織物からの強化された液体抽出のための方法
第1の液体含量を有する織物から液体を抽出する方法は、織物上の液体の気液界面に1つ以上の界面活性剤を含有する界面活性剤表面層を生成する工程と、この表面層は第1の表面張力を有することと、この界面活性剤と異なる1つ以上の共界面活性剤を添加する工程と、を含む。界面活性剤及び共界面活性剤は実質的な鎖長互換性を有する。共界面活性剤は気液界面における表面張力を減少させる。次いで、織物の液体含量を第1の液体含量から第2の液体含量まで減少させるために、一定の時間に渡って織物は機械的抽出にさらされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は界面活性剤及び共界面活性剤を含有する界面活性剤系を用いて、織物から液体を抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に、洗浄サイクルの終わりに、例えば、衣類、リネンなどの織物に残る液体の含量が、消費者の織物の束を乾燥するのに必要な時間及びエネルギーを決定する。洗濯物の乾燥における時間及びエネルギーの削減は、消費者には大きな関心であった。洗濯物の乾燥における真の挑戦は、平均的な消費者の織物の束の乾燥時間及びエネルギーにおいて所望の削減を達成することであるが、この織物は異なる保水特性を有する様々な織物の種類を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
洗浄サイクルの終わりに織物に残る液体を減少させる従来の試みは、指定された試薬の付着によって織物をより吸収性でなくする修飾、又は織物の表面に影響を与える修飾に向けられたものである。しかしながら、織物表面の修飾によって他の望ましくない織物特性が生じることは多く、また、消費者によって望まれる乾燥時間及びエネルギーの理想的な削減を達成できないことが多い。したがって、洗浄サイクルの終わりに衣類、リネンなどの織物に残る液体の量を効果的に低減する継続的な必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の液体含量を有する織物から液体を抽出する方法は、織物上の液体の気液界面に1つ以上の界面活性剤を含有する界面活性剤表面層を生成する工程を含む。ここで、この表面層は第1の表面張力を有する。次いで、この界面活性剤と異なる1つ以上の共界面活性剤が添加される。界面活性剤及び共界面活性剤は実質的な鎖長互換性を有する。共界面活性剤は、気液界面における表面張力を、減少した表面張力値まで減少させる。次いで、織物の液体含量を第1の液体含量から第2の液体含量まで減少させるために、織物は一定の時間に渡って機械的抽出にさらされる。一実施形態では、界面活性剤はカチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を含み、共界面活性剤は、このカチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤のうちの他方を含むように反対に帯電している。別の実施形態では、共界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含み、界面活性剤はイオン性界面活性剤を含む。さらに別の実施形態では、共界面活性剤はイオン性界面活性剤を含み、界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含む。共界面活性剤は、アルコールなどの有機溶媒を含有する溶液に添加され得る。特定の一実施形態では、界面活性剤は約1:10〜約1:3の分子比でテトラデシル硫酸ナトリウム及び臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウムを含有する。また、共界面活性剤は約1mM〜約5mMのテトラデシル硫酸ナトリウムを含有する溶液によって与えられる。
【0005】
減少した表面張力値は、0.5mN/m〜3mN/mである。好適な一実施形態では、減少した表面張力値は、0.5〜1.0mN/mの間である。一実施形態では、この方法は洗濯機において実行され、好適には、この洗濯機は所定の時間に自動的に界面活性剤溶液を分配する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書には、「X〜Y」又は「約X〜約Y」の形式で書かれているとき、全範囲の数が本明細書に明らかに書かれているかのように組み込まれ含まれる。本明細書の全体を通
じて与えられる全ての限界は、全てのより低い限界を、或いは場合によっては全てのより高い限界を、そうしたより低い限界又はより高い限界が本明細書に明らかに書かれているかのように含むことが理解される。本明細書の全体を通じて与えられる全ての範囲は、そうしたより広い範囲内にある全てのより狭い範囲を、そうしたより狭い範囲が本明細書に明らかに書かれているかのように含む。
【0007】
第1の液体含量を有する織物から液体を抽出する方法は、織物上の液体の気液界面に界面活性剤を含有する界面活性剤表面層を生成する工程を含む。ここで、この表面層は第1の表面張力を有する。この界面活性剤と異なる1つ以上の共界面活性剤が添加される。ここで、界面活性剤及び共界面活性剤は実質的な鎖長互換性を有する。界面活性剤及び共界面活性剤は、好適には、反対に帯電している。共界面活性剤は気液界面における表面張力を一定の時間に渡って減少させる。次いで、織物の液体含量を第1の液体含量から第2の液体含量まで減少させるために、この一定の時間に渡って織物は機械的抽出にさらされる。界面活性剤及び共界面活性剤の両方は、各々2以上の界面活性剤を含有することが可能である。
【0008】
本願発明者らは、驚くべきことに、その表面が界面活性剤層によって覆われている物品(例えば、織物)を有するバルク溶液中へ適切な第2の界面活性剤(即ち、共界面活性剤)を導入することによって、第1の界面活性剤の表面張力の減少を生じる、界面活性剤層との相互作用が提供されることを発見した。この結果として得られる界面活性剤及び共界面活性剤によって提供される表面張力は、いずれかの界面活性剤によって個々に達成され得る表面張力より低い。この相互作用は、静電気的相互作用に基づくクーロン相互作用であると考えられる。この相互作用は、実行された一部の初期の概念実証実験において使用されたシリンジを用いてなど、第1の界面活性剤の表面層を機械的に貫通することによって提供され得るが、本願発明者らは、単にバルク溶液に適切な共界面活性剤を添加することによって一般に表面張力に所望の減少を生じることが可能であり、界面活性剤層下に機械的に共界面活性剤を導入する必要が除去されることを発見した。これによって、洗濯機における使用を含め、本発明の規模の拡大が可能となる。
【0009】
好適な一実施形態では、界面活性剤及び共界面活性剤は反対に帯電した界面活性剤である。しかしながら、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との対を用いて表面張力減少が生じることが示されている。例えば、ドデシル又はテトラデシル硫酸塩界面活性剤分子による長鎖アルコール表面層を用いて、表面張力減少が実現されている。
【0010】
本明細書では表面層が一般に界面活性剤層であるように示すが、表面層は他の種類の被膜を含むことが可能である。例えば、被膜は、コレステロール及びエルゴステロールなど、主にステロイド族の不飽和固体アルコールである。コレステロール表面層に関する実施例は、以下の実施例に記載する。
【0011】
界面活性剤は、一般に、その頭部に形式的な帯電した基の存在によって分類される。非イオン性界面活性剤は、その頭部に荷電基を有しない。イオン性界面活性剤の頭部は実効電荷を有する。電荷が負である場合、界面活性剤は特にアニオン性と呼ばれる。電荷が正である場合、それはカチオン性と呼ばれる。界面活性剤が2つの反対に帯電した基を有する頭部を含む場合、それは両性イオン性と呼ばれる。
【0012】
本明細書において用いられる「界面活性剤及び共界面活性剤は反対に帯電している」の句は、界面活性剤と共界面活性剤との間に静電引力が存在するようにカチオン/アニオンの対、又は1つの両性イオンと他方のもう1つの両性イオン、即ち、アニオン又はカチオン性界面活性剤を与える、界面活性剤/共界面活性剤として規定される。しかしながら、上述のように、一定の非イオン性/イオン性界面活性剤対においては、表面張力を低下さ
せる相互作用が観察されている。適切な非イオン性界面活性剤は、有意な双極子を与える化学種である傾向があるか、或いはイオン性界面活性剤などによって誘起される有意な双極子を有することが可能である。
【0013】
本発明による好適な界面活性剤系は、気液界面にて表面張力を有意に減少させる相乗効果を生成する、静電相互作用、疎水性相互作用、又はその両方を有する界面活性剤を提供する。さらに、それぞれの界面活性剤間に「実質的な鎖長互換性」が存在するとき、改良された静電引力が生じることが見出されている。本明細書において規定される「実質的な鎖長互換性」は、それらの間が8炭素単位内である界面活性剤を表す。主界面活性剤の長さに近い共界面活性剤の使用は、2つの界面活性剤の鎖長に沿って静電引力が存在し、2つの界面活性剤間の鎖間相互作用を強化するように、一般に鎖長互換性の相乗効果を強化する。好適な一実施形態では、鎖長の差は6未満、より好適には4未満、また最も好適には2未満である。
【0014】
本発明の一実施形態では、界面活性剤及び共界面活性剤は洗浄工程中に利用される。この洗浄工程は、一般に回転段階などの機械的抽出手段を有する洗濯機の使用によって実施される。本明細書において用いられる「減少した第2の液体含量」は、機械的抽出手段単独の使用によって達成されるよりも少ない液体含量(単なる水)を意味し、残余湿分含量(RMC)における10%以上の減少として測定される。好適な一実施形態ではRMC減少は20%以上であり、最も好適な一実施形態では30%以上の減少である。
【0015】
本明細書において用いられる「織物」は、次に限定されないが絹、羊毛、綿、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ライクラ(lycra;登録商標)、及びスパンデックスを含む、天然、合成、及び天然/合成混合の素材を表す。
【0016】
本明細書において用いられる「液体」は、室温(約0℃〜約60℃)にて液体の形態を有することの可能な、又は雰囲気温度及び圧力にて、例えば、25°C及び圧力101kPa(1atm)にて、液相及び気相の混合物からなることの可能な任意の水系材料を表す。本明細書において用いられる「液体」は、さらに、純粋な液体、溶液、又は水など水性材料中の固体のコロイド懸濁液を表す。
【0017】
本明細書において用いられる「液体含量」は、織物の織り又はボイド空間などの構造において間隙に保持される液体を表す。液体含量は、飽和から乾燥までの範囲であってよい。本明細書において用いられる「乾燥」は、触れたときに全く湿気を感じない織物を表す。本明細書において用いられる「飽和」は、その織物の最大の液体含量を有する織物を表す。
【0018】
本明細書において用いられる「有効量」は、織物から抽出される水の量など、利用されたときに認知可能な利益を与える材料又は添加剤の量を表す。
典型的な洗濯機の洗浄工程は次の段階を含む。第1に、洗濯機は、所望の織物が充填された後、「洗浄段階」を有する。本明細書において用いられる「洗浄段階」は、洗濯機が所定容積まで水を充填し、所定時間に渡って撹拌し、洗浄液を排出し、次いで洗濯機が織物を回転させる段階を表す。本明細書において用いられる「すすぎ段階」は次段階を表す。この段階では、洗濯機は所定容積まで水を充填し、所定時間に渡って撹拌し、次いで洗濯機が織物を回転させるときに水を排出する。洗浄段階及びすすぎ段階中、織物は洗濯液によって濡れ、第1の液体含量を有する。すすぎ段階の回転及び排出部分中、一部の洗濯機は織物上に少量の水を滴下する。本明細書において用いられる「散水(splash)」は、すすぎ段階中に織物上に滴下されるが洗濯機中に保留又は保持されない水を表す。すすぎ段階後、さらに織物から液体含量を除去するための一種の機械的抽出手段が用いられてもよい。特許請求の範囲に記載の本発明の方法は、洗濯機とは別の機械的抽出手段や
洗濯機の一部として組み込まれた機械的抽出手段を包含することが意図される。本明細書において用いられる「回転段階」は、洗濯機が機械的抽出手段を組込む段階を表す。減少した第2の液体含量は、回転段階の終わりに測定されてもよい。代表的な一実施形態は、洗濯機へ水を追加することのない、所定時間に渡る洗濯機回転サイクルを含む。
【0019】
本発明の方法において利用される界面活性剤表面層は、洗浄工程中の任意の時に、織物の織り又はボイド空間などの構造において間隙に保持される液体含量の気液界面にて生成されてよい。代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層は洗浄段階中に気液界面にて生成される。別の代表的な実施形態では、界面活性剤表面層はすすぎ段階中に気液界面にて生成される。代替の一実施形態では、界面活性剤表面層は、回転段階の直前など、任意の機械的抽出の直前に気液界面にて生成される。さらに別の代替の実施形態では、界面活性剤表面層は、すすぎ段階の散水部分中に気液界面にて生成される。本発明のさらにまた別の実施形態では、界面活性剤表面層は回転段階中に気液界面にて生成されてよい。代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層はこれらの段階のうちの任意の段階にて、1投入量(one dose)形態の添加によって生成される。
【0020】
同様に、共界面活性剤は洗濯工程中の任意の時に添加されてよい。代表的な一実施形態では、共界面活性剤は界面活性剤単層が生成された後に添加される。別の代表的な実施形態では、共界面活性剤は洗浄段階中に第1の液体含量を有する織物と接触させられる。別の代表的な実施形態では、共界面活性剤は、すすぎ段階中に第1の液体含量を有する織物と接触させられる。代替の一実施形態では、共界面活性剤は任意の機械的抽出の直前、例えば、代表的な一実施形態では回転段階の直前に、第1の液体含量を有する織物と接触させられる。さらに別の代替の実施形態では、共界面活性剤は、すすぎ段階の散水部分中に第1の液体含量を有する織物と接触させられる。共界面活性剤は、これらの段階のうちの任意の段階にて1投入量形態によって添加されてよい。
【0021】
これらの段階のうちの任意の段階中の界面活性剤層と共界面活性剤との相互作用によって、機械的抽出手段が適用されるときに織物の減少した第2の液体含量が生じると考えられる。当業者には、共界面活性剤が液体含量(即ち、織物の織り又はボイド空間などの構造において間隙に保持される液体)に位置することが認識される。代替の一実施形態では、共界面活性剤は洗浄工程の段階のうちの一段階中に織物上に適用される。
【0022】
この方法は、さらに、織物を機械乾燥、空気乾燥、又はその組み合わせにさらす工程を含み得る。本明細書において用いられる「空気乾燥」は、ライン乾燥など屋内又は屋外の乾燥を含む。代表的な機械乾燥手段は、商用又は家庭用乾燥機において発生するものなど、真空乾燥又は熱乾燥を含む。
【0023】
理論によって限定されるものではないが、気液界面における表面張力の役割は本発明方法における重要な側面であると考えられる。洗浄工程の回転サイクル中の液体含量の量の減少は、織物の乾燥時間の減少に相当すると考えられる。気液界面の表面張力を減少させることによって、洗浄工程の回転サイクルにおいて同じ遠心力を適用しつつ、織物からより多くの液体含量を除去することが可能であると考えられる。
【0024】
液体含量は、洗濯液の気液界面における表面張力に直接的に比例する。従来の界面活性剤系では、界面活性剤の濃度が増大するにつれ、気液界面における表面張力は溶液の臨界ミセル濃度(CMC)に到達するまで低下する。CMCに到達した後、通常、気液界面における表面張力は一定に留まる。やはり理論に束縛されようとするものではないが、通常、液体含量は表面張力の減少につれて減少すると考えられるので、液体含量はこの傾向(即ち、CMCに到達するまで低下し、次いで、界面活性剤のCMCに到達した後、一定に留まる)に従う。
【0025】
上述のように、一旦CMCに到達すると、通常、気液界面における表面張力は一定に留まる。フッ素界面活性剤、シロキサン界面活性剤又はその両方により達成される最低の平衡気液表面張力は、ほぼ15〜20mN/mである。他の一般的な典型界面活性剤については、気液表面張力はより高く、通常、20mN/mより高い。本発明は、これらの一般的な典型界面活性剤の気液界面における表面張力より有意に低い表面張力を生成することによって、織物から液体を抽出する方法を含む。理論によって限定されるものではないが、気液界面の表面張力の減少は、界面活性剤表面層を生成し、次いで、表面層と共界面活性剤とを相互作用させることによって達成されると考えられる。
【0026】
表面層は単層であり得る。本明細書において用いられる用語「単層」は、界面における界面活性剤の単分子厚の吸着層を表す。気液界面にて吸着される単層の場合、表面張力は有意に変更され得る。本発明では、単層形成の場合、単層は液体含量の気液界面に存在する。
【0027】
代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層は、界面活性剤を溶媒中に溶解し、次いで、溶解した界面活性剤を液体含量の気液界面の上に展開することによって生成される。次いで、溶媒が蒸発し、界面活性剤は平衡に到達し、図1Aに示すような表面層を形成する。エス.ワイ.シャイアオ(S.Y.Shaiao)らによって言及されているように(Advances in Colloid and Interface Science、1998年、第74巻、p.1〜29)、鎖長のマッチしていない界面活性剤を界面活性剤単層へ添加することによって過剰な炭化水素尾部を生じ、分子の充填を妨げて、相互作用エネルギーを低下させ得る過飽和期間と、その結果として得られる表面張力の減少とを生成することが可能である(図1B)。気液界面が平衡するにつれ(図1C)、表面張力は増大する。理論に限定されるものではないが、界面活性剤の表面活性のために、気液界面は過飽和となり、次いで、平衡し得ると考えられる。
【0028】
本発明の代表的な一実施形態では、約10秒〜約3,000秒の範囲の時間に渡って共界面活性剤が界面活性剤表面層と相互作用した後、気液界面の表面張力は減少する。代替の一実施形態では、300秒以上の時間に渡って、代替では900秒以上の時間に渡って、本発明の方法によって表面張力が減少する。さらに別の代替の実施形態では、1,000秒以上の時間に渡って表面張力が減少する。
【0029】
[界面活性剤表面層]
一実施形態では、本発明の方法において用いられる界面活性剤表面層及び共界面活性剤は、液体含量の表面張力を約20mN/m〜約1mN/mの範囲まで減少させることが可能であり、代替の一実施形態では、約10mN/m〜約1mN/mまで、さらなる代表的な一実施形態では、約5mN/m〜約1mN/mまで減少させることが可能である。理論によって限定されるものではないが、織物の織り又はボイド空間において毛管力によって間隙に捕捉されている液体含量(即ち、液体含量)の表面張力の減少は、同じ量の機械的抽出によって織物から除去されているより大きな体積の液体含量を生じる。織物における残留水を減少させるための従来の手法と異なり、界面活性剤表面層及び共界面活性が、すすぎサイクル後に織物表面又は繊維に沈着又は付着される必要はない。したがって、本発明の界面活性剤表面層及び共界面活性剤は、織物の表面特性を修飾する必要がなく、織物繊維における液体(即ち、液体含量)の特性を変更する有益な試薬を包含する。代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層及び共界面活性剤は洗浄工程中に添加されるときに余分な泡を発生しないので、織物は発生する泡を除去するために追加の液とさらに接触される必要がない。
【0030】
一実施形態では、界面活性剤表面層を選択することによって、一般的な消費者条件下の
洗濯方法へ最小量の材料しか添加せずに表面張力減少を最適化する。理論に限定されるものではないが、混合表面層は頭部基の間の静電相互作用のために表面層においてより密な充填を形成する場合があると考えられる。代表的な一実施形態では、有効量の界面活性剤表面層が消費者の織物の束の全体を通じて生成されるように、界面活性剤は、洗浄段階又はすすぎ段階において所定容積の液体に充分に分散される。
【0031】
本発明の代表的な一実施形態では、界面活性剤単層及び共界面活性剤は反対に帯電している。理論に限定されるものではないが、この反対の電荷によってより密な充填が生じ、気液界面における表面張力を低下させると考えられる。
【0032】
[界面活性剤]−本発明による代表的な界面活性剤及び共界面活性剤の成分は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、両性イオン性、及び半極性非イオン性の界面活性剤から選択される1つ以上の界面活性剤、アルキルアルコールなど他の補助剤、又はこれらの混合物を含有する界面活性剤又は界面活性剤系を含んでよい。アニオン性界面活性剤の非限定的な例には、中鎖分岐アルキル硫酸塩、修飾直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、直鎖・分岐鎖アルキル硫酸塩、直鎖・分岐鎖アルキルアルコキシ硫酸塩、及び脂肪カルボン酸塩が含まれる。非イオン性界面活性剤の非限定的な例には、アルキルエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、及びアルキルグリコシドが含まれる。他の適切な界面活性剤には、アミンオキシド、第4級アンモニウム界面活性剤、及びアミドアミンが含まれる。
【0033】
[アニオン性界面活性剤]
本明細書において有用なアニオン性界面活性剤の非限定的な例には次が含まれる。C8〜C18のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS);C8〜C22の第1級分岐鎖・ランダムアルキル硫酸塩(AS);C8〜C22の第2級(2,3)アルキル硫酸塩;C8〜C22のアルキルアルコキシ硫酸塩(AExS)、ここでxは1〜30である;1〜5のエトキシ単位を含むC8〜C22のアルキルアルコキシカルボン酸塩;米国特許第6,020,303号明細書及び米国特許第6,060,443号明細書に記載の中鎖分岐アルキル硫酸塩;米国特許第6,008,181号明細書及び米国特許第6,020,303号明細書に記載の中鎖分岐アルキルアルコキシ硫酸塩;国際公開第99/05243号パンフレット、国際公開第99/05242号パンフレット、及び国際公開第99/05244号パンフレットに記載の修飾アルキルベンゼンスルホン酸塩(MLAS);メチルエステルスルホン酸塩(MES);及び、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。代表的な1つのアニオン性界面活性剤は、テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)である。
【0034】
[非イオン性界面活性剤]
非イオン性界面活性剤の非限定的な例には次が含まれる。シェルによるNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤など、C8〜C22のアルキルエトキシレート;C6〜C12のアルキルフェノールアルコキシレート、ここでアルコキシレート単位はエチレンオキシ単位及びプロピレンオキシ単位の混合である;C8〜C22のアルコール及びC6〜C12のアルキルフェノールとBASFによるPLURONIC(登録商標)などエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルポリアミンエトキシレートとの縮合物;米国特許第6,150,322号明細書に記載のC14〜C22の中鎖分岐アルコールであるBA;米国特許第6,153,577号明細書、米国特許第6,020,303号明細書、及び米国特許第6,093,856号明細書に記載のC14〜C22の中鎖分岐アルキルアルコキシレートであるBAEx、ここでxは1〜30である;レナド(Llenado)による1986年1月26日発効の米国特許第4,565,647号明細書に記載のアルキルポリサッカライド;特に、米国特許第4,483,780号明細書及び米国特許第4,483,779号明細書に記載のアルキルポリグリコシド;米国特許第5
,332,528号明細書に記載のポリヒドロキシ脂肪酸アミド(GSベース);並びに、米国特許第6,482,994号明細書及び国際公開第01/42408号パンフレットに記載のエーテルキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤。
【0035】
[カチオン性界面活性剤]
カチオン性界面活性剤の非限定的な例には次が含まれる。第4級アンモニウム界面活性剤、これは、次を含む26個までの炭素原子を有し得る:米国特許第6,136,769号明細書に記載のアルコキシレート第4級アンモニウム(AQA)界面活性剤;米国特許第6,004,922号明細書に記載のジメチルヒドロキシエチル第4級アンモニウム;国際公開第98/35002号パンフレット、国際公開第98/35003号パンフレット、国際公開第98/35004号パンフレット、国際公開第98/35005号パンフレット、及び国際公開第98/35006号パンフレットに記載のポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号明細書、米国特許第4,239,660号明細書、米国特許第4,260,529号明細書、及び米国特許第6,022,844号明細書に記載のカチオン性エステル界面活性剤;並びに、米国特許第6,221,825号明細書及び国際公開第00/47708号パンフレットに記載のアミノ界面活性剤、特に、アミドプロピルジメチルアミン(APA)。
【0036】
[両性イオン性界面活性剤]
両性イオン性(両性)界面活性剤の非限定的な例には、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、コカミドDEA、及びコカミドTEAが含まれる。
【0037】
[界面活性高分子]
上述の非高分子界面活性剤の他、本発明による界面活性剤は、界面活性高分子であることも可能である。界面活性高分子には、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリアルキルアミン(PAH)が含まれる。
【0038】
[補助剤材料]
さらに、共界面活性剤は、織物の高速な乾燥以外のさらなる利益を与えるため、補助剤材料を含んでもよい。これらの追加成分の正確な性質及びその組込の程度は、共界面活性剤の物理的な形態及びそれが用いられる性質に依存する。適切な補助剤材料には、以下に限定されないが、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤、織物柔軟剤、耐摩耗剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、及び顔料のうちの1つ以上、並びに他の織物保護剤が含まれる。以下の開示に加えて、他のそうした補助剤の適切な例及び使用のレベルは、米国特許第5,576,282号明細書、米国特許第6,306,812号B1明細書、及び米国特許第6,326,348号B1明細書に見出される。
【0039】
[表面張力補助剤]
本発明においては、本発明の所望の結果と、界面活性剤表面層・共界面活性剤系の性能における補助との達成を補助する表面張力補助剤を用いることが所望される場合がある。理論によって限定されるものではないが、そうした補助剤は、所望の界面(例えば、水/空気)における共界面活性剤と界面活性剤表面層との充填を改良し得る。
【0040】
[泡抑制剤]
本発明においては、過剰な発泡を防止するために泡抑制剤を用いることが所望される場合がある。本明細書において用いられる「過剰な発泡」は、すすぎの終わりに衣服上に目に見える泡が形成されていること、或いは「泡ロッキング」として参照される現象である
、洗濯槽の回転動作を妨げる生じた泡(泡)を表す。種々様々の材料が泡抑制剤として用いられてよく、泡抑制剤は当業者には知られている。例えば、カーク・オスマー化学工学百科事典(Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、第7巻、p.430〜447(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社、1979年)を参照のこと。また、本発明は、非界面活性剤泡抑制剤を含んでもよい。これらには、例えば、次が含まれる。高分子量炭化水素、N−アルキル化アミノトリアジン、モノステアリルリン酸塩、シリコーン泡抑制剤、第2級アルコール(例えば、2−アルキルアルカノール)、及びそうしたアルコールとシリコーンオイルとの混合物。炭化水素泡抑制剤は、例えば、ガンダルフォ(Gandolfo)らに対し1981年5月5日に発効の米国特許第4,265,779号明細書に記載されている。シリコーン泡抑制剤は当該技術分野において知られており、例えば、ガンダルフォらに対し1981年5月5日に発効の米国特許第4,265,779号明細書、及び欧州特許第354016号明細書に開示されている。アルコールとシリコーンオイルとの混合物は米国特許第4,798,679号明細書、米国特許第4,075,118号明細書、及び欧州特許第150,872号明細書に記載されている。前述のすべての泡抑制剤の追加の例は、国際公開第00/27958号パンフレットに見出される場合がある。
【0041】
本発明の代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層は単一の界面活性剤を含有する。代表的な界面活性剤には、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(C16TAB)、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム(DDAB);及び、臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)が含まれる。本発明の別の実施形態では、界面活性剤表面層は混合界面活性剤系を含む。代表的な混合界面活性剤層は、テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)とDODABとを含有する。本発明の代表的な一実施形態では、混合界面活性剤表面層は、表面層に約1:10〜約10:1の範囲の分子比でC14SO4:DODABを含む。
【0042】
代替の一実施形態では、表面層におけるC14SO4:DODABの分子比は、約1:10〜約1:3の範囲である。表面層におけるC14SO4:DODABの特定の代表的な1つの分子比は、約1:5である。
【0043】
本発明の別の実施形態では、共界面活性剤はアニオン性界面活性剤を含む。代表的な1つのアニオン性共界面活性剤は、テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)である。代表的な一実施形態では、共界面活性剤は約0.1mM〜約50mMの濃度のC14SO4を含有する;これに代えて、共界面活性剤(C14SO4)の濃度は約4mMである。
【0044】
本発明の一実施形態では、与えられる共界面活性剤の量は、織物における全液体表面積の各m2について約0.1mmol〜約5mmolである;これに代えて、与えられる共界面活性剤の量は、織物における全液体表面積の各m2について約3.3mmolである。
【0045】
代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層成分は1種以上の溶媒へ溶解される。当業者には認識されるように、本発明において任意の相溶する溶媒が利用されてよく、それによって、界面活性剤表面層が織物における液体の気液界面上に生成されることが可能となる。代表的な溶媒は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、クロロホルム、ヘキサンなど、一般に有機溶媒である。有機溶媒は水と混合され得る。用途における装置及び条件との適合性によって、これらの溶媒のうちのいずれかの使用が制限される場合があることが理解される。
【0046】
代表的な一実施形態では、洗濯機系において、共界面活性剤は洗濯用洗剤、織物柔軟剤中に存在してもよく、或いは、すすぎ段階又は回転段階など洗浄段階のうちの一段階の一
部として添加されることも可能である。代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層は、回転段階中に織物上に噴霧その他の手段によって与えられ、界面活性剤表面層が液体含量の気液界面上に形成されることを可能とする。別の代表的な実施形態では、界面活性剤表面層は回転段階中に生成される。
【0047】
当業者によって認識されるように、本発明は、油回収において、また半導体、セラミックス、金属、ガラス、プラスチック、シリコンウエハ及びレーザディスクの表面の乾燥においてなど、織物以外の表面から液体を除去するのに有用であり得る。本発明の代表的な一実施形態は、第1の量の液体を有する表面から液体を除去する方法を含む。この方法は、表面上の液体の気液界面に界面活性剤表面層を生成する工程と、この界面活性剤表面層は第1の表面張力を有し、フッ素界面活性剤又はシリコーン界面活性剤を含まないことと;フッ素界面活性剤又はシリコーン界面活性剤を含まない共界面活性剤を界面活性剤表面層へ添加する工程と、一定の時間に渡って気液界面における第1の表面張力を減少させることと;第1の液体量を第2の液体量まで減少させるために、この一定の時間に渡って表面を機械的抽出にさらす工程と、を含む。
【0048】
本発明の別の代表的な実施形態は、液体の表面張力を減少させる方法である。この方法は、液体の気液界面に界面活性剤表面層を生成する工程と、この界面活性剤表面層は第1の表面張力を有し、フッ素界面活性剤又はシリコーン界面活性剤を含まないことと;一定の時間に渡って気液界面における第1の表面張力を約17.5mN/m〜約1mN/mまで減少させるために、フッ素界面活性剤又はシリコーン界面活性剤を含まない共界面活性剤を界面活性剤表面層へ添加する工程と、を含む。
【0049】
新規な洗濯機設計は簡便に本発明を実装することが可能である。本発明による洗濯機は、界面活性剤溶液を保持するために1つ以上の貯蔵部、また一般には2つ以上の貯蔵部を備える。プロセッサ又はシークエンサーは、それぞれの界面活性剤溶液を分配するための適切な時間を決定する。界面活性剤は重力で供給されることも可能であり、重力での供給が所望されない場合、ポンプが提供されることも可能である。代表的な一実施形態では、洗浄される織物が洗濯機に加えられる。次いで、織物は、SDSなど、水と共に第1の界面活性剤溶液を自動的に分配することによって、予浸される。次いで、水のうちの一部を除去するために、高速回転サイクルが開始される。次いで、回転サイクルにおいて高速であるあいだ、0.1wt% DODAB及びC14SO4 エタノール溶液など、第2の界面活性剤溶液が自動的に分配される。
【0050】
[実施例]
以下に記載の実施例は説明目的でのみ与えられるものであり、本発明の範囲を如何様にも規定するものではないことが理解される。
【0051】
[試験方法]
本発明の表面張力測定は、ウィルヘルミ・プレート法を用いて行われる。板を保持しているグラム重量センサからの出力は、トランスデューサへ送信され、次いで電圧読取りへ出力される。この系は、2つの既知の溶液(72.5mN/mの水及び23mN/mのアセトン)を用いて較正する。白金板は、任意の表面不純物を除去するために、各読取り値間のトーチを用いて加熱される。残留湿分含量(RMC)を測定するために、最初に乾燥時の織物試料が秤量され、次いで、織物試料は溶液中において10分間浸漬され、10分間遠心分離機にかけられる。遠心分離管は銅挿入物を有する。銅挿入物は、遠心分離管中に落下するのを防止するため、1つの閉鎖端と、1つの開口端とを有する。銅挿入物は、挿入物を通じて収集管へ水の排出が可能となるように、自身を通じる約4.76mm(3/16インチ)の孔を有する。
【0052】
織物を遠心分離機にかけた後、残留湿分含量(RMC)を決定するために重量が測定される。単層貫通の表面張力測定値は、DATAQインスツルメントより入手可能なデータ収集カードを用いて電圧出力を収集する以外、上述の同じウィルヘルミ・プレート法を用いて得られる。このカードは、時間の関数として表面張力を測定及び記録することを可能とする(毎秒ほぼ40回)。
【0053】
[実施例1]
この実験では、テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)共界面活性剤を臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(C16TAB)の溶液と共に用いる。3.68mMの臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(C16TAB)溶液を調製した。10mLのC16TAB溶液を用いて、異なる量(250μL、500μL、750μL及び1000μL)の4mMのC14SO4を、C16TAB溶液の気液界面の下に注入した。表面張力は、図2に示すような時間の関数として測定される(毎秒ほぼ40回)。得られる最低の表面張力は〜20mN/mである。理論によって限定されるものではないが、C16TABはバルク溶液中に存在し表面層を形成しないので、系に注入される任意のC14SO4は、気液界面を区分するのではなく、即座にバルク界面活性剤と相互作用すると考えられる。
【0054】
[実施例2]
この実験では、C16TAB表面層を蒸留水上に生成した。増大する量のC14SO4は表面層の下に注入され、表面張力は時間の関数として測定される(毎秒ほぼ40回)。最初に、体積比3:1:1のヘキサン、クロロホルム、メタノールからなる混合物に0.1wt%のC16TABを溶解することによって、表面層を生成した。得られた溶液のうちの5μLを5mLの蒸留水の表面に配置した。溶媒(ヘキサン、クロロホルム、メタノール)を留去すると、C16TAB単層が残った。次いで、増大する量(250μL、500μL、750μL、1000μL)の4mMのC14SO4を単層の下に注入した。表面張力は図3に示すような時間の関数として測定される。750Lの4mMのC14SO4を用いると、17.5mN/mの過渡的な低い表面張力が約20秒間得られた。
【0055】
理論によって限定されるものではないが、C14SO4が溶液に注入されると、C16TAB及びC14SO4の両方による表面の過飽和によって、表面張力を減少させると考えられる。次いで、溶液が平衡するにつれ、表面張力は増大する。
【0056】
また、追加の界面活性剤単層も研究した。図4には、アラキジルアルコール(C20OH)の表面層と相互作用するように添加されたC14SO4における表面張力を示す。図5には、コレステロール表面層と相互作用するC14SO4における表面張力を示す。図6には、臭化ジドデシルジメチルアンモニウムの表面層と相互作用するC14SO4における表面張力を示す。また、図7には、臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)の表面層と相互作用するC14SO4における表面張力を示す。図8には、ステアリン酸表面層と相互作用する臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム(C14TAB)における表面張力を示す。これらの図に示すように、本質的に水に不溶な帯電した界面活性剤によって、最低の表面張力が生じる。表面層がわずかに可溶である系においては、界面活性剤は気液界面を離脱し、表面張力は増大する。表面層が不溶であるとき、界面活性剤は気液界面に留まり、反対に帯電した界面活性剤を引きつけて、表面張力の大きな変化を引き起こす(C14SO4及びDODAB系において、〜13.5mN)。
【0057】
[実施例3]
この実験では、混合界面活性剤表面層を示し、界面活性剤の頭部基の間の静電相互作用による充填を観察する。テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)と臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)とを用いた。分子比1:10,1:5,1:
3,1:2のC14SO4:DODAB単層を研究した。表面層を調製するための手順は、実施例2に記載したものと同様である。
【0058】
図9には、C14SO4の注入された、分子比1:10のC14SO4:DODAB表面層の結果を示す。示すように、分子比1:10のC14SO4:DODAB表面層の系は、19mN/mと低い表面張力を生じる。図10には、C14SO4の注入された、分子比1:5のC14SO4:DODAB表面層の結果を示す。示すように、分子比1:5のC14SO4:DODAB表面層において、表面層の下に1000LのC14SO4が注入されると、表面張力はほぼ8.5mN/mまで低下する。
【0059】
C14SO4:DODAB表面層の密な充填は、分子比1:3にて生じる。図11には、C14SO4の注入された、分子比1:3のC14SO4:DODAB表面層の結果を示す。示すように、分子比1:3のC14SO4:DODAB系における最小の表面張力は、分子比1:5のC14SO4:DODAB系ほど低くない。理論によって限定されるものではないが、これは1:3の分子比に達しようとする分子充填のためであると考えられる。より低いC14SO4:DODABの比(1:5の系)では、幾らか密な充填が存在する。この充填は、表面層の下により多くのC14SO4を添加することによって最適化され得る。4mMのC14SO4の添加によって、表面層の下のC14SO4の添加後、表面層に分子比1:3のC14SO4:DODABであると考えられるものを生じる。しかしながら、表面層が分子比1:3のC14SO4:DODABで既に最も密に充填されているとき、より多くのC14SO4が表面層を貫通して分子比1:5の系より高い表面張力を生じるのに充分な空間は、存在しないと考えられる。図12に示すように、より高い比のC14SO4:DODAB(1:2)を試験するとき、汎用溶媒を展開した後、表面層は存在しない。C14SO4は水に可溶であるので、表面層は、蒸留水上に展開されると、増大した量のC14SO4のため溶液に溶解され、これによって、C14SO4の添加とともに減少する、より高い表面張力(ほぼ水の表面張力)が生じる。
【0060】
[実施例4]
この実験では、実験3による分子比1:5のC14SO4:DODAB表面層を、さらに研究した。分子比1:5のC14SO4:DODAB単層と、共界面活性剤としての1000Lの4mM C14SO4とを用いて、図13に示すように、5回の反復を有する、より長い期間、実験を実行した。700秒を超える時間(〜12分)、〜8.5mN/mの最低表面張力が得られる。
【0061】
[実施例5]
この実施例は、小規模研究だった実施例1〜4と異なり、家庭の洗濯機において大規模に反復した。綿織物を最初にSDSの4mM溶液に浸漬した。次いで、この織物を洗濯機中に配置し、最終の回転サイクルを開始した。機械が完全な遠心分離速度に到達した後、回転サイクルが続くにつれ、別の界面活性剤溶液である、100mLの0.1wt/vol% DODAB+C14SO4 エタノール溶液を、織物上に徐々に注いだ。回転サイクルが終了した後、RMCを測定した。結果を図14に示す。図14に示すように、SDSに対し適用されたDODAB+C14SO4を用いると、綿織物のRMCは93.5%(純水)から68.5%まで減少した。標準であるTIDE(登録商標)の150ppm(洗浄サイクルから最終のすすぎサイクルへの液体TIDE(登録商標)のキャリーオーバー量)と比較して、RMCは87.75%から68.5%まで減少した。これはTIDE(登録商標)キャリーオーバー標準と比較して、ほぼ22%の減少である。しかしながら、これは純水標準と比較して、26.7%の減少である。RMCの有意な減少の結果、本発明はエネルギーを節約し、乾燥コストを節約する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1A】本発明の過渡的な表面張力機構の概略図。
【図1B】本発明の過渡的な表面張力機構の概略図。
【図1C】本発明の過渡的な表面張力機構の概略図。
【図2】本発明の第1の代表的な実施形態による、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(C16TAB)の溶液に添加されたテトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図3】本発明の第2の代表的な実施形態による、C16TABに添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図4】本発明の第3の代表的な実施形態による、様々な界面活性剤に添加されたC14SO4を含む代表的な界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図5】本発明の第4の代表的な実施形態による、様々な界面活性剤に添加されたC14SO4を含む代表的な界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図6】本発明の第5の代表的な実施形態による、様々な界面活性剤に添加されたC14SO4を含む代表的な界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図7】本発明の第6の代表的な実施形態による、様々な界面活性剤に添加されたC14SO4を含む代表的な界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図8】本発明の第7の代表的な実施形態による、ステアリン酸に添加された25の臭化テトラデシルトリメチルアンモニウムを含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図9】本発明の第8の代表的な実施形態による、分子比1:10のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図10】本発明の第9の代表的な実施形態による、分子比1:5のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図11】本発明の第10の代表的な実施形態による、分子比1:3のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図12】本発明の第11の代表的な実施形態による、分子比1:2のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図13】本発明の第12の代表的な実施形態による、分子比1:5のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図14】様々な対照と比較して残留湿分含量(RMC)を有意に減少させる本発明の一実施形態を実証するRMC結果を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は界面活性剤及び共界面活性剤を含有する界面活性剤系を用いて、織物から液体を抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に、洗浄サイクルの終わりに、例えば、衣類、リネンなどの織物に残る液体の含量が、消費者の織物の束を乾燥するのに必要な時間及びエネルギーを決定する。洗濯物の乾燥における時間及びエネルギーの削減は、消費者には大きな関心であった。洗濯物の乾燥における真の挑戦は、平均的な消費者の織物の束の乾燥時間及びエネルギーにおいて所望の削減を達成することであるが、この織物は異なる保水特性を有する様々な織物の種類を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
洗浄サイクルの終わりに織物に残る液体を減少させる従来の試みは、指定された試薬の付着によって織物をより吸収性でなくする修飾、又は織物の表面に影響を与える修飾に向けられたものである。しかしながら、織物表面の修飾によって他の望ましくない織物特性が生じることは多く、また、消費者によって望まれる乾燥時間及びエネルギーの理想的な削減を達成できないことが多い。したがって、洗浄サイクルの終わりに衣類、リネンなどの織物に残る液体の量を効果的に低減する継続的な必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の液体含量を有する織物から液体を抽出する方法は、織物上の液体の気液界面に1つ以上の界面活性剤を含有する界面活性剤表面層を生成する工程を含む。ここで、この表面層は第1の表面張力を有する。次いで、この界面活性剤と異なる1つ以上の共界面活性剤が添加される。界面活性剤及び共界面活性剤は実質的な鎖長互換性を有する。共界面活性剤は、気液界面における表面張力を、減少した表面張力値まで減少させる。次いで、織物の液体含量を第1の液体含量から第2の液体含量まで減少させるために、織物は一定の時間に渡って機械的抽出にさらされる。一実施形態では、界面活性剤はカチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を含み、共界面活性剤は、このカチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤のうちの他方を含むように反対に帯電している。別の実施形態では、共界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含み、界面活性剤はイオン性界面活性剤を含む。さらに別の実施形態では、共界面活性剤はイオン性界面活性剤を含み、界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含む。共界面活性剤は、アルコールなどの有機溶媒を含有する溶液に添加され得る。特定の一実施形態では、界面活性剤は約1:10〜約1:3の分子比でテトラデシル硫酸ナトリウム及び臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウムを含有する。また、共界面活性剤は約1mM〜約5mMのテトラデシル硫酸ナトリウムを含有する溶液によって与えられる。
【0005】
減少した表面張力値は、0.5mN/m〜3mN/mである。好適な一実施形態では、減少した表面張力値は、0.5〜1.0mN/mの間である。一実施形態では、この方法は洗濯機において実行され、好適には、この洗濯機は所定の時間に自動的に界面活性剤溶液を分配する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書には、「X〜Y」又は「約X〜約Y」の形式で書かれているとき、全範囲の数が本明細書に明らかに書かれているかのように組み込まれ含まれる。本明細書の全体を通
じて与えられる全ての限界は、全てのより低い限界を、或いは場合によっては全てのより高い限界を、そうしたより低い限界又はより高い限界が本明細書に明らかに書かれているかのように含むことが理解される。本明細書の全体を通じて与えられる全ての範囲は、そうしたより広い範囲内にある全てのより狭い範囲を、そうしたより狭い範囲が本明細書に明らかに書かれているかのように含む。
【0007】
第1の液体含量を有する織物から液体を抽出する方法は、織物上の液体の気液界面に界面活性剤を含有する界面活性剤表面層を生成する工程を含む。ここで、この表面層は第1の表面張力を有する。この界面活性剤と異なる1つ以上の共界面活性剤が添加される。ここで、界面活性剤及び共界面活性剤は実質的な鎖長互換性を有する。界面活性剤及び共界面活性剤は、好適には、反対に帯電している。共界面活性剤は気液界面における表面張力を一定の時間に渡って減少させる。次いで、織物の液体含量を第1の液体含量から第2の液体含量まで減少させるために、この一定の時間に渡って織物は機械的抽出にさらされる。界面活性剤及び共界面活性剤の両方は、各々2以上の界面活性剤を含有することが可能である。
【0008】
本願発明者らは、驚くべきことに、その表面が界面活性剤層によって覆われている物品(例えば、織物)を有するバルク溶液中へ適切な第2の界面活性剤(即ち、共界面活性剤)を導入することによって、第1の界面活性剤の表面張力の減少を生じる、界面活性剤層との相互作用が提供されることを発見した。この結果として得られる界面活性剤及び共界面活性剤によって提供される表面張力は、いずれかの界面活性剤によって個々に達成され得る表面張力より低い。この相互作用は、静電気的相互作用に基づくクーロン相互作用であると考えられる。この相互作用は、実行された一部の初期の概念実証実験において使用されたシリンジを用いてなど、第1の界面活性剤の表面層を機械的に貫通することによって提供され得るが、本願発明者らは、単にバルク溶液に適切な共界面活性剤を添加することによって一般に表面張力に所望の減少を生じることが可能であり、界面活性剤層下に機械的に共界面活性剤を導入する必要が除去されることを発見した。これによって、洗濯機における使用を含め、本発明の規模の拡大が可能となる。
【0009】
好適な一実施形態では、界面活性剤及び共界面活性剤は反対に帯電した界面活性剤である。しかしながら、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との対を用いて表面張力減少が生じることが示されている。例えば、ドデシル又はテトラデシル硫酸塩界面活性剤分子による長鎖アルコール表面層を用いて、表面張力減少が実現されている。
【0010】
本明細書では表面層が一般に界面活性剤層であるように示すが、表面層は他の種類の被膜を含むことが可能である。例えば、被膜は、コレステロール及びエルゴステロールなど、主にステロイド族の不飽和固体アルコールである。コレステロール表面層に関する実施例は、以下の実施例に記載する。
【0011】
界面活性剤は、一般に、その頭部に形式的な帯電した基の存在によって分類される。非イオン性界面活性剤は、その頭部に荷電基を有しない。イオン性界面活性剤の頭部は実効電荷を有する。電荷が負である場合、界面活性剤は特にアニオン性と呼ばれる。電荷が正である場合、それはカチオン性と呼ばれる。界面活性剤が2つの反対に帯電した基を有する頭部を含む場合、それは両性イオン性と呼ばれる。
【0012】
本明細書において用いられる「界面活性剤及び共界面活性剤は反対に帯電している」の句は、界面活性剤と共界面活性剤との間に静電引力が存在するようにカチオン/アニオンの対、又は1つの両性イオンと他方のもう1つの両性イオン、即ち、アニオン又はカチオン性界面活性剤を与える、界面活性剤/共界面活性剤として規定される。しかしながら、上述のように、一定の非イオン性/イオン性界面活性剤対においては、表面張力を低下さ
せる相互作用が観察されている。適切な非イオン性界面活性剤は、有意な双極子を与える化学種である傾向があるか、或いはイオン性界面活性剤などによって誘起される有意な双極子を有することが可能である。
【0013】
本発明による好適な界面活性剤系は、気液界面にて表面張力を有意に減少させる相乗効果を生成する、静電相互作用、疎水性相互作用、又はその両方を有する界面活性剤を提供する。さらに、それぞれの界面活性剤間に「実質的な鎖長互換性」が存在するとき、改良された静電引力が生じることが見出されている。本明細書において規定される「実質的な鎖長互換性」は、それらの間が8炭素単位内である界面活性剤を表す。主界面活性剤の長さに近い共界面活性剤の使用は、2つの界面活性剤の鎖長に沿って静電引力が存在し、2つの界面活性剤間の鎖間相互作用を強化するように、一般に鎖長互換性の相乗効果を強化する。好適な一実施形態では、鎖長の差は6未満、より好適には4未満、また最も好適には2未満である。
【0014】
本発明の一実施形態では、界面活性剤及び共界面活性剤は洗浄工程中に利用される。この洗浄工程は、一般に回転段階などの機械的抽出手段を有する洗濯機の使用によって実施される。本明細書において用いられる「減少した第2の液体含量」は、機械的抽出手段単独の使用によって達成されるよりも少ない液体含量(単なる水)を意味し、残余湿分含量(RMC)における10%以上の減少として測定される。好適な一実施形態ではRMC減少は20%以上であり、最も好適な一実施形態では30%以上の減少である。
【0015】
本明細書において用いられる「織物」は、次に限定されないが絹、羊毛、綿、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ライクラ(lycra;登録商標)、及びスパンデックスを含む、天然、合成、及び天然/合成混合の素材を表す。
【0016】
本明細書において用いられる「液体」は、室温(約0℃〜約60℃)にて液体の形態を有することの可能な、又は雰囲気温度及び圧力にて、例えば、25°C及び圧力101kPa(1atm)にて、液相及び気相の混合物からなることの可能な任意の水系材料を表す。本明細書において用いられる「液体」は、さらに、純粋な液体、溶液、又は水など水性材料中の固体のコロイド懸濁液を表す。
【0017】
本明細書において用いられる「液体含量」は、織物の織り又はボイド空間などの構造において間隙に保持される液体を表す。液体含量は、飽和から乾燥までの範囲であってよい。本明細書において用いられる「乾燥」は、触れたときに全く湿気を感じない織物を表す。本明細書において用いられる「飽和」は、その織物の最大の液体含量を有する織物を表す。
【0018】
本明細書において用いられる「有効量」は、織物から抽出される水の量など、利用されたときに認知可能な利益を与える材料又は添加剤の量を表す。
典型的な洗濯機の洗浄工程は次の段階を含む。第1に、洗濯機は、所望の織物が充填された後、「洗浄段階」を有する。本明細書において用いられる「洗浄段階」は、洗濯機が所定容積まで水を充填し、所定時間に渡って撹拌し、洗浄液を排出し、次いで洗濯機が織物を回転させる段階を表す。本明細書において用いられる「すすぎ段階」は次段階を表す。この段階では、洗濯機は所定容積まで水を充填し、所定時間に渡って撹拌し、次いで洗濯機が織物を回転させるときに水を排出する。洗浄段階及びすすぎ段階中、織物は洗濯液によって濡れ、第1の液体含量を有する。すすぎ段階の回転及び排出部分中、一部の洗濯機は織物上に少量の水を滴下する。本明細書において用いられる「散水(splash)」は、すすぎ段階中に織物上に滴下されるが洗濯機中に保留又は保持されない水を表す。すすぎ段階後、さらに織物から液体含量を除去するための一種の機械的抽出手段が用いられてもよい。特許請求の範囲に記載の本発明の方法は、洗濯機とは別の機械的抽出手段や
洗濯機の一部として組み込まれた機械的抽出手段を包含することが意図される。本明細書において用いられる「回転段階」は、洗濯機が機械的抽出手段を組込む段階を表す。減少した第2の液体含量は、回転段階の終わりに測定されてもよい。代表的な一実施形態は、洗濯機へ水を追加することのない、所定時間に渡る洗濯機回転サイクルを含む。
【0019】
本発明の方法において利用される界面活性剤表面層は、洗浄工程中の任意の時に、織物の織り又はボイド空間などの構造において間隙に保持される液体含量の気液界面にて生成されてよい。代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層は洗浄段階中に気液界面にて生成される。別の代表的な実施形態では、界面活性剤表面層はすすぎ段階中に気液界面にて生成される。代替の一実施形態では、界面活性剤表面層は、回転段階の直前など、任意の機械的抽出の直前に気液界面にて生成される。さらに別の代替の実施形態では、界面活性剤表面層は、すすぎ段階の散水部分中に気液界面にて生成される。本発明のさらにまた別の実施形態では、界面活性剤表面層は回転段階中に気液界面にて生成されてよい。代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層はこれらの段階のうちの任意の段階にて、1投入量(one dose)形態の添加によって生成される。
【0020】
同様に、共界面活性剤は洗濯工程中の任意の時に添加されてよい。代表的な一実施形態では、共界面活性剤は界面活性剤単層が生成された後に添加される。別の代表的な実施形態では、共界面活性剤は洗浄段階中に第1の液体含量を有する織物と接触させられる。別の代表的な実施形態では、共界面活性剤は、すすぎ段階中に第1の液体含量を有する織物と接触させられる。代替の一実施形態では、共界面活性剤は任意の機械的抽出の直前、例えば、代表的な一実施形態では回転段階の直前に、第1の液体含量を有する織物と接触させられる。さらに別の代替の実施形態では、共界面活性剤は、すすぎ段階の散水部分中に第1の液体含量を有する織物と接触させられる。共界面活性剤は、これらの段階のうちの任意の段階にて1投入量形態によって添加されてよい。
【0021】
これらの段階のうちの任意の段階中の界面活性剤層と共界面活性剤との相互作用によって、機械的抽出手段が適用されるときに織物の減少した第2の液体含量が生じると考えられる。当業者には、共界面活性剤が液体含量(即ち、織物の織り又はボイド空間などの構造において間隙に保持される液体)に位置することが認識される。代替の一実施形態では、共界面活性剤は洗浄工程の段階のうちの一段階中に織物上に適用される。
【0022】
この方法は、さらに、織物を機械乾燥、空気乾燥、又はその組み合わせにさらす工程を含み得る。本明細書において用いられる「空気乾燥」は、ライン乾燥など屋内又は屋外の乾燥を含む。代表的な機械乾燥手段は、商用又は家庭用乾燥機において発生するものなど、真空乾燥又は熱乾燥を含む。
【0023】
理論によって限定されるものではないが、気液界面における表面張力の役割は本発明方法における重要な側面であると考えられる。洗浄工程の回転サイクル中の液体含量の量の減少は、織物の乾燥時間の減少に相当すると考えられる。気液界面の表面張力を減少させることによって、洗浄工程の回転サイクルにおいて同じ遠心力を適用しつつ、織物からより多くの液体含量を除去することが可能であると考えられる。
【0024】
液体含量は、洗濯液の気液界面における表面張力に直接的に比例する。従来の界面活性剤系では、界面活性剤の濃度が増大するにつれ、気液界面における表面張力は溶液の臨界ミセル濃度(CMC)に到達するまで低下する。CMCに到達した後、通常、気液界面における表面張力は一定に留まる。やはり理論に束縛されようとするものではないが、通常、液体含量は表面張力の減少につれて減少すると考えられるので、液体含量はこの傾向(即ち、CMCに到達するまで低下し、次いで、界面活性剤のCMCに到達した後、一定に留まる)に従う。
【0025】
上述のように、一旦CMCに到達すると、通常、気液界面における表面張力は一定に留まる。フッ素界面活性剤、シロキサン界面活性剤又はその両方により達成される最低の平衡気液表面張力は、ほぼ15〜20mN/mである。他の一般的な典型界面活性剤については、気液表面張力はより高く、通常、20mN/mより高い。本発明は、これらの一般的な典型界面活性剤の気液界面における表面張力より有意に低い表面張力を生成することによって、織物から液体を抽出する方法を含む。理論によって限定されるものではないが、気液界面の表面張力の減少は、界面活性剤表面層を生成し、次いで、表面層と共界面活性剤とを相互作用させることによって達成されると考えられる。
【0026】
表面層は単層であり得る。本明細書において用いられる用語「単層」は、界面における界面活性剤の単分子厚の吸着層を表す。気液界面にて吸着される単層の場合、表面張力は有意に変更され得る。本発明では、単層形成の場合、単層は液体含量の気液界面に存在する。
【0027】
代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層は、界面活性剤を溶媒中に溶解し、次いで、溶解した界面活性剤を液体含量の気液界面の上に展開することによって生成される。次いで、溶媒が蒸発し、界面活性剤は平衡に到達し、図1Aに示すような表面層を形成する。エス.ワイ.シャイアオ(S.Y.Shaiao)らによって言及されているように(Advances in Colloid and Interface Science、1998年、第74巻、p.1〜29)、鎖長のマッチしていない界面活性剤を界面活性剤単層へ添加することによって過剰な炭化水素尾部を生じ、分子の充填を妨げて、相互作用エネルギーを低下させ得る過飽和期間と、その結果として得られる表面張力の減少とを生成することが可能である(図1B)。気液界面が平衡するにつれ(図1C)、表面張力は増大する。理論に限定されるものではないが、界面活性剤の表面活性のために、気液界面は過飽和となり、次いで、平衡し得ると考えられる。
【0028】
本発明の代表的な一実施形態では、約10秒〜約3,000秒の範囲の時間に渡って共界面活性剤が界面活性剤表面層と相互作用した後、気液界面の表面張力は減少する。代替の一実施形態では、300秒以上の時間に渡って、代替では900秒以上の時間に渡って、本発明の方法によって表面張力が減少する。さらに別の代替の実施形態では、1,000秒以上の時間に渡って表面張力が減少する。
【0029】
[界面活性剤表面層]
一実施形態では、本発明の方法において用いられる界面活性剤表面層及び共界面活性剤は、液体含量の表面張力を約20mN/m〜約1mN/mの範囲まで減少させることが可能であり、代替の一実施形態では、約10mN/m〜約1mN/mまで、さらなる代表的な一実施形態では、約5mN/m〜約1mN/mまで減少させることが可能である。理論によって限定されるものではないが、織物の織り又はボイド空間において毛管力によって間隙に捕捉されている液体含量(即ち、液体含量)の表面張力の減少は、同じ量の機械的抽出によって織物から除去されているより大きな体積の液体含量を生じる。織物における残留水を減少させるための従来の手法と異なり、界面活性剤表面層及び共界面活性が、すすぎサイクル後に織物表面又は繊維に沈着又は付着される必要はない。したがって、本発明の界面活性剤表面層及び共界面活性剤は、織物の表面特性を修飾する必要がなく、織物繊維における液体(即ち、液体含量)の特性を変更する有益な試薬を包含する。代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層及び共界面活性剤は洗浄工程中に添加されるときに余分な泡を発生しないので、織物は発生する泡を除去するために追加の液とさらに接触される必要がない。
【0030】
一実施形態では、界面活性剤表面層を選択することによって、一般的な消費者条件下の
洗濯方法へ最小量の材料しか添加せずに表面張力減少を最適化する。理論に限定されるものではないが、混合表面層は頭部基の間の静電相互作用のために表面層においてより密な充填を形成する場合があると考えられる。代表的な一実施形態では、有効量の界面活性剤表面層が消費者の織物の束の全体を通じて生成されるように、界面活性剤は、洗浄段階又はすすぎ段階において所定容積の液体に充分に分散される。
【0031】
本発明の代表的な一実施形態では、界面活性剤単層及び共界面活性剤は反対に帯電している。理論に限定されるものではないが、この反対の電荷によってより密な充填が生じ、気液界面における表面張力を低下させると考えられる。
【0032】
[界面活性剤]−本発明による代表的な界面活性剤及び共界面活性剤の成分は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、両性イオン性、及び半極性非イオン性の界面活性剤から選択される1つ以上の界面活性剤、アルキルアルコールなど他の補助剤、又はこれらの混合物を含有する界面活性剤又は界面活性剤系を含んでよい。アニオン性界面活性剤の非限定的な例には、中鎖分岐アルキル硫酸塩、修飾直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、直鎖・分岐鎖アルキル硫酸塩、直鎖・分岐鎖アルキルアルコキシ硫酸塩、及び脂肪カルボン酸塩が含まれる。非イオン性界面活性剤の非限定的な例には、アルキルエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、及びアルキルグリコシドが含まれる。他の適切な界面活性剤には、アミンオキシド、第4級アンモニウム界面活性剤、及びアミドアミンが含まれる。
【0033】
[アニオン性界面活性剤]
本明細書において有用なアニオン性界面活性剤の非限定的な例には次が含まれる。C8〜C18のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS);C8〜C22の第1級分岐鎖・ランダムアルキル硫酸塩(AS);C8〜C22の第2級(2,3)アルキル硫酸塩;C8〜C22のアルキルアルコキシ硫酸塩(AExS)、ここでxは1〜30である;1〜5のエトキシ単位を含むC8〜C22のアルキルアルコキシカルボン酸塩;米国特許第6,020,303号明細書及び米国特許第6,060,443号明細書に記載の中鎖分岐アルキル硫酸塩;米国特許第6,008,181号明細書及び米国特許第6,020,303号明細書に記載の中鎖分岐アルキルアルコキシ硫酸塩;国際公開第99/05243号パンフレット、国際公開第99/05242号パンフレット、及び国際公開第99/05244号パンフレットに記載の修飾アルキルベンゼンスルホン酸塩(MLAS);メチルエステルスルホン酸塩(MES);及び、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。代表的な1つのアニオン性界面活性剤は、テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)である。
【0034】
[非イオン性界面活性剤]
非イオン性界面活性剤の非限定的な例には次が含まれる。シェルによるNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤など、C8〜C22のアルキルエトキシレート;C6〜C12のアルキルフェノールアルコキシレート、ここでアルコキシレート単位はエチレンオキシ単位及びプロピレンオキシ単位の混合である;C8〜C22のアルコール及びC6〜C12のアルキルフェノールとBASFによるPLURONIC(登録商標)などエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルポリアミンエトキシレートとの縮合物;米国特許第6,150,322号明細書に記載のC14〜C22の中鎖分岐アルコールであるBA;米国特許第6,153,577号明細書、米国特許第6,020,303号明細書、及び米国特許第6,093,856号明細書に記載のC14〜C22の中鎖分岐アルキルアルコキシレートであるBAEx、ここでxは1〜30である;レナド(Llenado)による1986年1月26日発効の米国特許第4,565,647号明細書に記載のアルキルポリサッカライド;特に、米国特許第4,483,780号明細書及び米国特許第4,483,779号明細書に記載のアルキルポリグリコシド;米国特許第5
,332,528号明細書に記載のポリヒドロキシ脂肪酸アミド(GSベース);並びに、米国特許第6,482,994号明細書及び国際公開第01/42408号パンフレットに記載のエーテルキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤。
【0035】
[カチオン性界面活性剤]
カチオン性界面活性剤の非限定的な例には次が含まれる。第4級アンモニウム界面活性剤、これは、次を含む26個までの炭素原子を有し得る:米国特許第6,136,769号明細書に記載のアルコキシレート第4級アンモニウム(AQA)界面活性剤;米国特許第6,004,922号明細書に記載のジメチルヒドロキシエチル第4級アンモニウム;国際公開第98/35002号パンフレット、国際公開第98/35003号パンフレット、国際公開第98/35004号パンフレット、国際公開第98/35005号パンフレット、及び国際公開第98/35006号パンフレットに記載のポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号明細書、米国特許第4,239,660号明細書、米国特許第4,260,529号明細書、及び米国特許第6,022,844号明細書に記載のカチオン性エステル界面活性剤;並びに、米国特許第6,221,825号明細書及び国際公開第00/47708号パンフレットに記載のアミノ界面活性剤、特に、アミドプロピルジメチルアミン(APA)。
【0036】
[両性イオン性界面活性剤]
両性イオン性(両性)界面活性剤の非限定的な例には、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、コカミドDEA、及びコカミドTEAが含まれる。
【0037】
[界面活性高分子]
上述の非高分子界面活性剤の他、本発明による界面活性剤は、界面活性高分子であることも可能である。界面活性高分子には、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリアルキルアミン(PAH)が含まれる。
【0038】
[補助剤材料]
さらに、共界面活性剤は、織物の高速な乾燥以外のさらなる利益を与えるため、補助剤材料を含んでもよい。これらの追加成分の正確な性質及びその組込の程度は、共界面活性剤の物理的な形態及びそれが用いられる性質に依存する。適切な補助剤材料には、以下に限定されないが、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤、織物柔軟剤、耐摩耗剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、及び顔料のうちの1つ以上、並びに他の織物保護剤が含まれる。以下の開示に加えて、他のそうした補助剤の適切な例及び使用のレベルは、米国特許第5,576,282号明細書、米国特許第6,306,812号B1明細書、及び米国特許第6,326,348号B1明細書に見出される。
【0039】
[表面張力補助剤]
本発明においては、本発明の所望の結果と、界面活性剤表面層・共界面活性剤系の性能における補助との達成を補助する表面張力補助剤を用いることが所望される場合がある。理論によって限定されるものではないが、そうした補助剤は、所望の界面(例えば、水/空気)における共界面活性剤と界面活性剤表面層との充填を改良し得る。
【0040】
[泡抑制剤]
本発明においては、過剰な発泡を防止するために泡抑制剤を用いることが所望される場合がある。本明細書において用いられる「過剰な発泡」は、すすぎの終わりに衣服上に目に見える泡が形成されていること、或いは「泡ロッキング」として参照される現象である
、洗濯槽の回転動作を妨げる生じた泡(泡)を表す。種々様々の材料が泡抑制剤として用いられてよく、泡抑制剤は当業者には知られている。例えば、カーク・オスマー化学工学百科事典(Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、第7巻、p.430〜447(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社、1979年)を参照のこと。また、本発明は、非界面活性剤泡抑制剤を含んでもよい。これらには、例えば、次が含まれる。高分子量炭化水素、N−アルキル化アミノトリアジン、モノステアリルリン酸塩、シリコーン泡抑制剤、第2級アルコール(例えば、2−アルキルアルカノール)、及びそうしたアルコールとシリコーンオイルとの混合物。炭化水素泡抑制剤は、例えば、ガンダルフォ(Gandolfo)らに対し1981年5月5日に発効の米国特許第4,265,779号明細書に記載されている。シリコーン泡抑制剤は当該技術分野において知られており、例えば、ガンダルフォらに対し1981年5月5日に発効の米国特許第4,265,779号明細書、及び欧州特許第354016号明細書に開示されている。アルコールとシリコーンオイルとの混合物は米国特許第4,798,679号明細書、米国特許第4,075,118号明細書、及び欧州特許第150,872号明細書に記載されている。前述のすべての泡抑制剤の追加の例は、国際公開第00/27958号パンフレットに見出される場合がある。
【0041】
本発明の代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層は単一の界面活性剤を含有する。代表的な界面活性剤には、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(C16TAB)、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム(DDAB);及び、臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)が含まれる。本発明の別の実施形態では、界面活性剤表面層は混合界面活性剤系を含む。代表的な混合界面活性剤層は、テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)とDODABとを含有する。本発明の代表的な一実施形態では、混合界面活性剤表面層は、表面層に約1:10〜約10:1の範囲の分子比でC14SO4:DODABを含む。
【0042】
代替の一実施形態では、表面層におけるC14SO4:DODABの分子比は、約1:10〜約1:3の範囲である。表面層におけるC14SO4:DODABの特定の代表的な1つの分子比は、約1:5である。
【0043】
本発明の別の実施形態では、共界面活性剤はアニオン性界面活性剤を含む。代表的な1つのアニオン性共界面活性剤は、テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)である。代表的な一実施形態では、共界面活性剤は約0.1mM〜約50mMの濃度のC14SO4を含有する;これに代えて、共界面活性剤(C14SO4)の濃度は約4mMである。
【0044】
本発明の一実施形態では、与えられる共界面活性剤の量は、織物における全液体表面積の各m2について約0.1mmol〜約5mmolである;これに代えて、与えられる共界面活性剤の量は、織物における全液体表面積の各m2について約3.3mmolである。
【0045】
代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層成分は1種以上の溶媒へ溶解される。当業者には認識されるように、本発明において任意の相溶する溶媒が利用されてよく、それによって、界面活性剤表面層が織物における液体の気液界面上に生成されることが可能となる。代表的な溶媒は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、クロロホルム、ヘキサンなど、一般に有機溶媒である。有機溶媒は水と混合され得る。用途における装置及び条件との適合性によって、これらの溶媒のうちのいずれかの使用が制限される場合があることが理解される。
【0046】
代表的な一実施形態では、洗濯機系において、共界面活性剤は洗濯用洗剤、織物柔軟剤中に存在してもよく、或いは、すすぎ段階又は回転段階など洗浄段階のうちの一段階の一
部として添加されることも可能である。代表的な一実施形態では、界面活性剤表面層は、回転段階中に織物上に噴霧その他の手段によって与えられ、界面活性剤表面層が液体含量の気液界面上に形成されることを可能とする。別の代表的な実施形態では、界面活性剤表面層は回転段階中に生成される。
【0047】
当業者によって認識されるように、本発明は、油回収において、また半導体、セラミックス、金属、ガラス、プラスチック、シリコンウエハ及びレーザディスクの表面の乾燥においてなど、織物以外の表面から液体を除去するのに有用であり得る。本発明の代表的な一実施形態は、第1の量の液体を有する表面から液体を除去する方法を含む。この方法は、表面上の液体の気液界面に界面活性剤表面層を生成する工程と、この界面活性剤表面層は第1の表面張力を有し、フッ素界面活性剤又はシリコーン界面活性剤を含まないことと;フッ素界面活性剤又はシリコーン界面活性剤を含まない共界面活性剤を界面活性剤表面層へ添加する工程と、一定の時間に渡って気液界面における第1の表面張力を減少させることと;第1の液体量を第2の液体量まで減少させるために、この一定の時間に渡って表面を機械的抽出にさらす工程と、を含む。
【0048】
本発明の別の代表的な実施形態は、液体の表面張力を減少させる方法である。この方法は、液体の気液界面に界面活性剤表面層を生成する工程と、この界面活性剤表面層は第1の表面張力を有し、フッ素界面活性剤又はシリコーン界面活性剤を含まないことと;一定の時間に渡って気液界面における第1の表面張力を約17.5mN/m〜約1mN/mまで減少させるために、フッ素界面活性剤又はシリコーン界面活性剤を含まない共界面活性剤を界面活性剤表面層へ添加する工程と、を含む。
【0049】
新規な洗濯機設計は簡便に本発明を実装することが可能である。本発明による洗濯機は、界面活性剤溶液を保持するために1つ以上の貯蔵部、また一般には2つ以上の貯蔵部を備える。プロセッサ又はシークエンサーは、それぞれの界面活性剤溶液を分配するための適切な時間を決定する。界面活性剤は重力で供給されることも可能であり、重力での供給が所望されない場合、ポンプが提供されることも可能である。代表的な一実施形態では、洗浄される織物が洗濯機に加えられる。次いで、織物は、SDSなど、水と共に第1の界面活性剤溶液を自動的に分配することによって、予浸される。次いで、水のうちの一部を除去するために、高速回転サイクルが開始される。次いで、回転サイクルにおいて高速であるあいだ、0.1wt% DODAB及びC14SO4 エタノール溶液など、第2の界面活性剤溶液が自動的に分配される。
【0050】
[実施例]
以下に記載の実施例は説明目的でのみ与えられるものであり、本発明の範囲を如何様にも規定するものではないことが理解される。
【0051】
[試験方法]
本発明の表面張力測定は、ウィルヘルミ・プレート法を用いて行われる。板を保持しているグラム重量センサからの出力は、トランスデューサへ送信され、次いで電圧読取りへ出力される。この系は、2つの既知の溶液(72.5mN/mの水及び23mN/mのアセトン)を用いて較正する。白金板は、任意の表面不純物を除去するために、各読取り値間のトーチを用いて加熱される。残留湿分含量(RMC)を測定するために、最初に乾燥時の織物試料が秤量され、次いで、織物試料は溶液中において10分間浸漬され、10分間遠心分離機にかけられる。遠心分離管は銅挿入物を有する。銅挿入物は、遠心分離管中に落下するのを防止するため、1つの閉鎖端と、1つの開口端とを有する。銅挿入物は、挿入物を通じて収集管へ水の排出が可能となるように、自身を通じる約4.76mm(3/16インチ)の孔を有する。
【0052】
織物を遠心分離機にかけた後、残留湿分含量(RMC)を決定するために重量が測定される。単層貫通の表面張力測定値は、DATAQインスツルメントより入手可能なデータ収集カードを用いて電圧出力を収集する以外、上述の同じウィルヘルミ・プレート法を用いて得られる。このカードは、時間の関数として表面張力を測定及び記録することを可能とする(毎秒ほぼ40回)。
【0053】
[実施例1]
この実験では、テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)共界面活性剤を臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(C16TAB)の溶液と共に用いる。3.68mMの臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(C16TAB)溶液を調製した。10mLのC16TAB溶液を用いて、異なる量(250μL、500μL、750μL及び1000μL)の4mMのC14SO4を、C16TAB溶液の気液界面の下に注入した。表面張力は、図2に示すような時間の関数として測定される(毎秒ほぼ40回)。得られる最低の表面張力は〜20mN/mである。理論によって限定されるものではないが、C16TABはバルク溶液中に存在し表面層を形成しないので、系に注入される任意のC14SO4は、気液界面を区分するのではなく、即座にバルク界面活性剤と相互作用すると考えられる。
【0054】
[実施例2]
この実験では、C16TAB表面層を蒸留水上に生成した。増大する量のC14SO4は表面層の下に注入され、表面張力は時間の関数として測定される(毎秒ほぼ40回)。最初に、体積比3:1:1のヘキサン、クロロホルム、メタノールからなる混合物に0.1wt%のC16TABを溶解することによって、表面層を生成した。得られた溶液のうちの5μLを5mLの蒸留水の表面に配置した。溶媒(ヘキサン、クロロホルム、メタノール)を留去すると、C16TAB単層が残った。次いで、増大する量(250μL、500μL、750μL、1000μL)の4mMのC14SO4を単層の下に注入した。表面張力は図3に示すような時間の関数として測定される。750Lの4mMのC14SO4を用いると、17.5mN/mの過渡的な低い表面張力が約20秒間得られた。
【0055】
理論によって限定されるものではないが、C14SO4が溶液に注入されると、C16TAB及びC14SO4の両方による表面の過飽和によって、表面張力を減少させると考えられる。次いで、溶液が平衡するにつれ、表面張力は増大する。
【0056】
また、追加の界面活性剤単層も研究した。図4には、アラキジルアルコール(C20OH)の表面層と相互作用するように添加されたC14SO4における表面張力を示す。図5には、コレステロール表面層と相互作用するC14SO4における表面張力を示す。図6には、臭化ジドデシルジメチルアンモニウムの表面層と相互作用するC14SO4における表面張力を示す。また、図7には、臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)の表面層と相互作用するC14SO4における表面張力を示す。図8には、ステアリン酸表面層と相互作用する臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム(C14TAB)における表面張力を示す。これらの図に示すように、本質的に水に不溶な帯電した界面活性剤によって、最低の表面張力が生じる。表面層がわずかに可溶である系においては、界面活性剤は気液界面を離脱し、表面張力は増大する。表面層が不溶であるとき、界面活性剤は気液界面に留まり、反対に帯電した界面活性剤を引きつけて、表面張力の大きな変化を引き起こす(C14SO4及びDODAB系において、〜13.5mN)。
【0057】
[実施例3]
この実験では、混合界面活性剤表面層を示し、界面活性剤の頭部基の間の静電相互作用による充填を観察する。テトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)と臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)とを用いた。分子比1:10,1:5,1:
3,1:2のC14SO4:DODAB単層を研究した。表面層を調製するための手順は、実施例2に記載したものと同様である。
【0058】
図9には、C14SO4の注入された、分子比1:10のC14SO4:DODAB表面層の結果を示す。示すように、分子比1:10のC14SO4:DODAB表面層の系は、19mN/mと低い表面張力を生じる。図10には、C14SO4の注入された、分子比1:5のC14SO4:DODAB表面層の結果を示す。示すように、分子比1:5のC14SO4:DODAB表面層において、表面層の下に1000LのC14SO4が注入されると、表面張力はほぼ8.5mN/mまで低下する。
【0059】
C14SO4:DODAB表面層の密な充填は、分子比1:3にて生じる。図11には、C14SO4の注入された、分子比1:3のC14SO4:DODAB表面層の結果を示す。示すように、分子比1:3のC14SO4:DODAB系における最小の表面張力は、分子比1:5のC14SO4:DODAB系ほど低くない。理論によって限定されるものではないが、これは1:3の分子比に達しようとする分子充填のためであると考えられる。より低いC14SO4:DODABの比(1:5の系)では、幾らか密な充填が存在する。この充填は、表面層の下により多くのC14SO4を添加することによって最適化され得る。4mMのC14SO4の添加によって、表面層の下のC14SO4の添加後、表面層に分子比1:3のC14SO4:DODABであると考えられるものを生じる。しかしながら、表面層が分子比1:3のC14SO4:DODABで既に最も密に充填されているとき、より多くのC14SO4が表面層を貫通して分子比1:5の系より高い表面張力を生じるのに充分な空間は、存在しないと考えられる。図12に示すように、より高い比のC14SO4:DODAB(1:2)を試験するとき、汎用溶媒を展開した後、表面層は存在しない。C14SO4は水に可溶であるので、表面層は、蒸留水上に展開されると、増大した量のC14SO4のため溶液に溶解され、これによって、C14SO4の添加とともに減少する、より高い表面張力(ほぼ水の表面張力)が生じる。
【0060】
[実施例4]
この実験では、実験3による分子比1:5のC14SO4:DODAB表面層を、さらに研究した。分子比1:5のC14SO4:DODAB単層と、共界面活性剤としての1000Lの4mM C14SO4とを用いて、図13に示すように、5回の反復を有する、より長い期間、実験を実行した。700秒を超える時間(〜12分)、〜8.5mN/mの最低表面張力が得られる。
【0061】
[実施例5]
この実施例は、小規模研究だった実施例1〜4と異なり、家庭の洗濯機において大規模に反復した。綿織物を最初にSDSの4mM溶液に浸漬した。次いで、この織物を洗濯機中に配置し、最終の回転サイクルを開始した。機械が完全な遠心分離速度に到達した後、回転サイクルが続くにつれ、別の界面活性剤溶液である、100mLの0.1wt/vol% DODAB+C14SO4 エタノール溶液を、織物上に徐々に注いだ。回転サイクルが終了した後、RMCを測定した。結果を図14に示す。図14に示すように、SDSに対し適用されたDODAB+C14SO4を用いると、綿織物のRMCは93.5%(純水)から68.5%まで減少した。標準であるTIDE(登録商標)の150ppm(洗浄サイクルから最終のすすぎサイクルへの液体TIDE(登録商標)のキャリーオーバー量)と比較して、RMCは87.75%から68.5%まで減少した。これはTIDE(登録商標)キャリーオーバー標準と比較して、ほぼ22%の減少である。しかしながら、これは純水標準と比較して、26.7%の減少である。RMCの有意な減少の結果、本発明はエネルギーを節約し、乾燥コストを節約する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1A】本発明の過渡的な表面張力機構の概略図。
【図1B】本発明の過渡的な表面張力機構の概略図。
【図1C】本発明の過渡的な表面張力機構の概略図。
【図2】本発明の第1の代表的な実施形態による、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(C16TAB)の溶液に添加されたテトラデシル硫酸ナトリウム(C14SO4)を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図3】本発明の第2の代表的な実施形態による、C16TABに添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図4】本発明の第3の代表的な実施形態による、様々な界面活性剤に添加されたC14SO4を含む代表的な界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図5】本発明の第4の代表的な実施形態による、様々な界面活性剤に添加されたC14SO4を含む代表的な界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図6】本発明の第5の代表的な実施形態による、様々な界面活性剤に添加されたC14SO4を含む代表的な界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図7】本発明の第6の代表的な実施形態による、様々な界面活性剤に添加されたC14SO4を含む代表的な界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図8】本発明の第7の代表的な実施形態による、ステアリン酸に添加された25の臭化テトラデシルトリメチルアンモニウムを含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図9】本発明の第8の代表的な実施形態による、分子比1:10のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図10】本発明の第9の代表的な実施形態による、分子比1:5のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図11】本発明の第10の代表的な実施形態による、分子比1:3のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図12】本発明の第11の代表的な実施形態による、分子比1:2のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図13】本発明の第12の代表的な実施形態による、分子比1:5のC14SO4:臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウム(DODAB)単層に添加されたC14SO4を含む界面活性剤系の表面張力特性を示す図。
【図14】様々な対照と比較して残留湿分含量(RMC)を有意に減少させる本発明の一実施形態を実証するRMC結果を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体含量を有する織物から液体を抽出する方法であって、
織物上の液体の気液界面に1つ以上の界面活性剤を含有する界面活性剤表面層を生成する表面層生成工程と、同界面活性剤表面層は第1の表面張力を有することと、
前記界面活性剤と異なる1つ以上の共界面活性剤を添加する共界面活性剤添加工程と、同共界面活性剤及び前記界面活性剤は実質的な鎖長互換性を有することと、同共界面活性剤は気液界面における表面張力を減少した表面張力値まで減少させることと、
一定の時間に渡って織物を機械的抽出にさらし、織物の液体含量を第1の液体含量から第2の液体含量まで減少させる機械的抽出工程と、からなる方法。
【請求項2】
前記界面活性剤はカチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を含み、かつ、前記共界面活性剤は同カチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤のうちの他方を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含み、かつ、前記界面活性剤はイオン性界面活性剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記共界面活性剤はイオン性界面活性剤を含み、かつ、前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記共界面活性剤は有機溶媒を含有する溶液に添加される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶媒はアルコールを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記界面活性剤は約1:10〜約1:3の分子比でテトラデシル硫酸ナトリウム及び臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウムを含有し、かつ、前記共界面活性剤は約1mM〜約5mMのテトラデシル硫酸ナトリウムを含有する溶液によって与えられる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記減少した表面張力値は0.5mN/m〜3mN/mである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記減少した表面張力値は0.5〜1.0mN/mの間である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
洗濯機において実行される請求項1に記載の方法。
【請求項1】
第1の液体含量を有する織物から液体を抽出する方法であって、
織物上の液体の気液界面に1つ以上の界面活性剤を含有する界面活性剤表面層を生成する表面層生成工程と、同界面活性剤表面層は第1の表面張力を有することと、
前記界面活性剤と異なる1つ以上の共界面活性剤を添加する共界面活性剤添加工程と、同共界面活性剤及び前記界面活性剤は実質的な鎖長互換性を有することと、同共界面活性剤は気液界面における表面張力を減少した表面張力値まで減少させることと、
一定の時間に渡って織物を機械的抽出にさらし、織物の液体含量を第1の液体含量から第2の液体含量まで減少させる機械的抽出工程と、からなる方法。
【請求項2】
前記界面活性剤はカチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を含み、かつ、前記共界面活性剤は同カチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤のうちの他方を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含み、かつ、前記界面活性剤はイオン性界面活性剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記共界面活性剤はイオン性界面活性剤を含み、かつ、前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記共界面活性剤は有機溶媒を含有する溶液に添加される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶媒はアルコールを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記界面活性剤は約1:10〜約1:3の分子比でテトラデシル硫酸ナトリウム及び臭化ジオクチルデシルジメチルアンモニウムを含有し、かつ、前記共界面活性剤は約1mM〜約5mMのテトラデシル硫酸ナトリウムを含有する溶液によって与えられる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記減少した表面張力値は0.5mN/m〜3mN/mである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記減少した表面張力値は0.5〜1.0mN/mの間である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
洗濯機において実行される請求項1に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−524463(P2008−524463A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547057(P2007−547057)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/046868
【国際公開番号】WO2006/066278
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(508055353)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション、インク. (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/046868
【国際公開番号】WO2006/066278
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(508055353)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション、インク. (10)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]