説明

置換された2−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類の製造方法

本発明は式 (II)
【化1】


(ここでR1及びR2は、それぞれ明細書中に定義される)のエナミン類及び/又はそのモノアセチル化体又はジアセチル化体又はそのモノホルミル化体又はジホルミル化体を1又は数種の希釈剤の存在下で塩素化剤と反応させる、一般式(I)
【化2】


の4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類及び/又は式(I)'
【化3】


(ここでR1及びR2は、それぞれ明細書中に定義される)のその塩酸塩、及び/又はそのモノアセチル化体又はジアセチル化体又はそのモノホルミル化体又はジホルミル化体の製造方法に関する。更に式(II)の化合物の製造方法も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬の有効成分、特に除草剤として活性な置換されたチエニルアミノカルボニルトリアゾリノン類 (WO 01/05788参照)の中間体として知られている置換された4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
置換された4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類 は、過酸化水素による酸化及びその後の酸性の後処理により製造されることが知られている(EP−A 331 919)。しかし、これらの方法による達成可能な収率は十分に満足できるものではない。さらに、4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類 は、3−オキソテトラヒドロチオフェン類をヒドロキシルアミンの酸付加塩と反応させ、得られるオキシムを酸で処理するか(DE−A 27 37 738)又はそのまま対応するアミン塩酸塩に変換することにより製造されることが知られている。しかし、この反応の欠点は脱炭酸されたアミンが不要な副産物として生成し、精製を複雑にすること及びヒドロキシルアミン酸付加塩を大過剰に用いる必要があることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
置換された4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類を他の方法により高収率かつ効率よく製造することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の方法によれば、置換された 4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類の製造は、3−オキソテトラヒドロチオフェン類を酢酸アンモニウム又は蟻酸アンモニウムと反応させて対応するエナミン類にする場合に高収率で行えることが見出された。この反応は驚くべきことに、アンモニアを追加的に加える場合は塩の触媒的な量でも成功する。アンモニアを加えるのみで塩を加えない場合には、エナミン類への十分な転換は起こらない。エナミン類を、次いで塩化スルフリル又は塩素のような塩素化剤と反応させる。驚くべきことに、目的物の生成はたいした副産物を生成せずに進行する。文献によればテトラヒドロチオフェン類は例えば塩化スルフリルとS−塩素化反応下に反応して塩素複合体(例えばスルホニウム塩)を生成することが知られている (JACS, 1973, 95, 6508−6509)。これらの化合物は高度に反応性であり、例えば芳香族アミンと反応するか(JACS, 1973, 95, 6508−6509)又は重合する(J. Org. Chem., 1985, 50, 2840-847)。
【0005】
したがって、一般式(I)の4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類、
【化1】

及び/又は式(I)'のそれらの塩酸塩
【化2】

及び/又は式(I)''のそれらのモノ−又はビスアセチル化体又はモノ−又はビスホルミル化体
【化3】

(ここで式中、R1は、場合によりハロゲン−又はC1−C4−アルコキシ−置換された1〜6の炭素原子を有するアルコキシであり、
R2は、場合によりハロゲン−又はC1−C4−アルコキシ−置換された1〜6の炭素原子を有するアルキルであるか、又はそれぞれの場合において場合によりハロゲン−、C1−C4−アルキル−又はC1−C4−アルコキシ−で置換されたアリール又はアリールアルキルで、それぞれの場合においてこのアリール基は6〜10の炭素原子を有しそして適当であればこのアルキル基は1〜4の炭素原子を有するものであり、
R3は、アシル又はホルミルである)
は、式(II)のエナミン
【化4】

及び/又は式(II)''のそれらのモノ−又はビスアセチル化体又はモノ−又はビスホルミル化体
【化5】

(ここで式中、R1、R2及びR3は上記のとおりである)
を1又はそれ以上の希釈剤の存在下で塩素化剤と反応させた時、非常に高い収率で高純度で得られることが見出された。
【0006】
式(I)において、R1は好ましくはC1−C4−アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ、n−又はi−プロポキシである。R2は好ましくはC1−C4−アルキル、特にメチル、エチル、n−又はi−プロピルである。
【0007】
本発明の方法は、式(Ia)の2−メチル−3−アミノ−4−メトキシカルボニルチオフェン
【化6】

又は式(Ia)'のその塩酸塩
【化7】

又は式(Ia)''のそのモノ−又はビスアセチル化体又はモノ−又はビスホルミル化体
【化8】

の製造に特に有利に適している。
【0008】
本発明の方法においては、一般的に補助的な塩基の添加は不要である。
【0009】
塩素化剤とエナミンの反応において、驚くべきことに4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類を非常に高い収率で且つ非常に高い純度で短い反応時間で製造しうる新規な方法が見出された。
【0010】
好ましい態様において、反応性生物は急速に且つ高収率で生成される。反応後に、生成物は有機溶媒から塩酸塩として水により沈殿させ、ついでろ過することにより非常に簡単な方法で分離され得る。あるいは、塩化スルフリル又は塩素ガスの使用の場合には、生成物の分離は減圧下で溶媒及び過剰の酸化剤を単に除去することによっても行い得る。生産物製造には、高価な試薬の大過剰は必要でない。
【0011】
本発明の方法は、置換された 4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン類の非常に有利な製造を可能にするので、技術の多様化に資することになる。このことは、これらの中間体を基にして、除草剤であるチエニルアミノカルボニルトリアゾリノン類の入手を容易化する。
【0012】
本発明の方法の出発物質として用いられる式(II)のエナミン類は、好ましくは式(III)
【化9】

(ここで式中、R1及びR2はそれぞれ上記のとおりである)
の化合物を、1又はそれ以上の希釈剤の存在下で、場合によりNH3の存在下で蟻酸アンモニウムと、場合によりNH3の存在下で酢酸アンモニウムと、蟻酸とNH3の混合物と、及び/又は酢酸とNH3の混合物と反応させて得られる。
【0013】
しかしながら、式(II)の化合物はEP−A 331 919に記載された方法で製造することもできる。これらは更に原理的に公知の方法で製造することもできる(例えばJ.Org. Chem. Vol. 42, No. 9, 1977参照)。
【0014】
式(II)のアミンは、従来の方法で対応する式 (II)''の化合物にアシル化又はホルミル化される。
【0015】
式(III)の化合物は公知であり、例えばDE−A 27 37 738に記載された方法で製造することができる。
【0016】
置換されたエナミン類と塩素化剤とのこの発明の反応は、一般的に−15℃と70℃の間、好ましくは−15℃と25℃の間、更に好ましくは−10℃と0℃の間の温度で行われる。反応に使われる希釈剤は好ましくはハロゲン化された芳香族又は脂肪族炭化水素である。メチレンクロリド及びクロルベンゼンが希釈剤として特に好ましい。
【0017】
置換されたエナミンと塩素化剤とのこの発明の反応において、反応時間は一般的に1分と6時間の間、好ましくは2分と120分の間である。反応試薬は一般的に最初に希釈剤中に11〜50質量%、好ましくは20〜30質量%濃度で加えられる。
【0018】
本発明の方法を実施するため、式(I)の化合物は好ましくは過剰の反応試薬を用いて製造される。一般的には式(II)のエナミン1モル当たり、0.8〜10モルの間、好ましくは1.0〜1.1モルの間の塩素化剤が用いられる。
【0019】
本発明の方法に用いられる塩素化剤は(元素状、ガス状)塩素又は塩化スルフリル(SO2Cl2)であり得る。容易に塩素を放出する他の化合物も又使用することができる。塩化スルフリルを使用することが特に好ましい。
【0020】
本発明の方法は、通常標準圧で行われる。しかし、本発明の方法は加圧下又は減圧下、通常0.1バール〜10バールの間で行うことも可能である。
【0021】
式(III)の化合物から式(II)のエナミンの製造は 、一般的に20℃〜118℃の間、好ましくは50℃〜118℃の間の温度、特に好ましくは使用した希釈剤の還流温度で行われる。好ましい希釈剤は中性の溶媒、例えばC1−C4−アルコール、特にはメタノール、エタノ−ル又は他の極性溶媒例えばアセトニトリルである。使用されるこの希釈剤は、前述の希釈剤との混合物と共に引き続く塩素化剤との反応に用いられる希釈剤であってもよい。メタノール及びエタノールの使用が特に好ましい。
【0022】
式(III)の化合物を式(II)のエナミンにする変換において、反応時間は通常30分〜12時間の間、好ましくは20分〜240分の間である。
【0023】
式(II)の化合物を製造する工程を行うため、過剰の反応試薬を使うことが好ましい。一般に、式(III)の化合物1モル当たり、試薬例えば蟻酸アンモニウム又は酢酸アンモニウムを0.8〜10モルの間、好ましくは1.2〜3.0モルの間で使用する。
【0024】
又は、反応時間の間にNH3が計り込まれる時に、蟻酸アンモニウム又は酢酸アンモニウムを触媒量で用いることもできる。この場合、好ましくは反応試薬1モル当たり問題のアンモニウム塩(又は2つの混合物)0.1−0.8モルと1〜3モルのNH3が用いられる。
【0025】
反応に使用される試薬が直接に蟻酸アンモニウム又は酢酸アンモニウムでなく、酢酸とNH3又は蟻酸とNH3の混合物である時は、好ましくは試薬1モル当たり、酸を0.1〜1モル及びNH3を1〜3モル用いる。
【0026】
式(III)の化合物から式(II)の化合物を製造する工程は、一般的に標準圧下で行われる。しかし、加圧下又は減圧下、一般的には0.1バール〜10バールの間で行うことも可能である。
【0027】
式(III)の化合物から製造された式(II)のエナミンは、この発明の工程段階に用いられる前に分離され得る。しかし、生成する化合物を更に塩素化剤と、中間体を分離することなく、希釈剤を一部分、しかし好ましくは全部取替えた後に、直接に反応させることも可能である。
【0028】
本発明は、この発明の工程段階と、式(II)の出発化合物のための上記で特定化した工程段階との組み合わせをも提供する。更に、式(II)の化合物を高収率で得るのに特に適している、式(II)の出発化合物のみを製造するための工程段階も本発明によるものである。
【0029】
したがって、式(III)の化合物
【化10】

(ここで式中、R1は、場合によりハロゲン−又はC1−C4−アルコキシ−置換された1〜6の炭素原子を有するアルコキシであり、
R2は、場合によりハロゲン−又はC1−C4−アルコキシ−置換された1〜6の炭素原子を有するアルキルであるか、又はそれぞれの場合において場合によりハロゲン−、C1−C4−アルキル−又はC1−C4−アルコキシ−で置換されたアリール又はアリールアルキルで、それぞれの場合においてアリール基は6〜10の炭素原子を有しそして適当であればこのアルキル基は1〜4の炭素原子を有するものである)
を、1又はそれ以上の希釈剤の存在下で、場合によりNH3の存在下で蟻酸アンモニウムと、場合によりNH3の存在下で酢酸アンモニウムと、蟻酸とNH3の混合物と、及び/又は酢酸とNH3の混合物と反応させ、生成する式(II)の化合物
【化11】

(ここで式中、R1及びR2は上記のとおりである)
を直接に、又は引き続くアシル化又はホルミル化して式(II)''とした後に、1又はそれ以上の希釈剤の存在下において塩素化剤で変換したとき、
一般式(I)の4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン
【化12】

及び/又は式(I)'のそれらの塩酸塩
【化13】

及び/又は式(I)''のそれらのモノ−又はビスアセチル化体又はモノ−又はビスホルミル化体
【化14】

(ここで式中、R1及びR2は上記のとおりであり、R3は、アシル又はホルミルである)
を非常に高収率で且つ高純度で得られることが見出された。
【0030】
製造実施例を以下に記載する。
【0031】
〔実施例1〕
式(II)の前駆体の製造
【化15】

38.1gの1,4−アンヒドロ−2,5−ジデオキシ−2−(メトキシカルボニル)−1−チオペンツ−3−ロース(1、 0.2モル、コンテント:91.5%)及び37.9gの蟻酸アンモニウム(0.6モル)を最初に330mlのメタノールに加え、次いで還流温度に15時間加熱した。溶媒を減圧下で留去し、残留物を200mlの水に取った。200mlのCH2Cl2で2回抽出し、一緒にした有機相を乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を留去し、37gのメチル4−アミノ−5−メチル−2,5−ジヒドロチオフェン−3−カルボキシレート(2)を得た(理論の97%:コンテント:91%、m.p.: 60℃、1H NMR (400 MHz, d3−CD3CN): 1.46 (d, 3H, J = 6.8 Hz), 3.63 (dd, 1H, J1 = 12 Hz, J2 = 0.9 Hz), 3.64 (s, 3H), 3.76 (dd, 1H, J1 = 12 Hz, J2 = 3.5 Hz), 4.11-4.19 (m, 1H))。
【0032】
〔実施例2〕
式(II)の前駆体の製造
20gの1,4−アンヒドロ−2,5−ジデオキシ−2−(メトキシカルボニル)−1−チオペンツ−3−ロース(1、87mmol、コンテント:72.6%)及び3.6gの酢酸アンモニウム(44mmol)を最初に55mlのメタノールに加えた。反応混合物を2時間加熱して還流した。 次いで1.8gのアンモニアガス(105mmol)を30分に亘って還流温度で導入した。反応混合物を次いで還流下に更に7時間攪拌した。後処理のため、実施例1と同様に処理した。19.3gのメチル4−アミノ−5−メチル−2,5−ジヒドロチオフェン−3−カルボキシレート(2)を得た(理論の96%、コンテント:73.6%)。
【0033】
〔実施例3〕
式(II)の前駆体の製造
【化16】

0〜10℃において、61.3gのメチル3−メルカプトプロピオネート(3、0.5モル、コンテント:98%)をNaOMeの30%メタノール溶液90g(0.5モル)に35分かけて滴下した。添加後、混合物を0〜10℃で更に10分攪拌し、次いで0〜5℃で63.2gのメチル2−クロロプロピオネート(4、0.5モル、コンテント:97%)を50分かけて計り込んだ。反応混合物を0〜5℃で30分さらに攪拌し、500mlのキシレンを加えた。次いでメタノールを実質的に留去した。NaOMeの30%メタノール溶液99g (0.55モル)を約90℃において75分かけて得られた懸濁液に滴下し、次いでメタノールを同時に留去し続けた。反応混合物を次いでアルゴン下に80℃に冷却し、33gの酢酸(0.55モル)を計りこんだ。添加完了後、500mlの水を70℃で加え、混合物を次いで室温に冷却した。相分離した後、水相を250mlのキシレンでもう一度再抽出し、合わせた有機相を次いで100mlの水で再度洗った。有機層を乾燥し(Na2SO4)減圧下で濃縮した。残留物を830mlのメタノール及び94.6gの蟻酸アンモニウム(1.5mol)と混合し、次いで加熱還流した。12時間還流した後、後処理を実質的な濃縮により行った。残留物を水500mlに取り、毎回200mlのジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機相を乾燥した(Na2SO4)。溶媒を減圧下で留去し、81gのメチル4−アミノ−5−メチル−2,5−ジヒドロチオフェン−3−カルボキシレート(2)を得た。(全工程を通じ理論の68%、コンテント:72.5%)。
【0034】
〔実施例4〕
式(II)の前駆体の製造
キシレンの代わりにジクロロベンゼンゼンを用いて実施例3と同様に反応を行うことができる。収率はキシレン中の反応と同じであった。
【0035】
〔実施例5〕
【化17】

80.7gのメチル4−アミノ−5−メチル−2,5−ジヒドロチオフェン−3−カルボキシレート(2)(338mmol、コンテント:72.6%)を88mlのクロロベベゼンゼンに溶解し−10℃に冷却した。59mlのクロロベンゼン中の50.2gの塩化スルフリル(372mmol) 溶液を−10〜0℃の温度範囲でこの溶液に1時間かけて滴下した。反応混合物を次いで−10〜0℃で更に1時間攪拌し、次いで室温に暖めた。後処理のため、反応混合物を減圧下で濃縮した。95gのメチル4−アミノ−5−メチルチオフェン−3−カルボキシレート塩酸塩(5)を得た(理論の96%、コンテント:58.7%、遊離アミンとして測定)。アミンをNaHCO3溶液で遊離した後に生成物の性質を決定した(m.p.:65℃;1H NMR (400 MHz, d3−DMSO): 2.62 (s), 4.25 (s), 5.18 (bs), 8.22 (s))。
アミン塩酸塩: 1H NMR (400 MHz, d6−DMSO): 2.44 (s), 3.83 (s), 8.21 (s))。
【0036】
〔実施例6〕
11.5gのメチル4−アミノ−5−メチル−2,5−ジヒドロチオフェン−3−カルボキシレート(2)(60mmol、コンテント:90%)を25mlのCH2Cl2に溶解し、−10℃に冷却した。10mlのCH2Cl2中の8.9gの塩化スルフリル(66mmol)溶液を、この溶液に−10〜0℃の温度範囲で2時間かけて滴下した。反応混合物を次いで−10〜0℃で更に1時間攪拌し、次いで室温に暖めた。後処理のために、反応混合物を減圧下で濃縮した。14.7gのメチル4−アミノ−5−メチルチオフェン−3−カルボキシレート塩酸塩(5)を得た(理論の89%、コンテント:62.5%、遊離アミンとして測定)。
【0037】
〔実施例7〕
5.6gのメチル4−アミノ−5−メチル−2,5−ジヒドロチオフェン−3−カルボキシレート(2)(30mmol、コンテント:93%)を30mlのCH2Cl2に溶解した。2.3gの塩素(33mmol)をこの溶液に室温において60分かけて導入した。反応混合物を次いでさらに12時間攪拌し、次いで後処理のために減圧下で濃縮した。7.2gのメチル4−アミノ−5−メチルチオフェン−3−カルボキシレート塩酸塩(5)を得た(理論の59%、コンテント:42%、遊離のアミンとして測定)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】

のエナミン及び/又は式(II)''
【化2】

(ここで式中、R1は、場合によりハロゲン−又はC1−C4−アルコキシ−置換された1〜6の炭素原子を有するアルコキシであり、
R2は、場合によりハロゲン−又はC1−C4−アルコキシ−置換された1〜6の炭素原子を有するアルキルであるか、又はそれぞれの場合において場合によりハロゲン−、C1−C4−アルキル−又はC1−C4−アルコキシ−で置換されたアリール又はアリールアルキルで、それぞれの場合においてこのアリール基は6〜10の炭素原子を有しそして適当であればこのアルキル部分は1〜4の炭素原子を有するものであり、
R3は、アシル又はホルミル置換基である)
のそれらのモノ−又はビスアセチル化体又はモノ−又はビスホルミル化体を1またはそれ以上の希釈剤の存在下で塩素化剤と反応させることからなる、一般式(I)
【化3】

の4−アルコキシカルボニル−3−アミノチオフェン及び/又は式(I)'
【化4】

のそれらの塩酸塩及び/又は式(I)''
【化5】

(ここで式中、R1、R2及びR3は上記のとおりである)
のそれらのモノ−又はビスアセチル化体又はモノ−又はビスホルミル化体の製造方法。
【請求項2】
式(I)において、
R1は、C1−C4−アルコキシであり、
R2は、C1−C4−アルキルであり、そして
R3は、アシル又はホルミルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応を−15℃と25℃の間で行う請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
希釈剤が溶媒のクロルベンゼン又はメチレンクロリドから選ばれる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
式(II)のエナミンが、直接的に又は式(II)''のアセチル化型の前駆体として、先行する工程において、式(III):
【化6】

(ここで式中、R1及びR2は請求項1に記載した通りである)
の化合物から、1又はそれ以上の希釈剤の存在下で、場合によりNH3の存在下で蟻酸アンモニウムと、場合によりNH3の存在下で酢酸アンモニウムと、蟻酸とNH3の混合物と、及び/又は酢酸とNH3の混合物と反応させることにより得られる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
先行する工程段階で製造されるエナミンが単離されない請求項5に記載の方法。
【請求項7】
塩素化剤が塩化スルフリルである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式(III):
【化7】

(ここで式中、R1は、場合によりハロゲン−又はC1−C4−アルコキシ−置換された1〜6の炭素原子を有するアルコキシであり、
R2は、場合によりハロゲン−又はC1−C4−アルコキシ−置換された1〜6の炭素原子を有するアルキルであるか、又はそれぞれの場合において場合によりハロゲン−、C1−C4−アルキル−又はC1−C4−アルコキシ−で置換されたアリール又はアリールアルキルで、それぞれの場合においてこのアリール基は6〜10の炭素原子を有し、そして適当であればこのアルキル部分は1〜4の炭素原子を有するものである)
の化合物を、1又はそれ以上の希釈剤の存在下で、場合によりNH3の存在下で蟻酸アンモニウムと、場合によりNH3の存在下で酢酸アンモニウムと、蟻酸とNH3の混合物と、及び/又は酢酸とNH3の混合物と反応させることを含む、式(II):
【化8】

(ここで式中、R1及びR2は、上記のとおりである)
の化合物の製造方法。
【請求項9】
式(III)の化合物を触媒量の蟻酸アンモニウム又は酢酸アンモニウムの存在下でNH3と反応させる、請求項5又は8に記載の方法。
【請求項10】
0.1〜0.8モルのアンモニウム塩が触媒量で用いられる請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2008−525507(P2008−525507A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548718(P2007−548718)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013406
【国際公開番号】WO2006/072375
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】