説明

義歯接着剤

本発明は、歯ぐきに対して十分な初期の接着性を有し、唾液で水和されると、食べ物を咀嚼する間に発生するストレスに耐え得る十分な粘着強度を構築し、かつ咀嚼の間の義歯との接触から歯ぐきを守る、義歯接着性組成物を提供する。その接着剤はアミノエチルエチレンウレア置換のポリアルキルビニルエーテル/マレイン酸のコポリマーの部分混合塩であって、その塩のカチオンが亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ナトリウムおよびカリウムからなる群より選択される、部分混合塩を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は義歯接着剤に、および義歯接着剤の製法および使用法に関する。特に、本発明は、新規な義歯接着性活性剤としてのポリアルキルビニルエーテルとマレイン酸(PVE/MA)のコポリマーのアミノエチルエチレンウレア置換された部分混合塩に関する。
【0002】
(従来技術)
一般の脱着可能な入れ歯および義歯は、口中で普通に見られる、全体的または部分的に失われた歯の代替品としての機能を有する。義歯は、通常、使用者により注意して嵌められるが、その嵌合は時間と共に変化し、不快およびズレを生じさせ得る。義歯接着剤を義歯に適用して、その不快を軽減し、ズレを調整してもよい。義歯接着剤は、義歯と義歯装着者の歯ぐきの間の接着剤として、かつガスケットまたはクッションとしての作用を有する。義歯接着剤は公知であり、クリーム、液体、粉末またはライナー(liner)の、押し出されるか、または非接着性自己支持層を有する形態とすることができる。
【0003】
義歯接着剤は、並外れて複雑な環境の下で、すなわち人の口の中で、多様な範囲の外見的には相反する特性を提供するように設計される。義歯接着剤は口腔粘膜と接触して迅速な粘着性を構築し、義歯が緩むのを防止しなければならず;さらに湿気または唾液で水和されると直ぐに結合力を構築しなければならない。義歯接着剤はまた、義歯を一定期間、12時間ないし16時間と長期にわたって適当な位置に保持しなければならない。義歯接着剤は一日に一回の使用を必要とするだけで、非毒性で、器官感覚受容的に許容されなければならない。それらは容易にウォッシュアウトされてはならず、すなわち、接着剤は、一日の行動の間に、例えば、熱いまたは冷たい飲料を飲む間に、口腔内で起こる極端な環境の変化の下での劣化に耐えなければならない。それでも、義歯接着剤はまた、使用後に義歯および口腔粘膜から容易に外れなければならない。
【0004】
初期の義歯接着剤は、水で湿らせると膨張して粘性のゲルとなり、それが義歯と歯ぐき組織の間のクッションおよび粘着剤として作用する、天然ガムの細かく粉砕した粒子を含有した。これら初期の義歯接着剤に代わり、ポリマー義歯接着剤が用いられるようになった。
種々のポリマー塩を用いて義歯接着剤を構築しようとする試みが幾度となくなされた。その分野からの一の好ましいポリマーは、ガントレッツ(GANTREZ)(登録商標)の商品名で販売されている、マレイン酸とアルキルビニルエーテルのコポリマーの部分混合塩である。この種のポリマーは、30年以上前に公表された、Germannらの米国特許第3003988号にて、可能性のある義歯接着剤として記載されている。
【0005】
その特許は、義歯を安定化させるために、低級アルキルビニルエーテルとマレイン酸のコポリマーの部分混合塩を含む、合成された、水不溶性であるが、水に敏感な材料を記載する。該特許にて言及されている塩は、(a)カルシウムと(b)ナトリウムまたはカリウムあるいは四級アンモニウムの化合物とを1:1ないし5:1のモル比にて含む混合物である。水酸化カルシウムおよび一価のカチオンの水酸化物を酸コポリマーの水性分散液に加えて混合塩を形成させる。
この種の材料の使用は他の種々の特許に記載されている。例えば、米国特許第5830933号;第4980391号;第4373036号;第5006571号;第4521551号;第3868432号;および欧州公開特許出願第406643号が挙げられる。
【0006】
ガントレッツ(登録商標)ポリマーから製造される義歯接着剤に付加的な接着および結合特性を付与するための一の方法が、そのコポリマーの塩の形態を工夫することであった。例えば、WO92/22280、WO92/10988、WO92/10987およびWO92/10986にて見ることができる。
一の方法が、1988年7月19日付け公開のShahらに付与された米国特許第4758630号に見られ、それは亜鉛とストロンチウムの部分混合塩を有する義歯接着剤に関するものである。
【0007】
もう一つ別の方法が、1991年12月17日付け公開のHolevaらに付与された米国特許第5073604号に報告されており、それはガントレッツ(登録商標)コポリマーの部分塩から製造される義歯接着剤であって、そのカチオンは亜鉛イオンをカルシウムと組み合わせるか、またはストロンチウムイオンをカルシウムと組み合わせており、所望によりナトリウムカチオンを含有していてもよい、義歯接着剤に関するものである。
1994年3月29日付け公開のProsiseらに付与された米国特許第5298534号は、カルシウム、ナトリウム、ストロンチウム、亜鉛、マグネシウムおよびカリウムのガントレッツ(登録商標)塩を担体としてのホウ素架橋のグアールガムおよび油状基剤と一緒に用いることを報告する。好ましい混合塩はCa/Naの混合塩である。グアールガムはその主張されている大きな保持力および粘度構築特性に「臨界的」なものである。
もう一つ別の方法は、粘着性アジュバントを処方にて用いるか、あるいはコポリマーをターポリマーに変更するかであり、例えば、これらの方法は米国特許第3736274号、第5037924号および第5093387号に見ることができる。
【0008】
無水マレイン酸/アルキルビニル型のポリマーおよびその塩の特性を義歯接着剤として活性であるように改良しようとする努力にも拘わらず、これらの処方は、粘着性、結合性、嗜好に応じた味、および義歯の下からのウォッシュアウトに対する耐性について望ましい十分な結果が得られていない。そこで、義歯接着性処方を改良する必要がある。
【0009】
(発明の要約)
したがって、本発明の第一の目的は、口腔組織に対して、およびアクリル義歯に対して尋常ではない強いアフィニティを有し、湿気または唾液で水和された場合にストレス、例えば咀嚼で生じるストレスに耐えることができるように、良好な保持特性の結合強度を構築する、新規かつ改良された義歯接着性組成物を提供することである。
本発明のもう一つ別の目的は、その改良された接着剤が長期間にわたって接着性を保持し、かつウォッシュアウトに対して耐性を有する接着剤を提供することである。本発明のさらにもう一つ別の目的は、食べ物を咀嚼する間に生じる義歯ストレスから歯ぐきを保護し、その衝撃を和らげる接着剤を提供することである。
本発明の付加的な目的および利点は、以下の詳細な記載にて幾分開示されており、当該記載から幾分明らかであり、あるいは本発明を実施することで学習することもできる。本発明の目的および利点は添付した特許請求の範囲にて具体的に指摘されている手段および組み合わせにより理解し、かつ獲得することができる。
【0010】
本明細書に具体的かつ広範囲に記載されている本発明の目的によれば、上記した目的を達成するために、当該発明は、ポリアルキルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーのAEEU置換された部分塩のナトリウムおよび/またはカルシウムおよび/または亜鉛および/またはストロンチウムおよび/またはマグネシウムおよび/またはカリウムイオンを含有する混合された金属塩を含む義歯接着剤を提供する。
本発明の目的によれば、上記した目的をさらに達成するために、当該発明はさらに、脱着可能な義歯を口中に確保する方法であって、ポリアルキルビニルエーテル、マレイン酸のコポリマーの混合された金属のAEEU置換された部分塩を含む義歯接着剤を適用する方法を提供する。この塩のコポリマー中のAEEU置換基の機能はこの塩のコポリマーに口腔組織およびアクリル義歯に特異的に接着する特性を付与することである。
【0011】
(発明の詳細な記載)
図面の簡単な記載
本願発明は、特に指摘する請求項、および本願発明であるとみなされる発明を明確に請求する請求項をもって決定されるが、その目的および利点は、以下の好ましい実施形態の記載を、添付図面を一緒に読んだ場合に、その記載からさらに容易に解明することができる。
図1は異なる接着性成分:(1)ガントレッツ塩418、(2)塩418に対して0.3モルのレベルでAEEU置換された塩418、および(3)0.5%S−97ガントレッツ酸を添加したAEEU置換塩418、を含有する3種の義歯接着性クリームの取外す力のプロフィールを比較して示すチャートである。
【0012】
本発明のポリマー塩はC−Cアルキルビニルエーテルマレイン酸コポリマーの部分混合塩である。メチルエチルケトン中、25℃で1.2よりも大きな比粘度を有するメチルビニルエーテル/無水マレイン酸(MVE/MA)が好ましい出発原料のコポリマーである。そのコポリマー無水物を室温でAEEUと混合し、ついで高温でアミドに変換し、酸に加水分解し、その後、適当なカチオンで中和する。コポリマーは米国特許第5525652号(出典明示により本明細書の一部とする)に開示されているコポリマーから選択されるのが最も好ましい。その発明のコポリマーは好ましいコポリマーであるが、本発明はそのコポリマーの使用に限定されるものではない。
【0013】
適当な金属塩の組み合わせは、ナトリウム/マグネシウム/亜鉛の混合塩、マグネシウム/亜鉛の混合塩、亜鉛/カルシウムの混合塩、カルシウム/ストロンチウムの混合塩、カルシウム/ジルコニウムの混合塩、マグネシウム/ストロンチウムの混合塩、マグネシウム/ジルコニウムの混合塩、ナトリウム/ストロンチウムの混合塩、ナトリウム/ジルコニウムの混合塩、亜鉛/ストロンチウムの混合塩、亜鉛/ジルコニウムの混合塩およびマグネシウム/ナトリウムの混合塩等を包含するが、これらに限定されるものではない。
本発明のアルキルビニルエーテル/マレイン酸の部分塩についての置換割合の制限は:(a)約5%から約55%のマグネシウム、より好ましくは約15%から約45%のマグネシウム、最も好ましくは約20%から約40%のマグネシウム;(b)約5%から約65%の亜鉛、より好ましくは約10%から約60%の亜鉛、最も好ましくは約15%から約55%の亜鉛;および(c)約0%から約40%のナトリウム、好ましくは約0%から約35%のナトリウム、最も好ましくは約0%から約30%のナトリウム、である。
【0014】
該ポリマー塩は、AEEUとアルキルビニルエーテル/マレイン酸またはコポリマー無水物の水性プレミックスを、例えば、カルシウム、ストロンチウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、ナトリウムおよびジルコニウムのアルカリ金属塩のオキシドおよびヒドロキシドで部分的に中和することで調製される。塩が調製されると、使用される金属化合物をそのコポリマー上のカルボン酸基と反応させてそれらを中和する。コポリマー上のカルボン酸基の100%未満を中和することが好ましい。より好ましくは金属化合物がコポリマーの20%ないし約95%のカルボン酸基を中和し、最も好ましくは約30%ないし約85%のカルボン酸基を中和する。
【0015】
カルボン酸基を中和するのに使用される、アルカリ性の無機金属化合物の選択において、当該化合物のアニオン部分は限定され、好ましくはオキシド、ヒドロキシドまたはカーボネートである。一般に、その操作が容易であること、利用可能性およびカルボン酸との反応において形成される副生成物が一般に無害の特性を有することから、オキシドまたはヒドロキシドが好ましい。
【0016】
本発明の塩を製造するために、まず、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸のコポリマーの水性分散液およびAEEUの水溶液を25℃で一緒にブレンドし、連続して混合しながら25℃で20分間保持し、その20分が経過した後に、金属オキシドおよび/またはヒドロキシドの水性分散液をAEEU、無水物、水の混合物に添加し、ついで温度を徐々に上げる。金属化合物の分散液およびAEEU−無水物のコポリマーの分散液を合し、高温、好ましくは50℃と90℃の間で反応させる。形成した生成物の塩を、トレイまたはドラム乾燥機のいずれかで乾燥させ、好ましくは100メッシュ未満に製粉化し、ついで薬理学的に許容される担体に分散させ、当該分野にて周知の技法を用いて本発明の義歯接着剤を形成させる。
【0017】
MVE/MAコポリマーは、ガントレッツ(登録商標)の商品名で、ニュージャージ州のISPコーポレイションより入手できる。該ポリマーは、メチルビニルエーテル/マレイン酸であるガントレッツ−Sシリーズ、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸であるガントレッツ−ANシリーズにて入手可能である。
一般式:
【化1】

で示されるAEEUは、K−Flex XM−3323の商品名で、コネチカット州、ノーウォークのキング・インダストリーズ(King Industries)より入手可能である。
【0018】
本発明の義歯接着剤は、薬理学上許容される担体中に義歯接着性有効量のAEEU−置換の義歯接着性コポリマー塩を含有する。AEEU置換の義歯接着性コポリマーの塩は、通常、約15重量%ないし約55重量%の義歯接着性組成物を含む。好ましくは、該組成物は約25重量%ないし約35重量%の義歯接着性クリームの組成物であり、最も好ましくはクリーム処方においては約27重量%ないし約33重量%の組成物であり、粉末処方においては約45重量%ないし約55重量%である。
本発明の義歯接着剤は、粉末、液体、クリームまたはライナーの形態にて、慣用的技法により処方することができる。該組成物はまた、他の活性および非活性成分を含有する。
【0019】
義歯接着剤をライナーに処方する場合、そのライナーは、例えば、出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第RE33093(Schiraldiら)および米国特許第6375963号(Repkaら)に記載されるような熱溶融押出しフィルムであってもよい。もう一つ別の実施形態において、義歯接着剤は、その義歯接着性組成物が、例えば、その内容を出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第4632880号および第4503116号(Lapidus)および米国特許第5880172号(Rajaiahら)、ならびに米国特許第5872160号(Liang)に記載されるような、非接着性自己支持層に適用される、
ライナーの形態であってもよい。
【0020】
接着剤の活性成分は、AEEU置換のMVE/MAコポリマーの創作性に富む部分金属塩である。AEEUの置換の程度は、0.05%と0.5%の間であるが、好ましくは0.1%と0.4%の間とすべきである。理論により拘束されるものではないが、AEEU分子中のウレイド基と、口腔組織におけるペプチド結合基および義歯のアクリルポリマーのカルボニル基との強固な水素結合が、このAEEU置換コポリマーの歯ぐきおよびアクリル義歯との強い特異的な接着に関与していると考えられる。
加えて、接着剤のカルボキシメチルセルロースナトリウムガムを活性成分として添加してもよい。非活性成分としては、ペトロラクタム、鉱油、フレーバー、着色剤、保存剤、増粘剤および非毒性の固化防止剤、例えば湿式シリカが挙げられる。
【0021】
該組成物は、義歯接着剤に加えて、薬理学上許容される担体を含有する。薬理学上許容される担体は慣用的な材料を含有し、所望により、当該分野にて慣用的に使用されるいずれの付加的な接着アジュバントを含有してもよい。
例えば、担体は接着剤を湿気に対して敏感とするために使用されるカルボキシメチルセルロースガムを含有してもよい。配合する場合、セルロースガムは、好ましくは、義歯接着性クリーム組成物の約10重量%ないし約38重量%、より好ましくはクリーム処方の組成物の約15%ないし約33%、最も好ましくは約20%ないし約28%を構成する。粉末処方において、セルロースガムは、好ましくは、組成物の約45%ないし約55%を構成する。当該創作的組成物に配合されるならば、セルロースガムは完全なまたは部分的な金属塩、好ましくはナトリウム塩として存在すべきである。
【0022】
義歯接着性組成物の担体の部分に配合することのできる非活性な成分として、ペテロラクタムおよびワックスなどの増粘剤;潤滑性を付与するための鉱油;合成フレーバー油および/または植物および果物から由来の油などのフレーバー;食品、薬および化粧品使用に適しており、FD&C着色剤として知られている、着色剤;パラベン、安息香酸、安息香酸塩等などの保存剤;粘度調節剤;およびシリカ、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクなどの非毒性の固化防止剤が挙げられる。
クリーム処方においては、鉱油は組成物の約12重量%ないし約17重量%を構成することが好ましい。ペトロラクタムをクリーム処方の増粘剤として使用し、製品を貯蔵する間、残りのクリーム処方から処方中のビヒクルが分離することを遅らせ、そのペトロラクタムは接着性クリーム組成物の約20重量%ないし約50重量%、好ましくは約25重量%ないし約45重量%を構成する。
【0023】
本発明のAEEU置換のガントレッツ塩を用いる義歯接着性クリーム処方の事例的組成は以下のとおりである:
【表1】

【0024】
本発明のCa/Na0.37%AEEU−MVE/MA塩を用いる、チューブ容器に適合するように特別に処方された、粉末処方の義歯接着剤の事例的組成は以下のとおりである:
【表2】

【0025】
以下の実施例は単なる例示であり、何ら本願発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:
3.6gのAEEUを9760gの水に室温で攪拌しながら添加し、つづいてその溶液を10分間攪拌した後、726.2gのポリ(メチルビニルエーテル−共同−無水マレイン酸)を該水性AEEU溶液に添加することで、ポリ(メチルビニルエーテル−共同−マレイン酸)(MVE/MA)の部分的ナトリウム、カリウムAEEU塩を調製した。ポリ(メチルビニルエーテル−共同−無水マレイン酸)をAEEU溶液中室温で20分間混合した。次に、251.6gの水酸化カルシウムを室温でポリマー無水物/AEEU溶液に充填した。次に、2750gの室温の水に溶かした18.6gの水酸化ナトリウムのプレミックスを攪拌しながら水酸化カルシウム/ポリメチルビニルエーテル無水マレイン酸/AEEUの混合物に加えた。次に、この混合物の温度を攪拌しながら徐々に65℃にまで上げ、ついで付加的に30分間65℃で保持し、その後で生成物を取り出し、強制換気のオーブン中、65℃で一夜乾燥させ、そして生成物を製粉した。生成物アッセイはこの部分塩が0.37%AEEU、11.6%カルシウムおよび0.91%ナトリウムおよび9.2%水を含有することを示した。
【0026】
上記にしたがって調製したポリ(メチルビニルエーテルマレイン酸)のAEEU置換の部分ナトリウム、カリウム塩を用いて義歯接着性ペーストの実験室用バッチ(以下の処方B)を製造した。活性剤として置換されていないカルシウム、ナトリウムMVE/MA塩を用いて接着剤の対照となるバッチ(以下の処方A)も製造した。接着性ペーストの第3のバッチを以下に示す処方Cに従って0.5%ガントレッツ酸活性化剤およびAEEU置換のPVM/MA塩を用いて製造した。
【0027】
【表3】

【0028】
ペースト状接着処方A、BおよびCをハング時間(hang time)(クリープ抵抗の測定)、取り外す力、これらの試験操作について添付したSOPに従って主観試験の性能について試験した。これらの結果を図1に示す。
該結果は試験した処方Cが対照となる処方よりも取り外しの力が有意に高いことを示す。試験した処方BおよびCは共に処方Aよりも有意に長期間に及んでいる。これらの結果は接着性の能力にて有意な変化をもたらすのに、意外にも比較的少量のAEEUだけを必要とすることを示す。
【0029】
限定するものではないが、本願明細書にて引用されている特許および特許出願を含め、すべての刊行物をその出典を明示することでその内容を本明細書の一部とする。
上記した記載はその好ましい実施形態を含め本発明を十分に開示するものである。本明細書にて具体的に開示されている実施形態の修飾および改良は以下の特許請求の範囲の範囲内にある。当業者であれば、さらに工夫することなく、上記した記載にしたがって、本発明を最大限に利用することができると考える。したがって、いずれの実施例も単なる例示であって、本発明の範囲を何ら限定するものではないと解すべきである。独占的権利または特権を請求する本発明の実施形態を別途定義する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
(本文中に記載なし)
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬上許容される担体中にポリアルキルビニルエーテルとマレイン酸とのコポリマーのアミノエチルエチレンウレア置換された部分混合塩である義歯接着性の塩を義歯接着性有効量にて含む義歯接着性組成物であって、該塩のカチオンが亜鉛、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ストロンチウム、ジルコニウムまたはその組み合わせから選択されるところの、義歯接着性組成物。
【請求項2】
部分塩のカチオンがナトリウム、マグネシウムおよび亜鉛の組み合わせであるところの、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
部分塩のカチオンがマグネシウムと亜鉛の組み合わせであるところの、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
部分塩のカチオンが亜鉛とカルシウムの組み合わせであるところの、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
部分塩のカチオンがカルシウムとナトリウムの組み合わせであるところの、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
アルキル部分がメチルであるところの、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
組成物がクリームの形態であるところの、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
AEEU置換された義歯接着性のコポリマーの塩が組成物全体の約15−55重量%を構成するところの、請求項6記載の組成物。
【請求項9】
組成物が粉末の形態であるところの、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
組成物がライナーの形態であるところの、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
ライナーが熱溶解性押出ライナーの形態であるところの、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
ライナーが非接着性自己支持層の形態であるところの、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
さらに、ポリアルキルビニルエーテル/マレイン酸の活性化剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
ポリアルキルビニルエーテル/マレイン酸の活性化剤が組成物の約0.1重量%から約10重量%にて配合されているところの、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
アミノエチルエチレンウレア置換されたポリアルキルビニルエーテル/マレイン酸のコポリマーの部分混合塩である、化合物。
【請求項16】
酸コポリマーを亜鉛、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ストロンチウムおよびジルコニウムまたはその組み合わせからなる群より選択されるカチオンで中和するところの、請求項13記載の化合物。

【公表番号】特表2006−513219(P2006−513219A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563844(P2004−563844)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/040658
【国際公開番号】WO2004/058195
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】