繰出式多芯筆記具
【課題】軸筒4内に収容した三本の筆記体の筆記先端部を軸筒4の先端口3aより出没させる繰出式多芯筆記具1において、各筆記体の筆記先端部を軸筒4の軸心に沿って先端口3aから突出させることができる繰出式多芯筆記具1を得る。
【解決手段】ホルダー本体11の掛止突起111a〜111cを掛止窓17aの内方へ突出させた支持突部S1〜S3に引っ掛けながら回転筆記ユニット10を軸筒4内で回転させて回転筆記ユニット10の三本の筆記体16A〜16Cの何れか一本を軸筒4の軸心に一致させた上で、ノック体5をノック操作することにより、筆記体の筆記先端部161A〜161Cを軸筒4の軸心に沿って先端口3aから突出させる。
【解決手段】ホルダー本体11の掛止突起111a〜111cを掛止窓17aの内方へ突出させた支持突部S1〜S3に引っ掛けながら回転筆記ユニット10を軸筒4内で回転させて回転筆記ユニット10の三本の筆記体16A〜16Cの何れか一本を軸筒4の軸心に一致させた上で、ノック体5をノック操作することにより、筆記体の筆記先端部161A〜161Cを軸筒4の軸心に沿って先端口3aから突出させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒内に収容した複数の筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口より出没させる繰出式多芯筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より繰出式多芯筆記具は、その出没操作において、軸筒の側面から露出させた押子をスライド操作して当該押子に連設された筆記体を前進させたり、前軸に対して後軸を回転操作して後軸内に設けたカム山を回転させ当該カム山に当接する押子に連接された筆記体を前進させることにより、前進した筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口から突出させる構造が採用されている。また一般的に繰出式多芯筆記具では、軸筒の軸心から径方向に離れた位置に複数の筆記体が配置されていることから、先端口から筆記先端部を突出させた際には、特開2001−121882号公報に記載されているように、リフィール(筆記体)が後方から前方に向かって軸筒の中心方向へ曲がり、筆記先端部が先端口から傾斜した状態で突出し、結果、各筆記体の筆記先端部がそれぞれ異なる方向に傾斜して先端口から突出することから、筆記時に使用者が違和感を感じる場合があった。軸筒内に三本の筆記体を放射状に収容した構造では、それぞれが120度ずつ異なる方向に傾いて先端口から突出することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−121882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軸筒内に収容した三本の筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口より出没させる繰出式多芯筆記具において、各筆記体の筆記先端部を軸筒の軸心に沿って先端口から突出させることができる繰出式多芯筆記具を得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
「軸筒内に収容した三本の筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口より出没させる繰出式多芯筆記具において、軸筒内にカム溝を設け、該カム溝に沿って前後動する摺動突起を有したノック体と、前記カム溝を摺動して当該カム溝の前端部に設けた係止部へ係止する係止突起を有した回転カムとを、前記ノック体に形成した傾斜面で構成する凹凸状の噛合部に、前記回転カムに形成した噛合部に噛合う被噛合部を噛合わせて配設し、前記回転カムと前記軸筒に設けた保持部との間にバネ体を配設して当該回転カムを後方へ弾発し、前記ノック体を押圧することにより前記回転カムおよび当該回転カムに連接した押棒を前後動可能とし、三本の筆記体と、断面が略三角形で軸心に沿って長尺に形成されたホルダー本体の3つの角部側にそれぞれ設けた各貫通孔へバネ体および当該バネ体により後方へ付勢されるピン体を配設して形成した筆記体ホルダーとを、前記筆記体の後端部と前記ピン体の前端部とを連接して一体と成した回転筆記ユニットを、前記軸筒の内部を横断し中央に掛止窓を有した前方壁と後方壁との間に前記ホルダー本体が位置するように配し、且つ前記ホルダー本体の貫通孔の周囲に突設した掛止突起が前記前方壁および後方壁の掛止窓に掛止されて前記筆記体および前記ピン体が前記前方壁および後方壁の掛止窓より突出し、前記軸筒を横向きにした状態で軸周りに回転させることにより、前記ホルダー本体の掛止突起を前記掛止窓の内方へ突出させた支持突部に引っ掛けながら前記回転筆記ユニットを前記軸筒内で回転させて前記回転筆記ユニットの三本の筆記体の何れか一本を前記軸筒の軸心に一致させた上で、前記ノック体をノック操作することにより、前記軸筒の軸心に一致した筆記体に連接したピン体を前記押棒で押動して、当該筆記体の筆記先端部を前記軸筒の軸心に沿って先端口から突出させることができる構造の繰出式多芯筆記具。」である。
【0006】
本発明では、回転筆記ユニットが軸筒内で回転しやすく、またホルダー本体の掛止突起が前掛止窓の支持突部に引っ掛かりやすくするために、ホルダー本体を、真鍮のように重い金属で成形することが好ましい。ホルダー本体の外側形状および軸筒の内面形状は、軸筒を横向きにした状態で軸周りに回転させた際に、三本の筆記体の何れか一本が軸筒の先端口に真っ直ぐな状態で突出できるようにすることが肝要であり、このとき軸筒の軸心から筆記体の中心が若干ずれていても構わない。押棒の先端は、軸筒の先端口に対して軸心において一致するようにし、軸筒の軸心と一致している筆記体に連接されたピン体のみを押動できるようにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の繰出式多芯筆記具は前述したような構造なので、軸筒に収容した三本の筆記体の筆記先端部を軸筒の軸心に沿って先端口から突出させることができるものとなり、各筆記体の筆記先端部が先端口から真っ直ぐな状態で突出することから、筆記時に使用者が違和感を感じることがないものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施例の繰出式多芯筆記具における縦断面図である。
【図2】図2は、図1の状態の繰出式多芯筆記具を横断面で模式的に示した図である。
【図3】図3は、回転筆記ユニットの分解図である。
【図4】図4は、繰出式多芯筆記具の構成の一部を示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示した繰出式多芯筆記具の軸筒を横向きにした状態を横断面で模式的に示した図である。
【図6】図6は、図5の状態から右に15度回転させた状態である。
【図7】図7は、図6の状態から右に15度回転させた状態である。
【図8】図8は、図7の状態から右に15度回転させた状態である。
【図9】図9は、図8の状態から右に15度回転させた状態である。
【図10】図9は、図8の状態から右に15度回転させた状態である。
【図11】図11は、図10の状態から右に15度回転させた状態である。
【図12】図12は、図11の状態から右に15度回転させた状態である。
【図13】図13は、図12の状態から右に15度回転させた状態である。
【図14】図14は、図13の状態における繰出式多芯筆記具の縦断面図である。
【図15】図15は、軸筒の先端口から筆記体の筆記先端部を突出させた状態を示す縦断面図である。
【図16】図16は、軸筒の先端口から筆記体の筆記先端部を突出させた時の回転筆記ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明における繰出式多芯筆記具の実施例について説明を行う。尚、説明を解りやすくするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ番号を付してある。本実施例の説明においては軸筒の先端口側を前方と表現し、反対側を後方と表現する。
【0010】
図1は、本実施例の繰出式多芯筆記具における縦断面図で、軸筒の先端口側を下に向けて立てた状態の図である。繰出式多芯筆記具1は、クリップ2aを側面に形成した軸筒本体2の前方に口金3を装着して軸筒4を構成している。軸筒本体2の内面にはカム溝2bを形成してあり、カム溝2bに沿って前後動する摺動突起5aを有したノック体5と、カム溝2bを摺動して当該カム溝2bの前端部に設けた係止部2cへ係止する係止突起6aを有した回転カム6とを、ノック体5に形成した傾斜面で構成する凹凸状の噛合部5bに、回転カム6に形成した噛合部に噛合う被噛合部6bを噛合わせて配設し、回転カム6と軸筒4の内部に嵌着させた保持筒7の保持部7aとの間にコイルバネ8を配設して回転カム6を後方へ弾発してある。また、本実施例では、回転カム6には前方が開口する凹部6cを形成してあり、凹部6cに形成した小径部6dに押棒9の後端部9aを挿嵌し、凹部6cに形成した段部6eに押棒9の鍔部9bを当接させ、鍔部9bが前記コイルバネ8の後端で弾発されることにより回転カム6を後方へ弾発するようにしてあり、ノック体5をノック操作することにより回転カム6および回転カム6に連接した押棒9が、保持筒7の窓孔7bに挿通された状態で前後動するようにしてある。
【0011】
次に、図1〜図4を用いて回転筆記ユニットの説明を行う。本実施例の回転筆記ユニット10は、断面が略三角形で軸心に沿って長尺に形成されたホルダー軸体111とホルダー蓋体112とを嵌着させて成るホルダー本体11の3つの角部側にそれぞれ貫通孔12a,12b,12cを形成し、各貫通孔内に、コイルバネ131,132,133およびピン体141,142,143を配して筆記体ホルダー15を形成し、貫通孔12aの前方から黒色インキを収容したボールペンレフィル16Aを挿通すると共に、ボールペンレフィル16Aの後端部にピン体141の前端小径部141aを挿嵌し、貫通孔12bの前方から赤色インキを収容したボールペンレフィル16Bを挿通すると共に、ボールペンレフィル16Bの後端部にピン体142の前端小径部142aを挿嵌し、貫通孔12cの前方から青色インキを収容したボールペンレフィル16Cを挿通すると共に、ボールペンレフィル16Cの後端部にピン体143の前端小径部143aを挿嵌し、回転筆記ユニット10を形成してある。
【0012】
また、貫通孔12a,12b,12cの後方からはピン体141,142,143の後端部141b,142b,143bを突出させており、各ピン体に形成した鍔部141c,142c,143cにコイルバネ131,132,133を当接させてピン体141,142,143およびピン体に連接したボールペンレフィル16A,16B,16Cを後方へ付勢し、各ピン体の後端部141b,142b,143bを前方へ押圧することで、コイルバネ131,132,133の弾発力に抗して押圧されたピン体と連接しているボールペンレフィルが前進し(図16参照)、ピン体の後端部141b,142b,143bの押圧力を解除することで、コイルバネ131,132,133の弾発力により各ピン体の鍔部141c,142c,143cがホルダー蓋体112の底面に当接する位置(図4参照)まで各ボールペンレフィルが後退する構造である。
【0013】
次に、回転筆記ユニット10と軸筒4との関係を説明する。軸筒4の前方内部には、放射状に三方へ拡がる開口部171a,172a,173aを有する掛止窓17a(図4参照)を形成した前方壁17bを設けた円環部材17を装着し、軸筒4の中央内部には、前記掛止窓17aと同形状の開口部181a,182a,183aを有する掛止窓18a(図4参照)を形成した後方壁18bを設けた円環部材18を装着してある。前方壁17bの掛止窓17aには、ホルダー本体11の前端で貫通孔12a,12b,12cの周囲に突設した円筒状の掛止突起111a,111b,111cを掛止させて掛止窓17aよりボールペンレフィル16A,16B,16Cを突出させ、後方壁18bの掛止窓18aには、ホルダー本体11の後端で貫通孔12a,12b,12cの周囲に突設した円筒状の掛止突起112a,112b,112cを掛止させて掛止窓18aより各ピン体の後端部141b,142b,143bを突出させてある。尚、円環部材17と円環部材18とは、開口部171a,172a,173aと開口部181a,182a,183aの位置関係が互いに合致するよう軸筒4に装着してあり、ホルダー本体11の前後端部が前方壁17bおよび後方壁18bに当接することでホルダー本体11の前後動を規制してある。図2では、図1の状態の繰出式多芯筆記具1を横断面で模式的に示しており、回転筆記ユニット10のホルダー本体11が前方壁17bの掛止窓17aの内方へ突出させた支持突部S1と支持突部S2に当接している。
【0014】
次に、図5〜図16を用いて、本実施例の繰出式多芯筆記具1を使用する状態について説明を行う。図5〜図13では、軸筒4を横向きにした状態で軸周りに右回転させ、軸筒2の内部で回転筆記ユニット10が15度ずつ120度回転する状態を横断面で模式的に示しており、ホルダー本体11の掛止突起111aは塗り潰し、掛止突起111bは縦に半分を塗り潰し、掛止突起111cは中抜きの塗り潰しを行い、動きが解りやすいようにしてある。尚、図5〜図13では、軸筒4の前方における回転筆記ユニット10と円環部材17との動きについて説明を行うが、軸筒4の中央部では回転筆記ユニット10と円環部材18とが同様の動きとなっている。
【0015】
図5は、図1に示した繰出式多芯筆記具1の軸筒4を横向きにした状態を示しており、この状態では、ホルダー本体11の掛止突起111aと掛止突起111cとの間を、円環部材17の掛止窓17aの内方へ突出させた支持突部S3で支持している。本実施例の繰出式多芯筆記具1は、図5の状態から軸筒4を75度右回転させた図10の状態までは、掛止突起111aと掛止突起111cとの間に支持突部S3が引っ掛かった状態での回転が行われ、図10からさらに15度右回転させて図5の状態から90度回転させた図11の状態になった時に、重力で、掛止突起111cが支持突部S3から離れると共に掛止突起111aが支持突部S3から滑り落ちる。図11からさらに15度右回転させて図5の状態から105度回転させた図12の状態では、図11から図12の状態になる際に、支持突部S3に引っ掛かった掛止突起111aを支点にしてホルダー本体11が右回転しながら軸筒4内で落下し、落下位置にある支持突部S2で掛止突起111cと掛止突起111bとを支持する。図12からさらに15度右回転させて図5の状態から120度回転させると、塗り潰した掛止突起111aが軸筒4の軸心に一致した図13の状態になる。図14は、図13の状態における繰出式多芯筆記具1の縦断面図であり、掛止突起111aならびにボールペンレフィル16Aおよびピン体141が軸心と一致して配置されている。
【0016】
図14の状態の繰出式多芯筆記具1のノック体5をノック操作することで、図15に示すように、コイルバネ8を圧縮しながら回転カム6が前進し、回転カム6と共に前進した押棒9が回転筆記ユニット10のピン体141を前進させ、ピン体141に連接したボールペンレフィル16Aの筆記先端部161Aを軸筒4の軸心に沿って真っ直ぐな状態で口金3の先端口3aから突出させることができた。ノック体5と回転カム6およびカム溝2bとの関係は、一般的な回転カムを利用したノック式ボールペンの構造と同様であり、図15の状態では、カム溝2bの前端部の係止部2cに回転カム6の係止突起6aが係止しており、ボールペンレフィル16Aの筆記先端部161Aが先端口3aから突出した状態で維持でき、ボールペンレフィル16A内に収容した黒色インキで筆記を行うことが可能となる。また図示はしないが、図13に示した状態から、軸筒4をさらに軸周りに120度右回転させると、今度は中抜きの塗り潰しを行った掛止突起111cが軸筒4の軸心に一致した状態となり、掛止突起111cに位置するボールペンレフィル16Cにより、
青色インキで筆記を行うことができ、図13に示した状態から、軸筒4をさらに軸周りに240度右回転させると、今度は縦に半分の塗り潰しを行った掛止突起111bが軸筒4の軸心に一致した状態となり、掛止突起111bに位置するボールペンレフィル16Bにより、赤色インキで筆記を行うことができる。軸筒4を軸周りに左方向に回転させた場合には、軸筒2の内部で回転筆記ユニット10は逆の動きを行う。
【0017】
尚、図15に示した状態のノック体5を再度ノック操作すると、カム溝2bの前端部の係止部2cと回転カム6の係止突起6aとの係止が解除され、コイルバネ8の弾発力により回転カム6および押棒9が後退し、押棒9に押圧されていた回転筆記ユニット10のピン体141が鍔部141cを後方に付勢しているコイルバネ131によって後退し、ピン体141に連接されたボールペンレフィル16Aの筆記先端部161Aを再び軸筒4内に没入させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の繰出式多芯筆記具は、筆記体としてボールペン以外にもシャープペンシルやマーカーあるいは固形芯繰出体などを採用することが可能であり、筆記体を曲げることなく筆記先端部を先端口から突出させることができることから、例えばシャープペンシルの鉛芯や固形芯繰出体のクレヨンなど、筆記体が曲がることで当該筆記体内の収容物に悪影響が生ずる虞のある筆記体に適したものである。
【符号の説明】
【0019】
1…繰出式多芯筆記具、
2…軸筒本体、2a…クリップ、2b…カム溝、2c…係止部、
3…口金、3a…先端口、
4…軸筒、
5…ノック体、5a…摺動突起、5b…噛合部、
6…回転カム、6a…係止突起、6b…被噛合部、
6c…凹部、6d…小径部、6e…段部、
7…保持筒、7a…保持部、7b…窓孔、
8…コイルバネ、
9…押棒、9a…後端部、9b…鍔部、
10…回転筆記ユニット、
11…ホルダー本体、
111…ホルダー軸体、
111a,111b,111c…掛止突起、
112…ホルダー蓋体、
112a,112b,112c…掛止突起、
12a,12b,12c…貫通孔、
131,132,133…コイルバネ、
141,142,143…ピン体、
141a,142a,143a…前端小径部、
141b,142b,143b…後端部、
141c,142c,143c…鍔部、
15…筆記体ホルダー、
16A,16B,16C…ボールペンレフィル、
161A,161B,161C…筆記先端部
17…円環部材、
17a…掛止窓、17b…前方壁、
171a,172a,173a…開口部、
S1,S2,S3…支持突部、
18…円環部材、
18a…掛止窓、18b…前方壁、
181a,182a,183a…開口部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒内に収容した複数の筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口より出没させる繰出式多芯筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より繰出式多芯筆記具は、その出没操作において、軸筒の側面から露出させた押子をスライド操作して当該押子に連設された筆記体を前進させたり、前軸に対して後軸を回転操作して後軸内に設けたカム山を回転させ当該カム山に当接する押子に連接された筆記体を前進させることにより、前進した筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口から突出させる構造が採用されている。また一般的に繰出式多芯筆記具では、軸筒の軸心から径方向に離れた位置に複数の筆記体が配置されていることから、先端口から筆記先端部を突出させた際には、特開2001−121882号公報に記載されているように、リフィール(筆記体)が後方から前方に向かって軸筒の中心方向へ曲がり、筆記先端部が先端口から傾斜した状態で突出し、結果、各筆記体の筆記先端部がそれぞれ異なる方向に傾斜して先端口から突出することから、筆記時に使用者が違和感を感じる場合があった。軸筒内に三本の筆記体を放射状に収容した構造では、それぞれが120度ずつ異なる方向に傾いて先端口から突出することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−121882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軸筒内に収容した三本の筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口より出没させる繰出式多芯筆記具において、各筆記体の筆記先端部を軸筒の軸心に沿って先端口から突出させることができる繰出式多芯筆記具を得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
「軸筒内に収容した三本の筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口より出没させる繰出式多芯筆記具において、軸筒内にカム溝を設け、該カム溝に沿って前後動する摺動突起を有したノック体と、前記カム溝を摺動して当該カム溝の前端部に設けた係止部へ係止する係止突起を有した回転カムとを、前記ノック体に形成した傾斜面で構成する凹凸状の噛合部に、前記回転カムに形成した噛合部に噛合う被噛合部を噛合わせて配設し、前記回転カムと前記軸筒に設けた保持部との間にバネ体を配設して当該回転カムを後方へ弾発し、前記ノック体を押圧することにより前記回転カムおよび当該回転カムに連接した押棒を前後動可能とし、三本の筆記体と、断面が略三角形で軸心に沿って長尺に形成されたホルダー本体の3つの角部側にそれぞれ設けた各貫通孔へバネ体および当該バネ体により後方へ付勢されるピン体を配設して形成した筆記体ホルダーとを、前記筆記体の後端部と前記ピン体の前端部とを連接して一体と成した回転筆記ユニットを、前記軸筒の内部を横断し中央に掛止窓を有した前方壁と後方壁との間に前記ホルダー本体が位置するように配し、且つ前記ホルダー本体の貫通孔の周囲に突設した掛止突起が前記前方壁および後方壁の掛止窓に掛止されて前記筆記体および前記ピン体が前記前方壁および後方壁の掛止窓より突出し、前記軸筒を横向きにした状態で軸周りに回転させることにより、前記ホルダー本体の掛止突起を前記掛止窓の内方へ突出させた支持突部に引っ掛けながら前記回転筆記ユニットを前記軸筒内で回転させて前記回転筆記ユニットの三本の筆記体の何れか一本を前記軸筒の軸心に一致させた上で、前記ノック体をノック操作することにより、前記軸筒の軸心に一致した筆記体に連接したピン体を前記押棒で押動して、当該筆記体の筆記先端部を前記軸筒の軸心に沿って先端口から突出させることができる構造の繰出式多芯筆記具。」である。
【0006】
本発明では、回転筆記ユニットが軸筒内で回転しやすく、またホルダー本体の掛止突起が前掛止窓の支持突部に引っ掛かりやすくするために、ホルダー本体を、真鍮のように重い金属で成形することが好ましい。ホルダー本体の外側形状および軸筒の内面形状は、軸筒を横向きにした状態で軸周りに回転させた際に、三本の筆記体の何れか一本が軸筒の先端口に真っ直ぐな状態で突出できるようにすることが肝要であり、このとき軸筒の軸心から筆記体の中心が若干ずれていても構わない。押棒の先端は、軸筒の先端口に対して軸心において一致するようにし、軸筒の軸心と一致している筆記体に連接されたピン体のみを押動できるようにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の繰出式多芯筆記具は前述したような構造なので、軸筒に収容した三本の筆記体の筆記先端部を軸筒の軸心に沿って先端口から突出させることができるものとなり、各筆記体の筆記先端部が先端口から真っ直ぐな状態で突出することから、筆記時に使用者が違和感を感じることがないものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施例の繰出式多芯筆記具における縦断面図である。
【図2】図2は、図1の状態の繰出式多芯筆記具を横断面で模式的に示した図である。
【図3】図3は、回転筆記ユニットの分解図である。
【図4】図4は、繰出式多芯筆記具の構成の一部を示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示した繰出式多芯筆記具の軸筒を横向きにした状態を横断面で模式的に示した図である。
【図6】図6は、図5の状態から右に15度回転させた状態である。
【図7】図7は、図6の状態から右に15度回転させた状態である。
【図8】図8は、図7の状態から右に15度回転させた状態である。
【図9】図9は、図8の状態から右に15度回転させた状態である。
【図10】図9は、図8の状態から右に15度回転させた状態である。
【図11】図11は、図10の状態から右に15度回転させた状態である。
【図12】図12は、図11の状態から右に15度回転させた状態である。
【図13】図13は、図12の状態から右に15度回転させた状態である。
【図14】図14は、図13の状態における繰出式多芯筆記具の縦断面図である。
【図15】図15は、軸筒の先端口から筆記体の筆記先端部を突出させた状態を示す縦断面図である。
【図16】図16は、軸筒の先端口から筆記体の筆記先端部を突出させた時の回転筆記ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明における繰出式多芯筆記具の実施例について説明を行う。尚、説明を解りやすくするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ番号を付してある。本実施例の説明においては軸筒の先端口側を前方と表現し、反対側を後方と表現する。
【0010】
図1は、本実施例の繰出式多芯筆記具における縦断面図で、軸筒の先端口側を下に向けて立てた状態の図である。繰出式多芯筆記具1は、クリップ2aを側面に形成した軸筒本体2の前方に口金3を装着して軸筒4を構成している。軸筒本体2の内面にはカム溝2bを形成してあり、カム溝2bに沿って前後動する摺動突起5aを有したノック体5と、カム溝2bを摺動して当該カム溝2bの前端部に設けた係止部2cへ係止する係止突起6aを有した回転カム6とを、ノック体5に形成した傾斜面で構成する凹凸状の噛合部5bに、回転カム6に形成した噛合部に噛合う被噛合部6bを噛合わせて配設し、回転カム6と軸筒4の内部に嵌着させた保持筒7の保持部7aとの間にコイルバネ8を配設して回転カム6を後方へ弾発してある。また、本実施例では、回転カム6には前方が開口する凹部6cを形成してあり、凹部6cに形成した小径部6dに押棒9の後端部9aを挿嵌し、凹部6cに形成した段部6eに押棒9の鍔部9bを当接させ、鍔部9bが前記コイルバネ8の後端で弾発されることにより回転カム6を後方へ弾発するようにしてあり、ノック体5をノック操作することにより回転カム6および回転カム6に連接した押棒9が、保持筒7の窓孔7bに挿通された状態で前後動するようにしてある。
【0011】
次に、図1〜図4を用いて回転筆記ユニットの説明を行う。本実施例の回転筆記ユニット10は、断面が略三角形で軸心に沿って長尺に形成されたホルダー軸体111とホルダー蓋体112とを嵌着させて成るホルダー本体11の3つの角部側にそれぞれ貫通孔12a,12b,12cを形成し、各貫通孔内に、コイルバネ131,132,133およびピン体141,142,143を配して筆記体ホルダー15を形成し、貫通孔12aの前方から黒色インキを収容したボールペンレフィル16Aを挿通すると共に、ボールペンレフィル16Aの後端部にピン体141の前端小径部141aを挿嵌し、貫通孔12bの前方から赤色インキを収容したボールペンレフィル16Bを挿通すると共に、ボールペンレフィル16Bの後端部にピン体142の前端小径部142aを挿嵌し、貫通孔12cの前方から青色インキを収容したボールペンレフィル16Cを挿通すると共に、ボールペンレフィル16Cの後端部にピン体143の前端小径部143aを挿嵌し、回転筆記ユニット10を形成してある。
【0012】
また、貫通孔12a,12b,12cの後方からはピン体141,142,143の後端部141b,142b,143bを突出させており、各ピン体に形成した鍔部141c,142c,143cにコイルバネ131,132,133を当接させてピン体141,142,143およびピン体に連接したボールペンレフィル16A,16B,16Cを後方へ付勢し、各ピン体の後端部141b,142b,143bを前方へ押圧することで、コイルバネ131,132,133の弾発力に抗して押圧されたピン体と連接しているボールペンレフィルが前進し(図16参照)、ピン体の後端部141b,142b,143bの押圧力を解除することで、コイルバネ131,132,133の弾発力により各ピン体の鍔部141c,142c,143cがホルダー蓋体112の底面に当接する位置(図4参照)まで各ボールペンレフィルが後退する構造である。
【0013】
次に、回転筆記ユニット10と軸筒4との関係を説明する。軸筒4の前方内部には、放射状に三方へ拡がる開口部171a,172a,173aを有する掛止窓17a(図4参照)を形成した前方壁17bを設けた円環部材17を装着し、軸筒4の中央内部には、前記掛止窓17aと同形状の開口部181a,182a,183aを有する掛止窓18a(図4参照)を形成した後方壁18bを設けた円環部材18を装着してある。前方壁17bの掛止窓17aには、ホルダー本体11の前端で貫通孔12a,12b,12cの周囲に突設した円筒状の掛止突起111a,111b,111cを掛止させて掛止窓17aよりボールペンレフィル16A,16B,16Cを突出させ、後方壁18bの掛止窓18aには、ホルダー本体11の後端で貫通孔12a,12b,12cの周囲に突設した円筒状の掛止突起112a,112b,112cを掛止させて掛止窓18aより各ピン体の後端部141b,142b,143bを突出させてある。尚、円環部材17と円環部材18とは、開口部171a,172a,173aと開口部181a,182a,183aの位置関係が互いに合致するよう軸筒4に装着してあり、ホルダー本体11の前後端部が前方壁17bおよび後方壁18bに当接することでホルダー本体11の前後動を規制してある。図2では、図1の状態の繰出式多芯筆記具1を横断面で模式的に示しており、回転筆記ユニット10のホルダー本体11が前方壁17bの掛止窓17aの内方へ突出させた支持突部S1と支持突部S2に当接している。
【0014】
次に、図5〜図16を用いて、本実施例の繰出式多芯筆記具1を使用する状態について説明を行う。図5〜図13では、軸筒4を横向きにした状態で軸周りに右回転させ、軸筒2の内部で回転筆記ユニット10が15度ずつ120度回転する状態を横断面で模式的に示しており、ホルダー本体11の掛止突起111aは塗り潰し、掛止突起111bは縦に半分を塗り潰し、掛止突起111cは中抜きの塗り潰しを行い、動きが解りやすいようにしてある。尚、図5〜図13では、軸筒4の前方における回転筆記ユニット10と円環部材17との動きについて説明を行うが、軸筒4の中央部では回転筆記ユニット10と円環部材18とが同様の動きとなっている。
【0015】
図5は、図1に示した繰出式多芯筆記具1の軸筒4を横向きにした状態を示しており、この状態では、ホルダー本体11の掛止突起111aと掛止突起111cとの間を、円環部材17の掛止窓17aの内方へ突出させた支持突部S3で支持している。本実施例の繰出式多芯筆記具1は、図5の状態から軸筒4を75度右回転させた図10の状態までは、掛止突起111aと掛止突起111cとの間に支持突部S3が引っ掛かった状態での回転が行われ、図10からさらに15度右回転させて図5の状態から90度回転させた図11の状態になった時に、重力で、掛止突起111cが支持突部S3から離れると共に掛止突起111aが支持突部S3から滑り落ちる。図11からさらに15度右回転させて図5の状態から105度回転させた図12の状態では、図11から図12の状態になる際に、支持突部S3に引っ掛かった掛止突起111aを支点にしてホルダー本体11が右回転しながら軸筒4内で落下し、落下位置にある支持突部S2で掛止突起111cと掛止突起111bとを支持する。図12からさらに15度右回転させて図5の状態から120度回転させると、塗り潰した掛止突起111aが軸筒4の軸心に一致した図13の状態になる。図14は、図13の状態における繰出式多芯筆記具1の縦断面図であり、掛止突起111aならびにボールペンレフィル16Aおよびピン体141が軸心と一致して配置されている。
【0016】
図14の状態の繰出式多芯筆記具1のノック体5をノック操作することで、図15に示すように、コイルバネ8を圧縮しながら回転カム6が前進し、回転カム6と共に前進した押棒9が回転筆記ユニット10のピン体141を前進させ、ピン体141に連接したボールペンレフィル16Aの筆記先端部161Aを軸筒4の軸心に沿って真っ直ぐな状態で口金3の先端口3aから突出させることができた。ノック体5と回転カム6およびカム溝2bとの関係は、一般的な回転カムを利用したノック式ボールペンの構造と同様であり、図15の状態では、カム溝2bの前端部の係止部2cに回転カム6の係止突起6aが係止しており、ボールペンレフィル16Aの筆記先端部161Aが先端口3aから突出した状態で維持でき、ボールペンレフィル16A内に収容した黒色インキで筆記を行うことが可能となる。また図示はしないが、図13に示した状態から、軸筒4をさらに軸周りに120度右回転させると、今度は中抜きの塗り潰しを行った掛止突起111cが軸筒4の軸心に一致した状態となり、掛止突起111cに位置するボールペンレフィル16Cにより、
青色インキで筆記を行うことができ、図13に示した状態から、軸筒4をさらに軸周りに240度右回転させると、今度は縦に半分の塗り潰しを行った掛止突起111bが軸筒4の軸心に一致した状態となり、掛止突起111bに位置するボールペンレフィル16Bにより、赤色インキで筆記を行うことができる。軸筒4を軸周りに左方向に回転させた場合には、軸筒2の内部で回転筆記ユニット10は逆の動きを行う。
【0017】
尚、図15に示した状態のノック体5を再度ノック操作すると、カム溝2bの前端部の係止部2cと回転カム6の係止突起6aとの係止が解除され、コイルバネ8の弾発力により回転カム6および押棒9が後退し、押棒9に押圧されていた回転筆記ユニット10のピン体141が鍔部141cを後方に付勢しているコイルバネ131によって後退し、ピン体141に連接されたボールペンレフィル16Aの筆記先端部161Aを再び軸筒4内に没入させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の繰出式多芯筆記具は、筆記体としてボールペン以外にもシャープペンシルやマーカーあるいは固形芯繰出体などを採用することが可能であり、筆記体を曲げることなく筆記先端部を先端口から突出させることができることから、例えばシャープペンシルの鉛芯や固形芯繰出体のクレヨンなど、筆記体が曲がることで当該筆記体内の収容物に悪影響が生ずる虞のある筆記体に適したものである。
【符号の説明】
【0019】
1…繰出式多芯筆記具、
2…軸筒本体、2a…クリップ、2b…カム溝、2c…係止部、
3…口金、3a…先端口、
4…軸筒、
5…ノック体、5a…摺動突起、5b…噛合部、
6…回転カム、6a…係止突起、6b…被噛合部、
6c…凹部、6d…小径部、6e…段部、
7…保持筒、7a…保持部、7b…窓孔、
8…コイルバネ、
9…押棒、9a…後端部、9b…鍔部、
10…回転筆記ユニット、
11…ホルダー本体、
111…ホルダー軸体、
111a,111b,111c…掛止突起、
112…ホルダー蓋体、
112a,112b,112c…掛止突起、
12a,12b,12c…貫通孔、
131,132,133…コイルバネ、
141,142,143…ピン体、
141a,142a,143a…前端小径部、
141b,142b,143b…後端部、
141c,142c,143c…鍔部、
15…筆記体ホルダー、
16A,16B,16C…ボールペンレフィル、
161A,161B,161C…筆記先端部
17…円環部材、
17a…掛止窓、17b…前方壁、
171a,172a,173a…開口部、
S1,S2,S3…支持突部、
18…円環部材、
18a…掛止窓、18b…前方壁、
181a,182a,183a…開口部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒内に収容した三本の筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口より出没させる繰出式多芯筆記具において、軸筒内にカム溝を設け、該カム溝に沿って前後動する摺動突起を有したノック体と、前記カム溝を摺動して当該カム溝の前端部に設けた係止部へ係止する係止突起を有した回転カムとを、前記ノック体に形成した傾斜面で構成する凹凸状の噛合部に、前記回転カムに形成した噛合部に噛合う被噛合部を噛合わせて配設し、前記回転カムと前記軸筒に設けた保持部との間にバネ体を配設して当該回転カムを後方へ弾発し、前記ノック体を押圧することにより前記回転カムおよび当該回転カムに連接した押棒を前後動可能とし、三本の筆記体と、断面が略三角形で軸心に沿って長尺に形成されたホルダー本体の3つの角部側にそれぞれ設けた各貫通孔へバネ体および当該バネ体により後方へ付勢されるピン体を配設して形成した筆記体ホルダーとを、前記筆記体の後端部と前記ピン体の前端部とを連接して一体と成した回転筆記ユニットを、前記軸筒の内部を横断し中央に掛止窓を有した前方壁と後方壁との間に前記ホルダー本体が位置するように配し、且つ前記ホルダー本体の貫通孔の周囲に突設した掛止突起が前記前方壁および後方壁の掛止窓に掛止されて前記筆記体および前記ピン体が前記前方壁および後方壁の掛止窓より突出し、前記軸筒を横向きにした状態で軸周りに回転させることにより、前記ホルダー本体の掛止突起を前記掛止窓の内方へ突出させた支持突部に引っ掛けながら前記回転筆記ユニットを前記軸筒内で回転させて前記回転筆記ユニットの三本の筆記体の何れか一本を前記軸筒の軸心に一致させた上で、前記ノック体をノック操作することにより、前記軸筒の軸心に一致した筆記体に連接したピン体を前記押棒で押動して、当該筆記体の筆記先端部を前記軸筒の軸心に沿って先端口から突出させることができる構造の繰出式多芯筆記具。
【請求項1】
軸筒内に収容した三本の筆記体の筆記先端部を軸筒の先端口より出没させる繰出式多芯筆記具において、軸筒内にカム溝を設け、該カム溝に沿って前後動する摺動突起を有したノック体と、前記カム溝を摺動して当該カム溝の前端部に設けた係止部へ係止する係止突起を有した回転カムとを、前記ノック体に形成した傾斜面で構成する凹凸状の噛合部に、前記回転カムに形成した噛合部に噛合う被噛合部を噛合わせて配設し、前記回転カムと前記軸筒に設けた保持部との間にバネ体を配設して当該回転カムを後方へ弾発し、前記ノック体を押圧することにより前記回転カムおよび当該回転カムに連接した押棒を前後動可能とし、三本の筆記体と、断面が略三角形で軸心に沿って長尺に形成されたホルダー本体の3つの角部側にそれぞれ設けた各貫通孔へバネ体および当該バネ体により後方へ付勢されるピン体を配設して形成した筆記体ホルダーとを、前記筆記体の後端部と前記ピン体の前端部とを連接して一体と成した回転筆記ユニットを、前記軸筒の内部を横断し中央に掛止窓を有した前方壁と後方壁との間に前記ホルダー本体が位置するように配し、且つ前記ホルダー本体の貫通孔の周囲に突設した掛止突起が前記前方壁および後方壁の掛止窓に掛止されて前記筆記体および前記ピン体が前記前方壁および後方壁の掛止窓より突出し、前記軸筒を横向きにした状態で軸周りに回転させることにより、前記ホルダー本体の掛止突起を前記掛止窓の内方へ突出させた支持突部に引っ掛けながら前記回転筆記ユニットを前記軸筒内で回転させて前記回転筆記ユニットの三本の筆記体の何れか一本を前記軸筒の軸心に一致させた上で、前記ノック体をノック操作することにより、前記軸筒の軸心に一致した筆記体に連接したピン体を前記押棒で押動して、当該筆記体の筆記先端部を前記軸筒の軸心に沿って先端口から突出させることができる構造の繰出式多芯筆記具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−91258(P2013−91258A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235050(P2011−235050)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
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