耐切創性、耐摩耗性および/または耐穴開け性の編み手袋
改良された保護編み手袋組立体は、編み手袋と印刷された保護板の2つもしくは3つ以上のアレイとを含む。保護板は、所定のパターンで配置された、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みの、重なっていない硬いポリマー材料の部材であり、その部材は、手袋の表面と平行な領域を有し、大きい方の寸法と小さい方の寸法とを有する。保護板の大きい方の寸法の小さい方の寸法に対するアスペクト比は約3と1との間である。手袋組立体の全体の耐摩耗性は、保護板のない編み手袋の耐摩耗性に比べて実質的に大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、2007年6月6日に出願された、「Abrasion And Slash Resistant Knitted Gloves」というタイトルの米国仮特許出願第60/942,377号の利益を主張するものであり、それは、そっくりそのまま参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に編み手袋に関する。
【背景技術】
【0003】
粗いセメント、岩およびアスファルトなどの硬い物体の粗い表面に対して摩擦した場合、従来の布地は、容易にすり切れるか、または損傷を受けることが多い。比較的高い摩耗状態にさらされる場合、特に布地の表面上の糸および繊維は、摩擦を受けるか、質量を失うか、または摩擦熱の原因でさらに溶けてしまう傾向がある。
【0004】
ある摩耗用途のために、高性能の布地が開発されている。一つのアプローチは、高デニールの糸(たとえば、ナイロン、ポリエステルなど)を、しっかりと織るかまたは編んで布地にすることである。耐摩耗性を高めるために、熱可塑性コーティングを上記布地に塗布することができる。様々な高強度繊維(たとえば、Kevlar(登録商標)、PBO、はがね、ガラス、Dyneema(登録商標))が高性能布地に使用されることが時々ある。しかし、これらの高強度繊維はもろい傾向にあり、それゆえ、多くの用途で特別な摩耗性能と関連づけられない。
【0005】
さらに、現在の高性能もしくは耐摩耗性の布地の多くは、かさばり、堅く、そして高価である。その上、摩擦物体の多くは、硬いか、もしくは先のとがった特徴(たとえば、木の枝もしくは岩)を有し、布地を裂くことができ、破れもしくは穴あきによる損傷の原因となる。
【0006】
HDMは、SuperFabric(登録商標)ブランドの材料のシートを製造し販売し、その材料は、上にスクリーン印刷され、狭い間隔の幾何学的パターンの布地の表面に設置された硬い板の使用を通して、耐切創性および耐摩耗性を提供する。シートから、さいの目状にパーツを切り取り、そのパーツを縫うかくっつけるかして手袋にすることによって、この材料は手袋になる。その結果、優れた耐切創性および耐摩耗性を有する手袋になる。しかし、この手袋の製造方法は能率が悪い可能性がある。
【0007】
手袋は編み工程から作製されることが多い。グリップ特性を改善するために、ゴムドット(Rubber dot)が編み手袋上に印刷されることが時々ある。しかし、比較的柔らかい材料になるように、これらのドッドに使用される材料をわざわざ選択する。なぜならば、これにより、多くの用途についてグリップが最もよくなるからである。しかし、これらの柔らかいゴムドットは、もし、耐穴開け性もしくは耐切創性があったとしても、少ししかない。その上、柔らかいゴムドットを使用する場合、硬い摩擦物体がゴムドットの材料を切り込んだり損傷を与えたりする可能性のあるところで、実際の用途では、耐摩耗性は十分に改善されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は改良された保護編み手袋組立体である。本発明の一態様は編み手袋と、印刷された保護板の、同一平面上にない2つもしくは3つ以上のアレイを含む。その保護板は、所定のパターンで配置された、大きい方の寸法および小さい方の寸法を有しており手袋の表面と平行である領域を有する、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みであり、重なっていない硬い印刷されたポリマー材料部材である。保護板の大きい方の寸法の小さい方の寸法に対するアスペクト比が約3と1との間である。手袋組立体の全体の耐摩耗性が、保護板がない場合の編み手袋の耐摩耗性に比べて実質的に大きい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、本発明の一態様によるプリント保護板を有する編み手袋の等角投影図であり、概して、手のひら、親指に面している、人差し指の側面、および手袋における親指の二又表面部分を示す。
【図1B】図1Bは、図1Aに示された編み手袋の等角投影図であり、概して、手袋の手のひら側を示す。
【図1C】図1Cは、図1Aに示された編み手袋の等角投影図であり、概して、手袋の甲および親指の二又表面部分を示す。
【図2】図2A〜2Cは、手袋の可撓性のある編まれた基材に装着された六角形の板を含む保護材料の例の様々な図を示す。
【図3】図3は、手袋の可撓性のある編まれた基材に装着された、比較的狭い間隔で四角形および五角形の板を含む保護材料の例を示す。
【図4】図4は、手袋の可撓性のある編まれた基材に装着された、比較的広い間隔で四角形および五角形の板を含む保護材料の例を示す。
【図5】図5は、手袋の可撓性のある編まれた基材に装着された円形の板を含む保護材料の例を示す。
【図6A】図6Aは、手袋の編まれた基材に装着された保護板の側面図を示す。
【図6B】図6Bは、図6Aに示された材料の板の上面および基材を覆うエラストマーの層を有する本発明の態様を示す。
【図7A】図7Aは、人差し指と親指との間で図1Aに示された手袋の側面上に保護板のアレイを形成するために、本発明の一態様と関連して使用される第2の型の上面図を示す。
【図7B】図7Bは、図7Aに示された第2の型を超えた追加の保護範囲を備える別の第2の型を示す。
【図7C】図7Cは、図7Bに示された型を超えたさらに大きな保護範囲を備えるさらに別の型を示す。
【図8A】図8Aは、本発明と関連して使用できる編み手袋を示す。
【図8B】図8Bは、図7Aに示された型に取り付けられた図8Aの編み手袋を示す。
【図9】図9は、本発明と関連して使用できる手袋の型の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、本手袋組立体の一態様の正面図を示し、親指領域と人差し指領域との間の保護板2が見える。図1Aに示されているように、保護板2は、指の手のひら側を含む手袋組立体1の概して平らな手のひらを覆う。親指と人差し指との間の保護板2を有する手袋組立体1の部分は、実質的には、人差し指の側面上および人差し指と親指との間の二又である表面であり、それは、手袋組立体の手のひら上の保護板と、実質的に同一平面上ではなく、平行でもない。人差し指の側面上および親指の二又における保護板2の縁は、手のひら上の保護板の縁に近接して配置される。図1Bは、手袋組立体1の手のひら側を示す。図1Cは、手の甲の側面からの手袋組立体1を示す。親指および人差し指の側面上ならびに人差し指および親指の二又に保護板2のアレイが示されている。手袋組立体1の甲の上に、保護板2の別のアレイが示されている。親指および人差し指の側面上ならびに親指の二又における保護板2は、手袋組立体1の甲の上の保護板2と同一平面上ではなく、平行でもない。
【0011】
図2Aは、本発明の一態様による保護板2のアレイの一部の詳細図である。図に示されているように、複数の板2が、編み手袋の布地3に設置されている。板2は、図9に示すような、概して平面の型板50に編み手袋を被せた後、標準的なスクリーン印刷方法を用いて、編み手袋の布地3の外側の表面4上に印刷される。図9に示される型板50は、概して手の形をしており、図8Aに示されるような編み手袋3の手のひらおよび甲側の上に保護板2を印刷するための土台として使用することができる。手袋3が型にぴったりと合うように、型板50は選択される。保護板2を形成するための樹脂が、スクリーン印刷に適したレオロジーを有するように、かつ、保護特性を提供するのに適した硬化特性を有するように選択される。複数の板2は、手袋3の耐摩耗性、耐摩滅性および耐切創性を高める。また、くぎもしくは同じような寸法の部材による穴開けに対する手袋3の抵抗力が複数の板2により高められる。複数層の保護板2、もしくは保護板を有する複数層の布地基材を使用することにより、皮下注射針のような、より小さな直径の物体に対する耐穴開け性を高めることができる。たとえば、2つの手袋を取り出して、一方を広げて他方に被せることにより2層の手袋組立体を作ることができる。ぴったりと合い過ぎることによる過剰な伸びを防止するために、少し大きな外側層の手袋を使用することができる。同様に、3層もしくは4層以上も使用することができる。
【0012】
用途に応じて、耐摩耗性は、繰り返し着用されたり洗濯されたりする手袋の弱い強度の一般的なこすれから、たとえば、オートバイに乗っているときに保護するために摩耗する手袋の場合などの強い強度の摩耗(重い荷重および/または速い速度)へ及ぶ。本発明の布地は、耐熱性となることができ、そのことは比較的耐熱性および断熱性がある布地を含むことを意味することが留意される。
【0013】
本発明で行ったように、耐切創性板2を手袋3に加えることは、実質的に、耐切創性および他の機械的性質を改善するであろう。板2を構成するために使用される樹脂に、セラミックビーズもしくはガラスビーズなどの硬いフィラーを加えることによって、耐切創性をさらに増加させることができる。また、手袋の全体の重さと耐切創性の望ましいレベルとの間のバランスがとれるように、板の厚みを調節することができる。
【0014】
本発明は、SuperFabric(登録商標)シートを手袋にすることに関連する加工費なしで、SuperFabric(登録商標)技法の本質的な特徴を組み入れた手袋を作るもう一つの方法である。これらの手袋は、完成した、編まれたかもしくは織られた手袋3の表面に、保護板2を直接印刷することによって作製される。結果として得られた手袋組立体1は、SuperFabric(登録商標)の当て布に縫い込むことに関連する余分の費用なしで、SuperFabric(登録商標)シートから作製された手袋に匹敵する耐摩耗性を有する。ある態様では、編み手袋の伸縮性が原因で耐切創性が少々減少するかもしれないが、編まれた基材によって与えられるこの伸縮性のため、本発明の手袋は、SuperFabric(登録商標)シートから作製された一般的な手袋と比較して、改善された快適性を示す。
【0015】
本発明の一態様では、板を切断することなしで刃物が手袋を切断することが起こりそうもない、もしくは不可能であるほど十分に狭い間隔を有する耐切創性板2を使用する。別の態様では、耐摩耗板2を使用し、これらは、手袋の耐用年数を劇的に改善することができる。さらに、もし望むのであれば、グリップ特性を高めるために、比較的柔らかいドット(不図示)を耐切創性板2の上面に印刷することができる。または、その代わりに、板2を覆ってディップコーティングを適用することができる。しかし、ある用途の場合、硬い板2の表面特性が好ましい場合がある。
【0016】
本発明の一態様では、編み手袋3の布地はナイロンである。別の態様では、ポリエステル、アラミド、超高分子量ポリエチレンもしくはこれらの材料の混合物を使用する。さらに別の態様では、主布地は、アラミドおよび細いスチールワイヤーの混合物を含む。
【0017】
図3,4,5は、板2について別の形状を説明する。図3は、五角形および正方形を有するパターンを示す。図4は、より広い間隔を有することを除いて、同様なパターンを示す。図4における複数の板2間の間隔5は、刃物が保護板2を切断することなしで手袋3を相当な距離貫くことができない程十分にさらに小さい。これにより、印刷された手袋組立体1は、耐摩耗性と同様に耐切創性を著しく高めることができた。図5は、円形の板を有する別の態様を示す。
【0018】
図2Aに示されるように、狭い間隔5を有する堅い板を有することにより、手袋組立体1の全体の伸縮性が減少する場合がある。しかし、印刷の実施の後、適切なサイズの手に合うように手袋組立体1を再設計することができる。だから、たとえば、印刷により堅い板2を有する手袋組立体1が作製された後に、大きなサイズの手のために元々設計された手袋3を、中間のサイズの手に合うようにすることができる。一態様では、手袋3のある領域のみを保護板2で覆い、被覆されない領域には、伸縮性がある。
【0019】
複数の板2は重なっておらず、編み手袋3の外側の表面4上に配列され設置される。板2は、複数の、近接する板2の間の間隔5を画定する。複数の間隔5は、連続しており相互に連結しており、それぞれの間隔は、手袋組立体1が伸縮性を維持するように選択された幅を有し、一方、同時に、物体が手袋の基材3と直接摩擦して劣化させるのを抑制する。様々な段階で手袋3を印刷することができる。たとえば、符号3などの手袋を符号50などの型板上に設置した後、個別の印刷工程の間、反対側の側面に板2を印刷することができる。手袋が伸縮しない状態である場合、複数の板2間の間隔5は、最も大きな板の寸法に比べて著しく小さくなり得る。
【0020】
図2A,3,4,5は、所望の耐摩耗、耐切創性および/または耐穴開け性のために選択することができる様々な板2の寸法およびパターンを説明する。板2は、(図2Bおよび図2Cに示される)およそ均一な厚みを有し、それは、ある態様では、4〜40ミル(mil)の範囲内である。別の態様では、板2は、4〜20ミルの範囲内のおよそ均一な厚みを有する。同一の一定の六角形として板2を形づくることができるが、板2を任意の一定もしくは不定の形状にすることができ、相互に同一もしくは同一でないようにすることができることに留意することは重要である。ある態様では、最大の寸法は、六角形を含むいずれの形状の場合でも、20〜200ミルの範囲内である。
【0021】
たとえば、板2は、正方形、長方形、8角形、もしくは不定の任意の多角形状を有することができる。また、板2は円形状、楕円形状、もしくは不定の曲線形状などの任意の曲線形状を有する。また、一定のもしくは不定の任意の多角形、および/または、一定もしくは不定の任意の曲線形状の複合形状もしくは組み合わせとして板2を具体化することができる。
【0022】
本発明の一態様では、保護板の小さい方の寸法に対する保護板2の大きい方の寸法の比は1と約3との間である。約3よりも大きな水平アスペクト比の結果、板にクラックが生じる傾向がより高くなり、板が布地に非常に強いストレスを生み出す傾向がより高くなり得るので、これは、好ましい範囲である。本発明の他の態様では、保護板2は、この範囲外の水平アスペクト比を有することができる。
【0023】
本発明の一態様では、保護板の厚みに対する保護板の大きい方の寸法の比は、3と約10との間である。約10よりも大きな垂直アスペクト比の結果、板にクラックが生じる傾向がより高くなる可能性があり、垂直アスペクト比が約3よりも小さくなると、スクリーン印刷の実施で製造することが難しくなる可能性があるので、これは好ましい範囲である。本発明の他の態様では、保護板2は、この範囲外の垂直アスペクト比を有することができる。
【0024】
板2の重なり合わない特徴により、複数の間隔5は連続的である。また、間隔5は、ほぼ均一もしくは不均一の幅を有することができる。しかし、概して間隔5の幅は約4〜20ミルの範囲内であり、それは、板の厚みの範囲と同じである。他の態様では、間隔5の幅および板の厚みの両方が、4〜40ミルのほぼ範囲内である。間隔5の幅および板の厚みについて同一の広がりを持つ範囲は、十分な柔軟性と、外部の力に対する十分な機械的強度(すなわち、耐摩耗性、耐摩滅性、耐切創性および耐引裂性)ならびに任意選択的な耐熱性の提供との間の適切な妥協である。本発明の他の態様は、これらの範囲外の寸法を有する。
【0025】
上記で留意したように、図9に示すような平らな手の型50に手袋を搭載することにより、編み手袋を印刷することができ、その後、フラットヘッドスクリーン印刷を実施しているときに、手袋の上に樹脂を印刷する。印刷を実施している間に型から抜けるのを防止するために、型50に留め金を適用することができる。印刷された手袋1を型から取り除くとき、保護板2が手袋の側面に存在するように、ある態様では、拡張された形状の型を選択する。図9に示される型50は、この目的のため、小指と親指の領域を広くしてきた。たとえば、図1Aは、小さな指(すなわち、小指)の側面に保護板2を有する編み手袋3を示し、保護板2は手の側面まで広がっている。これは、型50における広い領域の小指を使用することによって達成され、その小指により、布地の一部が、型の上面の位置に引き延ばされ、その結果、スクリーン印刷の工程の間に印刷される手袋3の側面を構成するようになる。保護板2が硬化する場合、型における広い領域を使用することによって、3D効果を与えることができる。なぜならば、これは、伸ばされた形状に一方の表面を保持する傾向にあるので、その結果、曲線形状になるからである。これは、丸くされる傾向にある指においてもっとも重要である。この3D成形により、手袋はより快適にフィットするようになる。
【0026】
本発明のある態様では、2回目、3回目、もしくは4回目以上のスクリーン印刷のステージもしくは工程を適用してもよい。図1A〜1Cで説明された手袋組立体1で示されたように、たとえば、甲の側もしくは手袋の甲側のいくつかの部分の上に保護板2を有することが望ましいことが時々ある。手袋3の甲が印刷された場合、単に型を180度回転させ、その後、2回目の印刷工程を適用するだけで、同じ型50の上で2回目の印刷を行うことができる。もし、第1の型50から手袋3を取り除き、2回目の印刷のために第2の型を設置する必要がある場合(たとえば、以下に記載するように、親指の領域と人差し指の領域との間を印刷する場合ならそうであろう)、第1の型から手袋を取り出す前に、保護板2の第1のアレイを予め硬化させることが一般に好ましい。その後、手袋3は、第2の型を覆って設置され、2回目のスクリーン印刷が適用されるであろう。
【0027】
図1A〜1Cに示された態様などのある態様では、親指と人差し指との間の手袋3の側面の領域は、2番目の印刷工程で印刷され、そこでは、手袋3の領域を伸ばすために適切に形作られた型が使用され、親指の領域から人差し指の領域にわたって引き延ばして平らな面にする。上記の型に搭載された手袋3をスクリーン印刷する場合、保護板の第2のアレイが作り出され、それは、第1の印刷された保護板のアレイと同一平面上にない。この目的のために使用することができる型52の例が図7Aに示されている。この型52の一方の端を手袋3の人差し指に挿入することができ、その後、手袋の親指を伸ばして型の他方の端に被せる。それによって、型52は平らな領域を提供し、そこでは、スクリーン印刷の実施を行うことができ、指の側面に設けられることになる保護板2を形成することができる。図8A,8Bは、型が搭載されていない手袋60と図7Aの型が搭載された手袋60とをそれぞれ示す。図8Bに示すように、型52は、親指の先端と人差し指の先端との間に、手袋60の手のひらと垂直な概して平面の表面を提供する。この型52について適切な形状は手袋のサイズで変わるであろう。一態様では、型52の形状は、丸まった端を有し、約6”〜12”の長さおよび約0.5”〜1.5”の幅を有する長方形形状である。他の態様(図7Bおよび7Cに示されている)では、この型(52’,52”)の形状は、親指の二又領域(親指と人差し指との間の領域)で、その領域で拡張された保護範囲を与えるためにふくれている。ある態様では、人差し指および親指が型を覆って型に合うようにするために手袋60を伸ばすことが難しい。このような場合、2つもしくは3つ以上の構成要素(不図示)で型を作製することができ、そのパーツを手袋の中に設置した後、それらを一緒に結合させることができる。同一平面上にない保護板2のアレイを有する手袋組立体1を製造するために、2回以上の印刷工程を使用する場合、それらの工程の後、それぞれ個別の印刷工程の間に形成された保護板を予め硬化させることができる。その後、最終の硬化工程の間で、保護板2を熱もしくはUV放射にさらすことができ、または別のやり方で硬化させることができる。
【0028】
親指から人差し指までの領域に保護板2を有する態様は図1A,1Cに示されている。これらの態様の保護板は、親指の二又領域に設けられている。しかし、他の態様では、親指と人差し指との間の全長さに保護板を拡張することができる。
【0029】
快適さを改善するために、平らな型(符号50および52など)の上で手袋を印刷し、平らな型の上にある間、樹脂を一部のみ硬化させ、その後、平らな型から手袋を取り除き、そして、板2を有する手袋の一部の所望の形状(たとえば、手の形状)にしたがった3D形状を有する型(不図示)に設けることによって、手袋組立体1に3D形状を与えることができる。少なくとも樹脂を完全に硬化させたとき、手袋は3D形状のいくらかを保持することができる。また、この3D効果は、手袋が3Dの型(不図示)の上にある間、ニトリル、ポリウレタン、もしくは何らかの他のエラストマーが手袋組立体1に塗布されるところのディッピングの実施を使用することによって作り出される。型の上にある間にエラストマーを硬化させることにより、手袋組立体1は3D形状を保持する。エラストマーが塗布されるところの態様では、ディッピングの実施の前もしくは後に、樹脂の最後の完全な硬化を行うことができる。図6Aは、基材3に装着された板2の側面図を示す。図6Bは、本発明のこの一態様の例として、板2の上面を覆って塗布されたエラストマー6の層を示す。
【0030】
摩耗は、複雑な現象もしくは作用であり、たとえば、摩擦する材料のタイプ、表面の特性、表面間の相対速度、潤滑油などによって影響を受ける。多くの様々な摩耗条件を反映して設計された、多くの標準化された摩耗試験が存在する。一つの典型的な試験はASTMD3884である。このテストでは、特定の表面特性を有する2つの丸い形状のホイールが圧力を加え、所与の速度と所定の加重(たとえば、1000gまで)下で試験試料の表面上を回転する。試験結果は、布地がすり切れて穴が開くサイクル数、もしくは、一定のサイクル数の後の布地の重量の減少として与えられる。
【0031】
不運にも標準化された摩耗試験は、試験布地に対して適用することができる制限された加重レベルおよび速度が原因で制限を受けることが多い。これらの制限が原因で、現実の世界の状態により近づけてシミュレートするために、他の試験が開発された。たとえば、試験の一つは、石の入った洗濯装置の中で連続的に手袋を洗濯することを含む。別の例では、オートバイの乗り手などによる摩擦に対して好適な手袋を試験するために、手袋でコンクリートの重りの周りを包み、速い車両から投げることができる。
【0032】
ある態様では、装着された板は、強化(enhancement)因子Fだけ、ベースとなる手袋布地の耐摩耗性および耐摩滅性を高める。強化因子Fは、編まれた布地の耐摩耗性および/または耐摩滅性に対する手袋の布地組立体の耐摩耗性および/または耐摩滅性の比率である。したがって、たとえば、可撓性のある基材の耐摩耗性がテーバー(Taber)試験で50サイクルであり、複合体の編み手袋組立体の耐摩耗性が500であると仮定すると、強化因子はF=10で与えられる。強化因子Fは、耐摩耗性および/または耐摩滅性に関係もしくは相互に関連するいずれの測定の比率となり得ることに留意される。
【0033】
強化因子は、様々な基材の布地、保護板の形状および厚み、間隔幅、板の直径もしくは最大寸法などの寸法の選択によって影響を受ける可能性がある。強化因子は、行われた様々な選択に基づいて、概して2から200の範囲である。他の態様では、強化因子は、3から100、3から10、10から50、および12から30の範囲にそれぞれなり得る。
【0034】
本発明は、編み手袋上に印刷されたゴム材料ドットを有する手袋などの知られている手袋を超える有利な点をたくさん提供する。本発明の主要な改善点の一つは、複数の板の間の間隔が最も大きな板の寸法に比べて小さいところの形状の使用から、耐摩耗性ならびに耐切創性および耐穴開け性の両方の点で増加することである。布地のより大きな領域が保護されるので、より小さな間隔を使用することにより、耐摩耗性が一般に高まるであろう。複数の板の間を直線が伸びることができない程、十分に小さな間隔を使用することは、耐摩耗性および耐切創性の両方を改善する。なぜならば、任意の鋭い刃先が布地を貫通する機会を減少させることになるからである。穴を開けそうな物体よりも小さな間隔を使用することは、それらの物体に対する耐穴開け性を提供することになる。複数の層の手袋を使用することは、耐穴開け性をさらに高めることができる。本発明のある態様では、手袋が伸縮しない場合、間隔幅は、もっとも大きな板の寸法の大きさの4パーセントと75パーセントとの間である。他の態様では、手袋が伸縮しない場合、間隔幅は、もっとも大きな板の寸法の大きさの4パーセントと20パーセントとの間である。本発明の他の態様では、その寸法は、これらの範囲の外側になり得る。
【0035】
本発明の第2の主要な有利な点は、耐切創性板の使用である。本発明で使用された板は、板を構成するために使用された樹脂の本来の硬さが原因の、もしくは樹脂に添加された硬いフィラーが原因の(もしくは、両方の効果の組み合わせから)切創保護を提供する。耐切創性板は、岩の鋭い端が、たとえば手袋を切るのを防止することになるので、耐切創性板を使用することにより、現実の耐摩耗性ならびに耐切創性が増加する。
【0036】
本発明では、板の材料が、濡れた形態で塗布され、少し浸透し、外側の表面4に設けられる。板材料には、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂および他の同じような基材などの樹脂がある。そのような材料は、熱もしくは紫外線により硬化する必要があり得る。
【0037】
板の材料は、固体や硬くなり得る、エポキシもしくはフェノール系樹脂などの樹脂となり得る。板の材料は、約100kgf/cm2よりも高い引張り強度を有する(一般にエポキシの引張り強度は、硬化した場合、約700kgf/cm2)ことが一般に好ましい。また、板の硬さは、およそショア(Shore)D10よりも高いことが好ましい。ある態様では、耐摩耗性、耐摩滅性および/または耐切創性を増加させるために、適切なときに、添加物を樹脂に加えることができる。添加物の例には、アルミナもしくはチタンの粒子またはセラミックもしくはガラスのビーズがある。また、樹脂材料は、それらの耐熱特性に対してとくに選択され得る。
【0038】
本発明のある態様では、印刷の実施もしくはディップコーティングによって、印刷された手袋の外側の表面に、板の材料による追加の層を適用することができる。改善されたグリップ特性のため、ポリウレタン、ニトリル、シリコーン、プラスチゾルもしくは他のエラストマー材料となるように、この材料を選択することができる。ある態様では、ベースとなる手袋層の下にある編まれた布地との結合を形成するために、材料が保護板の複数の間隔の間に置かれる。一態様では、10ミルと500ミルとの間の直径を有し、10ミルと500ミルとの間の間隔を有するドットとしてのエラストマー材料の直径が適用された。
【0039】
本発明の一態様では、板の最大寸法が約20〜200ミルの範囲内になるように、板の直径は選択される。別の態様では、隣接した板の間に4〜100ミルの範囲内の間隔幅を有するあるパターンに配列された、等辺の六角形などの多角形、曲線の形状もしくは複合形状として板が形作られる。別の態様では、板の厚みは、4〜100ミルの範囲内である。他の態様では、板の厚みおよび間隔幅は、4〜20ミルの範囲内である。本発明の他の態様は他の寸法および特徴を有する。
【0040】
手袋の表面の一部もしくはより全体の摩耗および/または抵抗を高めることが望ましい場合が時々ある。また、指領域もしくは手のひら領域などの手袋における選択された位置に、摩耗および/または切創の増大を制限することができる。スクリーン印刷を実施する際のスクリーンの適切な選択によって、これらの様々な印刷パターンを達成することができる。また、本質的に継ぎ目のない特性を提供するために、様々な印刷工程の間に形成された板を、相互に十分近づけて配置することができる。
【0041】
本発明の別の好ましい特徴は、手袋組立体が魅力的だと考えられることである。手袋の布地基材と合う、もしくは対比して引き立たせるように、板に色をつけることができる。また、魅力的なパターンで板を配列することができる。また、装着された板の小さく、さらに個別的な特徴のため、イメージもしくは文字を形成するように、板のパターンおよび/または色を選択することが可能である。また、装着された板を断熱となるように作製することができる。
【0042】
本明細書に記載されている手袋と関連して使用することができる保護材料および保護材料の製造方法の様々な態様が以下に記載されている。2000年7月6日に出願された「SUPPLE PENETRATION RESISTANT FABRIC AND METHOD OF MAKING」というタイトルの共有の米国特許第6,962,739号明細書、2001年12月21日出願された「PENETRATION RESISTANT FABRIC WITH MULTIPLE LAYER GUARD PLATE ASSEMBLIES AND METHOD OF MAKING THE SAME」というタイトルの米国特許第7,018,692号明細書、2003年12月12日に出願された、シリアスナンバー10/734,686の「ABRASION AND HEAT RESISTANT FABRICS」というタイトルの米国特許出願公開第20040192133号明細書、2004年11月3日に出願された、シリアスナンバー10/980,881の「SUPPLE PENETRATION RESISTANT FABRIC AND METHOD OF MAKING」というタイトルの米国特許出願公開第20050170221号明細書、および2004年11月3日に出願された、シリアスナンバー10/887,005の「FLAME RETARDANT AND CUT RESISTANT FABRIC」というタイトルの米国特許出願公開第20050009429号明細書。これら全てはそっくりそのまま引用することによって本明細書に組み込まれる。これらの特許文書に示された、板の印刷方法ならびに板の配置、寸法および他の特徴を本明細書に記載された発明の中に組み入れることができる。
【0043】
本発明は、好ましい態様に関して記載されてきたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、形式および詳細について変形してもよいことを認識するであろう。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、2007年6月6日に出願された、「Abrasion And Slash Resistant Knitted Gloves」というタイトルの米国仮特許出願第60/942,377号の利益を主張するものであり、それは、そっくりそのまま参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に編み手袋に関する。
【背景技術】
【0003】
粗いセメント、岩およびアスファルトなどの硬い物体の粗い表面に対して摩擦した場合、従来の布地は、容易にすり切れるか、または損傷を受けることが多い。比較的高い摩耗状態にさらされる場合、特に布地の表面上の糸および繊維は、摩擦を受けるか、質量を失うか、または摩擦熱の原因でさらに溶けてしまう傾向がある。
【0004】
ある摩耗用途のために、高性能の布地が開発されている。一つのアプローチは、高デニールの糸(たとえば、ナイロン、ポリエステルなど)を、しっかりと織るかまたは編んで布地にすることである。耐摩耗性を高めるために、熱可塑性コーティングを上記布地に塗布することができる。様々な高強度繊維(たとえば、Kevlar(登録商標)、PBO、はがね、ガラス、Dyneema(登録商標))が高性能布地に使用されることが時々ある。しかし、これらの高強度繊維はもろい傾向にあり、それゆえ、多くの用途で特別な摩耗性能と関連づけられない。
【0005】
さらに、現在の高性能もしくは耐摩耗性の布地の多くは、かさばり、堅く、そして高価である。その上、摩擦物体の多くは、硬いか、もしくは先のとがった特徴(たとえば、木の枝もしくは岩)を有し、布地を裂くことができ、破れもしくは穴あきによる損傷の原因となる。
【0006】
HDMは、SuperFabric(登録商標)ブランドの材料のシートを製造し販売し、その材料は、上にスクリーン印刷され、狭い間隔の幾何学的パターンの布地の表面に設置された硬い板の使用を通して、耐切創性および耐摩耗性を提供する。シートから、さいの目状にパーツを切り取り、そのパーツを縫うかくっつけるかして手袋にすることによって、この材料は手袋になる。その結果、優れた耐切創性および耐摩耗性を有する手袋になる。しかし、この手袋の製造方法は能率が悪い可能性がある。
【0007】
手袋は編み工程から作製されることが多い。グリップ特性を改善するために、ゴムドット(Rubber dot)が編み手袋上に印刷されることが時々ある。しかし、比較的柔らかい材料になるように、これらのドッドに使用される材料をわざわざ選択する。なぜならば、これにより、多くの用途についてグリップが最もよくなるからである。しかし、これらの柔らかいゴムドットは、もし、耐穴開け性もしくは耐切創性があったとしても、少ししかない。その上、柔らかいゴムドットを使用する場合、硬い摩擦物体がゴムドットの材料を切り込んだり損傷を与えたりする可能性のあるところで、実際の用途では、耐摩耗性は十分に改善されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は改良された保護編み手袋組立体である。本発明の一態様は編み手袋と、印刷された保護板の、同一平面上にない2つもしくは3つ以上のアレイを含む。その保護板は、所定のパターンで配置された、大きい方の寸法および小さい方の寸法を有しており手袋の表面と平行である領域を有する、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みであり、重なっていない硬い印刷されたポリマー材料部材である。保護板の大きい方の寸法の小さい方の寸法に対するアスペクト比が約3と1との間である。手袋組立体の全体の耐摩耗性が、保護板がない場合の編み手袋の耐摩耗性に比べて実質的に大きい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、本発明の一態様によるプリント保護板を有する編み手袋の等角投影図であり、概して、手のひら、親指に面している、人差し指の側面、および手袋における親指の二又表面部分を示す。
【図1B】図1Bは、図1Aに示された編み手袋の等角投影図であり、概して、手袋の手のひら側を示す。
【図1C】図1Cは、図1Aに示された編み手袋の等角投影図であり、概して、手袋の甲および親指の二又表面部分を示す。
【図2】図2A〜2Cは、手袋の可撓性のある編まれた基材に装着された六角形の板を含む保護材料の例の様々な図を示す。
【図3】図3は、手袋の可撓性のある編まれた基材に装着された、比較的狭い間隔で四角形および五角形の板を含む保護材料の例を示す。
【図4】図4は、手袋の可撓性のある編まれた基材に装着された、比較的広い間隔で四角形および五角形の板を含む保護材料の例を示す。
【図5】図5は、手袋の可撓性のある編まれた基材に装着された円形の板を含む保護材料の例を示す。
【図6A】図6Aは、手袋の編まれた基材に装着された保護板の側面図を示す。
【図6B】図6Bは、図6Aに示された材料の板の上面および基材を覆うエラストマーの層を有する本発明の態様を示す。
【図7A】図7Aは、人差し指と親指との間で図1Aに示された手袋の側面上に保護板のアレイを形成するために、本発明の一態様と関連して使用される第2の型の上面図を示す。
【図7B】図7Bは、図7Aに示された第2の型を超えた追加の保護範囲を備える別の第2の型を示す。
【図7C】図7Cは、図7Bに示された型を超えたさらに大きな保護範囲を備えるさらに別の型を示す。
【図8A】図8Aは、本発明と関連して使用できる編み手袋を示す。
【図8B】図8Bは、図7Aに示された型に取り付けられた図8Aの編み手袋を示す。
【図9】図9は、本発明と関連して使用できる手袋の型の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、本手袋組立体の一態様の正面図を示し、親指領域と人差し指領域との間の保護板2が見える。図1Aに示されているように、保護板2は、指の手のひら側を含む手袋組立体1の概して平らな手のひらを覆う。親指と人差し指との間の保護板2を有する手袋組立体1の部分は、実質的には、人差し指の側面上および人差し指と親指との間の二又である表面であり、それは、手袋組立体の手のひら上の保護板と、実質的に同一平面上ではなく、平行でもない。人差し指の側面上および親指の二又における保護板2の縁は、手のひら上の保護板の縁に近接して配置される。図1Bは、手袋組立体1の手のひら側を示す。図1Cは、手の甲の側面からの手袋組立体1を示す。親指および人差し指の側面上ならびに人差し指および親指の二又に保護板2のアレイが示されている。手袋組立体1の甲の上に、保護板2の別のアレイが示されている。親指および人差し指の側面上ならびに親指の二又における保護板2は、手袋組立体1の甲の上の保護板2と同一平面上ではなく、平行でもない。
【0011】
図2Aは、本発明の一態様による保護板2のアレイの一部の詳細図である。図に示されているように、複数の板2が、編み手袋の布地3に設置されている。板2は、図9に示すような、概して平面の型板50に編み手袋を被せた後、標準的なスクリーン印刷方法を用いて、編み手袋の布地3の外側の表面4上に印刷される。図9に示される型板50は、概して手の形をしており、図8Aに示されるような編み手袋3の手のひらおよび甲側の上に保護板2を印刷するための土台として使用することができる。手袋3が型にぴったりと合うように、型板50は選択される。保護板2を形成するための樹脂が、スクリーン印刷に適したレオロジーを有するように、かつ、保護特性を提供するのに適した硬化特性を有するように選択される。複数の板2は、手袋3の耐摩耗性、耐摩滅性および耐切創性を高める。また、くぎもしくは同じような寸法の部材による穴開けに対する手袋3の抵抗力が複数の板2により高められる。複数層の保護板2、もしくは保護板を有する複数層の布地基材を使用することにより、皮下注射針のような、より小さな直径の物体に対する耐穴開け性を高めることができる。たとえば、2つの手袋を取り出して、一方を広げて他方に被せることにより2層の手袋組立体を作ることができる。ぴったりと合い過ぎることによる過剰な伸びを防止するために、少し大きな外側層の手袋を使用することができる。同様に、3層もしくは4層以上も使用することができる。
【0012】
用途に応じて、耐摩耗性は、繰り返し着用されたり洗濯されたりする手袋の弱い強度の一般的なこすれから、たとえば、オートバイに乗っているときに保護するために摩耗する手袋の場合などの強い強度の摩耗(重い荷重および/または速い速度)へ及ぶ。本発明の布地は、耐熱性となることができ、そのことは比較的耐熱性および断熱性がある布地を含むことを意味することが留意される。
【0013】
本発明で行ったように、耐切創性板2を手袋3に加えることは、実質的に、耐切創性および他の機械的性質を改善するであろう。板2を構成するために使用される樹脂に、セラミックビーズもしくはガラスビーズなどの硬いフィラーを加えることによって、耐切創性をさらに増加させることができる。また、手袋の全体の重さと耐切創性の望ましいレベルとの間のバランスがとれるように、板の厚みを調節することができる。
【0014】
本発明は、SuperFabric(登録商標)シートを手袋にすることに関連する加工費なしで、SuperFabric(登録商標)技法の本質的な特徴を組み入れた手袋を作るもう一つの方法である。これらの手袋は、完成した、編まれたかもしくは織られた手袋3の表面に、保護板2を直接印刷することによって作製される。結果として得られた手袋組立体1は、SuperFabric(登録商標)の当て布に縫い込むことに関連する余分の費用なしで、SuperFabric(登録商標)シートから作製された手袋に匹敵する耐摩耗性を有する。ある態様では、編み手袋の伸縮性が原因で耐切創性が少々減少するかもしれないが、編まれた基材によって与えられるこの伸縮性のため、本発明の手袋は、SuperFabric(登録商標)シートから作製された一般的な手袋と比較して、改善された快適性を示す。
【0015】
本発明の一態様では、板を切断することなしで刃物が手袋を切断することが起こりそうもない、もしくは不可能であるほど十分に狭い間隔を有する耐切創性板2を使用する。別の態様では、耐摩耗板2を使用し、これらは、手袋の耐用年数を劇的に改善することができる。さらに、もし望むのであれば、グリップ特性を高めるために、比較的柔らかいドット(不図示)を耐切創性板2の上面に印刷することができる。または、その代わりに、板2を覆ってディップコーティングを適用することができる。しかし、ある用途の場合、硬い板2の表面特性が好ましい場合がある。
【0016】
本発明の一態様では、編み手袋3の布地はナイロンである。別の態様では、ポリエステル、アラミド、超高分子量ポリエチレンもしくはこれらの材料の混合物を使用する。さらに別の態様では、主布地は、アラミドおよび細いスチールワイヤーの混合物を含む。
【0017】
図3,4,5は、板2について別の形状を説明する。図3は、五角形および正方形を有するパターンを示す。図4は、より広い間隔を有することを除いて、同様なパターンを示す。図4における複数の板2間の間隔5は、刃物が保護板2を切断することなしで手袋3を相当な距離貫くことができない程十分にさらに小さい。これにより、印刷された手袋組立体1は、耐摩耗性と同様に耐切創性を著しく高めることができた。図5は、円形の板を有する別の態様を示す。
【0018】
図2Aに示されるように、狭い間隔5を有する堅い板を有することにより、手袋組立体1の全体の伸縮性が減少する場合がある。しかし、印刷の実施の後、適切なサイズの手に合うように手袋組立体1を再設計することができる。だから、たとえば、印刷により堅い板2を有する手袋組立体1が作製された後に、大きなサイズの手のために元々設計された手袋3を、中間のサイズの手に合うようにすることができる。一態様では、手袋3のある領域のみを保護板2で覆い、被覆されない領域には、伸縮性がある。
【0019】
複数の板2は重なっておらず、編み手袋3の外側の表面4上に配列され設置される。板2は、複数の、近接する板2の間の間隔5を画定する。複数の間隔5は、連続しており相互に連結しており、それぞれの間隔は、手袋組立体1が伸縮性を維持するように選択された幅を有し、一方、同時に、物体が手袋の基材3と直接摩擦して劣化させるのを抑制する。様々な段階で手袋3を印刷することができる。たとえば、符号3などの手袋を符号50などの型板上に設置した後、個別の印刷工程の間、反対側の側面に板2を印刷することができる。手袋が伸縮しない状態である場合、複数の板2間の間隔5は、最も大きな板の寸法に比べて著しく小さくなり得る。
【0020】
図2A,3,4,5は、所望の耐摩耗、耐切創性および/または耐穴開け性のために選択することができる様々な板2の寸法およびパターンを説明する。板2は、(図2Bおよび図2Cに示される)およそ均一な厚みを有し、それは、ある態様では、4〜40ミル(mil)の範囲内である。別の態様では、板2は、4〜20ミルの範囲内のおよそ均一な厚みを有する。同一の一定の六角形として板2を形づくることができるが、板2を任意の一定もしくは不定の形状にすることができ、相互に同一もしくは同一でないようにすることができることに留意することは重要である。ある態様では、最大の寸法は、六角形を含むいずれの形状の場合でも、20〜200ミルの範囲内である。
【0021】
たとえば、板2は、正方形、長方形、8角形、もしくは不定の任意の多角形状を有することができる。また、板2は円形状、楕円形状、もしくは不定の曲線形状などの任意の曲線形状を有する。また、一定のもしくは不定の任意の多角形、および/または、一定もしくは不定の任意の曲線形状の複合形状もしくは組み合わせとして板2を具体化することができる。
【0022】
本発明の一態様では、保護板の小さい方の寸法に対する保護板2の大きい方の寸法の比は1と約3との間である。約3よりも大きな水平アスペクト比の結果、板にクラックが生じる傾向がより高くなり、板が布地に非常に強いストレスを生み出す傾向がより高くなり得るので、これは、好ましい範囲である。本発明の他の態様では、保護板2は、この範囲外の水平アスペクト比を有することができる。
【0023】
本発明の一態様では、保護板の厚みに対する保護板の大きい方の寸法の比は、3と約10との間である。約10よりも大きな垂直アスペクト比の結果、板にクラックが生じる傾向がより高くなる可能性があり、垂直アスペクト比が約3よりも小さくなると、スクリーン印刷の実施で製造することが難しくなる可能性があるので、これは好ましい範囲である。本発明の他の態様では、保護板2は、この範囲外の垂直アスペクト比を有することができる。
【0024】
板2の重なり合わない特徴により、複数の間隔5は連続的である。また、間隔5は、ほぼ均一もしくは不均一の幅を有することができる。しかし、概して間隔5の幅は約4〜20ミルの範囲内であり、それは、板の厚みの範囲と同じである。他の態様では、間隔5の幅および板の厚みの両方が、4〜40ミルのほぼ範囲内である。間隔5の幅および板の厚みについて同一の広がりを持つ範囲は、十分な柔軟性と、外部の力に対する十分な機械的強度(すなわち、耐摩耗性、耐摩滅性、耐切創性および耐引裂性)ならびに任意選択的な耐熱性の提供との間の適切な妥協である。本発明の他の態様は、これらの範囲外の寸法を有する。
【0025】
上記で留意したように、図9に示すような平らな手の型50に手袋を搭載することにより、編み手袋を印刷することができ、その後、フラットヘッドスクリーン印刷を実施しているときに、手袋の上に樹脂を印刷する。印刷を実施している間に型から抜けるのを防止するために、型50に留め金を適用することができる。印刷された手袋1を型から取り除くとき、保護板2が手袋の側面に存在するように、ある態様では、拡張された形状の型を選択する。図9に示される型50は、この目的のため、小指と親指の領域を広くしてきた。たとえば、図1Aは、小さな指(すなわち、小指)の側面に保護板2を有する編み手袋3を示し、保護板2は手の側面まで広がっている。これは、型50における広い領域の小指を使用することによって達成され、その小指により、布地の一部が、型の上面の位置に引き延ばされ、その結果、スクリーン印刷の工程の間に印刷される手袋3の側面を構成するようになる。保護板2が硬化する場合、型における広い領域を使用することによって、3D効果を与えることができる。なぜならば、これは、伸ばされた形状に一方の表面を保持する傾向にあるので、その結果、曲線形状になるからである。これは、丸くされる傾向にある指においてもっとも重要である。この3D成形により、手袋はより快適にフィットするようになる。
【0026】
本発明のある態様では、2回目、3回目、もしくは4回目以上のスクリーン印刷のステージもしくは工程を適用してもよい。図1A〜1Cで説明された手袋組立体1で示されたように、たとえば、甲の側もしくは手袋の甲側のいくつかの部分の上に保護板2を有することが望ましいことが時々ある。手袋3の甲が印刷された場合、単に型を180度回転させ、その後、2回目の印刷工程を適用するだけで、同じ型50の上で2回目の印刷を行うことができる。もし、第1の型50から手袋3を取り除き、2回目の印刷のために第2の型を設置する必要がある場合(たとえば、以下に記載するように、親指の領域と人差し指の領域との間を印刷する場合ならそうであろう)、第1の型から手袋を取り出す前に、保護板2の第1のアレイを予め硬化させることが一般に好ましい。その後、手袋3は、第2の型を覆って設置され、2回目のスクリーン印刷が適用されるであろう。
【0027】
図1A〜1Cに示された態様などのある態様では、親指と人差し指との間の手袋3の側面の領域は、2番目の印刷工程で印刷され、そこでは、手袋3の領域を伸ばすために適切に形作られた型が使用され、親指の領域から人差し指の領域にわたって引き延ばして平らな面にする。上記の型に搭載された手袋3をスクリーン印刷する場合、保護板の第2のアレイが作り出され、それは、第1の印刷された保護板のアレイと同一平面上にない。この目的のために使用することができる型52の例が図7Aに示されている。この型52の一方の端を手袋3の人差し指に挿入することができ、その後、手袋の親指を伸ばして型の他方の端に被せる。それによって、型52は平らな領域を提供し、そこでは、スクリーン印刷の実施を行うことができ、指の側面に設けられることになる保護板2を形成することができる。図8A,8Bは、型が搭載されていない手袋60と図7Aの型が搭載された手袋60とをそれぞれ示す。図8Bに示すように、型52は、親指の先端と人差し指の先端との間に、手袋60の手のひらと垂直な概して平面の表面を提供する。この型52について適切な形状は手袋のサイズで変わるであろう。一態様では、型52の形状は、丸まった端を有し、約6”〜12”の長さおよび約0.5”〜1.5”の幅を有する長方形形状である。他の態様(図7Bおよび7Cに示されている)では、この型(52’,52”)の形状は、親指の二又領域(親指と人差し指との間の領域)で、その領域で拡張された保護範囲を与えるためにふくれている。ある態様では、人差し指および親指が型を覆って型に合うようにするために手袋60を伸ばすことが難しい。このような場合、2つもしくは3つ以上の構成要素(不図示)で型を作製することができ、そのパーツを手袋の中に設置した後、それらを一緒に結合させることができる。同一平面上にない保護板2のアレイを有する手袋組立体1を製造するために、2回以上の印刷工程を使用する場合、それらの工程の後、それぞれ個別の印刷工程の間に形成された保護板を予め硬化させることができる。その後、最終の硬化工程の間で、保護板2を熱もしくはUV放射にさらすことができ、または別のやり方で硬化させることができる。
【0028】
親指から人差し指までの領域に保護板2を有する態様は図1A,1Cに示されている。これらの態様の保護板は、親指の二又領域に設けられている。しかし、他の態様では、親指と人差し指との間の全長さに保護板を拡張することができる。
【0029】
快適さを改善するために、平らな型(符号50および52など)の上で手袋を印刷し、平らな型の上にある間、樹脂を一部のみ硬化させ、その後、平らな型から手袋を取り除き、そして、板2を有する手袋の一部の所望の形状(たとえば、手の形状)にしたがった3D形状を有する型(不図示)に設けることによって、手袋組立体1に3D形状を与えることができる。少なくとも樹脂を完全に硬化させたとき、手袋は3D形状のいくらかを保持することができる。また、この3D効果は、手袋が3Dの型(不図示)の上にある間、ニトリル、ポリウレタン、もしくは何らかの他のエラストマーが手袋組立体1に塗布されるところのディッピングの実施を使用することによって作り出される。型の上にある間にエラストマーを硬化させることにより、手袋組立体1は3D形状を保持する。エラストマーが塗布されるところの態様では、ディッピングの実施の前もしくは後に、樹脂の最後の完全な硬化を行うことができる。図6Aは、基材3に装着された板2の側面図を示す。図6Bは、本発明のこの一態様の例として、板2の上面を覆って塗布されたエラストマー6の層を示す。
【0030】
摩耗は、複雑な現象もしくは作用であり、たとえば、摩擦する材料のタイプ、表面の特性、表面間の相対速度、潤滑油などによって影響を受ける。多くの様々な摩耗条件を反映して設計された、多くの標準化された摩耗試験が存在する。一つの典型的な試験はASTMD3884である。このテストでは、特定の表面特性を有する2つの丸い形状のホイールが圧力を加え、所与の速度と所定の加重(たとえば、1000gまで)下で試験試料の表面上を回転する。試験結果は、布地がすり切れて穴が開くサイクル数、もしくは、一定のサイクル数の後の布地の重量の減少として与えられる。
【0031】
不運にも標準化された摩耗試験は、試験布地に対して適用することができる制限された加重レベルおよび速度が原因で制限を受けることが多い。これらの制限が原因で、現実の世界の状態により近づけてシミュレートするために、他の試験が開発された。たとえば、試験の一つは、石の入った洗濯装置の中で連続的に手袋を洗濯することを含む。別の例では、オートバイの乗り手などによる摩擦に対して好適な手袋を試験するために、手袋でコンクリートの重りの周りを包み、速い車両から投げることができる。
【0032】
ある態様では、装着された板は、強化(enhancement)因子Fだけ、ベースとなる手袋布地の耐摩耗性および耐摩滅性を高める。強化因子Fは、編まれた布地の耐摩耗性および/または耐摩滅性に対する手袋の布地組立体の耐摩耗性および/または耐摩滅性の比率である。したがって、たとえば、可撓性のある基材の耐摩耗性がテーバー(Taber)試験で50サイクルであり、複合体の編み手袋組立体の耐摩耗性が500であると仮定すると、強化因子はF=10で与えられる。強化因子Fは、耐摩耗性および/または耐摩滅性に関係もしくは相互に関連するいずれの測定の比率となり得ることに留意される。
【0033】
強化因子は、様々な基材の布地、保護板の形状および厚み、間隔幅、板の直径もしくは最大寸法などの寸法の選択によって影響を受ける可能性がある。強化因子は、行われた様々な選択に基づいて、概して2から200の範囲である。他の態様では、強化因子は、3から100、3から10、10から50、および12から30の範囲にそれぞれなり得る。
【0034】
本発明は、編み手袋上に印刷されたゴム材料ドットを有する手袋などの知られている手袋を超える有利な点をたくさん提供する。本発明の主要な改善点の一つは、複数の板の間の間隔が最も大きな板の寸法に比べて小さいところの形状の使用から、耐摩耗性ならびに耐切創性および耐穴開け性の両方の点で増加することである。布地のより大きな領域が保護されるので、より小さな間隔を使用することにより、耐摩耗性が一般に高まるであろう。複数の板の間を直線が伸びることができない程、十分に小さな間隔を使用することは、耐摩耗性および耐切創性の両方を改善する。なぜならば、任意の鋭い刃先が布地を貫通する機会を減少させることになるからである。穴を開けそうな物体よりも小さな間隔を使用することは、それらの物体に対する耐穴開け性を提供することになる。複数の層の手袋を使用することは、耐穴開け性をさらに高めることができる。本発明のある態様では、手袋が伸縮しない場合、間隔幅は、もっとも大きな板の寸法の大きさの4パーセントと75パーセントとの間である。他の態様では、手袋が伸縮しない場合、間隔幅は、もっとも大きな板の寸法の大きさの4パーセントと20パーセントとの間である。本発明の他の態様では、その寸法は、これらの範囲の外側になり得る。
【0035】
本発明の第2の主要な有利な点は、耐切創性板の使用である。本発明で使用された板は、板を構成するために使用された樹脂の本来の硬さが原因の、もしくは樹脂に添加された硬いフィラーが原因の(もしくは、両方の効果の組み合わせから)切創保護を提供する。耐切創性板は、岩の鋭い端が、たとえば手袋を切るのを防止することになるので、耐切創性板を使用することにより、現実の耐摩耗性ならびに耐切創性が増加する。
【0036】
本発明では、板の材料が、濡れた形態で塗布され、少し浸透し、外側の表面4に設けられる。板材料には、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂および他の同じような基材などの樹脂がある。そのような材料は、熱もしくは紫外線により硬化する必要があり得る。
【0037】
板の材料は、固体や硬くなり得る、エポキシもしくはフェノール系樹脂などの樹脂となり得る。板の材料は、約100kgf/cm2よりも高い引張り強度を有する(一般にエポキシの引張り強度は、硬化した場合、約700kgf/cm2)ことが一般に好ましい。また、板の硬さは、およそショア(Shore)D10よりも高いことが好ましい。ある態様では、耐摩耗性、耐摩滅性および/または耐切創性を増加させるために、適切なときに、添加物を樹脂に加えることができる。添加物の例には、アルミナもしくはチタンの粒子またはセラミックもしくはガラスのビーズがある。また、樹脂材料は、それらの耐熱特性に対してとくに選択され得る。
【0038】
本発明のある態様では、印刷の実施もしくはディップコーティングによって、印刷された手袋の外側の表面に、板の材料による追加の層を適用することができる。改善されたグリップ特性のため、ポリウレタン、ニトリル、シリコーン、プラスチゾルもしくは他のエラストマー材料となるように、この材料を選択することができる。ある態様では、ベースとなる手袋層の下にある編まれた布地との結合を形成するために、材料が保護板の複数の間隔の間に置かれる。一態様では、10ミルと500ミルとの間の直径を有し、10ミルと500ミルとの間の間隔を有するドットとしてのエラストマー材料の直径が適用された。
【0039】
本発明の一態様では、板の最大寸法が約20〜200ミルの範囲内になるように、板の直径は選択される。別の態様では、隣接した板の間に4〜100ミルの範囲内の間隔幅を有するあるパターンに配列された、等辺の六角形などの多角形、曲線の形状もしくは複合形状として板が形作られる。別の態様では、板の厚みは、4〜100ミルの範囲内である。他の態様では、板の厚みおよび間隔幅は、4〜20ミルの範囲内である。本発明の他の態様は他の寸法および特徴を有する。
【0040】
手袋の表面の一部もしくはより全体の摩耗および/または抵抗を高めることが望ましい場合が時々ある。また、指領域もしくは手のひら領域などの手袋における選択された位置に、摩耗および/または切創の増大を制限することができる。スクリーン印刷を実施する際のスクリーンの適切な選択によって、これらの様々な印刷パターンを達成することができる。また、本質的に継ぎ目のない特性を提供するために、様々な印刷工程の間に形成された板を、相互に十分近づけて配置することができる。
【0041】
本発明の別の好ましい特徴は、手袋組立体が魅力的だと考えられることである。手袋の布地基材と合う、もしくは対比して引き立たせるように、板に色をつけることができる。また、魅力的なパターンで板を配列することができる。また、装着された板の小さく、さらに個別的な特徴のため、イメージもしくは文字を形成するように、板のパターンおよび/または色を選択することが可能である。また、装着された板を断熱となるように作製することができる。
【0042】
本明細書に記載されている手袋と関連して使用することができる保護材料および保護材料の製造方法の様々な態様が以下に記載されている。2000年7月6日に出願された「SUPPLE PENETRATION RESISTANT FABRIC AND METHOD OF MAKING」というタイトルの共有の米国特許第6,962,739号明細書、2001年12月21日出願された「PENETRATION RESISTANT FABRIC WITH MULTIPLE LAYER GUARD PLATE ASSEMBLIES AND METHOD OF MAKING THE SAME」というタイトルの米国特許第7,018,692号明細書、2003年12月12日に出願された、シリアスナンバー10/734,686の「ABRASION AND HEAT RESISTANT FABRICS」というタイトルの米国特許出願公開第20040192133号明細書、2004年11月3日に出願された、シリアスナンバー10/980,881の「SUPPLE PENETRATION RESISTANT FABRIC AND METHOD OF MAKING」というタイトルの米国特許出願公開第20050170221号明細書、および2004年11月3日に出願された、シリアスナンバー10/887,005の「FLAME RETARDANT AND CUT RESISTANT FABRIC」というタイトルの米国特許出願公開第20050009429号明細書。これら全てはそっくりそのまま引用することによって本明細書に組み込まれる。これらの特許文書に示された、板の印刷方法ならびに板の配置、寸法および他の特徴を本明細書に記載された発明の中に組み入れることができる。
【0043】
本発明は、好ましい態様に関して記載されてきたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、形式および詳細について変形してもよいことを認識するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
編み手袋と、
所定のパターンで配置され、大きい方の寸法および小さい方の寸法を有しており前記手袋の表面と平行である領域を有する、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みの、重なっていない硬い印刷されたポリマー材料保護板の同一平面上にない2つもしくは3つ以上のアレイとを含み、
前記大きい方の寸法の前記小さい方の寸法に対するアスペクト比が約3と1との間であり、
前記手袋組立体の全体の耐摩耗性が、前記保護板がない場合の編み手袋の耐摩耗性に比べて実質的に大きい保護編み手袋組立体。
【請求項2】
前記手袋組立体が、
前記手袋の手のひら側の少なくとも一部の上に保護板の第1のアレイと、
前記手袋の1本もしくは2本以上の指の側面の少なくとも一部の上に保護板の第2のアレイとを含む請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項3】
前記保護板の第2のアレイが、前記手袋の親指および人差し指の側面の少なくとも一部の上にある請求項2の保護編み手袋組立体。
【請求項4】
前記手袋の前記親指と前記人差し指との間の二又の少なくとも一部の上に保護板の第3のアレイをさらに含む請求項3の保護編み手袋組立体。
【請求項5】
前記手袋の甲の少なくとも一部の上に保護板の第4のアレイをさらに含む請求項4の保護編み手袋組立体。
【請求項6】
前記保護板が、伸張された長さの直線間隔部分のない所定のパターンで配置され、
前記保護板の前記ポリマー材料が、前記保護板の領域にわたって前記編み手袋に部分的にしみ込み、前記保護板と前記手袋との間の機械的結合を与え、
隣接する保護板間の前記間隔の幅が、前記小さい方の寸法の長さよりも実質的に小さく、
前記保護板の厚みが、前記小さい方の寸法の前記長さよりも実質的に小さい請求項5の保護編み手袋組立体。
【請求項7】
前記保護板が、伸張された長さの直線間隔部分のない所定のパターンで配置され、
前記保護板の前記ポリマー材料が、前記保護板の領域にわたって前記編み手袋に部分的にしみ込み、前記保護板と前記手袋との間の機械的結合を与え、
隣接する保護板間の前記間隔の幅が、前記小さい方の寸法の長さよりも実質的に小さく、
前記保護板の厚みが、前記小さい方の寸法の前記長さよりも実質的に小さい請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項8】
保護板間の前記間隔の幅が、約50ミルよりも小さい請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項9】
前記保護板の前記大きい方の寸法が約200ミルよりも小さい請求項8の保護編み手袋組立体。
【請求項10】
保護板の前記アレイの少なくとも一部の上に、エラストマーのドットをさらに含む請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項11】
保護板の前記アレイの少なくとも一部の上にエラストマー材料の連続的な層をさらに含む請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項12】
保護板の前記同一平面上にないアレイの少なくとも2つが平行でないアレイである請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項13】
編み手袋の第1の部分を、型の概して平らな表面の上に設置するステップ、
所定のパターンで配置された、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みの、重なっていないポリマー材料保護板の第1のアレイを、前記編み手袋の前記第1の部分の上にスクリーン印刷するステップ、
前記第1の部分と同一平面上にない前記編み手袋の第2の部分を、型の概して平らな表面の上に設置するステップ、および
所定のパターンで配置された、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みの、重なっていないポリマー材料保護板の第2のアレイを、前記編み手袋の前記第2の部分の上にスクリーン印刷するステップを含み、
保護板の前記第2のアレイが、保護板の前記第1のアレイと同一平面上ではなく、
前記ポリマー材料を硬化させて前記保護板を硬くするステップをさらに含む保護編み手袋組立体の作製方法。
【請求項14】
編み手袋の第1の部分を型の上に設置する前記ステップが、前記手袋の手のひら側の少なくとも一部を型の上に設置するステップを含み、
前記編み手袋の第1の部分の上にスクリーン印刷する前記ステップが、前記型の上の前記編み手袋の手のひら側の少なくとも一部の上に、保護板の前記第1のアレイをスクリーン印刷するステップを含み、
前記編み手袋の第2の部分を型の上に設置する前記ステップが、1本もしくは2本以上の指の側面の少なくとも一部を型の上に設置するステップを含み、
前記編み手袋の第2の部分の上にスクリーン印刷する前記ステップが、前記型の上の前記手袋の指の側面の少なくとも一部の上に、保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷するステップを含む請求項13の方法。
【請求項15】
1本もしくは2本以上の指の側面の少なくとも一部を型の上に設置する前記ステップが、前記親指と人差し指との間に型を設置し、その結果、前記親指および人差し指の前記側面の少なくとも一部が前記型の平らな表面の上になるステップを含み、
保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷する前記ステップが、前記親指および人差し指の前記側面の少なくとも一部の上に保護板をスクリーン印刷するステップを含む請求項14の方法。
【請求項16】
保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷する前記ステップが、前記親指と前記人差し指との間の二又の少なくとも一部の上に保護板をスクリーン印刷するステップを含む請求項15の方法。
【請求項17】
前記手袋の甲の少なくとも一部を型の上に設置するステップ、および
所定のパターンで配置された、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みの、重なっていないポリマー材料保護板のアレイを、前記手袋の前記甲の少なくとも一部の上にスクリーン印刷するステップをさらに含む請求項16の方法。
【請求項18】
前記ポリマー材料を硬化させる前記ステップが、
保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷する前に、保護板の前記第1のアレイの前記ポリマー材料を部分的に硬化させるステップ、および
保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷した後、前記第1および第2のアレイの前記ポリマー材料を完全に硬化させるステップを含む請求項13の方法。
【請求項19】
前記保護板を最終的に硬化させる前に、前記保護板を有する前記手袋の少なくとも一部を3次元の型の上に設置するステップをさらに含む請求項13の方法。
【請求項20】
保護板の前記アレイの少なくとも一部を覆って、エラストマー材料を塗布するステップをさらに含む請求項13の方法。
【請求項1】
編み手袋と、
所定のパターンで配置され、大きい方の寸法および小さい方の寸法を有しており前記手袋の表面と平行である領域を有する、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みの、重なっていない硬い印刷されたポリマー材料保護板の同一平面上にない2つもしくは3つ以上のアレイとを含み、
前記大きい方の寸法の前記小さい方の寸法に対するアスペクト比が約3と1との間であり、
前記手袋組立体の全体の耐摩耗性が、前記保護板がない場合の編み手袋の耐摩耗性に比べて実質的に大きい保護編み手袋組立体。
【請求項2】
前記手袋組立体が、
前記手袋の手のひら側の少なくとも一部の上に保護板の第1のアレイと、
前記手袋の1本もしくは2本以上の指の側面の少なくとも一部の上に保護板の第2のアレイとを含む請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項3】
前記保護板の第2のアレイが、前記手袋の親指および人差し指の側面の少なくとも一部の上にある請求項2の保護編み手袋組立体。
【請求項4】
前記手袋の前記親指と前記人差し指との間の二又の少なくとも一部の上に保護板の第3のアレイをさらに含む請求項3の保護編み手袋組立体。
【請求項5】
前記手袋の甲の少なくとも一部の上に保護板の第4のアレイをさらに含む請求項4の保護編み手袋組立体。
【請求項6】
前記保護板が、伸張された長さの直線間隔部分のない所定のパターンで配置され、
前記保護板の前記ポリマー材料が、前記保護板の領域にわたって前記編み手袋に部分的にしみ込み、前記保護板と前記手袋との間の機械的結合を与え、
隣接する保護板間の前記間隔の幅が、前記小さい方の寸法の長さよりも実質的に小さく、
前記保護板の厚みが、前記小さい方の寸法の前記長さよりも実質的に小さい請求項5の保護編み手袋組立体。
【請求項7】
前記保護板が、伸張された長さの直線間隔部分のない所定のパターンで配置され、
前記保護板の前記ポリマー材料が、前記保護板の領域にわたって前記編み手袋に部分的にしみ込み、前記保護板と前記手袋との間の機械的結合を与え、
隣接する保護板間の前記間隔の幅が、前記小さい方の寸法の長さよりも実質的に小さく、
前記保護板の厚みが、前記小さい方の寸法の前記長さよりも実質的に小さい請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項8】
保護板間の前記間隔の幅が、約50ミルよりも小さい請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項9】
前記保護板の前記大きい方の寸法が約200ミルよりも小さい請求項8の保護編み手袋組立体。
【請求項10】
保護板の前記アレイの少なくとも一部の上に、エラストマーのドットをさらに含む請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項11】
保護板の前記アレイの少なくとも一部の上にエラストマー材料の連続的な層をさらに含む請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項12】
保護板の前記同一平面上にないアレイの少なくとも2つが平行でないアレイである請求項1の保護編み手袋組立体。
【請求項13】
編み手袋の第1の部分を、型の概して平らな表面の上に設置するステップ、
所定のパターンで配置された、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みの、重なっていないポリマー材料保護板の第1のアレイを、前記編み手袋の前記第1の部分の上にスクリーン印刷するステップ、
前記第1の部分と同一平面上にない前記編み手袋の第2の部分を、型の概して平らな表面の上に設置するステップ、および
所定のパターンで配置された、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みの、重なっていないポリマー材料保護板の第2のアレイを、前記編み手袋の前記第2の部分の上にスクリーン印刷するステップを含み、
保護板の前記第2のアレイが、保護板の前記第1のアレイと同一平面上ではなく、
前記ポリマー材料を硬化させて前記保護板を硬くするステップをさらに含む保護編み手袋組立体の作製方法。
【請求項14】
編み手袋の第1の部分を型の上に設置する前記ステップが、前記手袋の手のひら側の少なくとも一部を型の上に設置するステップを含み、
前記編み手袋の第1の部分の上にスクリーン印刷する前記ステップが、前記型の上の前記編み手袋の手のひら側の少なくとも一部の上に、保護板の前記第1のアレイをスクリーン印刷するステップを含み、
前記編み手袋の第2の部分を型の上に設置する前記ステップが、1本もしくは2本以上の指の側面の少なくとも一部を型の上に設置するステップを含み、
前記編み手袋の第2の部分の上にスクリーン印刷する前記ステップが、前記型の上の前記手袋の指の側面の少なくとも一部の上に、保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷するステップを含む請求項13の方法。
【請求項15】
1本もしくは2本以上の指の側面の少なくとも一部を型の上に設置する前記ステップが、前記親指と人差し指との間に型を設置し、その結果、前記親指および人差し指の前記側面の少なくとも一部が前記型の平らな表面の上になるステップを含み、
保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷する前記ステップが、前記親指および人差し指の前記側面の少なくとも一部の上に保護板をスクリーン印刷するステップを含む請求項14の方法。
【請求項16】
保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷する前記ステップが、前記親指と前記人差し指との間の二又の少なくとも一部の上に保護板をスクリーン印刷するステップを含む請求項15の方法。
【請求項17】
前記手袋の甲の少なくとも一部を型の上に設置するステップ、および
所定のパターンで配置された、小さくて、規則的に間隔が開けられ、概して均一な厚みの、重なっていないポリマー材料保護板のアレイを、前記手袋の前記甲の少なくとも一部の上にスクリーン印刷するステップをさらに含む請求項16の方法。
【請求項18】
前記ポリマー材料を硬化させる前記ステップが、
保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷する前に、保護板の前記第1のアレイの前記ポリマー材料を部分的に硬化させるステップ、および
保護板の前記第2のアレイをスクリーン印刷した後、前記第1および第2のアレイの前記ポリマー材料を完全に硬化させるステップを含む請求項13の方法。
【請求項19】
前記保護板を最終的に硬化させる前に、前記保護板を有する前記手袋の少なくとも一部を3次元の型の上に設置するステップをさらに含む請求項13の方法。
【請求項20】
保護板の前記アレイの少なくとも一部を覆って、エラストマー材料を塗布するステップをさらに含む請求項13の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公表番号】特表2010−529320(P2010−529320A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511371(P2010−511371)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/066146
【国際公開番号】WO2008/154398
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509238133)ハイアー ディメンション マテリアルズ,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/066146
【国際公開番号】WO2008/154398
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509238133)ハイアー ディメンション マテリアルズ,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]