説明

美顔具

【課題】簡単且つ手軽に使用でき、しかも特に顔面をマッサージしながら発汗を促進させることが出来る美顔具を提供する。
【解決手段】頭部を覆うようにした一端が開口する袋状のマスク部材を備え、このマスク部材が外側シートと内側シートから構成されて、これら両シート間にはエアーの充填により膨張可能なエアー充填室が設けられ、またマスク部材には、使用者の目、鼻、口と対応する貫通孔が設けられ、口と対応する前記貫通孔の近くには、エアー充填室内にエアーを注入するためのエアー注入筒が設けられ、このエアー注入筒には、エアー充填室内のエアーが外部に漏出するのを防止するための逆止弁が設けられるとともに、この逆止弁には、エアー充填室内に注入されたエアーを徐々に外部に漏出させるための漏出機能が備えられ、エアーの注入に伴うエアー充填室の膨張動作により、前記内側シートを使用者の頭部外周面に密着させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部に被って、顔面からの発汗を促進させることで、皮膚の活性化を図る美顔具に関する。
【背景技術】
【0002】
美容のために顔面に汗を積極的にかかせて、顔面の皮膚の活性化を図る方法として、例えば、図8に示すような美顔ハットが提案されている。
【0003】
即ち、この美顔ハットは、長楕円形の板状部Aと、この板状部Aの周縁に着脱自在に配設されたビニールシート製のスカート部材Bとから構成され、使用者の頭部Cが嵌合可能な開口を前記板状部Aに設けると共に、スカート部材Bの長さをその下端部が湯面に浸漬するような長さとし、入浴に際して開口を介して板状部Aを頭部に装着し、スカート部材Bの下端部を湯面中に浸漬させて、スカート部材内を閉空間として、この閉空間に溜まった湯気により、蒸し風呂に類似した状態を再現して、顔面の発汗作用を促進させるものである。(特許文献1参照)
しかしながら以上の美顔ハットでは、湯船につかった状態での使用に限定されるし、そのため、ともすると湯船内に長時間つかりすぎてのぼせてしまう問題があるのは勿論のこと、湯船内においてスカート部Bの下端部が湯面中に浸漬した状態を常に保つ必要があることから、湯船内で姿勢を自由に変えることが出来ず、湯船内での姿勢を一定に保つのに苦痛を感じることもある。
【特許文献1】特開2004−267574号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の実情に鑑みて開発したものであって、目的とするところは、簡単且つ手軽に使用でき、しかも特に顔面をマッサージしながら発汗を促進させることが出来る美顔具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、頭部を覆うようにした一端が開口する袋状のマスク部材を備え、このマスク部材が外側シートと内側シートから構成されて、これら両シート間にはエアーの充填により膨張可能なエアー充填室が設けられ、またマスク部材には、使用者の目、鼻、口と対応する貫通孔が設けられると共に、口と対応する前記貫通孔の近くには、エアー充填室内にエアーを注入するためのエアー注入筒が設けられ、エアーの注入に伴うエアー充填室の膨張動作により、前記内側シートを使用者の頭部外周面に密着させるようにしていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエアー注入筒には、エアー充填室内のエアーが外部に漏出するのを防止するための逆止弁が設けられるとともに、この逆止弁には、エアー充填室内に注入されたエアーを徐々に外部に漏出させるための漏出機能が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、マスク部材を頭部に被った状態で、エアー注入筒を口で銜えてエアーを吹き込むことで、エアー充填室にエアーを充填してマスク部材を膨らませると、内側シートが顔面等に圧接し、これにより、顔面等をマッサージしながら顔面などからの発汗が促進されて、皮膚の活性化が図れる。
【0008】
一方、不使用時には、エアー充填室のエアーを外部に排出するだけで、マスク部材を小さく畳むことが出来、従って保管場所をとらない。
【0009】
また請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、充填室内に充填されたエアーがわずかずつ外部に漏出されることから、使用者は萎んでくるマスク部材に対してその都度エアーの吹き込み動作を繰り返すことで、顔面等の圧迫と圧迫解消が繰り返されて、顔面等のマッサージ効果をより一層高めることが出来るし、また前記したように、充填室内のエアーが徐々に外部に漏出されるので、マスク部材を装着した状態で例えば湯船で不用意に居眠りなどしても、エアー充填室内のエアーが自然と抜け出て、充填室の膨張が解消されることから、例えば窒息などの事故が生じる危険性も解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明にかかる美顔具の一実施形態を説明する。
【0011】
先ず、図1は、本発明にかかる美顔具の一実施形態を示す正面図、図2は、同背面図、図3は、同分解図、図4は、要部の拡大説明図、図5は、図4におけるX−X線断面図、図6は要部の断面図である。
【0012】
そして図において符号1で示す美顔具は、基本的には使用者の頭部から首を覆うマスク部材2から構成されている。
【0013】
このマスク部材2は、図3にも示すように、正面側マスク片3と背面側マスク片4とにより、下端が開口する袋状に形成されたものであって、正面側マスク片3及び背面側マスク片4は、いずれも塩化ビニール製の外側シート31・41と同じく塩化ビニール製の内側シート32・42から構成されている。
【0014】
そしてマスク部材2の正面側マスク片3及び背面側マスク片4を構成する外側シート31・41及び内側シート32・42の下縁以外の3方周縁が4枚一体に熱溶着されると共に、正面側マスク片3を構成する外側シート31と内側シート32の下縁並びに背面側マスク片4を構成する外側シート41と内側シート42の下縁がそれぞれ一体に熱溶着されて、正面側マスク体3を構成する外側シート片31と内側シート片32間、及び背面側マスク体4を構成する外側シート片41と内側シート片42間に、エアーの充填により膨張可能なエアー充填室S1・S2がそれぞれ設けられている。
【0015】
また図6に示すように、両内側シート片32・42の上部を一部接合して、この接合部分に貫通孔40を開設することで、両エアー充填室S1・S2が連通されている。
【0016】
また正面側マスク片3を構成する外側シート31と内側シート32には、使用者の目と対応する貫通孔5aと、鼻及び口と対応する貫通孔5bが設けられると共に、両シート31・32における貫通孔5a・5bの周縁部は熱溶着によりシールされている。
【0017】
また正面側マスク片3を構成する外側シート31において、口と対応する貫通孔5bの下方には、エアー吸排口60を備えた接続筒6が設けられるとともに、この接続筒6には充填室内S1にエアーを注入するためのエアー注入筒61が接続され、このエアー注入筒61を介してエアー充填室S1・S2にエアーを注入するようにしている。
【0018】
接続筒6におけるエアー吸排口60には、エアー充填室S1・S2内に注入されたエアーを徐々に外部に漏出させるための漏出機能を備えた逆止弁7が設けられている。
【0019】
即ちこの逆止弁7は、軟質の合成樹脂材料からなる2枚のシート片71・72から構成され、これら2枚のシート片71・72の三辺を熱溶着(図4において斑点Pで示す領域)により接続して、残り一辺を開口させた袋状に形成すると共に、開口部の中央もライン状に熱溶着(図4において斑点Rで示す領域)すると共に、一方のシート片71に形成した通孔73をエアー吸排口60に連通させている。
【0020】
尚、開口部の中央に設けたライン状の熱溶着部分(図4において斑点Rで示す領域)は、エアー充填室S1・S2内のエアーの漏出を調整するためのものである。
【0021】
そして以上の逆止弁7にあっては、エアーの注入時には、エアーが両シート片71・72で画成される袋内を通過してエアー充填室S1・S2内に供給されると共に、供給されたエアーの圧力により、シート片72がシート片71にほぼ密着して、エアー充填室S1・S2内のエアーが外部に抜け出すのを抑制しながら両シート片71・72間の僅かな隙間を通って外部に漏出させるようにしている。
【0022】
また正面側マスク片3を構成する外側シート31には、エアー排出口80を備えたノズル8が設けられる共に、このノズル8にはエアー排出口80を開閉するための栓部材81が設けられている。
【0023】
以上の構造からなる美顔具1は、例えば入浴時に用いるのが効果的であって、この美顔具1を使用する場合には、先ず、マスク部材2を頭部に被って、目を貫通孔5aに合わせると共に、鼻及び口を貫通孔5bに合わせた後、図7に示すように、エアー注入筒61の遊端部を口でくわえてエアーを吹き込むのである。
【0024】
そしてエアーがエアー充填室S1・S2にエアーが充填されてマスク部材2を膨らませると、内側シート32・42が顔面等に圧接するが、エアー充填室S1・S2内に充填されたエアーが逆止弁7の漏出機能によりわずかずつ外部に漏出されて、マスク部材2が萎むことから、使用者はマスク部材2が萎んでくる度にエアーの吹き込み操作を繰り返せばよいのであって、これにより、顔面等の圧迫と圧迫解消が繰り返されて、顔面等のマッサージ効果が高まるし、内側シート32・42の顔面等への圧接に伴い、顔面や首部分などからの発汗が促進されて、皮膚の活性化が図れるのである。
【0025】
また、エアー充填室S1・S2内のエアーが徐々に外部に漏出されるので、マスク部材1を装着した状態で例えば湯船で不用意に居眠りなどしても、エアー充填室S1・S2内のエアーが自然と抜け出て、内側シート32・42の顔面等への密着が解除されるので、例えば窒息などの事故を未然に防ぐことが出来る。
【0026】
一方、不使用時には、ノズル8に設けた栓部材81を開いて、エアー充填室S1・S2のエアーを外部に排出すればよく、これにより、マスク部材2を小さく畳むことが出来て、マスク部材2の保管場所をとらない。
【0027】
以上の実施形態では、逆止弁7にはエアー充填室S1・S2内に注入されたエアーを徐々に外部に漏出させるための漏出機能を設けたが、この漏出機能は必ずしも必要ではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかる美顔具の一実施形態を示す正面図。
【図2】同、背面図。
【図3】同、分解図。
【図4】同、要部を拡大して示す説明図。
【図5】図4におけるX−X線断面図。
【図6】本発明にかかる美顔具の要部の断面図。
【図7】本発明にかかる美顔具の使用状態を示す説明図。
【図8】従来例としての美顔ハットの使用状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0029】
1 美顔具
2 マスク部材
3 正面側マスク片
31 外側シート
32 内側シート
4 背面側マスク片
41 外側シート
42 内側シート
5a・5b 貫通孔
6 接続筒
60 エアー給排口
61 エアー注入筒
7 逆止弁
S1・S2 エアー充填室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を覆うようにした一端が開口する袋状のマスク部材を備え、このマスク部材が外側シートと内側シートから構成されて、これら両シート間にはエアーの充填により膨張可能なエアー充填室が設けられ、またマスク部材には、使用者の目、鼻、口と対応する貫通孔が設けられると共に、口と対応する前記貫通孔の近くには、エアー充填室内にエアーを注入するためのエアー注入筒が設けられ、エアーの注入に伴うエアー充填室の膨張動作により、前記内側シートを使用者の頭部外周面に密着させるようにしていることを特徴とする美顔具。
【請求項2】
エアー注入筒には、エアー充填室内のエアーが外部に漏出するのを防止するための逆止弁が設けられるとともに、この逆止弁には、エアー充填室内に注入されたエアーを徐々に外部に漏出させるための漏出機能が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の美顔具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−39166(P2009−39166A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204274(P2007−204274)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(507265362)
【Fターム(参考)】