説明

繰り出し容器のガス抜き機構

【課題】溶融した内容物を容器本体の底部側から充填するような繰り出し容器について、固化した内容物中に気泡による空隙部を発生させることなく、固化した内容物を確実に保持できるようにする。
【解決手段】受筒3の外側にガイド筒4が設けられ、ガイド筒4の下部の外側にネジ筒5が設けられ、ネジ筒5の外側に外装体6が設けられ、外装体6の上端部に封止筒7が固着された繰り出し容器において、棒状の内容物を保持する平板状の台座部31を、受筒3の筒内に一体的に形成して、この台座部31の中央部に内容物を充填するための充填口35を開口させると共に、台座部31の周辺部にガス抜き用の通気口37を開口させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物である棒状の固形物を繰り出し・繰り入れ可能に収容する繰り出し容器に関し、特に、そのような繰り出し容器において、内容物を充填する際に発生する気泡を速やかに排出することで、冷却固化後の内容物中に気泡による空隙部が発生して内容物が脆くなるのを防止するための、繰り出し容器のガス抜き機構に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状化粧品(口紅等)の容器として、容器の外装部と棒状化粧品の保持部とを相対的に回転させることで、棒状化粧品を繰り出し・繰り入れできるような、繰り出し容器と言われる容器が従来から知られており、また、そのような繰り出し容器において、内容物を充填する際に発生する気泡を速やかに排出することで、冷却固化後の内容物中に気泡による空隙部(「鬆」と言われるもの)が発生するのを防止するため構造が、下記の特許文献1により従来公知となっている。
【0003】
すなわち、下記の特許文献1には、内周面に螺溝を刻設した直線円筒形状の外筒体と、上半分が化粧料の成形型面になる収納筒部となり下半分が縦長のガイド孔を有するガイド筒となる内筒体と、内筒体のガイド孔を貫いて外筒体の螺溝に螺合する螺合突片を外周面に突設し化粧料保持用の保持突片を内周面に設けた直線円筒形状の受皿体と、内筒体の収納筒部の上端開口部を開閉する有頂筒形状のキャップ体とを備えて、外筒体と内筒体とが回動自在で抜け出し不能に組付けられ、内筒体の内部に受皿体が昇降変位可能に組付けられた、底充填型の繰り出し容器が記載されている。
【特許文献1】特開平8−238125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来公知の底充填型の繰り出し容器では、化粧料を充填して冷却固化させる場合に、内筒体の内部で受皿体を下降限に位置させ、且つ、内筒体の収納筒部の上端開口部を専用の型キャップの嵌め込みにより密閉することで、容器本体内に化粧料の成形空間を形成してから、この容器本体を逆立姿勢にした状態で、溶融した化粧料を受皿体の下端側から成形空間内に注入充填した後、容器本体全体を冷却することで化粧料を冷却固化させており、そのようにして冷却固化させた化粧料は、受皿体の内周面に形成された保持突片によって保持している。
【0005】
そのような上記の繰り出し容器では、容器本体を逆立姿勢にした状態で、溶融した化粧料を容器本体の底部側から成形空間内に注入充填した際に、気泡による空隙部(鬆)を発生させることなく、均一な密度分布の化粧料を固化成形できるように、受皿体の下端縁に隙間を形成すると共に、内筒体の収納筒部と受皿体との間に、溶融化粧料は阻止するが空気を通すクリアランスを形成している。
【0006】
しかしながら、そのような上記の繰り出し容器では、冷却固化された化粧料が、受皿体の内周面に形成された保持突片のみによって保持されているため、保持突片の突出量が小さいと化粧料を充分に保持できず、使用時に、化粧料が受皿体から外れて内筒体の収納筒部から抜け出るような虞があり、一方、保持突片の突出量を大きくすると、溶融化粧料の充填時に、受皿体の内周面と保持突片との接続部分である隅部に気泡が溜まることで、化粧料の冷却固化時に棒状の化粧料の根本部分で気泡による空隙部が発生して、当該部分が脆くなって使用中に破損することで化粧料が根本から抜け落ちてしまうような虞がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、溶融した内容物を容器本体の底部側から充填するような繰り出し容器について、固化した内容物中に気泡による空隙部を発生させることなく、固化した内容物を確実に保持できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するために、棒状の内容物を保持する筒状の受筒の外周面にピンが突設され、受筒の外側に、受筒のピンを貫通させるガイド孔を下部に形成したガイド筒が設けられ、ガイド筒の下部の外側に、受筒のピンを受け入れるネジ溝を内周面に形成したネジ筒が設けられ、ネジ筒の外側に外装体が設けられ、外装体の上端部に封止筒が固着されることで容器本体が構成されている繰り出し容器において、受筒には、外周面にピンが突設された筒体部の筒内に、棒状の内容物を保持する平板状の台座部が一体的に形成され、この台座部の中央部に内容物を充填するための充填口が開口されていると共に、この台座部の周辺部にガス抜き用の通気口が開口されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
上記のような本発明の繰り出し容器のガス抜き機構によれば、棒状の内容物を保持するために、受筒の筒内に平板状の台座部を設けていることから、この台座部によって棒状の内容物を確実に保持することができる。また、平板状の台座部には、その中央部に内容物の充填口を開口させると共に、その周辺部にガス抜き用の通気口を開口させているため、溶融した内容物の充填時に発生した気抱は、充填口とは別に形成されたガス抜き用の通気口から速やかに排出されることとなり、その結果、冷却固化後の内容物中に気泡による空隙部が発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
溶融した内容物を容器本体の底部側から充填するような繰り出し容器について、固化した内容物中に気泡による空隙部を発生させることなく、固化した内容物を確実に保持できるようにするという目的を、最良の形態として以下の実施例に具体的に示すように、棒状の内容物を保持する筒状の受筒の外周面にピンが突設され、受筒の外側に、受筒のピンを貫通させるガイド孔を下部に形成したガイド筒が設けられ、ガイド筒の下部の外側に、受筒のピンを受け入れるネジ溝を内周面に形成したネジ筒が設けられ、ネジ筒の外側に外装体が設けられ、外装体の上端部に封止筒が固着されることで容器本体が構成されている繰り出し容器において、受筒には、外周面にピンが突設された筒体部の筒内に、棒状の内容物を保持する平板状の台座部を一体的に形成して、この台座部の中央部に内容物を充填するための充填口を開口させると共に、この台座部の周辺部にガス抜き用の通気口を開口させる、ということで実現した。
【実施例】
【0011】
本実施例の繰り出し容器は、棒状化粧品(口紅等)のような棒状の固形物を内容物とするもので、図1に示すように、繰り出し容器1は、棒状の内容物(図示せず)を保持するための筒状の受筒3と、受筒3の外側に設けられるガイド筒4と、ガイド筒4の下部の外側に設けられるネジ筒5と、ネジ筒5の外側に設けられる外装体6と、外装体6の上端部に固着される封止筒7とからなる容器本体2に対して、容器本体2の封止筒7との螺合によりキャップ8が装着されるものである。なお、キャップ8には、その天板部の内面(下面)に、別体のシール部材9が一体的に付設されている。
【0012】
上記のような各部品からなる本実施例の繰り出し容器は、合成樹脂材料により形成されたものであって、容器の外殻部分である外装体6とキャップ8は、比較的硬質なポリプロピレン樹脂から形成され、封止筒7も、外装体6に溶着し易いように、外装体6と同様のポリプロピレン樹脂から形成されている。一方、キャップ8に付設されるシール部材9は、ポリプロピレン樹脂よりも軟質な低密度ポリエチレンから形成されており、また、受筒3とガイド筒4とネジ筒5は、ポリプロピレン樹脂や、強度や摺動特性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂やポリアセタール樹脂等から形成されている。
【0013】
繰り出し容器の各部品の構造について説明すると、図1に示すように、棒状の内容物を保持するための受筒3が容器本体2の最も内側に設けられており、この受筒3には、その筒内に、棒状の内容物を保持するための平板状(円板状)の台座部31が形成され、台座部31よりも上方で筒の内周面に、内容物を固定するための周方向に延びるリブ32が等間隔で4箇所に形成されている。また、受筒3の下部の外周面には、外方に突出するピン33が対称位置で2箇所に突設されており、このピン33は、ガイド筒4のガイド孔45を貫通してネジ筒5のネジ溝51に受け入れられている。なお、受筒3の上端部の外周面には、ガイド筒4の内周面と当接するセンターリング突起34が環状に形成されている。
【0014】
受筒3の外側に設けられるガイド筒4は、図5に示すように、周突条44が形成された中間筒部42と、中間筒部42よりも上方に延びる上部筒部41と、中間筒部42よりも下方に延びる下部筒部43とからなり、上部筒部41と中間筒部42の内径は略同じであるが、それらよりも下部筒部43の内径は大きくなっており、一方、中間筒部42と下部筒部43の外径は略同じであるが、上部筒部41の外径はそれらよりも小さい小外径部となっていて、中間筒部42の厚さは、上部筒部41や下部筒部43の厚さよりも厚くなっている。
【0015】
ガイド筒4には、中間筒部42の外周面から外方に全周的に突出するように周突条44が形成され、周突条44の外周面には、ストッパー用の凸部44aが周方向に等間隔で3箇所に形成されていて、図7および図8に示すように、この凸部44aの内方に位置する周突条44の部分には、凸部44aを内方に弾性的に変位可能とするための間隙部44bが形成されている。また、ガイド筒4には、受筒3のピン33を貫通させるためのガイド孔45が、ガイド筒4の下端から周突条44の下方付近に至る範囲にまで連続するように、下部筒部43に対称位置で2箇所に形成されている。
【0016】
ガイド筒4の下部の外側に設けられるネジ筒5には、図6に示すように、その内周面に、受筒3の2つのピン33をそれぞれ受け入れるための2条のネジ溝51が形成されており、また、その外周面には、図示していないが、外装体6の内周面の係止突条と係合して外装体6に対して周方向で不動となるように、縦方向(容器軸線方向)に延びる多数のローレット溝が形成されている。
【0017】
ネジ筒5の外側に設けられる外装体6は、図1に示すように、ネジ筒5の外周側に位置する胴部61と、受筒3やガイド筒4やネジ筒5を支持する底部62とを有するもので、外装体6の胴部61の内周面には、図示していないが、ネジ筒5の外周面のローレット溝と係合する係止突条が6箇所に形成されており、外装体6の底部62の中央部には、内容物を充填するための開口部63が開口されている。この開口部63は、内容物を充填した後で、アルミ箔を主体とするシート蓋によってシールされることとなる。
【0018】
外装体6の上端部に設けられる封止筒7は、外装体6の胴部61の上端部に超音波溶着等により固着されるものであって、図7に示すように、封止筒7では、下筒部72の上端から上方且つ内方にずれた状態で上筒部71が接続されており、下筒部72の外周面から外方に突出するように、外装体6の上端面に溶着される環状の凸部73が形成されていて、上筒部71の外周面にはネジ部(雄ネジ)74が形成され、下筒部72の外周面で環状凸部73の上方には環状溝75が形成されている。この環状溝75は、容器の不使用時にキャップ8が緩むのを防止するために、キャップ8のネジ部83の下方に形成された突起84を係止するものである。
【0019】
また、封止筒7には、上筒部71の内周面側から下方に延びるように、上筒部71の内周面よりも内方に突出した内周面を有する密封リング76が一体的に形成されている。この密封リング76の外周面は、下筒部72の内周面から離隔されており、密封リング76と下筒部72の間(密封リング76の外方に位置する封止筒7の部分)には空隙部77が形成されていて、この空隙部77により、密封リング76は容器半径方向で外方に容易に弾性変形できるようになっている。
【0020】
密封リング76の内周面は、ガイド筒4の周突条44の上方で、ガイド筒4の中間筒部42の略垂直な筒状の外周面と密接するように形成されている。ガイド筒4と密封リング76の密接箇所は、密封リング76と下筒部72との間の空隙部77を介して、封止筒7の環状溝75の裏側付近に位置するようになっていて、この密接箇所は、容器軸線方向(上下方向)で見て、封止筒7とキャップ8とが重なる範囲に位置している。
【0021】
そのように封止筒7の内周面に密封リング76が形成されていることで、封止筒7とガイド筒4との密封性を充分に確保できると共に、密封リング76とガイド筒4との密接による抵抗によりガイド筒4が外装体6に対して不用意に回転することをより確実に防止することができる。また、ガイド筒4の周突条44の上方に封止筒7の密封リング76が位置していることで、ガイド筒4を上方へ動かしても、周突条44の上面と密封リング76の下端とが当接するためで、ガイド筒4が抜けるのを防止することができる。
【0022】
さらに、封止筒7には、その下筒部72の内周面で、少なくともガイド筒4の周突条44と対向する部分に、図8に示すように、縦方向に延びる凹部78が周方向で小さな間隔をおいて多数形成されており、この封止筒の多数の凹部78の何れかに、ガイド筒4の周突条44の外周面に形成されたストッパー用の凸部44aを係合させることで、封止筒7(および外装体6)に対してガイド筒44を相対回転させる際に、ガイド筒4の凸部44aが封止筒7の凹部78を所定の抵抗感(クリック感)を持って乗り越えるようになっている。
【0023】
すなわち、この封止筒7の下筒部72の凹部78と、ガイド筒4の周突条44の凸部44aとは、所定の回転トルクを与えることでガイド筒4と外装体6を相対回転させる際のクリック機構においてそれぞれストッパーとなるものである。このクリック機構は、ガイド筒4と封止筒7との間のストッパー機構としても働くことから、封止筒7が固着された外装体6に対してガイド筒4が不用意に回転するのを確実に防止することができる。
【0024】
なお、本実施例では、封止筒7の下筒部72の内周面の上部から下端まで縦方向(容器軸線方向)に係合凹部78を延在させており、そうすることで、係合凸部44aを有するガイド筒4が上下方向(容器軸線方向)で多少変位しても、係合凸部44aと係合凹部44bとの係合を維持できるようにしている。
【0025】
容器本体2の封止筒7に係合されるキャップ8では、図1に示すように、円板状の天板部81の周縁部からスカート部82が垂下されていて、天板部81の内面(下面)の外周部には、スカート部82の内周面から少し離れた箇所に、シール部材9を位置決めするための突起85が形成されている。また、スカート部82の下部の内周面には、図7に示すように、封止筒7のネジ部(雄ネジ)74と螺合するネジ部(雌ネジ)83が形成され、ネジ部83の下方に、封止筒7の環状溝75に係止される係止突起84が周方向に等間隔で4箇所に形成されている。
【0026】
キャップ8に付設されるシール部材9では、円板部91の周縁部から下方に円筒状の周壁上部92が延び、キャップ8のスカート部82から内方に隔離された周壁上部92の下端から下方外方にテーパー状の周壁下部93が延びていて、円筒状の周壁上部92の下端部の内周面には、ガイド筒4の上端付近の外周面に密接される環状突条94が形成され、テーパー状の周壁下部93の下端は、キャップ8のスカート部82の内周面に当接している。なお、シール部材9の環状突条94がガイド筒4の外周面に密接する箇所は、ガイド筒4の上端から2〜7mm下方の範囲となっている。
【0027】
キャップ8とシール部材9は、ホットメルト接着剤等により固着されている。具体的には、シール部材9の円板部91の外面(上面)には、平面視で半円状のリブが同心円上に複数個形成されており、キャップ8の天板部81内面(下面)の中央部付近にホットメルト接着剤を塗布し、位置決め用突起85の内周縁にシール部材9の円板部91の外周縁を嵌め込むようにシール部材9の円板部91をキャップ8の天板部81に押し当てることで、ホットメルト接着剤がシール部材9の円板部91の半円状リブの隙間を流動して、キャップ8とシール部材9とは強固に接着されることとなる。
【0028】
上記のような各部品からなる繰り出し容器の使用状態について説明すると、内容物を使用する際には、先ず、容器本体2に対してキャップ8を開栓方向に回転させ、容器本体2とキャップ8との螺合を解除することで、図2に示すように、キャップを取り外した状態にした後、次いで、ガイド筒4に対して外装体6を周方向に回転させ、外装体6と(ローレット溝に係合により)周方向で不動に固定されたネジ筒5を回転させて、ガイド筒4のガイド孔45を貫通させた受筒3のピン33を、回転するネジ筒5のネジ溝51により押し上げ、ガイド筒4のガイド孔45に沿って上昇させることで、受筒3を上昇させて、受筒3の台座31に保持された内容物を上昇させ、ガイド筒4の上端から内容物を突出させて、内容物が使用可能な状態となるようにする。
【0029】
また、内容物を使用した後は、上記の手順とは逆の手順を行う、即ち、先ず、ガイド筒4に対して外装体6を逆方向に回転させて、突出した内容物をガイド筒4の内部に下降させた後、次いで、容器本体2にキャップ8を被せて、キャップ8を閉栓方向に回転させ、容器本体2とキャップ8を螺合して、容器本体2にキャップ8を装着することにより、内容物を使用する前の状態となるようにする。
【0030】
ところで、上記のような繰り出し容器において、棒状の内容物を保持するための受筒3には、既に述べたように、棒状の内容物を保持するための平板状(円板状)の台座部31が筒内に形成され、内容物を固定するためのリブ32が受筒3の内周面に形成され、外方に突出する螺合用のピン33が受筒3の下部の外周面で対称位置に突設され、ガイド筒4の内周面と当接するセンターリング突起34が、受筒3の上端部の外周面に環状に形成されている。
【0031】
そのような受筒3において、本実施例では、図3および図4に示すように、内容物(溶融された内容物)を充填するための充填口35が、平板状(円板状)の台座部31の中央に開口され、内容物を固定するための爪部36が、それぞれ外方且つ上方に突出するように、充填口35の周縁部の周方向に等間隔で4箇所に形成されていると共に、充填口35よりも面積の小さいガス抜き用の通気口37が、台座部31の周辺部の周方向に等間隔で4箇所に開口されている。
【0032】
このガス抜き用の通気口37は、本実施例では、受筒3を上方から見て(平面視で)、それぞれ台座部31の外周縁に沿うように設けられており、また、台座部31に形成された爪部36の周方向中心位置と台座部31の中心とを結ぶ直線に対して、通気口37の周方向中心位置は45゜ずれた位置となるように配置されていて、且つ、受筒3の内周面に形成されたリブ32の中心位置は同一半径上の位置となるように配置されている。
【0033】
なお、本実施例では、具体的には、内容物を充填するための充填口35の内径は10.5mmとなり、台座部31の外周縁から充填口35までの距離は5.25mmとなり、ガス抜き用の通気口37の容器半径方向の長さは1.5mm、容器周方向の長さは5mmとなるように設定されている。このガス抜き用の通気口37の形状については、図示したような円弧状に限らず、円形状や多角形状等でも良く、通気口37の個数については、成形性やガス抜き性を考慮して2〜8個程度であることが好ましい。
【0034】
上記のような受筒3を備えた繰り出し容器で、内容物を充填する際には、ガイド筒4の内部で受筒3を下降限に位置させ、且つ、ガイド筒4の上端開口部を専用の型キャップ(図示せず)の嵌め込みにより密閉することで、受筒3とガイド筒4と型キャップとで容器本体2の内部に成形空間を画成してから、この容器本体2を逆立姿勢にした状態で、外装体6の底部62の開口部63から充填ノズルを挿入して、溶融した内容物を受筒3の充填口35から成形空間内に充填している。
【0035】
この際に、溶融した内容物は、冷却固化後の内容物の体積の収縮や充填時に発生する気抱の除去を考慮して、充填口35や通気口37から内容物が溢れ出るまで充填されており、溶融した内容物を充填した後は、容器本体2を全体的に冷却することで内容物を冷却固化させている。
【0036】
上記のように溶融した内容物が充填される本実施例の繰り出し容器によれば、冷却固化された棒状の内容物を保持するために、受筒3の内周面に形成したリブ32だけでなく、受筒3の筒内に平板状の台座部31を設けて、この台座部31に爪部36を形成していることから、この台座部31によって棒状の内容物を確実に保持することができる。
【0037】
また、溶融した内容物を充填する際には、台座部31の中央部に内容物の充填口35を開口させていると共に、その周辺部にガス抜き用の通気口37を開口させていることから、溶融した内容物の充填時に発生した気抱は、充填口35とは別に形成されたガス抜き用の通気口37から速やかに排出されることとなって、その結果、冷却固化後の内容物中に気泡による空隙部が発生して脆くなることで内容物が破損するのを防止することができる。
【0038】
しかも、内容物の充填時にガス抜き用の通気口37から内容物を溢れ出させた状態で内容物を冷却固化することにより、台座部31の容器底部側に溢れ出した内容物によって内容物を台座部31に固定することができるため、受筒3から内容物が脱落することを一層確実に防止することができる。
【0039】
なお、本実施例では、ガス抜き用の通気口37が、台座部31の外周縁に沿うように開口されていることから、通気口37の部分では、受筒3の内周面と台座部31の接続部が、内容物の充填時に発生した気抱が溜まり易いような隅部とはならず、比較的スムーズな面となって、効率的にガス抜きを行うことができ、冷却固化後の内容物中に気泡による空隙部が発生するのを確実に防止することができる。
【0040】
さらに、本実施例では、台座部31に形成された爪部36に対して、ガス抜き用の通気口37は、台座部31の周方向中心位置と台座部31の中心とを結ぶ直線上から周方向にずれた(45゜ずれた)位置となるように配置されていることから、爪部36による台座部31での内容物の保持効果と、ガス抜き用の通気口37から溢れ出した内容物の固化による台座部31での内容物の保持効果とにより、台座部31の全周で広範囲に充分な保持力を作用させることができて、受筒3からの内容物の脱落をより一層確実に防止することができる。
【0041】
以上、本発明の繰り出し容器のガス抜き機構の一実施例について説明したが、本発明は、上記の実施例に示したような具体的な構成にのみ限定されるものではなく、例えば、受筒に設けるガス抜き用の通気口の数や、充填口の大きさなどは適宜に変えても良い等、適宜に設計変更可能なものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例であるガス抜き機構を備えた繰り出し容器について、容器の全体構造を示す縦断面図。
【図2】図1に示した繰り出し容器でキャップを外した状態を示す側面図。
【図3】図1に示した繰り出し容器の受筒の部分を示す上面図。
【図4】図3に示した受筒のA−A線に沿った縦断面図。
【図5】図1に示した繰り出し容器のガイド筒の部分を示す縦断面図。
【図6】図1に示した繰り出し容器のネジ筒の部分を示す縦断面図。
【図7】図1に示した繰り出し容器の一部分を拡大して示す縦断面図。
【図8】図7に示した部分のA−A線に沿った横断面図。
【符号の説明】
【0043】
1 繰り出し容器
2 容器本体
3 受筒
4 ガイド筒
5 ネジ筒
6 外装体
7 封止筒
8 キャップ
9 シール部材
31 (受筒の)台座部
33 (受筒の)ピン
35 (台座部の)充填口
36 (台座部の)爪部
37 (台座部の)通気口
45 (ガイド筒の)ガイド孔
51 (ネジ筒の)ネジ溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の内容物を保持する筒状の受筒の外周面にピンが突設され、受筒の外側に、受筒のピンを貫通させるガイド孔を下部に形成したガイド筒が設けられ、ガイド筒の下部の外側に、受筒のピンを受け入れるネジ溝を内周面に形成したネジ筒が設けられ、ネジ筒の外側に外装体が設けられ、外装体の上端部に封止筒が固着されることで容器本体が構成されている繰り出し容器において、外周面にピンが突設された受筒の筒内に、棒状の内容物を保持するための平板状の台座部が一体的に形成され、この台座部の中央部に内容物を充填するための充填口が開口されていると共に、この台座部の周辺部にガス抜き用の通気口が開口されていることを特徴とする繰り出し容器のガス抜き機構。
【請求項2】
台座部の外周縁に沿うようにガス抜き用の通気口が開口されていることを特徴とする請求項1に記載の繰り出し容器のガス抜き機構。
【請求項3】
内容物を固定するための突起が台座部の充填口の近傍に形成されているのに対して、ガス抜き用の通気口が、該突起の周方向中心と台座部の中心とを結ぶ直線上から周方向にずれた位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の繰り出し容器のガス抜き機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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