説明

繊維配列機械

【課題】器用さが大きく、このため例えば半球体や翼部全体のような明確な輪郭を有する表面上で繊維を配列することができるような繊維搬送システムを有する繊維配列機械を提供する。
【解決手段】繊維配列機械は、繊維バンドを工具や型に適用させる圧搾部材に繊維バンドを供給するクリールを備えている。圧搾部材は、手関節により機械のクリールに取り付けられたヘッドの一部である。この手関節は、クリールに対して横揺れ軸、縦揺れ軸および回転軸を中心とする移動を与えるようになっている。繊維バンドは、手関節を有する繊維バンド搬送システムにより供給され、繊維バンドを2つのステージ上で横揺れ軸または回転軸を中心としてねじることができることにより特徴づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維配列機械に関し、とりわけ、ロボット操縦機の手関節を有する繊維搬送システムを備えた繊維配列機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット操縦機の器用さは、作業空間内においてある箇所を異なる方向および方位から横切るような操縦機の性能により定められていた。数値制御機械は、一般的に特定の軌道に沿った操縦機の端部エフェクタを必要とする。この軌道は、端部エフェクタに対して任意の方向から直交座標空間内の様々な箇所に移動させることを必要とし、操縦機に6自由度、すなわち3つの位置に関する自由度と3つの方位に関する自由度を持たせる必要がある。
【0003】
繊維配列機械において、端部エフェクタの位置は一般的に2つのスライド台および回転またはスライドを行う前腕により決まる。この際に、端部エフェクタの方位は、端部エフェクタを前腕の端部に支持するためのヘッドに接続された手関節により決まる。繊維配列機械におけるヘッドおよび端部エフェクタの位置決めは難しくない。しかしながら、ヘッドにより支持された端部エフェクタの方位を決めるのは困難である。なぜならば、繊維を工具や型に適用するような端部エフェクタは大きな幅を有しており、繊維バンドが前腕から手関節を介してヘッドに搬送されるときに繊維バンドがねじれるからである。このような現象により、従来の繊維配列機械では器用さが制限されていた。このことは、前腕からヘッドに搬送される際に必ず分離されていなければならないようなトウ(麻屑)からなる繊維バンドを配列する繊維配列機械にとりわけ発生しがちである。
【0004】
1989年10月31日に特許されたMilo M.Vanigliaの米国特許第4,872,619号には、手関節15により前腕14に取り付けられた繊維配列ヘッド25を有する繊維配列機械の転換装置が開示されている。この手関節15は、1978年1月17日に特許されたTheodore Hahn Stackhouseの米国特許第4,068,536号に開示された連続的なローラ手関節である。トウからなる繊維バンドは、クリール組合せ体24から、溝を有するローラ29および2つの転換ローラ30を介して繊維配列ヘッド25に搬送される。転換ローラ30は、固定されたクリールブラケット31上および繊維配列ヘッド25の外側支持ブラケット32上でそれぞれ支持された各キャスターに取り付けられている。トウからなる繊維バンドは、溝を有するローラ29および固定されたクリールブラケット31上で支持された第1の転換ローラ30の間でねじれ、2つの転換ローラ30の間で再びねじれる。各転換ローラ30は、サーボモータ403を有するような組合せ体38a,38bの一部となっていてもよい。この際に、当該サーボモータ403は、プラス方向に制御された動きをローラ組合せ体に与えるようになっている。1989年10月31日に特許されたMilo M.Vanigliaの米国特許第4,877,193号および1990年7月24日に特許されたJerry B.Wisbey等の米国特許第4,943,338号も参照されたい。
【0005】
このような構成は、そもそも器用さが比較的低いものとなる。なぜならば、トウからなる繊維バンドが手関節の各々の軸の回転中心から位置がずれているからである。この位置ずれにより、トウからなる繊維バンドが、回転の中心の周りで単にねじれるよりもむしろ、回転の中心の周囲を移動するようになる。このため、トウからなる繊維バンドが転換ローラの回転軸の完全な垂直状態から外れることによる角度が増加してしまう。さらに、このような構成は、繊維配列ヘッドが向くような全ての3つの自由度が、(固定されたクリールブラケット31に取り付けられる)転換ローラ30および(繊維配列ヘッド25上の外側支持ブラケット32上に取り付けられる)転換ローラ30の相対位置により定められることを必要とする。これらの2つの状態は、ともに、トウからなる繊維バンドに過度の側方角度を適用することなしに手関節が向くことができる範囲を制限する。トウからなる繊維バンドの回転中心からの位置ずれが大きくなればなるほど手関節が向くことができる範囲がより制限されるということが理解されよう。
【0006】
1991年7月11日に特許されたMilo M.Vanigliaの米国特許第5,022,952号には、傾斜することができる前腕またはハウジング70を有するような繊維配列機械の他の構成が開示されている。ここで、このハウジング70は、ロボット手関節128の回転タイプのローラベンドにより回転自在の腕72に取り付けられた繊維配列ヘッド130を有している。トウからなる繊維バンド11は、傾斜することができるハウジング70により支持されたクリール組合せ体から、その位置が固定されたローラ136および同じ種類の2つの繊維転換ローラ138,140を介して搬送されるようになっている。このことは、上述の1989年10月31日に特許されたMilo M.Vanigliaの米国特許第4,872,619号により議論されている。上述のように、トウからなる繊維バンド11は、位置が固定されたローラ136および傾斜可能なハウジング70上で支持された第1の転換ローラ138の間でねじれ、2つの転換ローラ138および140の間で再びねじれるようになっている。上述のように、転換ローラ138および140は、正方向に制御された動きをローラ組合せ体に与えるようなサーボモータを有する組合せ体の一部であってもよい。
【0007】
このような構成は長年の間首尾よく使用されているが、このような構成もまたそもそも器用さが比較的低くなっている。なぜならば、トウからなる繊維バンドが手関節の各々の軸の回転中心から位置がずれているからである。この位置ずれにより、トウからなる繊維バンドが、回転の中心の周りで単にねじれるよりもむしろ、回転の中心の周囲を移動するようになる。このため、トウからなる繊維バンドが転換ローラの回転軸の完全な垂直状態から外れることによる角度が増加してしまう。さらに、このような構成は、繊維配列ヘッドが向くような全ての3つの自由度が、(固定されたクリールブラケットに取り付けられる)転換ローラおよび(繊維配列ヘッド上の外側支持ブラケット上に取り付けられる)転換ローラの相対位置により定められることを必要とする。これらの2つの状態は、ともに、トウからなる繊維バンドに過度の側方角度を適用することなしに手関節が向くことができる範囲を制限する。トウからなる繊維バンドの回転中心からの位置ずれが大きくなればなるほど手関節が向くことができる範囲がより制限されるということが理解されよう。
【0008】
1992年5月5日に特許されたMilo M.Vanigliaの米国特許第5,110,395号には、転換ローラ90および圧縮シュー104の間で全てのトウを分離させるような上方および下方のアイドラー・ローラ92,94を有する繊維配列ヘッド12が開示されている。
【0009】
1993年9月24日に特許されたRichard L.Steidle等による米国特許第5,239,457号には、繊維配列機械の転換ローラ制御器が開示されている。この転換ローラ制御器は、上述の1989年10月31日に特許されたMilo M.Vanigliaの米国特許第4,872,619号および1991年7月11日に特許されたMilo M.Vanigliaの米国特許第5,022,952号に記載された繊維配列機械に開示される2つの転換ローラの回転角度を制御するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、器用さが大きく、このため例えば半球体や翼部全体のような明確な輪郭を有する表面上で繊維を配列することができるような繊維搬送システムを有する繊維配列機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の繊維配列機械は、繊維バンドを2つのステージ上で横揺れ軸または回転軸を中心としてねじるような繊維搬送システムにより特徴づけられる。
【0012】
好ましい実施の形態においては、繊維バンドは、固定された前腕転換ローラと、繊維を工具または型に適用させるヘッドの圧縮ローラとの間で3回ねじられるようになっている。
【0013】
本発明は、とりわけ、搬送中に必ず分離させなければならないようなトウからなる繊維バンドを配列する繊維配列機械が得られるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に示されるように、本発明の繊維配列機械10は、ベース14上に取り付けられた一対の平行な搬送レール12を備えている。機械が大きい場合には、このベース14は概して工場の床となる。搬送装置16は搬送レール12上に摺動自在に取り付けられ、この搬送装置16は工具または型Tと平行に移動するようになっている。この移動は、第1のデカルト座標系においてZ軸に沿った移動またはZ方向の移動と言い、このデカルト座標系は主としてベース14に対する位置を示している。
【0015】
搬送装置16は、順に、一対の平行な横スライド台レール18の搬送を行う。この横スライド台レール18の上方には、工具または型Tに対する進退方向の移動のための横スライド台20が設けられている。この移動は、第1のデカルト座標系においてX軸に沿った移動またはX方向の移動と言う。横スライド台20はクリール22および傾斜タイプの前腕24を搬送する。前腕24は、その端部が軸21により横スライド台20に回転自在に取り付けられており、前腕24の自由端は横スライド台20に対して上下に移動するようになっている。この上下移動は、第1のデカルト座標系においてY軸に沿った移動またはY方向の移動と言う。搬送装置16、横スライド台20および前腕24により、前腕24の端部のための一般的なグローバルポジションの位置が得られる。前腕24が概してYスライド台またはZスライド台に取り付けられるようなX、YおよびZスライド台といった、他のグローバルポジションシステムを用いてもよい。
【0016】
繊維配設ヘッド26の繊維バンドタイプは、「手関節」28によって前腕24の端部に取り付けられる。この手関節28により、一般的に前腕24の端部に対する繊維配設ヘッド26の方位が得られる。手関節28により、繊維配設ヘッド26の3自由度が得られる。前腕24の端部に対して繊維配設ヘッド26の横揺れ、縦揺れおよび回転移動が与えられるからである。冒頭に述べたように、手関節を有するような機械10の繊維搬送システムにより、少なくとも3回、繊維バンドをねじるような高度な器用さが得られる。より詳細については以下に説明する。
【0017】
図2および図3に示されるように、繊維配設ヘッド26の横揺れ移動(主として前腕24の端部に対する方位を決めるような第2の方位デカルト座標系の垂直軸すなわちY軸を中心とした回転)は、横揺れブラケット30により与えられる。横揺れブラケット30は、前腕24の端部に取り付けられた中空の環状横揺れハウジング34の内部で回転する横揺れ軸32を有している。横揺れブラケット30は、横揺れスリーブ32の頂部において横揺れくびき36を有している。
【0018】
繊維配設ヘッド26の縦揺れ移動(方位デカルト座標系の横方向水平軸すなわちZ軸を中心とした回転)は、縦揺れハウジング38により与えられる。この縦揺れハウジング38は、縦揺れハウジング38に固定された縦揺れハウジングくびき40によって横揺れくびき36に回転自在に取り付けられている。横揺れくびき36および縦揺れハウジングくびき40は軸41により回転自在に相互接続されている。
【0019】
繊維配設ヘッド26の回転移動(方位デカルト座標系の長手方向水平軸すなわちX軸を中心とした回転)は、ヘッドブラケット42により与えられる。このヘッドブラケット42は、縦揺れハウジング38内で回転するヘッドスリーブ44を備えている。繊維配設ヘッド26の回転移動は、後部ローラブラケット45により行われる。この後部ローラブラケット45もまた以下に説明するように縦揺れハウジング38内で回転する。縦揺れハウジング38内における後部ローラブラケット45の回転は、以下に説明するように縦揺れハウジング38内の繊維配設ヘッド26の回転と協働している。
【0020】
繊維配設ヘッド26は、クリール22から工具または型Tに送られた繊維バンドFBの複数の繊維トウ(tows、麻屑)Tを配設する圧縮ローラ46を支持する。通常の動作において、圧縮ローラ46は6自由度で移動して工具または型Tに対して繊維バンドFBを巻き付ける。圧縮ローラ46は、ベース14、搬送機16、横スライド台20および前腕24に対して、最初に説明した第1の方位デカルト座標系のX、YおよびZ方向に移動する。また、圧縮ローラ46は、横揺れ、縦揺れおよび回転を行う、すなわち、前腕24の端部に対して、第2の方位デカルト座標系のX、YおよびZ軸を中心として回転する。ここで、いくつかの移動は不可避的に含まれないようになっている。
【0021】
クリールの構造および動作はよく知られている。例えば、上述の米国特許第4,872,619号を参照されたい。このように、クリール22については詳細を述べる必要がない。クリール22は、図9に詳細が示されるような繊維バンドFBを生成するものであると言えば十分であろう。図9に示すように、繊維バンドFBは複数の平行な、個々の繊維トウT(例えば、予め炭素繊維または他のプリプレグ(prepreg)材料が含浸されたトウ)を有している。これらの繊維トウTは互いに分離している。
【0022】
図1,2,3および4に示すように、複数のローラが繊維配設ヘッド26およびクリール22の間に設けられており、繊維バンドFBにおける粘着性のあるトウTが互いに接触せずに繊維バンドFBがねじれ、クリール22と繊維配設ヘッド26との間で回転するようになっている。ローラは、米国特許第4,877,193号に記載された種類のものが好ましく、米国特許第5,273,614号に開示されるガイドを含んでいてもよい。しかしながら、様々な適合するタイプのローラを使用することができる。
【0023】
最初に、クリール22において(図1参照)、このクリール22の複数のドラムから送られた繊維バンドFBの複数のトウTは、固定されたクリール転換ローラ48に送られる。この転換ローラ48から、繊維バンドFBのトウTは前腕24の中空部分を通って下方に進み、転換ローラ50(図3参照)に到達する。この転換ローラ50は、傾斜を変えることができる前腕24の軸ベアリングの間で同一線上に配置されている。繊維バンドFBのトウTは、転換ローラ50の下を通過して、傾斜を変えることが可能な前腕の真下を進み、この前腕の自由端に達する。ここで、固定された横揺れ軸転換ローラ51の下でトウTが搬送される。転換ローラ51は、横揺れハウジング34を通過する繊維バンドFBのトウTの向きを垂直方向すなわちY方向に変える。転換ローラ48,50および51は全て、前腕24の端部のグローバルポジショニングを決めるような第1のデカルト座標系のZ軸と平行な軸を中心として回転する。
【0024】
ローラ48および50の各軸間の距離、およびローラ50および51の各軸間の距離はそれぞれ一定に維持されることが好ましい。手関節28を有する繊維搬送システムの接続は、固定された前腕または横揺れ軸転換ローラ51から始まる(図3および図4参照)。
【0025】
横揺れ軸転換ローラ51から、繊維バンドFBのトウTが進行して縦揺れ軸転換ローラ52に巻かれる。この縦揺れ軸転換ローラ52は、横揺れブラケットくびき36により支持されたベアリング内で回転する。前腕24の端部に対するヘッド26の方位を決めるような第2の方位デカルト座標軸における垂直方向の横揺れ軸を中心として回転するためである。繊維バンドFBの最初のねじれは、転換ローラ51および縦揺れ軸転換ローラ52の間で発生する。一例として、このような機械において、横揺れブラケットくびき36は、繊維バンドTBのトウTの分離状態を維持しながらプラスまたはマイナスに95度だけ回転することができる。図5は、横揺れ軸において横揺れねじれが発生していない状態を示し、一方図6および図6Aは、プラスおよびマイナスの横揺れねじれをそれぞれ示している。
【0026】
縦揺れ軸転換ローラ52から、繊維バンドFBが引き続き後方に送られ、縦揺れハウジング38の後端におけるサーボ転換ローラ54に到達する(図3および図4参照)。サーボ転換ローラ54は、後部ローラブラケット45により支持されたベアリング内で回転する。繊維バンドFBはサーボ転換ローラ54の周りで移動を行い、少なくとも1つの中間転換ローラに向かって前方へ進行する。しかしながら、ヘッドブラケット44により支持され、縦揺れハウジング38により支持されたベアリング内で回転するような2つの中間転換ローラ56,57が存在することが好ましい。各転換ローラ56,57は、トウバンドFBを構成するトウTの総計の約半分に適合するサイズとなっており、転換ローラ54からほぼ等距離の位置に配置されている。転換ローラ56,57は、垂直方向において互いに位置がずれており、ローラの回転の中心からほぼ等距離となっており、一緒に回転する。偶数番目のトウTeが上方の転換ローラ56に向かい、奇数番目のトウToが下方の転換ローラ57に向かうよう、麻屑バンドFBのトウTが分離される。サーボ転換ローラ54は、後部ローラブラケット45に対して回転自在となっている。このサーボ転換ローラ54は、ローラ軸に対して垂直な仮想面上で縦揺れハウジング38に対するローラ軸を中心として回転するような軸を中心として回転する。一方、中間転換ローラ56,57は、ヘッドブラケット44に対して回転自在となっており、縦揺れハウジング38に対する第2のローラ軸に対して垂直な第2の仮想面上で第2のローラ軸を中心として回転するような各々の平行軸を中心として回転する。第1および第2のローラ軸は、縦揺れハウジング38の長手方向軸と一致していることが好ましいが、このハウジングに対しておよび/または相互に平行となっていてもよい。縦揺れ軸転換ローラ52は、第1および第2のローラ軸と垂直な仮想面上で概して固定された軸を中心として回転する。このような構成により、繊維バンドFBの第2および第3のねじれが行われ、これらの2つのねじれが行われることにより縦揺れハウジング38内における繊維配設ヘッド26の回転性能が増加する。ここで、繊維バンドFBの第2および第3のねじれは、縦揺れ軸転換ローラ52および中間転換ローラ56,57の間で行われる。
【0027】
第2のねじれは、縦揺れ軸転換ローラ52およびサーボ転換ローラ54の間で発生し、この第2のねじれは、繊維バンドFBの「ローラにおける総ねじれ」の第1の構成要素を提供する。好ましくは、「ローラによる総ねじれ」の約35%が得られるようプログラミングされた、後部ローラブラケット45の回転を制御するサーボによりこのことが行われる。第3のねじれは、サーボ転換ローラ54および中間ヘッド転換ローラ56,57の間で発生し、この第3のねじれは、ローラによる総ねじれの第2の構成要素、すなわちローラによる総ねじれの約65%を提供する。一例として、上記のような機械において、ローラによるねじれを2つの構成要素に分ける36−65の割り振りにより、繊維配設ヘッド26が、繊維バンドFBのトウTの分離を維持しながら、縦揺れハウジング38に対してプラスまたはマイナス155°だけ回転することができるようになる。
【0028】
図7は、ローラねじれが発生していない場合を示し、一方、図8は、縦揺れ軸転換ローラ52およびサーボ転換ローラ54の間における第1のプラス方向のローラねじれ、およびサーボ転換ローラ54およびヘッド転換ローラ56の間の第2のプラス方向のローラねじれを示す。図8Aは、マイナス方向における2つのローラねじれを示す。
【0029】
繊維バンドFBの偶数番目のトウTeは、転換ローラ56から下方前方に移動し、上方ヘッド転換ローラ58に達する。奇数番目のトウToは、転換ローラ57から下方前方に移動し、下方ヘッド転換ローラ60に達する(図3および図4参照)。2つの中間転換ローラ56,57を使用することにより、1つのローラを使用する場合よりもむしろ、より幅の広い繊維バンドに適合することができ、中間転換ローラおよびヘッド転換ローラ58,59の間において必要とされる距離を減少させることができる。
【0030】
上述の繊維配列機械10において、繊維バンドはサーボ転換ローラ54に巻かれて方向が変わる。これは好ましい構成である。なぜならば、縦揺れハウジング38の長さを減少させるからである。しかしながら、縦揺れ軸転換ローラ52および中間ヘッド転換ローラ56を長手方向に配置するとともにローラ52および転換ローラ56,57の間の途中にサーボ転換モータ54を配置することも可能である。
【0031】
上述の繊維配列機械10は、横揺れ軸転換ローラ51および縦揺れ軸転換ローラ52の間の総横揺れねじれのために、繊維バンドFBの単一のねじれを使用している。しかしながら、横揺れ軸ハウジング34に対して回転するような軸を中心として回転する他のローラを用いることにより、総横揺れねじれを2つの構成要素に分割することも可能である。特定の繊維配列機械の器用さに関する要求を満たすため、より大きな横揺れが必要な場合には、このような複数の横揺れねじれにより、トウTの分離を維持しながら繊維バンドFBの横揺れ性能を向上させることができる。複数の横揺れねじれは、上述の繊維バンドFBの単一のローラねじれまたは複数のローラねじれと組み合わせて用いることができる。いずれにしても、繊維バンドFBのトウTの分離は、縦揺れの変化のために容易に維持される。なぜならば、繊維バンドFBは、縦揺れの変化によりねじれが生じることはないからである。このため、複数の縦揺れの変化に必要なものはない。
【0032】
以上においては、本発明の全ての可能な均等の形式または分岐について述べているわけではない。ここで用いられた用語は制限的なものというよりもむしろ記述的なものに過ぎず、本発明の精神または範囲から離れない限りにおいて様々な変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の繊維配列機械の側面図である。
【図2】図1に示す繊維配列機械の前腕、手関節および繊維配設ヘッドの斜視図である。
【図3】図1の繊維配列機械の前腕、手関節および繊維配設ヘッドの透視斜視図であって、繊維バンドの経路を示す図である。
【図4】図1の繊維配列機械の前腕、手関節および繊維配設ヘッドの側面図である。
【図5】実質的に図4のライン5−5に沿って矢印方向から見た断面図である。
【図6】図5に類似する断面図であるが、異なる横揺れ角度における縦揺れハウジングを示す図である。
【図6A】図5に類似する断面図であるが、異なる横揺れ角度における縦揺れハウジングを示す図である。
【図7】実質的に図4のライン7−7に沿って矢印方向から見た断面図である。
【図8】図7に類似する断面図であるが、異なる回転角度におけるヘッドブラケットおよび後部ローラブラケットを示す図である。
【図8A】図7に類似する断面図であるが、異なる回転角度におけるヘッドブラケットおよび後部ローラブラケットを示す図である。
【図9】実質的に図4のライン9−9に沿って矢印方向から見た断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維バンドを供給するためのクリール(22)、繊維バンドを工具や型に適用させるための圧搾部材(46)およびハウジング(38)を備えた繊維配列機械であって、
繊維バンドをクリールから受け、この繊維バンドを圧搾部材に搬送するための第2の部材(44)であって、長手方向軸を中心として回転するようハウジングに回転自在に取り付けられているような第2の部材(44)と、
繊維バンドがクリールから圧搾部材まで移動するよう当該繊維バンドの方向および方位を変えるための第1、第2および第3の変換ローラ(52,54および56/57)を有するステージ上で、繊維バンドの長手方向に当該繊維バンドをねじるための手段と、
を備え、
第1、第2および第3の転換ローラは、第2の部材の長手方向軸に対して実質的に垂直である少なくとも2つの実質的に平行な平面上に各々配置された第1、第2および第3の軸を中心として回転自在となっており、
第1の軸はハウジング(38)に固定され、
第2の軸はハウジング(38)および第2の部材(44)に対して回転自在となっており、
第3の軸は第2の部材に固定されていることを特徴とする繊維配列機械。
【請求項2】
第3の転換ローラは、2つの平行な分割ローラ(56および57)に分けられており、第3の軸は、第3の転換ローラにおける各々の平行な分割ローラのための2つの平行な軸に分けられていることを特徴とする請求項1記載の繊維配列機械。
【請求項3】
ハウジング(38)は、第2のハウジング(34)内で回転するスリーブ(32)上で傾いており、第1の転換ローラ(52)は第2のハウジング(34)の一端に配置され、第2のハウジングの他端において第4の転換ローラ(51)を更に備え、第4の転換ローラと第1の転換ローラとの間で繊維バンドをねじることを特徴とする請求項1記載の繊維配列機械。
【請求項4】
第1、第2および第3の軸は3つの実質的に平行な平面上に配置されることを特徴とする請求項1記載の繊維配列機械。
【請求項5】
第2の軸は、縦方向において第1の軸および第3の軸から間隔を空けて同方向に設けられることを特徴とする請求項1記載の繊維配列機械。
【請求項6】
第2の転換ローラの第2の軸は第3の転換ローラの第3の軸よりも回転量が小さいことを特徴とする請求項1記載の繊維配列機械。
【請求項7】
圧搾部材(46)は、ハウジング(38)に対して第2の部材(44)を介して回転自在に取り付けられた繊維配設ヘッド(26)の一部であり、
第2の部材(44)はハウジング(38)内で回転するスリーブであることを特徴とする請求項1記載の繊維配列機械。
【請求項8】
3自由度で移動する端部を有する前腕を更に備え、繊維配設ヘッド(26)は手関節によって前腕の端部に取り付けられ、この手関節は前腕の端部に対して3自由度でヘッドの方向を合わせ、第2の転換ローラ(54)はサーボ転換ローラであり、このサーボ転換ローラ(54)の回転は第3の転換ローラ(56/57)の回転と協働していることを特徴とする請求項7記載の繊維配列機械。
【請求項9】
繊維バンドを工具や型に適用させるための圧搾部材に繊維バンドを供給するクリールを有する繊維配列機械であって、
圧搾部材は、手関節によって当該機械のクリールに取り付けられたヘッドの一部であり、この手関節によりクリールに対する横揺れ軸、縦揺れ軸および回転軸を中心とした移動が行われ、
繊維バンドは、前記手関節を有する繊維バンド搬送システムにより供給され、この繊維バンド搬送システムは横揺れ軸または回転軸を中心として繊維バンドを2つのステージでねじることができるようになっていることを特徴とする繊維配列機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−312809(P2006−312809A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−129245(P2006−129245)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(506155152)マグス、インテレクチュアル、プロパティー、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】MAGUS INTELLECTUAL PROPERTY GMBH
【Fターム(参考)】