説明

耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤及びそれを用いた耐水性の古紙又は損紙を離解する方法

【課題】水分の出る野菜等の収納に用いられるダンボールの中芯等に使用されるエポキシ樹脂等で処理された耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤及びそれを用いた耐水性の古紙又は損紙を離解する方法を提供する。
【解決手段】その離解促進剤(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコール、(B)ポリプロピレングリコール、(C)酢酸及び(D)界面活性剤を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤及びそれを用いた耐水性の古紙又は損紙を離解する方法に関する。
より詳しくは、水分の出る野菜等の収納に用いられるダンボールの中芯等に使用されるエポキシ樹脂等で処理された耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤及びそれを用いた耐水性の古紙又は損紙を離解する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から水分の出る野菜等の収納に用いられるダンボール等の容器においては、耐水性の製品が求められており、そのために紙製品の湿潤強度を向上させるためにカチオン性熱硬化性樹脂を用いて処理することが行われている。
その際に用いる樹脂としては、安価な尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等が多用されていたが、ホルムアルデヒドが有害物質として規制されるようになった結果、その後はエポキシ樹脂による処理が多く使用されるようになっている。
【0003】
ダンボール等の紙製品にエポキシ樹脂等で樹脂処理する方法としては、表面コート法と内填法とがある。このように樹脂処理された紙製品も使用後は省資源あるいは環境保護等の視点からそのまま破棄処理することは困難であり、古紙の回収、再利用はますます重視されているのが、我が国をはじめとして世界における趨勢である。
このような古紙を再利用する際には、離解促進剤が含有されている離解液を用いて、その離解液中で古紙をパルパー、ニーダあるいはディスパーサ等により機械力を加えて紙(パルプ)を微細化して解離することになる。
【0004】
その際に用いる離解促進剤としては、古くはスルファミン酸、重合リン酸塩等が知られており、硫酸バンドあるいは蓚酸等も処理した樹脂によっては離解能力があることも知られている。また、その後塩素化シアヌル酸誘導体による処理が耐水性の紙製品の離解に好適であるとの提案が(特許文献1)なされており、さらには次亜塩素酸ソーダと亜塩素酸ソーダを用いる方法も提案されている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開昭57−133293号公報
【特許文献2】特公平3−66434号公報
【特許文献3】特開2008−169498号公報
【0006】
そして、最近ではダンボール等の板紙の古紙の離解促進剤として尿素を必須成分として用いることも提案されている(特許文献3)。
前記のとおりではあるものの、それらの離解性能は十分なものとは言い難く、離解促進剤の使用量も多くなり、経済性及び環境保護の視点から更なる性能向上が求められているところである。さらに、特許文献1の方法においては塩素化シアヌル酸誘導体、特許文献2の方法では次亜塩素酸ソーダと亜塩素酸ソーダを用いており、その結果ハロゲンガスの発生を伴い、それによる離解装置、その周辺装置の腐食の問題、従業員及び周辺住民の健康問題、並びに環境保護の問題等も配慮する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願人企業は、凝集沈殿装置,活性汚泥装置,脱窒装置,脱リン装置等の廃水処理装置、超純水装置,濾過装置,逆浸透膜装置,イオン交換基装置,精密濾過装置等の用水処理装置、軟水装置,純水装置,復水脱塩装置,各種熱交換器等のボイラ水処理装置、及び高分子凝集剤,中和剤,分散剤等の用水廃水処理、製缶剤,脱酸素剤、スケール分散剤,スケール溶解除去剤等のボイラ水処理剤、スライムコントロール剤,スケール分散剤,防腐・防塵剤,消泡剤,工程内水処理等の紙・パルプ用薬剤等の各種用水・廃水処理等に関連する各種水処理技術を手がけており、その結果本出願人企業に所属する本発明者らも、先のような現状を見聞する機会があり、また、水処理に関連する事項であることから、本出願人企業に所属する本発明者らも関心を持ち、その解決に鋭意努めた。
【0008】
その際には、前記した各種先行技術に関しまず追試をし、それら離解促進剤の離解性能を具体的に評価すると同時に、より性能の優れた離解促進剤を開発すべく、多くの物質を用いて多くの組み合わせでダンボールの耐水性中芯に対して離解促進試験をし、その結果偶然にも、4成分による組み合わせにより優れた離解性能が発現することを見出すことができた。
したがって、本願発明は、エポキシ樹脂等の各種耐水性向上用樹脂で処理された古紙又は損紙の離解促進剤及びそれを用いた耐水性の古紙又は損紙を離解する方法を提供することを発明の解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤及び耐水性の古紙又は損紙を離解する方法を提供するものであり、その離解促進剤は、(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコール、(B)ポリプロピレングリコール、(C)酢酸及び(D)界面活性剤を含有することを特徴とするものである。
【0010】
さらに、その離解促進剤は、(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコールの含有量が30〜70質量%、(B)ポリプロピレングリコールの含有量が3〜12質量%、(C)酢酸の含有量が1〜10質量%、及び(D)界面活性剤の含有量が25〜50質量%であることが好ましい。
【0011】
また、界面活性剤はポリオキシエチレンモノレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドであることが好ましく、さらには、その離解促進剤は、耐水性の古紙又は損紙がエポキシ樹脂を含有又はコートされているものに好ましく用いることができる。
さらに、この離解促進剤を離解液中に混合する際には離解液1L当たり100〜1000mg、すなわち100〜1000mg/Lで配合するのがよく。好ましくは250〜500mg/Lがよい。
【0012】
そして、耐水性の古紙又は損紙を離解する方法は、(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコール、(B)ポリプロピレングリコール、(C)酢酸及び(D)界面活性剤を含有する分散液を離解液に混合し、その離解液中で耐水性の古紙又は損紙に機械力を加えて処理することを特徴とするものであり、前記離解液中に前記分散液を混合する際には100〜1000mg/Lで配合するのがよく、好ましくは250〜500mg/Lがよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、従前の離解促進剤では充分な離解できなかった耐水性の古紙又は損紙、特にエポキシ樹脂で処理された耐水性の古紙又は損紙についても、満足の得れる離解を行うことが可能となった。
また、従前の離解方法のようにハロゲンガスの発生を伴う離解促進剤を使用していないことから、それによる離解装置、その周辺装置の腐食の問題、従業員及び周辺住民の健康問題、並びに環境保護の問題等も配慮する必要のないものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、前述したとおり耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤及び耐水性の古紙又は損紙を離解する方法を提供するものであり、前記のとおりの優れた効果を奏するものである。
以下において、それらの発明に関し、発明を実施するための最良の形態を含む各種実施の態様を説明するが、本発明は特許請求の範囲の記載によって特定されるものであり、それらの実施の態様によって何ら限定されるものではない。
本発明の離解促進剤は、(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコール、(B)ポリプロピレングリコール、(C)酢酸及び(D)界面活性剤を含有することを特徴とするものである。
【0015】
その(A)のジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコールは、ポリプロピレングリコールと高級脂肪酸であるジステアリン酸又はジエリオステアリン酸とのエステルであって市販されており、本発明においては前記エステルを配合することが大きな特色となっている。
すなわち、前記以外の各種高級脂肪酸とポリプロピレングリコールとのエステルについても離解促進試験を行ったが、同じ高級脂肪酸のエステルであるにもかかわらず前記(A)以外のエステルの場合には充分な離解性能は発現しなかった。
【0016】
また、(A)のエステルを形成するポリプロピレングリコールについては、各種分子量のものが市販されており、分子量は関しては特に制限されることはないが、200〜4000程度のものが好ましい。
さらに、(A)のジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコールの配合量に関しては30〜70質量%が好ましい。
【0017】
そして、(B)ポリプロピレングリコールについても、各種分子量のものが市販されており、その分子量に関しては特に制限されることはないが、150〜500のものが好ましい。
その離解促進剤中の配合量に関しては3〜12質量%が好ましい。
なお、前記(B)の分子量に関しては(A)のエステルを形成するポリプロピレングリコールの分子量との関係に関しては、特段配慮する必要はない。
【0018】
(C)酢酸については、離解液中で酢酸が所定の濃度を発現することができる限り、特に制限されることなく各種市販品が使用でき、離解促進剤中の配合量に関しては1〜10質量%が好ましい。なお、前記配合量は氷酢酸(純度98%以上)を用いた場合の量であり、それより希薄な酢酸を用いた場合にはその濃度に応じて配合量が当然増加することになる。また、前記所定の濃度とは氷酢酸を1〜10質量%で離解促進剤中に配合し、その離解促進剤を離解液中に100〜1000mg/Lの量で混合する際に発現し得る範囲の濃度である。
【0019】
(D)界面活性剤については、(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコール及び(C)酢酸を分散することができる限り制限されることなく各種のものが使用できる。
例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれもが特に制限されることなく使用でき、それら界面活性剤の離解促進剤中の配合量に関しては25〜50質量%がよい。
【0020】
それぞれの界面活性剤に関し、具体的物質名を例示すると以下の以下のとおりである。 アニオン界面活性剤については、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩あるいはアルキル硫酸エステル塩等が例示できる
さらに、カチオン界面活性剤については、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルポリオキシエチレンアミンあるいは塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等が例示できる
【0021】
ノニオン界面活性剤については、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンモノレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステルあるいはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が例示できる。
さらに、両性界面活性剤には、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインあるいは2−アルキルN−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリウムベタイン等が例示できる。
【0022】
それらの中で好ましい界面活性剤を具体的に示すと、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンモノレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルあるいはアルキルアミドプロピルベタイン等が例示できる。
【0023】
本発明では、離解促進剤は離解液と混合して使用されるが、その際の混合量は離解液1リットル(L)当たり100〜1000mg、すなわち100〜1000mg/Lで配合するのがよく。好ましくは250〜500mg/Lがよい。
なお、その離解液には通常水を用い、それに離解促進剤を添加して混合する。
【0024】
本発明の離解促進剤は(A)(B)(C)(D)の4成分を1つの容器に収納し、一液タイプで利用者に提供することが好ましいが、(A)(B)(D)を1つの容器に収納し、(C)は別容器に収納して2液タイプで利用者に提供することも可能である。
また、離解を実施する利用現場でそれぞれの成分を購入して、そこで調製した後に離解液に添加して利用することも可能である。さらに、手間が掛かるが、離解液に4成分を添加し、その離解液中で分散混合して利用することも可能である。
【0025】
本発明の離解促進剤が処理対象とする耐水性の古紙又は損紙については、耐水処理された古紙又は損紙が含有されていればで特に制限されることなく、各種のものが処理可能であり、耐水処理された古紙又は損紙と、耐水処理されていない古紙又は損紙とが混在していても勿論処理可能である。
【0026】
また、本発明の離解促進剤はエポキシ樹脂で耐水処理された耐水性の古紙又は損紙を離解処理する際に特に好適に使用できるが、勿論エポキシ樹脂以外の尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂あるいはメラミン樹脂等で耐水処理された古紙又は損紙でも十分に離解処理することができ、勿論各種の樹脂で耐水処理された古紙又は損紙が混在していてもを十分に離解処理することができる。
【0027】
その離解促進剤を用いて耐水性の古紙又は損紙を離解するには、離解液中で機械力を加えて処理するが、その際の解離装置としては離解を促進することが出来る装置であれば特に制限されることなく各種装置が使用でき、それにはパルパー、プレサファイナーあるいはライムボトムビン等が例示できるが膨潤離解促進性能の点でパルパーが好ましい。
また、その際における離解処理は、古紙等を離解液中に投入後直ちに実施してもよいし、それが離解液に浸漬された後に行っても良い。
【実施例1】
【0028】
以下において、本発明の実施組成例及びそれと対比する比較組成例の離解促進剤を作成し、それらを用いた離解性能試験を行った。
その実施組成例を表1、それと対比する比較組成例を表2に示す共に、それらを用いた離解性能試験結果を表3に示す。
【0029】
実施組成例については表1に示すとおり18の組成例があり、いずれの場合においても(A)(B)(C)(D)の4成分が含有されている。
それに対して、比較組成例については表2に示すとおり13の組成例があり、そのうち12までの組成例の場合には前記4成分のうちいずれかの成分が配合されておらず、欠けたものなっている。なお、比較組成例13は特許文献1に記載された塩素化シアヌル酸誘導体の一つであるジクロロイソシアヌル酸を離解促進剤とした場合の組成例である。
【0030】
それら実施組成例及び比較組成例に用いた試薬は下記のとおりである。
(A)成分
・ジステアリン酸ポリプロピレングリコール(日油株式会社製、ユニセーフNKL−9520)
・ジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコール(日油株式会社製、ユニセーフ)
(B)成分
ポリプロピレングリコール(日油株式会社製、ユニオールD−250)
(C)成分
酢酸(林純薬工業株式会社製、特級グレード、濃度99.7%)
(D)成分:界面活性剤
・ポリオキシエチレンモノオレート(日油株式会社製、ノニオンO−4)
・ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート(日油株式会社製、パーソフトEF)
・アルキルトリメチルアンモニウムクロリド(日油株式会社製、カチオンAB)
特許文献1で使用の離解促進剤成分
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(関東化学株式会社製)
【0031】
[離解性能試験方法]
離解性能試験は以下の方法で実施した。
試験原料として、エポキシ樹脂で耐水処理されている耐水中芯[王子板紙製「ONB−S」]を20mm×20mmの大きさに切り出したものをまず用意した。この耐水中芯10枚をビーカーに入れ、表1及び表2の組成を有する実施組成例及比較組成例の離解促進剤を用いて離解試験を行った。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
その際には前記組成例の離解促進剤500mgを離解液である水1L(リットル)に添加し、その離解液中に試験原料を投入しホモジナイザーにて3000rpm、5分間攪拌した後、試験原料の離解状態を目視にて観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は前記したとおり表3に示すとおりである。なお、ジクロロイソシアヌル酸を離解促進剤として用いる比較組成例10は、特許文献1の記載に沿って、それに記載の離解促進剤について性能試験を行ったものであるから、その特許文献に記載の発明の趣旨に添うべく、水への添加量は他の組成例の場合とは異なり3000mg/Lとした。
【0035】
【表3】

【0036】
[離解性能評価基準]
離解性能試験は、以下の評価基準にしたがって評価した。
1.完全に膨潤離解して繊維化する。
2.完全に膨潤し、殆ど離解しているが、僅かに未離解状態の紙が残留する。
3.湿潤しているが1枚以上の未膨潤未離解の紙が残り、かつ解離が粗い状態である。
4.湿潤しているが3枚以上の未膨潤未離解の紙が残り、かつ解離が粗い状態である。
(なお、本願明細書における「膨潤」及び「離解」とは以下のとおりである。
膨潤とは:古紙又は損紙が水分を吸収し膨らむこと。
離解とは、古紙又は損紙が原形をなさず繊維化すること。
【0037】
[離解性能試験結果]
離解性能試験は、前記評価基準にしたがって評価した。
その性能試験結果から明らかなとおり、(A)(B)(C)(D)の4成分を含有する本発明の離解促進剤は、それらの一つが欠落している比較組成例の離解促進剤に比し、離解性能が優れている。すなわち、本発明の離解促進剤はいずれの場合においても評価1又2である。
【0038】
それに対して、比較組成例の離解促進剤の場合は評価はいずれも3以下である。また、特許文献1の離解促進剤の場合(比較組成例10)の評価も4である。なお、離解促進剤の混合されていない場合についても離解性能試験を実施しており、その結果は表3に比較組成例11で記載されており、その場合は前記比較組成例10と同様に評価4である。
前記のとおりであるから、この性能試験結果から、本願発明の離解促進剤が優れた離解性能を示すことは明白である。
【0039】
なお、高級脂肪酸とポリプロピレングリコールとのエステルに関しては(A)成分以外のジパルミチン酸ポリプロピレングリコール、ジマルガリン酸ポリプロピレングリコール、ジバクセン酸ポリプロピレングリコール、ジリノール酸ポリプロピレングリコール、ジリノレン酸ポリプロピレングリコール、ジツベクロスステアリン酸ポリプロピレングリコール、ジアラキドン酸ポリプロピレングリコール、ジベヘン酸ポリプロピレングリコール等を用いて同様に4成分の離解促進剤を作製し性能試験を行ったが、離解性能はいずれも低いものであった。
また、エポキシ樹脂以外のメラミン樹脂を用いて耐水処理された試験原料についても同様に離解性能試験を行ったが、その場合にもエポキシ樹脂を用いて耐水処理された前記実施組成例の試験結果と同様に優れた離解性能が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコール、(B)ポリプロピレングリコール、(C)酢酸及び(D)界面活性剤を含有することを特徴とする、耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤。
【請求項2】
(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコールの含有量が30〜70質量%、(B)ポリプロピレングリコールの含有量が3〜12質量%、(C)酢酸の含有量が1〜10質量%、及び(D)界面活性剤の含有量が25〜50質量%である請求項1に記載の耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤。
【請求項3】
界面活性剤がポリオキシエチレンモノレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドである請求項1又は2に記載の耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤。
【請求項4】
耐水性の古紙又は損紙が、エポキシ樹脂を含有又はコートされている請求項1、2又は3に記載の耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤。
【請求項5】
離解液中に100〜1000mg/Lの配合量で混合する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤。
【請求項6】
(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコール、(B)ポリプロピレングリコール、(C)酢酸及び(D)界面活性剤を含有する分散液を離解液に混合し、その離解液中で耐水性の古紙又は損紙に機械力を加えて処理することを特徴とする耐水性の古紙又は損紙を離解する方法。
【請求項7】
(A)ジステアリン酸ポリプロピレングリコール又はジエリオステアリン酸ポリプロピレングリコール、(B)ポリプロピレングリコール、(C)酢酸及び(D)界面活性剤を含有する分散液を離解液中に100mg〜1000mg/Lの配合量で混合する請求項6に記載の耐水性の古紙又は損紙の離解促進剤。

【公開番号】特開2010−126850(P2010−126850A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304108(P2008−304108)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(591069709)三葉化工株式会社 (5)
【Fターム(参考)】