説明

羽目板用の取り付けクリップ

取り付けクリップは、第2の羽目板の一部と重なるように第1の羽目板を壁に位置決めし、取り付ける助けとなるように設計される。取り付けクリップは、取り付けクリップを第2の羽目板に吊す吊り具を有する。取り付けクリップはまた棚部を有する。棚部は、第1の羽目板が第2の羽目板に重なるように第1の羽目板を位置決めする。取り付けクリップにより、単独の取付者が正確にかつ効率的に羽目板を取り付けることができるようになる。取り付けクリップのベースは、クリップが次の羽目板によって覆われることになる領域を特定するので、壁に釘留めすることができる羽目板の部分を特定するガイドとして使用することができる。壁と羽目板の間のエアーギャップが取り付けクリップによって形成され、湿気が閉じ込められるのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2004年3月27日出願の米国特許仮出願第60/575,077号に対して優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、建物の建築を容易にするために使用される装置に関する。より具体的には、本発明は、建物の壁の羽目板を容易に位置決めし、取り付けることができるようにするために使用されるクリップに関する。
【背景技術】
【0003】
羽目板を建物の壁に取り付ける仕事は、労働集約的な仕事である。通常、羽目板を効率的に切断し、壁に位置決めして固定するのに、3人構成のチームが必要とされる。1人が羽目板を切断し、他の2人が1つの羽目板の両側に立って、羽目板を位置決めし、固定することができるように3人のチームが必要とされる。一方の端部が固定されると、他方を固定点の周りに回動して、第2の端部を固定する前に羽目板片が確実に水平になるようにする。これ以降、そのやり方で羽目板が断続的に固定される。これは間違いなく長時間を要する、労働集約的なやり方である。
【0004】
1979年8月14日に登録の、シックラによる米国特許第4,164,646号(特許文献1)では、重ね羽目板具を開示している(本明細書で論じる羽目板は、セメント、木材などを含む任意の材料から製造した羽目板を含む)。重ね羽目板具は一般にU字形状とされ、羽目板片の裏に延在して羽目板片を別の羽目板片に対して位置決めする。羽目板が所定の位置に固定されると、この工具は除去され、再利用される。この参考文献における重ね羽目板具の設計は、多くの点で不完全である。第1に、これらの工具は、製造するのに費用がかかるために再利用されなければならない。第2に、重ね羽目板具を羽目板片に固定する方法がない。風が強いと、あるいは所定の位置で誤って工具に一度ぶつかると、これらの工具は簡単に落ちてしまう。第3に、その工具は、ある態様で取り外さなくてはならず、それによって、壁に沿った、羽目板の連続した取り付けが遅れることになる。
【特許文献1】米国特許第4,164,646号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
取り付けクリップは、第1の羽目板を壁に位置決めし、取り付ける助けとなるように設計されており、第1の羽目板は、第2の羽目板の一部に重なる。取り付けクリップは、上部と底部との間に延在するベースを有する。取り付けクリップは、また、ベースの上端部に固定して取り付けられた吊り具を有する。この吊り具は、取り付けクリップを第2の羽目板に吊す。取り付けクリップは、また、ベースの底端部に固定して取り付けられた棚部を有する。この棚部は、位置決めと取り付けとを行う場合に、第1の羽目板の一部が第2の羽目板に重なるように第1の羽目板を位置決めする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
添付の図面と関連させて熟考する場合に、以下の詳細な説明を参照して本発明がよりよく理解されてくると、本発明の利点が容易に分かるであろう。
【0007】
図1および図2を参照すると、取り付けクリップは全体として符号10で示されている。取り付けクリップ10は、第2の羽目板14に対して第1の羽目板12を位置決めし、取り付けるのを容易にするために使用される(第1の羽目板12と第2の羽目板14の関係は相対的なものである。第1の羽目板12が固定されると、その第1の羽目板は、別の羽目板がそれに対して固定される第2の羽目板になる)。第1の羽目板12は第2の羽目板14に重なって建物18の壁16を覆う。残りの羽目板19はすべて壁16に固定されている。取り付けクリップ10を使用する場合、第2の羽目板14が壁16に固定して取り付けられることが企図される。第2の羽目板14は、取り付けクリップ10がその前は第2の羽目板14を固定するために使用されたという点で、その取り付けクリップ10に対してかつては第1の羽目板12であったとすることができる。
【0008】
図3から図5を参照すると、取り付けクリップ10は、上端部22と底端部24との間に延在するベース20を有する。ベース20は、内側面26および外側面28を規定し、内側面および外側面は、壁16に対するそれらの関係で定義される。ベース20は、また、外側面28から垂直に突出するスペーサ30を有する。スペーサ30は、ベース20の平面に交差する平面に延びる当接面32によって、第1の羽目板12を第2の羽目板14に対して傾ける。
【0009】
取り付けクリップ10は、また、吊り具34を有する。吊り具34は、ベース20の上端部22に固定して取り付けられている。吊り具34は、取り付けクリップ10を第2の羽目板14に、特に第2の羽目板14の上面36に吊す。吊り具34は、ベース20に対して垂直方向内側に延びている。吊り具34の長さは、ほぼ第2の羽目板14の上面36の奥行きとされる。取り付けクリップ10は、それらが固定されている羽目板12、14に対して寸法が小さくなるように設計されている。様々な寸法の羽目板12、14との適合性を満たすために、取り付けクリップ10の寸法を変えることは、本明細書に開示の概念から逸脱するものではないことを当業者は理解すべきである。取り付けクリップ10はまた、吊り具34に固定して取り付けられた固定タブ38を有する。固定タブ38は、取り付けクリップ10を第2の羽目板14に固定する。固定タブ38は、吊り具34の内側端部40から下方に、およそ垂直に延びている。したがって、固定タブ38とベース20とは、互いに対して概略的に平行である。固定タブ38は、ベース20より短い。
【0010】
取り付けクリップ10間で寸法は同じなので、羽目板12、14、19の取り付け精度は、これまで先行技術の方法を使用して得られたよりもはるかに正確である。さらに、取り付けクリップ10を使用することで、取り付けを完了するための工数が大幅に削減される。
【0011】
取り付けクリップ10はまた、棚部42を有する。棚部42は、ベース20の底端部24に固定して取り付けられている。棚部42は、第1の羽目板12の一部が第2の羽目板14に重なるように第1の羽目板12を位置決めする。棚42は、第1の羽目板12の底面44を受けるように設計されている。棚部42から上方外側に保持タブ46が延びている。保持タブ46は、第1の羽目板12を棚部42に固定する。保持タブ46は、丸みが付けられ、保持タブ46の主要部よりもさらに外側に延びる先端部48を有する。
【0012】
再度吊り具34に注目すると、吊り具は、ベース20の上端部22に隣接して配置された逃げ部50を有する。逃げ部50は、第1の羽目板12を壁16に取り付けた後で、ベース20を吊り具34から除去するのを容易にする。逃げ部50は、使用者52が吊り具34からベース20および棚部42を折って切り離すことができるように設計されており、第1の羽目板を壁16に固定した後で取り付けクリップ10全体を取り外す必要がなくなる。これは、壁16に羽目板を取り付ける時間を短縮する。
【0013】
第1の羽目板12を壁16に取り付けた後で、使用者52がベース20および棚部42を取り付けクリップ10から取り除くのを容易にするために、除去タブ54が棚部42に固定して取り付けられている。除去タブ54は、第1の羽目板12を壁16に固定したときに、ベース20および棚部42を取り除くのを助ける。除去タブ54は、除去タブ54を貫通する穴56を有する。図6Aおよび図6Bを参照すると、手工具58を使用することができ、その場合に、工具先端部60がその穴56に挿入され、工具先端部60が穴56の内部にある状態で手工具をねじると、ベース20および棚部42を素速く除去することができる。
【0014】
各図から分かるように、ベース20、固定タブ38、および保持タブ46はすべて互いに対して実質的に平行になっている。同様に、吊り具34と棚部42も互いに対して実質的に平行になっており、全体としてZ字形状の取り付けクリップ10を形成している。これらの空間的な関係は、使用する羽目板のタイプおよび壁を覆うのに使用する羽目板の外形に応じて変えることができることを当業者は理解すべきである。取り付けクリップ10は、第1の羽目板12の取り付け中に明瞭に目に見えるので、使用者52は、どこで第2の羽目板14を壁16に釘留めすればよいかをすぐに特定することができる。より具体的には、取り付けクリップ10のベース20は、第1の羽目板12によって覆われる第2の羽目板14の領域を明瞭に特定する。
【0015】
羽目板12、14で壁16を覆う場合に取り付けクリップ10を使用することのさらなる利点は、吊り具34および固定タブ38が壁16と羽目板12、14の間に残っていることである。壁16から羽目板12、14を離すことによって、エアーギャップが形成され、そのエアーギャップにより、湿気が幾らかでもある場合に、湿気を除去する助けとなる通気が可能になる。
【0016】
取り付けクリップ10は、樹脂材料から作られることが企図されている。製造に使用される材料は、第1の羽目板12を第2の羽目板14に対して保持するための支持に耐えることができると同時に、第1の羽目板の壁16への取り付けが完了した後で、容易に2片に裂かれる任意の硬質材料でよい。
【0017】
例示の形で本発明を説明した。使用された用語は、限定語ではなく説明語の性質を帯びたものとしたことを理解すべきである。
【0018】
上記の教示を考慮すれば、本発明に対する多数の修正と変更が可能である。したがって、添付の請求項の範囲内で、具体的に説明されたものとは別に本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】羽目板取り付け者が羽目板を壁に固定する際に本発明を使用している斜視図である。
【図2】本発明を使用して羽目板が固定されている、部分的に切り取った壁の側面図である。
【図3】本発明の1つの実施形態の斜視図である。
【図4】本発明の正面図である。
【図5】本発明の側面図である。
【図6A】作業者が羽目板を壁に固定した後に、工具を使って本発明を取り除いている斜視図である。
【図6B】作業者が羽目板を壁に固定した後に、工具を使って本発明を取り除いている斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の羽目板の一部に重なるように第1の羽目板を壁に位置決めし、取り付けるのを助ける取り付けクリップであって、
上端部と底端部との間に延在するベースと、
前記取り付けクリップを第2の羽目板に吊すために、前記ベースの前記上端部に固定して取り付けられた吊り具と、
第1の羽目板の一部が第2の羽目板に重なるように第1の羽目板を位置決めするために、前記ベースの前記底端部に固定して取り付けられた棚部とを有する取り付けクリップ。
【請求項2】
前記第1の羽目板を壁に固定する際に前記ベースおよび前記棚部を取り除く助けのために、前記棚部に固定して取り付けられた除去タブを有する請求項1に記載の取り付けクリップ。
【請求項3】
取り付けクリップを第2の羽目板に固定するために、前記吊り具から延びた固定タブを有する請求項2に記載の取り付けクリップ。
【請求項4】
前記吊り具は、第1の羽目板を壁に取り付けた後に、前記吊り具から前記ベースを取り除くことを容易にするために、前記ベースに隣接して配置された逃げ部を有する請求項3に記載の取り付けクリップ。
【請求項5】
第1の羽目板を第2の羽目板に対して傾けるために、前記ベースから延びたスペーサを有する請求項4に記載の取り付けクリップ。
【請求項6】
第1の羽目板を前記棚部に保持するために、前記棚部に固定して取り付けられた保持タブを有する請求項5に記載の取り付けクリップ。
【請求項7】
前記保持タブは先端部へ延びる請求項6に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項8】
前記先端部は、外側に、前記ベースから離れる方向に曲がる請求項7に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項9】
前記ベース、前記固定タブ、および前記保持タブは、互いに対して実質的に平行である請求項7に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項10】
前記吊り具および前記棚部は、互いに対して平行である請求項9に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項11】
前記棚部および前記ベースは、互いに対して垂直である請求項10に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項12】
第2の羽目板の一部に重なるように第1の羽目板を壁に位置決めし、取り付けるのを助ける取り付けクリップであって、
上端部と底端部との間に延在するベースと、
前記取り付けクリップを第2の羽目板に吊すために、前記ベースの前記上端部に固定して取り付けられた吊り具であって、前記第1の羽目板を壁に取り付けた後で、前記吊り具から前記ベースを取り除くのを容易にするための前記ベースに隣接して配置された逃げ部を有する吊り具と、
第1の羽目板の一部が第2の羽目板に重なるように第1の羽目板を位置決めするために、前記ベースの前記底端部に固定して取り付けられた棚部とを有する取り付けクリップ。
【請求項13】
前記第1の羽目板を壁に取り付ける際に前記ベースと前記棚を取り除くのを助けるために、前記棚部に固定して取り付けられた除去タブを有する請求項12に記載の取り付けクリップ。
【請求項14】
第1の羽目板を第2の羽目板に対して傾けるために、前記ベースから突出したスペーサを有する請求項13に記載の取り付けクリップ。
【請求項15】
第1の羽目板を前記棚部に保持するために、棚部に固定して取り付けられた保持タブを有する請求項14に記載の取り付けクリップ。
【請求項16】
第2の羽目板の一部に重なるように第1の羽目板を壁に位置決めし、取り付けるのを助ける取り付けクリップであって、
上端部と底端部との間に延在するベースと、
前記取り付けクリップを第2の羽目板に吊すために、前記ベースの前記上端部に固定して取り付けられた吊り具と、
第1の羽目板の一部が第2の羽目板に重なるように第1の羽目板を位置決めするために、前記ベースの前記底端部に固定して取り付けられた棚部と、
第1の羽目板を第2の羽目板に対して傾けるために、前記ベースから突出したスペーサとを有する取り付けクリップ。
【請求項17】
第1の羽目板を壁に固定する際に前記ベースと前記棚部を取り除くのを助けるために、前記棚部に固定して取り付けられた除去タブを有する請求項16に記載の取り付けクリップ。
【請求項18】
取り付けクリップを第2の羽目板に固定するために、前記吊り具から延びた固定タブを有する請求項17に記載の取り付けクリップ。
【請求項19】
第1の羽目板を前記棚部に保持するために、前記棚部に固定して取り付けられた保持タブを有する請求項18に記載の取り付けクリップ。
【請求項20】
第1の羽目板を前記棚部に保持するために、前記棚部に固定して取り付けられた保持タブを有する請求項19に記載の取り付けクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2008−500475(P2008−500475A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515389(P2007−515389)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/018734
【国際公開番号】WO2005/118974
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506392942)ベア カブ エンタープライゼス エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】