の濯ぎ工程において、繊維は処理されることになる。洗濯終了後に、評価用タオルと肌着を取り出し、物干し竿に掛けて、自然乾燥させ、柔軟性を評価した。
【0071】
・評価基準衣料の調整(全自動型洗濯機使用後の吊り干し乾燥処理)
評価基準衣料として、新品の薄手のタオル(武井タオル製、綿100%、#220)、新品の厚手タオル((株)ユニクロ製、綿100%)、及び肌着((株)グンゼ製、丸首、綿100%、白)を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)を用いて全自動洗濯機(松下製NA−F702P)で5回繰り返して洗濯した(洗剤濃度0.0667%、水道水(20℃)47L使用)。
【0072】
これらのタオル2種類と肌着を各3枚用意し、これに質量調整布として肌着(綿100%)を加え、合計3.5kgの衣料を全自動型洗濯機(松下製NA―F60E、水量47L)を用いて、標準使用条件により、洗濯を行った。洗剤33.7g(花王(株)製アタック)、市販柔軟剤(花王(株)製濃縮ハミング使用量、14mL)を、それぞれ全自動型の洗濯機の洗剤及び柔軟剤の自動投入口に入れて使用した。市販柔軟剤は柔軟剤投入口に入れたので、洗浄後の濯ぎ工程において、繊維は処理されることになる。洗濯終了後に、評価基準タオルと肌着を取り出し、物干し竿に掛けて、自然乾燥させて、柔軟性を評価した。
【0073】
<柔軟性評価法>
5人のパネラーが、上記方法で処理されたタオル及び肌着に対して、柔軟性の評価を行った。柔軟性を評価するに際しては、下記に示す柔軟性レベル1、2、3、4、5を柔軟性の等級の尺度として与え、5人のパネラーにより1.0ポイントきざみで採点をしてもらい、平均値を柔軟レベルとして取り扱った。
【0074】
なお、柔軟性の等級5は、上記全自動型洗濯機使用後の吊り干し乾燥処理による評価基準衣料の状態に相当する。柔軟性の等級1は、ドラム型での洗濯において3.5kgの衣料を投入し、市販柔軟剤を使用せずに、吊り干し乾燥した時の状態に相当し、著しく柔軟性が低下した状態とした。この評価において、柔軟性がかなり改善され、明らかにふんわりとした感触を認知できるレベルは3以上である。なお、本評価法において柔軟性レベルの数値の0.5ポイントの差があれば、柔軟性の差がわかるレベルである。
【0075】
柔軟性の等級
5:柔軟性がかなり良い(パイルの立ち上げが向上し、弾力がありふんわりしている)。
4:柔軟性が良い。
3:柔軟性がやや良い。
2:柔軟性が悪い。
1:柔軟性が悪く、ごわついている(パイルが倒れてボリュームがない)。
【0076】
<防シワ性評価における衣料の処理方法>
・洗濯後に加熱乾燥させる方法
評価衣料として、新品のポロシャツ((株)BIG JEMSON製、綿100%、青)、新品のTシャツ((株)グンゼ製、綿100%、黄)、及び肌着((株)グンゼ製、丸首、綿100%、白)を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で3回繰り返して洗濯した(洗剤濃度0.0667%、水道水(20℃)36L使用、洗濯10分−脱水3分−泡がなくなるまですすぐ(流水すすぎ、水量15L/min.))。
【0077】
これらの衣料各1枚を用意し、これに質量調整布として肌着(綿100%)とワイシャツ(白、綿/ポリエステル=60/40(wt/wt))を加え、合計3.5kgの衣料を洗濯乾燥機(東芝TW―80TB)を用いて、標準使用条件により、洗濯から乾燥迄を連続して行った。洗剤26.25g、表1記載の処理剤組成物の表1に示す量を、それぞれ洗濯乾燥機の洗剤及び柔軟剤の自動投入口に入れて使用した。処理剤組成物は柔軟剤投入口に入れたので、洗浄後の濯ぎ工程において、繊維は処理され、乾燥工程にて加熱処理が行われる。乾燥終了の後に、評価用衣料であるポロシャツ、Tシャツ、肌着を取り出し、ハンガーに掛けて、防シワ性を評価した。
【0078】
・評価基準衣料の調整(吊り干し乾燥処理)
評価衣料として、新品のポロシャツ((株)BIG JEMSON製、綿100%、青)、新品のTシャツ((株)グンゼ製、綿100%、黄)、及び肌着((株)グンゼ製、丸首、綿100%、白)を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で3回繰り返して洗濯した(洗剤濃度0.0667%、水道水(20℃)36L使用、洗濯10分−脱水3分−泡がなくなるまですすぎ(流水すすぎ、水量15L/min.))、室温にて乾燥させた。
【0079】
これらの衣料各1枚を用意し、これに質量調整布として肌着(綿100%)とワイシャツ(白、綿/ポリエステル=60/40(wt/wt))を加え、合計3.5kgの衣料を洗濯乾燥機(東芝TW―80TB)を用いて洗濯を行った。洗剤26.25g、表1記載の処理剤組成物の表1に示す量を、それぞれ洗濯乾燥機の洗剤及び柔軟剤の自動投入口に入れて使用した。処理剤組成物は柔軟剤投入口に入れたので、洗浄後の濯ぎ工程において、繊維は処理される。脱水終了の後に、評価用衣料であるポロシャツ、Tシャツ、肌着を取り出し、それぞれをハンガーに掛けて、12時間 吊り干しを行い、乾燥衣料の防シワ性を評価した。この調整法により得られた衣料は、乾燥機使用時とは異なり、大きな深いシワは生じていない。
【0080】
<防シワ性評価法>
5人のパネラーが、上記方法で処理された乾燥衣料に対して、防シワ性の評価を行った。衣料のシワの程度を評価するに際しては、下記に示すシワレベル1、2、3、4をシワ等級の尺度として与え、5人のパネラーにより0.5ポイントきざみで採点をしてもらい、平均値をシワレベルとして取り扱った。
【0081】
なお、シワ等級3は、各種衣料を吊り干し乾燥した時の状態に相当し、シワ等級1は、洗濯乾燥機に3.5kg以上の衣料を投入し、洗濯から乾燥までの連続運転において、加熱乾燥を行った結果、大きな折れシワが発生した状態とした。洗濯乾燥機を使用した乾燥において、明らかにシワが少なく、見栄えが良くみえ、シワ低減効果が確認できたと判断できるレベルは2以上である。なお、本評価法においてシワレベルの数値の0.5ポイントあれば、シワの差がわかるレベルである。
差がわかるレベルである。
【0082】
・シワ等級
4:全くシワがない
3:シワがない
2:少しシワが残っている
1:シワが残っている
【0083】
【表1】

【0084】
実施例10〜11
表2に示す組成の繊維製品処理剤組成物を用い、以下に示す処理法によりスプレー処理を行った以外は、実施例1〜9と同様にして貯蔵安定性、柔軟性及び防シワ性を評価した。結果を表2に示す。
【0085】
<柔軟性評価における衣料の処理方法>
・洗濯後に自然乾燥させる方法
評価衣料として、新品の薄手のタオル(武井タオル製、綿100%、#220)、新品の厚手タオル((株)ユニクロ製、綿100%)、及び肌着((株)グンゼ製、丸首、綿100%、白)を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)を用いて全自動洗濯機(松下製NA−F702P)で5回繰り返して洗濯した(洗剤濃度0.0667%、水道水(20℃)47L使用)。
【0086】
これらのタオル2種類と肌着を各3枚を用意し、これに質量調整布として肌着(綿100%)を加え、合計3.5kgの衣料をドラム型洗濯乾燥機(松下製NA―VR1100)を用いて、標準使用条件により、洗濯を行った。洗剤22.5g(花王(株)製アタック)をドラム型洗濯乾燥機の洗剤の自動投入口に入れて使用した。洗濯終了後に、評価用タオルと肌着を取り出し、トリガー((株)三谷製 M3トリガー)を用いて、繊維製品処理剤組成物の表2に示す量を衣料に対して、均一に噴霧した。これらのスプレー処理したタオルと肌着は物干し竿に掛けて、自然乾燥させて、柔軟性を評価した。
【0087】
<防シワ性評価における衣料の処理方法>
・洗濯後に加熱乾燥させる方法
評価衣料として、新品のポロシャツ((株)BIG JEMUSON製、綿100%、青)、新品のTシャツ((株)グンゼ製、綿100%、黄)、及び肌着((株)グンゼ製、丸首、綿100%、白)を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で3回繰り返して洗濯した(洗剤濃度0.0667%、水道水(20℃)36L使用、洗濯10分−脱水3分−泡がなくなるまで濯ぎ(流水すすぎ、水量15L/min.))、室温にて乾燥させた。これらの前処理された衣料を各1枚づつ用意し、トリガー((株)三谷製 M3トリガー)を用いて、繊維製品処理剤組成物の表2に示す量を衣料に対して、均一に噴霧した。これらのスプレー処理した衣料と質量調整布として肌着(綿100%)とワイシャツ(白、綿/ポリエステル=60/40(wt/wt))を加え、合計3.5kgの衣料を洗濯乾燥機(東芝TW―80TB)を用いて、標準使用条件により乾燥を行った。
【0088】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する繊維製品処理剤組成物。
(a):アミノ当量8,000〜20,000のアミノ変性シリコーン化合物
(b):HLB7以上のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル型非イオン性界面活性剤
(c):一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤
【化1】

[式中、m及びnはそれぞれ独立に0〜15の整数を示し、m+nは5〜15である。EOはオキシエチレン基を示し、xはオキシエチレン基の平均付加モル数を示す1〜70の数である。]
【請求項2】
ドラム型洗濯機及びドラム型洗濯乾燥機用である請求項1記載の繊維製品処理剤組成物。
【請求項3】
組成物中の(a)成分と(b)成分と(c)成分の合計質量に対する、(a)成分の割合が10〜70質量%である請求項1又は2記載の繊維製品処理剤組成物。
【請求項4】
組成物中の(b)成分と(c)成分の質量比が、(b)成分/(c)成分=1/10〜10/1である請求項1〜3いずれかに記載の繊維製品処理剤組成物。
【請求項5】
繊維製品の洗濯において、洗浄後の濯ぎ工程で添加し、自然乾燥又は加熱乾燥後のシワを低減する為に使用する、請求項1〜4いずれかに記載の繊維製品処理剤組成物。
【請求項6】
繊維製品の洗濯において、洗浄後の濯ぎ工程で添加し、繊維の柔軟性を向上させる為に使用する、請求項1〜4いずれかに記載の繊維製品処理剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜4いずれかに記載の繊維製品処理剤組成物を、繊維製品の洗濯における洗浄後の濯ぎ工程で添加し、自然乾燥又は加熱乾燥後のシワを低減させる、繊維製品の処理方法。
【請求項8】
請求項1〜4いずれかに記載の繊維製品処理剤組成物を、繊維製品の洗濯における洗浄後の濯ぎ工程で添加し、繊維の柔軟性を向上させる、繊維製品の処理方法。
【請求項9】
繊維の柔軟性の向上が、パイルの立ち上げの向上に起因する、請求項8記載の処理方法。

【公開番号】特開2009−121012(P2009−121012A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199814(P2008−199814)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】