説明

置換インダゾール及びアザインダゾール化合物の生成に有効な中間体の合成方法

式(I)の化合物の調製方法を開示し、
【化1】


(I)
当該化合物はインダゾール及びアザインダゾール置換化合物の調製のための中間体として有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(出願データ)
本願は、2009年12月8日に出願された米国仮特許出願第61/267,538号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の背景)
1. 技術分野
本発明は、インダゾール及びアザインダゾール置換化合物の調製のための中間体化合物として有用な、式(I)の化合物を調製するための新規方法に関する。
【化1】

(I)
【背景技術】
【0003】
2. 背景情報
式IIのインダゾール及びアザインダゾール置換化合物は、CCR1の阻害薬として説明されてきた。前述の化合物は、例えば国際公開第2009/134666号及び2010/036632号に報告されている。当該化合物は、CCR1の作用を通じて媒介または維持された、リウマチ様関節炎及び多発性硬化症等の自己免疫疾患を含む種々の疾患及び疾病の治療に有用である。
【化2】

II (X = CまたはN)
【0004】
これらの化合物の合成における重要な工程は、アミド結合の形成である。本工程を達成する種々の方法が報告されている。例えば、国際公開第2010/036632号参考文献に報告されるように、本文に記載された式IIの化合物は、以下の式に示すとおり、式(VI)のアミンと(V)を反応させることにより調製してよい。
【化3】


インダゾール及びアザインダゾール置換カルボキサミド化合物の上述の合成における重要な中間体はアミン中間体VIである。アミン中間体VIの公知の合成は、シアノ化合物の対応するアミンへの転換を含み、1)硼水素化ナトリウム/トリフルオロ酢酸/亜鉛臭化物による還元及び系中でのt−ブトキシカルボニル化、
【化4】

及び2)イソプロパノール中の濃塩酸を用いたt−ブトキシカルボニル基の脱保護を含む二段法により行われる。
【化5】

【発明の概要】
【0005】
(発明の簡単な概要)
本発明の合成は、以下の理由により公知の方法より有益である。
1) 二工程でなく一工程で済むことにより、労務費とサイクル時間を削減する。
2) Boc無水物、亜鉛臭化物、NaBH4またはTFAを必要としないため、費用を削減する。
3) NaBH4/TFAを使用する場合、ボランが発生する可能性を回避するため、安全性が高まる。
4) 水素化を工業規模、商業規模で使用できる。
従って、本発明の目的は、式(I)のアミン中間体化合物の調製のための、前述の利益を有する一般的方法を提供することである。
【0006】
(発明の詳細な説明)
最も広範な一般的実施形態においては、イオン塩の形態の式(I)の化合物を生成する方法が提供され、
【化6】

(I)
i) 金属触媒、好ましくはパラジウムまたはニッケルを基礎とした触媒、より好ましくはパラジウム炭素(Palladium over Carbon)、最も好ましくはPd/C10%と水、さらにより好ましくはPd/C10%水50%を用いた、式(II)の化合物と、水素、好ましくは103448〜6896552Pa(15〜1000psi)、好ましくは689655〜1379310Pa(100〜200psi)の圧力で、2〜20時間、好ましくは7時間、0〜100℃、好ましくは25℃での水素との水素化、及び触媒からの濾過、続く酸性溶液またはガス、好ましくは濃水溶塩酸での処理を含み、反応は、アルコール溶媒、エステル溶媒、水性酸、エーテル及びトルエンまたは他の芳香族炭化水素溶媒、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、または酢酸、より好ましくはメタノールから選択される溶媒において行われ、式(I)の化合物を提供する方法であり、
【化7】


式中、Rは水素またはC1-10アルキル、好ましくはC1-5アルキル、より好ましくはメチルである。
【0007】
本発明の別の実施形態において、直前に示した実施形態に従い、式(I)の化合物を生成する方法が提供され、
式中、式(II)のニトリルは第4位にあり、
【化8】

(II)
得られたアミン基は式(I)の第4位にある。
【化9】

(I)
【0008】
本文で使用されるすべての用語は、特に言及されない限り、技術的に公知である通常の意味で理解されるべきである。
「アルキル」という用語は、1〜10の炭火原子を含有する飽和脂肪基を意味する。「アルキル」は分枝及び未分枝両方のアルキル基を意味する。
本発明の化合物は、当業者に理解されるような「化学的に安定」であるよう意図された化合物のみである。
本発明をより十分に理解するため、以下の実施例を示す。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を例証するためのものであり、本発明の範囲を限定するものとしていかなる方法でも解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(合成実施例)
【化10】

水素化容器を、2-(メタンスルホニル)-4-シアノピリジン(8.00g、43.9mmol)、Pd/C10質量%(水50%)(800mg、0.377mmol)及びMeOH(48mL)で充填する。混合物を水素689655Pa(100psi)下で、25℃で7時間水素化する。反応混合物を濾過して触媒を除去し、MeOHを用いてすすぎ、濾液を容量24mLまで濃縮する。イソプロパノール(48mL)を加え、濃塩酸(4.03mL、48.3mmol、1.1当量)を加える。得られたスラリーを18時間撹拌し、濾過し、得られた固体をイソプロパノールで洗浄し、真空下で乾燥させる。生成物2-(メチルスルホニル)ピリジン-4-イル)メタンアミン塩酸塩を、HPLC分析により脱スルホニル不純物を持たない、残留パラジウム含有量46ppmの固体(8.10g、収率82%)として得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン塩の形態の式(I)の化合物を生成する方法であって、
【化1】

(I)
i) 式(II)の化合物を、金属触媒を用いて、水素で2〜20時間、0〜100℃で水素化する工程、及び
ii) 触媒を濾過し、続いて酸性溶液またはガスで処理する工程、ここで、反応をアルコール溶媒、エステル溶媒、水性酸、エーテル及びトルエンまたは他の芳香族炭化物溶媒から選択される溶媒において行い、式(I)の化合物を提供することを含む、前記方法、
【化2】

式中、Rは水素またはC1-10アルキルである。
【請求項2】
金属触媒がパラジウムまたはニッケルを基礎とした触媒であり、
水素が圧力103448〜6896552Pa(15〜1000psi)であり、
時間が7時間であり、
温度が25℃であり、
酸が濃水性塩酸であり、
溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール及び酢酸から選択され、
イオン塩が塩酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であり、
金属触媒がパラジウム炭素であり、
水素が圧力689655〜1379310Pa(100〜200psi)であり、
溶媒がメタノールである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
金属触媒がパラジウム炭素10%と水である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
金属触媒がパラジウム炭素10%と水50%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式(II)のニトリルが第4位にあり、

(II)
得られたアミン基が式(I)の第4位にある、

(I)
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
RがC1〜5アルキルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
Rがメチルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−512954(P2013−512954A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543154(P2012−543154)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/058594
【国際公開番号】WO2011/071730
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】