説明

繋留デバイス

【課題】表面に沿って配置された棘を有するループを備える縫合糸などの繋留デバイスを提供する。
【解決手段】組織を固定するためのシステムであって、近位部分、細長本体10、および遠位部分を有する縫合糸2であって、縫合糸2の遠位部分は、ループ14で終わり、そしてループ14の少なくとも一部分は、複数の棘18を備え、縫合糸は、ループの近位部分に隣接して細長本体10の周りに配置された外科用綿撒糸を備える、縫合糸、を備え、縫合糸の近位部分は、貫入点において組織に挿入されるように構成されており;縫合糸は、細長本体が貫入点を通って外科用綿撒糸まで引かれるように、組織に通して前進させられるように構成されており;そして縫合糸は、組織内に固定されるように構成されている、システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国特許出願番号12/416,421(2009年4月1日出願)の一部継続出願であり、この米国特許出願番号12/416,421は、米国特許出願番号12/362,002(2009年1月29日出願)の一部継続出願であり、この米国特許出願番号12/362,002は、米国仮特許出願番号61/041,302(2008年4月1日出願)の利益および優先権を主張する。その開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、外科手術用デバイスの分野に関し、そしてより特定すると、表面に沿って配置された棘を有するループを備える縫合糸などの繋留デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
外科手術用縫合糸は、種々の型の医療手順(組織および創傷の閉鎖が挙げられる)のために首尾よく使用されている。外科手術用縫合糸は、代表的に、一端に取り付けられた針を有する。この針が組織に貫入すると、この縫合糸が組織に入り、この組織を通過し、そしてこの組織を出、出た地点で、組織または創傷を固定するために、結び目が使用され得る。
【0004】
さらに、縫合糸は、代表的に、その遠位端において結び目を使用してこの縫合糸の端部を組織内に固定し、組織を通る自由端の動きを可能にする。結び目を結ぶことにより、手順の時間が増加し、そして創傷部位に残されるさらなる塊の材料が生じ得る。この分野における改善が望まれる。
【0005】
さらに、特定の患者集団(例えば、1型糖尿病もしくは2型糖尿病を罹患している患者、または他の免疫無防備状態の患者(例えば、化学療法の患者))は、弾力が低い組織を有する。これらの患者集団は、より長い治癒プロフィールおよび柔軟性が低い組織を有し、そしてこれらの要因は、組織内での低い縫合糸保持力をもたらし得る。針は、所定の縫合糸直径に対して大きすぎる傾向があり、そしてより大きい針は、組織の針貫入点において、より大きい穴を残し得る。縫合糸は一般に、この穴を埋めることが必要である。縫合糸保持力の改善もまた、望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1A)
組織を固定するためのシステムであって、
近位部分、細長本体、および遠位部分を有する縫合糸であって、該縫合糸の該遠位部分は、ループで終わり、そして該ループの少なくとも一部分は、複数の棘を備え、該縫合糸は、該ループの近位部分に隣接して該細長本体の周りに配置された外科用綿撒糸を備える、縫合糸、
を備え、
該縫合糸の該近位部分は、貫入点において組織に挿入されるように構成されており;
該縫合糸は、該細長本体が該貫入点を通って該外科用綿撒糸まで引かれるように、該組織に通して前進させられるように構成されており;そして
該縫合糸は、該組織内に固定されるように構成されている、
システム。
(項目2A)
上記縫合糸の上記近位部分は、身体組織の外側に残っている上記ループのセグメントに通して挿入されるように構成されている、上記項目に記載のシステム。
(項目3A)
上記縫合糸は、上記組織を通る上記ループの動きが上記外科用綿撒糸によって制限されるまで、該組織に通して引かれるように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目4A)
上記貫入点を通って上記外科用綿撒糸までの上記細長本体の通過が、上記組織内での上記縫合糸の保持力を増加させる、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目5A)
上記ループのセグメントが身体組織の外側に残るように、上記外科用綿撒糸が上記組織を通る上記ループの少なくとも一部分の動きを制限する、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目6A)
上記外科用綿撒糸が上記組織と係合して、近位方向への上記ループの動きを防止する、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目7A)
上記外科用綿撒糸が、上記ループの近位部分と当接して、上記細長本体の周りに配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目8A)
近位部分および遠位部分を有する細長本体であって、該細長本体の該近位部分が自由端で終わり、該細長本体の該遠位部分がループを形成し、該ループが、該ループの表面に沿って配置された第一の複数のアンカーを備える、細長本体;ならびに
該ループの該近位部分に隣接して配置された外科用綿撒糸、
を備える、医療デバイス。
(項目9A)
上記外科用綿撒糸が、組織を通る近位方向への上記ループの近位セグメントの動きを制限するような構成および寸法にされたディスクである、上記項目に記載の医療デバイス。
(項目10A)
上記外科用綿撒糸の直径が約3mm〜約4mmである、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目11A)
上記外科用綿撒糸が上記ループの上記近位部分と一体的である、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目12A)
上記外科用綿撒糸が、上記ループの近位部分に隣接して上記細長本体を覆って配置された別のデバイスである、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目13A)
上記ループのセグメントが身体組織の外側に残るように、上記外科用綿撒糸が組織を通る該ループの少なくとも一部分の動きを制限する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目14A)
上記外科用綿撒糸が、組織と係合して、近位方向への上記ループの動きを防止する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目15A)
上記細長本体の近位部分に固定された針をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目16A)
上記外科用綿撒糸が、上記ループの上記近位部分と当接して配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目17A)
上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイスを備える、組織を固定するためのシステムであって、
該医療デバイスの近位部分は、該組織に挿入されるように構成されており;
上記細長本体は、該組織に通して引かれるように構成されており;そして
該細長本体の近位部分は、上記外科用綿撒糸が該組織を通る上記ループの近位部分の動きを制限するように、該組織に通して前進させられるように構成されている、
システム。
(項目1B)
組織を固定するための方法であって、
近位部分、細長本体、および遠位部分を有する縫合糸を提供する工程であって、該縫合糸の該遠位部分は、ループで終わり、そして該ループの少なくとも一部分は、複数の棘を備え、該縫合糸は、該ループの近位部分に隣接して該細長本体の周りに配置された外科用綿撒糸を備える、工程;
該縫合糸の該近位部分を貫入点において組織に挿入する工程;
該細長本体が該貫入点を通って該外科用綿撒糸まで引かれるように、該縫合糸を該組織に通して前進させる工程;ならびに
該縫合糸を該組織内に固定する工程、
を包含する、方法。
(項目2B)
上記縫合糸の上記近位部分を、身体組織の外側に残っている上記ループのセグメントに通して挿入する工程をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
(項目3B)
上記組織を通る上記ループの動きが上記外科用綿撒糸によって制限されるまで、上記縫合糸を該組織に通して引く工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目4B)
上記貫入点を通って上記外科用綿撒糸までの上記細長本体の通過が、上記組織内での上記縫合糸の保持力を増加させる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目5B)
上記ループのセグメントが身体組織の外側に残るように、上記外科用綿撒糸が上記組織を通る上記ループの少なくとも一部分の動きを制限する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目6B)
上記外科用綿撒糸が上記組織と係合して、近位方向への上記ループの動きを防止する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目7B)
上記外科用綿撒糸が、上記ループの近位部分と当接して、上記細長本体の周りに配置される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目8B)
近位部分および遠位部分を有する細長本体であって、該細長本体の該近位部分が自由端で終わり、該細長本体の該遠位部分がループを形成し、該ループが、該ループの表面に沿って配置された第一の複数のアンカーを備える、細長本体;ならびに
該ループの該近位部分に隣接して配置された外科用綿撒糸、
を備える、医療デバイス。
(項目9B)
上記外科用綿撒糸が、組織を通る近位方向への上記ループの近位セグメントの動きを制限するような構成および寸法にされたディスクである、上記項目に記載の医療デバイス。
(項目10B)
上記外科用綿撒糸の直径が約3mm〜約4mmである、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目11B)
上記外科用綿撒糸が上記ループの上記近位部分と一体的である、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目12B)
上記外科用綿撒糸が、上記ループの近位部分に隣接して上記細長本体を覆って配置された別のデバイスである、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目13B)
上記ループのセグメントが身体組織の外側に残るように、上記外科用綿撒糸が組織を通る該ループの少なくとも一部分の動きを制限する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目14B)
上記外科用綿撒糸が、組織と係合して、近位方向への上記ループの動きを防止する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目15B)
上記細長本体の近位部分に固定された針をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目16B)
上記外科用綿撒糸が、上記ループの上記近位部分と当接して配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目17B)
組織を固定するための方法であって、
上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイスを提供する工程;
該医療デバイスの近位部分を該組織に挿入する工程;
上記細長本体を該組織に通して引く工程;および
上記外科用綿撒糸が該組織を通る上記ループの近位部分の動きを制限するように、該細長本体の近位部分を該組織に通して前進させる工程、
を包含する、方法。
【0007】
(摘要)
近位部分に細長本体を有し、そしてこの細長本体の遠位部分が繋留デバイスの遠位部分にループを形成する、繋留デバイス。このループは、その表面に沿って配置された複数のアンカーをさらに備え、そしてこのループはまた、エンドエフェクタを備える。本開示の繋留デバイスを固定するための方法もまた、開示される。
【0008】
(要旨)
本開示は、医療デバイス、ならびにこの医療デバイスを作製するための方法および使用するための方法を提供する。ある実施形態において、本開示の医療デバイスは、近位部分および遠位部分を有する細長本体を備え得、この細長本体の近位部分は、自由端で終わり、この細長本体の遠位部分は、ループを形成し、このループは、このループの表面に沿って配置された第一の複数のアンカーを備え、このループの近位部分に隣接して外科用綿撒糸が配置されている。
【0009】
本開示の方法は、ある実施形態において、組織を固定するための方法を包含し得、この方法は、近位部分、細長本体、および遠位部分を有する縫合糸を提供する工程であって、この縫合糸の遠位部分は、ループで終わり、そしてこのループの少なくとも一部分は、複数の棘を備え、この縫合糸は、このループの近位部分に隣接してこの細長本体の周りに配置された外科用綿撒糸を備える、工程;この縫合糸の近位部分を貫入点において組織に挿入する工程;この細長本体がこの貫入点を通って外科用綿撒糸まで引かれるように、この縫合糸をこの組織に通して前進させる工程;ならびにこの縫合糸をこの組織内に固定する工程を包含する。
【0010】
他の実施形態において、本開示の方法は、本明細書中に記載されるような医療デバイスを提供する工程;この医療デバイスの近位部分を組織に挿入する工程;細長本体を組織に通して引く工程;および外科用綿撒糸がこの組織を通るループの近位部分の動きを制限するように、この細長本体の近位部分を組織に通して前進させる工程を包含する。
【0011】
縫合糸の種々の好ましい実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、ループ付き縫合糸の1つの実施形態を図示する側面図である。
【図1B】図1Bは、ループ付き縫合糸の1つの実施形態を図示する側面図である。
【図2A】図2Aは、ループ付き縫合糸の別の実施形態を図示する側面図である。
【図2B】図2Bは、ループ付き縫合糸の別の実施形態を図示する側面図である。
【図3】図3は、棘を備える繋留縫合糸の1つの実施形態を図示する側面図である。
【図3A】図3Aは、図3で指定される細部の領域の拡大図である。
【図4A】図4Aは、棘を備える繋留縫合糸の代替の実施形態を図示する側面図である。
【図4B】図4Bは、本開示の1つの実施形態に従う、永続的構成にある形状記憶ポリマー棘を有する、棘付き医療デバイスの一部分の平面図である。
【図4C】図4Cは、本開示の1つの実施形態に従う、一時的構成にある形状記憶ポリマー棘を有する、棘付き医療デバイスの一部分の平面図である。
【図5】図5は、複合棘を有する繋留縫合糸の代替の実施形態を示す拡大側面図である。
【図6】図6は、棘を備える繋留縫合糸の別の実施形態を図示する側面図である。
【図7】図7は、エンドエフェクタを有する繋留縫合糸の代替の実施形態を図示する側面図である。
【図8A】図8Aは、エンドエフェクタを有する繋留縫合糸の別の実施形態の側面図である。
【図8B】図8Bは、エンドエフェクタを有する繋留縫合糸の異なる実施形態の側面図である。
【図8C】図8Cは、エンドエフェクタを有する繋留縫合糸の代替の実施形態の側面図である。
【図9A】図9Aは、組織の一部分が取り出された、組織内の図4Aの繋留縫合糸の平面図である。
【図9B】図9Bは、組織の一部分が取り出された、組織内の図4Aの繋留縫合糸の側面図である。
【図10A】図10Aは、組織の一部分が取り出された、組織内の繋留縫合糸の代替の実施形態の側面図である。
【図10B】図10Bは、図10Aで指定された細部の領域の拡大図である。
【図11A】図11Aは、組織の一部分が取り出された、組織内の第一の位置の図8Cの繋留縫合糸の平面図である。
【図11B】図11Bは、組織の一部分が取り出された、組織内の第二の位置の図8Cの繋留縫合糸の平面図である。
【図12A】図12Aは、針貫入点を埋める縫合糸の、部分的に断面である斜視図を示す。
【図12B】図12Bは、針貫入点を埋める本開示の繋留縫合糸の、部分的に断面である斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、繋留デバイスに関し、そして特定の好ましい実施形態において、縫合糸に関し、この縫合糸は、本明細書中で、繋留縫合糸と称される。本開示の特定の実施形態の繋留縫合糸は、細長本体を有し、この細長本体は、その近位端において針に接続され、そしてこの細長本体の遠位端は、繋留ループを形成する。この繋留ループは、複数の棘(組織係合棘)をさらに備える。本開示の医療デバイスは、繊維、フィラメント、および糸から形成された縫合糸を備える。
【0014】
繋留デバイス(本開示の繋留縫合糸および外科用綿撒糸が挙げられる)は、吸収性であっても非吸収性であってもよい。異なる材料(例えば、天然材料と合成材料、または生体吸収性材料と生体非吸収性材料)から作製されたフィラメントの組み合わせが、本発明の繋留縫合糸を作製するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0015】
適切な合成吸収性材料としては、例えば、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、バレロラクトン、カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート)、ジオキサノン(例えば、1,4−ジオキサノン)、1−ジオキセパノン(例えば、1,4−ジオキセパン−2−オンおよび1,5−ジオキセパン−2−オン)、エチレングリコール、エチレンオキシド、エステルアミド、γ−ヒドロキシバレレート、β−ヒドロキシプロピオネート、α−ヒドロキシ酸、ヒドロキシブチレート、オルトエステル、ヒドロキシアルカノエート、チロシンカーボネート、ポリイミドカーボネート、ポリイミノカーボネート(例えば、ポリ(ビスフェノールA−イミノカーボネート)およびポリ(ヒドロキノン−イミノカーボネート))から作製されるポリマー、ならびにポリマー薬物(例えば、ポリジフルニサル、ポリアスピリン、およびタンパク質治療剤)など、ならびにこれらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられる。適切な天然吸収性ポリマーとしては、コラーゲン、セルロース、ガット、これらの組み合わせなどが挙げられる。ある実施形態において、グリコリドおよびラクチドをベースとするポリエステル(ラクチドとグリコリドとのコポリマーが挙げられる)が使用され得る。
【0016】
本明細書中に開示される繋留縫合糸を形成するために使用され得る適切な非吸収性材料としては、綿、絹およびゴムなどの、非吸収性天然材料が挙げられる。適切な非吸収性合成材料としては、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン(超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む))、ポリアミド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリアリールエーテルケトン、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、アクリル、ポリアミド、アラミド、フルオロポリマー、ポリブチルエステル、シリコーンなどの材料から誘導されるモノマーおよびポリマー、ならびにこれらのポリマーブレンド、コポリマー、分解性ポリマーとの組み合わせなどが挙げられる。ポリプロピレンもまた、縫合糸を形成するために利用され得る。ポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレンであっても、アイソタクチックポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレンまたはアタクチックポリプロピレンとの混合物であっても、これらの組み合わせなどであってもよい。さらに、本発明のアンカー付きデバイスのための繊維およびフィラメントを作製するために、非吸収性合成ポリマー、非吸収性合成モノマー、非吸収性天然ポリマーおよび非吸収性天然モノマーが、互いに組み合わせられ得、そしてまた、種々の吸収性ポリマーおよび吸収性モノマーと組み合わせられ得る。
【0017】
ある実施形態において、本開示に従う繋留デバイスを形成するために利用され得る適切な材料としては、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、および上記のものの様々な組み合わせを含む、ホモポリマー、コポリマー、および/またはブレンドが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態において、グリコリドとトリメチレンカーボネートとのコポリマーが利用され得る。このようなコポリマーを形成するための方法は、当業者の知識の範囲内であり、そして例えば、米国特許第4,300,565号および同第5,324,307号(各々の全開示は、本明細書中に参考として援用される)に開示される方法が挙げられる。グリコリドとトリメチレンカーボネートとの適切なコポリマーは、このコポリマーの約60重量%〜約75重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約65重量%〜約70重量%の量のグリコリドを含み得、トリメチレンカーボネートは、このコポリマーの約25重量%〜約40重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約30重量%〜約35重量%の量で存在する。
【0018】
他の適切な材料としては、ラクチドとグリコリドとのコポリマーが挙げられ、ラクチドは、このコポリマーの約6重量%〜約12重量%の量で存在し、そしてグリコリドは、このコポリマーの約88重量%〜約94重量%の量で存在する。いくつかの実施形態において、ラクチドは、このコポリマーの約7重量%〜約11重量%で存在し、グリコリドは、このコポリマーの約89重量%〜約98重量%の量で存在する。いくつかの他の実施形態において、ラクチドは、このコポリマーの約9重量%の量で存在し、グリコリドは、このコポリマーの約91重量%の量で存在する。
【0019】
ある実施形態において、本開示による繋留デバイスを形成するのに適切な材料としては、グリコリドと、ジオキサノンと、トリメチレンカーボネートとのコポリマーが挙げられる。このような材料としては、例えば、このコポリマーの約55重量%〜約65重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約58重量%〜約62重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約60重量%の量のグリコリド;このコポリマーの約10重量%〜約18重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約12重量%〜約16重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約14重量%の量のジオキサノン;およびこのコポリマーの約17重量%〜約35重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約22重量%〜約30重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約26重量%の量のトリメチレンカーボネートを含むコポリマーが挙げられ得る。
【0020】
他の適切な材料としては、グリコリドと、ラクチドと、トリメチレンカーボネートと、ε−カプロラクトンとのコポリマーが挙げられ、本開示に従う繋留デバイスを形成するために利用され得る。このような材料としては、例えば、このコポリマーの約14重量%〜約20重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約16重量%〜約18重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約17重量%の量のカプロラクトン;このコポリマーの約4重量%〜約10重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約6重量%〜約8重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約7重量%の量のラクチド;このコポリマーの約4重量%〜約10重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約6重量%〜約8重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約7重量%の量のトリメチレンカーボネート;およびこのコポリマーの約60重量%〜約78重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約66重量%〜約72重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約69重量%の量のグリコリドを有するランダムコポリマーが挙げられ得る。
【0021】
特定の実施形態において、繋留デバイス(繋留縫合糸および外科用綿撒糸が挙げられる)は、全体としてかまたは部分的に(例えば、棘)、形状記憶ポリマーを使用して構成され得る。本開示は、形状記憶ポリマー材料から形成された繋留デバイス(繋留縫合糸および外科用綿撒糸が挙げられる)を提供し、これらの形状記憶ポリマー材料は、組織に接着するのに適切な形状、または外科手術用デバイス(例えば、メッシュ)を組織に取り付けるのに適切な形状を、インビボで取り得る。本開示の繋留デバイスを形成するために利用される形状記憶ポリマー材料は、永続的形状および一時的形状を有する。ある実施形態において、この一時的形状は、外科医がこの繋留デバイスを患者の身体に導入する能力を増強する構成の形状である。この永続的形状(エネルギー(例えば、熱または光)を与える際にインビボで呈される)は、組織内への繋留デバイスの保持、および/または組織への繋留デバイスの接着を増強する構成の形状である。
【0022】
形状記憶ポリマーとは、繋留デバイスなどの物体に形成される場合に、機械的な力により一時的に変形し得、次いで、エネルギーにより刺激を受ける場合に元の形状に復帰し得る、ポリマーのクラスである。形状記憶ポリマーは、それらの微細構造中の少なくとも二つの相分離した微小ドメインによって、形状記憶特性を示す。第一のドメインは、硬い、共有結合性架橋構造または他の様式で鎖の動きが制限された構造からなり、この構造は、その物体の元の形状を保持するための棘として働く。第二のドメインは、切り替え可能な柔らかい構造であり、この構造は、変形し得、次いで固定されて、二次形状または一時的形状を得る。
【0023】
熱で刺激される形状記憶ポリマーの場合、転移温度(TTrans)が存在し、この温度において、加熱中に形状変化が起こる。従って、これらの形状記憶ポリマーは、分子レベルで材料特性を変更すること、および加工パラメータを変化させることによって、調整され得る。物体の一次形状は、ソフトドメインが可撓性でありかつハードドメインが完全には形成されない温度で、熱および圧力を用いて形成され得る。次いで、この物体は、ハードドメインがより完全に形成され、そしてソフトドメインが硬くなるように、冷却され得る。二次形状または一時的形状は、この物体を機械的に変形させることにより形成され得、この変形は、TTransに近い温度またはより高温で、最も容易に達成される。次いで、この物体に導入される機械的応力は、この物体をTTrans未満の温度まで冷却して、ソフトセグメントを硬い状態に固化させることによって、適所にロックされる。一旦、この物体がTTransより高温であるTまで加熱されると、そのソフトセグメントが軟化し、そして弛緩してその元の構成に戻り、そしてその物体は、その一次形状または元の形状(本明細書中で時々、その永続的形状と称される)まで戻る。形状記憶材料がその永続的形状を回復する温度は、ある実施形態において、その永続温度(Tperm)と称され得る。
【0024】
本明細書中に開示される繋留デバイスを構成するために使用され得る、形状記憶特性を有するポリマーとしては、例えば、合成材料、天然材料(例えば、生物学的材料)およびこれらの組み合わせが挙げられ、これらの材料は、生分解性および/または非生分解性であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「生分解性」は、生体吸収性材料と生体再吸収性材料との両方を包含する。生分解性とは、その物質が身体条件下(例えば、酵素分解、加水分解)で分解するかまたは構造的一体性を失うか、あるいは身体内の生理学的条件下で(物理的もしくは化学的に)分解(例えば、溶解)し、その結果、その分解生成物が身体により排出可能または吸収可能になることを意味する。
【0025】
繋留デバイスを形成するために利用され得る、形状記憶特性を有する適切な非分解性材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(超高分子量ポリエチレンが挙げられる)およびポリプロピレン(アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびこれらのブレンドが挙げられる));ポリエチレングリコール;エチレンオキシド;超高分子量ポリエチレン;ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー;ポリイソブチレンとエチレン−αオレフィンとのコポリマー;フッ素化ポリオレフィン(例えば、ポリフルオロエチレン、ポリフルオロプロピレン、フルオロPEG、およびポリテトラフルオロエチレン);ポリアミド(例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、およびポリカプロラクタム);ポリアミン;ポリイミン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート);ポリエーテル;ポリテトラメチレンエーテルグリコール;ポリブタエステル、(テレフタル酸ブチレンとポリテトラメチレンエーテルグリコールとのコポリマーが挙げられる);1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;アクリルポリマー;メタクリル類;ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル);ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ポリハロゲン化ビニリデン(例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデン);ポリクロロフルオロエチレン;ポリアクリロニトリル;ポリアリールエーテルケトン;ポリビニルケトン;ポリビニル芳香族(例えば、ポリスチレン);ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル);ビニルモノマー同士のコポリマーおよびビニルモノマーとオレフィンとのコポリマー(例えば、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー);アクリロニトリル−スチレンコポリマー;アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとの(ABS)樹脂;エチレン−酢酸ビニルコポリマー;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリホスファジン;ポリイミド;エポキシ樹脂;アラミド;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;スパンデックス;シリコーン;ならびにこれらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、非生分解性のポリマーおよびモノマーが、互いに組み合わせられ得る。
【0026】
繋留デバイスを形成するために利用され得る、形状記憶特性を有する適切な生体吸収性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル;ポリアミド;ポリアミン;ポリアルキレンオキサレート;ポリ(酸無水物);ポリアミドエステル;コポリ(エーテル−エステル);ポリ(カーボネート)(チロシン由来のカーボネートが挙げられる);ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(例えば、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、およびポリ(ヒドロキシブチレート));ポリイミドカーボネート;ポリ(イミノカーボネート)(例えば、ポリ(ビスフェノールA−イミノカーボネート)など);ポリオルトエステル;ポリオキサエステル(アミン基を含むものが挙げられる);ポリホスファゼン;ポリ(プロピレンフマレート);ポリウレタン;ポリマー薬物(例えば、ポリジフルニソール、ポリアスピリン、およびタンパク質治療剤);生物学的に修飾された(例えば、タンパク質、ペプチド)生体吸収性ポリマー;およびこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、ならびに組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
繋留デバイスを形成するために利用され得る、適切な脂肪族ポリエステルとしては、ラクチド(乳酸、D−ラクチド、L−ラクチドおよびメソラクチドが挙げられる);グリコリド(グリコール酸が挙げられる);ε−カプロラクトン;p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン);トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン);トリメチレンカーボネートのアルキル誘導体;δ−バレロラクトン;β−ブチロラクトン;γ−ブチロラクトン;ε−デカラクトン;ヒドロキシブチレート;ヒドロキシバレレート;1,4−ジオキセパン−2−オン(その二量体である1,5,8,12−テトラオキサシクロテトラデカン−7,14−ジオンが挙げられる);1,5−ジオキセパン−2−オン;6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン;2,5−ジケトモルホリン;ピバロラクトン;α,α−ジエチルプロピオラクトン;エチレンカーボネート;エチレンオキサレート;3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン;3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン;6,8−ジオキサビシクロオクタン(dioxabicycloctane)−7−オンのホモポリマーおよびコポリマー;ならびにこれらのポリマーブレンドおよびコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
繋留デバイスを形成するために利用され得る、他の適切な生分解性ポリマーとしては、ポリ(アミノ酸)(コラーゲン(I、IIおよびIII)、エラスチン、フィブリン、フィブリノゲン、絹、およびアルブミンなどのタンパク質が挙げられる);ラミニンおよびフィブロネクチンの配列を含むペプチド(RGD);多糖類(例えば、ヒアルロン酸(HA)、デキストラン、アルギネート、キチン、キトサン、およびセルロース);グリコサミノグリカン;ガット;ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コラーゲンは、本明細書中で使用される場合、天然コラーゲン(例えば、動物由来のコラーゲン、ゼラチン化コラーゲン)、または合成コラーゲン(例えば、ヒト組換えコラーゲンもしくは細菌組換えコラーゲン)を包含する。
【0029】
さらに、合成により修飾された天然ポリマー(例えば、セルロース誘導体および多糖類誘導体(アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、およびキトサンが挙げられる))が利用され得る。適切なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、三酢酸セルロース、および硫酸セルロースナトリウム塩が挙げられる。これらは本明細書中でまとめて、ある実施形態において、「セルロース」と称され得る。
【0030】
ある実施形態において、分解性材料と非分解性材料との両方の組み合わせ(形状記憶特徴を有するものが挙げられる)が、繋留デバイスを形成するために利用され得る。
【0031】
ある実施形態において、形状記憶ポリマーは、異なる熱特性を有する2つの成分のコポリマー(例えば、オリゴ(ε−カプロラクトン)ジメタクリレートとアクリル酸ブチル(ポリ(ε−カプロラクトン)ジメタクリレート−ポリ(アクリル酸n−ブチル)が挙げられる)、またはジオールエステルとエーテル−エステルジオール(例えば、オリゴ(ε−カプロラクトン)ジオール/オリゴ(p−ジオキサノン)ジオールコポリマー))であり得る。これらのマルチブロックオリゴ(ε−カプロラクトン)ジオール/オリゴ(p−ジオキサノン)ジオールコポリマーは、線状の鎖に一緒に連結された2つのブロックセグメント(すなわち、「ハード」セグメントおよび「スイッチ」セグメント)を有する。このような材料は、例えば、Lendlein,「Shape Memory Polymers−Biodegradable Sutures」,Materials World,第10巻,第7号,29−30頁(2002年7月)に開示されており、その全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0032】
他の実施形態において、繋留デバイスを形成するために、生体吸収性材料のブレンドが利用され得、これらのブレンドとしては、乳酸および/またはグリコール酸、これらのホモポリマーまたはこれらのコポリマーとブレンドされたウレタン、ならびにカプロラクトンとブレンドされたアクリレート(例えば、ポリカプロラクトンジメタクリレートポリ(アクリル酸ブチル)ブレンド)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
適切な形状記憶ポリマーならびにこれらを用いて永続的形状および一時的形状を形成するための手段の他の例は、Lendleinら,「Shape memory polymers as stimuli−sensitive implant materials」,Clinical Hemorheology and Microcirculation,32(2005)105−116、Lendleinら,「Biodegradable,Elastic Shape Memory Polymers for Potential Biomedical Applications」,Science,第269巻(2002)1673−1676、ならびにLendleinら,「Shape−Memory Polymers」,Angew.Chem.Int.Ed.,41(2002)2035−2057に記載されており、これらの各々の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0034】
以下の表1は、形状記憶効果を示す組成物をさらに説明する。各組成物のブロックコポリマーは、アニーリングされたワイヤの形式であり、示されるソフトセグメントおよびハードセグメントを有し、ガラス転移温度(T)は、示差走査熱量分析により、TTransに等しいと測定された。
【0035】
【表1】

表1のコポリマーは、Tに近付く場合に部分的なシフトを起こし得、そしてTTransは、これらの材料が水溶液中にある場合に低下し得る。これらのポリマーは水の吸収およびバルク加水分解により分解するので、ポリマーマトリックスに浸入する水分子が可塑剤として働き得、乾燥空気中においてよりも低温で、ソフトセグメントを軟化させ得る。従って、水溶液中でTTrans低下を示すポリマーは、(例えば、輸送中および保存中の)乾燥状態での温度変化(excursion)の間一時的形状を維持し得、そして移植の際に、体温でその永続的形状に形状シフトし得る。
【0036】
従って、ある実施形態において、この形状記憶ポリマーは、ポリジオキサノンとポリラクチドとのブロックコポリマーを含有し得、このポリジオキサノンは、このコポリマーの約5mol%〜約20mol%、ある実施形態において、このコポリマーの約15mol%〜約19mol%の量で存在し、そしてこのポリラクチドは、このコポリマーの約80mol%〜約95mol%、ある実施形態において、このコポリマーの約81mol%〜約85mol%の量で存在する。他の実施形態において、この形状記憶ポリマーは、トリメチレンカーボネートとポリラクチドとのブロックコポリマーを含有し得、このトリメチレンカーボネートは、このコポリマーの約5mol%〜約20mol%、ある実施形態において、このコポリマーの約15mol%〜約19mol%の量で存在し、そしてこのポリラクチドは、このコポリマーの約80mol%〜約95mol%、ある実施形態において、このコポリマーの約81mol%〜約85mol%の量で存在し得る。
【0037】
Transは、ブロックセグメントのモル比、ポリマーの分子量、およびハードセグメントを形成させる時間を変化させることによって、誂えられ得ることが想定される。ある実施形態において、TTransは、種々の量の低分子量オリゴマーを、このソフトセグメントドメインのコポリマーにブレンドすることにより誂えられ得る。このようなオリゴマーは、TTransの下方シフトを起こすための可塑剤として働き得る。
【0038】
さらに、本開示の繋留デバイスを形成するコポリマーは、乳化剤、可溶化剤、湿潤剤、味改変剤、可塑剤、活性剤、水溶性不活性充填剤、防腐剤、緩衝剤、着色剤、および安定剤を含有し得る。この処方物への可塑剤の添加は、可撓性を改善し得る。可塑剤または可塑剤混合物は、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、スクロース、コーンシロップ、フルクトース、ジオクチル−ナトリウムスルホスクシネート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、1,2−プロピレングリコール、グリセロールのモノ酢酸エステル、ジ酢酸エステルもしくはトリ酢酸エステル、または天然ガムであり得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、結晶性分解性塩または鉱物が、このブロックコポリマー組成物に添加されて、形状記憶特性を改善し得るポリマー複合体を作製し得る。ポリラクチドホモポリマーおよび結晶性ヒドロキシアパタイトを使用するこのような複合体の例は、Zhengら,「Shape memory properties of poly (D,L−lactide/hydroxyapatite composites」,Biomaterials,27(2006)4288−4295に記載されており、その全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0040】
他の形状記憶材料(形状記憶金属およびニチノールなどの金属合金が挙げられる)もまた、本開示の繋留デバイス(繋留縫合糸および外科用綿撒糸が挙げられる)を形成するために使用され得る。
【0041】
ある実施形態において、成形プロセスが、本開示の繋留デバイスを製造するために利用され得る。プラスチック成形方法は、当業者の知識の範囲内であり、そして融解成形、溶液成形などが挙げられるが、これらに限定されない。射出成形、押し出し成形、圧縮成形および他の方法もまた、融解成形技術として使用され得る。一旦、適切な寸法および構成の鋳型に入れられると、繋留デバイスを形成するために使用されるポリマー材料は、適切な温度(永続温度(Tperm)と称され、この温度は、ある実施形態において、繋留デバイスを形成するために利用される形状記憶ポリマー材料の融点であり得る)まで加熱され得る。この繋留デバイスの加熱は、例えば、約40℃〜約180℃、ある実施形態において、約80℃〜約150℃が挙げられる適切な温度で、約2分間〜約60分間、ある実施形態において、約15分間〜約20分間であり得、永続的な形状および寸法を与え得る。
【0042】
予め記憶された形状で成形された繋留部材の変形処理のための温度は、亀裂を生じることなく容易な変形を可能にする温度であり、形状記憶のために採用される温度(例えば、Tperm)を超えるべきではない。元の形状記憶のための温度を超える温度での変形処理は、この物体に、新たな変形後の形状を記憶/プログラムさせ得る。
【0043】
所望の形状を有する繋留デバイスが形成された後に、この繋留デバイスは、Ttransより高温で変形させられて、代替の一時的形状を得ることができる。
【0044】
変形のための適切な温度は、利用される形状記憶ポリマーに依存して変わるが、一般に、そのポリマーの転移温度(Ttrans)より高温であり得るが、Tpermより低温であり得る。ある実施形態において、形状記憶ポリマーは、そのTpermから、より低い温度(Ttransより高温なままである)まで冷却され得、そしてある実施形態においては手でおよび/または機械的手段によって、変形させられ得る。他の実施形態において、この繋留デバイスは、室温(約20℃〜約25℃)で変形させられて、その一時的形状を得ることができるが、この温度は、使用される特定のポリマーに依存して異なり得る。次いで、この繋留デバイスは、この繋留デバイスを形成するために利用される材料のTtrans未満の温度まで冷却され得、この時点で、本開示の繋留デバイスは、使用の準備ができる。Ttransは通常、室温より高温であるので、ある実施形態において、室温まで冷却することは、一時的形状でロックするのに充分であり得る。
【0045】
変形が達成され得る様式に関して特定の制限は存在しない。変形は、手で達成されても、繋留デバイスに所望の一時的構成を提供するために選択された適切なデバイスによって達成されても、いずれでもよい。
【0046】
繋留デバイスの形状をその一時的形状に維持する目的で、本開示の形状記憶繋留デバイスは、一次形状への転移を引き起こさない温度で保存されるべきである。ある実施形態において、この形状記憶繋留デバイスは、冷蔵庫で保存され得る。
【0047】
ある実施形態において、本開示の形状記憶ポリマー材料は、その永続的形状より直径が小さいかまたは大きい一時的形状に、圧縮または拡張され得る。
【0048】
このように調製された繋留デバイスは、エネルギーを与える際に(例えば、加熱(患者の体内への配置、または規定された温度での外部熱の付加のいずれかによる加熱、ある実施形態においては利用される形状記憶ポリマーのTtransより高温への加熱)の際に)、その一次形状を回復する。本開示の繋留デバイスは、生体内で利用されるので、体熱(約37℃)での加熱が可能である。このような場合、形状プログラミングのための温度は、可能な限り、一次(記憶された)形状の回復が非常にゆっくりと起こり得るように、低いべきである。ある実施形態において、永続的形状の回復は、組織への挿入の約1秒後〜約5秒後に起こり得る。
【0049】
しかし、いくつかの実施形態において、形状の回復を体温よりわずかに高い温度で起こす目的で、より高い形状記憶温度が望ましくあり得る。従って、いくつかの場合において、繋留デバイスを変形状態から解放して一次形状を回復することは、加熱によって達成され得る。約30℃〜約50℃、ある実施形態において、約37℃〜約43℃の温度で加熱すると、その一時的形状が解放され得、そして一次形状が回復され得る。加熱のための温度が高くなるほど、一次形状の回復のために要する時間が短くなる。この加熱のための手段は、限定されない。加熱は、気体または液体の加熱媒体、加熱デバイス、超音波、電気的誘導などを使用することにより、達成され得る。液体加熱媒体の例としては、生理食塩水溶液、アルコール、これらの組み合わせなどが挙げられる。もちろん、生体が関与する用途においては、火傷を引き起こさない加熱温度を利用するように注意が払われ得る。液体加熱媒体が使用される場合、生理食塩水溶液またはアルコールが望ましくあり得る。
【0050】
同様に、他の実施形態において、電気的に活性なポリマー(電気活性ポリマーとしてもまた公知であり、電気の印加の際に構成を変更し得る)が、本開示に従う繋留デバイス(繋留縫合糸および外科用綿撒糸が挙げられる)を形作るために利用され得る。電気活性ポリマーの適切な例としては、ポリ(アニリン)、置換ポリ(アニリン)、ポリカルバゾール、置換ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリ(ピロール)、置換ポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、置換ポリ(チオフェン)、ポリ(アセチレン)、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(エチレンジオキシピロール)、ポリ(p−フェニレンビニレン)など、または上記電気活性ポリマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。上記電気活性ポリマーのブレンドまたはコポリマーまたは複合体もまた、使用され得る。
【0051】
エネルギー(例えば、熱)を与える際に形状記憶材料が起こし得る形状の変化と同様に、ある実施形態において、電気活性ポリマーは、低電圧電源(例えば、バッテリ)からの電気の印加の際に、形状変化を起こし得る。このような変化を起こすために印加され得る電気の適切な量は、利用される電気活性ポリマーと共に変わるが、約5ボルト〜約30ボルト、ある実施形態において、約10ボルト〜約20ボルトであり得る。電気の印加の結果として、電気活性ポリマーから構成された繋留デバイスの形状が、繋留する構成へと変化する。
【0052】
電気活性ポリマーは、永続的形状および一時的形状との用語が形状記憶ポリマーに関連して上に記載された場合と同様の永続的形状および一時的形状を有さないが、本明細書中で使用される場合、用語「永続的形状」は、電気活性ポリマーに適用される場合、ある実施形態において、電気活性ポリマーが電気の印加の際に採用する形状を意味し、そして用語「一時的形状」は、電気活性ポリマーに適用される場合、ある実施形態において、電気活性ポリマーが電気の非存在下で採用する形状を意味する。
【0053】
いくつかの実施形態において、これらの縫合糸は、金属(例えば、鋼および分解性マグネシウム)、金属合金などを含有し得る。
【0054】
ある実施形態において、繋留縫合糸および外科用綿撒糸は、同じかまたは類似の分解速度を有する材料から作製され得る。すなわち、これらの各々は、およそ同じ期間(ある実施形態において、患者内への配置後約0日〜約180日)で分解する。より具体的には、この繋留縫合糸と外科用綿撒糸との両方は、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトンを含むホモポリマー、コポリマー、および/またはブレンド、ならびにこれらの種々の組み合わせを含有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、グリコリドとトリメチレンカーボネートとのコポリマーが利用され得る。適切なグリコリドとトリメチレンカーボネートとのコポリマーは、このコポリマーの約60重量%〜約75重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約65重量%〜約70重量%の量のグリコリドを含み得、トリメチレンカーボネートは、このコポリマーの約25重量%〜約40重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約30重量%〜約35重量%の量で存在し得る。ある実施形態において、これらのコポリマーから作製された繋留縫合糸および/または外科用綿撒糸は、約6週間にわたる効果的な創傷支持、および約180日間での吸収を提供し得る。
【0055】
別の実施形態において、繋留縫合糸と外科用綿撒糸との両方は、グリコリドと、ジオキサノンと、トリメチレンカーボネートとのコポリマーを含有し得る。このような材料としては、例えば、このコポリマーの約55重量%〜約65重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約58重量%〜約62重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約60重量%の量のグリコリド;このコポリマーの約10重量%〜約18重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約12重量%〜約16重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約14重量%の量のジオキサノン;およびこのコポリマーの約17重量%〜約35重量%、ある実施形態において、このコポリマーの約22重量%〜約30重量%、いくつかの実施形態において、このコポリマーの約26重量%の量のトリメチレンカーボネートを含むコポリマーが挙げられ得る。ある実施形態において、これらのコポリマーから作製された繋留縫合糸および/または外科用綿撒糸は、約3週間にわたる効果的な創傷支持、および患者内への移植後約90日〜約110日の吸収(本明細書中で時々、「構造的一体性を失う」と称される)を提供し得る。
【0056】
この繋留縫合糸および外科用綿撒糸は、およそ同じかまたは類似の創傷支持を有するべきである。従って、他の実施形態において、この繋留縫合糸および外科用綿撒糸は、各成分により提供される創傷支持が類似である限り、異なる材料を含んでもよく、または異なる分解時間を有してもよい。
【0057】
ある実施形態において、細長本体、外科用綿撒糸および棘のうちの2つ以上が、およそ同じ期間(ある実施形態において、約1日〜約6週間)で、強度および/または構造的一体性を失い得る。
【0058】
本明細書中で使用される場合、用語「繊維」、「フィラメント」および「糸」は、各々、繋留デバイスの全体または一部を構築するために使用され得る。用語「繊維」は、この文脈において、一般に、直径または幅よりも約3桁大きい長さを有する、天然構造体または合成構造体を表すために使用される。用語「フィラメント」は、代表的に、無限または極端な長さの「繊維」を記載するために使用され、そして「糸」は、編成、製織、編組または他の様式で絡み合わせるのに適切な形態の、撚られたかまたは撚られていない「繊維」または「フィラメント」の連続的なストランドを表す一般的な用語として使用される。
【0059】
ある実施形態において、本開示の縫合糸は、コア/シース構成を有し得る。繊維は、コア/シース構成を有し得、糸は、コア/シース構成を有し得、またはこれらの両方である。本明細書中に記載される任意の材料(上記形状記憶材料を含む)が、コアもしくはシース、またはこれらの両方を形成するために利用され得る。
【0060】
本開示の縫合糸は、モノフィラメントであってもマルチフィラメント(例えば、編組されたもの)であってもよい。これらの適切な材料から縫合糸を作製するための方法は、当業者の知識の範囲内である(例えば、押し出しおよび成形)。これらのフィラメントは、当業者の知識の範囲内である任意の技術(例えば、混紡、撚糸、編組、製織、絡ませおよび編成)を使用して組み合わせられて、マルチフィラメント縫合糸を作製し得る。例えば、フィラメントが組み合わせられて糸を形成し得るか、またはこれらのフィラメントが編組され得る。別の例において、フィラメントが組み合わせられて糸を形成し得、次いで、これらのマルチフィラメント糸が編組され得る。本開示を読む当業者は、フィラメントが組み合わせられ得る他の方法を予測する。繊維はまた、組み合わせられて、不織マルチフィラメントの大直径縫合糸を製造し得る。特定の実施形態において、本開示による繋留縫合糸を形成する際に有用なマルチフィラメント構造体は、編組により製造され得る。編組は、当業者の知識の範囲内である任意の方法によりなされ得る。例えば、縫合糸および他の医療デバイスのための編組構成物は、米国特許第5,019,093号;同第5,059,213号;同第5,133,738号;同第5,181,923号;同第5,226,912号;同第5,261,886号;同第5,306,289号;同第5,318,575号;同第5,370,031号;同第5,383,387号;同第5,662,682号;同第5,667,528号;および同第6,203,564号に記載されており、これらの各々の全開示は、本明細書中に参考として援用される。さらに、この繋留デバイスは、モノフィラメントである部分およびマルチフィラメントである部分を備え得る。いくつかの実施形態において、細長本体の近位端はマルチフィラメントであり得、そしてループ状部分(以下で記載されるループ部分)は、モノフィラメントであり得る。
【0061】
さらに、繋留デバイスは、生物学的に受容可能な添加剤(例えば、可塑剤、酸化防止剤、色素、希釈剤(dilutant)、生物活性剤およびこれらの組み合わせ)を含み得、これらの添加剤は、本開示の繋留縫合糸を形成するために使用されるフィラメントまたは繊維にコーティングされ得るか、あるいは(例えば、合成中または押出し中に)繊維またはフィラメントに含浸され得る。
【0062】
生物活性剤は、本明細書中で治療剤と称されることもあり、本開示に従う繋留デバイスに添加され得、以下に挙げられるがこれらに限定されない。薬物、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、ムテイン、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンフォカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子(blood clotting factor)、造血因子、インターロイキン(1〜18)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリトロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍薬および腫瘍抑制薬、血液タンパク質、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CG、など)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン、黄体化ホルモン放出因子)、ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウィルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子(blood coagulation factor);成長因子、増殖因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質(bone morphogenic proteins)、TGF−B、タンパク質阻害剤、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸、例えばアンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi;オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;細胞、ウィルス、およびリボザイム。
【0063】
ある実施形態において、治療剤は、以下の薬物(薬物の組み合わせおよび薬物の代替的な形態(例えば、代替的な塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態、プロドラッグおよび水和物)を含む)のうちの少なくとも1つを含有し得る:鎮痛薬/解熱薬(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプレノルフィン、塩酸プロポキシフェン、プロポキシフェンナプシレート、塩酸メペリジン、塩酸ヒドロモルホン、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、酒石酸水素ジヒドロコデイン、ペンタゾシン、酒石酸水素ヒドロコドン、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、塩酸ナルブフィン、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール(butalbital)、クエン酸フェニルトロキサミン、クエン酸ジフェンヒドラミン、メトトリメプラジン、塩酸シンナメドリン(cinnamedrine hydrochloride)、およびメプロバメート);ぜん息治療薬(例えば、ケトチフェンおよびトラキサノクス);抗生物質(例えば、ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリン、およびシプロフロキサシン);抗うつ薬(例えば、ネオパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、ドキセピン、イミプラミン、イミプラミンパモエート、イソカルボキサジド、トリミプラミン、およびプロトリプチリン);抗糖尿病薬(例えば、ビグアナイド類およびスルホニル尿素誘導体類);抗真菌薬(例えば、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール(itraconizole)、アンホテリシンB、ナイスタチン、およびカンジシジン);抗高血圧薬(例えば、プロプラノロール(propanolol)、プロパフェノン、オキシプレノロール(oxyprenolol)、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、塩酸パルジリン、デセルピジン、ジアゾキシド、硫酸グアネチジン(guanethidine monosulfate)、ミノキシジル、レシンナミン、ニトロプルシドナトリウム、インドジャボク(rauwolfia serpentina)、アルセロキシロン、およびフェントラミン);抗炎症薬(例えば、(非ステロイド性) インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド性)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコート、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヒドロコルチゾン、プレドニソロン、およびプレドニゾン);抗新生物薬(例えば、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル−CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ゴセレリン、ロイプロリド、タモキシフェン、インターフェロンα、レチノイン酸(ATRA)、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、ならびにピポスルファン);抗不安薬(例えば、ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼペート二カリウム塩、ジアゼパム、ヒドロキシジンパモエート、塩酸ヒドロキシジン、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノン、およびダントロレン);免疫抑制薬(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビン、およびFK506(タクロリムス));抗片頭痛薬(例えば、エルゴタミン、プロプラノロール(propanolol)、ムチン酸イソメテプテン(isometheptene mucate)、およびジクロラルフェナゾン);鎮静薬/催眠薬(例えば、バルビツール酸類(例えば、ペントバルビタール、ペントバルビタールおよびセコバルビタール);およびベンゾジアゼピン(benzodiazapine)類(例えば、塩酸フルラゼパム、トリアゾラムおよびミダゾラム));抗狭心症薬(例えば、β−アドレナリン遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン、およびジルチアゼム);およびニトレート類(例えば、ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート(pentearythritol tetranitrate)、およびエリトリチルテトラニトレート);抗精神病薬(例えば、ハロペリドール、コハク酸ロクサピン、塩酸ロクサピン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、トリフルオペラジン、クロルプロマジン、パーフェナジン、クエン酸リチウム、およびプロクロルペラジン);抗躁病薬(例えば、炭酸リチウム);抗不整脈薬(例えば、ブレチリウムトシレート、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、リン酸ジソピラミド、プロカインアミド、硫酸キニジン、キニジングルコネート(quinidine gluconate)、ポリガラクツロン酸キニジン、酢酸フレカイニド、トカイニド、およびリドカイン);抗関節炎薬(例えば、フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン(penicillanine)、サルサラート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメート(meclofenamate)、金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、金チオグルコース、およびトルメチンナトリウム);抗痛風薬(例えば、コルヒチン、およびアロプリノール);抗血液凝固薬(例えば、ヘパリン、ヘパリンナトリウム、およびワルファリンナトリウム);血栓溶解薬(例えば、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、およびアルテプラーゼ);抗線維素溶解薬(例えば、アミノカプロン酸);血液レオロジー剤(例えば、ペントキシフィリン);抗血小板薬(例えば、アスピリン);抗痙攣薬(例えば、バルプロ酸、ジバルプロックスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビタール(phenobarbitol)、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メフォバルビタール、メフェニトイン、フェンスクシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビタールナトリウム(secobarbitol sodium)、クロラゼペート二カリウム塩、およびトリメタジオン);抗パーキンソン病薬(例えば、エトスクシミド);抗ヒスタミン薬/かゆみ止め薬(例えば、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニルアミン、塩酸シプロヘプタジン、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸d−クロルフェニラミン、メトジラジン、および);カルシウム調節に有用な薬剤(例えば、カルシトニン、および副甲状腺ホルモン);抗菌薬(例えば、硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール(chloramphenicol palirtate)、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、メトロニダゾール、塩酸メトロニダゾール、硫酸ゲンタマイシン、塩酸リンコマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸バンコマイシン、硫酸ポリミキシンB、コリスチンメタナトリウム、および硫酸コリスチン);抗ウィルス薬(例えば、インターフェロンα、βまたはγ、ジドブジン、塩酸アマンタジン、リバビリン、およびアシクロビル);抗微生物薬(例えば、セファロスポリン類(例えば、セファゾリンナトリウム、セフラジン、セファクロル、セファピリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフロキシム アキセチル(cefuroxime e azotil)、セフォタキシムナトリウム、セファドロキシル一水和物、セファレキシン、セファロチンナトリウム、塩酸セファレキシン一水和物、セファマンドールナファート、セフォキシチンナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、セファドロキシル、セフラジンおよびセフロキシムナトリウム);ペニシリン類(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、ベンザチンペニシリンG、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、クロキサシリンナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、アゾロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウムおよびナフシリンナトリウム);エリスロマイシン類(例えば、エチルコハク酸エリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシンおよびエチルコハク酸エリスロマイシン);およびテトラサイクリン類(例えば、塩酸テトラサイクリン、ドキシサイクリンハイクラート(doxycycline hyclate)および塩酸ミノサイクリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン));抗感染症薬(例えば、GM−CSF);気管支拡張薬(例えば、交感神経作用薬(例えば、塩酸エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、硫酸テルブタリン、イソエタリン、メシル酸イソエタリン、塩酸イソエタリン、硫酸アルブテロール、アルブテロール、ビトルテロルメシレート、塩酸イソプレテレノール、硫酸テルブタリン、酒石酸水素エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、エピネフリンおよび酒石酸水素エピネフリン);抗コリン作用薬(例えば、臭化イプラトロピウム);キサンチン類(例えば、アミノフィリン、ジフィリン、硫酸メタプロテレノール、およびアミノフィリン);肥満細胞安定化剤(例えば、クロモリンナトリウム);吸入用コルチコステロイド(例えば、二プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)および二プロピオン酸ベクロメタゾン一水和物);サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ブデソニド;ケトチフェン;サルメテロール;キナフォエート;硫酸テルブタリン;トリアムシノロン;テオフィリン;ネドクロミルナトリウム;硫酸メタプロテレノール;アルブテロール;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン);ステロイド化合物およびホルモン(例えば、アンドロゲン類(例えば、ダナゾール、テストステロンシピオネート、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、エナント酸テストステロン、メチルテストステロン、フルオキシメステロン、およびテストステロンシピオネート);エストロゲン類(例えば、エストラジオール、エストロピペート(estropipate)、および抱合卵胞ホルモン);プロゲスチン類(例えば、酢酸メトキシプロゲステロン、および酢酸ノルエチンドロン);コルチコステロイド類(例えば、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁物、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサセトニド、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロンテブテート、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、およびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム;および甲

状腺ホルモン(例えば、レボチロキシンナトリウム);血糖降下薬(例えば、ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミド(tolbutarnide)、およびトラザミド);高脂質血症治療薬(例えば、クロフィブレート、デキストロサイロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスタチン(pravastitin)、アトルバスタチン、ロバスタチン、およびナイアシン);タンパク質(例えば、DNase、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、およびリパーゼ);核酸(例えば、治療に有用な任意のタンパク質(例えば、本明細書に記載される任意のタンパク質が挙げられる)をコードするセンスまたはアンチセンス核酸);赤血球生成刺激に有用な薬剤(例えば、エリトロポイエチン);抗潰瘍/抗逆流剤(例えば、ファモチジン、シメチジン、および塩酸ラニチジン);制吐剤/鎮吐剤(例えば、塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネート、塩酸プロメタジン、チエチルペラジン、およびスコポラミン);ならびに本明細書中に記載される組成物および方法において有用な他の薬物は以下が挙げられる。ミトーテン、ハロニトロソ尿素、アントラサイクリン(anthrocyclines)、エリプチシン(ellipticine)、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジム、オキサプロジン、アルブテロール、バラシクロビル、尿性卵胞性刺激ホルモン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メトホルミン(mefformin)、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム(lorazepan)、ホリトロピン、グリピジド、オメプラゾール、フルオキセチン、リシノプリル、トラマドール(tramsdol)、レボフロキサシン、ザフィルルーカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリトロポイエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン(erbumine)、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニル、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー(glatiramer acetate)、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピール三ナトリウム(mangafodipir trisodium)、メサラミン、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル(moexiprill)、モンテルカスト、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール(paricalcitol)、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン(sumatriptan succinate)、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、ドラセトロン(dolasetron)、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン(tolcapone)、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニン、および臭化イプラトロピウム。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性であり得る。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性でなくてもよい。
【0064】
これらの治療剤を本開示の組成物と組み合わせるための方法は、当業者の知識の範囲内であり、そして混合、ブレンド、浸漬、スプレー、浸透(wicking)、溶媒エバポレーションなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
種々の組成物および材料がまた、繋留縫合糸および/もしくは外科用綿撒糸に塗布されるか、またはフィラメントもしくは繊維に含有されて、機械的特性(例えば、取り扱いおよび結び目の強度)を改善し得るか、または治療効果のある薬剤を送達し得る。適切なコーティング材料としては、縫合糸に従来塗布されてきた任意の材料が挙げられる。例えば、適切な材料としては、コーティング組成物中の脂肪酸の金属塩と組み合わせられ得る脂肪酸エステルが挙げられる。このようなエステルとしては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアロイルラクチレートエステル、パルミチルラクチレートエステル、オレイルラクチレートエステル(例えば、カルシウムステアロイルラクチレート、マグネシウムステアロイルラクチレート、アルミニウムステアロイルラクチレート、バリウムステアロイルラクチレート、または亜鉛ステアロイルラクチレート;カルシウムパルミチルラクチレート、マグネシウムパルミチルラクチレート、アルミニウムパルミチルラクチレート、バリウムパルミチルラクチレート、または亜鉛パルミチルラクチレート;カルシウムオレイルラクチレート、マグネシウムオレイルラクチレート、アルミニウムオレイルラクチレート、バリウムオレイルラクチレート、または亜鉛オレイルラクチレート)が挙げられ、ステアリン酸カルシウムおよびカルシウムステアロイル−2−ラクチレート(例えば、VERVの商品名でAmerican Ingredients Co.(Kansas City,Mo.)から市販されているカルシウムステアロイル−2−ラクチレート)が好ましい。望ましい場合、脂肪酸エステルは、溶媒と組み合わせられ得る。適切な溶媒としては、極性溶媒および非極性溶媒(アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、塩素化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン)、および脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプテン、酢酸エチル)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0066】
ある実施形態において、これらの繋留デバイスは、適切な材料(ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、これらのコポリマーなど)が挙げられ、アクリレート基を有するもの(例えば、アクリレートPEG、およびアクリレートPEG/PPGコポリマー)を含む)と組み合わせられ得、そして/またはこれらの材料でコーティングされ得る。このような組み合わせとしては、ポリアルキレンオキシドのオリゴマーもしくはポリマー、または他の非毒性界面活性剤との、ブレンドまたはコポリマーが挙げられ得る。得られる組成物は、上記コポリマーの存在に起因して、抗菌特性を有し得る。他の実施形態において、これらの縫合糸は、シリコーンアクリレートと組み合わせられ得る。コーティングは、滅菌技術前の任意の時点で、個々のフィラメントに塗布され得るか、または繋留縫合糸に塗布され得る。コーティングは、当業者の知識の範囲内である任意の技術を使用して、これらのフィラメントに塗布され得る。
【0067】
以下の説明において、用語「近位」とは、本明細書中で使用される場合、デバイスの使用者に近い方の部分を意味し、一方で、用語「遠位」とは、デバイスの使用者から遠い方の部分をいう。
【0068】
本開示の縫合糸は、遠位部分と近位部分との両方を有する細長本体を備え、この細長本体の遠位部分は、この細長本体から繋留ループへと移行する。繋留ループを作製するための方法は、当業者の知識の範囲内であり、そして溶接、超音波エネルギー、切断、成形および接着が挙げられるが、これらに限定されない。後に記載される好ましい実施形態において、この繋留ループは、表面に沿った棘を備える。
【0069】
ループを作製するための付加物(例えば、接着剤および膠)もまた、繋留縫合糸において使用され得る。いくつかの実施形態(図1A、図1B)において、縫合糸の遠位部分が折り畳まれ得、そして接着剤および膠を使用して、細長本体に固定され得る。代替の実施形態において、図2Aおよび図2Bに示されるように、ループ部分は、最初、別の構成要素であり得、この構成要素が細長本体に接続され、そして必要に応じて、適所に接着される。図1および図2に記載される実施形態および方法は、本明細書中に記載される繋留縫合糸の実施形態(図3〜図6)のいずれかを作製するために使用され得ることが理解されるべきである。適切な材料(例えば、吸収性材料および非吸収性材料)としては、シアノアクリレート、イソシアネート、ポリウレタン、ポリアミン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、シリコーン、カーボネート、および他の合成モノマーおよび合成ポリマー、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
シアノアクリレートなどの接着剤が、本開示の縫合糸を作製する際に使用され得る。適切なシアノアクリレートとしては、シアノアクリル酸メチル、シアノアクリル酸エチル、シアノアクリル酸ブチル、シアノアクリル酸オクチル、シアノアクリル酸イソブチル、およびシアノアクリル酸メトキシプロピル、ならびにこれらの組み合わせなどから誘導される材料が挙げられる。
【0071】
繋留ループは、表面に沿って配置された棘をさらに備える。棘は、任意の技術(レーザー、成形、ナイフ、刃、スタンピング、および当業者の知識の範囲内である他の切削手段が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して、繋留縫合糸に作製され得る。超音波エネルギーもまた、米国特許出願番号60/994,173(2007年9月17日出願、発明の名称「Method of Forming Barbs on a Suture」、その全開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、棘を作製するために使用され得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、本開示の繋留縫合糸は、図1および図3に示されるように細長本体と一体である、ループを備える。一体的なループを有する縫合糸は、細長本体がループと連続的である1つの構造体または構成要素を有すると定義され得る。例えば、図1は、遠位端が折り畳まれるかまたは「ループ状になって」、医療デバイスの遠位端にループ14(図1B)を作製している、細長本体10を示す。この縫合糸は、図1および図2に示されるように、以下により詳細に記載される、移行領域16および棘をさらに備える。繋留縫合糸はまた、図3に示されるような一体的なループを含み得、ここで、このループ部分は、成形され得る。代替の実施形態において、例えば、図2のように、繋留縫合糸は、繋留縫合糸を作製するような様式で一緒に固定または取り付けられている、2つの構成要素を含み得る。例えば、細長本体10は、めす構成要素を備え得、一方で、ループ14は、おす構成要素を備え得、そしてこれらの2つの構成要素は、一緒に取り付けられて、最終製品を作製し得る。当業者は、一体的なループを作製するための他の製造プロセス、ならびに一体的なループを有する医療デバイスおよび一体的でないループを有する医療デバイスを予測し得る。
【0073】
本開示の繋留縫合糸の別の実施形態が、図3に示されており、一般に、参照番号2によって表される。縫合糸2は、細長本体10、自由端11で終わる細長本体10の近位部分、およびループ14を形成するか、ループ14に移行するか、またはループ14で終わる細長本体10の遠位部分を有する。図3に示されるように、自由端11はさらに、針12を備える。細長本体10は、直径「x」を有し、そして好ましい実施形態において、細長本体10は、横断面がほぼ楕円形である。細長本体10の遠位端は、ループ14まで延び、移行領域16において二又に分岐する(図3および図3A)。ループ14は、2つの枝14aおよび14bを備え、これらの枝は、互いに、および細長本体10に対して、形状および断面積が同じであり得る。好ましい実施形態において、セクション14aおよび14bは、形状および断面積がほぼ楕円形であるが、他の形状(例えば、円形、卵円形、正方形、および矩形)が想定される。図3に示される実施形態において、ループ14は、縫合糸2の細長本体10と一体であり得る。代替の実施形態において、ループ14は、組み立て前には別の構成要素であり得(図1および図2)、そして組み立て中に、ループ14が細長本体10に取り付けられ得る。ループ14は、ほぼ弓形の表面を有し、そして各枝(14aおよび14b)は、独立した直径「y」を有し、14aおよび14bの直径は、類似の直径であっても異なる直径であってもよい。このループは、任意の形状(円形、楕円形、多角形が挙げられる)のものであり得る。
【0074】
さらに、図3の繋留縫合糸は、ループ14の表面に沿って配置された第一の複数の棘18を備える。棘18aは、枝14aの表面に沿って配置され、そして棘18bは、枝14bに沿って配置される。さらに、棘が存在しないループセグメントを表すために、セグメント14cが使用され得る。図示される実施形態において、棘18は、細長本体10と繋留ループ14との移行領域16に隣接して位置する。さらに、第一の複数の棘18は、近位端に向かう繋留ループ14の動きが制限されるように配向される。図3に示されるように、棘18は、移行領域16に向かって配向し、繋留ループ14の組織を通る動きを防止する。示される実施形態において、棘18は、繋留ループ14と一体である。
【0075】
図4Aは、図3と一般的に類似であることが理解される。従って、図3において同じである全ての番号および説明は、プライム印を用いて表され、そしていくらかの違いを有する。図4Aは、第二の複数の棘22が細長本体10’に沿って配置されている、繋留縫合糸2’の代替の実施形態を示す。第二の複数の棘22は、第一の複数の棘の第一の方向とは異なる、第二の方向に延びる。示される実施形態において、第一の複数の棘18’は、ループ表面に沿って配置され、そして第一の方向(一般に、繋留縫合糸2’の移行領域16’に向かう方向)に延びる。第二の複数の棘22は、細長本体10’の長手方向軸Aに関して第二の方向に、ループ14’に向かって延びる。
【0076】
ある実施形態において、第一のセットの棘18’および/または第二の複数の棘22は、形状記憶ポリマーから作製され得る。図4Bに図示されるように、棘22は、細長本体10’から離れる方に外向きに延び、これによって、棘22と繋留縫合糸2’の細長本体10’との間に棘角23aを形成する。次いで、この縫合糸は、図4Cに図示されるような一時的形状に変形させられ得、この形状において、棘22は、細長本体10’に押し付けられており、そして棘角23bは、永続的形状の棘角23aより小さい(例えば、閉じている)。図4Cに図示されるように、一時的形状において、棘22は、縫合糸2’の細長本体10’の長手方向軸に対して実質的に平行であり、棘角23bを形成する。組織内への配置の際に、棘22は、細長本体10’から離れる方に延びて、図4Bに図示されるようなその永続的形状に戻り得る。
【0077】
図5に示される代替の実施形態において、繋留縫合糸30は、内側表面30を有する複合棘26を備え、この内側表面は、細長本体の長手方向軸「A」に対して第一の配向で位置する第一の角α、およびこの細長本体の長手方向軸bに対して第二の配向で配置される第二の内側表面32を有する第二の角βを含む。この繋留縫合糸は、必要に応じて、第三の配向(図示せず)を含み得る。図示される実施形態において、第一の配向、第二の配向、および第三の配向は、各々、長手方向軸に対して異なる角度で配置される。いくつかの実施形態において、この繋留縫合糸は、大きい棘または小さい棘の交互の配置を含み得る。他の実施形態において、この繋留縫合糸は、大きい棘と小さい棘との両方の無作為な構成を有し得る。図5に示される実施形態は、図3および図4Aと一般的に類似であるが、棘について異なる幾何学的形状を有することが理解される。代替の実施形態において、上記複合棘の幾何学的形状はまた、繋留ループ上に存在し得る(図示せず)。
【0078】
複数の棘の表面積もまた変わり得る。例えば、丸へし型の先端(fuller−tipped)の棘が、特定の外科手術用途のために設計された種々のサイズで作製され得る。脂肪組織と比較的柔らかい組織とを接合する場合、大きい棘が望まれ得、一方で、小さい棘は、コラーゲンの密度が高い組織に対してより適切であり得る。いくつかの実施形態において(図4A)、同じ構造体内の大きい棘と小さい棘との組み合わせが、例えば、異なる層構造を有する組織の修復において繊維が使用される場合に、有利であり得る。棘サイズが各組織層のために調整された、同じ繊維における大きい棘と小さい棘との組み合わせの使用は、最大の保持特性を確実にする。
【0079】
繋留デバイスの別の実施形態が、図6に示されている。繋留デバイス40は、このデバイスの近位端41に針42を備える。このデバイスは、移行領域45において二又に分岐し、そしてこのデバイスの遠位部分は、繋留ループ49で終わる。繋留ループ49は、繋留ループ49の近位端47において、2つの枝46aおよび46bを備える。繋留ループ49は、ほぼ弓形の表面を有し、枝46aおよび46bは、類似の直径を有しても異なる直径を有してもよい。図示される実施形態において、第一の複数の棘48は、移行領域45に隣接して位置する。さらに、第一の複数の棘48は、組織内での繋留ループ49の、このデバイスの遠位端43に向かう方向での動きが制限されるように、配向される。図6に図示されるように、このデバイスは、繋留ループ49と比較して、長手軸方向長さがより短い細長本体44を有し得る。このループの2つの枝は、1つの針貫入点を通して進められ得、そして組織を通して引かれ得る。その方法は、後に詳細に記載される。
【0080】
図7は、繋留デバイス50の代替の実施形態を図示し、この繋留デバイスは、Tyco Healthcare Group LPから市販されているEndo StitchTM縫合デバイスなどの機械的縫合デバイスと組み合わせて使用され得る。繋留デバイス50は、Endo StitchTM縫合デバイスなどの機械的縫合デバイスと適合性である針52を備える。この繋留縫合糸の近位部分51は、細長本体54を備え、そしてこの縫合糸の遠位部分55は、ループ59で終わる。ループ59は、2つの枝56aおよび56bを備え、そして各枝は、その表面に複数の棘58を備える。他の実施形態において、複数の棘は、この繋留デバイスの少なくとも1つの枝または一部分の表面のみに存在し得る。ループ59はまた、棘のない遠位部分56cを備える。このループは、組織を通るこの繋留デバイスの動きを制限するエンドエフェクタ57をさらに備える。いくつかの実施形態において、このエンドエフェクタは、ループの棘のない遠位部分56cに位置する(図7)。図示されるように、エンドエフェクタ57は、縫合糸材料の塊(大きい塊)であり、ほぼ「T」字型であり、そしてこの実施形態においては、このエンドエフェクタは、ループ59に溶接される。
【0081】
本開示は、異なるエンドエフェクタを想定し、そして非限定的な代替の実施形態が、図8A、図8Bおよび図8Cに図示されている。図8Aにおいて、エンドエフェクタは、第二の複数の棘60として図示されており、これらの棘は、組織を通って繋留縫合糸の近位端へと向かうループ63の端部分の動きが制限されるように、配向される。この実施形態において、ループ63の近位部分に位置する第一の複数の棘62は、第二の複数の棘60(ループ63の遠位部分に位置する)のほぼ逆方向に配向されることが示されている。別の実施形態(図8B)において、このエンドエフェクタは、ポリマー材料のビーズ65である。いくつかの実施形態において、このビーズは、繋留ループと類似の材料であり得、そして代替の実施形態において、このビーズは、繋留ループとは異なる材料からなり得る。いくつかの実施形態(例えば、図8Aおよび図8B)において、このエンドエフェクタは、ループと一体的である。なお他の実施形態において、このエンドエフェクタは、別のデバイス(例えば、外科用綿撒糸またはバットレス)であり得る。図8Cに図示されるように、このエンドエフェクタは、このループ上に形成されたかまたは他の様式で取り付けられた、外科用綿撒糸67である。この実施形態において、ループを作製する前に、縫合糸が外科用綿撒糸67に貫入し得、そしてある長さの縫合糸が、この外科用綿撒糸を通して引かれ得る。一旦、この外科用綿撒糸が縫合糸表面から突出する棘68の部分を越えて移動すると、これらの棘は、この外科用綿撒糸がこの縫合糸から外れることを防止し、そしてこれらの棘は、この縫合糸上の適切な位置にこの外科用綿撒糸を保持することが留意されるべきである。次に、ループが、種々の手段(上に記載されたものが挙げられる)によって作製され得、そして外科用綿撒糸67が、繋留ループの最遠位の点に配置され得る。エンドエフェクタは、本明細書中に記載された構造に限定されず、当業者は、類似の目的で使用され得る他の形状およびデバイスを予測し得ることが、理解されるべきである。エンドエフェクタは、当業者の知識の範囲内である方法(膠、接着剤、レーザー、超音波溶接または熱溶接、成形、オーバーモールディングなどが挙げられるが、これらに限定されない)を使用して構築され得る。上で議論された縫合糸材料および構造体の任意のものが、本明細書中で議論された繋留デバイスを形成するために使用され得る。
【0082】
この外科用綿撒糸は、縫合糸と一体的であっても(例えば、同時に形成されても)、縫合糸と別であってもよい。この外科用綿撒糸がこの縫合糸と別である場合、この外科用綿撒糸は、使用前に、針および細長本体を覆って配置され得る。
【0083】
本明細書中で使用される場合、用語「組織」としては、皮膚、脂肪、筋膜、骨、筋肉、腱、靭帯、器官、神経、および血管などの組織が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書中で使用される用語「創傷」としては、ヒトもしくは動物の皮膚、またはヒトもしくは動物の他の身体組織における、外科切開、切断、裂傷または切られた組織が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
組織は、繋留縫合糸の近位部分を第一のセクションにおいて組織に挿入し、そしてこの縫合糸の近位部分をこの組織の第二のセクションに通して前進させ、そして出口点で組織から出すことによって、縫合され得る。繋留ループ上の第一の複数の棘が組織と係合し、針の進む方向への動きに抵抗するまで、この縫合糸は出口点を通して引かれ、これによって、繋留ループが組織を通ってさらに進むことを防止する。縫合糸の近位部分は、必要に応じて、固定を増強するために、身体組織の外側に残っているループのセグメントに通して挿入され得る。図9Aおよび図9Bは、棘18a’および18b’、ならびにセグメント14c’に棘がないことに起因して、棘のないループセグメント14c’が創傷部位の外側(または皮膚閉鎖中の皮膚の外側)に残っている、図4Aの実施形態を示す。本明細書中に記載される全ての実施形態が、類似の様式で使用され得ることが理解されるべきである。組織を出る際に、針および縫合糸の近位端は、創傷部位の外側に残っているループのセグメントを通過して、縫合糸を適所に固定し得る。次いで、使用者は、創傷を縫合し続け得、創傷部位が閉鎖されるまで(または移植物が取り付けられるまで)、組織に入れたり出したりする。
【0085】
1つの実施形態において、組織は、繋留縫合糸の近位部分を第一のセクションにおいて組織に挿入し、そしてこの縫合糸の近位部分をこの組織の第二のセクションに通して前進させ、そして出口点で組織から出すことによって、縫合され得る。外科用綿撒糸が組織と係合し、そしてこのループの棘付きの部分が、針が進む方向への外科用綿撒糸の動きに抵抗するまで、この縫合糸は出口点を通して引かれ、これによって、外科用綿撒糸および繋留ループが組織を通ってさらに進むことを防止する。この外科用綿撒糸は、この縫合糸に加えられる応力をより広い領域にわたって分散させることによって、この縫合糸の繋留能力を広げ得、そしてこれによって、この縫合糸が高レベルの張力にさらされやすい状況において、縫合糸の能力を増強し得る。この縫合糸の近位部分は、必要に応じて、固定を増強するために、身体組織の外側に残っているループのセグメントに通して挿入され得る。図10Aは、外科用綿撒糸20が細長部分10の遠位端に位置し、そしてループ14’の近位端に隣接している、図4Aの縫合糸を図示する。図10Bは、ループ14’および外科用綿撒糸20の拡大セクションを図示する(このループは依然として存在して、端部に結び目を結ばずに直線縫いを開始する。この外科用綿撒糸は、縫合糸をその遠位端において繋留して、引き抜きを防止し、そしてこの遠位端を安定化する)。
【0086】
図11Aおよび図11Bは、組織内の図8Cの実施形態を図示する。組織は、上記と類似の様式で、繋留デバイスの近位部分を第一のセクションにおいて組織に挿入し、そしてこの繋留デバイスの近位部分(ループの近位部分を含む)を、この組織の第二のセクションに通して前進させ、そして出口点で組織から出すことによって、固定され得る。図6、図7、図8A、図8B、および図8Cに記載される実施形態において、一旦、針が組織を通して前進させられると、縫合糸の残りの部分(ループの2つの枝を含む)が後に続く。より具体的には、このループの2つの枝は、針の貫入点(または針と細長本体とが通過した複数の点)を通して前進させられる。図11Aは、図8Cに記載されるような繋留デバイスの実施形態の第一の位置を図示する。図示されるように、縫合糸70の近位部分およびループ72の近位部分71(2つの枝72a、72bを含む)が、組織を通して前進させられる。両方の枝72aおよび72bが、針貫入点(74a、74b、74c、および74d)を通して前進させられ、棘が組織と係合し、そして縫合糸保持力が増加する。図11Bは、第二の位置にある図8Cの実施形態を示す。一旦、繋留縫合糸が組織を通してさらに前進させられると、外科用綿撒糸67は、組織を通る、遠位ループ部分のあらゆるさらなる移動を防止する。エンドエフェクタの他の実施形態、ならびに図示および記載された実施形態は、図11Aおよび図11Bに関して記載された実施形態と類似の様式で機能することが理解されるべきである。エンドエフェクタを有さない繋留縫合糸もまた、類似の様式で組織に挿入され、組織を通して前進させられ得ることもまた、理解されるべきである。
【0087】
図12Aは、大きすぎる針80が組織に貫入し、そして1本の縫合糸ストランド84が埋め得ない組織貫入点(82aおよび82b)を残す、先行技術を示す。図12Bは、大きすぎる針90が組織に貫入し、そして繋留デバイス94の2つの枝(94aおよび94b)が針貫入点92をより良好に埋め得る、本開示の1つの実施形態を示す。このループの2つの枝は、これらの棘と組み合わさって、特定の用途において望ましくあり得る組織保持強度を増加させる。
【0088】
本開示の繋留縫合糸またはデバイスへの針の取付けを容易にする目的で、従来のチッピング剤(tipping agent)が、編組に利用され得る。この繊維の2つのチッピングされた端部は、この繊維の両端に針を取り付けて、いわゆる二方向縫合糸を提供するのに望ましくあり得る。この針の取り付けは、当業者の知識の範囲内で公知であるように、任意の従来の方法(例えば、圧着、スエージなど)によってなされ得る。あるいは、減少した直径が、この縫合糸の、針の穿孔された端部に挿入されるべき端部に提供され得る。減少した直径を提供するために、この縫合糸は、当業者の知識の範囲内である任意の技術(例えば、切断、研削、レーザ機械加工など)を使用して機械加工され得る。
【0089】
繋留デバイス(本開示の繋留縫合糸が挙げられる)は、医療デバイス、薬物送達デバイスおよび細胞増殖基材において使用され得る。繋留縫合糸を使用する適切な医療デバイスおよび/または外科手術用デバイスの例としては、メッシュ、包帯、帯具、薬物送達デバイス、吻合リング、ステント、移植片、カテーテルシステム、軟組織修復および増強デバイス、足場、バットレス、ラップバンド、テープ、棘、リボン、整形外科デバイス、組織操作足場、種々の細胞増殖基材、ならびに他の移植可能なデバイスが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本開示のデバイスは、外科手術用デバイスを形成するために、他の繊維(吸収性または非吸収性のいずれか)と一緒に編まれるかまたは織られ得る。繋留デバイスおよび/または縫合糸はまた、メッシュまたは不織材料にされて、布(例えば、マット加工された布およびフェルト)を形成し得る。
【0090】
さらに、本開示の繋留デバイスは、当業者の知識の範囲内である公知の材料(水分障壁を提供し得る箔および種々のプラスチック(例えば、ポリエチレン)が挙げられる)を使用して、包装され得る。一旦、繋留デバイスが構築されると、この繋留デバイスは、当業者の知識の範囲内である任意の手段(エチレンオキシド、電子線(e−線)、γ放射線、オートクレーブ処理などが挙げられるが、これらに限定されない)によって滅菌され得る。
【実施例】
【0091】
(実施例1)
MAXONTM縫合糸の遠位端を、細長本体の方に折り畳んでループを形成し、次いで、縫合糸(ループ)を超音波溶接装置に入れ、この装置の中で、このループを溶接により閉じる。次いで、縫合糸を超音波切削装置に取り付けて、棘を作製する。繋留縫合糸の細長本体および繋留ループを、超音波刃によって種々の角度で切り出す。
【0092】
(実施例2)
SURGIPROTM縫合糸の遠位端を細長本体の方に折り畳んでループを作製し、そして膠を、この細長本体に配置し、そして縫合糸の遠位端を細長本体上に折り畳んでこの細長本体に取り付け、固定されたループを作製する。次いで、縫合糸を切削装置に取り付け、そして繋留縫合糸を種々の角度で、ナイフを使用して切り出す。次いで、繋留縫合糸を、溶媒キャスティングを使用して、化学療法剤でコーティングする。
【0093】
(実施例3)
MAXONTM縫合糸の遠位端を、細長本体の方に折り畳んでループを形成し、次いで、縫合糸(ループ)を超音波溶接装置に入れ、この装置の中で、このループを溶接により閉じる。次いで、この超音波溶接装置を使用して、このループの遠位端をほぼ「T」字型に溶接し、エンドエフェクタを作製する。次に、縫合糸を超音波切削装置に取り付けて、棘を作製する。繋留縫合糸の細長本体および繋留ループの近位部分を、超音波刃によって種々の角度で切り出す。
【0094】
(実施例4)
MAXONTM縫合糸の遠位端を、細長本体の方に折り畳んでループを形成し、次いで、縫合糸(ループ)を超音波溶接装置に入れ、この装置の中で、このループを溶接により閉じる。次いで、縫合糸を超音波切削装置に取り付けて、棘を作製する。繋留縫合糸の細長本体および繋留ループを、超音波刃によって種々の角度で切り出す。次いで、中心開口部を有する3mmのポリエステルディスクを、針およびこの縫合糸の細長本体上で前進させ、そしてこのループの近位部分に当接させて配置する。
【0095】
本開示は、創傷の閉鎖に限定されず、そして他の手順(例えば、美容手順および整形外科手順)を想定することが留意されるべきである。さらに、上記説明は、多くの詳細を含む。これらの詳細は、本明細書中の開示の範囲に対する限定であると解釈されるべきではなく、単に、本開示の特に有用な実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲により規定されるような本開示の範囲および趣旨内で、他の多くの可能性を予測する。
【符号の説明】
【0096】
2 縫合糸
10 細長本体
11 自由端
12 針
14a、14b 枝
14 ループ
16 移行領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を固定するためのシステムであって、
近位部分、細長本体、および遠位部分を有する縫合糸であって、該縫合糸の該遠位部分は、ループで終わり、そして該ループの少なくとも一部分は、複数の棘を備え、該縫合糸は、該ループの近位部分に隣接して該細長本体の周りに配置された外科用綿撒糸を備える、縫合糸、
を備え、
該縫合糸の該近位部分は、貫入点において組織に挿入されるように構成されており;
該縫合糸は、該細長本体が該貫入点を通って該外科用綿撒糸まで引かれるように、該組織に通して前進させられるように構成されており;そして
該縫合糸は、該組織内に固定されるように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記縫合糸の前記近位部分は、身体組織の外側に残っている前記ループのセグメントに通して挿入されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記縫合糸は、前記組織を通る前記ループの動きが前記外科用綿撒糸によって制限されるまで、該組織に通して引かれるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記貫入点を通って前記外科用綿撒糸までの前記細長本体の通過が、前記組織内での前記縫合糸の保持力を増加させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ループのセグメントが身体組織の外側に残るように、前記外科用綿撒糸が前記組織を通る前記ループの少なくとも一部分の動きを制限する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記外科用綿撒糸が前記組織と係合して、近位方向への前記ループの動きを防止する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記外科用綿撒糸が、前記ループの近位部分と当接して、前記細長本体の周りに配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
近位部分および遠位部分を有する細長本体であって、該細長本体の該近位部分が自由端で終わり、該細長本体の該遠位部分がループを形成し、該ループが、該ループの表面に沿って配置された第一の複数のアンカーを備える、細長本体;ならびに
該ループの該近位部分に隣接して配置された外科用綿撒糸、
を備える、医療デバイス。
【請求項9】
前記外科用綿撒糸が、組織を通る近位方向への前記ループの近位セグメントの動きを制限するような構成および寸法にされたディスクである、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記外科用綿撒糸の直径が約3mm〜約4mmである、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記外科用綿撒糸が前記ループの前記近位部分と一体的である、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記外科用綿撒糸が、前記ループの近位部分に隣接して前記細長本体を覆って配置された別のデバイスである、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記ループのセグメントが身体組織の外側に残るように、前記外科用綿撒糸が組織を通る該ループの少なくとも一部分の動きを制限する、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記外科用綿撒糸が、組織と係合して、近位方向への前記ループの動きを防止する、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記細長本体の近位部分に固定された針をさらに備える、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記外科用綿撒糸が、前記ループの前記近位部分と当接して配置されている、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項17】
請求項8に記載の医療デバイスを備える、組織を固定するためのシステムであって、
該医療デバイスの近位部分は、該組織に挿入されるように構成されており;
前記細長本体は、該組織に通して引かれるように構成されており;そして
該細長本体の近位部分は、前記外科用綿撒糸が該組織を通る前記ループの近位部分の動きを制限するように、該組織に通して前進させられるように構成されている、
システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図3A】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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