説明

美容装置

【課題】美容装置において、化粧剤をより確実に皮膚に浸透させることにある。
【解決手段】美容装置を使用する際には、超音波ホーン32及びRF電極21,22の下面に肌を接触させる。この状態で、超音波ホーン32を介して超音波が肌に加えられると、一時的に角質中に空洞が形成されるキャビテーション現象が起きる。この空洞を介して肌の表面の化粧剤は、角質の深部、さらには表皮へ浸透する。そして、RF電極21,22を介して高周波電流が表皮に供給されることで、表皮及びそこに存在する化粧剤が加熱される。これにより、化粧剤を皮膚内にて拡散させることができる。このように、単一の美容装置において超音波及び高周波電流を供給可能とすることで、化粧剤の浸透性をより向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容の分野において、微弱電流や超音波を肌に与えることで美容効果が得られることが知られている。この原理を利用した美容装置として、例えば、特許文献1に示される構成が採用されている。この美容装置は、その先端部がユーザの肌に押し当てられるプローブを備える。このプローブの先端部には、微弱電流である低周波電流又は高周波電流を皮膚に供給する一対の電極が設けられている。従って、ユーザはプローブを介して肌に両電極を当てることで、両電極を介して皮膚に装置本体からの電流を供給することができる。これにより、皮膚及び筋肉への刺激及び加熱等を通じて、肌を引き締める美容効果が得られる。また、通電後にパック剤等の化粧剤を肌に塗布して、一定時間経過後にこれを除去することで美容効果をいっそう高めることができる。
【0003】
ここで、皮膚の温度が高まるにつれて化粧剤の皮膚内での浸透性は向上する。このため、高周波電流にて皮膚が加熱されることで、皮膚内での化粧剤の浸透性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−173230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、皮膚の上層の角質中には細胞間脂質が存在する。この細胞間脂質は、肌に塗布された化粧剤、特にその水溶性成分の皮膚への浸透を妨げる。上述のように高周波電流は、皮膚に作用して皮膚内の化粧剤の浸透を促進させることができるものの、肌に塗布された化粧剤を、角質を介して皮膚に浸透させる効用はない。このように、化粧剤の皮膚への浸透が妨げられることで、化粧剤による美容効果が十分に得られないおそれがあった。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、化粧剤をより確実に皮膚に浸透させることができる美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段について説明する。
第1の発明は、皮膚との接触を介して皮膚に電流を供給する複数の電極と、皮膚に塗布された化粧剤の皮膚への導入を促す剤導入部と、前記電極及び前記剤導入部への電流の供給を制御する制御装置と、を備えたことをその要旨としている。
【0008】
第2の発明は、前記剤導入部は超音波発信部であって、同超音波発信部にて発信される超音波を皮膚に印加することにより化粧剤の皮膚への導入を促進することをその要旨としている。
【0009】
第3の発明は、前記超音波発信部は、前記複数の電極間に設けられることをその要旨としている。
第4の発明は、前記剤導入部は導入用電極を通じて皮膚に電流を印加することにより化粧剤の皮膚への導入を促すものであって、前記複数の電極は前記導入用電極を兼ねることをその要旨としている。
【0010】
第5の発明は、前記剤導入部は、前記複数の電極への通電を通じてエレクトロポレーション又はイオン導入を用いて化粧剤の導入を行うことをその要旨としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、美容装置において、化粧剤をより確実に皮膚に浸透させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態における美容装置の構成図。
【図2】第1の実施形態における美容装置の内部構成を示した断面図。
【図3】第1の実施形態における美容装置の下面図。
【図4】第1の実施形態における美容装置による化粧剤の浸透態様を示した説明図。
【図5】第1の実施形態における制御プログラムの処理手順を示したフローチャート。
【図6】第2の実施形態における美容装置の内部構成を示した断面図。
【図7】第2の実施形態における美容装置の下面図。
【図8】他の実施形態における美容装置の下面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第1の実施形態について図1〜図5を参照して説明する。本例における美容装置では、超音波及び高周波電流を皮膚に与えることで化粧剤の浸透性、ひいては美容効果を向上させることができる。
【0014】
まず、美容装置における超音波に関する構成について説明する。
図1に示すように、美容装置は、制御装置11と、超音波発信部を構成する発振回路13及び振動子14を備える。制御装置11は、発振回路13に制御信号を出力する。この発振回路13は、制御信号に基づき、バッテリ(内部電源)からの直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力を振動子14へ供給する。振動子14は、例えば圧電素子からなる。振動子14に交流電力が供給されることで、振動子14は20kHz以上の周波数で振動する。この振動子14の振動は超音波ホーン32に伝達される。20kHz以上の周波数で振動する超音波ホーン32を肌に当てることで、超音波を肌に供給することができる。これにより、化粧剤の超音波導入が可能となる。具体的には、超音波が肌に与えられることで一時的に角質中に空洞が形成されるキャビテーション現象が発生する。これにより、化粧剤が角質中の空洞を通じて皮膚に導入される。この超音波導入によれば、角質から皮膚への化粧剤の浸透性を向上させることができる。また、超音波の振動によって皮膚の浅い部分(表皮)が加熱されて、表皮においても化粧剤が浸透しやすくなる。
【0015】
次に、美容装置における高周波電流に関する構成について説明する。
図1に示すように、美容装置は、RF(Radio Frequency)発信機15と、一対のRF電極21,22と、を備える。制御装置11は、RF発信機15に制御信号を出力する。RF発信機15は、例えば、図示しないバッテリからの直流電流を高周波電流(交流電流)に変換するインバータを備える。RF発信機15は、制御信号に基づき変換した高周波電流をRF電極21,22へ供給する。
【0016】
RF電極21,22が肌に当てられたとき、皮膚がRF電極21,22間を接続する電気的抵抗となる。これにより、RF発信機15及びRF電極21,22を備えた回路25が電気的に閉じて、同回路25に高周波電流が流れる。この回路25の経路、詳しくは両RF電極21,22間には皮膚が存在するため、皮膚に高周波電流を供給することができる。なお、電気的抵抗として作用する皮膚にて電気エネルギが熱エネルギとして消費されるため、皮膚を温めることができる。これにより、皮膚内での化粧剤の拡散を促進させることができる。なお、美容装置の電源は、バッテリに限らず商用電源であってもよい。この場合、美容装置のバッテリを省略できる。
【0017】
また、図1に示すように、美容装置は、ユーザによって操作される電源スイッチ16を備える。電源スイッチ16は、図2に示すように、装置の外形をなす樹脂製のハウジング30に取り付けられている。電源スイッチ16が操作されると、その旨の操作信号が制御装置11に出力される。制御装置11は、電源スイッチ16からの操作信号を受けると、自身のメモリ11aに記憶される制御プログラムに従って、RF発信機15及び発振回路13を通じてRF電極21,22及び振動子14を制御する。この制御プログラムについては後で詳述する。また、制御装置11は、超音波及び高周波電流の供給時間を計測するタイマ11bを備える。
【0018】
次に、RF電極部分の構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。
図2に示すように、ハウジング30の底部には、円板状の設置板33が嵌め込まれている。この設置板33は、光透過性及び非導電性を有する例えば、石英ガラス若しくはアクリル樹脂からなる。
【0019】
設置板33の外側に露出する面には一対のRF電極21,22が配設されている。図3に示すように、両RF電極21,22は、円板状に形成されるとともに、設置板33の面中央部を介して互いに対向する位置に設けられている。図2に示すように、設置板33のRF電極21,22間には嵌合孔33aが形成されている。嵌合孔33aには円柱状の超音波ホーン32が嵌合されている。詳しくは、嵌合孔33aの内周面は、その上側が超音波ホーン32の外径と同一径を有するとともに、下側が超音波ホーン32の外径より大きく形成されている。すなわち、嵌合孔33aの内周面は、段差形状を有して形成されている。超音波ホーン32が嵌合孔33aに嵌合された状態において、超音波ホーン32は嵌合孔33aの上側の内周面に接した状態でその位置に保持される。この状態において、嵌合孔33aの下側の周面と超音波ホーン32の外周面との間には円環状の剤溝23が形成されている。剤溝23は化粧剤を充填するための空間である。また、超音波ホーン32の上面には振動子14が設置されている。超音波ホーン32の下面は、RF電極21,22の下面と同一面を有する態様で形成されている。
【0020】
この美容装置を使用する際には、図4に示すように、剤溝23に化粧剤を充填させたうえで、超音波ホーン32及びRF電極21,22の下面に肌を接触させる。このとき、化粧剤は、図4の矢印41で示すように、超音波ホーン32の振動若しくは自重によって角質の表面に広がる。この状態で、超音波ホーン32を介して超音波が肌に加えられると、一時的に角質中に空洞が形成されるキャビテーション現象が起きる。この空洞を介して化粧剤は、矢印42で示すように、角質の深部、さらには表皮へ浸透する。この状態で、RF電極21,22を介して高周波電流が表皮に供給されることで加熱される。具体的には、皮膚内に形成される加熱エリア44が加熱される。装置を正面からみたとき、加熱エリア44はRF電極21,22の下面を通る線分が底辺となる略半円状をなす。これにより、加熱エリア44に存在する皮膚及び化粧剤が加熱されることで化粧剤を皮膚内に拡散させることができる。このように、単一の美容装置において超音波及び高周波電流を連続的に供給可能とすることで、化粧剤の浸透性をより向上させることができる。
【0021】
ここで、例えば、上記背景技術で説明した美容装置においては、高周波電流によって皮膚を加熱した後であっても化粧剤の塗布時には皮膚の温度が低下していることが考えられる。その点、本例では剤溝23が形成されることで、化粧剤の肌への塗布と高周波電流の供給とを連続的に行うことができる。このため、皮膚の温度低下が抑制されるにとどまらず、皮膚の温度が高められて化粧剤の皮膚への浸透性が向上する。
【0022】
また、図3に示すように、超音波ホーン32はRF電極21,22間に設けられている。また、化粧剤は超音波ホーン32の周囲の剤溝23から皮膚に供給される。従って、剤溝23の化粧剤は、超音波により角質から表皮における加熱エリア44に向かって浸透する。これにより、確実に表皮に浸透した化粧剤を加熱して拡散させることができる。さらに、剤溝23に化粧剤を充填すればよく、化粧剤を肌に塗布する手間がない。
【0023】
次に、美容装置の動作について、図5のフローチャートを参照しつつ説明する。当該フローチャートは、メモリ11aに格納された制御プログラムに従い実行される。
当該制御プログラムは電源スイッチ16からの操作信号を受けると開始される。まず、発振回路13による振動子14(超音波ホーン32)の振動を通じて、皮膚への超音波の供給が開始される(S101)。超音波の供給と同時にタイマ11bによる超音波を供給する時間Tの計測が開始される(S102)。そして、時間Tが一定時間T1に達するのを待つ(S103でNO)。この一定時間T1は、角質の表面に存在する化粧剤が超音波を通じて角質の深部及び表皮に浸透するまでの時間を基準に設定されている。時間Tが一定時間T1に達したとき(S103でYES)、発振回路13を通じて超音波の供給が停止される(S104)。そして、時間Tの計測が終了されて、タイマ11bはクリアされる(S105)。
【0024】
次に、RF発信機15を通じて、RF電極21,22から皮膚に高周波電流の供給が開始される(S106)。高周波電流の供給と同時にタイマ11bを介して高周波電流を供給する時間Tの計測が開始される(S107)。そして、時間Tが一定時間T2に達するのを待つ(S108でNO)。この一定時間T2は、皮膚(表皮)内に存在する化粧剤が高周波電流による加熱で拡散されるまでの時間を基準に設定されている。時間Tが一定時間T2に達したとき(S108でYES)、高周波電流の供給が停止される(S109)。そして、時間Tの計測が終了されて(S110)、タイマ11bはクリアされて制御プログラムの処理が終了される。
【0025】
この制御プログラムによれば、ユーザは電源スイッチ16を操作するだけで、超音波及び高周波電流が順に予め設定された適切な時間(一定時間T1,T2)に亘り供給されて、化粧剤が確実に浸透していく。従って、化粧剤に含まれる美容成分が効率よく皮膚に作用して、いっそうの美容効果が得られる。
【0026】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)美容装置を使用する際には、超音波ホーン32及びRF電極21,22の下面に肌を接触させる。この状態で、超音波ホーン32を介して超音波が肌に加えられると、一時的に角質中に空洞が形成されるキャビテーション現象が起きる。この空洞を介して肌の表面の化粧剤は、角質の深部、さらには表皮へ浸透する。そして、RF電極21,22を介して高周波電流が表皮に供給されることで、表皮及びそこに存在する化粧剤が加熱される。これにより、化粧剤を皮膚内にて拡散させることができる。このように、単一の美容装置において超音波及び高周波電流を供給可能とすることで、化粧剤の浸透性をより向上させることができる。
【0027】
(2)超音波ホーン32はRF電極21,22間に設けられるとともに、化粧剤は超音波ホーン32の周囲の剤溝23から皮膚に供給される。従って、化粧剤が浸透する方向に加熱エリア44が存在することになる。これにより、確実に角質を通じて表皮に浸透した化粧剤を加熱及び拡散させることができる。
【0028】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第2の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。この実施形態の美容装置は、図1に示す第1の実施形態の美容装置とほぼ同様の構成を備え、化粧剤を肌に供給する構成が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0029】
図6に示すように、設置板33における嵌合孔33aの右側には、その面に対する直交方向に剤移送管51が挿通されている。剤移送管51の下端は、設置板33の外面から突出するとともに、その突出高さは超音波ホーン32の突出高さより小さく設定されている。従って、RF電極21,22及び超音波ホーン32の下面が肌に当てられるときに、剤移送管51の下端が肌に接触することはない。ハウジング30の内部において、剤移送管51はポンプ50を介して剤容器52に連通されている。ポンプ50は、図1の2点鎖線で示すように、制御装置11からの制御信号に基づき駆動する。剤容器52には化粧剤が充填される。そして、ポンプ50が駆動することで剤容器52に充填された化粧剤が剤移送管51を介してその下端から吐出する。これによって、RF電極21,22及び超音波ホーン32が接する肌の周辺に化粧剤を塗布することができる。制御装置11は、図5のフローチャートにおいて、ステップS101の前のステップとして、ポンプ50を通じて、化粧剤を肌に塗布する処理を実行する。本実施形態では、剤溝23を省略して構成することができる。
【0030】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(3)ポンプ50の駆動を通じて剤容器52に蓄えられる化粧剤を剤移送管51の下端から肌に塗布することができる。従って、自動で化粧剤が肌に塗布されるため、ユーザが化粧剤を塗布する手間が省ける。
【0031】
また、適切なタイミング、具体的には図5のフローチャートのステップS101の前のステップにて化粧剤が肌に塗布される。これにより、超音波が供給されるときには、超音波が供給される部分の肌に化粧剤が塗布されている状況となり、確実に化粧剤を角質の深部及び表皮に浸透させることができる。
【0032】
また、剤容器52の容積の設定により予め剤容器52に数回〜数十回分の化粧剤を貯めておくことができる。これにより、化粧剤を充填する頻度を減らすことができ、利便性が向上する。さらに、ポンプ50の駆動時間を設定することで、所望量の化粧剤を肌に塗布することができる。
【0033】
また、剤移送管51の下端からRF電極21,22間の肌に化粧剤が塗布される。従って、化粧剤が浸透する方向に加熱エリア44が存在することになる。これにより、確実に角質を通じて表皮に浸透した化粧剤を加熱及び拡散させることができる。
【0034】
(第3の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第3の実施形態について説明する。この実施形態の美容装置は、図1に示す第1の実施形態の美容装置とほぼ同様の構成を備え、化粧剤を皮膚に導入する手段としてイオン導入が採用されている点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0035】
本実施形態では、図1及び図2に示される発振回路13、振動子14、超音波ホーン32及び嵌合孔33aは省略して構成される。また、RF発信機15は高周波電流に加えて、直流電流をRF電極21,22に供給可能に構成されている。具体的には、RF発信機15は、バッテリからの直流電流を高周波電流に変換するインバータに加えて、バッテリからの電圧を所定の電圧に変換するコンバータと、RF電極21,22に供給する電流をインバータからの高周波電流及びコンバータからの直流電流の間で切り替えるスイッチング素子と、を備える。
【0036】
制御装置11は、RF発信機15を介して直流電流をRF電極21,22に供給することで、イオン導入が可能となる。イオン導入とは、化粧剤に含まれる美容成分を直流電流にてイオン化させて、直流電流とともに美容成分を皮膚内部にまで浸透させる導入方法である。本例においては、パルス直流型のイオン導入が採用されている。パルス直流型では、一定の間欠周期の直流電流(パルス直流)が皮膚に与えられる。すなわち、RF発信機15は、上記スイッチング素子に加え、上記コンバータ及びRF電極21,22間の導電状態を切り替えるスイッチング素子を備える。制御装置11は、当該スイッチング素子によるスイッチング動作を介してパルス直流をRF電極21,22に供給する。
【0037】
制御装置11は、図5のフローチャートにおいて、ステップS101の超音波供給の開始に替えて、RF発信機15を介してパルス直流の供給を開始する。また、ステップS104での処理は、パルス直流の供給を停止させる処理となる。ここで、高周波電流及びパルス直流は、異なるタイミングにて肌に供給されるため同時に供給されることはなく、RF電極21,22を高周波電流及びパルス直流の供給用として共用した場合であっても問題はない。
【0038】
なお、本実施形態における化粧剤の塗布手段は、第1の実施形態と同様に剤溝23を形成しても、第2の実施形態と同様にポンプ50等を備えてもよい。
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
【0039】
(5)RF電極21,22は、表皮を加熱するべく高周波電流を皮膚に供給するだけでなく、角質を通じて化粧剤を表皮に導入させるイオン導入を行う。従って、RF電極21,22とは別に剤導入用の電極や超音波ホーン32等の剤導入部を設ける必要がないため、美容装置をよりコンパクトに構成することができる。これにより、設置板33においてRF電極21,22が占める面積を増大させることもでき、RF電極21,22の設計自由度が向上する。
【0040】
(第4の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第4の実施形態について説明する。この実施形態の美容装置は、第1の実施形態の美容装置とほぼ同様の構成を備え、化粧剤を皮膚に導入する手段としてエレクトロポレーションが採用されている点が上記第3の実施形態と異なっている。
【0041】
本実施形態においても、第3の実施形態と同様に、図1及び図2に示される発振回路13、振動子14、超音波ホーン32及び嵌合孔33aは省略して構成される。また、RF発信機15は高周波電流に加えて、同高周波電流より周波数の小さい交流電流を発信する。例えば、RF発信機15は、バッテリからの直流電流をそれぞれ周波数の異なる高周波電流に変換する2つのインバータと、各インバータ及びRF電極21,22間の導電状態を切り替えるスイッチング素子とを備える。上記周波数の小さい交流電流の供給時に、当該交流電流を供給するインバータに対応して設けられるスイッチング素子がインバータ及びRF電極21,22間の導電状態を高速で切り替えることで、RF電極21,22から皮膚に交流電流がパルス発信される。これにより、エレクトロポレーション(電気穿孔法)による化粧剤の導入が可能となる。エレクトロポレーションは、パルス発信される交流電流により一時的に皮膚の細胞間に隙間を形成し、その隙間を介して化粧剤を皮膚に導入する方法である。このエレクトロポレーションにおいては、イオン導入と異なり、化粧剤の各種成分の分子量に関わらず様々な成分を皮膚に導入することができる。
【0042】
制御装置11は、図5のフローチャートにおいて、ステップS101の超音波供給の開始に替えて、RF発信機15を介してRF電極21,22にエレクトロポレーションに係る交流電流の供給を開始する。また、ステップS104での処理はエレクトロポレーションに係る交流電流の供給を停止させる処理となる。
【0043】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(5)RF電極21,22は、表皮を加熱するべく高周波電流を皮膚に供給するだけでなく、交流電流をパルス発信することにより一時的に細胞間に隙間を形成し、その隙間を介して皮膚に化粧剤を導入する。従って、RF電極21,22とは別に剤導入用の電極や超音波ホーン32等の剤導入部を設ける必要がないため、美容装置をよりコンパクトに構成することができる。また、イオン導入に比べて、様々な成分を導入することができる。また、設置板33においてRF電極21,22が占める面積を増大させることもでき、RF電極21,22の設計自由度が向上する。
【0044】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第3の実施形態のイオン導入においては、パルス直流型が採用されていた。しかし、その他の連続直流型、パルス脱分極直流型及び交流型を採用してもよい。
【0045】
・第3及び第4の実施形態においては、皮膚を加熱する高周波電流を供給する電極と、剤を導入させるパルス直流及び交流電流を供給する電極とは同一のものであった。しかし、これら電極を別に導入用電極を設けてもよい。
【0046】
・第1の実施形態においては、化粧剤が充填される剤溝23が形成されていた。しかし、この剤溝23を省略してもよい。この剤溝23を省略した場合、例えば、予めユーザが肌あるいは超音波ホーン32の下面に化粧剤を塗布することが考えられる。
【0047】
・第1及び第2の実施形態においては、超音波ホーン32はRF電極21,22間に設けられていたが、超音波ホーン32がRF電極21,22間に位置していなくてもよい。この場合、例えば、超音波ホーン32からの超音波にて角質から表皮に化粧剤を浸透させた後、その浸透した箇所がRF電極21,22間となるように、美容装置本体をずらすことで、上述した美容効果が得られる。
【0048】
・上記各実施形態においては、RF電極21,22は2つであったが、RF電極の数はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、RF電極21,22の設置方向に対して直交する方向にRF電極61,62を設けてもよい。RF電極61,62は、超音波ホーン32(設置板33の面中央部)を介して互いに対向する位置に設けられる。RF電極の数を増やすことで、加熱効果が高められる。
【0049】
・第1及び第2の実施形態においては、電源スイッチ16が操作されることで、制御プログラムが実行されていた。しかし、美容装置は、操作により高周波電流が供給されるスイッチと、操作により超音波が供給されるスイッチとを備えていてもよい。この場合、両スイッチが順番に操作されることで、上述した高周波電流及び超音波による美容効果が得られる。本構成によれば、高周波電流及び超音波を同時に肌に供給することができる。
【0050】
また、第3及び第4の実施形態においても、美容装置は、操作により高周波電流が供給されるスイッチに加え、操作によりイオン導入に係るパルス直流及びエレクトロポレーションに係る交流電流が供給されるスイッチを備えてもよい。
【0051】
・第1〜第3の実施形態においては、高周波電流を皮膚に供給していたが、低周波電流であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
11…制御装置、14…振動子、21,22…RF電極、32…超音波ホーン、33…設置板、50…ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚との接触を介して皮膚に電流を供給する複数の電極と、
皮膚に塗布された化粧剤の皮膚への導入を促す剤導入部と、
前記電極及び前記剤導入部への電流の供給を制御する制御装置と、を備えた美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記剤導入部は超音波発信部であって、同超音波発信部にて発信される超音波を皮膚に印加することにより化粧剤の皮膚への導入を促進する美容装置。
【請求項3】
請求項2に記載の美容装置において、
前記超音波発信部は、前記複数の電極間に設けられる美容装置。
【請求項4】
請求項1に記載の美容装置において、
前記剤導入部は導入用電極を通じて皮膚に電流を印加することにより化粧剤の皮膚への導入を促すものであって、
前記複数の電極は前記導入用電極を兼ねる美容装置。
【請求項5】
請求項4に記載の美容装置において、
前記剤導入部は、前記複数の電極への通電を通じてエレクトロポレーション又はイオン導入を用いて化粧剤の導入を行う美容装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−194175(P2011−194175A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67290(P2010−67290)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】