説明

美容器

【課題】太陽電池パネルを組み込むとともに、電気絶縁性を良好にして人体との間で電気回路を形成し、微弱電流により血流の促進を図ることができる美容器を提供する。
【解決手段】美容器11のハンドル12にはマッサージ用の回転ローラ20が回転可能に支持されるとともに、該回転ローラ20に微弱電流を供給する太陽電池パネル16が設けられている。太陽電池パネル16の+側の端子16aは、リード線21a、支持軸18及び支持体19を介して回転ローラ20に電気的に接続されている。一方、ハンドル12と回転ローラ20との間は、下側ハンドル片13の端壁13a及び軸受け部17がABS樹脂で形成されることにより電気的に絶縁されている。そして、美容器11の使用時には、太陽電池パネル16の+側の端子16aから回転ローラ20、人体23及びハンドル12の導電膜24を介して太陽電池パネル16の−側の端子16bへ到る電気回路が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンドルに設けられたマッサージ用の回転ローラ又はボールにて、顔や腕等の肌をマッサージすることにより、血流を促して美しい肌を実現する美容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の美容器としては、例えば特許文献1に記載されている構成のものが提案されている。すなわち、この特許文献1に記載されている従来構成の美容器においては、使用者が把持するグリップと、同グリップに結合された作用部とを有し、該作用部に設けられ略平行に延びる2つの接触面が形成され、その接触面及び接触面間に挟まれた施術領域が設けられている。さらに、前記グリップには2つの接触面に電圧を印加するための電圧印加回路が設けられるとともに、作用部には施術領域に対して光を照射するためのLEDが配置されている。
【0003】
そして、美容器の使用時には、広い面積を有する施術領域において皮膚を介して電流が流れるとともに、LEDからの光が皮膚に照射され、電流と光による相乗作用で皮膚細胞の活性化が促進され、肌のハリや艶の向上を期待することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−236699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の従来構成では、接触面を形成する金属ローラに電圧印加回路としての交流電源回路又は直流電源回路から交流電流又は直流電流が流れて皮膚に微小な交流電流が流れるとともに、LEDに電圧印加回路としての直流電源回路から電力が供給されて皮膚に光が照射される。この場合、交流電源又は直流電源と金属ローラとの電気的接続は、リード線によりスイッチを介して行われているが、美容器内における電気的な絶縁構造が十分でないと美容器の機能を正常に発揮することはできない。
【0006】
ところで、交流電源や直流電源を美容器のグリップに備えると美容器が大型化したり、充放電可能な構成にする必要があって構成が複雑になったりすることから、電源として太陽電池パネルを使用することが考えられるが、その場合には太陽電池パネルはグリップ等の表面において光が当たりやすいように取付けられる。そのため、太陽電池パネルを支持する部材が金属等の導電性部材で構成されていたり、太陽電池パネルからの通電経路に導電性部材が接触していたりすると、電気絶縁性が損なわれるおそれがある。電気絶縁性が不十分なときには、太陽電池パネルの一方の電極から金属ローラ、人体を介して太陽電池パネルの他方の電極に接続される電気回路が形成されなくなり、美容器の機能を有効に発揮することができなくなる。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、太陽電池パネルを組み込むとともに、電気絶縁性を良好にして人体との間で電気回路を形成し、微弱電流により血流の促進を図ることができる美容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る美容器の発明は、ハンドルにはマッサージ用の回転ローラ及びボールの少なくとも一方が回転可能に支持されるとともに、前記マッサージ用の回転ローラ及びボールの少なくとも一方に微弱電流を供給する太陽電池パネルを備えた美容器において、前記太陽電池パネルと、回転ローラ及びボールの少なくとも一方との間を電気的に接続するとともに、ハンドルと回転ローラ及びボールの少なくとも一方との間を電気的に絶縁し、使用時に太陽電池パネルの一方の電極から、回転ローラ及びボールの少なくとも一方、人体及びハンドルを介して太陽電池パネルの他方の電極へ到る電気回路を形成するように構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る美容器の発明は、請求項1に係る発明において、前記ハンドルの一部及び回転ローラの軸受け部を電気絶縁材料で構成したことを特徴とする。
請求項3に係る美容器の発明は、請求項1に係る発明において、前記ハンドルの外面には、内部に太陽電池パネルを収容する凹状支持部を設け、該凹状支持部の内側面から外面にかけて太陽電池パネルに導通する導電部を形成するとともに、前記凹状支持部、ハンドル及び回転ローラの軸受け部を電気絶縁材料で構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る美容器においては、太陽電池パネルと、回転ローラ及びボールの少なくとも一方との間が電気的に接続されるとともに、ハンドルと回転ローラ及びボールの少なくとも一方との間が電気的に絶縁される。そして、使用時には太陽電池パネルの一方の電極から、回転ローラ及びボールの少なくとも一方、さらに人体を介して太陽電池パネルの他方の電極へ到る電気回路が形成される。このように、美容器を使用する際には電気回路が安定した状態で形成され、その電気回路を通じて人体に微弱電流が流れ、血流が促される。
【0011】
従って、本発明の美容器によれば、太陽電池パネルを組み込むとともに、電気絶縁性を良好にして人体との間で電気回路を形成し、微弱電流により血流の促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態における美容器を模式的に示す断面図。
【図2】第2実施形態における美容器を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した美容器の第1実施形態を図1に従って説明する。
図1に示すように、第1実施形態の美容器11を構成するハンドル12はほぼ円筒状をなし、軸線方向xに沿って延びる下側ハンドル片13と、同じく軸線方向xに沿って延びる上側ハンドル片14とに分割して構成されている。そして、下側ハンドル片13と上側ハンドル片14とは図示しない凹凸部が互いに係合された状態で組み付けられてハンドル12が構成されている。下側ハンドル片13は電気絶縁材料としてのABS樹脂により形成されるとともに、その外周面にはクロムメッキが施されて導電膜24が形成されている。
【0014】
前記上側ハンドル片14には軸線方向xに延びる長孔状の取付孔14aが形成され、該取付孔14a内には上面を開口したほぼ箱形状の保持部材15が嵌合されている。この保持部材15の内底面には、電源としての太陽電池パネル16が固定されている。前記上側ハンドル片14はカーボンブラック、金属等の導電性粉末が分散された導電性樹脂で形成され、保持部材15は電気絶縁材料としてのABS樹脂で形成されている。
【0015】
前記下側ハンドル片13の一端に形成された端壁13aには軸受け部17が接合され、これら端壁13a及び軸受け部17には軸線方向xに延びる支持軸18がその先端部をハンドル12外に突出させた状態で回転可能に支持されている。軸受け部17はABS樹脂で形成され、支持軸18は銅等の金属で形成されている。支持軸18の先端部には、円筒状をなすマッサージ用の回転ローラ20が支持体19を介して回転可能に支持されている。この場合、合成樹脂製の回転ローラ20の外周面にクロムメッキが施されることにより、回転ローラ20への通電性が確保されている。そして、使用者がハンドル12を把持した状態で、この回転ローラ20の外周面を顔等の肌に接触させて円周方向に相対移動させることにより、回転ローラ20が支持軸18を中心に回転されるようになっている。
【0016】
前記太陽電池パネル16の一方の電極を構成する+側の端子16aはリード線21aを介して支持軸18に接続されるとともに、他方の電極を構成する−側の端子16bはリード線21bを介して上側ハンドル片14の内面に突設された導電突起22に接続されている。そして、太陽電池パネル16の+側の端子16aからリード線21aを介して支持軸18、支持体19、回転ローラ20から人体23を経て下側ハンドル片13の導電膜24、上側ハンドル片14、導電突起22及びリード線21bを介して太陽電池パネル16の−側の端子16bへと微弱電流が流れる電気回路が形成されるようになっている。
【0017】
次に、前記のように構成された第1実施形態の美容器11の作用を説明する。
さて、この美容器11の使用時には、使用者がハンドル12を把持した状態で、回転ローラ20の外周面を顔等の肌に接触させて円周方向に相対移動させると、その回転ローラ20が支持軸18を中心に回転される。この回転ローラ20の回転に伴って、顔等の肌がマッサージされて血流が促進される。このとき、使用者の人体23における顔等の肌が回転ローラ20の外周面に接触しているとともに、人体23の指が下側ハンドル片13の導電膜24に接触している。このため、太陽電池パネル16で発電された電力により、前記電気回路に基づいて回転ローラ20から肌に微弱電流が流れて、血流の促進が図られる。
【0018】
従って、この第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態の美容器11では、太陽電池パネル16と、回転ローラ20との間が電気的に接続されるとともに、ハンドル12と回転ローラ20との間が電気的に絶縁される。そして、使用時には太陽電池パネル16の+側の端子16aから、回転ローラ20、人体23及びハンドル12の導電膜24を介して−側の端子16bへ到る電気回路が形成される。このように、美容器11を使用する際には電気回路が安定した状態で形成され、その電気回路を通じて人体に微弱電流が流れ、血流が促される。
【0019】
従って、第1実施形態の美容器11によれば、太陽電池パネル16を組み込むとともに、電気絶縁性を良好にして人体23との間で電気回路を形成することができ、微弱電流により血流の促進を図ることができ、肌を美しくすることができる。
(2)前記ハンドル12を構成する下側ハンドル片13及び回転ローラ20の軸受け部17が電気絶縁材料で構成されている。このため、ハンドル12と回転ローラ20との間の電気的絶縁を図ることができる。
(3)この美容器11においては、電源がハンドル12に設けられた太陽電池パネル16より構成されているため、乾電池等の電源を設ける必要がなく、太陽電池パネル16で発電された電力を利用して、回転ローラ20から肌に微弱電流を流すことができる。
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した美容器11の第2実施形態を図2に従って説明する。この第2実施形態においては、前記第1実施形態と相違する部分について主に説明し、同一部分については説明を省略する。
【0020】
第2実施形態の美容器11では、マッサージ用の回転ローラ20を第1実施形態と同様に使用することができるとともに、マッサージ用のボールを使用することができる。図2に示すように、ハンドル12の他端部の壁部12aには導電部材25が設けられ、該導電部材25にはマッサージ用のボール26が回転可能に支持されている。ボール26の外周面には、ゲルマニウムコーティングが施されている。そして、使用者がハンドル12を把持した状態で、ボール26の外周面を顔等の肌に接触させて横方向に相対移動させることにより、ボール26がハンドル12の導電部材25に接触した状態で回転されるようになっている。
【0021】
前記太陽電池パネル16の+側の端子16aは内方へ突出形成され、該+側の端子16aは回転ローラ20の支持軸18にリード線21aで接続されるとともに、ボール26が接触する導電部材25にリード線21cで接続されている。また、保持部材15の内側面及び外面には、クロムメッキによるメッキ層27が形成されている。
【0022】
そして、太陽電池パネル16の+側の端子16aからリード線21aを介して支持軸18、支持体19、回転ローラ20から人体23を経て保持部材15のメッキ層27を介して太陽電池パネル16の−側の端子16bへと微弱電流が流れる電気回路が形成されるようになっている。加えて、太陽電池パネル16の+側の端子16aからリード線21cを介して導電部材25、ボール26から人体23を経て保持部材15のメッキ層27を介して−側の端子16bへと微弱電流が流れる電気回路が形成されるようになっている。
【0023】
さて、第2実施形態の美容器11の使用時には、使用者がハンドル12を把持し、ボール26の外周面を顔等の肌に押しあてると、ボール26がハンドル12の導電部材25に接触した状態でハンドル12を横方向に相対移動させると、ボール26が軽く回転され、顔等の肌がマッサージされて血流が促進される。
【0024】
この場合にも、使用者の人体23における顔等の肌がボール26の外周面に接触しているとともに、人体23の指がハンドル12外面のメッキ層27に接触している。このため、太陽電池パネル16から、ボール26を介して肌に微弱電流が流れて、血流の促進効果が高められる。
【0025】
このように、第2実施形態の美容器11においては、ハンドル12の外面には、内部に太陽電池パネル16を収容する保持部材15が設けられ、該保持部材15の内側面から外面にかけて太陽電池パネル16に導通するメッキ層27が形成されるとともに、保持部材15、ハンドル12及び回転ローラ20の軸受け部17が電気絶縁材料で構成されている。従って、美容器11は、マッサージ用の回転ローラ20とボール26との相乗効果により、微弱電流に基づく血流の促進を一層向上させることができる。
【0026】
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 美容器11として、回転ローラ20を設けることなく、ボール26のみを備えるように構成することもできる。
【0027】
・ 前記実施形態では回転ローラ20及びボール26に太陽電池パネル16の+側の端子16aを接続したが、−側の端子16bを接続することもできる。
・ 前記ハンドル12、保持部材15、軸受け部17等を形成する電気絶縁材料としては、ABS樹脂のほか、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂を用いることも可能である。
【0028】
・ 前記導電膜24及びメッキ層27を、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の薄膜層で構成することも可能である。
・ ハンドル12を、四角筒状、断面楕円形状をなす筒状等に形成することも可能である。
【0029】
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記ハンドルの外面には太陽電池パネルの他方の電極に導通される導電部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の美容器。この場合には、導電部に指が触れることにより、前記電気回路を形成することができる。
(ロ)前記導電部は金属によるメッキ層で構成されている請求項3に記載の美容器。このように構成した場合、導電部を容易に形成することができるとともに、そのメッキ層が反射面となって太陽電池パネルの光充電の効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0030】
11…美容器、12…ハンドル、15…凹状支持部としての保持部材、16…太陽電池パネル、16a…電極としての+側の端子、16b…電極としての−側の端子、17…軸受け部、20…回転ローラ、23…人体、26…ボール、27…導電部としてのメッキ層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルにはマッサージ用の回転ローラ及びボールの少なくとも一方が回転可能に支持されるとともに、前記マッサージ用の回転ローラ及びボールの少なくとも一方に微弱電流を供給する太陽電池パネルを備えた美容器において、
前記太陽電池パネルと、回転ローラ及びボールの少なくとも一方との間を電気的に接続するとともに、ハンドルと回転ローラ及びボールの少なくとも一方との間を電気的に絶縁し、使用時に太陽電池パネルの一方の電極から、回転ローラ及びボールの少なくとも一方、人体及びハンドルを介して太陽電池パネルの他方の電極へ到る電気回路を形成するように構成したことを特徴とする美容器。
【請求項2】
前記ハンドルの一部及び回転ローラの軸受け部を電気絶縁材料で構成したことを特徴とする請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
前記ハンドルの外面には、内部に太陽電池パネルを収容する凹状支持部を設け、該凹状支持部の内側面から外面にかけて太陽電池パネルに導通する導電部を形成するとともに、前記凹状支持部、ハンドル及び回転ローラの軸受け部を電気絶縁材料で構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の美容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate