説明

缶胴のテープ補修方法およびその装置

【課題】 補修テープの不要な部分を簡単に廃棄し、また缶胴に貼り付けた補修テープを確実に切断して、次に搬送されてくる缶胴に対し適切に待機すること。
【解決手段】 テープ貼り付け部は、貼り付け用搬送路4B上の途中位置に設置され、搬送されている缶胴1の溶接継ぎ目部を外側と内側とから挟み付けながら缶胴1の送り方向に回転する一対の外ローラ81,内ローラ82を具備する。外ローラ81は、動力伝達機構を介して連結されたモータにより駆動される。テープ貼り付け部は、テープガイド部9と、クランプローラ83を具備している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接によって製缶された缶胴の側面に設けられた溶接継ぎ目部を補修テープを用いて補修する缶胴のテープ補修装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属缶の製胴装置にあっては、金属板を形成し、その金属板から筒状の缶胴を折り曲げ加工して成形した後、缶胴の周方向の両端部をシーム溶接等によって溶接する。そして、溶接されると、高温溶接熱のため、金属板に予め処理されていた防錆前処理膜が破壊され、金属面が露出して腐食されやすい状態にあることから、その後には溶剤系塗料,或いは粉体系塗料を塗装したりして防錆処理を行っていた。
【0003】ところが、溶剤等の塗料を用いると、大気汚染,塗料の成分における環境ホルモンの溶出等、地球環境上好ましくない問題があるばかりでなく、塗装された粉体等が高コストであったりまた缶胴から脱落して異物に混入したりする等、価格および品質の点で問題もあることから、不満足なものであった。
【0004】そのようなことから、近年では、缶胴の側面の溶接継ぎ目部に補修テープを貼り付けて補修する装置が提案され、実用に供されている。この種の装置として、例えば特開平9−108752号公報,同10−15690号公報等が挙げられる。このような従来例では、缶胴を加熱して搬送したとき、その缶胴に補修テープを押圧して、補修テープが缶胴の熱で熱融着性を生じることにより、補修テープを缶胴の側面溶接継ぎ目部に貼り付けるようにすることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、缶胴の側面溶接継ぎ目部に補修テープを貼り付ける従来のテープ補修装置は、搬送されている缶胴に補修テープを貼り付ける構成であるものの、缶胴の溶接継ぎ目部に沿って補修テープを貼り付けたとき、缶胴の先端と後端との両端で補修テープを如何に良好に切断するのか困難を要する問題がある。しかも、その切断時に発生する補修テープの不要部分である先端部を、どのように廃棄するのかが課題であり、さらには切断した補修テープの先端部をどのようにして缶胴に再び貼り付けるのかが課題となっていた。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、缶胴に補修テープを貼り付けたときに生じる補修テープの不要な先端部を簡単に廃棄することができ、しかも補修テープを缶胴の後端まで貼り付けた時点で、缶胴の後端で補修テープを速やかにかつ確実に切断することができると共に、次に搬送されてくる缶胴に対して貼り付け可能に待機しておくことができる缶胴のテープ補修方法を提供するのを課題とし、また上記方法を的確に実施することができる缶胴のテープ補修装置を提供するのを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明においては、以下の手段を採用した。請求項1記載の本発明では、筒状体の周囲における両端部を溶接により接合して缶胴を形成し、その缶胴を加熱すると共に、加熱した缶胴の溶接継ぎ目部に熱融着性の補修テープを貼り付けるようにした缶胴のテープ補修方法において、補修テープの先端部を、予め、缶胴の搬送経路上に配設されかつ互いに回転可能に接触する一対の外ローラ,内ローラ間に通して下流側に導くと共に、補修テープの下流側の先端部を外ローラの外周部にクリップしておくクリップ工程と、前記補修テープを軸方向に沿い挿通したままの状態の缶胴を、前記外ローラ,内ローラ間に送り込んだとき、外,内ローラにより缶胴を挟み込んで下流側に送り出すと共に、その送り出し時、内ローラが補修テープを缶胴の溶接継ぎ目部上にその先端から後端に至るに従い次第に押圧して貼り付ける貼り付け工程と、その貼り付け時、缶胴の先端がその熱で補修テープと接触している先端部を切断する先端切断工程と、缶胴が外ローラ,内ローラ間を通過した時点で、補修テープにおける缶胴の溶接継ぎ目部の後端に相当する部位に熱風を吹きかけて軟化させ、補修テープを切断する後端切断工程と、前記補修テープの切断によって生じる新たな先端部を、外ローラの外周面に再びクリップさせる再クリップ工程とを有することを特徴とする。
【0008】このように、前記クリップ工程と、前記貼り付け工程と、前記先端切断工程と、前記後端切断工程と、前記再クリップ工程とを有するので、搬送されている缶胴の溶接継ぎ目部に補修テープを適切に貼り付けることができる。また、缶胴の先端によって補修テープの先端部を切断した後、その切断された先端部を必然的に落下させるので、補修テープの不要な部分を簡単かつ速やかに廃棄することができる。さらに、補修テープを切断部の熱風で切断することにより、缶胴の後端から補修テープを切り離すことができる。そのため、外ローラが回転した場合、その切り離しによる補修テープの新たな先端部を外ローラに確実にクリップできるので、補修テープを次の貼り付け時に備えて適切に待機させておくことができる。
【0009】請求項2記載の本発明では、外ローラ,内ローラ間を通過した缶胴をさらに下流側に搬送しているとき、缶胴の溶接継ぎ目部上の補修テープを、再び押圧することを特徴とする。これにより、一旦貼り付けられた補修テープを再び缶胴内で加圧するので、補修テープが剥がれるおそれがなく、貼り付けの信頼性を高めることができる。
【0010】請求項3記載の本発明では、周面部に溶接継ぎ目部を有する缶胴を、軸方向に沿って搬送する搬送経路と、搬送経路に設置され、かつ搬送中の缶胴を所望温度に加熱する加熱部と、搬送経路の前記加熱部より下流側に設置され、かつ缶胴内の溶接継ぎ目部に補修テープを貼り付けるテープ貼り付け部と、補修テープを前記テープ貼り付け部に供給するテープ供給部とを備え、かつ前記テープ貼り付け部は、互いに回転可能に接触して配設され、かつ缶胴の溶接継ぎ目部および補修テープを挟み込むと共に、缶胴を下流側に送り出す一対の外ローラおよび内ローラと、外ローラより下流側の位置に外ローラと接触した状態で回転自在に軸支され、かつ前記外ローラおよび内ローラ間を通った補修テープの先端部を、外ローラにクリップするクリップローラと、外ローラおよび内ローラの下流側に設置され、缶胴が外ローラおよび内ローラ間を通過したとき、熱風により、補修テープにおける缶胴の溶接継ぎ目部の後端に相当する部位を軟化させて切断する切断部とを具備することを特徴とする。
【0011】本発明では、上述のように、前記搬送路と前記加熱部と前記テープ貼り付け部と前記テープ供給部とを備えると共に、前記テープ貼り付け部が、一対の外ローラおよび内ローラと、クリップローラと、補修テープの切断部とを有しているので、上記請求項1記載の方法を的確に実施することができる。
【0012】請求項4記載の本発明では、補修テープ貼り付け手段により貼り付けられた補修テープを、缶胴の内側面に再び加圧する再加圧手段を備えることを特徴とする。これにより、一旦貼り付けられた補修テープを再び加圧するので、請求項2記載の方法を的確に実施することができる。
【0013】請求項5記載の本発明では、前記テープ貼り付け部における外ローラ,内ローラ間に、補修テープの先端部を導くテープガイド手段を備えていることを特徴とする。これにより、一対の外ローラ,内ローラ間に補修テープの先端部を導くことができるので、外ローラ,内ローラの間に補修テープの先端部を緊張した状態で通すことができる。
【0014】請求項6記載の本発明では、缶胴を形成するために展開された四角の板体から筒状体を形成する成形部と、筒状体の周方向の両端部を溶接により接合して缶胴を形成する溶接部と、缶胴を所定温度に加熱する前記加熱部とを、補修テープの供給部およびテープ貼り付け部の間に順に設置していることを特徴とする。このように、補修テープの供給部とテープ貼り付け部との間に、成形部,溶接部,加熱部が順に設置されていると、缶胴の成形から缶胴に補修テープを貼り付けるまでの一連の作業を連続的に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。本発明によるテープ補修方法を実施するためのテープ補修装置の実施形態は、大別すると、図1に示すように、缶胴1の成形部2と、溶接部3と、搬送経路4と、補修テープ5の供給部6と、加熱部7と、テープ貼り付け部8とを備えて構成されている。
【0016】缶胴1の成形部2は、缶胴1を形成する大きさの四角形状に展開された鋼鈑製の板体1aが供給されると、それを図示しない成形機で丸めて成形することにより筒状に形成される。この場合、図示しない成形機は、缶胴1内に後述する補修テープ5が挿通するよう、補修テープ5を取り囲んで成形されるようになっている。
【0017】溶接部3は、缶胴1の搬送経路4上に設置された大小二個の溶接ローラ3a,3bを有し、成形部2にて形成された筒状の缶胴1の周側部が、図示しない搬送手段によって溶接ローラ3aとローラ3b間に搬送されると、その搬送中に各溶接ローラ3a,3bが缶胴1を挟み付けながら、かつ缶胴1の上部に位置している溶接継ぎ目部1bを先端から後端へ次第に溶接し、缶胴1の周方向の両端部を互いに重ねて接合するようになっている。これにより、溶接部3によって缶胴1は所定の径を有する形状に形成されることとなる。
【0018】補修テープ5の供給部6は、成形部2の上流側に設置されたテープリール6aに補修テープ5が巻装されており、そこから補修テープ5の先端部5aが成形部2,溶接部3,加熱部7を経て後述するテープ貼り付け部8の所定位置まで架装されている。そして、この補修テープ5は、テープ貼り付け部8に順次搬送されてくる缶胴1の搬送速度に合わせた繰り出し速度で繰り出されるようになっている。
【0019】搬送経路4は、ベルトコンベアによって構成され、かつ溶接部3の下流側およびテープ貼り付け部8の上流側間に配設され加熱用搬送路4Aと、テープ貼り付け部8に沿って配設された後述する貼り付け用搬送路4Bとを有する他、図示していないが、成形部2にて成形された筒状の缶胴1を溶接部3を経て加熱用搬送路4Aに送り込む缶胴供給搬送路を有している。なお、図示しない前記缶胴供給用搬送路と加熱用搬送路4Aとの間、また加熱用搬送経路2aと貼り付け用搬送経路2Bとの間は、隙間があって途切れた状態となっているが、缶胴1はそれらに拘わることなく両搬送路間で連続的に搬送される。
【0020】加熱部7は、加熱用搬送路4Aの内部に複数配設された高周波加熱コイル7aを有し、加熱用搬送路4Aによって缶胴1が搬送されているとき、その缶胴1に対し下方から高周波を照射することにより、缶胴1を所定の温度、例えば本例では100℃程度の温度となるように加熱している。
【0021】本例で取り扱う補修テープ5は、常温では接触しただけでは接着力が得られないが、加熱された缶胴1に触れると、その缶胴1の熱で接着力を生じる熱融着性をもっている。
【0022】そして、テープ貼り付け部8は、缶胴1が搬入されると、その缶胴1の内側面の溶接継ぎ目部1bに補修テープを押圧して貼り付けるようになっている。テープ貼り付け部8について詳細に述べると、このテープ貼り付け部8は、図1および図2に示すように、貼り付け用搬送路4B上の途中位置に設置されており、搬送されている缶胴1の溶接継ぎ目部1bを外側と内側とから挟み付けながら、かつ缶胴1の送り方向に回転する二個一対の外ローラ81,内ローラ82を具備している。一対の外ローラ81,内ローラ82は、例えば加熱されている缶胴1と接触しても、溶融等のような悪影響を受けることのない材質(例えばシリコンゴム等)からなっている。
【0023】これら外ローラ81,内ローラ82のうち、外ローラ81は、図2に示すように、貼り付け用搬送路4B内に支持軸11によって回転可能に軸支され、動力伝達機構10を介して連結されたモータ12によって駆動されるようになっている。
【0024】即ち、動力伝達機構10は、図3に示すように、モータ12の出力軸に装着されたスプロケット13と、回転体14に装着されたスプロケット15との間にチェーン16が掛け渡されている。回転体14はモータ12および外ローラ81の間に回転可能に配設されており、かつベルト17を介し外ローラ81の支持軸11に装着されたベルト車18と連結されている。この動力伝達機構10は、缶胴1が貼り付け用搬送路4Bの所定まで搬送されると、それを図示しないセンサが検知することによってモータ12が駆動され、それによりチェーン16を介しスプロケット15,回転体14が回転すると共に、回転体14,ベルト17を介しベルト車18が回転することにより、外ローラ81が回転駆動されるようになっている。したがって、外ローラ81がモータ12によって駆動される。
【0025】一方、内ローラ82は、図2,図3に示すように、貼り付け用搬送路4B上に設置されたエアシリンダ19aのロッドに取付ブラケット20を介して回転自在に支持されると共に、図4〜図9に示す固定部に引張りばね82aを介し弾性力で吊持され、エアシリンダ19aのロッドが引張りばね82aの弾性力に抗して前進することにより、外ローラ81に対しエアのばね力で接触するようになっている。エアシリンダ19aは、図2R>2および図3に示すように、貼り付け用搬送路4Bを構成する取り込み側の内ローラ42,および送出側の内ローラ44を保持するステー22に取付板23を介して設置されている。
【0026】そして、外ローラ81および内ローラ82は、貼り付け用搬送路4B上に缶胴1が搬送され、缶胴1の先端が外ローラ81および内ローラ82間に入ったとき、外ローラ81がモータ12によって駆動されることにより、外ローラ81と内ローラ82とが缶胴1を回転しながら送り出すようになっている。その際、外ローラ81と内ローラ82は、缶胴1の溶接継ぎ目部1bを挟み込んだ状態で送り出すようになっている。
【0027】また、テープ貼り付け部8は、補修テープ5の先端部5aを前記外ローラ81,内ローラ82間に導くテープガイド部9を具備している。このテープガイド部9は、図2に示すように、貼り付け用搬送路4B上において内ローラ82の上流側に設置されたものであって、缶胴1の搬送方向に沿いかつ上下に位置を違えて回転自在に配設された三個のガイドローラ9a〜9cと、そのガイドローラ9a〜9cのうち、ガイドローラ9cおよび内ローラ82の間に配設されたガイド板9dとを有している。ガイド板9dは、その一端がガイドローラ9cを向くと共に、他端が内ローラ82および外ローラ81間を向くように斜めに配置されている。
【0028】そして、補修テープ5の先端部5aがガイドローラ9a〜9cに沿って順次案内されると共に、ガイド板9d上を経ることにより、外ローラ81および内ローラ82間に導かれ、その際、外ローラ81が回転することにより、外ローラ81と内ローラ82間を通り、下流側に突き出ている。
【0029】さらに、テープ貼り付け部8は、外ローラ81および内ローラ82間を通った補修テープ5の先端部5aを外ローラ81と共にクランプするクランプローラ83を具備している。このクランプローラ83は、外ローラ81の下流側に配置されてあってあって、外ローラ81の回転力で回転するよう回転自在に軸支され、外ローラ81および内ローラ82間を通った補修テープ5の先端部5aが、外ローラ81の外周に沿って導かれたとき、その先端部5aを外ローラ81と共にクランプするようになっている。その場合、クランプローラ83は、予め外ローラ81から離れた位置にあって、かつ補修テープ5の先端部5aが外ローラ81の外周に導かれたとき、外ローラ81と接触するように移動すると、適切にクランプできることから好ましい。
【0030】このように、クランプローラ83が補修テープ5の先端部5aを外ローラ81と共にクランプする状態は、缶胴1が外ローラ81および内ローラ82間の位置まで搬送される前の段階で実行され、本装置の初期状態となっている。そして、図4に示すように、クランプローラ83が補修テープ5を外ローラ81の外周にクランプした状態にあるとき、その外ローラ81,内ローラ82間に缶胴1が搬送されてくるタイミングとなるように設定され、さらにそのときに缶胴1の溶接継ぎ目部1bが外ローラ81,内ローラ82間に挟み込まれることにより、内ローラ82が補修テープ5を溶接継ぎ目部1bの先端から後端に至るに従い次第に押圧すると、補修テープ5が缶胴1の熱によって熱融着性を発生することにより、補修テープ5を溶接継ぎ目部1bに沿って貼り付けることができるようになっている。
【0031】またその際、補修テープ5が缶胴1の溶接継ぎ目部1bに貼り付けられているとき、補修テープ5の先端部5aにおける缶胴1の先端と接触している部分は、缶胴1の先端の熱と、一対の外ローラ81,内ローラ82によって繰り出される缶胴1の搬送力とによって切断され、かつ該切断された先端部5aが外ローラ81の回転で外ローラ81およびクランプローラ83から下方に落下するようになっている。
【0032】またさらに、テープ貼り付け部8は、補修テープ5が内ローラ82によって缶胴1の溶接継ぎ目部1bの後端まで貼り付けられたとき、その補修テープ5を切断する切断部84が設置されている。この切断部84は、熱風を吹き出すブロアで構成されており、図7に示すように、缶胴1が外ローラ81,内ローラ82間を通過し終えたとき、それを図示しないセンサが検知することによって駆動され、引張られている補修テープ5に対し、缶胴1の内部で溶接継ぎ目部1bの後端に相当する部位に熱風を吹きかけることにより、補修テープ5を軟化させて熱切断できるようになっている。
【0033】その場合、切断された補修テープ5の新たな先端部5bは、外ローラ81の外周部に当接し、かつ外ローラ81の回転によって外ローラ81とクランプローラ83間に挟み込まれ、再びクランプされるようになっている。
【0034】さらにまた、テープ貼り付け部8は、一対の外ローラ81,内ローラ82および切断部84の下流側に、再加圧部を具備している。この再加圧部は、外ローラ85および内ローラ86からなっている。外ローラ85は、外ローラ81と同様、図示しないモータによって缶胴1の送り方向に回転することにより内ローラ86を回転させようになっている。即ち、外ローラ85,内ローラ86は、前述した外ローラ81,内ローラ82の場合と同様の構成であるので、ここではその説明を省略する。
【0035】そして、補修テープ5の貼り付けられた缶胴1が一対の外ローラ81,内ローラ82間を通過して外ローラ85および内ローラ86に搬入したとき、外ローラ85が回転駆動されることにより、缶胴1をさらに送出側に搬送すると共に、内ローラ86が缶胴1内の溶接継ぎ目部1b上に貼り付けられている補修テープ5を再び押圧することにより、補修テープ5が缶胴1から剥がれるのを確実に防止できるようになっている。
【0036】貼り付け用搬送路4Bは、図2に示すように、ベルト45とこれを駆動するローラ45a,45b間に掛け渡されたベルトコンベアで構成されている。また、貼り付け用搬送路4Bは、その上流部に配設され、かつ外ローラ41とこれに圧接された前記内ローラ42とで取り込み側を構成すると共に、その下流部に配設され、かつ外ローラ43と前記内ローラ44とで送出側を構成している。取り込み側の外ローラ41および送出側の外ローラ43は、図10に示すように、缶胴1の周面の底部を保持できるようそれぞれハの字形状に二個ずつ設けられており、缶胴1の送り方向に回転するようになっている。また、取り込み側の内ローラ42および送出側の内ローラ44は、ステー22の両端に固定されたブラケット46を介して回転自在に軸支されると共に、外ローラ41および43にそれぞれ圧接している。なお、図10にはベルト45が図示されていない。
【0037】この貼り付け用搬送路4Bは、加熱用搬送路4Aから缶胴1が送り込まれると、その缶胴1の先端部が取り込み側の外ローラ41,内ローラ42の間に挟み込まれ、外ローラ41が回転することによって缶胴1を外ローラ81,内ローラ82側に搬送し、また外ローラ85,内ローラ86によって送り出された缶胴1の先端が送出側の外ローラ43,内ローラ44間に挟み込まれることにより、外ローラ43,内ローラ44によってさらに所定位置に搬出されるようになっている。以上の各ローラ85・86,41・42は、基本的には外ローラ81および内ローラ82と同様の材質で構成され、缶胴1の熱による悪影響を受けないようになっている。
【0038】本実施形態の缶胴のテープ補修装置は、上記構成よりなるので、次にその動作に関連して本発明方法の一実施形態について述べる。予め、補修テープ5は図1に示すようにテープリール6aに巻装されていて、かつその先端部5aが成形部2,および溶接部3,加熱部7を通り、またテープ貼り付け部8内におけるテープガイド部9の各ガイドローラ9a〜9c,ガイド板9dによって案内されて外ローラ81および内ローラ82の間に導かれ、さらには図4に示すように、外ローラ81および内ローラ82間を経てクランプローラ83により外ローラ81にクランプされた状態となっている。
【0039】この状態にあるとき、装置が運転されると、まず、成形部2では板体1aが供給され、その板体1aを丸くすることによって内部に補修テープ5を挿通したままで筒状に形成する。この場合、補修テープ5の途中部分が筒状の中を挿通している。このように板体1aから筒状の缶胴1に形成されると、次に、その筒状の缶胴1が図示しない搬送手段によって溶接部3に搬送され、ここで大小からなる溶接ローラ3a,3bが筒状の缶胴1の周方向の両端部を先端から後端に至るに従い次第に溶接して接合することにより、所定径からなる缶胴1が形成される。この場合も、缶胴1は、補修テープ5を軸方向に挿通したままの状態で形成される。
【0040】缶胴1が形成されると、その缶胴1が図示しない搬送手段によって加熱用搬送路4Aに送り込まれ、該加熱用搬送路4A内の加熱部7により、缶胴1が所定の温度に加熱される。缶胴1が搬送されながら加熱された後、加熱用搬送路4Aから貼り付け用搬送路4Bに搬入されると、缶胴1の内側面の溶接継ぎ目部1bが貼り付け用搬送路4B上の一対の取り込み側の外ローラ41,内ローラ42の間を通過して下流側に搬送される。
【0041】そのとき、缶胴1の溶接継ぎ目部1bの先端が外ローラ81,内ローラ82間に到達すると、図示しないセンサの検知によりモータ12が駆動され、外ローラ81が矢印方向に回転して缶胴1を送り出すと共に、缶胴1の送り出しによって内ローラ82が矢印方向に回転する結果、内ローラ82が補修テープ5を缶胴1の内側面の溶接継ぎ目部1b上に対し、その先端から後端側に次第に押圧することとなる。このとき、補修テープ5は、缶胴1と接触している部分が缶胴1の熱で加熱されることによって熱融着性を生じるので、図5に示すように、内ローラ82によって缶胴1の溶接継ぎ目部1b上に先端から次第に貼り付けられることなる。
【0042】そして、双方の各ローラ81,82によって缶胴1がさらに送り出されると、缶胴1の熱で補修テープ5を軟化させていると共に、補修テープ5に缶胴1の送り出し力が作用することにより、缶胴1の先端が補修テープ5の先端部5aから切断してしまい、図6に示す状態となる。
【0043】そのため、補修テープ5の先端部5aは、切断された時点で外ローラ81とクランプローラ83間にクランプされた状態となる。
【0044】そうして、缶胴1の後端が外ローラ81および内ローラ82間を通過する頃になると、両ローラ81,82の下流に配設された切断部84であるブロアが作動し、両ローラ81,82を通過した缶胴1の後端部に向けて熱風を吹きかけ、その部分に相当する補修テープ5を軟化させることにより、補修テープ5における缶胴1の後端に相当する部分を切断してしまう。そのとき、缶胴1の搬送のために外ローラ81が回転し続けると、補修テープ5の切断された先端部5aは、両ローラ81,83の間から離れ、図7に示すように下方に落下することとなる。
【0045】補修テープ5が切断されると、その新たな先端部5bは図8に示すように、外ローラ81の外周面の下流側に巻き付いた状態となり、かつ外ローラ81の回転によって該外ローラ81とクランプローラ83との間に繰り出されることにより、図9に示すように、クランプローラ83によって外ローラ81にクランプされることとなる。この場合、クランプローラ83は、図8に示すように、ブロアが作動したとき、一旦外ローラ81から離れた後、再び外ローラ81と接触すれば、新たな先端部5bを確実にクリップすることができる。なお、切断部84は、缶胴1が外ローラ81および内ローラ82間を通過し、かつ補修テープ5を切断した頃に停止して、次の缶胴1のために待機する。以下、上記した動作が繰り返し行われことにより、缶胴1の成形から補修テープ5の貼り付けが順次行われることとなる。
【0046】本発明方法は、上述のように、予め、補修テープ5の先端部5aを一対の外ローラ81,内ローラ82間に挿通し、外ローラ81の外周部にクランプローラ83によってクリップしておくクリップ工程と、缶胴1を外ローラ81,内ローラ82間で挟み込んで下流側に送り出すと共に、補修テープ5を缶胴1の溶接継ぎ目部1b上に押圧して貼り付ける貼り付け工程と、その貼り付け時、缶胴1の先端が補修テープ5と接触している先端部5aを切断する切断工程と、缶胴が外ローラ81,内ローラ82間を通過した時点で、補修テープ5を缶胴1の後端から切断させる工程と、補修テープ5の切断された新たな先端部5bを、外ローラ81の外周面に再びクランプローラ83によってクリップさせるクリップ工程とを有している。これにより、搬送されている缶胴1の溶接継ぎ目部1bに補修テープ5を適切に貼り付けることができる他、以下の作用効果もある。
【0047】即ち、缶胴1の先端によって補修テープ5の先端部5aを切断した後、その切断された先端部5aを必然的に落下させるので、缶胴1の搬送中に、補修テープ5の不要な部分を速やかに廃棄することができる。さらに補修テープ5を切断部84の熱風で切断することにより、缶胴1の後端から補修テープ5を切り離すことができる。そのため、外ローラ81が回転した場合、その切り離しによる補修テープ5の新たな先端部5bを外ローラ81にクリップできるので、補修テープ5を次の貼り付け時に備えて適切に待機させておくことができる。
【0048】また、外ローラ81,内ローラ82間を通過した缶胴1が、外ローラ85,内ローラ86によってさらに下流側に搬送すると共に、その搬送時、缶胴1の溶接継ぎ目部上の補修テープ5を、内ローラ86によって再び押圧するので、一旦貼り付けられた補修テープ5の再押圧により、補修テープ5が剥がれるおそれがなく、貼り付けの信頼性を高めることができる。
【0049】そして、本実施形態のテープ補修装置は、成形部2,溶接部3,搬送経路4,補修テープ5の供給部6,加熱部7,テープ貼り付け部8を具備している。このテープ貼り付け部8は、缶胴1の側面の溶接継ぎ目部1bを挟み込んで缶胴1を下流側に送り出す一対の外ローラ81および内ローラ82と、これら両ローラ81,82間に補修テープ5の先端部5aを導くテープガイド部9と、外ローラ81,内ローラ82間に導かれた補修テープ5の先端部を、外ローラ81の外周部にクランプするクランプローラ83と、缶胴1が外ローラ81,内ローラ82間を通過したとき、補修テープ5における缶胴1の後端に相当する部位を加熱して切断する切断部84とを具備するので、上記方法を的確に実施することができる。
【0050】しかも、テープ貼り付け部8は、一対の外ローラ81,内ローラ82および切断部84の下流側に、缶胴1の内側面の溶接継ぎ目部1bに貼り付けられた補修テープ5をさらに押圧する再加圧部としての外ローラ85、内ローラ86をも具備するので、これによって貼り付けられた補修テープ5′が缶胴1から剥がれるおそれがなくなり、上記方法を的確に実施することができる。
【0051】また、テープ貼り付け部8には外ローラ81,内ローラ82の上流側にテープガイド9が配設されているので、外ローラ81,内ローラ82間に補修テープ5の先端部5aを適切に通すことが可能となると共に、補修テープ5を緊張した状態に保つことができる。そのため、缶胴1の溶接継ぎ目部1bに内ローラ82によって補修テープ5を貼り付けた場合、しわ等が発生することがなく、綺麗に補修テープ5を貼り付けることができる。
【0052】さらに、本テープ補修装置においては、補修テープ5の供給部6とテープ貼り付け部8との間に、成形部2,溶接部3,加熱部7が順に設置されているので、缶胴1の成形から缶胴1に補修テープ5を貼り付けるまでの一連の作業を連続的に行うことができ、自動機としての高機能を得ることができる。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、テープ貼り付け部がクリップ工程と貼り付け工程と先端切断工程と後端切断工程と前記再クリップ工程とを有して構成したので、搬送されている缶胴の溶接継ぎ目部1bに補修テープを適切に貼り付けることができ、また補修テープの不要な部分を簡単かつ速やかに廃棄することができ、さらには缶胴の後端から補修テープを切り離すことができる効果がある。
【0054】また本発明によれば、缶胴に一旦貼り付けられた補修テープを再び缶胴内で加圧するので、補修テープが剥がれるおそれがなく、貼り付けの信頼性を高めることができる効果がある。
【0055】そして、本発明によれば、搬送経路と加熱部とテープ貼り付け部とテープ供給部とを備えると共に、、かつテープ貼り付け部が、一対の外ローラおよび内ローラと、クリップローラと、補修テープの切断部とを有しているので、上記方法発明を的確に実施することができる効果がある。
【0056】また、本発明によれば、一旦貼り付けられた補修テープを再び加圧するので、これによっても方法発明を的確に実施することができる効果がある。
【0057】さらに本発明によれば、テープガイド手段により一対の外ローラ,内ローラ間に補修テープの先端部を導くことができ、外ローラ,内ローラの間に補修テープの先端部を緊張した状態で通すことができる効果がある。
【0058】また、本発明によれば、缶胴の成形から缶胴に補修テープ5を貼り付けるまでの一連の作業を連続的に行うことができ、自動機としての高機能を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるテープ補修方法を実施するためのテープ補修装置の一実施形態を示す概略全体図である。
【図2】 同じくテープ補修装置のテープ貼り付け部を示す拡大側面図である。
【図3】 一対の外ローラおよび内ローラの構成を示す図2のA−A線に相当する説明図である。
【図4】 テープ貼り付け部において缶胴が一対の外ローラおよび内ローラに取り込まれる前の状態を示す説明図である。
【図5】 缶胴が一対の外ローラ,内ローラ間に取り込まれてあって、かつ内ローラにより補修テープを缶胴の内側面の溶接継ぎ目部に押圧し始めた状態を示す説明図である。
【図6】 缶胴の溶接継ぎ目部に内ローラによって補修テープを押圧すると共に、補修テープの先端部が缶胴の先端によって切断されたときの状態を示す説明図である。
【図7】 補修テープが缶胴の溶接継ぎ目部に押圧されたとき、切断部によって切断される状態を示す説明図である。
【図8】 切断部によって切断された補修テープの先端部が、再び外ローラとクランプローラ間にクランプされる状態を示す説明図である。
【図9】 缶胴の先端によって補修テープが切断された後、補修テープの先端部が再び外ローラおよびクランプローラ間にクランプされる状態を示す説明図である。
【図10】 搬送経路の貼り付け用搬送路を示す図2のB−B矢視に相当する拡大図である。
【符号の説明】
1 缶胴
2 成形部
3 溶接部
4 搬送経路
5 補修テープ
5a,b 補修テープの先端部
6 供給部
6a テープリール
7 加熱部
8 テープ貼り付け部
81 外ローラ
82 内ローラ
83 クリップローラ
84 切断部
85 外ローラ
86 内ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 筒状体の周囲における両端部を溶接により接合して缶胴を形成し、その缶胴を加熱すると共に、加熱した缶胴の溶接継ぎ目部に熱融着性の補修テープを貼り付けるようにした缶胴のテープ補修方法において、A)補修テープの先端部を、予め、缶胴の搬送経路上に配設されかつ互いに回転可能に接触する一対の外ローラ,内ローラ間に通して下流側に導くと共に、補修テープの下流側の先端部を外ローラの外周部にクリップしておくクリップ工程と、B)前記補修テープを軸方向に沿い挿通したままの状態の缶胴を、前記外ローラ,内ローラ間に送り込んだとき、外,内ローラにより缶胴を挟み込んで下流側に送り出すと共に、その送り出し時、内ローラが補修テープを缶胴の溶接継ぎ目部上にその先端から後端に至るに従い次第に押圧して貼り付ける貼り付け工程と、C)その貼り付け時、缶胴の先端がその熱で補修テープと接触している先端部を切断する先端切断工程と、D)缶胴が外ローラ,内ローラ間を通過した時点で、補修テープにおける缶胴の溶接継ぎ目部の後端に相当する部位に熱風を吹きかけて軟化させ、補修テープを切断する後端切断工程と、E)前記補修テープの切断によって生じる新たな先端部を、外ローラの外周面に再びクリップさせる再クリップ工程とを有することを特徴とする缶胴のテープ補修方法。
【請求項2】 外ローラ,内ローラ間を通過した缶胴をさらに下流側に搬送しているとき、缶胴内の溶接継ぎ目部上の補修テープを、再び押圧することを特徴とする請求項1記載の缶胴のテープ補修方法。
【請求項3】 周面部に溶接継ぎ目部を有する缶胴を、軸方向に沿って搬送する搬送経路と、この搬送経路に設置され、かつ搬送中の缶胴を所望温度に加熱する加熱部と、搬送経路の前記加熱部より下流側に設置され、かつ缶胴内の溶接継ぎ目部に補修テープを貼り付けるテープ貼り付け部と、補修テープを前記テープ貼り付け部に供給するテープ供給部とを備え、かつ前記テープ貼り付け部は、互いに回転可能に接触して配設され、かつ缶胴の溶接継ぎ目部および補修テープを挟み込むと共に、缶胴を下流側に送り出す一対の外ローラおよび内ローラと、外ローラより下流側の位置に外ローラと接触した状態で回転自在に軸支され、かつ前記外ローラおよび内ローラ間を通った補修テープの先端部を、外ローラにクリップするクリップローラと、外ローラおよび内ローラの下流側に設置され、缶胴が外ローラおよび内ローラ間を通過したとき、熱風により、補修テープにおける缶胴の溶接継ぎ目部の後端に相当する部位を軟化させて切断する切断部とを具備することを特徴とする缶胴のテープ補修装置。
【請求項4】 補修テープ貼り付け手段により貼り付けられた補修テープを、缶胴の内側面に再び加圧する再加圧手段を備えることを特徴とする請求項3記載のテープ補修装置。
【請求項5】 前記貼り付け部における一対の外ローラ,内ローラ間に、補修テープの先端部を導くテープガイド手段を備えていることを特徴とする請求項3または4の何れかに記載の缶胴のテープ補修装置。
【請求項6】 缶胴を形成するために展開された四角の板体から筒状体を形成する成形部と、筒状体の周方向の両端部を溶接により接合して缶胴を形成する溶接部と、缶胴を所定温度に加熱する前記加熱部とを、補修テープの供給部およびテープ貼り付け部との間に設置していることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の缶胴のテープ補修装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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