説明

耐ブロッキング性を改良したスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品

【課題】 スチレン系エラストマー樹脂ペレットの製造、輸送及び加工の際に生ずるブロッキングに対し、耐ブロッキング性の良好な粉粒体製品を安定的に提供する。
【解決手段】 内部に3〜30重量%の水分を含有するスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品により達成される。スチレン系エラストマーとしては、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなる重合体であることが好ましい。また本発明のスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品は、樹脂粉粒体スラリーを脱水することにより製造することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐ブロッキング性を改良したスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性スチレン系エラストマーは溶融成形可能なゴム状物質であり、射出成形、押し出し成形、カレンダー成形等、通常熱可塑性樹脂で用いられる成形法により成形することができる。熱可塑性スチレン系エラストマーは、その強度と伸びおよび制振性に優れた性質を有しており、具体的な用途としては、エラストマー材料、樹脂、ゴム、アスファルト等の改質材、制振材、粘着剤のベースポリマー、樹脂改質剤の成分として用いることができる。
【0003】
このように優れた性質、加工性を有する熱可塑性スチレン系エラストマーであるが、その反面、軟化点の低さから室温付近でも樹脂同士の付着、すなわちブロッキングが発生しやすい。このブロッキングは熱可塑性樹脂のペレット化、乾燥、梱包、成形に至るまで、あらゆる場面において取り扱いの困難な状況を発生させる。具体的には、樹脂をペレットに成形する段階においては、ペレット同士あるいはペレットが加工設備へ付着することにより運転の支障になる。また、ホッパー内部でペレットが閉塞し、払い出しが不能になることもよく知られた事実である。
【0004】
これらは樹脂をペレット形状に成形する前に配合物を混練するペレットのブロッキング防止方法、あるいは成形シートのブロッキング防止方法である。しかしペレットのブロッキング防止のために添加する配合物、高分子成分によっては、エラストマーの物性自体の悪化が懸念される。また芯鞘型複合押出ダイなどのように専用設備が必要となり、簡便な方法とは言いがたい。
【0005】
一般に、スチレン系エラストマー樹脂の回収方法には、薄膜蒸発機や押出機による溶媒除去後ストランドカット方式や水中カット方式でペレット化する方法やスチームストリッピングによって粉粒体化する方法が採用されているケースが多い。
【0006】
ストランドカット方式や水中カット方式でペレット化する方法においては水中でブロッキング防止剤を付与することが最も効果的で、特許文献1においても脂肪酸アミドを付与する製造方法が開示されており、特許文献2のように、水性乳濁液と無機塩を添加する方法を水中カット方式に応用展開する方法も開示されている。また、特許文献3には熱可塑性エラストマー樹脂ペレットに脂肪酸金属塩粉末、脂肪酸アミド粉末、ポリオレフィン粉末、シリカ粉末等を付着させる方法が開示されている。
【0007】
一方、スチームストリッピング法によって得られるクラム状あるいは1mm以下の粉粒体に関しては、その比表面積の高さとスチレン系エラストマー特有の軟化特性、粘着性から以上の方法にては不十分であった。特に乾燥工程を経て製造される粉粒体は、乾燥設備から払い出される樹脂が高温にも関わらず乾燥後室温で保管される場合、ブロッキング防止剤を付着させたものでも製品袋中でブロッキングしてしまうケースが多くみられた。
【0008】
このようにスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品を製造するにあたっての諸問題を解決し、ブロッキング性の良好な製品の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開2002−293946号公報
【特許文献2】WO2007/007837号公報
【特許文献3】特開2000−136248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記現状に鑑み、耐ブロッキング性の良好なスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品を開発することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、3〜30重量%の水分を含有するスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品に関するものである。
また本発明は、重合体を含有する溶液と界面活性剤または水溶性高分子、及び水を混合した後、撹拌により液−液分散させながら加熱により溶媒を除去する工程(1)により得られる樹脂粉粒体スラリーを、さらに脱水することを特徴とするスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品の製造方法に関するものである。
本発明のスチレン系エラストマーは、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなる重合体であることが好ましい。
また本発明は、スチレン系エラストマー中の水分量を3〜30重量%とすることを特徴とする、スチレン系エラストマー樹脂粉体の耐ブロッキング性の改善方法に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、耐ブロッキング性の良好なスチレン系エラストマー樹脂ペレットを安定的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
〔スチレン系エラストマー〕
本発明における「スチレン系エラストマー」とは、スチレン及びその誘導体のモノマー(以後「芳香族ビニル系単量体」と呼ぶ)を重合して得られる重合体ブロックを構成単位として含むブロック共重合体である。スチレン系エラストマーの原料として使用されるスチレン系単量体としては特に限定されないが、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体等が挙げられる。スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンからなる群から選ばれた1種以上の単量体を使用することが好ましく、コストの面からスチレン、α−メチルスチレン、あるいはこれらの混合物を用いることが特に好ましい。
【0013】
本発明の製造方法は、従来公知の「スチレン系エラストマー」、例えば一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとよばれているブロック共重合体やスチレン−ブタジエンゴム(SBR)に適用可能である。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレンブチレン共重合体−スチレン(S−EB−S)、スチレン−エチレンプロピレン共重合体−スチレン(S−EP−S)、スチレン−ブタジエン−スチレン(S−B−S)、スチレン−イソプレン−スチレン(S−I−S)、スチレン−イソブチレン−スチレン(S−IB−S)を挙げることができる。
【0014】
また「スチレン系エラストマー」としては、イソブチレンを含むものが好ましく、特に(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなる「イソブチレン系ブロック共重合体」が好ましい。イソブチレン系ブロック共重合体は比較的粘着性が高く、ブロッキングが発生しやすい場合があるので、本発明の製造方法による改善効果が大きい。さらに強度・伸びに優れるイソブチレン系ブロック共重合体を安定的に生産できるという点から、本発明は、イソブチレンと芳香族ビニル系単量体などの単量体を、ルイス酸触媒および開始剤の存在下でカチオン重合して得られるイソブチレン系ブロック共重合体の製造に適用することが好ましい。
【0015】
(A)のイソブチレンを主体として構成される重合体ブロックは、通常、イソブチレン単位を60重量%以上、イソブチレン系重合体特有のガスバリア性を維持する観点から好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。また、(B)の芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックは、通常、芳香族ビニル系単量体単位を60重量%以上、スチレン系エラストマーとしての強度、伸び等の物性を維持する観点から好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。
【0016】
上記ルイス酸触媒は、カチオン重合に使用できるものであれば特に限定されず、TiCl、BCl、BF、AlCl、SnCl等のハロゲン化金属を挙げることができるが、なかでも四塩化チタン(TiCl)がイソブチレン系ブロック重合体の反応性とその触媒回収の容易さと回収触媒の安全性の観点から好ましい。
【0017】
上記カチオン重合において用いられる重合溶媒としては特に限定されず、ハロゲン化炭化水素からなる溶媒、非ハロゲン系の溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。好ましくは、炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒がイソブチレン系ブロック共重合体の溶解性の面から好ましい。
【0018】
上記炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素としては特に限定されず、塩化メチル、塩化メチレン、1−クロロブタン、クロロベンゼンなどを挙げることができる。この中でも、イソブチレン系ブロック共重合体の溶解度、分解による無害化の容易さ、コスト等のバランスから、1−クロロブタンが好適である。
【0019】
また、上記脂肪族及び/又は芳香族系炭化水素としては特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン及びトルエンからなる群より選ばれる1種以上がコストおよびカチオン重合の反応性の観点から特に好ましい。
【0020】
なお、カチオン重合の際に用いる開始剤としては、下記式(I)で表される化合物を用いるのがカチオン重合の反応性の観点から好ましい。
【0021】
(CRX) (I)
[式中、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基若しくはアシロキシ基を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の1価炭化水素基を表し、RとRは同一であっても異なっていてもよい。Rは多価芳香族炭化水素基又は多価脂肪族炭化水素基を表す。nは1〜6の自然数を示す。]
上記一般式(I)の化合物の具体例としては、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼン[C(C(CHCl)]が挙げられる[なお、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼンはジクミルクロライドとも呼ばれる]。
【0022】
イソブチレン系ブロック共重合体の重合に際しては、更に必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。このような化合物として、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、又は、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
【0023】
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下、例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−80℃〜−30℃である。
【0024】
またイソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量にも特に制限はないが、流動性、加工性、物性等の面から、30000〜500000であることが好ましく、50000〜400000であることが特に好ましい。
【0025】
重合後のイソブチレン系ブロック共重合体を含有する重合体溶液は、水またはアルカリ水と接触させて、触媒を失活して反応を停止させた後、引き続き水洗を行い、触媒残査や金属イオンを抽出、除去して、精製ドープを得ることができる。
【0026】
失活及び水洗温度は特に制限されるものではないが、常温〜100℃の範囲が好ましい。また、失活及び水洗に使用する水量は、特に限定されるものではないが、重合体溶液に対する水の体積比が1/10〜10の範囲が触媒失活の効率と生産性のバランスから好ましい。
〔粉粒体化設備および製造例〕
このようにして得られた精製重合体溶液は、引き続き、粉粒体化工程(1)に供される(クラム化工程とも呼ばれる)。重合体溶液中の樹脂濃度は、必要に応じて重合に使用した溶媒を加え、10〜60重量%として粉粒体化することが望ましい。ドープ濃度が低い場合には、フラッシュ蒸発、薄膜式蒸発、撹拌槽、濡れ壁式等の蒸発機を単独あるいは複数用いることにより所望濃度に調整することができる。また、重合体溶液濃度が高い場合には、溶剤を希釈することにより所望濃度に調整することができる。
【0027】
このようにして得られた精製重合体溶液、すなわち触媒を失活、除去したスチレン系ブロック共重合体を含有する重合終了後の溶液に、界面活性剤または水溶性高分子及び水を加え、撹拌により液−液分散させながら、加熱により溶媒を除去する工程(1)により樹脂粉粒体製品を得ることができる。加える水の量は、特に制限はないが、液−液分散のしやすさ等から重合体溶液に対し、0.5〜4倍の容積として加えるのが好ましい。
【0028】
界面活性剤としては、特に制限はないが70℃以上の高温下で重合体溶液を安定した液−液分散させ、かつ溶媒揮発による泡立ちを低減させる必要があるため、70℃以上の曇点を有する非イオン界面活性剤を使用することが好ましい。具体例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸モノ(ジ又はトリ)ステアリンエステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチレン)脂肪アミン、脂肪酸とジエタノールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。加える界面活性剤の量は、特に制限はないが、重合体に対し0.05重量部から5重量部が好ましい。0.05重量部以下では界面活性剤としての特性が十分発揮できず、粒子が形成されない。また、5重量部を超えると重量体の物性低下、粉粒体化における泡立ちの問題が顕著になり好ましくない。
【0029】
水溶性高分子の例としては、乳化作用、保護コロイド作用、分散作用を持つものであれば特に限定されないが、例えば、アラビアガム、カラギーナン、グアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガント、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、キサンタンガム、デキストリンなどの多糖類、ゼラチン、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどのタンパク質類、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、カチオン化セルロースなどのセルロース類、リン酸化デンプンなどのデンプン類、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールなどのアルギン酸類、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド、アクリルアミド/アクリレート共重合体などのアクリル酸類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、PVP/VA(ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート)共重合体などのビニル系重合体類、その他ポリエチレングリコール、カチオン化グアガム、ヒアルロン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、コスト面からメチルセルロース、ポリビニルアルコールが好ましい。加える水溶性高分子の量は、特に制限はないが、冷却水槽中0.1ppmから100ppmが好ましい。0.1ppm未満では効果が十分発揮できず、100ppmを超えると冷却水槽中の泡立ちが顕著になり、処理できない。
【0030】
撹拌による液−液分散、及び溶媒除去に用いられる装置としては攪拌機を備えた容器が好適に用いられる。攪拌翼の形状には特に制約はなく、スクリュー翼、プロペラ翼、アンカー翼、パドル翼、傾斜パドル翼、タービン翼、大型格子翼等の任意の翼を使用することができる。これらは、同一の攪拌槽を用いて液−液分散操作と溶媒除去操作を行うこともできるし、予め液−液分散操作を実施して分散液を形成させた後に引き続き溶媒除去を複数の攪拌槽を用いて行うこともできる。
【0031】
また、工程(1)においてブロッキング性をさらに向上させるためにブロッキング防止剤を併用することもできる。ブロッキング防止剤とは、スチレン系エラストマーのブロッキングを防止するために有効であることが当業者に知られている物質、あるいは当業者にとって有効であろうことが合理的に予測されうる物質をいい、滑剤や乳化重合法によって得られる水性乳濁液よりなる各種熱可塑性樹脂をいう。具体的には、芳香族ビニル系単量体からなる重合体(ポリスチレン等)や、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体を挙げることができる。
<滑剤>
滑剤は、樹脂加工時に樹脂に滑性を付与するための滑剤や成形体を金型などから取り出しやすくするための離型剤などを例示できる。滑剤の具体例としては炭酸カルシウム、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、ポリオレフィン、シリカ、フッ素樹脂、タルクなどをあげることができ、これらのなかで1種または2種以上組み合わせてもよい。これらは工程(1)において溶媒除去前に用いてもよいし、溶媒除去後に粉粒体スラリーに添加する方法で用いてもよい。加える滑剤の量は、特に制限はないが、重合体に対し0重量部から5重量部が好ましい。5重量部を超えると重量体の物性低下が顕著になり好ましくない。
【0032】
炭酸カルシウムの例としては、平均粒子径0.5〜15ミクロンの軽質炭酸カルシウム、重炭酸カルシウムのような単体の他、これに飽和脂肪酸あるいは界面活性剤により処理を加えたもの、あるいはマグネシウム、シリケート等を配合したものを挙げることができる。
【0033】
脂肪酸アミドの例としては、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミドなどを挙げることができる。
【0034】
脂肪酸エステルの例としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチルなどを挙げることができる。
【0035】
金属石鹸の例としてはカリウム、ナトリウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、バリウム等を用いた各金属石鹸を挙げることができる。
【0036】
ポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテンなどのポリオレフィン類の粉末状のものを挙げることができる。これらの中から選ばれた少なくとも1種を使用する。中でもポリプロピレン粉末が好ましく使用できる。
【0037】
シリカの例としては、粉末状の乾式シリカ、湿式シリカなどを挙げることができる。これらの中でも、シリカ表面の水酸基をモノメチルトリクロロシランまたはジメチルジクロロシラン等と反応させた疎水性の無水無定型シリカが好ましい。
【0038】
フッ素樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびポリモノクロルトリフルオロエチレンなどをあげることができる。これらの中から選ばれた少なくとも1種を使用する。中でも、PTFE粉末が好ましく使用される。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、粒子径の制御が比較的容易であることからビニル系ポリマーの水性乳濁液またはその凝集体が好ましい。上記ビニル系ポリマーを構成する重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル系単量体のうち少なくとも1種類が含まれていることが好ましい。そのほかに、非芳香族ビニル系単量体として、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンなどのハロゲン化ビニル化合物が含まれていてもよい。これら非芳香族ビニル系単量体は2種以上を適宜併用してもよい。
【0039】
熱可塑性樹脂の主成分である芳香族ビニル系単量体としては、上述したスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられるが、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、コストの面から、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が特に好ましい。
【0040】
熱可塑性樹脂の芳香族ビニル系単量体の割合は、30重量%以上100重量%以下がそれを付着させる樹脂粉粒体の透明性を維持する観点で好ましく、50重量%以上100重量%以下が特に芳香族ビニル系単量体を含む樹脂粉粒体との親和性の観点からより好ましい。
【0041】

〔水性乳濁液の調整方法〕
水性乳濁液を調整する方法は特に限定されないが、水性溶媒、重合開始剤、乳化剤等の存在下で、上記重合性モノマーを乳化重合することにより得ることができる。得られた水性乳濁液はそのまま本発明の製造方法において用いることができる。
(重合開始剤)
上記重合開始剤としては公知のラジカル重合開始剤などを使用でき、水溶性や油溶性の重合開始剤、熱分解型やレドックス型の重合開始剤などが使用される。たとえば通常の過硫酸塩などの無機開始剤、あるいは有機過酸化物、アゾ化合物などを単独で用いるか、上記化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水素、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどを組み合わせ、レドックス系で用いてもよい。重合開始剤として好ましい過硫酸塩としてはたとえば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどがあげられ、好ましい有機過酸化物としては、たとえばt−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどがあげられる。
(乳化剤)
また、上記乳化剤としては公知のものが使用され、たとえば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウムなど)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホコハク酸ジエステル塩などのアニオン系界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン系界面活性剤などがあげられる。さらに重合開始剤として過硫酸カリウムなどを用いることでソープフリーによって芳香族ビニル系単量体を主成分とする熱可塑性樹脂粒子を含有する水性乳濁液を作製してもよい。
(重合条件)
熱可塑性樹脂を重合する際の温度や時間などにも特に限定はなく、使用目的に応じて所望の比粘度、粒子径になるように適宜調整すればよい。
【0042】
水性乳濁液として添加される熱可塑性樹脂の量は、冷却水槽中の樹脂固形分濃度で0.5重量%から20重量%であるのが好ましい。0.5重量%未満ではブロッキング防止剤としての効果が十分でない場合がある。また、20重量部を超えると、冷却水槽内の粘度上昇、スケールの発生などによるトラブルを招くことがあり好ましくない。
(無機塩)
本発明では、ブロッキング防止剤および水溶性高分子を含有する水溶液中に、さらに無機塩を含有することが好ましい。さらには、芳香族ビニル系単量体を主成分とする熱可塑性樹脂粒子を含有する水性乳濁液を樹脂粉粒体含有水溶液に添加した後、無機塩をさらに加えるのが、樹脂粉粒体含有水性分散液中の熱可塑性樹脂を効率よく樹脂粉粒体表面に付着できる点で好ましい。加える無機塩としては、特に制限はないが、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化ニッケル、塩化アンチモン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化銅、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、塩化バリウム、塩化カルシウム、臭化カリウムなどの無機塩化物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸水素マグネシウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸チタン、硫酸ニッケルアンモニウム、硫酸マンガン、硫酸クロムナトリウム、硫酸水素スズ、硫酸銅、硫酸鉄、過硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどの亜硫酸塩または硫酸塩、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩、硝酸アンモニウム、硝酸ニッケル、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩などを挙げることができる。その中で、耐ブロッキング性の改善効果の観点から塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムが好ましく、なかでも硫酸ナトリウムが耐ブロッキング性の改善効果と装置への低腐食性、安全性の観点から好ましい。
【0043】
加えられる無機塩の量には特に制限はないが、耐ブロッキング性の改善効果と装置への低腐食性、安全性の観点から、水性乳濁液中の水中の無機塩の濃度が20mmol/L以上となるように前記無機塩を加えることが好ましい。なお本発明において複数の無機塩を併用する場合、「水中の無機塩の濃度」は、水性乳濁液中の水中の全ての無機塩の濃度を足した値をいう。
〔製品化設備および製造例〕
さらに、スチームストリッピング後の樹脂粉粒体を含む水溶液は、以下説明する工程(2)により、脱水、乾燥される。
【0044】
樹脂粉粒体を含む水溶液から樹脂粉粒体を回収するためには、各種濾過機、遠心分離機などによる脱水操作を用いることができる。本操作による脱水後の樹脂粉粒体の含水率は、特に制限されるものではないが、10〜50重量%とすることが、乾燥のエネルギー効率の点で有効である。
【0045】
得られた含水樹脂粉粒体は、溝型撹拌乾燥機などの伝導伝熱式乾燥機あるいは流動乾燥機などの熱風受熱式乾燥機などを用いて乾燥することにより、粉粒体製品とすることができる。粉粒体製品中の水分は、本発明においては、3〜30重量%とすると耐ブロッキング性が向上できる。含水率が3重量%以下であると耐ブロッキング性が損なわれ、30重量%以上ではその後成型時などに脱揮機能付き押出機での処理時に効率が悪化し、好ましくない。
【0046】
含水率は、120℃の乾燥機中で2時間揮発分を除いた後の残留物の重量から算出したものである。
【0047】

本発明で得られるスチレン系エラストマー樹脂ペレットは射出成形、押出し成形、カレンダー成形等、通常熱可塑性樹脂で用いられる成形法により成形することができる。また、エラストマー材料、樹脂、ゴム、アスファルト等の改質材、制振材、粘着剤のベースポリマー、樹脂改質剤の成分として用いることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0049】
本実施例に示す重合体の分子量および引張強度は以下に示す方法で測定した。
【0050】
分子量:Waters社製GPCシステム〔カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム〕。数平均分子量はポリスチレン換算で表記した。
【0051】
得られた樹脂ペレットの耐ブロッキング性については、得られた樹脂粉粒体を内径5cmのシリンダーに内部の水分が抜けないようテフロンシート(テフロンは登録商標である)で樹脂を包むように30g充填してピストンにて0.03MPaの荷重をかけて60℃雰囲気下2時間保管した後、さらに25℃に2時間保管し、得られた樹脂ケーキの流動性を目視で確認することで評価した。
【0052】
芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体粒子の粒子径は(株)堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用いて体積基準平均粒子径として測定した。
【0053】
本発明のスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品の水分量は、本発明のスチレン系エラストマー樹脂粉粒体の重量と、これをさらに120℃の乾燥機に入れて水分を除いた後の重量を比較することにより算出した。
【0054】
(製造例1)スチレン系エラストマーの合成
撹拌機付き20L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)5.17kg、ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)0.45kg、p−ジクミルクロライド7.77gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド4.49g、イソブチレン1.29kgを添加した。さらに四塩化チタン33.9gを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン552gを添加し、さらに30分間反応を続け、重合体溶液を得た。
【0055】
得られた重合体溶液を大量の水中へあけて反応を停止させた。反応停止後、分液ロートで重合体溶液相と水相を分離した。同様の方法で重合体溶液相の水洗を2回行った後、水層が中性になっているのを確認してから重合体溶液相を払い出し、重合体溶液を得た。
【0056】
GPC分析を行ったところ、数平均分子量が66,000、分子量分布が1.28であった。
【0057】
(製造例2)乳化重合によるブロッキング防止剤の合成
撹拌機およびジャケット付き200L反応容器に、スチレンモノマー(苛性水溶液で重合禁止剤を抽出除去したもの)26.9kg、苛性ソーダによりpH10に調製した蒸留水を90.3kg、ドデシル硫酸ナトリウムを150g加え、窒素通気雰囲気下で70℃に加熱しながら60分間撹拌した。その後、過硫酸カリウムを75g添加して4時間反応させることによりポリスチレン粒子を含有する水性乳濁液(1)を得た。
【0058】
得られたポリスチレン粒子の粒子径は、体積基準平均粒子径で0.17μmであった。また水性乳濁液の固形分濃度は23%であった。
【0059】
(実施例1)
槽容積50リットル、内径30cmの耐圧攪拌装置に、純水12.5リットルおよび製造例で得た重合体溶液12.5リットルを仕込み、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製KH−17)を5.1g添加した。撹拌翼には翼径15cmの2段4枚傾斜パドルを用いて、400rpmで攪拌しながら蒸気を撹拌槽に導入することで昇温した。
【0060】
撹拌槽内温が70℃に到達した時点で溶媒ガスが揮発し、耐圧撹拌装置に付設したコンデンサに導入し、逐次溶媒を回収した。撹拌槽内温が99℃となった時点で蒸気供給を停止し、ポリスチレン粒子を含有する水性乳濁液(1)93gと芒硝(無水)20gを添加した。その後内温が50℃まで低下するのを待って攪拌を停止し、撹拌槽内に生成した樹脂粉粒体スラリーを回収した。回収した樹脂粉粒体スラリー中の粉粒体は約500μmの粒径を持つ粒子であった。
【0061】
この樹脂スラリーを遠心脱水し、含水率23重量%の含水樹脂を得た。
【0062】
さらに、熱風温度120℃の箱形乾燥機で乾燥させ、含水率が3.5重量%の時点で乾燥機から取り出して耐ブロッキング性を評価したところ、ケーキはほぐれやすく軽く触れるだけで崩壊するほど良好であった。
【0063】
(実施例2)
ポリビニルアルコールでなくノニオン性界面活性剤(日本油脂製S−15.4K)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
【0064】
回収した樹脂粉粒体スラリー中の粉粒体は約3mmの粒径を持つ不定形の(クラム状の)粒子であった。
【0065】
この樹脂スラリーを遠心脱水し、含水率20重量%の含水樹脂を得た。
【0066】
さらに、熱風温度120℃の箱形乾燥機で乾燥させ、含水率が3.5重量%の時点で乾燥機から取り出して耐ブロッキング性を評価したところ、ケーキができないほど良好であった。
【0067】
(実施例3)
耐ブロッキング防止剤として水性乳濁液(1)と芒硝を添加せず脂肪酸アミド(日本油脂製H−50ES−P)を用いた以外は実施例2と同様に実施した。
【0068】
回収した樹脂粉粒体スラリー中の粉粒体は約3mmの粒径を持つ不定形の(クラム状の)粒子であった。
【0069】
この樹脂スラリーを遠心脱水し、含水率20重量%の含水樹脂を得た。
【0070】
さらに、熱風温度120℃の箱形乾燥機で乾燥させ、含水率が3.5重量%の時点で乾燥機から取り出して耐ブロッキング性を評価したところ、ケーキができないほど良好であった。
【0071】
(実施例4)
乾燥をせずに含水率20重量%の粉粒体のまま取り出した以外は実施例1と同様に実施した。
【0072】
耐ブロッキング性を評価したところ、ケーキができないほど良好であった。
【0073】
(比較例1)
箱形乾燥機で含水率0.5重量%以下まで乾燥させたこと以外は実施例1と同様に実施した。
【0074】
耐ブロッキング性を評価したところ、固いケーキが形成され手でほぐせなかった。
【0075】
(比較例2)
箱形乾燥機で含水率0.5重量%以下まで乾燥させたこと以外は実施例2と同様に実施した。
【0076】
耐ブロッキング性を評価したところ、固いケーキが形成され手でほぐせなかった。
【0077】
(比較例3)
箱形乾燥機で含水率0.5重量%以下まで乾燥させたこと以外は実施例3と同様に実施した。
【0078】
耐ブロッキング性を評価したところ、固いケーキが形成され手でほぐせなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
3〜30重量%の水分を含有するスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品。
【請求項2】
スチレン系エラストマーが、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなる重合体である請求項1に記載のスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品。
【請求項3】
重合体を含有する溶液と界面活性剤または水溶性高分子、及び水を混合した後、撹拌により液−液分散させながら加熱により溶媒を除去する工程(1)により得られる樹脂粉粒体スラリーを、さらに脱水することを特徴とするスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品の製造方法。
【請求項4】
スチレン系エラストマーが、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなる重合体である請求項3に記載のスチレン系エラストマー樹脂粉粒体製品の製造方法。
【請求項5】
スチレン系エラストマー中の水分量を3〜30重量%とすることを特徴とする、スチレン系エラストマー樹脂粉体の耐ブロッキング性の改善方法。

【公開番号】特開2009−249432(P2009−249432A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96391(P2008−96391)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】