説明

缶用表示物

【課題】原反からの面取りが効率的で加工適性にも優れたブランクからなり、また表示パネルの起立や折畳みが何度もできる強度があり、缶上部におまけ品などを収納することができるようにした缶用表示物を提供すること。
【解決手段】缶C1 の周囲に沿うリング状の帯状体10とその帯状体10から上方に突き出る表示パネル20とを有しており、帯状体10は、両端を貼り合わせることでリング状とされ、横断する2本の罫線のところで折畳み可能であり、その帯状体10には、缶の上部の巻締め部mと係合する位置に切込線によりフック部が形成されており、さらに、5本の罫線により、矩形部分16とその両側の三角部分17,18とからなるヒンジ部が形成されており、そのヒンジ部の矩形部分16を延長する形で表示パネル20が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶ジュースや缶ビールなどの缶製品の上部に取り付けて使用される販促用の缶用表示物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の缶用表示物として、リング状の帯状体を缶上部の巻締め部に引っ掛けることで缶に取り付けるタイプのものがある。そして、表示内容を多くするため、帯状体から延びる上方表示パネルや下方表示パネルを設けたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3126416号公報
【特許文献2】特開2008−185776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の缶用表示物は、そのリング状の帯状体が下広がりのテーパーを有しているため、缶上部に取り付けやすく、しかも、一旦取り付けると係止片が巻締め部に引っ掛かるので簡単には外れない状態になるという利点がある。しかしながら、帯状体が扇状のブランクであるため、原反からの面取りが悪い上に、サック貼り機によるストレート貼りができず、手加工に近い作業で貼りを行い、その後に折り畳むという二段階の工程を必要とすることから、生産効率が低いという問題がある。
【0005】
また、従来の缶用表示物では、表示内容を多くしたい場合に、上方表示パネルや下方表示パネルを設けるようにしているが、この表示部は帯状体から細い腕部分を介して設けられている。したがって、店頭で表示パネルを折り曲げたりする場合に、このような腕部分では作業中に切れたり、また表示パネルを折り畳んだり起立させたりするには脆弱であり、缶に取り付けた状態では積み重ねることもできないという問題点もある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、原反からの面取りが効率的で加工適性にも優れたブランクからなり、また表示パネルの起立や折畳みが何度もできる強度があり、缶上部におまけ品などを収納することができるようにした缶用表示物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明に係る缶用表示物は、一枚のブランクを組み立てて形成され、上部に巻締め部のある缶に取り付けられる缶用表示物であって、缶の周囲に沿うリング状の帯状体とその帯状体から上方に突き出る表示パネルとを有しており、帯状体は、両端を貼り合わせることでリング状とされ、横断する2本の罫線のところで折畳み可能であり、その帯状体には、缶の上部の巻締め部と係合する位置に切込線によりフック部が形成されており、さらに、上端縁に平行で内側に設けられた所定長さの1本の横罫線と、横罫線の両端からそれぞれ上端縁に向けて直角に延びる2本の縦罫線と、横罫線の両端からそれぞれ外向きに広がるようにして上端縁まで延びる2本の斜め罫線の計5本の罫線により、矩形部分とその両側の三角部分とからなるヒンジ部が形成されており、そのヒンジ部の矩形部分を延長する形で表示パネルが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の缶用表示物は、缶の上部から被せるようにして帯状体を嵌め込み、缶の巻締め部に帯状体のフック部を係合させることにより缶の上部に取り付けることができ、表示パネルは5本の罫線からなるヒンジ部を介して強度のある状態で帯状体に連設しているので、缶への取り付け状態において起立と折曲げを何度もできるし、缶の上部に折り込めばしっかりと収納されるので、スタッキングすることもできる。また、表示パネルを利用して缶上部のスペースに告知紙片やおまけ品などを収納して販売することも可能である。
【0009】
また、ブランクは、板紙またはプラスチックシートから打ち抜いて形成されるが、帯状体が直線状であるので、従来のような扇状のものに比べて効率的な面取りを行うことができるし、さらには、サック貼り機による一工程で折畳み納入の形状までできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る缶用表示物の一例を取付け状態で示す斜視図である。
【図2】図1の缶用表示物を形成するブランクの展開図である。
【図3】図1の缶用表示物における表示パネルを折曲げ状態で示す斜視図である。
【図4】本発明に係る缶用表示物の別の例を取付け状態で示す斜視図である。
【図5】図4の缶用表示物を形成するブランクの展開図である。
【図6】図4の缶用表示物における表示パネルを折曲げ状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1は本発明に係る缶用表示物の一例を取付け状態で示す斜視図、図2は図1の缶用表示物を形成するブランクの展開図であり、この缶用表示物A1 は、上部に巻締め部のある缶のうち、例えば缶コーヒーのようなストレート缶と呼ばれる直胴型の缶C1 に取り付けて用いるタイプである。
【0013】
図2のブランクB1 は、所定の印刷を施した大きな板紙またはプラスチックシートを打ち抜いて作製された一枚もので、細長い矩形状の帯状体10とその中ほどから上方に突き出るように延設された表示パネル20とを有している。
【0014】
帯状体10は、罫線a,bによって左側パネル11、中央パネル12、右側パネル13に区画されており、罫線a,bのところで折り曲げ、左側パネル11の糊代部分11aを右側パネル13の端部裏側に貼り合わせて折畳み状態にすることができる。そして、この折畳み状態から広げることにより、缶C1 の周囲に沿うリング状となる。さらに、帯状体10には、その罫線a,bを跨ぐ状態でC字状の切込α,βが形成されており、この切込α,βによって囲まれる部分が缶C1 の上部の巻締め部と係合するフック部14,15を構成している。
【0015】
表示パネル20は、缶C1 の上面サイズに対応した円形の一部を省略した形状をしており、帯状体10の中央パネル12に設けられたヒンジ部を介して上方に延設されている。すなわち、中央パネル12には、上端縁に平行で内側に設けられた所定長さの1本の横罫線cと、横罫線cの両端からそれぞれ上端縁に向けて直角に延びる2本の縦罫線d,eと、横罫線cの両端からそれぞれ外向きに広がるようにして上端縁まで延びる2本の斜め罫線f,gの計5本の罫線により、矩形部分16とその両側の三角部分17,18とからなるヒンジ部が形成されており、表示パネル20は矩形部分16を延長する形で設けられている。
【0016】
缶用表示物A1 は、折畳み状態で複数枚まとめて納入される。すなわち、原反から打ち抜いたブランクB1 をサック貼り機にかけ、罫線a,bのところで折り曲げ、左側パネル11の糊代部分11aを右側パネル13の端部裏側に貼り合わせたサック貼り状態のものとして納入される。そして、缶C1 に取り付けるに際しては、折り畳んだ帯状体10の左右を押し広げるようにしてリング状に起こし、缶C1 の上部に嵌め込み、対向位置にある2つのフック部14,15を缶C1 の巻締め部mの内側に差し込んで、図1に示すように固定する。このように缶用表示物A1 を缶C1 の上部に取り付けることで、リング状の帯状体10から上方に向けて表示パネル20が立ち上がった状態となる。なお、フック部14,15は、罫線a,bを跨ぐ状態で対向位置に設けているが、位置は適宜決めればよいものである。
【0017】
図1に示す取付け状態で、表示パネル20をヒンジ部で後方へ倒すと、図3に示すように缶C1 の上部に形成されたスペースに収納することができる。このとき、ヒンジ部における矩形部分16が折り曲げられるのに連れて、その両側に連設する三角部分17,18が斜め後方に倒れて表示パネル20を水平に保持する状態となる。したがって、缶用表示物A1 は、帯状体10や表示パネルにキャンペーンや広告を行うための絵柄や文字などを印刷することで、販促用表示物として利用できるとともに、表示パネル20の下におまけ品や告知片などを入れて販売することもできる。また、表示パネル20を倒した状態でスタッキングも可能となる。そして、表示パネル20を起立させるときは、表示パネル20先端の開いたところに指先を入れて起こせばよい。
【0018】
〔第2実施形態〕
図4は本発明に係る缶用表示物の別の例を取付け状態で示す斜視図、図5は図4の缶用表示物を形成するブランクの展開図であり、この缶用表示物A2 は、上部に巻締め部のある缶のうち、350mlや500mlの所謂トリプルネック缶のような、上部巻締め部mの下側に隣接して外広がりの傾斜部のあるタイプの缶C2 に取り付けて用いるタイプである。なお、この第2実施形態は、その基本的な構成が第1実施形態と同じなので、第1実施形態の缶用表示物A1 と同様の部位には同じ符号を付して説明する。
【0019】
図5のブランクB2 は、図2のブランクB1 と同様、所定の印刷を施した大きな板紙またはプラスチックシートを打ち抜いて作製された一枚もので、細長い矩形状の帯状体10とその中ほどから上方に突き出るように延設された表示パネル20とを有している。
【0020】
帯状体10は、罫線a,bによって左側パネル11、中央パネル12、右側パネル13に区画されており、罫線a,bのところで折り曲げ、左側パネル11の糊代部分11aを右側パネル13の端部裏側に貼り合わせて折畳み状態にすることができる。そして、この折畳み状態から広げることにより、缶C2 の周囲に沿うリング状となる。さらに、帯状体10には、その罫線a,bを跨ぐ状態でU字状の切込α,βが形成されており、この切込α,βによって囲まれる部分が缶C2 の上部の巻締め部と係合するフック部14,15を構成している。なお、このフック部14,15は内側に折り返しやすくするため、曲げる部分に罫線x,yを設けている。
【0021】
表示パネル20は、缶C2 の断面サイズに対応した円形の一部を省略して形状をしており、帯状体10の中央パネル12に設けられたヒンジ部を介して上方に延設されている。すなわち、中央パネル12には、上端縁に平行で内側に設けられた所定長さの1本の横罫線cと、横罫線cの両端からそれぞれ上端縁に向けて直角に延びる2本の縦罫線d,eと、横罫線cの両端からそれぞれ外向きに広がるようにして上端縁まで延びる2本の斜め罫線f,gの計5本の罫線により、矩形部分16とその両側の三角部分17,18とからなるヒンジ部が形成されており、表示パネル20は矩形部分16を延長する形で設けられている。
【0022】
缶用表示物A2 は、折畳み状態で複数枚まとめて納入される。すなわち、原反から打ち抜いたブランクB2 をサック貼り機にかけ、罫線a,bのところで折り曲げ、左側パネル11の糊代部分11aを右側パネル13の端部裏側に貼り合わせたサック貼り状態のものとして納入される。そして、缶C2 に取り付けるに際しては、折り畳んだ帯状体10の左右を押し広げるようにしてリング状に起こし、対向位置にある2つのフック部14,15を罫線x,yのところで内側に折り返し、その折返し状態のままで缶C2 の上部に嵌め込み、各フック部14,15を缶C2 の巻締め部mの下側に引っ掛けて、図4に示すように固定する。このように缶用表示物A2 を缶C2 の上部に取り付けることで、リング状の帯状体10から上方に向けて表示パネル20が立ち上がった状態となる。なお、この例でもフック部14,15は、罫線a,bを跨ぐ状態で対向位置に設けているが、位置は適宜決めればよいものである。
【0023】
図4に示す取付け状態で、表示パネル20をヒンジ部で後方へ倒すと、図6に示すように缶C2 の上部に形成されたスペースに収納することができる。このとき、ヒンジ部における矩形部分16が折り曲げられるのに連れて、その両側に連設する三角部分17,18が斜め後方に倒れて表示パネル20を水平に保持する状態となる。したがって、缶用表示物A2 は、帯状体10や表示パネルにキャンペーンや広告を行うための絵柄や文字などを印刷することで、販促用表示物として利用できるとともに、表示パネル20の下におまけ品や告知片などを入れて販売することもできる。また、表示パネル20を倒した状態でスタッキングも可能となる。そして、表示パネル20を起立させるときは、表示パネル20先端の開いたところに指先を入れて起こせばよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の缶用表示物は、一般に用いられている缶製品のうち、第1,2実施形態で説明したように、ストレートと呼ばれる直胴型の缶、上部巻締め部に傾斜のある缶の何れにも対応することができる。そして、缶ジュースや缶ビールなどの飲料缶に販促用として取り付けて使用するのが好適である。
【符号の説明】
【0025】
1 ,A2 缶用表示物
1 ,B2 ブランク
1 ,C2
m 巻締め部
10 帯状体
11 左側パネル
11a 糊代部分
12 中央パネル
13 右側パネル
14,15 フック部
16 矩形部分
17,18 三角部分
20 表示パネル
a,b 罫線
c 横罫線
d,e 縦罫線
f,g 斜め罫線
x,y 罫線
α,β 切込

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のブランクを組み立てて形成され、上部に巻締め部のある缶に取り付けられる缶用表示物であって、缶の周囲に沿うリング状の帯状体とその帯状体から上方に突き出る表示パネルとを有しており、帯状体は、両端を貼り合わせることでリング状とされ、横断する2本の罫線のところで折畳み可能であり、その帯状体には、缶の上部の巻締め部と係合する位置に切込線によりフック部が形成されており、さらに、上端縁に平行で内側に設けられた所定長さの1本の横罫線と、横罫線の両端からそれぞれ上端縁に向けて直角に延びる2本の縦罫線と、横罫線の両端からそれぞれ外向きに広がるようにして上端縁まで延びる2本の斜め罫線の計5本の罫線により、矩形部分とその両側の三角部分とからなるヒンジ部が形成されており、そのヒンジ部の矩形部分を延長する形で表示パネルが設けられていることを特徴とする缶用表示物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−24896(P2013−24896A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156227(P2011−156227)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】